安治による肛門セックス、そして浮浪者たちによる輪姦によって、かえでは心身共にズタボロにされていた。
肉体はもう、大神へ顔向けできないほどに穢されてしまっている。
心はまだ挫けぬものの、度重なる恥辱的な責めにぐらついてきていた。
ややもすると、倒錯した快楽にのめり込みそうになるところを、必死になって堪えているのが実情だ。
屈辱的なセックスと凄惨な責めに肉体が馴らされ、もはや快感を抑えるのは難しくなっている。
それでも快楽の言葉を吐き、安治に屈したことを口にしないのは、かえでに残った最後の意地と理性によるものだ。
僅かに残っている帰還への希望、大神への愛情。
それらが藤枝かえでを辛うじて支えていたのだ。
そのことは安治にもわかっていた。
安治は、かえでの残された僅かな希望と矜恃を打ち砕くべく、仕掛けを施している。

かえでは早朝に起こされ、ベッドに縛り付けられた。
夕べも遅くまで性欲の捌け口に利用され、くたくたになるまで貫かれ、揉み抜かれている。
明け方近くまで嬲られ、ようやく責めが終わってウトウトしかけたところを叩き起こされたのだ。
しかし、明け方までセックスしていたのは安治も同じはずだ。
何度もかえでに射精し、精力を使い果たしたはずなのに、もう着替え終わった上にかえでを縛り上げている。

その拘束の仕方がいつもと違うのだ。
普段は縛られても多少の移動は出来る程度に縄が伸びている。
しかし今回は仰向けに寝かされて両手を拡げさせられ、下半身も開脚だ。要するに「大」の字である。
この状態でベッドに固定されてしまっているのだ。
なのに安治は外出しようとしている。
かえでは少し焦ったように言った。

「ちょ……ちょっと待って! どこ行く気なの?」
「どこって……仕事ですよ。大帝国劇場へね」
「わ、私はどうなるの!」
「帰ってくるまでおとなしくしてなさい」
「だ、だって、このままじゃ……」

かえでは戸惑いながらそう言った。
これではトイレに行くどころか、立ち上がることも出来ない。
行くなら縄を解いてもらわねば、どうにもならない。
しかし、そう言っても安治は嗤っているだけだ。
そして、かえでを上から見下ろしながら言った。

「トイレに行きたくなったらそのまましてもいいですよ」
「な……何を言ってるの!」

かえでは顔を真っ赤にして叫んだ。
この年齢で、トイレ以外で排泄するなどという恥辱的なことが出来るはずもない。
だが安治は、そんな抗議を聞き流しながら、かえでの胸に何かを押しつけた。

「きゃっ……」
「ふふ、かえでさんもそんな可愛い声が出せるんですね」
「こ、この……、バカにして! それより、それは何なの!?」

左の乳房……というより、乳首に突然冷たいものが押し当てられたのだ。
それは悲鳴のひとつも上げるだろう。
見たところ、白い蚕の繭のような形状で、かえでは初めて見るものだ。
太さは2センチ、長さは5センチくらいだろうか。
そこから細い紐が伸びていて、それが机の上の機械に繋がっている。
安治はそれをテープでかえでの肌に固定し、続けて右の乳首にも貼り付けた。
位置は乳首の真上ではなく、ちょうど乳首がそれに乗るような場所である。

「これはね、まだ試作品なんですよ。名前もありません」
「だ、だから何なのよ!」
「こうするものです」
「あっ……!?」

かえでの白い裸身がピクンと小さく跳ねた。
その美貌に驚きの色が浮かんでいる。
乳首の真下にくっつけられた物体が、ぶるぶると細かく震えだしたのである。

「何これっ!? あっ、いや、き、気持ち悪いっ……!」
「そのうち気持ち良くなると思いますよ。それはですね、中に小さなモータルが入ってるんですよ」

安治はそう言ってスイッチを切る。
バイブレーションが止まると同時に、かえでもホッとしたように身体から力を抜いた。

「そ、それ……」
「だからモータル。知りませんか? 日本語では電動機ですかね。聞き慣れないでしょう。無理もない、まだあまり普及してませんからね。簡単に言えば、電気を動力源にした発動機ですよ」

安治の説明によると、既に19世紀には発明されていたらしい。
英国人医師が医療用の電気振動機を発明し、特許を取っているそうだ。
これがそもそも、性具に転用されてもおかしくないものだったのだ。
婦人病の原因が子宮鬱血にあると信じられていた時代で、その治療のために骨盤振動のマッサージが考案されたのである。
要は女性器を刺激するための代物であり、容易に女体愛撫にも応用されたわけだ。

