「ふう」

さくらを監禁した部屋から、堪能しきったという顔で六人目の兵が出てきた。
これでさくらは、哀れにも七人のけだものに連続凌辱されたことになる。

部屋の外で歩哨に立っていた稲田一等兵に、部屋から出てきた若い兵が声を掛けた。
稲田とは同年兵である。

「おう稲田、お待ちどう。俺が代わってやるから行ってこいよ」
「……」
「それにしてもいい女だったぜ。おとなしそうな顔してる美人だったがよ、突っ込んでやると
色っぽい声で喘ぎやがって、最後にゃ気をやるんだぜ。犯されてるってのによ、まったく」

兵はいやらしそうに思い出し嗤いを浮かべていたが、稲田が乗って来ないので不審に思った。

「どうした? 行ってこいって」
「いや……自分は……」
「何だってんだ? きさま、女が恐いのか?」
「……」

答えず、下を向いた稲田に、同年兵は蔑んだような視線を浴びせた。

「ふん、この臆病者めが。女のひとりも抱けないでどうする」
「……」
「まあいい。なら、これであの女を拭いておけ」

そう言うと、小汚い雑巾を稲田に投げつけた。

「分隊長どのの命令だ。最後の者があの女を拭いて汚れをとっておけ、とのことだ。また時間
が出来たら楽しむんだからな、汚れて臭かったら興ざめだ」
「……」

反応しない稲田を面白くもなさそうに一瞥すると、同年兵は足音も荒く立ち去っていった。
その様子を見送っていた稲田は、手にした雑巾を見つめると、意を決したように中へ入っていった。

むごい有り様だった。
着ていた服や帯は放り出され、丸裸に剥かれている。
下着だったらしい布きれも軍靴に踏みにじられて原型を留めていない。

少女は机を背中に押し当てられ、縄で縛られていた。
稲田は水の入ったバケツを持ってそこに近づくと、屈んで様子を見た。
男たちの唾液や精液で、さくらは全身が汚されていた。
特に股間は、さくら自身が出した愛液も合わさり、目も当てられないほどに荒らされている。

稲田は手にした雑巾を捨てると、ズボンから手拭いを取り出した。
新しいものではないが、清潔に洗濯はされている。
十九歳の一等兵は、それをバケツの水で濯いで固く絞ると、優しくさくらの身体を拭いていった。

* - * - * - * - * - *

その頃、一部陸軍部隊の決起がはっきりし、帝都の中心部は大混乱に陥っていた。
陸軍自体、状況がまだよくわからず右往左往し、海軍は茫然自失の状態からようやく抜け出ていた。

海軍大臣官邸。
山口和豊海相はこの年六十九歳になる海軍の重鎮である。
穏やかな性格で、首相の原に乞われて内閣の一員になった。
海軍大将ではあるが、必要以上の軍備は国のためにならずとの信念で、原総理とタッグを組ん
で軍縮を進めていた。

普通に考えれば、真っ先にクーデター軍の粛清対象になりそうな人物であるが、そうはさせ
ない実績があった。
日露戦争当時、連合艦隊司令長官・東郷平八郎元帥の司令部に所属し、日本海海戦にも参加
して、東郷元帥の片腕と評される活躍を見せた。
また、陸軍の旅順攻略戦に於いても、ロシア艦隊による襲撃の危険を冒して、陸軍部隊への
補給艦隊を指揮したこともある。
こうしたことで、彼の人望は海軍部内だけでなく、広く陸軍にも及んでいたのだ。
さらに、海軍との全面衝突は避けたいという決起軍の思惑もあり、彼らの手はここまで伸びて
はいない。

「それでは、海軍の各施設や拠点は無事なんだな?」
「はっ。ここもですが、海軍省や軍令部、各高官がたの官邸や自宅は無事のようです」
「横鎮は?」
「連絡取れました。総じて神奈川には決起部隊はいないようです」

それを聞くと山口は、即座に横須賀鎮守府から動員可能な陸戦隊をすべて帝都へ呼び寄せる
よう指示した。
同時に、呉、大阪、門司、仙台、札幌、佐世保等、各海軍根拠地へ、陸軍の動きに警戒する
よう命令を下した。

「ただし、仮にクーデター軍とぶつかっても戦端を開くな。無用の混乱を起こしてはならん。
国民に犠牲が出る」
「はっ」
「……待て。神奈川に連中はいないと言ったな?」
「は? はあ、そのようですが……」
「……」

横浜の神崎重工はどうだろう。
このところの陸軍参謀本部での青年将校たちの危うさは山口も聞き及んでいる。
そして、彼らの自信の裏には陸軍高官や、大手軍需産業というバックがいる、という噂もあった。
山口なりに調査をしていたところだが、海軍は憲兵を持っていない。
捜査などというやりなれない仕事だけに、なかなか捗らなかったのだ。
そこにこの事件である。

噂通り、裏に光菱がいるなら、神崎重工のトップは当然狙われるだろう。
帝撃構想での霊子甲冑というだけでなく、今後の人型蒸気兵器開発のためにも、神崎社長に
もしものことがあってはならない。

