新次郎は隠し持っていた細い木綿のロープを二本に束ね、ピンと張った。
身を翻して逃げようとするさくらの後ろから、両手に持ったロープをその細い首に
掛けると、あっというまに二回も巻き付けた。
さくらのポニーテールにした髪が邪魔をするかと思ったが、身を弾ませていたせい
か、ちょうどポニーテールが宙を舞ったところをうまく捉えることが出来た。
「あぐっ!」
首に掛かったロープに驚き、慌ててさくらが両手を首に持っていた時には、新次郎
がさらに二巻きされていた。
二重のロープを四回巻きつけ、都合8本のロープがさくらの首に巻き付いている。
両手の細い指が賢明にロープと首の間に潜り込んで隙間を作るが、とても8本もの
ロープには対応できない。
新次郎は落ち着いて巻き付けたロープを引き絞り、さくらをごろんと転がした。
あまり強く絞めないよう、慎重に加減はしている。
「く、るしい……や、めて……」
苦悶した美貌を晒し、さくらがもがいている。
苦しそうではあるが、声が出るということは呼吸が出来るということだ。
死ぬようなことはない。
あまりのことにショックを受け、動転しているだけだろう。
「あう!」
新次郎は、腰が抜けたように座り込んで首のロープを外そうとしているさくらの
背中を押しこくり、前のめりの格好に突き倒した。
慌てて暴れるさくらの背中に馬乗りになった新次郎は、彼女の右腕を背中にねじり
上げると、ポケットからもう一本の木綿ロープを取り出し、手首に巻いていく。
そうしておいてから、左手もねじ曲げてひとまとめにし、両手首を後ろ手縛りにして
しまった。
その間に、さくらが暴れたせいで首に巻かれたロープが緩んだが、もうそっちは用
済みである。
今度はハンカチを取り出し、くるくると巻いて一本の紐のようにしてからさくらに
猿ぐつわを噛ませていく。
「んんっ、んぐっ……!」
呻くさくらを見ながら、新次郎は首に巻いたロープを全部外してやった。
加減したつもりだったが、さくらの白い首筋にいくつも薄赤くロープの跡が残っ
ている。
ここまですれば大丈夫だと思ったのか、新次郎は改めてさくらに宣言した。
「さくらさん……」
「んぐっ……むむっ……!」
「さくらさん、聞いてください」
「……」
今さら何を言うのかと、さくらは首を回して振り返った。
新次郎が背中に跨り、両手を縛ったロープを手綱のように持っている。
「さっきも言いましたけど、僕はあなたをものにする」
「……」
「本当は……」
そこで新次郎は僅かに顔を伏せた。
「本当はこんなことをするつもりはなかったんです。でも、こうでもしないとさくら
さんは僕に抱かれてくれないでしょう?」
当たり前である。
私はあなたではなく、大神一郎の恋人なのだ。
そう言いたかったが、ハンカチで塞がれた口からはくぐもった呻き声しか出てこない。
しかし、さくらの表情から新次郎も何となく察したらしい。
「そう、叔父さんの恋人なんですよね、さくらさんは」
「……」
「でも、僕もあなたが好きなんだ。好きで好きでどうしようもないんです。ひとめ
あなたを見た時からずっと」
「……」
「僕は叔父さんも好きだ、尊敬している。あんな人になりたいと思う。そしたら、
あなたみたいな素敵な人とつきあえる。そうも思った。でもね……」
さくらは潤んだ瞳で乱暴を働く青年を見つめている。
「他の誰かじゃだめなんです、あなたじゃないと。さくらさんを奪うことによって、
僕は……僕は初めて叔父さんを……」
そこまで言うと、吹っ切るように新次郎は何度か首を振った。
そして首に巻いていたロープをしごき、さくらのほっそりした右の足首に巻き付け
ていった。
完全に動きを封じられると気づき、さくらはまた暴れ出した。
新次郎は暴れるさくらの左足を抱えつつ、難なく右足を拘束した。
縛ったロープはベッドの脚に繋いだ。
そこまでされるとさくらも諦めたのか、それとも大暴れして疲れたのか、急に全身
の力を抜いた。