その後、20世紀初頭に米国の電化製品製造会社が民間用の振動機を開発、発売している。
さらに改良が重ねられていってはいるものの、蒸気機関全盛の昨今、特に日本ではあまり目にすることはない。
それでも、次世代の発動機として注目する人も多い。
安治もそのひとりだった。

「面白いでしょう? 僕はね、そのうち蒸気機関に取って代わるようになると思うんですよ。今はまだ出力も小さいから、こんな玩具みたいな使い方しか出来ませんけどね。でも、蒸気機関よりも安全ですし、効率が良いんです」

まだまだ発展途上であり、民生用はかなり高額らしいのだが、興味を持った安治は、既製品を元に独自にそれを開発しているらしかった。
いかに出力を上げ、小型化するかが発達の鍵になる。
安治の試作品は、出力はまだ小さかったが、小型化には成功していたのだ。
それがこの性具だった。
現代のピンクローターの発想である。
さらにバイブレーターも作り上げていた。
安治が手にしているのがそれだ。
かえでには千歳飴のように見えた。
長細い棒である。
直径が2センチくらいだろうか。
この棒の根元からもコードが伸びていて、それが機械に繋がっている。
どうやら卓上の機械は発電機のようで、そこから電気を取って動くようだ。
かえでは脅えたように言った。

「それは……」
「これ? これはですね……」

安治はにやっと嗤うと、それをかえでの媚肉に突っ込んだ。
いきなりだったので、かえでは驚いて悲鳴を上げた。
しかし、かえでのそこは、まだ夕べの名残のようにかえで自身の愛液や安治の放った精液でどろどろになっていて、あっさりと飲み込んでしまった。

「こうやって使うものですよ」
「やっ……、何を……ああっ!」

膣に挿入されたその奇妙な棒も、スイッチが入るとぶるぶると小刻みに震えだした。
まさにバイブレーターである。
いったんスイッチを切ってかえでの身体を弛緩させると、今度はもう一本を肛門に挿入した。

「ひぃ!」

かえでは慌てて全身を息ませたものの、ぬるっとそれは根元まで入り込んでしまう。
そしてダメ押しのように、もうひとつのローターをクリトリスのやや上に貼り付けた。
濡れ剥げる恐れがあったからか、こっちは乳首の方よりも厳重にテープで固定している。そしてスイッチを入れた。

「ああっ!?」

両の乳首、クリトリス、媚肉内部、そしてアヌス。
五箇所同時にバイブレーションが始まり、かえでは身体をビクッと反応させた。
予想も出来なかった新たな責めで慌てふためくかえでに、安治は黒い手拭いで目隠しをしてしまう。
視界まで閉ざされ、おののく美女が痛ましかった。

「何を……! と、取って!」
「どうせその格好じゃ、天井見るくらいしか出来ないでしょう。目隠ししたって同じです」
「そ、そういう問題じゃ……あっ!」

安治は、ローターでぴくぴくと細かく震える乳房をぎゅっと軽く掴んでから、身を翻した。

「それじゃ僕は仕事に行きます」
「や、待って! こ、このままにしていくの!?」
「そうですよ。ふふ、そのうち、いきたくてたまらなくなるでしょうが、僕が帰ってくるまでその状態で我慢しててください」
「だ、誰がそんな……、こんな下劣なことばかり思いついて……最低よ!」
「それだけ元気があればけっこう。耐えられなくなったら……、僕が早く帰ってくるよう祈ってるんですね。じゃ、行ってきます」
「待って……!!」

かえでの叫び声は、ドアに弾き返され、虚しく部屋に響いた。
真っ暗で何も見えない。
いやが上にも、刺激されている箇所へ神経が集中してしまう。
胸が、股間が熱く疼いてくる。
我慢できぬ刺激ではない。
しかし、この状態が何時間も続いたら……。
それを思うと、かえでは身体の芯がわななくのを感じた。

「ああ……」

「意識しないように」と、思えば思うほどに感じてしまう。
胸もあそこも、淫らな振動によって引き起こされる甘い痺れが抑えきれない。
どうしても脚がもじもじしてしまう。
意識的に胸を揺すり、乳房が揺れ動いてローターの振動をより敏感に感じ取ろうとしている。
堪えても堪えても、ついつい「ああ……」と甘い声が洩れ出るのが止められない。
誰もいないのだから、思い切り喘いでも構わないのだろうが、かえでの理性はまだ羞恥を強く感じている。

ビビビビ……、ヴヴヴヴ……と、乳首やクリトリスのすぐ側で微妙な揺さぶりが掛けられている。
気持ち良いのは気持ち良いのだが、何だか少し物足りなくもあった。
今すぐ、ローターやバイブを自分で操り、直接感じるところにあてがったらどうなるだろう……。
そんなことを考えていると、見る見るうちに濡れていくのを自覚していた。