「命令。横須賀陸戦隊の一部を横浜の神崎重工社長邸へ回せ。決起軍が占拠している可能性がある」
「民間人宅をですか?」
「急げ!」
「ははっ」

命令を受領した副官や秘書官たちが慌ただしく山口の部屋を出入りする。
ふと思いついたように次級副官に山口が聞いた。

「帝撃は……、大帝国劇場と連絡は取れたか?」
「いえ、先ほどから電話をかけていますが、回線に応答ありません! 花やしき支部は無事
との報告がありました」

帝撃は、決起軍にとって目の上のコブだ。
襲撃しないとは思えない。

「大尉、帝撃に人をやってくれ」
「は……?」
「何とか米田くんたちを連れ出すんだ。それがダメでも、無事を確認してきてくれ」
「わかりました! 自分が行ってきます」
「頼む。だが、いいか、決して悶着を起こすんじゃない。やつら、冷静かどうかもわからん。
無理そうだと思ったら、無茶せずに戻って来い、いいな」
「はっ!」

* - * - * - * - * - *

同時刻、大帝国劇場。
地下二階の光武整備場に潜んでいたマリアが叛乱軍に発見された。

「少尉どの、いました!」
「……」

両脇と真後ろに三本の銃剣を突きつけられて、マリアが頭の後ろに両手を組んでいた。
マリアは取り敢えずホッとしている。
さくらはうまく外へ逃げられたようだ。
なんとか横浜へ、すみれの元へ行ければいいが。

「うん? ……きさま、毛唐か」
「……」

関本完治少尉が、マリアの金髪を見てそう言った。
日本人外交官の父とロシア人の母を持つマリアは日露のハーフである。
冷静な頭脳は父譲り、鮮やかなブロンドと美しい碧眼は母に似たのだろう。
黙っているマリアに、下士官が怒鳴った。

「無礼者、答えろ!」

銃剣を首筋に突きつけたその伍長を軽く手で制して関本が聞き直す。

「きさま、帝国華撃団花組隊長代理のマリア=タチバナではないのか?」
「……そうだ」

先代隊長だった海軍少尉は、現在、南洋へ研修航海中と聞いている。
そしてその後任は日系二世だとも。

「やはりそうか。しかし驚いたな、こんなに若いとは思わなかった。俺は二十二歳だが、そう
変わらんだろう」
「……」

そこへ先ほどマリアを怒鳴った伍長が割り込んできた。

「少尉どの、この女、どうするのですか」
「伍長、ここへはふたりいたらしいと聞いたが、もうひとりはどうしたか」
「は、それが、寸前でこの女めが外へ逃がしたようであります」

伍長は苦々しげにマリアを睨んで言った。

「すぐに追いかけさせましたが、まだ戻って来ておりません」
「そうか……」
「少尉どの、始末しましょう。霊子甲冑の乗員は生かしておくな、という命令であります」
「いや待て、まだ殺すな」
「なぜですか!!」

食ってかかる伍長を手で押さえて関本が言う。

「逃げたやつがいるだろう。そいつを抑えるんだ。この女は、これでも隊長だ。逃亡先を知っ
ている可能性もある」
「では……」
「そうだ」

関本の切れ長の目が細く光った。

「この女を訊問するのだ。そうだな、一階に鍛錬室があったはずだ。そこへ連れていけ」
「はっ」
「……」

マリアはしばらく関本を睨んでいたが、諦めたように引っ張られて行った。
この場で抵抗しても無駄死にだろう。
幸い、隠したエンフィールドは見つかっていないらしい。
生き延びれば、まだチャンスはある。
マリアが連行されるのを見送りながら、関本が伍長に言った。

「ここに霊子甲冑は何機ある?」
「は、七機ほどありました」
「すべて破壊せよ。爆薬はあるな?」
「はっ。黄色火薬があります!」
「よし、各機に二箱ずつ仕掛けろ。それ以上はやめておけ、この建物まで吹き飛ばしては困る
からな」

関本少尉はそう言うと、マリアの監禁されている訓練室へ向かった。

命令を受けた伍長が、三名の兵とともに爆薬を霊子甲冑の足下にセットした。
信管をつけ、導線を伸ばして入り口の陰に隠れる。

「爆破!」

クイッとレバーが押され、籠もった爆発音とともに、軽い地震のような震動が大帝国劇場に響いた。
硝煙の中、伍長たちが整備場へ入ると、信じられない光景が現れた。
二十キロの黄色火薬の爆発をものともせず、キズ一つついていない光武がそこにはあった。

* - * - * - * - * - *

関本が訓練室に入ると、マリアは両手を腰の後ろで、両脚首もしっかりと捕縛で縛られていた。
関本は軽く顔を振って、兵たちを外へ追い出した。
関本が話し掛けようとしたが、その前にマリアが口を開いた。

「司令は……、米田司令は無事でしょうね!?」
「ほう、気になるか?」
「当たり前よ! もし司令たちに何かあったら、タダじゃ済まさないわ」

それを聞くと、関本は唇を歪めてマリアの顎を持ち上げた。

「随分と威勢がいいな、隊長さんよ。聞きたいことがあるのかこっちなんだがな」
「どうなの、無事なの!? 答えなさい!」
「心配するな。米田閣下にも副司令の中尉にも手は出してない」
「……」

「副司令の中尉」というのはかえでのことだろう。
彼女も捕らえられたらしい。
かえでは魔神器の護衛に行ったはずだ。
まさか魔神器が叛乱部隊の手に落ちたのだろうか。
マリアはぞっとしたが、ふと思い当たった。
仮に連中が魔神器を入手し、それを悪用するのであれば、大がかりに部隊を動かす必要はない
はずだ。
さっさと本拠地に引き上げても構わないはずである。
そう考えた彼女の予想は的中していた。

