「さくらさん」
「……」

あたしは後ろから声を掛けられて立ち止まった。
振り返るとすみれさんだった。
俯き気味だった顔を上げ、表情を作ってから言った。

「すみれさん……。何ですか」
「何ですか、じゃありませんわ」

すみれさんはそう言うと、あたしの着物の裾を引っ張って廊下の隅っこへ連れて行く。

「最近、どうしたんですの?」
「どうしたって言われても……。あたし、普通だと思いますけど」
「どう見たって普通じゃありませんわ。あの子のことですわよ!」
「……」

内心どきりとしたけど、何とか表情を壊さず取り繕う。

「あの子って……」
「とぼけてらっしゃるの? 新次郎くんのことですわ」

やっぱりそうだ。
意識しないようにしていたつもりだったけど、そんなことはムリ。
気持ちの整理がついてない。
あんなことがあったんだし、新次郎くんとはまだまともに話も出来ない。

でも、自分でも驚いたのだけど、あんまり怒りの感情はないの。
いいえ誤解しないで欲しいんだけど、あたしが新次郎くんのことを……その、好いているとか、そういうことじゃない。
もちろん好きだったけど、それはあくまで知り合いの男の子として。
大神さんの甥だから、という気持ちもあった。

だから、彼があんなことをしてくるとは思いも寄らなかった。
でも今考えてみると、その原因はあたしにもあったと思う。
あの時に着ていたサマードレス。
肌も露わになっていたし、あれがけっこう挑発的だったのかも知れない。
新次郎くんがあたしに好意──ううん、それ以上の感情を持っているというのを知っていたなのに、あんな格好でいたんだもの。
しかも、大神さんだけでなく新次郎くんにまで甘えるように腕を絡めたりしていたんだから、彼が勘違いしてもおかしくはない。

もちろん、だからと言って女性を襲っていいという理由にはならない。
だから道義的には怒っている。
でも、そんなこんなで、あたしも悪かったんだと思い始めると、新次郎くんを叱ったり大神さんに告げたりする気にはどうしてもなれなかった。
あの後しばらくは、それはショックで心身ともにだいぶまいっていたと思う。
大神さんの捧げるべく大事に大事にしていた身体を奪われ、操を穢してしまったのだから。
それも、可愛がっていた新次郎くんによって……。
黙っているあたしの顔を覗き込みながらすみれさんが言う。

「何かあったんですの?」
「何かって……、別に何も……」

と、あたしはウソをついた。
だってそう言うしかないもの。

「ウソおっしゃい」

すみれさんがぴしゃりと言った。
思わずあたしは肩をすくめる。

「あんなに仲が良かったのに、今じゃ口も利かないじゃありませんの。わたしくしじゃなくても「おかしい」と思って当然ですわ」
「……」
「新次郎くんはあなたのファンなのでしょ? あんなに慕ってくれてるのに無視するなんてあんまりじゃありませんこと?」

すみれさんに問い詰められてあたしが窮していると、そこに当の新次郎くんがやってきた。

「あ、さくらさん、すみれさん」
「あら……」

あたしはさっと顔を伏せ、すみれさんは取り繕うように向き直った。

「どうしましたの? わたくしに何か?」
「あ、いいえ……。その、さくらさんにちょっとお話が……」

あたしはビクッと小さく震えた。
きゅっと手を握りしめる。
何を言われるんだろう。
どんな顔をすればいいのかわからなかった。

「ほら、さくらさん」
「あっ……」

すみれさんがあたしを引き摺るようにして新次郎くんの前に連れて行く。
まだ躊躇しているあたしの背中を、指でちょんと押してきた。

「……何があったか知りませんけど、きちんとお話した方がよろしくてよ」
「……はい」

あたしは、先を歩く新次郎くんの後を重い足取りでついていった。

───────────────

あたしは新次郎くんに手を引かれたまま、後を着いていく。
まさか、このまま新次郎くんの部屋に行って……。
そんなことを考えてしまい、あたしは足を止めた。
手を引っ張られても、踏ん張るようにしてそこから動かない。
新次郎くんが振り向いた。

「どうしたんです?」
「……」

あたしは何も答えない。
答えなくても、あたしがなぜ新次郎くんに同行するのを拒んでいるのかはわかるはずだ。
あたしは新次郎くんを睨んだつもりだったけど、そうなっていなかったかも知れない。
可愛がっていた彼に辱められてしまったことが悔しく、そして哀しかった。
そんな目つきだったと思う。
新次郎くんはあたしの手首を掴んだまま言った。

「さ、行きましょう」
「どこへ……」
「ここじゃ出来ないでしょう? だから部屋に……」
「っ……!!」

この子、またあたしを……。
あたしは青ざめて激しく顔を振った。

「い、いやよ、もう二度とあんなことは!」

思わず大声が出てしまい、新次郎くんもさすがに慌ててあたしの口を手のひらで覆った。

「あまり大きな声を出さないで。変に勘ぐられますよ」
「んん……、手、どけて! あ、あなたが変なことしようとするから……」
「だから、人目につかないところでしようと……」
「い、いやですっ」
「仕方ないな、じゃあ、ここでいいか」
「あっ……!」

あたしは強引にその部屋に引き込まれてしまった。

「い、痛い、離して……!」

新次郎くんに掴まれた手首が痛い。
彼はドアを開いてあたしの後ろに回り込み、背中を押すようにして部屋に押し込んだ。

楽屋だった。
室内には花組メンバーそれぞれの鏡台と座布団、お茶を飲むためのちゃぶ台、着替え用の衣紋掛け、それに衣装箪笥が並んでいる。
小道具や衣装を入れる行李が雑然と畳の上に置いてある。

「何するの……!」
「さくらさんがおとなしくしないからですよ」

新次郎くんが顔をあたしの耳に寄せて囁く。
彼の吐息を敏感な耳に感じて、あたしはゾクッと背中を震わせた。
新次郎くんは左手であたしの手首をまとめて掴んで、右手を前に回してグッと引き寄せる。

「……?」

お尻のあたりに何か当たる。
何だろうと思っていると、新次郎くんは右手首だけ解放してくれた。
その右手をまた掴まれ、お尻の方に持って行かれる。
新次郎くんはあたしの右手を持って何かに押しつけた。

「こ、これって……」

あたしは顔がカッと赤くなった。
さっきお尻に当たっていた何か硬いもの……そして今、右手で触らされているものって……。
あたしはあまりの恥ずかしさに目のやり場もない。
目を堅くつぶって藻掻くだけ。

「わかりますか? さくらさんが触ってくれているのは、僕のおちんちんですよ」
「っ……!」

やっぱりそうだ。
あたしの手は、ズボンの上から新次郎くんのそれに触っている。
咄嗟に手を握って避けようとしたけど、彼は強引にあたしの手のひらを開かせて自分のものに押しつけてきた。

「やっ……、やだ!」
「どうです。硬くて大きいでしょう? それに熱い」
「しっ、知らない……あっ」
「わからければ、ほら、もっと触って」
「いやっ……」

手のひらに彼のものが押しつけられる。
ズボンと下着の上から触っているはずなのに、その硬さも熱さもいやというほどよくわかった。
それに……想像していたのよりずっと大きい気がする。

「もう爆発寸前なんですよ。これを収められるのはさくらさん、あなただけなんです」
「そ、そんな……やあっ……」

あたしは懸命に手を振りほどこうとするものの、そのせいで新次郎くんのズボンの上を強く擦ることになり、かえって新次郎くんのものがググッと大きくなってしまう。

「どうして……。新次郎くん、どうかしちゃったの!? あんなに優しかったあなたがどうして……」
「ええ、変わってしまったかも知れませんね。それもこれもあなたのせいだ、さくらさん」