「……ん……は……く……あ……」

途切れ途切れに、喘ぎとも呻きともつかぬ、熱い吐息が口からぽろぽろと零れ出る。
気がついてみると、腰が勝手に持ち上がり、うねっていた。
そんなことをしてもローターの動きは変わらないのに、どうしてもそうしたくなる。
恥ずかしいと思う気持ちを、腰の奥から身染み出る熱い疼きが飲み込もうとしていた。
もう、どうにも抑えられず、自然と腰を振っているかえでだった。

焦れったい。
このまま生殺しの状態にされ続けたら、本当におかしくなってしまう。
もう、この状態を解放してくれるのなら例え安治であろうとも……いや、あの浮浪者たちにだって進んで身体を開いたかも知れない。
それほどまでに、かえでの肉体は追い込まれていた。

割れ目は淫らに開き、その奥には膣が小さく口を開けて「男」を待っている。
もちろん、愛液は次々と滲んできていた。
ひくっ、ひくっとかえでの腰がひくつく。
太腿の鳥肌が異様なほどに色香を湛えていた。
もう乳首はコリコリになっている。
内部に陥没気味だったそれは、ローターの焦れったい攻撃を受け続け、今では完全に勃起して全身を露わにしている。
今、乳首に触れられたら、それだけでいってしまうような気すらしていた。
乳首どころか、乳輪ごとぷくんと膨れあがり、高まるだけ高まったかえでの性感を表現している。

下の肉芽も包皮が完全に剥け切り、小指の先ほどのそれがびくびくと卑猥なダンスを踊っていた。
おっぱいが切ない。
あそこが濡れて熱い。
男の強い力で、乳房が歪むくらい思い切り揉んでもらいたい。
はち切れそうなくらい膨張した男根で、あそこがひしゃげるくらい貫いて欲しい。
そんなあさましい思いを消し去ることが出来ず、かえでは眉間に皺を寄せ、辛そうに呻き続けていた。

「はあ……んん……うっ……ふう……はああっ……いっ……あ……」

もともと、胸とクリトリスを責め苛むローターも、膣とアヌスを貫いているバイブも大した振動ではない。
もし、このまま強い刺激で揺さぶられたら、あっという間に気をやってしまいそうな気がする。
だが刺激が弱いが故に、その振動は重い震えとなって肉体の奥深いところまで到達してきた。
特に膣が凄い。
まるで子宮を鷲掴みされて、そのまま揺さぶられているかのような錯覚を受ける。
子宮を震わせる振動がそのままお腹に伝わり、全身へ広がっていく感じがした。

(だめ、こんな……ああ……き、気持ち、良い……あああ……)

薄いが痺れるような快感が、確実にかえでの肉体に浸透していく。
その官能と快楽は、聡明な女士官の脳髄まで犯していった。
目隠しされて視界を遮られているため、どうしても神経がそっちへ行ってしまう。
何かを見て紛らわせたり、帝撃や大神を思い出すことも難しくなってきている。
うっとりとその甘美な刺激に身を委ねていると、じわじわととろけるような悦楽がこみ上げてきて、子宮がきゅっと締まってくる。
子宮口や子宮頸管が、挿入されてもいないペニスを絞り上げるような動きを見せていた。
その快感は前からばかりではない。
お尻周辺の粘膜を揺さぶり続け、腸管で粘っこく震え続けるバイブによって肛門からもわき上がってくるのだ。
乳首だけでもいきそうなのに、前と後ろでその感覚を覚えてしまうと、もう我慢しきれなくなる。
ごく近い距離で同時に湧き起こる快感に、身体はどう反応していいのかわからなくなっていた。
まるで複数の男たちから同時に嬲られているかのような錯覚に囚われる。
肛門への違和感が、徐々に痺れるような快感に取って代わられた。

(あ……、い、いきそう……いってしまう……)

今にも絶頂しそうになり、かえではググッと全身を息ませてその瞬間に備える。
脚が爪先までピンと伸び、痙攣しそうなほどに力が入る。
大の字にされた腕の筋肉も浮き上がり、両手がグッと握られた。
かえでの全神経が媚肉に集中していく。

(いく……、もう、いく……!)