新次郎は前に回り、さくらの脇に手を入れて引き起こし、座らせた。
さくらは怒りというより、悲しそうな顔で新次郎を見ている。
その柔らかそうな頬をちょんと指先で突っつくと、びくっと反応して顔を背けた。
柔らかい頬や小さく可愛らしい耳たぶを撫で回して、さくらの肌のきめの細かさを
愉しんだ。
さくらは顔を振りたくり、その愛撫を拒んだものの、今度は青年の手が身体に伸びて
きたので悲鳴を上げた。
和服の上から触ってみたが、やはりあまりその肉体を感じることは出来ない。
和服の下には襦袢を着込んでいるのだろう。
仕方なく、襟元から手を突っ込み、胸をさすってみる。
さすがにさくらは顔を赤くして身体をよじらせ、抵抗した。
新次郎は後ろから抱え込み、その動きを許さない。
むしろ蠢くさくらの背中がぴったりと胸にくっつき、彼女の温かい体温が感じる
ことができた。
割と堅く締まっていたが、硬い襟を押しのけて手を入れていく。
襦袢の下にまで潜り込ませると、胸に着けているらしい下着に到達した。
ブラジャーというやつだろう。
まだ地方で着けている娘はほとんどいないが、ここ帝都東京ではぼちぼちこれを愛用
する女性も多いらしい。
新次郎はブラの上からぐりぐりと胸を押し込んだり、指を拡げて鷲掴みにしたりして
その感触を愉しんだ。
さくらの顔を窺ってみると、綺麗な眉をひそめ、猿ぐつわされているハンカチを
ぎゅっと噛みしめて顔を背けている。
自由を奪われ、着衣のまま身体を嬲られる恥辱と屈辱に耐えているその美貌はぞく
ぞくするほど色っぽかった。
「んんっ……んん〜〜っっ!」
さくらは「やめて、やめて」とでも言うように呻き、顔を振った。
新次郎の手が袴にかかったのだ。
美女の懇願を見ながら、新次郎は袴の裾を掴むと、思い切りぐいっと腰の方へまくり
上げた。
「んううっ!!」
さくらはくぐもった声で呻いて、自由な左足を縮込ませた。
ロングスカート並みに長い袴の裾は腰のあたりまでまくり上げられ、見事な形状と
白さを湛えたさくらの美脚をさらけ出していた。
もちろんストッキングなど着用していない。
下着も腰巻きではなく真っ白のパンティである。
新次郎は、剥き出しになった太腿を撫で回した。
食堂で触った時は、周囲の目もあったし、見えないテーブルの下だったから、思う
ように触れなかった。
今はこうして自在に触れ、しかも見ることが出来る。
「んっ、んんっ」
いやいやと首を振り、身を捩るさくらだったが、右足は縛られ、動く左足も新次郎
に押さえられては、自由にされるしかなかった。
新次郎は、そのむっちりとした肉感を手のひらで吸い取るように愉しんだ。
淫靡な手は、次第に腿を這い上がり、小さな布地で隠された秘部へと進んでいく。
それと覚ったさくらは、なお一層に身をうねらせた。
新次郎の指は、薄い布と肌の間に潜り込んでパンティの中へと侵入していった。
さくらは身体をひねり、激しく脚を暴れさせるが、新次郎がその脚をひょいと抱えて
しまった。
こうなると、悶えることは出来るが逃げることはできない。
「っ!? むううっ!」
新次郎の指が恥毛の繁みの中に到達すると、さくらはひときわ大きく呻いて首を
振りたくった。
新次郎はその手触りの良さに驚いていた。
柔らかいのである。
興奮極まった彼は、薄いパンティを一気に引き裂いた。
「っ!!」
さくらは声もなく叫んだが、頼りない下着は「ピッ」と高い断末魔を残すと、簡単に
破かれていた。
中にあったのは、息を飲むほどの綺麗な生え際を持った陰毛だった。
黒髪のさくらにふさわしく毛は黒々としていたが、決して多すぎる印象はない。
量は多そうなのに手触りでわかった通り、毛並みが実にしなやかなのだ。
もちろんまだ濡れてなどいないが、さりさりした乾いた感じではなく、手入れでも
しているのか思うようにしっとりとした感じだ。
「さくらさん……、綺麗ですよ。さくらさんくらいの美人だと、こっちの毛もこんな