新次郎くんは低い声でそう言った。

「あたしの……」
「そう、さくらさんのせいだ。あなたがこんなに……こんなに綺麗で魅力的だから、僕はもう我慢できなくなった」
「で、でも、あたしは大神さんと……」
「大神の叔父さんとつき合ってるのは知ってる。知っててここに来たんです。さくらさんのことは大好きだけど、尊敬する叔父さんの恋人なんだからどうしようもない、諦めようと何度も思った」
「……」
「でも、実物のあなたを見て、もう、どうにもならなくなってしまった。叔父さんから奪ってでも、あなたを……さくらさんをものにしたかった!」

あたしは横座りになったまま、後じさった。
この子は本気なんだ。
本気であたしを自分のものにしようとしてるんだ。

好意を持たれるのは嬉しい。
あたしも新次郎くんが可愛いと思っていた。
でも、決して恋愛感情なんかじゃない。
もし大神さんと知り合っていなければどうなっていたかはわからないけど、でも今あたしは大神さんと愛し合ってる。
そこに割り込まれる隙なんかないんだ。

でも、新次郎くんはそんなあたしの気持ちを踏みにじってまであたしを大神さんから奪おうとしていた。
あたしは無言で抵抗し、暴れたつもりだったけど、あっさりと──本当にあっさりと着物を脱がされてしまっていた。
この子、慣れているんだ。
そう思った。

普通は、着物というのは慣れていなければ自分で脱ぐのも大変なの。
無理に脱がそうとしても、慣れてない男の人は女用の着物の脱がせ方なんか知ってるはずもない。
帯もあるし、時間もかかる。
でもこの子は、実に簡単にあたしから着物を剥いでしまった。

抵抗したけども、声は出せないし、あまり大きな物音も出せない。
助けを求めれば、誰かが部屋に飛び込んでくれるとは思う。
でも、それは出来なかった。
新次郎くんがあたしにしたこと、しようとしたことはもちろんバレてしまうし、同時にあたしが彼に犯されてしまったことも知られてしまう。
あたしは何があっても他の人に知られては困るし、特に大神さんには絶対に知られたくなかった。

新次郎くんもそのはずなのに、彼はあたしがそう思って激しく抗えないことを利用して辱めようとしている。
腰巻きまで取られ、下着だけになってしまう。
あたしは、涙を滲ませたまま抗議した。

「ま、またこんな……どうしてこんな酷いことを……」
「あなたが好きだからです。それ以外に理由なんかない。さくらさんを見ていると、どうしてもあなたが欲しくなる。抱きたくなるんです」
「暴力で女性を辱めるなんて最低ですっ。お願い、考え直して! あの時のことは、あたしも忘れます、だから……」
「忘れる?」

新次郎くんがゆらりと近づいてくる。
あたしは息を飲んで後じさった。手の先に硬いものが触れる。
あたしの鏡台だ。もう後ろに逃げることは出来ない。

「僕には忘れることなんか出来ない。さくらさんにも忘れて欲しくないんです」
「そんな……、あ、だめっ!」

そんなこと言っているうちに興奮してきたらしく、新次郎くんは鼻息も荒くあたしを押し倒した。
意識して座布団の上に転がしたみたいで、あたしが痛くないようにしてるつもりらしい。
そういう理性は働いているのに、どうしてけだものみたいにあたしを──あたしの身体を求めてくるの?

「やっ……!」

新次郎くんの指先が股間に触れる。
ゾッとした。
見られるだけでも恥ずかしく、いたたまれないのに、そこを触られている。
彼の指が執拗にあたしのそこをいじくってくる。
あっ、指先はあたしの中に入ってくるっ。

「や、やめて!」
「声が大きい、さくらさん。聞こえちゃいますよ」
「っ……、じゃ、じゃあやめて、今すぐに!」
「あなたが声を抑えれば済むだけです。続けますよ」
「あっ、やっ……くっ、さ、触っちゃだめっ……」

押さえつけられて不自由な腰を振って藻掻く。
でも、あたしがいやがって腰を揺すれば揺するほどに、新次郎くんの指がいやらしく蠢き、あそこを刺激していった。

「あっ……」

ビクンと身体が小さく跳ねた。
自分でもびっくりするくらいの刺激だった。
快感……これって快感?

大神さんを想って自分で慰めている時、そこを初めて触れた時の感触は憶えている。
すごく敏感で──気持ち良かった。
癖になりそうな感覚が怖くて、なるべくそこはいじらずに、胸や股間を軽く擦るだけで済ませていることが多かった。
でも、今のはそれ以上。
自分で触るのと男の人に触られるのではこうも違うのかと思うくらい。

思いもかけぬ快感が、あたしの脊髄を走り抜けて脳天にまで届いた。
恥ずかしいけど、あたしのあそこが少し──ううん、はっきりと濡れてきているのを自覚する。
そして、外に向かって花開いていく感じがした。
あたしが感じ始めたのがわかったのか、新次郎くんはさらにそこを責め続けた。

「あっ……や、やめ、あっ……んんっ……くっ……だめっ……ああ……」

同じ箇所をしつこく責められ、今度こそあたしははっきりと女の悦楽を感じてしまっていた。
こんな状況で──いつ誰に踏み込まれるかわからない場所で、恋人でもない男の人に強引に犯されようとしていて──こんな気持ちになるなんて信じられない。
でも……でも、もしかすると、こんな状況だから余計に感じてしまうのかも知れない。
見られるかも、知られてしまうかもという脅えがあたしの心を揺り動かし、官能を刺激しているんだ。
いやらしい、はしたないと思っても、身体の方は許してくれず、新次郎くんの愛撫に燃えていってしまう。

あたしは新次郎くんを止めようと、爪を立てるほどに強く彼の腕を掴んでいる。
でも新次郎くんの指は淫らに動き続け、あたしの濡れたあそこを嬲っていく。

「あ……ああ……くっ、いや……やめ、あ……しんじろ、くん……あっ……」

疼きとも痛みとも違う。
熱く痺れる不可思議な感覚。
言葉では言いようのない快感。
戦慄とともに襲い来る、女を蕩かす刺激。

「くっ……んっ!」

淫らな声を上げまいと、あたしは両手を固く握りしめ、おっぱいが張り詰めるほどに胸を反らせる。
腰に力を込め、両脚を踏ん張るように思い切り伸ばして、淫らな誘惑に抗った。
あたしは気持ち良いところを愛撫され、堪えようがなくなってきている。
声を出せないからか、新次郎くんの動きを過剰に意識してしまう。

「ああ……む、胸は……」

新次郎くんは右手で股間を触りながら、左手を伸ばして胸を揉んでくる。
優しく揉み上げたかと思うと、急に乳首をきゅっと捻り上げて、あたしに声を出させようとしてきた。

胸も同じだった。
自分でおずおずと愛撫するのとはまるで違う。
男の手で自在に揉みほぐされる感覚はたまらなかった。
時々、自分でも知らなかった気持ち良いところを触られ、ついつい淫らな声が漏れてしまう。