そもそも決起軍は、首謀者の天笠士郎少佐を含め、魔神器の存在すら知らなかった。
黒幕の京極大将は知っていたが、敢えて部隊には言わなかったのだ。

魔神器とは、剣、鏡、珠からなる古の祭器である。
利用する者の性向および血統に反応して莫大な力を生み出すことが可能だが、使役出来る者は
限られている。
帝撃でもさくらくらいのものである。
まして通常部隊にそれを操るほどの霊力を備えた者がいるとは思えないのだ。

従って京極は無視することにした。
さくらに使えると知っていれば彼女を捕らえただろうが、そこまでの情報はなかった。
故に、真宮寺大佐亡き後、それを使える者はいないと判断したのだ。
破邪の血統を継ぐ者として、真宮寺大佐の娘という見方をしていればさくらに気づいたはずだ
が、仮にそうだとしても帝撃は使わないだろうと踏んでいた。
膨大なパワーを生み出す魔神器をまともに使えば、叛乱部隊どころか、帝都や日本自体が破壊
されかねないからだ。

マリアは、若い少尉の発言から、米田に対する殺意はないらしいことを覚った。
米田中将のことを「閣下」という敬称で呼ぶということは、それなりに敬意を示している証拠
だと思われた。
誅する目的であれば「米田」と呼び捨てるはずだ。

加えて、かえでも無事となれば、あとは自分の身を守るだけだ。
ならばまだ道はありそうである。
そこまで思いを巡らすと、青年士官が襟首を掴んでマリアを立ち上がらせた。
両手両脚を縛られている彼女は思わずふらついたが、バランス良く何とか立った。

「なにをする!」
「おい、きさま。逃がした仲間は誰だ?」
「……」
「どこへ逃がした。知ってるはずだ、言え」
「……知らないわ。知ってても言うと思って?」

関本はそれを聞くとマリアから手を離した。
なぜか顔がニヤついている。

「……だろうな。さすがに対降魔部隊の隊長さんてとこか」
「……?」

意味がわからないマリアは、訝しげに目を細めて関本を見ている。
それを無視して関本少尉は外の兵隊を呼んだ。
すぐにベテラン曹長と若い兵のふたりが入ってきた。

「少尉どの、何でありますか」
「これからこいつを訊問する。用意せよ」
「ははっ」

下士官は関本の顔を見て、すぐに意味がわかったらしくニンマリとした表情で敬礼した。
そして自分の小銃の銃剣を取り外し、ツカツカとマリアに近づくと、一気に上着の前を切り裂いた。

「きゃああああっ!!」

思わぬ展開にマリアは絶叫する。
下士官の切り方は絶妙で、マリアの肌を傷つけることなく、服のボタンのみを弾き飛ばしていた。
左右に開いた服の間から、下着姿のマリアが覗けた。
ブラウスも切り裂かれていて、彼女の素肌を守るものはもはや白いブラジャーだけだった。

「なっ、何を……」

マリアは反射的に身を屈めようとした。
もしかすると、この兵隊どもは自分を凌辱しようとしているのではなかろうか。

「おら、立て!!」
「やめろ、何をする!」
「貴様、逆らうか!」

身をよじって抵抗しようとしたマリアに激怒した曹長が、思い切りビンタを張った。

「あうっ!!」

マリアは金髪を振り乱して床に倒れ込んだ。
左右から一発ずつ頬を張られたのだが、ただのビンタではない。
新兵どもを殴り慣れている下士官が腰を入れて打ったのだ。
経験のないマリアたちなど吹っ飛んでしまうほどの威力なのである。

「言わんこっちゃない、曹長を怒らせるからだ。内務班の先任下士官は恐いぞ、逆らわんことだ」

関本はそう言ってマリアの腕を掴み、立ち上がらせた。
マリアは唇の端が切れ、血が滲んでいる。
ややふらついているのは、強烈なビンタで少々脳震盪気味になっているのかも知れない。

「おとなしく言うんだ。さもないと痛い目に遭うぞ」
「……ぺっ」

マリアは関本と曹長を軽蔑したような目で睨め付け、血の混じった唾を床に吐き捨てた。
関本はややオーバーに肩をすくめて曹長を見た。

「こりゃ、やっぱりやらんとダメかな」
「何を今さら。元々そのおつもりだったんでしょう、少尉」

ふたりは顔を見合わせて笑うと、マリアの腕を左右から掴んで、そのままベンチ・シートに
押し倒した。

「やっ、やめろ、何をする!」
「おとなしくしろ、この毛唐が!」
「暴れるな、ケガするぞ!」

身の危険を感じたマリアは、縛られた身体を必死に揺すって逃げ出そうとした。
両肩を押さえ込まれたが、それでも縛られた両脚を器用かつ乱暴に動かして抵抗する。
さすがに手を焼いた曹長は、またしてもマリアにビンタした。

「きさま、もう観念せんか!」
「あうっ、ぐっ、ぐはっ、ううっ……」

下士官は容赦なくマリアの白い顔を張り飛ばした。
三度、四度、五度と往復ビンタを食らわされ、マリアは口の中を切った。
血の味がすると思ったところで意識が失せてしまった。
あまりにも激しいビンタで、いよいよ脳震盪になったのである。

