二日目の昼、東京憲兵隊司令部。
陸軍省や参謀本部の参謀たちが、未明からぶっ通しで会議を行なっていた。

事態を聞きつけ、参謀本部や陸軍省に駆けつけた士官や職員たちは、建物の前に立つクーデタ
ー部隊の歩哨に足止めされた。
階級をバックに居丈高に迫るものの、守る兵たちは一歩も彼らを中に入れなかった。

押し問答しても埒があかないと思った将校たちは、まだ占拠されていない陸軍施設である憲兵
司令部に集まったのである。
後にここが臨時の陸軍省並びに参謀本部となる。

昼食時間はとっくに過ぎ、会議に参加している士官たちの副官や当番兵たちが、いつ昼食の
準備をすればいいかわからず途方に暮れていた。
一方、室内では若手の高級士官たちが激論を戦わせていた。
陸続と入ってくる情報によると、決起軍は近衛および第一師団を中心とした部隊で、総兵力は
一五〇〇名ほどにもなるという。
重火器こそないが、重機や軽機は多数あり、実弾は概ね三万発ほど備蓄しているらしい。
想像以上の戦力に参謀たちも驚いたが、それでも帝都に招集可能な陸軍兵力に比べれば問題に
なる数ではない。
総戦力に大差があるとはいえ、銃火を交えれば双方や民間人にもかなりの被害が出てしまうだろう。

彼らの意見で主流を占めていたのは「武力鎮圧」であった。
意外にも、「決起軍に呼応し、太正維新を」という声はほとんどなかった。
どうしても彼らには容認できないことがあったのである。
それは統帥権であった。

これは、「軍の方針は軍自らが決める」というもので、他は天皇の命令によるもの以外認めら
れない、ということだ。
なのに決起軍は、上意下達という軍の統帥権を侵害し、天皇の軍隊を私した。
これは、もはや皇軍ではなく私兵である。
陸軍の最上層機関である参謀本部としては、これを認めることは到底出来ない相談であった。

若手の佐官や尉官たちがいきり立ち、直ちに武力行使をと迫るのを、皇軍相撃を恐れる参謀
総長や次長たちが必死に宥めるという構図に終始した。
一方、天皇の恣意により招集される参議官会議では、武力鎮圧より説得という方針が大勢になっていた。
やはり陸軍同士の衝突を出来るだけ避けたいとの思惑である。
そして京極陸軍大臣も、強力に説得案を支持していた。

その陸相官邸。
事態は、京極にとってやや不利に推移している。
現時点では天皇の説得は難しいだろう。
参謀本部の若手参謀たちも激怒しており、「話し合いの余地なし。鎮圧あるのみ」という会議
の結論を伝えてきていた。
しかし、ここまでは事前の予測範囲内だったことだ。
まだ何とかなる。

京極は山口海相に連絡をつけようとしていた。
海軍の思惑や行動を知りたかったからだ。
京極の後、陛下に謁見した山口大将はどんな御嘉命を受けたのか。

「閣下、山口大臣です」
「ん」

秘書官が受話器を京極に手渡す。

「もしもし、山口大臣ですな? 陸軍の京極です」

−京極閣下、いったい陸軍は何をしでかすつもりなんですかな?

「山口さん、早まってもらっては困る。あれは一部不満分子が……」

−そんなことはどうでもいい。陸軍として、これからどうするつもりなんです。

「……参謀本部の見解は断固鎮圧だ。だが参議官や高官たちは、無用の流血を避ける意味でも
皇軍相撃は何としてもやめさせたいという方針だ」

−つまり説得ですかな。

「そうだ。彼らの言い分も聞き、受け入れるべき点は受け入れる。その上で…」

−果断な京極閣下らしくもないお言葉ですな。

山口は怒りを押し殺して言った。

−彼らは皇軍を私兵化し、陛下に弓引き、帝都に乱を起こしたのですぞ。しかも政府要人や
議員を殺し、民間人まで襲撃しとる。いいですかな、これは殺人、犯罪ですぞ。

「……」

−そんな連中の話を受け入れる余地は一片もないように小官は思いますがな。

「いや、だからだ。だからこそ、あまり事を荒立てず、互いに冷静になって話し合い、説得す
べきではないか」

−……。

「無論、彼らは許されないことをした。それは事実だろう。だが、ここで無理押しして彼らを
潰そうとしたら、自暴自棄になった彼らが何をするかわかりませんぞ」

−……放っておけ、と言われるのかな?