「あ、あんっ……いっ……そ、そこは……ああ……」
「ここですか? 乳首と……乳輪の回りですね。ほら」
「いあっ……こ、声出ちゃう……だめっ……」

彼の思惑通りに崩されていく。
そんな自分にいたたまれず、たまらなく恥ずかしくなる。
大神さんでもない相手に、こんなに感じてしまうなんて。
あたしはもしや……淫らな女なのかしら。
そんなことはないと思っても、新次郎くんが敏感なお豆を舌で突っついたり唇で挟んで引っ張ったりすると、下半身の力が抜けて痺れるような甘い電流が走る。
舌が動くたびにガクン、ガクンと腰が跳ねるのを止められない。

「あ……」

突然に、あそこと胸から新次郎くんの手が離れた。
あたしは失望にも似た声を漏らし、その羞恥で顔が染まる。
敏感な場所を触られ、身体が軋むほどに捩らせて反応していたのはウソみたいだ。
新次郎くんは、濡れた指──恐らく、あたしの……──を見ながらつぶやく。

「……これくらい濡れていれば充分ですね」
「じゅ、充分って何が……あっ、だめ!」

あたしの両脚を拡げ、新次郎くんが覆い被さってくる。
ハッとして脚を閉じても、彼の腰を締めつけるだけだった。
新次郎くんの……新次郎くんの、あ、あれがあたしのあそこにくっついたっ。

「だ、だめっ、もう絶対にだめだったらあっ……あ、あっ!」

声を殺したあたしの悲鳴を無視して、新次郎くんはその身体をぐっとあたしの中に刺し込んでくる。
またあの激痛が蘇る。
股間から身体を引き裂かれるような、あそこが本当に裂けてしまいそうな苦痛。

「いっ……たいっ……やああっ……か、身体が……あたしの身体が……ああっ、くっ」

あたしは苦痛に歪んだ顔を仰け反らせ、大きく喘ぎ、痛みに呻きながら身体を硬直させる。
そうすれば余計に痛いのだけど、我慢なんかできっこない。
新次郎くんのもので刺し貫かれる痛さに、強張る身体が鳥肌立つ。
新次郎くんもきつそうな顔で言った。

「もっと力を抜いて、さくらさん。その方がずっと楽だし、痛みも……」
「な、なら抜いて、お願いっ……痛いっ……」

根元まで埋め込まれ、あたしは胎内で新次郎くんのすべてを受け止めた。
あたしは、深々と突き刺さった新次郎くんの大きさと太さに身が縮む思いだ。

「まだ痛いですか……?」
「い、痛いわ……お願いよ、抜いて……ああ、もう、あたし……あっ、う、動いちゃだめえっ」

新次郎くんの腰が動き出すと、あそこの中の傷を擦られる痛みで、全身から脂汗が滲み出る。
後頭部で身体を支えてるほどに仰け反ったあたしの身体は、突き込まれるたびに、ゆさっ、ゆさっと大きく揺れ動かされた。

「やめてぇ……痛いの、ホントに痛いのよ、新次郎くんっ……あうっ……」
「もう少し我慢して。そのうち慣れてきます。それに、最初の時よりは痛みはマシになってるでしょう?」

それはそうなのかも知れない。
痛いことは痛いが、初めての時のような「飛び上がるほど」の痛みではない気がする。
それでも、奥深くまで突き込まれると鋭い痛みが突き抜けた。

新次郎くんはあたしの様子を見ながら腰を使っている。
奥まで貫いたり、浅いところをこねくるように抉ったり。
もちろん、その間も手や口、舌を使って、あたしの胸を揉み、腿を擦り、お尻を撫で、首筋にキスをし、舐め上げてくる。
そうされると、あたしは痛みの他に、ごく小さいのだけれど、微かに快感を得てきていた。
慣れたこともあるけれど、新次郎くんの言う通り、身体から力を抜いてみた。
痛いのだから脱力するのは難しかったけど、でも力を抜くとあそこのきつさが少しだけ緩み、同時に激痛も弱まった感じがする。
すると、苦痛に変わってあのいやらしい感覚──恥ずかしいけれど、官能的な気持ち良さがこみ上げてきた。

「あ……ああ……あっ……はあっ……うっ……」
「気持ち良くなってきましたか?」
「わ……かりません……あっ……で、でも……うんっ……す、少しだけ楽に……ああ……」
「そうですか。じゃあ少しずつ……」
「ああっ……」

自分の表情から苦痛の色が消えつつあるのがわかる。
そして強張りが緩んできている。
新次郎くんはそんなあたしの顔を見て、嬉しそうに腰を使い、あたしの肌を揉み、舐めた。
そのすべての刺激があたしを捉え、身体の芯に火を着けていく。
ああ……、なにこれ?

あたしの中で新次郎くんのものが……ビクビクと動いている。
また少しきつくなってきた。
彼のものが大きくなっていってるのかしら。
それともあたしのそこの中が絞まってきているのかも知れない。

そうすると、あたしを責めていた新次郎くんの表情が変わっていく。
じっくりとあたしを嬲る余裕は消えて、何かを我慢するように歯を食いしばる感じになる。
新次郎くんも気持ち良いのかも知れない。
その口から少し切羽詰まったような呻き声が洩れる。

「くっ……、すごいですよ、さくらさんっ。こんなにいいとは思わなかった」
「ああ……だめよ、もう……あっ……やあ……うんっ……いっ……はあっ……あうう……」
「く、くそっ、だめだ、もう堪えられない! さくらさん、いきますよ!」
「い、いくって……」

何のことかわからず、あたしは身体を揺さぶられながら新次郎くんに聞いた。
新次郎くんは腰をあたしにくっつけたまま、ぐいぐいと抉ってくる。

「だ、出しますっ」
「え……」

「出す」って言うのは……、も、もしかして、その、せ、精液……を……?
あたしは青くなって叫んだ。

「だめだめだめっ、絶対にだめっ……中に出したら……ああっ、だめですっ!」

このまま出されちゃったら……あたし、新次郎くんの赤ちゃんが出来ちゃうかも知れない。
それだけは絶対にだめだ。

「そんなこと言っても、もう……」
「お願いっ、新次郎くんっ……出さないで! 中に出したら、ああっ、ゆ、許さない、絶対に許さないからぁっ……」
「くっ……、くそっ!」
「ああっ……!」

新次郎くんは悔しそうな顔でそのままガンガンとあたしの中を深くまで、そして強く突いた。
あたしの身体がギクンと小さく痙攣する。
彼は三度ほど強く突いてから、いきなりあたしの中から抜き去った。

「あ……あ……」

あたしは胸に熱いものを感じた。
見ると、新次郎くんは自分のものを手で持って、あたしに……あたしの胸に精液をひっかけていた。
自分でしごきながら、びゅっ、びゅっと勢いよく出てくる白い液体。
それがあたしのおっぱいにびちゃっと浴びせられていく。
あたしはぼんやりした意識のまま、胸にかかったそれを指で掬い取っていた。
どろどろでねばねばしたその液体はとっても淫らで、いやらしい匂いがした。

───────────────

新次郎くんの夏休みがあと一週間になった頃、あたしは大神さんと旅行に出かけた。
温泉。
大神さんもあたしも、そんなに長く帝撃を空けるわけにはいかない。
でも、さすがに日帰りというのも味気ないので一泊だけしてくることになった。
だから近場だ。

神奈川の堂ヶ島温泉。
あたしはよく知らなかったけど、箱根七湯として有名なんだって。
あたしは大きな期待と不安を同居させていた。
大神さんとふたりっきりで旅行なんて初めて。
いよいよ……いよいよ大神さんに抱いてもらえるかも知れない。
大神さんが誘ってくれたのも、そういう意味があったと思いたかった。