「手間取らせおって、女が!」

曹長が荒く息を吐いて言った。
関本は目配せをして、曹長とふたりでマリアを取り敢えず裸に剥いた。
手足の縄をほどくと、左右に切り裂かれた上着を剥ぎ、ブラウスも丸めて捨てた。
続けて下半身にかかる。
上着と同色である濃紺のスカートをするっと脚から抜く。
厚手のスカートを脱がせると、黒いガーター・ストッキングが露わになった。
セミ・ヌードのマリアに昂奮した曹長が、上擦ってそれを破こうとするのを少尉が止める。

「待て、それはいい。下着を取れ」
「はあ」

ペチコートを剥がすと、純白のショーツを荒々しく破り取ってやる。
関本の方は、マリアの豊満なバストを隠していたブラの肩ひもを切り、そのまま抜き取った。

目の前に現れた美しい肢体に、ふたりの軍人はゴクリと喉を動かした。
その肌の白さはどうだろう。
白系ロシア人直系の深い純白が目に染みるようだ。

そしてその乳房。
ふたりはもちろん知らなかったが、サイズは88センチもあった。
その頃の日本人からすれば、とんでもない巨乳だと言えるだろう。
それが、横になっても少しも型くずれせず、ツンと乳首を上に向けている。
その白さは、乳房の薄い静脈を青く浮き立たせるほどだった。

曹長の目はマリアの下半身に釘付けである。
ショーツに覆われていた股間の中心は、けぶるような恥毛で保護されていた。
髪は金髪だが、ここの毛はやや薄い茶褐色のようだ。
量はそこそこ多いが、一本一本が細いので、ゴワゴワしたりもじゃもじゃしている印象はなかった。

ふたりは魂を抜かれたように異人の生贄を見つめていたが、すぐに我に返った。
マリアが目を覚ます前に、抵抗出来ぬよう固定せねばならない。

マリアをゴロリと仰向けに寝かせると、両脚をV字型に開かせて天井から吊った。
器械体操か何かで使うのか、天井には吊り輪状のフックがふたつあった。
おあつらえ向きで、そこから縄を通して足首を縛った縄と連結する。
両手も吊ろうと思ったが、もう上にはそれに使えそうなフックはなかった。
仕方がないので、高小手で縛り、肩胛骨の下あたりで固定する。
そして、豊満な乳房をなお一層括り出るように、その上下を絞り込むように縛った。
これでマリアはほぼ身動きが出来ないはずである。
ひと段落終えたところで、関本は曹長を追い出した。

「ご苦労、曹長。あとは俺がやる」
「そりゃないですよ、少尉どの」

曹長が情けなさそうな顔をすると、関本は破顔して肩を叩いた。

「心配するな、すぐに犯らせてやる。その前にまず俺がほぐしておくのだ」
「わかりましたよ」

渋々といった風情で引っ込む曹長に、関本は何やら指示して外へ出した。

「う……」
「ん? 目が覚めたか」

曹長が関本に何やら渡している時に、マリアの意識が戻った。
肩が痛い。
無理な格好で後ろ手に縛られているからだ。
もぞもぞと動きだそうとして気づいた。
脚が天井に吊られている。

「あっ……」

さらに自分が丸裸であることに気づき、マリアは羞恥で顔を染めて叫んだ。

「なっ、何をする気なの!? こ、こんな格好……」
「きさまがあまり暴れるからだ。こうでもしないとゆっくり話も出来ん」
「話なんかないわ! ほどきなさい! すぐほどいて!」

マリアが懸命に身体を揺すって捕縛から逃れようとしている。
腰をぷりぷり振っている様が何ともセクシーだった。
そのたびに、見事としか言いようのないヒップがぷるんと震える。
こちらも、胸に劣らず立派に張っていた。
サイズは90センチもある。
こんな尻を見せつけられると、あの曹長の気持ちもわからんでもない、と関本は思ったりする。
曹長は女の尻に目がなかった。

いずれにしてもヴォリューム満点のスタイルである。
上から88−60−90などという数字は、二十世紀初頭ということを考えれば、日本どころ
か欧米でも相当なグラマーなのである。

「なっ、何を見てるのっ! くっ……ほどけ!」

マリアにどやしつけられて関本はハッと我に返る。
彼女の均整の取れた、それでいてどこもかしこも柔らかそうな肉に覆われた女体に見とれていたのだ。

「おまえが素直に質問に答えればすぐにでもほどいてやろう」
「……」
「逃がしたのは誰だ。そして、そいつはどこへ行った?」

釣ったばかりの鮎のように暴れていたマリアの身体がぴたりと止まる。
そして関本から顔を逸らしてそっぽを向いた。
それだけは言えない。

一方、関本は、はなからそんなものを知りたいわけではなかった。
帝撃メンバーとはいえ、今さらひとりふたり逃げたところでどうにもなるはずがないと信じて
いるからだ。
光武さえ破壊すれば、単なる丸腰の女に過ぎない。
厳しい訓練を積んでいる我々の敵ではないのだ。
事実、こうして一皮剥いてやれば、ただの女ではないか。

「……」

沈黙するマリアの顔を覗き込むと、関本は何度もうなずきながら言った。

「そうか、言えないか。そうだろうな」
「……」
「だが、それで済むと思ったら大間違いだ。そのうまそうな身体に直接聞いてやろう」
「!!」

やはりこの男たちは自分の肉体に淫らな行為をするつもりなのだろう。
処女というわけではないが、このような野蛮な連中に身体を許すなどマリアの矜持が許さない。

「いやらしい! あなた、それでも帝国軍人なの!? 女を虐めて何が楽しいの!」
「いやか? 俺としては気を使ってるつもりだがな」
「何?」
「その気になれば、そのきれいな肌に一生残るようなキズをつけてやってもいいんだぞ」