いけない。
もう一歩が足りないのだ。
今、安治が──いや安治でなくとも良い、あの浮浪者たちでも、いいや、誰でもいい、男の手によって身体を触られ、愛撫されたらたちまちいってしまっただろう。
もちろん膣に挿入されても同じで、その場合、一気に貫き通されたその瞬間に気をやったに違いなかった。

しかし、それらの刺激が何ひとつなかった。
かえでは大きく戸惑った。
いくにいけないのだ。
もしも両手が自由なら、誰もいないのを幸いとして、躊躇なく自慰していたであろう。
それが出来ない。
腿を捩り合わせて少しでも刺激を得ようとしても、大きく開脚されていては如何ともし難い。
蠢くことにより、却って絶頂寸前であることを意識させられてしまう有様だ。

かえでは大いに当惑した。
いきたいのにいけないことが、こんなに辛いとは思いもしなかった。
年齢やその美貌を考えれば、かえでの性体験はかなり少ない方だろう。
しかし絶頂したことはあったし、その心地よさも知っていた。
けれど、よくよく思い返してみれば、気をやる直前というのは決して気持ち良くはないのだ。
ひとたび絶頂すれば、夢幻を漂うばかりの愉悦に浸ることが出来るが、その寸前は逆に苦しかったりする。
いきそうだ、早くいきたい、いかせて欲しいと、焦れったい気持ちが収まらない。
身体の方はカッカと熱くなり、過呼吸気味で息苦しい。
性器や子宮への至高の快感と同時に、その心身の苦悶から一気に解き放たれる解放感こそが絶頂感であり、陶酔感なのだろう。

なのに今のかえでは、いきたくともいけない状態で放置され、もどかしく息苦しい苦悶に苛まれ続けている。
グッと踏ん張り、背中を反らせても一向にいく気配がなかった。
悩乱するかえでの身体に、各ポイントにセットされた性具は容赦なく微弱だか甘美な快感を次々に送り込んでくる。
こうなると、かえでの肉体はオーガズムによる快楽の解放がない上、乳首、肛門、媚肉、そしてクリトリスから注ぎ込まれる快楽が溜まる一方で、ぐんぐんと膨れあがっていく。
もうかえでは、恥も外聞もなく、ただひたすら達することばかり考えていた。
こんな玩具に性感を支配され、心と身体を翻弄されている屈辱もなかった。

(ああ……あそこがジンジンする……も、もう……い、いきたい……ああ、いかせて……どうにかして……おかしくなりそう……あああ……)

安治が出て行ってから何時間経つのだろう。
いや、もしかしたらまだ10分か20分くらいかも知れない。
時計が見られないから時間がわからない。
肉体は燃え続けており、冷静に体感時間を意識することも出来なかった。
信じられないことに、かえでは安治の帰宅を待ち望むようになっていた。
早く帰って来て欲しかった。
早くこの状態を何とかして欲しい。
今の状況を抜け出す──気をやらせてもらえるためなら何でも出来ると思った。
安治の隷属物になる恥辱も、彼の女にされる屈辱も遠い存在だ。

かえではこの時初めて「犯して欲しい」と思うようになっていた。
いかせてもらえるなら、どんな恥辱的な責めも受け入れるつもりだった。
口で愛撫してもいい。
その時、咥内に射精されてもいい。
膣内射精だけは困るが、外に出してくれるなら胸や顔に精液を浴びてもいいとすら思っていた。

(お願い……早く帰って来て……そうじゃないと私、もう……)

その時だった。
ガチャリとドアが開く音で、かえではハッと我に返った。
ぐっと頭をもたげ、音のした方に顔を向ける。
かえでは思わず声をかけた。

「か、帰ってきたの!?」
「……ただいま、かえでさん」
「ああ……」

かえではホッとしたような、それでいてこの上ないほどに恥辱を感じていた。
やはり、この男に身体を見られるのは屈辱だし、激しい羞恥を覚えるのだ。
しかも今のかえでは、はしたないほどに開脚され、胸も大きく晒してしまっている。
挙げ句、その股間はもはや言い訳不能なほどに濡れそぼち、男を欲しがっているのが見え見えなのだ。

安治はその様子を見ながら、そっと着替え始める。
と言っても、服を脱いだだけである。
下履き一枚になると、足音を殺してかえでの頭上の陣取った。

「ど……どこ……どこにいるの……」

かえでは、実に心細そうにそう呟いた。
安治がどこにいるのかわからないから、きょろきょろと左右に顔を向けている。
動けず、誰もいない中で官能に苛まれるのはイヤだが、絶対に側にいるのにどこにいるのかわからない不安感もたまらなかった。
かえでは、あらぬ方向に顔を向けながら聞いた。

「い、今……何時?」
「時間ですか? ちょうどお昼ですね」

ということは、安治が出勤してから五時間ほどになる。
かえでは、よくもまあそれだけの時間、あの地獄に耐えたものだと、今さらながらおののいた。
もう半日このままだったら確実に気が狂う。