大神さんと結ばれるという嬉しさはあったけど、でも……もう、あたしは処女じゃなかった。
それを見た大神さんは何と言うだろうか。
ふしだらな女だと言われるかも知れない。
ううん、そんなこと、きっとない。
大神さんはそんな人じゃない。

すみれさんも言っていた。
自分が童貞でもないのに、女性にばかり処女性を求めるのはおかしい、と。
あたしは、綺麗なままの身体にしておけなかった悔しさとつらさ、そして申し訳なさはあったけど、そのままのあたしを大神さんにぶつけるしかなかった。
だから、嬉しさと気恥ずかしさ、そして申し訳なさもない交ぜになった気持ちで旅行当日を迎えた。
でも、出発直前になって大神さんから意外なことを聞いた。

「……実はさくらくん。この旅行……新次郎のやつも一緒に行くことになったんだけど……構わないかい?」
「え……」

新次郎くん!?
なんで……。
大神さんとふたりっきりじゃなかったの?
あたしはそう言いたい気持ちを抑えて、無理に笑顔を作った。

「は、はい、もちろんです……。でも、急なんですね……」
「すまない。この話を新次郎にしたのが夕べなんだ。そうしたら、一緒に行きたいって言い出してね……」

もちろんあたしは、新次郎くんにこの旅行のことは一言も言わなかった。
花組のみんなは知っていたはずだけど、それとなく黙っていてくれたんだ。
新次郎くんがあたしを好きなのは知っていたから、いくら大神さんとはいえふたりっきりで出かけるとなれば穏やかでないと思ったに違いない。
大神さんも話してなかったんだ……。

「まさか、自分も行きたいなんて言い出すとは思わなかったから……」

大神さんは済まなそうにそう言った。
水入らずで、と思っていたあたしに申し訳ないと思ったみたい。

「新次郎も、もう寮へ戻らなきゃならないし、思い出作りということで認めたんだ。それに、新次郎はきみのことが大好きだし、さくらくんも新次郎のこと気に入ってくれてるみたいだから、いいかな、と思ってさ」
「はい……」

あんな事件がなかったなら、あたしは諸手を挙げて歓迎したと思う。
ふたりっきりの旅行も楽しみだったけど、そんなのはこれからいくらでも機会があると思ったから。
それなら、もう帰らなくちゃならない新次郎くんと一緒に行くというのは、かえって嬉しかったはずだ。
でも、今はもう……。

あたしは汽車に乗っている時も、温泉宿まで歩いている時も、そして宿に着いてからも、新次郎くんのことが気になって仕方がなかった。
とても景色を眺めたり、大神さんとのお喋りを楽しむ余裕なんかなかった。
お話に合わせて相槌を打ったり、話しかけられればちゃんと答えたけれど、気が気じゃなかった。

あたしがそうなんだから新次郎くんなんて、もっとあたしを意識したんじゃないかと思ったけど、案外、彼は普通にしていた。
いつものように柔らかい優しそうな笑顔だったし、女性のあたしを思いやってくれる(大神さんに言わせると、それが海軍の流儀なのだそうだ。海軍の軍人さんは女性に優しくするのがモットーなんだとか)。
それはともかく、新次郎くんは相変わらずいつものまま。
あたしとふたりっきりにならなければ、人当たりの良い「良い子」なんだ。
ことさら、あたしを意識しているような素振りすら見せない。
それだけに不気味だった。
この子はいったい何を考えているのだろう……。

そうこうしているうちに宿へ着き、お部屋に通されて落ち着いて、それからお風呂に行った。
さすがに混浴というわけにも行かず、あたしはひとりで大きな湯船に浸かる。
どれくらい入っていたのかわからないけど、けっこうのぼせてしまったみたい。
お湯の中であれこれ考えていたら、あっという間に時間が経ってしまったんだ。
部屋では大神さんたちがあたしを待っていて、お食事には手をつけていなかった。
あたしは慌てて席に着き、大神さんと新次郎くんのお酌をした。
ごはんはおいしかったし、大神さんも新次郎くんもご機嫌で飲み、食べていた。
大神さんの士官学校時代のお話も、新次郎くんと暮らしていた頃のお話も面白かった。
あたしは警戒していたけれど、新次郎くんは普通に微笑んであたしや大神さんとお話をする。
大神さんやあたしにもお酌してくれる。
全然、普通だ。
三人の間で会話も弾んだ。
お燗にしたお酒はよく回って、あたしはお猪口でみっつ、よっつ飲んだだけだけれど、ほろ酔いになっている。

もう二時間、ううん、もっと経ったみたい。
いつの間にか、津軽塗りの立派な座卓にいっぱいあったお料理のお皿はみんな片付いている。
女中さんがいつ片づけてくれたのかすら憶えてなかった。
座卓には、空の徳利が3本倒れていて、中身がまだあるらしいのが2本立っている。
あとはあたしたちの使ったお猪口がみっつと、お茶の支度がしてあった。

「叔父さん……、叔父さん!」

新次郎くんが座卓に突っ伏した大神さんを起こそうとしている。
大神さんの顔は真っ赤で、かなり酔ってるみたい。
そういえば大神さん、お酒は好きみたいだけどあんまり強くもないみたいだった。
むしろ新次郎くんの方が強い。
あたしも正体をなくしている大神さんを起こそうと、彼の後ろに回ってその背中をさすった。

「大神さん、起きて下さい。そんな格好じゃ風邪ひいちゃう……」

暑いから浴衣だけで丹前は着ていない。
その浴衣ははだけてしまい、胸やお腹が出てしまっている。
あたしは大神さんの下着を見ないようにしながら、その肩を揺すった。

「叔父さん、大丈夫ですか?」

新次郎くんがそう声を掛けるけれど、大神さんは眠そうに「ううん」と唸るだけだ。
新次郎くんはは苦笑した顔をあたしに向ける。
あたしは顔を逸らし、大神さんを揺すり起こそうとした。
このまま起きなければ、あたしはまた新次郎くんとふたりっきりになってしまう。
さすがに、いくら寝ているとはいえ大神さんがいるところで襲ってくるとは思えないけど、油断は出来なかった。
そのうち新次郎くんが諦めたように顔を振った。

「起きませんね……。しかたない、さくらさん、叔父さんを寝かせましょう」
「寝かせるって……どこに?」

新次郎くんが指差した先には、ちゃんと布団が三組敷いてあった。
泊まったのは二間続きの大きなお部屋で、襖で区切られていた。
どっちがどう寝るのか、あたしはずっと気になっていたんだ。
大神さんとあたしが同じ部屋で新次郎くんが隣の間になるのか、それとも大神さんと新次郎くんの男同士と女のあたしに別れるのか。
でも、食事が長引いたからなのか、仲居さんたちは隣の間にまとめてみっつ布団を敷いたようだった。

あたしの胸が高鳴る。
期待じゃなくて不安と恐怖。
どう寝るんだろう。
新次郎くんと隣り合って寝るなんて考えられない。

「さくらさん、すみません、手を貸してください」
「あ、はい」

新次郎くんが両わきに後ろから手を差し込んで、突っ伏していた大神さんを引き起こす。
あたしも慌てて手伝い、大神さんの両脚を抱えて持ち上げた。
上半身を新次郎くんに、下半身はあたしに持ち上げられ、お尻をずるずると引き摺るようにして大神さんを運んでいく。
大神さんを左端に寝かせようとしているのを見て、あたしはそれを止めた。