「そうではない。ここだけの話ですがな、近い内に戒厳令を布くことになりましょう」

−戒厳令を……。

当然の策だろう。
この状態で睨み合いを続けるわけにはいかないし、そうでなくとも彼らは一触即発の状態だ。
ヘタに先走る部隊が出たら目も当てられない。
都民たちの安全ということもある。
遅かれ早かれ戒厳司令部を設置し、統一指揮して対処すべきだ。

「だからそれまで待ってくれんか。そう遠い話ではない」

−京極さん。

山口の口調が変わった。
押し出すような低い声で言う。

−わしは今朝、陛下に謁見したときに認可を受け、同時に御下命を受けた。

「……ほう」

−土佐湾沖で演習中だった連合艦隊を呼び寄せた。

「なんですと……!?」

−連合艦隊司令長官の高橋大将に命じて、艦隊を二つに分割し、ひとつを大阪湾、もうひとつ
を東京湾へ急行させておるところだ。

今度は京極の方が、怒りで額に筋を立てる番だ。

「山口さん、海軍は陸軍にしかけるおつもりか」

−それこそ勘違いされては困る。我が海軍はあくまで陛下の軍だ。民の軍だ。別に陸軍とやり
合おうというわけではないぞ。だが、今、帝都にのさばっている連中はもう皇軍ではない。
それはあんたも認めるだろう?

「……」

−あんたも陛下から聞いたろう。陛下は連中を「叛乱軍」と呼びましたぞ。我らは協力して
彼らの無法な行為に対処すべきじゃないかね。

「……」

ハト派だったはずの山口和豊大将からつむぎだされる強硬な意見に、京極は返す言葉もなかった。

−それと、陸戦隊も帝都に招集をかけた。念のために言っておくがね、その気になれば海軍は
三個師団程度の陸上兵力を集めることが出来る。

「……どういう意味かな」

−とにかく海軍としても出来る限りのことはする。いいかね、やつらは帝撃や横浜の神崎邸に
まで押し入っているのだ。幸い、粛清された情報は入っていないが、米田くんたちや神崎さん
の身に危険がさらされていることに変わりはないのだ。のんびりしているヒマはない。

「……」

−……それとも、これからこういった話はあんたではなく、直接、参謀本部にした方がいいかね?

「私で構わない……い、いや、私にして欲しい」

−そうかね。どっちでもいいが、早急に解決しなければならん。

山口からの電話が切れると、京極は忌々しげに受話器を叩きつけた。
事の成り行きを心配していた主席秘書官が恐る恐る尋ねる。

「閣下、いかがでございましたか」
「……山口の古狸めが、陛下の御威光を笠に着おって」
「……」
「連合艦隊と陸戦隊で、この私を恫喝してきおった」

京極はいらいらとテーブルを指先で叩いた。

「急ぐ必要があるな……」

* - * - * - * -* - *

「ん、んむっ! ……んぐ、んううっ…んんっ……えぐっ……く……ぐうっ」

大帝国劇場地下一階、鍛錬室。
隊員たちが主にウェイト・トレーニングをこなす場所である。
ここがマリア=タチバナ凌辱劇の舞台になっていた。

「おら、口を離すな!」
「もっと腰を振らんか!」
「しゃんとせい、しゃんと!」

白い女体に男たちが群がって、口々に罵っている。
マリアは幾人もの男たちに奉仕させられていた。
最初は着けられていたガーター・ベルトやストッキングも、汗や汚液にまみれて破り捨てられていた。
文字通り、一糸まとわぬ姿で兵たちの薄汚い欲望を受け止めさせられている。