安治は、そっと回り込んでかえでの前にやってくる。
その気配を感じたのか、かえでは初めて安治の方へ顔を向けた。

「……早引けしてきたんですよ、かえでさんのためにね。もう我慢できないでしょう?」
「……」

そうしたのはおまえではないか、という言葉はかえでの口から出なかった。
よく帰ってきてくれた、という感謝の念に近い感情すら覚えている。

安治はじっくりとかえでの裸体を観察している。
想像以上に苦しんだらしい。水を被ったように全身は汗にまみれており、鳥肌まで立っている。
ローターの振動で震える乳首は真っ赤に充血し、ピンピンに勃起していた。
指で弾いたら、気持ち良いよりも痛いかも知れない。
それはクリトリスも同じで、ピクピクと震えながらその快感を訴えている。
割れ目は開き気味で、そこからとろりとした蜜が溢れており、シーツに大きな染みを作っていた。
よく見ると、膣と同じく細長いバイブに貫かれた肛門からも腸液が滲み出ている。
そして膣もアヌスも、咥え込んだ細長い玩具をきゅっ、きゅっと間歇的に締めつけていた。

よくもまあ、この状態で耐えられたものだと、安治は感心した。
かえでの精神力はかなりのものなのだろう。
しかしそれも限界のようで、もう安治に刃向かったり恥ずかしがったりする余裕もないらしい。
上半身をうねらせ、まるで男に見せつけるように乳房を揺すっている。
腰というかお尻ももぞもぞさせていて、時折くいっと腰が持ち上がってさえいた。
早く胸をいじってくれ、膣を犯してくれと懇願しているかのようだ。
安治はにやりと嗤うとおもむろに手を伸ばし、かえでの左の乳房をぎゅっと掴んだ。

「っ!! はうっ……!!」

強い刺激が来た瞬間、かえでの裸身がぐうっと大きく反り返った。
かえでは呆気ないほどにあっさりと絶頂していた。
乳房を乱暴に掴まれた瞬間、まるで棍棒で頭をぶん殴られたような衝撃が走る。
頭の中で何かが爆発し、かえでは大きく目を剥いた。
いった瞬間、かえでの全身が突っ張り、硬直する。
頭の中が空っぽになった気がした。
汗の浮いた豊かな肉塊に指が食い込み、ぷるぷる震えた乳首が飛び出しそうなくらいにグッと張り出した。

「……いったのかな、かえでさん。僕はおっぱいを掴んだだけなのに」
「あ……」
「じゃ、こっちは?」
「ひっ……、ああっ!」

今度は右の乳首がピィンと指で弾かれた。
触れたら血が出そうなほどに勃起していた乳首は、爪の先で軽く弾かれただけで簡単に二度目の絶頂を迎えていた。
ズーンと頭の芯まで突き抜けるような凄まじい快感がかえでの全身を襲う。
ガクンガクンと二度ほど身体を跳ねさせ、お尻からどすんとベッドに落ちる。
わなわなと裸身を震わせ、激しい鼓動で乳房がゆさっ、ゆさっと大きく揺れ動いていた。
安治は「くっくっ」と喉で嗤いながら言った。

「簡単にいっちゃうんですね、効果覿面だ。じゃ、これはどうです?」
「うああっ!!」

今度は手のひらでクリトリスをさっと撫で上げると、かえでは三度目の絶頂に達した。
安治の手が擦った瞬間、膣口からぷしゃっと愛液が噴き上がる。
かえでの腰がガクンと持ち上がり、尻えくぼが出来るほどに力が入っていた。

手に付いたかえでの蜜を舐めながら、安治は縄を解いた。
もうここまで来ては、かえでに抵抗の意志はないだろう。
案の定、手足の縄を解いても、かえではぐったりと横たわったままだった。
安治は、かえでの白い手を持ち上げ、縄目に指を這わせながら言った。

「可哀想に、縛った跡が轍みたいになってるな。赤くなってしまってますね」
「……」
「さ、脚を開いて」
「あ……」

かえでは逆らえなかった。
言われるままに、おずおずと自分の意志で開脚していく。
濡れた股間を見られるのは恥ずかしかった。
「早く入れて」という言葉を、必死になって飲み下していた。

安治は、ふたつの穴からそれぞれバイブを引き抜き、乳首とクリトリスに貼り付けてあったローターもむしり取った。
そのたびにかえでの裸身がクッと緊張し、背中が小さく反っている。
引き抜くバイブが膣とアヌスを擦り、剥がしたテープが乳首と肉芽を刺激して、かえではその感覚だけでも軽く気をやっているようだ。
そして安治は、仰向けになったかえでの両膝を立てさせ、その間に割り入っていく。