「あ……、こ、ここに寝かせましょう」

そう言って、真ん中の布団に大神さんを引き摺る。
新次郎くんはふたつ返事で了承し、大神さんを寝かせた。

考え過ぎだったかな。
いくら何でも、ここであたしに何かするなんて思ってないみたいだ。
あたしは、大神さんに掛け布団を掛けるとホッと息をついた。
後ろから新次郎くんがあたしを呼ぶ。

「すみませんでした、力仕事なんかさせてしまって……」
「あ、いいえ……。あ、あの、あたしたちももう休んだら……」
「まあ、まだいいじゃないですか」
「でも、もうあたしも飲めませんし……、あ、じゃお茶だけいっぱい飲んで……」
「いいから」
「あっ……」

新次郎くんはあたしの手を掴み、また元の間に引き摺っていく。
握られた手首が痛い。

「な……何するの、痛いわ……」
「……色っぽい顔だなあ、さくらさん。温泉とお酒でほんのり赤く染まった肌が綺麗ですよ」
「っ……!」

彼の目がけだもののそれになる。
あたしは「ひっ」と喉の奥で悲鳴を上げて後じさった。

まただ。
またこの子はあたしを弄ぼうとしている。
大神さんがそこにいるのにっ。
思わずあたしは言った。

「だ、だめ……今はだめよ、こ、こんなところでっ……」
「ふふ……、じゃあ、今じゃなきゃいいんですか? ここでなければ僕に抱かれると?」

そう。
あたしはあれから何度となく新次郎くんに犯された。
彼の部屋で処女を奪われ、二度目は楽屋で犯された後も、新次郎くんはあたしや彼のお部屋であたしの身体を貪った。

もちろん拒絶した。
いやだと言った。
しまいには、泣きながら何度も哀願した。
それでも彼は収まらず、淫らな欲望をあたしの身体にぶつけてきた。
どう頼んでも許してくれず、最後には大神さんや花組のみんなに新次郎くんとの関係をばらす、と脅された。

一度凌辱を受けただけならともかく、三度、四度と身体を許すことになってしまったことなど、絶対に知られたくなかった。
花組にいられなくなるのもいやだったし、大神さんに捨てられることが怖かった。
仕方なく……本当に仕方なく、彼の要求に応じてしまっていた。
それに味を占めたのか、新次郎くんはあたしが欲しくなると遠慮なくあたしを抱くようになっていた。

でも、こんなのだめ。
そこに大神さんがいるのに。
早くも新次郎くんは浴衣を脱ぎ捨てていた。
彼の……ぱ、ぱんつが見える。
いやだ。
もう新次郎くんのあれは……大きくなっていた。

恥ずかしくてとてもまともには見られず、あたしは顔を背けた。
新次郎くんはずんずんとあたしに歩み寄り、浴衣の襟に手を掛けた。
胸元が露わになり、ブラジャーに抑えられた乳房の谷間が見えてしまう。
あたしはハッとしてその手を振り払い、慌てて浴衣の裾を合わせた。
その襟を暴力的に新次郎くんがはだけさせる。

「だめっ……!」
「さくらさん、声が大きい。叔父さんが……」
「っ!」

ハッとして大神さんを見る。
大丈夫だ。
こっちに頭を向けて眠っている。
小さくいびきまで聞こえた。
ホッとする間もなく、新次郎くんがあたしを脱がせにかかった。

「だめ、だめよ、あっ……だめ!」

あたしは彼の手をもぎ取り、背中を丸めて胸を守った。
両手で襟の裾をしっかりと掴み、絶対に見せないよう身体を堅くさせた。
さすがにこの態勢では無理だと思ったのか、新次郎くんは案外あっさりと言った。

「……しようがないですね。どうしても抱かれたくないんですか?」
「い、いやっ。こ、ここじゃなくてもいやだけど、ここじゃ絶対にだめ!」
「今さら。もう僕の腕の中で何度も悩ましい声で……」
「やめて、言わないで!」

あたしはぶるぶると頭を何度も横に振った。
思い出したくもない、恥辱と屈辱の経験。
それをここで繰り返させるわけには絶対にいかなかった。
すると、新次郎くんはあたしの肩に手を置いてこう言った。

「さくらさんはどうしても抱かれたくないと言う。でも僕はどうしてもあなたとしたい」
「し、したいって、そんな……。いや! いやよ!」
「だったらこうしましょう。口でどうですか?」
「え……、口?」

あたしはきょとんとして彼を見る。
キスで許してくれる、ということだろうか。
もちろんキスだってだめに決まってる。
でも、ここで凌辱されることを思えば、キスで済むならそれに越したことはない。

でも。
あたしはぞくりとする。
新次郎くんのキスはすごい。大神さんの優しい接吻とは全然違う。
乱暴で強引。
まるであたしの口の中を犯すような勢いで、あたしの唇を吸い、舌を貪る。

でも、その感覚があたしはだんだんと忘れられなくなってきていた。
新次郎くんの乱暴なキスの洗礼を受けると、いつの間にか身体の力が抜け、顔つきまでとろんとしてきてしまう。
隙だらけになってしまう。

でも、ここは受け入れるしかない。
大神さんの前で犯されるわけにはいかない。

「えっ……!?」

あたしはびっくりした。
新次郎くんはあたしの前に立って、何とぱんつを下ろしてしまったのだ。
窮屈な下着からぽろんと零れるように、彼の……大きなものがあたしに突き出される。
先からはいやらしい匂いを出して、ねっとりとした透明な粘液がもう滴っていた。

「み、見たくないっ……そんなの見たくありませんっ」
「見るだけじゃ困りますよ。これからさくらさんにこいつを……口で可愛がってもらうんですから」
「く……口でって……そんな……そんなこと……」

唖然とするあたしに新次郎くんが冷たい声で言った。

「できない、とでも言うんですか」
「あ、当たり前ですっ……誰がそんな……は、はしたないっ……」

知らなかったわけじゃない。
男女の睦み事に、そういうのもあるというのは聞いたことがあった。
でも、まさか自分がするとは思えなかったし(将来、大神さんに言われたら……やったかも知れないけど)、こんな時に要求されるなんて思いもしなかった。

「僕はこいつをどうにかしなくちゃ寝られませんよ」

と言って、新次郎くんはアレを手にもってぶらぶらして見せた。
あたしは首が痛いくらいに曲げて顔を背けたままだ。

「どうしても出来ないというなら仕方ない」
「あ、ま、待って! こ、ここじゃ……」

新次郎くんがあたしを押し倒そうとする。
彼の言葉は脅しなんかじゃない。
今までのことで、それは痛いほどよくわかっている。
ああ、どうすればいいの?