それこそ、その気になれば関本にはそういう手段があった。
彼は陸軍士官学校卒業後、六ヶ月ほど中野学校へ行っていたことがある。
中野学校とは、陸軍の諜報組織、情報機関の要員育成のための専門学校である。

スパイ養成の教育機関だが、同時にカウンター・インテリジェンス、つまり敵のスパイに対抗
する手段も教えている。
その際、敵スパイから自白を迫るための効果的な手段、要するに拷問の方法も習っているのだ。

拷問に耐えきれる人間はいない。
苦痛や恐怖には勝てないのである。
関本が本気でマリアから自白を取ろうとすれば、情け容赦なくそれらを実行するだろう。
爪の間に楊枝を突っ込んだり、白目に針を打ち込んだりすれば、マリアがどんなに強靱な精神
力を持っていようとも耐えられるとは思えなかった。

しかし関本にはそんなつもりはない。
どうせ殺す女である。
その前に愉しんでおこうというだけの話だ。

「……」

マリアは関本の冷たい目を見て竦んだ。
この男は本気で残酷な仕打ちをしかねないと思った。
金髪の美女が棒を飲んだように硬直すると、関本は薄く笑って話し掛けた。

「怯えなくてもいい。ケガなどさせるつもりはない」
「……」
「といって、このままにしておくことも出来んのでな。喋ってもらえると助かるが」
「……」
「では仕方がない。痛めつけはしないが、その身体に聞くとしよう」

期待通りの展開になり、関本は笑いが止まらない。
ここでマリアがゲロってしまったら、どれだけ失望したことだろう。
その女体を味わいたくとも、その理由がなくなってしまうのである。
関本はマリアの頭の方へ回り込むと、上から顔を覗き込んで言った。

「そう緊張するな。取り敢えずこれでも飲んでくれ。落ち着くぞ」
「?」

背けた顔を少しだけ上へ向けると、青年将校が酒瓶らしいものを持っていた。
見慣れたそれは、マリアの部屋にあったウォッカである。
ナイトキャップ用に、マリアは何本かウォッカを部屋に置いていた。

「それ……」
「ああ、失敬。あちこち部屋を調べていた兵隊が見つけてきたものだ。なんだ、おまえのもの
か、だったら遠慮するな」
「……」

関本が瓶のフタを取り、マリアの口に近づけるが、美女は思いきり顔を横に背けた。
あくまでも抵抗するつもりだし、酒など呑んでいる時ではない。
関本はマリアの顎をつまんで上を向かせると、ムリヤリ口に瓶を当てた。

「ぐっ……」

マリアは歯を食いしばり、唇に力を込めて口を閉じていた。
固く締まった唇の脇から、ちょろちょろと透明な酒が流れている。

「もったいないことをするな、高い酒なんだろうが」

関本は、マリアの形の良い鼻を摘んでそう言った。
一分もしないうちに息苦しくなり、マリアは口を開けてしまう。

「ぷわっ……」
「それ」
「んぐっ……」

陸軍少尉が手首を返すと、瓶からアルコール度の高い洋酒がマリアの咥内の注がれていった。
ぱかっと開いた口に酸素と共に強い酒が流し込まれ、美女は思わず咳き込んでしまう。

「がはっ、ごほっ……んむぅ! …ぐっ……んぐっ」

関本は、気管に酒が入って咳き込むマリアに構わず、そのまま酒を飲ませた。
マリアの白い喉が数回動いたのを確認すると、呼吸させるために少し間を置く。

「ごぼっ……けほ、けほっ……はあ……はあ……はあ……あっ、うぐう!!」

そしてまた酒瓶を傾け、マリアの喉に流し込んでいく。
鼻はつまんだままだから、マリアは呼吸のためにどうしても口を開けざるを得ない。
そこを狙って飲ませていく。

「んぐはっ…げほ、げほ、げほっ……く、苦し…がはっ……こほ、こほっ……うぐ、うぐっ…
…くん……んく、ごくっ……」

飲まされたらまずいと思うから、何とか喉に来ないようにするのだが、口を開けている間は
注ぎ込まれているので、どうしても空気と一緒に体内に入ってしまう。
関本は、マリアがごくごくと酒を飲んでいるのを確かめ、呼吸をさせ、そしてまた酒を注ぐ。
これを数度繰り返して、ウォッカ一本を使い切った。
半分以上は口から零れているだろうが、それだけ飲ませれば充分だろう。
美女はたまらず音を上げた。

「もう……けほ、けほっ……もう、たくさん……。もう飲めない……」
「……」

関本がマリアを観察すると、顔が早くもほのかに染まってきている。
表情もぽーっとしてきたようだ。
マリアは大柄で立派な体つきをしているが、これ以上飲ませては急性アルコール中毒になる
可能性がある。
はあ、はあと荒く呼吸をし、そのたびに豊かな胸肉が上下していた。

関本はもう一本を手にすると、今度は股間の間にやってきた。
マリアは大量の酒を飲まされ、意識が呆然としていて気づかない。
本当に酔っぱらったような気がして、頭がぼーっとしている。