「入れますよ」
「……」

さすがに「早くして」とは言えず、かえでは背けた顔を真っ赤にして目を閉じ、その瞬間を待った。
その顎を掴まれ、顔が正面に向けられる。
うっすらと目を開くと、目の前に自分を嘲笑している男の歪んだ顔が見えた。
安治が顔に手を近づけてくる。
その指が唇に触れると、かえではそっと口を開き、躊躇なく二本の指を咥えた。
人差し指と中指が、口の中をまさぐってくる。
かえでの熱い咥内粘膜舌がその指を迎え入れ、舌が舐めしゃぶっている。
もうかえでは堕ちる寸前である。

安治が腰を落としてくると、自然に両腿がさらに大きく開いていく。
媚肉の縦筋が亀頭の先でそっとなぞられ、たちまち割れ目が緩んでしまう。
だらしなく割れた肉唇の中にある濡れた小さな穴は、今や遅しとひくついて男根を待ち構えていた。
安治が肉孔を探り当て、かえでの中にたくましい肉棒がゆっくりとめり込ませてきた。
かえでは、最後の気力で声を出すまいと唇を噛みしめ、「くっ」とくぐもった呻き声を上げた。
そのままずぶずぶと根元まで刺し貫かれ、先端が子宮口にまで到達すると、かえではたまらず大きく喘ぎ、またしても達していた。

「ああっ……!」

びくびくと痙攣する女体を上から押さえ込みながら、安治は腰を使い始める。
硬い心棒でかえでをつなぎ止めながら、安治は両手で乳房を揉み始めた。
縄目から解放された乳房を、手いっぱいに包み込むようにして握りしめる。
指の間から柔らかく肉がはみ出ていた。
些か乱暴なくらいに乳房を揉みしだきながら、安治はかえでを淫らに突き上げていく。

「くっ……くうっ……いっ……」

深いところまで鋭く突き上げられると、何度もいかされ、蕩かされた女体はひとたまりもなく、連続的に小さな絶頂に押し上げられていく。
噛みしめた口から、かえでの苦しげな呻き声が洩れ出ている。
安治は、乳輪までが膨れた乳房を愛おしそうに愛撫し、尖った乳首を指で揉み出していく。
くりくり、こりこりと転がされ、かえでは何度も仰け反り、声が抑えきれなくなる。

「いっ、あ……ああっ!」
「いいんでしょう、ここ」
「やっ……あ……いっ……いああっ……」

(だ、だめ! 感じる、感じちゃうっ……!)

膣を貫かれながら、乳首をこねくられると、背筋にビーンと電流が走り、それが直接子宮にまで届いてくる。
子宮自体も、深々と入り込んでいる安治のペニスに下から突き上げられ、激しく揺さぶられていた。
安治はかさに掛かったように腰を淫らに突き込み、かえでのそこに自分のものを抉り込んでいった。

「さあ、よがっていいんですよ、かえでさん。ほらほら」
「やっ! くっ、だめ! ああっ、もう……!」
「いくんですね? 僕もそろそろいきましょう。かえでさんの悩ましいよがり顔を見ていたら我慢できなくなってきた」
「中はだめ! ああ……、中に出すのは許して……そ、そんなことされたら……あんなにたくさん何度も出されたら……に、妊娠してしまう……」

最悪の結末だ。
そんなことになったら、もう二度と大神に合わせる顔がない。
帝撃にも戻れなくなる。
そんなかえでのおののき振りを見て愉しみながら、安治は飽きることなくかえでの子宮を責め抜いていく。

「妊娠か、それもいいなあ。かえでさんを孕ませることが出来たら最高だ」
「そんなっ……! なっ、中はだめよ! 中は……ああっ!」
「もう無理です、いきますよ!」

安治は、ぎゅっと乳房を握りつぶし、腰を出来るだけ深くまで送り込んでから、たっぷりと精液を放っていた。

「うああっ……!!」

子宮口に射精を受け、かえではビクンビクンと何度も身体を弾ませて気をやっていた。
びゅるるっと精液がひっかけられると、面白いように女体が跳ね、痙攣する。

(ああ……、ま、また……また中で出された……こんなにたくさん……ああ……)

安治は、射精しながら腰を回転させていく。
かえでの胎内に自分の精液を擦りつけているのだ。
太いものを咥えて粘膜がいっぱいに広がっているところを思い切りゴリゴリと擦られ、かえでは「ひっ、ひっ」と悲鳴を上げながら身悶える。
亀頭の先が精液を吐きながら、膣襞を擦りまくるのがたまらなかった。