こんなところで抱かれるわけにはいかない。
あんなものを口に入れるなんてことも出来っこない。
でも、このままじゃ大神さんの前で辱められるのは間違いない。
あたしは短い時間の中で必死に考えた。

けど、どうにもならなかった。
ここで犯されるのよりはマシだ。
一度、その、しゃ、射精……させてしまえば、新次郎くんも収まるかも知れない。

「ほら、早く決めてください」
「あ、やあっ……そ、そんなの顔にくっつけないで!」

焦れた新次郎くんが、男の人のアレであたしのほっぺを突っついてくる。
もう充分に硬い。
先から出ているぬるぬるしたものが、あたしの顔に塗りつけられる。
むわっと凄い匂いがした。
男の人のいやらしい匂いだ。
頭の芯が痺れ、くらくらするような匂い。
あたしは新次郎くんの腰を押しやるようにして言った。

「わ、わかった、わかりましたっ。やります、やりますから……」
「それでいいんです。じゃ、言葉で言ってもらおうかな。おちんちんを……じゃ、つまらないな。チンポを舐めますと言って」
「やっ……、そんな……」

何てことを言わせるの。
あたしは羞恥でほっぺがカッと熱くなった。

「言いにくければペニスでもいいですよ」
「ぺ……ぺにすって……」
「知りませんか? これのことを外国語でペニスって言うんです」
「そんなこと知りたくありませんっ……」

新次郎くんは、あたしに淫らなことを言わせて悦んでいる。
そんな言葉をかけられるたびに、あたしの身体が熱くなり、落ち着きがなくなっていく。

「ほら、言いなさい。チンポでもペニスでもいいから」
「……」

あまり時間は掛けられない。
いつ大神さんが目を覚ますからわからないから。
あたしは苦い薬でも飲み込むようにして、ようやく恥辱の言葉を吐いた。

「ぺ……ぺにすを……舐めます……」

あたしの言葉を聞いて、新次郎くんは満足げに頷いた。
そして、あたしの前で仁王立ちになる。
あたしの目の前には、隆々としたたくましいものが、あたしを脅すかのようにビクビクと蠢いていた。
でも、こんなの、どうすればいいのかわかんない。したことなんかないんだもの。
あたしがめそめそと戸惑っていると、新次郎くんもそれとなく覚ったらしく、やり方を説明してきた。

「……まずは舐めてください。そう、舌を伸ばしてね」
「……」

あまりの情けなさに泣きたくなった。
なんでこんなことをしなくちゃならないんだろう。
あたしは震えながら、そっと舌を出した。

「……!」

恐る恐る舌先でちょんと触れてみると、びっくりするくらい熱かった。
それに、舌先でもわかるくらいに硬い。
目を閉じていてはうまく出来そうにない。
仕方なく、あたしは目を開けると、想像以上に大きなものが正面にあった。

な……なんて大きいんだろ……。
こ、こんな凄いのが……こんなたくましいのが、あたしの中に入ったなんて信じられない。
あたしは新次郎くんに叱咤されながら、舌を伸ばしてちろちろとそれを舐め始めた。

まずい。
しょっぱいだけでなく、舌先がぴりぴりする刺激がある。
酸性の味だ。
震える舌で、新次郎くんのものを下から上へ舐め上げ、また舐め下げていった。

「……うん、悪くないですよ。不慣れな感じというのも、またいいですね」
「……」

いやらしい感想に、あたしの頬が羞恥で赤くなる。
新次郎くんの腰もたまにぶるっと震えた。
もしかして……気持ち良いのかしら。
あたしは匂いと味を我慢しながら、眉を顰めて嫌悪感と吐き気に堪え忍んだ。
しばらく舐め続けていると、だんだんと感覚が麻痺してくる。
舌が疲れ、動きが鈍くなってくると、新次郎くんが言った。

「舐めるのはその辺でいいですよ。今度は口を大きく開けて、僕のものを飲み込むんです」
「……」

やっぱりそうなんだ。もう断ることも出来ず、あたしは言われるままに唇を大きく開けて、火のように熱く装甲のように硬くなっているそれをゆっくりと口の中に含んでいく。
お、大きいっ。
唇が切れちゃいそう。
新次郎くんは少し興奮気味で、全部あたしの中に入れようと腰を揺すってくる。
先が喉に当たり、あたしは思わず彼の腰を押しやった。

「ぐうっ……」

新次郎くんの手があたしの後頭部を押さえていたから逃げることは出来なかったが、喉奥に入り込むのは防げた。
それにしても酷い匂いだった。
それが直接鼻腔に流れ込んでくるし、太いのが舌の上を滑って奥に行こうとしてくる。
こみ上げてくる吐き気を堪えるので精一杯だ。
ゆっくりと動き始める新次郎くんの腰を押さえながら、あたしは唇でそれを擦る。
おずおずと舌も使ってみる。

「うんっ……ぐっ……んんっ……うんっ……」

突き入れられると苦しくて呻き声が洩れる。
もう、こうなってしまってはどうしようもない。
早く終わってくれるのを祈るしかなかった。
あたしは、半ば捨て鉢になったように顔を振り、硬くて太いそれを必死に吸い上げ、舐めていった。

「その調子ですよ、さくらさん。なかなか覚えが良い。やっぱりあなたは素質がありますよ」
「んっ……ぐうっ……」

そんなこと言われても、ちっとも嬉しくない。
むしろ恥ずかしく、泣きたくなってくる。
鼻で息は出来るけど、口の中いっぱいに咥えているから息苦しい。
もう舌も顎も疲れてきた。
でも、やらなくちゃいけない。

あたしは懸命に新次郎くんのものを口で愛撫する。
多分、今のあたしの顔は苦しそうで辛そうに見えると思う。
なのに新次郎くんは、煽り立てるように腰を使い、あたしの顔を手で押さえてゆっくりと回転させるようなことまでしてくる。

なんだかおかしい。
あたしまで……あたしまで少し胸がどきどきしてきた。
興奮してるの?
恋人の甥──弟のように思っていた年少の子に、されるがままになっている。
そう思うと、なぜかあたしの中が燃えるように熱くなっていく。
腰が、腰の奥がだんだんと熱を持ってきた。
いつしかあたしも、この淫らな行為に熱中してきて、舌でねぶり、ほっぺをへこませて吸い上げ、新次郎くんに快楽を送り込もうしていた。

「ん……ん……んん〜っ……んくっ……ふんっ……ううん……うんっ……ぐうっ……んじゅっ……んくう……んむ……」

口いっぱいに彼のものをくわえ込まされ、あたしはロクに声も出せない。
裂けそうな唇の端に出来た僅かな隙間から、唾液がつうっと落ちていくのがわかる。
ほとんど無意識のうちに頭を前後に動かし、顔を揺さぶる。
なぜこんなことに一生懸命になっているのか、自分でもわからなかった。

新次郎くんの動きが忙しなくなってきている。
脚をもじもじさせているし、腰がぶるっと震えることがある。
あたしの頭を押さえている手に力が入り、髪が絡んだ指を立てたりしている。
あたしの顔の動きに合わせて腰を振ってきた。

「ううっ……さくらさん、あなた最高ですよ。初めてとは思えない」

恥ずかしいことを言われ、あたしの頭がカッと熱くなる。
こんなことで褒められてもちっとも嬉しくないのに高揚感がすごい。
あたしまで腿をもじもじとすり合わせてしまう。

「んっ……くそ、情けないな。も、もういきそうだ」
「んむっ……うんっ……んむ……じゅっ……んんんっ」

もう一息だ。
あたしは遮二無二それをしゃぶり、愛撫を加えていく。
新次郎くんの匂いと味で、すっかり神経まで冒された気がした。
新次郎くんがあたしの後頭部を押さえ込み、自分の腰に押しつけたまま腰を思い切り突き込んでくる。
喉の奥にまで届いてしまい、吐き気と惨めさで涙が滲んできた。

「くうっ……もうだめだ、出るっ……出しますよ、さくらさんっ」
「んんっ……」
「の、飲んで! 僕の出したのは飲んでくださいっ」
「っ……!」

出したものって……もしかして精液?
新次郎くんが射精したものを飲めというの!?