少尉は真っ白な陶器のような脚に魅了された。
肉付きのいい、すべやかそうな太腿が男の官能を刺激する。
目線を脚の付け根に移すと、白い脚とは対照的な繁みの中心に、くっきりと縦に刻まれた亀裂
が見えた。
その上端にある肉豆は包皮に覆われ、まだ肉の中に半分沈んでいる。

その妖しい光景に、関本はまた我を忘れそうになったが、頭を振って現実に戻った。
女の割れ目に手をやると、そこを指で開いてみる。
まだ当然濡れていないし、固そうに締まっている。
それでも、美女はまだ酒の感覚で、下半身に悪戯する士官に気づかないようだった。
関本は左手でマリアの媚肉をくつろげたまま、右手に持った洋酒を膣の中に零すように注いだ。

「ひぃっ……な、なにしてるの……」
「上の口ではもう飲めんというから、下から飲ませているのさ」
「やめ……そんなこと、ああ、やめ、やめて……」

酒で濡らした割れ目を擦り、膣の入り口もいじくってやる。
そうしていると、マリアの感情とは別に、だんだんと割れ目が弾け、口を開けてくる。
女体の不思議さである。
そのようにして小さな口を開けた膣に、関本少尉は瓶の口を押し込み、どぼどぼと中へ流し込
んでやった。

「くひぃぃっ! やめて、やめてっ……ああ、そんな……つめ、冷たい……ああ、入ってる…
…。し、染みるわ……」

少尉はドボドボと酒を注がれる媚肉に見入っていたが、今度は1/3ほどで止めた。
口からもだいぶ飲ませているし、大量に膣の中から直接内臓へ吸収させるのはまずいだろうと
いう判断からだ。
それでも、これだけ注いでやれば、いやでも胎内がカッカと燃えるように熱くなってくるだろう。

関本は念を入れて、さらにマリアを燃えさせようとした。
媚薬を使うことにしたのだ。

欧州大戦で日本は最後に参戦し、青島を巡る戦いで独逸軍に勝利した。
そして、戦後補償で青島の領有権を得たのだ。
関本は見習士官当時に青島の部隊にいたことがある。
そこで中国製の妖しげな薬を購入していたのだ。

成分は、龍眼やクコの実らしいが、そこに西洋のガラナも入っている。
効果は、酒で酔った時のように顔が紅潮してきて頭がぼんやりするらしい。
それからだんだんと軽い麻痺に似た感覚になり、行為の最中は快感の他には何も考えられなく
なるという。
効果時間は、人にもよるが三時間やそこらは平気で保つらしい。
関本はマリアの頭を持ち上げて、小瓶に入れてあるその液体をゆっくりと飲ませた。
こくりと喉を動かして、美女は淫薬を飲み下した。

また別の瓶を関本が持っている。
正体を無くしたようにぐったりしている美女の股ぐらに屈むと、瓶のフタを開けて両手に擦り
つけた。
そして、酒で濡れた指や手のひらを使って、マリアの敏感な肉体を揉みさすり出したのだ。

関本が手を浸した酒はやはりマリアの部屋にあったウォッカだったが、先ほど彼女にムリヤリ
飲ませたものとは程度が違う。
アルコール度数80%を超えるというとんでもない酒だ。
小さなグラスで一気に飲み干すとスーッと眠れるので、マリアは時々飲んでいた。
それに目を付けた関本は、これで美女の裸身を刺激しようというのだ。

「んっ……んんっ……っあっ……く……」

強い酒を乳首や秘裂に塗りたくられる快感にマリアが呻く。
アルコールが揮発するスーッとした清涼感に続き、カァッと燃え上がるような感覚が、鋭敏な
箇所を襲う。

「うあっ、ちょ、どこを……ああっ、そこ、いやっ……」

少尉に身体をまさぐられ、媚薬とアルコールの混合攻撃でもやもやとした快美感に呻いていた
マリアが、突然慌てたような声を出した。
関本の指が、マリアの尻たぶの間に潜む恥ずかしい孔に触れてきたのだ。
濡れた指先でアヌスをつつき、皺をほぐすようになぞる。

「汚い! やめなさい、そんなとこ……うあっ……さ、触るなっ……」

排泄器官をいじくられているという汚辱感と、そんなところまで自由にされている屈辱。
それに加え、もぞもぞするような別に感覚も生まれてくる。
酒や薬の効果もあったろうが、思わぬ責めの連続でマリアに精神的余裕がなくなってきたこと
もあるだろう。

「や、やめろと言って、ああっ」

マリアが本気で尻責めを嫌がり出すと、今度は一転して乳房を責める。
口に酒を含んだまま、乳首をくわえたのだ。
そして、口から少しずつ酒を零し、舌で乳首に塗り込む。
仕上げに思い切り乳首を吸い上げるのだ。

その刺激に、金髪美女はたまらず喘ぎ声を洩らした。
さらに手のひら全体を使って媚肉を責めた。
割れ目に掌を押しつけるようにしてグリグリと刺激したり、五本の指全部でクリトリスや膣口、その中まで同時に愛撫する。
マリアがそれらに感応してくると、またしても肛門に淫靡な責めを再開した。

「んんっ、だめ……うっ……む……は、くぅぅっ……」

アヌスをいじくられるいやらしさ、おぞましさが、性器や胸肉を愛撫される心地よさに相殺
され、徐々に新たな快感に変貌していくのがわかった。
普段のマリアなら、当然こんなことはない。
セックスの経験はあるが淫らな質ではない。
鍛え抜かれた精神と身体は、そこらの男の行為など寄せ付けもしないだろう。