失神寸前までよがらされ、かえでは息も絶え絶えに喘ぎ、脱力していた。
ドッ、ドッと激しい鼓動に乳房が揺れ動き、荒い呼吸で喉が蠢く。
汗の浮いた白い首筋とまろい乳房が扇情的この上なかった。
かえではぐったりしていたが、安治はまだ挿入したままだ。
絶頂の余韻に浸っているかえでの美貌を眺め、その身体をいじくっているうちに、またむくむくと男根が勃起していく。
それはかえでにもわかるらしく、少し萎んでいたはずの肉茎のまた硬い芯が入り、太さを増していくのを感じ、脅えていた。

「や……、ま、また大きくなって……」
「ええ。かえでさんが相手なら、僕は何度だってやれますよ。だって愛してるんだから」
「そんなことばっかり……あ、あっ……もう許して、ああっ、う、動かないで!」
「動くためやってるんです。それっ、それっ」
「やあっ、だめっ! い、いったばっかりで、す、すごく敏感になってるのにぃっ……!」
「またすぐにいっちゃいそうですか? ふふ、いいですよ、何度でもいかせてあげます」
「あっ……んんんっ!」

安治が覆い被さるようにしてかえでを抱きしめると、胸板に硬く尖った乳首が当たる。
ここがかえでの弱点であることは熟知していた。
身体を上下させて胸で乳首を擦ってやるだけで、かえでは顔を仰け反らせて喘いだ。
安治は一度身体を起こすと、また乳首虐めに専念する。
指で軽く弾くと、かえでは「あっ!」と甲高い悲鳴を上げた。
ピリッとした電流がかえでを貫き、その痺れが残っているうちに今度は舌でねっとりと舐め上げた。

「ああ……」

痛みの後の熱く優しい愛撫に、かえでは身体の芯からゾクゾクしてきた。
唇で乳首を引っ張り、歯で甘噛みする。
もう一方の乳房は、手のひらを大きく使ってわしわしと揉み込んでいく。
乳首の根元を爪でコリコリと擽ってやると、ガクンと背を反らせて達してしまう。

かえでは自分で自分が怖くなっていた。
何でこうも簡単に気をやってしまうのだろう。
もちろん、今までこんなことはなかったのだ。
なのに、こんな男の手管にハマリ、自在に官能をコントロールされて、いいようにいかされてしまっている。
認めたくないが、もう身体が安治のセックスに慣れ親しんできていた。
次第にかえではセックスにのめり込み、ついには嬌声まで上げるようになっていった。

「ああ……ああっ、いい……いいっ!」
「そうでしょう、そうでしょう。もっとよがっていいんですよ」
「くうっ……いっ、いいっ……気持ち良いっ……!」

かえでの反応が見る見るうちに鋭く激しいものとなり、安治は目を見張った。
元来、性感は良かったようだが、決して淫らな質ではないから、乱れさせるには時間がかかると思っていた。
それが、こうまでセックスに溺れだしたかえでを見て、踊り出したくなるほど嬉しかった。

恐らく、かえでは自分の中にかなり強い性欲があったに違いない。
それを意志や理性の力で強引に押さえ込んできたのだろう。
安治の介入は、澱のように溜まったかえでの肉欲を呼び覚まし、深みに嵌めることになったのだった。
その愛欲に応えるべく、安治は、かえでの身体を突き破らんばかりに激しく打ち込む。
ゆさゆさと弾む乳房をたぷたぷと揉み込み、しなやかこの上ないかえでの裸身をリズミカルに突き上げる。
射精したばかりとは思えぬたくましさを持った肉棒が、熱くとろけた膣内で暴れ回った。
かえでも負けじと括約筋を引き絞り、責め込んでくる肉棒を思い切り締めつけていた。

「あうう……、いいっ……」

かえでは脚を伸ばし、上に乗る安治の足に絡みつけ、自分に引き寄せている。
もう「犯されている」印象はほとんどなく、合意の上の行為だと思われて仕方がない。
男の肉槍によって串刺しにされた膣は、血液ならぬ愛液を迸り出させ、絡み合う男女の腰や腿をぐしょぐしょにしている。

「あ、ああ……いっ……んっ、んむうっ!」

突如、安治の顔が迫り、かえでの唇を塞いできた。
ハッとしたかえでは咄嗟に顔を振ってもがいたものの、両頬を手で押さえられて固定され、その口を吸われた。

「ん、んむ……むうう……んっ……んんっ」

しばらく口を堅く閉じて安治を拒絶していたかえでだったが、唇を吸われたまま何度も奥まで律動されるうちに、口元が緩んでしまうのを止められなかった。
ついに屈して口を開けると、すかさず男の厚ぼったい舌が割り込んでくる。