「んんんっ……!」

口から吐き出そうとするものの、新次郎くんの力の方が全然強い。
顔は腰に押しつけられたままで、とてもアレを口から出すなんで無理。
あたしは必死に顔を振り拒絶の意志を見せたつもりだったけど、新次郎くんはまるで無視。
というより、この子は出したくてたまらなくなってるんだ。

何とか最悪の事態から逃げようと、あたしは舌で新次郎くんの……ぺ、ぺにすを押しやって口から出そうとした。
けど、あたしの舌の感触が強い快感になったみたいで、新次郎くんはあたしの頭に指を立てて唸り声を上げ、腰を大きく振った。

「くうっ、出る!」
「んんんっ!?」

おちんちんの頭の方を押さえていたあたしの舌を弾き飛ばすように、新次郎くんの精液が噴き出した。
その瞬間、あたしは大きく目を見開いた。
慌てて顔を離そうと、新次郎くんの腰を押しやり、拳でドンドンと彼の脚を打ち付ける。
新次郎くんはビクともせず、大きな声であたしに命じる。

「口から出しちゃだめだ! 飲むんだ、全部!」
「んんっ……んうっ……ぐうっ……」

舌というより口の中全体に、新次郎くんの匂いがする液体が撒き散らされていく。
匂いがきついだけでなく、どろどろとした不快な粘液があたしの咥内を穢している。
たちまちあたしの口は新次郎くんの吐き出したものでいっぱいになる。

「んっ……んぶっ……んく……んくっ……ごくっ……」

どうにもならず、あたしは嚥下した。
酷い味と匂いの液体が舌の上を滑り、喉の奥に当たり、胃の中に下っていく。
新次郎くんは両手であたしの両頬を押さえ込んだまま、なおも腰を振っていた。
あたしは、脈打っている新次郎くんのものを咥えたまま、熱い粘液を必死になって飲み下していた。
これ以上ない屈辱と汚辱感、そして喉と鼻腔を襲う不快極まりない感覚。
あたしは目が眩み、そのまま気死しそうになる。

「ぷあっ……」

あたしは何とか彼を押しこくり、それを口から吐き出した。
猛烈な吐き気に襲われ、あたしは両手で口を覆った。
その手と唇の隙間から、飲みきれなかった多すぎる精液がぼたぼたと垂れ落ちる。

「ぐふっ……ぐっ……ごほっ……」

苦しい。
喉に精液がへばりついたみたいで、うまく呼吸が出来ない。
鼻で吸うとあの匂いに頭がやられる。
口で息をすると、中に残った精液まで飲んでしまい、吐き気で嘔吐き上げてしまう。
新次郎くんの射精はまだ終わってなかったらしく、粘った液体があたしの髪や肩、顔にも少しかかった。

「……全部飲んでと言ったのに吐き出しましたね」

射精を終えた新次郎くんはそう言った。
そんなこと言っても、無理なものは無理。
だいたい飲むものではないんだし、あんなに出るなんて思いもしなかった。

「あ……、何を……」

新次郎くんはあたしの肩を押して畳に転がした。
見ると、彼はまた自分のものを手でしごいて大きくさせている。

「っ……!」

それは、あっという間にそそり立ち、元通りに大きくなってきた。
手でしているからというよりも、あたしを……あたしの身体を見て興奮しているらしい。
彼の息遣いが荒くなってくる。
あたしは咄嗟に身を起こし、後じさった。

「や……、だめ! そ、それ、しないって言ったのに……」
「そんなこと一言も言ってませんよ。それに、飲んでという約束を守れなかったのはさくらさんの方だ」
「そんな……、こ、こんなことしておいて……ひどすぎるわ、新次郎くん……」

あたしは、なよなよと畳に手を突き、足を崩してすすり泣いた。
そのあたしに新次郎くんがのしかかった。
ふたりとも裸だ。
何をされるのか、誰でもわかる。

「や、やだ……だめ、これ以上は……」

あたしはそう言って彼の胸を押し返そうとするものの、ちっとも力が入らない。
おかしい。
腕も腰も脚も完全に萎えてしまっていた。
それに気づいたのか、新次郎くんが言った。

「あれ? もしかして、さくらさんもいっちゃったのかな?」
「え……、い、いったって……」
「そんなことも知らないですか? 「いく」って意味わかりません?」
「……」

知っている。
した時に気持ち良くなって、最後にはその頂点にいくって意味。
実感はない。
たまに自分で慰めた時に、きゅーんとあそこが絞まる感じで気持ち良くなって、意識が飛びそうになることがある。
多分、あの時のことだと思う。
でも、そんな……。

あたしはまだ何もされてない。
新次郎くんのアレを口でしてあげただけなのに、あたしまで……いってしまったのかしら。

「言い方は色々ですけどね。「気をやる」って言い方、知りませんか? 「絶頂した」とか、単に「達してしまう」とか。外国語ではアクメとかオーガズムとかありますね」

意味はわからないけど、恥ずかしい言葉だということはわかる。
恥辱的な言葉を言われるたびに、あたしの中がどんどん熱くなる。
なおも新次郎くんが言う。

「今度さくらさんがそうなったら、ちゃんと「いく」って言って欲しいなあ。いきそうになったら「いきそう」とか「いっていいですか」って聞いて欲しいし」
「そっ……そんな恥ずかしいこといやですっ。だ、だいたい、あたしは気持ち良くなんか……」
「ないって言うんですか? ふふ、強情だなあ、自分でも気づいてくるくせに」
「な……何がですか……」
「ほら、ここ」
「あっ、触らないで!」

新次郎くんはあたしの股間に手を伸ばし、指でそこに触れる。

「こんなに濡れてるじゃないですか。僕のペニスをしゃぶってるうちに感じていたんでしょう? それとも、口の中に出されて飲まされたからいっちゃったのかな?」
「いやっ……」

あたしを蔑み、辱める言葉を投げつけ、新次郎くんも興奮してきている。
彼の、その……ぺ、ぺにすがググッとまた大きくなった。

「や、やだ、やめて……」

彼のものがあたしの脚に触れる。
熱い。
硬くなってる。
もうビクビクと痙攣していた。
それに当てられるように、あたしの鼓動もどきどきと激しく打っている。

「はあっ……あっ!」

新次郎くんの顔が左の胸にかぶさる。
左手がゆっくりと右のおっぱいを揉んだ。
乳首が彼の唇に吸われ、舌先が転がされる。
途端に乳首がぷくんと起き上がって、恥ずかしい姿を現してしまう。
そして、あたしの腕を上に引き延ばすと、腋の下まで舐めてきた。
そんなところまで見られ、舐められると思うと恥ずかしくてたまらない。
なのに、新次郎くんの長い舌がそこを丁寧に舐め上げると、くすぐったさとともにゾクゾクするような背徳的な快感が突き抜け、あたしは大きく口を開けて喘いでしまう。

「ああっ!」
「しっ、静かに、さくらさん。叔父さんに……」

すぐに新次郎くんの手が伸び、喘ぐあたしの口を塞いだ。
あたしは恥ずかしい声を出さないよう、必死になって堪えたが、新次郎くんの繰り出す優しい愛撫に耐えきれず、裸身をもじもじさせながら熱い吐息を漏らし続ける。
たっぷりと乳房を愛撫してから、新次郎くんの顔がだんだんと下に下がっていく。
舌を伸ばし、胸、あばらの上、お腹、脇腹、腰骨のあたりまで、じっくりと肌を舐めてくる。
敏感なところに舌が這うたびに、あたしは呻きを噛み殺しつつ、「んんっ」と籠もった声を漏らす。
そして新次郎くんの顔が、とうとう恐れていたところまで到達する。