だが、クーデター騒ぎからさくらの脱出劇、拘束、そして性的な拷問。
未曾有な事態が続けざまに発生し、いかに気丈なマリアでも動転しているのである。
そこにつけ込まれ、アルコールや媚薬の力を借りたとはいえ、関本の念入りな愛撫に、成熟し
つつあるマリアの女体は素直に反応し始めていた。

「っ……あ……はあ…はあ…はあ……あ……」

関本が離れると、マリアはようやく息を付いた。
引きも切らぬ愛撫の連続で、息が詰まる思いだったのだ。

天井から吊られた官能的なカーブを描く太腿や、むっちりと肉付きよく張り出した尻を見なが
ら関本は考える。
どうせ輪姦するなら全員で、と思い直した。

吊った縄を解いてやると、力の入らない長い脚がどさりとシートに落ちる。
抵抗する気力もないようだ。
後ろ手縛りはそのままに、仰向けではなく膝立ち状にした。
マリアは力なく顔を傾け、頬をシートにつけたままガックリしている。
その様子を見て、関本少尉は曹長を呼び入れた。

「入れ」
「待ってましたよ」

好色そうな下士官は、待ちかねたという風に入室してきた。
そして目の前で刺激的なポーズを取っている美女を見て息を飲む。
すでに散々いたぶられたのか、全身汗をかいており、息づかいも荒い。
何より股間はもう女の淫液で濡れているようだった。
関本は、欲情でギラついた目をしている曹長に言った。

「さて、やるか。どっちにする曹長」
「まずは少尉どのがどうぞ。俺は口でいいです」
「ほう、上官に気づかいしてくれるか」
「そりゃあ、これだけいい女を抱かせてくれるってんですから。でも、次は俺も……」
「ああ、いいとも。好きなところで犯るがいい。終わったら適当に兵たちにも味わわせてやれ」
「それを聞いたら兵どもは泣いて喜びますよ」

少尉と曹長はズボンを脱ぎ、雄々しく屹立したペニスを掴み出す。
言葉通り、関本はマリアの尻の方へ、曹長は顔の方へ行く。
関本がぴしゃりとマリアの尻を叩いて言った。

「まだまだこんなもんじゃないだろ、ええ、隊長代理さんよ」
「……」
「これからが本番だぜ」
「!」

いつの間にか部屋にいた曹長の声にハッとしてマリアが正面を向くと、そこには下半身を剥き
出しにした男がいた。
マリアはこれから何をされるかハッキリとわかった。

「ああっ……い、いやあっ!」

マリアはにわかに怯えたような悲鳴を上げ、頭を振り、腰を揺すった。
ただ犯すだけでなく、男たちはふたり一緒に辱める気でいる。

「いや、いやあっ……ぐっ…」

下士官のペニスが顔に押しつけられた。
ムッとするような男の性臭がマリアの鼻腔に入り込む。
顔を背けようするが、男はマリアの頭を押さえ込んでいる。
ペニスの先端がマリアの頬に、唇に当たる。
もうそこはぬるぬるネバネバした透明な粘液が分泌していた。
カウパー液を顔に塗りたくられる不快感に眉を顰めていたマリアは、突然、鼻を摘まれた。

「んぐっ……」

薄汚い男の陰茎を口に入れまいとして、マリアは必死に唇を閉じている。
が、呼吸しないわけにはいかない。
そのことは、さっき関本にムリヤリ酒を飲まされた時に思い知らされている。
限界まで耐えたマリアが真っ赤な顔をして口を開けた。

「ぷあっ……はあ、はあ…んぐ、ぐううっ…」

その瞬間を見逃さず、曹長はいきり立った肉棒をマリアの紅い唇の中に突っ込んだ。
マリアは、呼吸をする間も悲鳴を上げる間もなく、いきなり押し入っていた太いペニスに喉を
ふさがれた。
絶叫するはずだった悲鳴が肉棒に押し戻され、くぐもったような籠もった呻き声に変化する。

「んぐ……むぐっ……」

男は遠慮なくマリアの口を貫いた。
女のことなど気にも掛けず、欲望のまま喉の奥まで挿入する。
首まで突き通されるようで、マリアは息が詰まり頭がクラクラしてきた。

「おら、歯ァ立てんじゃねえぞ。そんなことしたら銃剣で切り刻んでやるぞ」

曹長はマリアの金髪を掴み、顔を揺さぶる。
ペニスの竿や先端が、頬の内側と言わず、舌と言わず、口中のあちこちにぶつかった。

「おら、舌を使え!」

男にそう言われたが、それだけはしたくなかった。
舌先で男のものを味わうなど想像もつかない。
苦しそうに部下のペニスをくわえたマリアの苦悶する様に昂奮し、関本も尻を掴んだ。
そしてグッと腰を突きだし、マリアの媚肉を割り込み、肉棒を挿入していった。

「ふむむっ……んむうっ……」

口にばかり気を取られ、関本のことを忘れていたマリアは、膣に捻り込まれるペニスの感覚に
腰をぶるるっと震わせた。
愛液と関本の唾液で濡れ濡れになっていたはずの媚肉だが、肉棒を挿入されると裂かれるよう
な感覚を覚えた。
関本のペニスの大きさもあったが、口も犯され、今また媚肉を犯されるという異常なシチュエ
ーションに混乱しているのだ。
猛々しいばかりの肉棒が、ぐっ、ぐっと膣道を拡げながら中へ進む。
割れ目の肉襞を巻き込むようにして深いところまで入り込む。