「んんん……んんっ……んっ、じゅ……ちゅぶ……ちゅううっ……」

かえではそのおぞましさに眉根を寄せて耐えていたが、咥内は許してしまっている。
さすがに自分から安治の舌を吸い上げるようなマネはしなかったものの、口の中は彼の舌の暴虐に任せるままとしていた。
舌を引き抜かれるほど強く吸われると、頭が痺れ、くらくらしてくる。
いけないと思いつつも強烈な接吻に虚ろとなり、その手は安治の背に回り、抱きしめてしまっていた。
唾液を流し込まれ、無理に飲み込まされると、ようやく安治の口が離れる。
口が解放されると同時に、その唇からはあられもないよがり声が発せられていた。

「ああっ、いいっ……くっ……も、もっと……ああっ、そ、そこ……いいいっ!」

もうかえでの膣は悦んで安治の男根を迎え入れていた。
熱く燃えて、蜜で潤った肉襞が安治の肉棒をしっかりと受け止め、締め上げ、ねっとりと絡みついていくのだった。
ペニスが子宮の入り口を突き上げるたびに、突き抜けるような官能の悦びがかえでの膣いっぱいに広がっていく。
ここで初めてかえでは、安治の男根の良さに目覚めてしまっていた。
戸惑い、背徳感、被虐、そして官能がない交ぜと妖しい感覚が、この知性的な美女を心理的な瀬戸際に追い込んでいく。
もう、どうしようもないほどに快楽の渦に巻き込まれ、翻弄されていくかえでだった。

「どうです、かえでさん。男のものはいいでしょう? いいえ、僕のペニスはいいでしょう?」
「っ……」

つい頷きそうになってしまったのを、僅かに残った理性が何とか食い止める。
かえでは目を堅く閉じ、安治から顔を背けながら小さく喘いだ。
安治によって、しつっこく念入りに耕された女体は、どこを触れられても快感に変換してしまう。
かえでの胎内は、もう性の神経が剥き出しとなっており、子宮が特に凄かった。
そこを執拗なまでにペニスで小突かれ、抉られるのだからたまらなかった。
熱くて適度な硬さをもった肉の凶器が、膣奥で蠢いているのがはっきりとわかった。
そうでなくても感度が良いのに、安治に拉致されて以来すっかり熟し切ってしまい、性的に開発されてしまっている。
理性を押しやり、肉体が全面的に感じ始めていた。

「ああ、いいっ……か、感じる……感じちゃう……あ、もう……もう……」

安治のものが内部を思い切り擦りつけてくるたびに、かえでは悶え、腰を合わせてくる。
それまで胸肉を揉み込んでいた安治も、かえでの強い収縮に堪えきれなくなってきた。
腕をかえでの下に潜り込ませ、その背中をぎゅっと抱きしめる。
腰を押しつけるようにして密着させ、小刻みかつ素早くピストンを繰り返す。
膣で締めつけられていたペニスが、襞を押し返すように膨れあがっていく
。亀頭部分は一回りも太くなったような気がした。
かえでは、また射精を覚悟する。

(ああ……、ま、また……また射精される……)

心底、膣内射精を恐れているのに、精液を子宮に浴びることを想像するとゾクゾクするような被虐感に身体が震える。
案の定、安治の上擦った声が聞こえる。

「か、かえでさん、僕はまた……」
「ああ……な、中……中は……」

思わず「中に出してもいい」と言いそうになり、かえでは血が出るほどに唇を噛んだ。
それでも、男の胸板で潰される乳房の感触と、胎内深くまで打ち込まれるペニスの凄さに、かえでも我を忘れて頂点へ昇り詰めていく。
安治がかえでの白い肢体をしっかりと抱きしめ、かえでも安治の背中にしがみついた。

「くっ……」

安治は、耐えに耐えていた劣情の汚液を憧れた女の中に思い切り発射した。
びゅううっと勢いよく射精され、かえでは全身を痙攣させて気をやった。

「いっ、いくっ……!」

かえでは思い切り全身をしならせ、背中を仰け反らせた。
膣の締め付けはそれまでの最大で、安治は本当にペニスが食い千切られると思ったほどだった。
かえでの媚肉がきゅっと締まると射精は止まり、緩むとまたどくどくっと大量に精液が流し込まれていく。
絶頂したかえでの美貌の妖しさと「いくっ」と屈服した言葉を耳にしたことで、安治のペニスから、また新たに射精が始まる。
子宮口に何度も浴びせられ、かえでは意識が飛ぶほどに達していた。
そして安治の射精が完全に終わるまで腰を持ち上げ、彼の腰に自分の膣を密着させ続けていた。

(ああ……、また……またこんなに出された……ほ、本当に……本当に妊娠してしまう……ど、どうしよう……)

この男の種を孕まされる恐怖に脅えつつも、そうなってしまった時のを考えると、恐怖以外の何かが身体の奥からもやもやと沸き起こってくるのだった。



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