「むっ……ふむっっ……んぐう、ぐぅ……むちゅっ……はんむ……ぐうう……」

マリアは身体中に精液がこびりついている。
背中と言わず、尻と言わず、手と言わず、あらゆるところに射精された。
顔や髪にもかけられた。
兵たちは、出したばかりの男根をマリアの髪で拭ったりもして、その見事だったブロンドが
無惨な有り様になっている。

白い肢体になすりつけられた精液は、渇きかけているものから、さっき出されたばかりのドロ
ドロ状のものまである。
それを見ても、マリアはもう数え切れないほどに凌辱され続けていたことがわかる。

「ぐうう……むっ……んんっ……はぐう……」

マリアはもう拘束されていない。
もはや兵たちに抗おうともしなかった。
そのような抵抗はムダだと覚らされてしまったからだ。
口に突っ込まれたペニスを食いちぎってやろうかとも思ったが、その後何をされるかは火を
見るよりも明らかだ。
一対一ならともかく、多数に輪姦されている現状では、無意味な抵抗は自殺行為である。

しかも相手は野卑な兵隊どもだ。
ただでさえ血の気の多い連中が、クーデター騒ぎなど起こしてさらに興奮している。
何をしでかすかわからなかった。

反撃するには生き延びることだ。
脱出させたさくらがうまくすみれの元へ行ければ、いくらでも策はある。
それまで堪え忍ぼうとマリアは決心していた。
何をされても、石のように冷たい態度をとっていればよい。

しかし、花組隊長代理に対する責めは酸鼻を極めた。
若い兵隊どもすべての相手をさせられたのである。
飢えた野犬の群に肉塊を放り込んだようなもので、兵たちはマリアに貪りついた。

今もマリアは五人もの男を同時に受け入れていた。
ベンチシートに寝そべった兵の上にうつぶせ寝かされ、媚肉を犯されている。
顔を上に向かせられ、口に男根を含まされた。
そして、この場を仕切っているアヌス好きの下士官が、マリアの肛門を貫いていた。
さらに左右の手は、それぞれ兵の肉棒を握らされている。
このような異常なシチュエーションで、マリアはもう二時間以上も犯され続けているのだ。

「後がつかえてるぞ、さっさと出さんかきさま」
「何を! きさま、さっき出したばかりだろうが」
「一回で終わるわけもあるまい。きさまだってそうだろうが」

兵たちが好き勝手なことを言い合って、卑下た笑いを浮かべている。
順番待ちをしている男たちは、みな一様に興奮して、ハーフの美女が激しくレイプされる様子
を眺めていた。
抑え切れぬ連中は、目を血走らせてマリアの駆け寄り、男の胸板でつぶされている豊かなバス
トを揉みしだくのだった。

「んおぅっ……んじゅっ……むふっ……じゅぶっ……む……むむっ……ちゅぶぶ……んううう……」

マリアの口を責めている男が、髪を掴んでぐいっと喉の奥まで差し込む。
太いもので奥まで突かれる苦しさでマリアの目に涙がにじむ。
喉をふさがれて呼吸が出来ず、マリアは盛んに首を振るが男は許さない。
マリアは苦悶の表情を浮かべ鼻で呼吸する。

「うごっ……か……くくっ……じゅぶ、じゅぶっ……む、むむっ……」

一方、マリアの膣を貫いている男は、彼女の腰を掴んで律動させている。
連続するレイプでマリアの腰が痺れ切り、自ら動かすことが出来ないのだ。
マリアの分泌液と兵たちの精液でドロドロ、ぬめぬめになっている媚肉だが、驚いたことに
締め付けは変わらず強かった。
熱くぬるぬるしているのに締まりが良い。
抜群の媚肉に歓喜した男は、その太い肉棒を何度となくマリアの中で往復させていた。