に綺麗なんですね」
「んんっ、んんっ」
恥ずかしいこと言わないで、とでも言っているのか、頬を赤く染めて顔を背けている。
顔を背けたさくらの首筋の白さが目についた新次郎は、今度は上半身を見たくなった。
下半身ばかりに神経が行き、肌を男に見られる羞恥に耐えていたさくらは、上半身が
完全に無防備になっている。
新次郎はそんなさくらの和服の襟を掴むと、そのまま一気に引き下ろした。
「!!」
上着だけでなく襦袢までまとめて引き下ろされ、肩が剥き出しにされて、さくらは
びっくりしたように新次郎に向き直った。
「んっ!」
慌てて抵抗しようと身体を揺すったが、手首に強い痛みが走り、びくりとして動き
を止めた。
新次郎がさくらの腹の上に尻を乗せたのである。
柔らかい腹部を男の体重で押しつぶされる苦しさと、後ろ手に縛られた手首に新次郎
とさくらふたり分の体重がかかっている。
その重さで手首にロープが食い込む痛さと、重ねられた手首同士の骨が当たる痛さで、
さくらは苦しげに呻き、何とか手首を楽な位置にしようともがいている。
新次郎の方も、全体重をかけているわけではなく、しゃがむような格好でちゃんと
コントロールしていた。
それでもさくらを苦しめるには充分な重みであり、その苦痛で抵抗感がだいぶ薄れた
ようである。
今では、痛みから逃れようとする小さな動きを示すのみだ。
「凄いや……。本当に色白なんですね、さくらさん」
大きく左右をはだけられた和服は二の腕あたりまで引き下げられていて、丸みを帯び
た白い肩が、艶々した肌を露出している。
背けられた顔は、恥辱のせいで頬に赤みが差しているのだが、それと対照的なほどに
肩や胸付近の素肌は白かった。さくらがもがくたびに、ブラジャーに覆われた胸が
たゆっている。
その動きに魅せられた新次郎は、ためらいもなくそれを引き千切っていた。
「んううっ!」
ブラはストラップが千切れ、呆気ないほど簡単にむしり取られていた。
そこから、ふくよかで瑞々しい乳房がぶるんと飛び出してきた。
「……」
新次郎は声もなくさくらの乳房を見やり、感嘆した。
仰向けになっているせいで幾分平べったくはなっているが、それでも充分にまろや
かな白い肉塊が見事だった。
和服の上からは想像もつかぬくらいに美しく、張りのある乳房だった。
むっちりとした重量感に富んだ弾力を持ち、見るからにすべすべしていそうななめ
らかな肌。
乳房の頂点に位置している乳首は小さめで、そこを覆う乳輪もごく薄いピンク色だ。
それがまたさくらの清純さと爽やかな色気を醸し出している。
さくらのヌードは風呂場で何度か覗いたが、いずれも後ろ姿ばかりで、大きなヒップ
だけは鑑賞できたが、胸をこうしてまともに見るのは初めてだった。
もともとさくらはスリムな方で、2年前に大神に抱かれる以前は小振りな感じの胸
だった。
20歳を過ぎ、女性として成長してきたせいか、それとも男を知って、その愛撫を
受けてきたお陰なのか、ここ2年でめざましいほどに発育した乳房であった。
「……」
新次郎の股間は、もう限界にきていた。
スラックスの前を押し返すほどに硬く膨れあがり、今にもチャックが壊れそうである。
彼は一度さくらの腹から膝立ちになり、ジッパーを下げた。
すると、ブリーフを押しのけて、ぶるんと勃起したペニスが露出してきた。
「……!!」
さくらの目にそれが入り、今度こそさくらは恐怖で絶叫した。
「んんっ……んんううっっ!!」
言葉にならぬ悲鳴を上げ、狂ったように暴れる。
両手を後ろ手縛りにされ、右足を引き延ばされて縛られた不自由な身体を揺すった
が、どうにもならなかった。
それでも抗わずにはいられない。
暴力を持って犯されるのは初めてである。
そもそも大神以外の男に肌を許したことはない。
その大神したところで、戯れでも犯すようなマネはしたことがなかったのである。
さくらにとって男女の交接とは、優しく慈しみあい、愛し合うことに他ならなかった。