「むう……ぐっ、むむうっ……」

ずるずると中を進んでいくペニスに、媚肉の襞は待ちかねたように絡みついていく。
膣奥から漏れ出てくる愛液の量も増えてきたようだ。
関本が思いきり奥まで貫き、先っぽはマリアの膣壁にぶち当たると、その感触でマリアは背を
ぐうっと仰け反らせた。

「んむむっっ!」

子宮の入り口にペニスが当たると、マリアはガクガクと膝から力が抜けるようだった。
関本はマリアの張った腰をつかみ、律動を開始する。

「むっ……むうっ……んんっ……」

太い肉棒が盛んに膣を出入りすると、マリアは身体の芯が引きつってくるような錯覚を覚える。
おぞましい快楽を感じつつあると知ると、マリアは必死になって堪えようとする。
しかし肉体の方は、繰り返し送り込まれる悦楽のリズムに応え、痺れるような快感をむさぼろ
うと反応してしまうのだった。

「どうですか少尉どの、そっちは?」
「ああ、なかなかいい案配だ。そっちはどうだ?」
「へへ、悪かないですがね、こいつまだ舌を使おうとしないもんで」
「まあ仕方あるまい、まだ最初だからな。だが何度も仕込んでやればいつものようになるさ」

関本たちは、過去に犯した女たちの事を思い出してニヤリとする。

関本少尉は、軍人としては優秀だし、部下に対しても悪い上官ではなかった。
それでも、こうした度を外した「息抜き」はよくやった。

日本人相手には無論遠慮するが、占領地では好き放題だった。
彼らはそれを悪事とは思っていない。
敵地の女を自分たちと同等とは思っていないし、暴行略奪は報酬のように思っているフシもある。
たまにはこういうガス抜きをしてやり、若い兵たちの欲求不満を解消させることにより人心を
掌握する、というわけだ。
無論、これは彼らの論理であり、その犠牲になる女性はたまったものではない。

ふたりは、若い欲望をマリアの肢体にぶちまけるようにして責めた。
次第に締めつけるようになってきた媚肉に関本が突き込みを激しくすれば、曹長もマリアの喉
まで抉るように肉棒を突っ込む。
ふたりは顔を見合わせ、突き込むリズムを合わせ始めた。
曹長が口の奥深くまで突っ込めば、少尉は膣から抜ける寸前までペニスを引く。
そして関本が媚肉の底まで肉棒を埋め込む時、曹長はカリがマリアの唇にひっかかるところ
まで引き抜いた。

「むう……むっ……んぐ……む、ふっ……」

もうマリアの意志の力ではどうにもならなかった。
関本にねちねちと責め抜かれ、肉欲の炎を呼び覚まされた肉体は、若いふたりの男の攻撃に
もろくも崩れ去った。
男たちに激しく律動され、身体を揺さぶられると、うつぶせの乳房も蠢く。
縄に括られ、くびりだされて、より豊満に張り、また感じやすくなっていた肉の塊は、ゆさ
ゆさと揺さぶられ、左右のそれがぶつかるだけでびりっとした快感が走る。
媚肉から中心に、身体中の肉がどろどろにとろかされていくようだ。
関本の若い肉棒に応え、マリアの腰がうねりだした。

「んむっ……ぐぐ……むんっ……」

マリアの口も媚肉も、野太いペニスをせいいっぱいという風にくわえ込んでいる。
激しく動く男根に、マリアの粘膜はぎしぎしと音を立てて軋むようなきつさを感じた。
口をふさがれているため、小鼻が盛んに開き呼吸をするが、喘ぎ声を出すのに忙しく、息が
詰まるようだ。

美女の、苦悶にゆがむ表情がたまらない。
マリアの美貌は、苦痛でしかめている顔ですら色っぽく、痛みではなく淫猥なそれを感じさ
せるものだった。

「そろそろいくか」

関本が曹長に声をかけた。
女をいかせてから出したいところだが、まだ今回は無理のようだ。
マリアの腿には、膣から零れている愛液が滴っているし、背中で縛られた手が握られている
ところを見ても、感じているのは確かだ。
しかし、すんでの所でマリアは堪えており、例え犯されても恥ずかしい絶頂だけは見せまいと
しているのだ。
粘ってもいいが、関本の方がマリアの締めつけにそろそろ耐えられなくなってきている。
それに順番待ちの兵たちがまだ多数いるのだ。
そう時間もかけられない。
焦らずとも、そのうちマリアの方から腰を振って感じ、何度も気をやるようになるはずだ。
関本は過去の経験からそう断じていた。

関本は激しく腰を使い、マリアの尻を押しつぶさんばかりの勢いで責めた。
曹長はマリアの顔を掴んでぐるぐると回転させている。
そうしてマリアの唇や頬裏の粘膜で自分のペニスに快楽を与えようとしているのである。

「おうっ、いくぞっ」
「う、出るっ!」
「ううむ!」

関本と曹長はほぼ同時に叫んで射精した。
膣と喉の奥にどろっとした熱い粘液がしぶきかかるのを感じて、マリアはスーッと意識が薄れ
ていった。



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