「あっ、だめ!」

あたしは股間にまで来た新次郎くんの頭を押したけど、ビクとも動かない。

「ああっ!」

いけないと思いつつも、あたしは大きな声を上げる。
彼の舌があたしの感じやすいところを舐めてきた。
新次郎くんが顔を上げて言う。

「誰でもここは感じやすいんですよね。さくらさん、ここ何て呼ぶか知ってます?」
「しっ、知らない……もうやめて……」
「クリトリスって言うんですよ」
「く……くり、とりす……」
「そう。次からは自分でねだってくださいね、クリトリス舐めてって」
「い、いや……んんっ!」

また新次郎くんの熱い舌があたしの……あたしの、く、くりとりすをなぞり上げるように舐めている。
身体の芯が蕩けてしまいそうな快感。甘いというより鋭い痺れがズーンと子宮にまで届く気がした。
自分でも、そこが恥ずかしいくらい反応して膨らんでいるのがわかってしまう。
両手で口を押さえ、声を出さないように我慢してるけど、身体はさっきから身悶えしっぱなしで止まらない。

「んくうっ!」

あたしはギクンと腰を持ち上げ、跳ねさせた。
新次郎くんがクリトリスを唇で咥えて強く吸ったからだ。

責められているのはそこだけじゃない。
新次郎くんの手はあたしの上半身に伸びて、盛んにおっぱいを揉みしだいていた。
繊細な動きの指先が乳首を嬲る。
乳輪をなぞるように這い、ぴくぴくしている乳首の根元をきゅっと抓る。
やわやわと乳房全体を揉みながら、ピンと乳首を弾いたりする。

「あうっ……!」

鋭い官能の刺激に、あたしの腰が勝手に跳ね上がって新次郎くんの顔に押しつけられる。
あああ、だめだめ。
それ以上されたら、あたしは……。

あ、あ、何か来るっ。
すごいのが来る感じがする。
新次郎くんは蠢くあたしの股間に顔をくっつけて、舌をべろりと大きく使ってあそこ全体をひと舐めした。

「いっ! あああっ……」

ガクンガクンと二度ほど腰が跳ね、がっくりとお尻が座布団の上に落ちた。
あそこが熱い。
ジンジンしてたまらない。新次郎くんはそこを指でいびりながら言った。

「すごい濡れましたね。少し飛び出てきましたよ」
「あ……はあ……はあ……ああ……」
「いったみたいですね。そうなんでしょう?」

いった……のかも知れない。
あの「何か来る」感覚が「いきそうになってる」ことなんだろう。
恥ずかしいけれど、焦れったく、何とかして欲しい感覚。そしてそれが一気に解消され、ぱあっと前が開けて頭が白くなるような感じ。

そうか、これが「気をやった」ってことなんだ。
自分でした時とは全然違う。
あれも気持ち良い感じはしたけど、こんなに強烈じゃなかった。
男の人にしてもらうと、こんなになるんだ。

そんなことをぼんやりと考えていると、新次郎くんはあたしの腰に手をやり、そのままくるりとひっくり返した。
新次郎くんに背中を向け、お尻を見せる格好だ。
とっても恥ずかしい。
胸や前を見られるのも恥ずかしいけど、お尻を見られるのもたまらない羞恥になっている。
あたしは、胸よりもお尻の方が大きい気がしている。
だから余計に恥ずかしかった。

「あ、いや……」

さらに腰のくびれたところを両手でがっしりと掴まれて、そのまま引き起こされた。
膝立ちの姿勢で、彼に思い切りお尻を突き出した格好。
この上なく恥ずかしかった。
でも、あたしはいかされてしまった痺れとショックで、足腰にまったく力が入らなかった。
むずかったものの、ほとんど抵抗になってない。

「ひっ……」

新次郎くんは背中に覆い被さったかと思うと、今度は背筋を唇と舌で愛撫してきた。
それだけではない。
指の爪の先を使い、優しくくすぐるようにさーっと上から下へ、下から上へと撫でていく。
そして、さっき見つけられた敏感なところ──腋もキスされ、舌で愛撫された。
脇腹や背中の窪んだラインを舌ですーっと舐められると、ゾクゾクするような快感が痺れとなって頭と股間を直撃した。

じわっと股間の奥が濡れてくるのがわかる。
どうしようもなかった。
こんなところまで感じるなんて……。
すっと背中や腋の下、脇腹から刺激が遠のいたと思ったら、腰を掴み上げられ、ぐいっと後ろに引っ張られた。
まるで新次郎くんに捧げるかのように、お尻がぐぐっと高く引き上げられた。

「あっ……」

濡れているあそこに熱いものが押し当てられる。
これって新次郎くんの……。

「あ、いやよ、もう……許して、お願い……」
「許すも何も、さくらさんだって中途半端でしょうに、こんなに濡れてて」
「ああ……」
「ここに僕のペニスを突っ込んでもらわないと収まらないでしょう?」
「そ、そんなこと言わないで……」

淫らな言葉を掛けられ、あたしの中のあさましい欲望が刺激されていく。
あそこがジンジンしてたまらない。
彼の愛撫で身体中に火が着けられたみたいだ。
もし、ここでやめられたら、あたしは自分でしなければ収まらない気がしてきた。

あたしは……あたしは新次郎くんに「して」もらいたいの?
新次郎くんは面白がるように、あたしのそこをアレの先でつっつてくる。

「やっ、やめて……」
「ほらほら、ここですよ。ここに入れて欲しいんでしょう? ここ、何て言うんですか?」
「え……」
「ここですよ、ここ」
「やっ……」

そんなこと絶対に言えない。
言っちゃいけない言葉。あたしはそんな恥知らずじゃない。

「膣……でもいいけど、やっぱオマンコって言って欲しいな」
「そっ、そんなこと言っちゃいけませんっ」

あたしの顔が羞恥で真っ赤になる。

「言って下さいよ、さくらさん、オマンコって」
「い、いやよ、そんな恥ずかしいっ……」
「言わなきゃこのまま犯しますよ。叔父さんの前で」
「そんなっ……」

あたしは我に返る。
そうだ、大神さんが隣のお部屋──というか、開けっ放しの襖の向こうで寝ているんだ。
そこで嬲られるなんて信じられない。
ここでこのまま辱められたら……あたしは死にたいほどの恥辱とともに、子宮の奥がズンと熱くなるのを感じていた。

「い、言えない、言えません……」
「じゃあ仕方ない、入れますよ」
「あっ」

先があたしの割れ目に食い込んできたっ。
迷っているヒマはない。
あたしは小さく叫ぶように恥辱の言葉を吐いた。

「おっ……オマンコ! オマンコです、ああ……だから、もうやめて……」
「ふふ、よく言えました。じゃあ、これからさくらさんと僕は何をしようとしてるのかな?」
「そ、それは……」
「セックスでしょ、セックス。はい、言って」
「ああ……」

あたしはもう身体も理性も麻痺してきている。
身体の方は、快感だけは鋭敏なほどに受け止めているけど、抗おうという力は出て来ない。
理性は官能に覆われてしまって、もうほとんど彼の言いなりになってしまっていた。

「せ……」
「セックス」
「せっ……くす……」
「もう一度」
「セックス……です……ああ……」
「あはは、その恥ずかしそうな顔がとても素敵ですよ。じゃあご褒美だ」
「えっ……!?」



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