こうした暴力的なセックス、強姦など思いも寄らない。
どちらかというと古風な──純日本的思考を持ったさくらである。
貞操観念は強かった。
将来を誓い合った相手──大神一郎以外に、その身を任せるなどあり得なかった。
しかも、彼女の貞操を奪おうとしている相手は、その最愛の男の血縁者であり、
さくら自身も好感を持っていた男だ。
さくらの常識や想定から遥かに外れる現実に大きく動揺するのだった。
「んっ……!」
いきなり犯されるかと身を縮めさせていたさくらだったが、新次郎は性急に貫く
ようなことはせず、逸る気持ちを抑えて、女体の上に覆い被さっていった。
下半身同士が擦れ合い、時折、熱い肉棒が腰や腿に当たると、さくらは「ひっ」と
喉で呻いて強くもがいた。
新次郎の方は、そんなさくらの両の乳房を両手でそれぞれ掴み、上下から挟むように
持った指でぎゅっと絞り上げる。
信じられないような柔らかさと、充実した弾力を併せ持った肉塊の感触が、彼の
手指にはっきりと伝わってくる。
透き通るような白く薄い肌は、絞ることによって青くて細い静脈が透けて見える。
新次郎は、絞り出してぷくんと飛び出した乳輪の中で、ややしぼんだようになって
いる乳首をそっと口に含み、舌先でちろちろと舐めてやった。
「くっ……」
その瞬間、さくらの身体がびっくりしたように新次郎の下でギクンと跳ねた。
事実、さくらは驚いていた。
乳首を舐められたことがないわけではない。
大神にもされているのだが、それとは比較にならぬような鋭い刺激がつんざいたのだ。
「んくっ! んうっ!」
思わず喉からくぐもった声を上げ、さくらはハッと気づいたように顔を染めた。
その感覚が、紛れもなく性的快感だとわかったからだ。
(こ、こんな……ウソよ、こんな……。恥ずかしいっ……)
新次郎は唇で軽く乳首を挟み、小さく顔を揺すってぷるぷると乳首を嬲った。
そのたびに強い性感が沸き起こり、腰の奥深いところを揺さぶるように、ジーンと
した甘い痺れが駆け抜けてくる。
さくらは「いや」という意思表示をするように、首を左右に振った。
すると、ほつれかかった黒髪が白い額や頬を払うように舞った。
きゅっと唇が引き締まり、猿ぐつわされたハンカチを強く噛みしめている。
「気持ちいいんですね、さくらさん」
「んんっ」
「違うんですか? じゃ確かめますよ」
「んん〜〜っ!」
そう言ってから、新次郎は少し悪戯っぽい笑みを浮かべて、もう一度さくらの胸を
愛撫し始めた。
指で括り出させた乳首を舌でちろちろと責め嬲りつつ、さくらの反応を確認する。
「んんっ!」
新次郎の舌が蠢くと、さくらの白い胸肉が大きく波打ち、後ろ手に回った両腕が
ぎくっと引き攣る。
自分の身体の下から伝わってくるさくら温もりと、生々しい反応が新次郎をより
昂ぶらせていく。
「んっ……、んむっ……んぐう!」
大きく柔らかく揉み上げられる甘い快感と、舌でぐっと乳首を押し込まれる鋭い刺激
を交互に与えられ、さくらはいやでも快楽を意識させられる。
顔見知りの男に嬲られ、快感を覚えさせられているという現実に、全身が恥ずかしさ
で火照ってきた。
(いやっ、こんな……。恥ずかしいっ……)
さくらの乳房は頼りない柔らかさから、徐々に充実した弾力を帯び始める。
同時に、縮こまるように堅かった乳首は、いつしかぷくんと膨れあがり、硬く尖って
きていた。
新次郎は、さくらの反応がだんだんと露わになってくるのを見て、今度は下半身に
矛先を向けた。
左手で乳房を愛撫しながら、右手は腰へと這い降りていく。
指先が陰部に届くと、さくらは慌てたように身を捩った。
「ふうん、まだ濡れてないみたいだね。ま、こんな状況じゃ当然ですか。でも心配
しないでください。すぐに濡れるようにしてあげます」
「んん〜〜っ!」
新次郎の顔がそこへ向かうのを見て、さくらは狂ったように頭を振りたくった。
新次郎は改めてその恥毛の手触りを愉しんでさくらに悲鳴を上げさせてから、その
指先を花芯の割れ目に這い進ませた。
肉襞に男の指を感じ、さくらは眦を決して暴れる。
だが、敏感な肉芽を指でぴぃんと弾かれると、その強烈な感覚に身をすくめるよう
にして悶えた。
さくらのそこ──クリトリスは清楚な乳首とは対照的に、さくらに似つかわしく
ないほどのサイズだった。
包皮にまだほとんど覆われてはいたが、ピンク色の可愛らしい先っちょがはみ出し
ている。
そこを指でさすったり弾いてやると、そのたびにさくらの肢体がぎくっとすくめる
ように痙攣した。
弾く力が強くて痛いのかも知れないが、感じているという可能性もあった。
そのクリトリスの根元のあたりを今度は舌でそろっとなぞってやると、今度は本当
に感じたのかビクンと身体が弾んだ。
やはりここだけはどんな女でも──どんな状況でも感じるらしい。
新次郎はそこに優しく唇をあてがい、つるっと口の中に含んだ。
反射するようにさくらの裸身がギクンと仰け反る。
そのまま舌先で優しく舐めつつ、唇でねぶるように挟み込むと、さくらの反応が
著しくなった。
(きゃあっ……、な、何なのこれは……だめっ、しないで……ああっ……)
さくらの胎内が鋭く反応し、官能の渦に囚われていく。
子宮までが収縮をはじめ、ジンジンとした甘い痺れが膣から背筋へ突き抜けていった。
まるで炎に炙られたかのように身体が芯から燃え上がり、それが腰全体へ広がって
いった。
ともすれば込み上げてくる官能への欲望を必死に押さえ込み、さくらは懸命に身体を
揺すった。
「んっ、んむっ……むううっ……!」
新次郎の舌と指が急所に触れるたびに、強い電流のような刺激が貫いてくる。
それに比例して、熱くなっている膣の奥底から、さらに熱い蜜が滲み出てくるのが
わかった。
(い、いやっ……、こんなの……。ああっ……濡れてきてしまう……)
さくら自身、自分が濡れやすいのはわかっている。
だが、まさかこんな状況下でそうあんるとは思いもしなかった。
それが新次郎に知れてしまうことが怖かった。
恥ずかしいということもあったが、自分が感じてしまっていると勘違いしないかと
いう恐れだ。
もちろん性的刺激に反応しているのは事実だが、さくらが悦んでいると思われては
身の置き場がない。
責めている新次郎もそれには気づいていた。
もしかしたらこの女は、人並み以上に鋭い性感を持っているのかも知れぬ。
そう感じた彼は、清純そうなルックスのさくらと似つかわしくないその現象にひどく
興奮し、なお一層にペニスが硬直してくるのだった。
本来ならもう少し愛液を分泌させ、膣内部とその入り口を充分に濡らすべきなの
だろうが、もう新次郎には我慢が出来なかった。
ようやくにしてさくらを自分のものにすることが出来るのだ。
それに時間もなかった。
大神と米田はいつ帰ってくるかわからないのだ。
今夜は戻らないかも知れないが、逆にもう帰ってくる可能性もある。
その前に「既成事実」は作ってしまうべきだ。
「……!?」
敏感な性感帯を責められる強制的な快感に身体が痺れていたさくらは、大事なところ
に熱いものがあてがわれて我に返った。
さくらの上にのしかかった新次郎は、片手でさくらの肩を押さえつつ、もう片方の
手でペニスをつまんでさくらの膣口を探し当てた。
「んんんっ!!」
こぼれ落ちそうなほどに大きく目を見開き、さくらは最後の力を振り絞ってもがいた。
それでも愛撫され緩みきった身体には思うように力が入らず、弱々しく身を捩るの
が精一杯だ。
新次郎の硬直した怒張が、さくらのそこを力尽くで突き破ろうとしてくる。
「んむうっ!」
その激痛にさくらは呻いた。
まだ潤いの足りないさくらの乾いた媚肉を、熱いペニスがぐいぐいとねじ込まれる
ように侵入してくる。
苦痛で呻くさくらを尻目に、新次郎は強引かつ慎重にそこを貫いていった。
「ぐうっ……!」
怒張を押し返さんばかりのきつさに逆らい、ようやく根元まで埋め込むと、ズシッ
とばかりにさくらへ衝撃が走った。
新次郎の硬い先っちょが奥の壁まで届き、そこに接触しているのがわかる。
奥の奥まで深々といっぱいに詰め込まれ、息が詰まりそうだ。
苦悶するさくらの表情を見ながら、新次郎はゆっくりと腰を使っていった。
さくらの抵抗が止んだので、肩を押さえていた手を背中に回し、抱きしめている。
すぐ目の下でさくらの清純そうな美貌が苦悶し、苦しげに埋めていているのを見る
と、新次郎はサディスティックな欲望をさらに膨らませていく。
「んむ!」
ぐいっと奥まで突き込むと、硬い心棒でも入っているかのような肉棒が子宮にまで
捻り込まれていく。
痛いのか苦しいのか、さっきまでの快感に戸惑っていた表情は消え失せ、苦痛に
眉間を寄せている。
堅く閉じた目尻からは、つうっと涙が伝っていた。
「穢された」と実感した。
(ああ、とうとう……。大神さん、ごめんなさい……)
白い首筋を露わにして仰け反り、くぐもった悲鳴が猿ぐつわから漏れている。
痛いのだろうに、さくらの膣襞は優しく締め付けて新次郎に女体の暖かさと心地よさ
を教えてくれる。
きつく締め付けているのに、絡みついてくる襞は熱く優しかった。
「……」
新次郎は腰を使いながらさくらの美貌を見ていたが、猿ぐつわされたままでその一部
が締め付けられるように歪んでいるのが今ひとつだと思っていた。
もうここまで来たら外してやってもいいのではないか。
この決定的な状態のままで助けを呼んでも、恥をかくのはさくらも同じである。
女なら──それも恥を知るさくらのような女なら、この状況で他人を呼び寄せるような
ことはすまい。
「ふあっ……!」
口からハンカチを外されて、さくらは蘇生したような気がした。
何度か深く呼吸すると、わななく唇を開けて新次郎を難詰した。
「しっ、新次郎くん……、どうして……どうしてこんなひどいことを……」
「何度も言ったでしょう。さくらさんを僕のものにするためです」
「そっ、そんな……。やめて、すぐやめて! あうっ……!」
猿ぐつわを解かれてもさくらの膣穴には新次郎のものが突き刺されたままだ。
そのまま腰を動かすと、さくらはまた苦鳴をあげて悶えた。
動く左足を使って何とか新次郎から離れようとするが、すっかり両脚の間に入り込
んでしまってどうにもならない。
脚を窄めれば新次郎を挟み込むだけだし、そもそも右足が縛られていてそれも叶わ
なかった。
新次郎は、もがくさくらの両腿を抱え込むように持ち上げてきた。
「あ、いやあっ!」
さくらの腰が宙に浮いた。
新次郎はさくらの股間に自分の身体を挟み込ませた状態で、両腿を抱え込んだまま
ぐいぐいと腰を揺さぶってきた。
「ああっ、あうっ……痛いっ……やめて、あっ……いやあ……」
上下左右に揺さぶられると、新次郎の硬い肉棒がさくらの胎内のあちこちにゴツゴツ
とぶつかってくる。
男の身体の側にぐっと腰を引きつけられると、男根が子宮を突き上げるように深々と
貫いてきた。
今までに味わったことのない子宮への圧力と、身体の芯まで届くような深い挿入に、
さくらは恐怖心を覚えた。
新次郎はとうとうさくらを犯したという満足感と、嫌がるさくらを無理にレイプして
いることに嗜虐願望を満足させていた。
両手で抱え上げているさくらの白い太腿に指が食い込む。
指や手のひらから感じ取れる腿の感触と温もりと、自分の腰を挟む形になっている
内腿のすべすべした柔らかさに陶然となり、官能を昂ぶらせていく。
少し汗ばんできたのか、羽二重のような柔らかさを持った内腿は、しっとりと粘り
着くように新次郎の腰の皮膚を擦ってくる。
得も言われぬ感触に、彼のペニスはますます硬度を増していくのだった。
「あ……ああ……」
もう抗う気力も失せたのか、さくらは弱々しく呻き、その身を男に委ねていた。
身体の堅さとともに膣内の堅さもほぐれてきたようだ。
さくらにしては濡れ方がだいぶ少ないが、それでも徐々に蜜が出てきている。
もちろん快楽のせいではなく、膣内を傷つけないようにするための防衛手段だろう。
感じているわけではないだろうが、身体だけは微妙に反応してきているらしい。
「……」
新次郎は、片手でさくらの後頭部を支え、その髪に指を絡めている。
顔を固定させ、その美しい顔が苦痛と恥辱に苦悶するさまをじっと見つめていた。
さくらの反応が小さくなってくると、腰を使って膣を責め立て、抉っていく。
「ああっ……むっ……」
さくらの様子を見ながら思い出したように腰を使っていた新次郎だったが、それでも
憧れの美女が悶え、苦悩する様子を見ているうちに、さらに肉棒が膨張してくる。
我慢できず、動きが激しくなっていく。
「あっ……ああっ、激しいっ……だめ、そんなっ……!」
「さ、さくらさん、僕はもうっ……」
「ひっ……!」
膣内で彼のペニスがびくびくと痙攣しているのがわかった。
射精が近いのだ。
さくらは悩乱しつつも我に返り、新次郎に必死に懇願した。
「だめっ……、新次郎くんっ、それは絶対にだめっ……!」
「もっ、もう我慢できそうにないよっ……、ああ、さくらさんっ」
「あ、うむううっ!」
突然に唇を重ねられ、さくらは仰天したように大きく目を開いた。
そして、その次の瞬間、胎内のペニスがぐぐっと膨れあがり、暴発するように精液
が放たれた。
「んんんっ……! ……ん……ん……」
歯はしっかりと閉じながらも唇を吸われ、さくらは声も出せない。
膣内に感じた熱い感触に射精されたことを覚り、新たな涙がぽろりと目尻から零れて
いった。
────────────────────
さくらへの凌辱の日々は続いていた。
この日は、新次郎の部屋で犯されている。
あの日以来、連日連夜というわけにはいかなかったが、他の隊員や大神の隙を見計ら
って、週に2,3度の割りで新次郎の毒牙にかかっていた。
あの日、新次郎に犯された夜、解放されたさくらは夜通し泣き明かした。
翌朝の朝食に遅れて食堂に来たさくらは、目を真っ赤に腫らし、目の下にはくままで
ある有様だった。
大神を始め、メンバーたちも大層心配したが、さくらは努めて明るく振る舞い、
「何でもない」「徹夜で台本を読んでいた」と言ってその場を切り抜けた。
心配する大神やすみれたち、風組のかすみや由利にまで気を遣われ、さくらはどれ
だけ打ち明けてしまおうかと悩んだか知れなかった。
でも、どうしても言えなかった。
さくら自身のこと、大神のこと、そして新次郎のことを考えて、である。
帝撃内で婦女暴行事件が発生し、その被害者が花組隊員で、加害者もそうだという
ことが他へ漏れたら大事件である。
しかもそれが現隊長の甥であることが判明したなら、反帝撃派の連中は「それ見た
ことか」とばかりに、帝撃を潰しにかかるだろう。
おまけに大神も新次郎も海軍の現役士官である。
海軍への風当たりも強くなる。
穏健派であり、帝撃の理解者でもある山口海軍大臣に申し訳が立たない。
そうでなくとも海軍と陸軍は伝統的に仲が悪い。
そもそも帝撃構想に反対していた陸軍は、百歩譲って設立を認めるにしても、なぜ
陸軍直轄にしないのかという不満を持っている。
しかも基本的に陸戦部隊なのに、なぜ海軍士官が指揮を執るのか、というある意味
もっともな批判も行なっていた。
外部の影響だけでなく、帝撃内部の問題もある。
あくまでさくらは被害者だが、周囲の目は偏見で見るだろう。
新次郎と親密だったことも有名だった。
中には、被害者の振りをしているが、実はさくらが唆したのではないかと邪推する
者も出るかも知れない。
そして大神の存在だ。
もし新次郎が自分の行為を否定し、あくまでさくらと同意した、あるいは騙されて
同衾することになったと主張したらどうなるだろう。
さくらは強姦されたと訴え、新次郎は言いがかりだと強弁する。
果たして大神はどちらを信じるだろう。
さくらは大神を信じてはいるが、もしさくらが一方的に犯されたとわかっても、
やはりそこは男性である。
今まではとは見る目が違ってくるかも知れない。
ぎこちない関係になってしまうことは想像に難くなかった。
それがあったから、さくらは誰にもこのことを告げられず、相談も出来なかったの
である。
「……」
裸に剥き上げられたさくらは木綿のロープで緊縛されている。
緊縛と言っても本格的なものではなく、抵抗できぬよう後ろ手縛りにされてから、
乳房の上下をそれぞれ二重に縛られていただけだ。
両脚は縛られていなかった。
さくらはもうほとんど逆らわず、新次郎を押しのけることもしなかったから、本来
なら拘束する必要もなかったろうが、まだ完全に信頼するほどでもない。
というよりも、赤いロープに縛られたさくらの裸身を愉しみたかったということの
方が大きい。
新次郎はSM趣味があったから、こうして女を縛ることを夢見ていた。
美しい女体を愛でる気持ちとともに、その美しい身体を縛り、歪ませた肉体にも
非常な興味があったのだ。
学生時代や士官学校時代の女にはこんなことはしていない。
バレて問題になれば退学させられることは必至だったからだ。
それに、さくらにこそこうしたかったという思いがある。
大神から送られてきたさくらのブロマイドに、ペンでロープを巻き付けたように描き
込んだこともある。
そして先日、初めてさくらを襲った時、服の上からとはいえ赤いロープで縛り上げた
ことに興奮を覚えていた。
真っ白い肢体を持つさくらの全裸を、赤いロープで緊縛したらどれだけ魅惑的だろう
と思っていたのだ。
緊縛されたさくらは、新次郎の想像を遥かに上回る妖美さを見せ、彼をますます虜に
していくのだった。
上下を厳しく締め付けられ、10代の頃とは見違えるほどに成長した乳房が弾けでて
いる。
ロープに括り出され、ひときわせり出したように盛り上がっているふたつの胸乳は、
いっそうに丸くふくよかなラインを描いていた。
淡くピンク色に色づいた乳輪に埋め込まれていた乳首は、新次郎がそっと唇で愛撫
しただけで硬くなり、恥ずかしそうに顔を覗かせ始めた。
「ああ……」
僅かに感じる快感に、さくらは掠れた声で喘いだ。
何度となく新次郎に犯されていたさくらだが、その際に快楽はほとんどなかった。
最初のうちに感じていた恥辱や屈辱も薄れ、新次郎への憎悪もなく、ただただ大神へ
の申し訳なさに心を痛めていた。
あとはただ、この時間が過ぎ去るのを石のように待っているだけであった。
唇だけは顔を左右に振って許さなかったが、あとは胸も媚肉もすべて好きなように
させていた。
こんなことで感じるわけがないと思っていたこともあるし、抵抗の無意味さをイヤ
というほどに判らされていたからだ。
たまに乳首とかクリットとか、感じるポイントを愛撫され、つい声が出ることは
あったが、それくらいだった。
さくらが力なく喘いだ箇所を新次郎はかさに掛かって責めるわけだが、あまりにも
力んでいて微妙な触り加減がわからず、結果としてさくらに大した快楽を与える
ことができないままであった。
それでも新次郎はあまり気にしなかった。
何しろ何年も思い続けていた憧れの女が自由になったのだ。
今はもう、とにかく身体に溜まった精を出すという、ただそれだけのためにさくらを
抱いていたのである。
哀れに縛られたさくらの肢体を、指で、舌で、ペニスで存分に味わった。
荒々しい愛撫、乱暴な突き込みに、さくらはもう声も涸れたのか、掠れた声で時々
呻くだけで、抗ったり哀願したりする気力も失せてしまったらしい。
ほとんどダッチワイフ状態で、新次郎の為すままに身体を開き、弄ばされ、貫かれて
いた。
そんな女を犯してもつまらないと思うのだが、なぜか新次郎は飽きるどころか、ます
ますさくらの肉体に魅せられていくのだった。
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