「おら、もっと締めんか!」
「うごっ!」

少しでも締めつけが緩むと、男は怒ってマリアの腿を平手打ちする。
汗にまみれた太腿がピシャッと音を立て、マリアの全身が硬直する。
するとイヤでも膣やアヌスが締まり、責める兵たちを愉しませるのだった。

男たちは面白がって射精しまくった。
順番にマリアから引き抜き、ひとりずつ顔に浴びせかけてやったこともある。
突かれるたびに揺れ動く乳房に刺激され、パイズリさせてそのまま放出したこともあった。
もちろん、胎内にも咥内にも遠慮なく出した。
中でも彼らが気に入っていたのは、全員同時に射精してやることだった。

「よ、よし、またみんなで行くぞ!」
「なんだきさま、もう耐え切れんのか。早漏めが」

ドッと周りの兵たちが笑う。

「やかましい。早く代わってやらにゃ、あとのやつが待ちかねているだろう」

それを聞いて、見学者たちが「そうだ、そうだ」とはやし立てる。
結局、出して代わってやることにした。
膣や口を責める腰の動きが早くなる。
みんな思い切り突いてきた。
マリアの甘手でペニスを握らせた兵たちも、よりしごく速度を上げた。

「んおおおっ……んむ、んむ、んむっ……じゅぶ、ちゅぶうっ……む、むむっ!!」

四人の兵たちはほぼ同時に射精した。
白濁した汚液が、マリアの口を、膣を、手を汚した。

「ぷはああっ…が、がほっ、げほっ……イヤぁ……ごほ、ごほっ……」

口中に生臭い粘液を流し込まれたマリアはたまらず吐き出した。
一緒に吐き出されたペニスは、精液とマリアの唾液でどろどろだった。
口から出され、精を飲ませることが出来なかった兵が激怒する。

「きさま! 飲めと言ったろうがっ!」
「あぐうっ!」

カッとした男が、ぐったりするマリアの頬を激しく殴打する。
飲めと命令されても、これだけは慣れることが出来なかった。
生暖かく、生臭いドロドロした粘液を飲み下すのは、かなり勇気が要るものなのだ。
しかもそれは本来飲むべきものではない。
男の性欲の権化のようなその液体を、生理的嫌悪感もあって、マリアはなるべく飲まないよう
にしていた。

だが、それも最初だけである。
何度も続けて犯されているうち、意識が朦朧となったところに出されると、苦しくて飲んで
しまうこともあった。
今のように殴られて飲まされることもあった。
マリアは、男の穢れた汁を飲まされるたび、身体の中から腐敗していくような感覚を覚えた。

「早くどけ、代われ」
「わかったよ」

マリアに思い切り射精した男どもがその余韻に酔っていると、今か今かと待ちかまえていた兵
たちにせっつかれる。
名残惜しげに女体をいじっている連中を引き剥がし、次の兵どもがマリアに裸体に群がっていく。

犯し方は同じだ。
マリアの下に潜り込んで媚肉を犯し、口に挿入してムリヤリにフェラさせる。
そして穴にあぶれた男たちは、柔らかい手を使わせて自分のペニスをしごかせる。
揉みでのあるバストにむしゃぶりつき、官能的な太腿に舌を這わせた。
蠢く尻たぶを舐める者もいれば、ふくらはぎや腋、脇腹を舐め回す男もいた。
マリアは、文字通り全身を犯されていた。

マリアは大勢の男たちに、入れ替わり立ち替わり犯されていたが、ひとりだけ常にマリアを
犯している男がいた。
関本少尉に「尻好きな男」と言われた曹長である。
彼は、彼の分隊員たちがマリアを交代で凌辱している間中、ずっとマリアの肛門に入れていた
のである。
その間、何度か射精しているが、出したあともそのままペニスをアヌスに入れっぱなしなのだ。

射精し終わり、半勃ち状態のものがマリアの腸内に入っているうちに、また充血して硬くなり
射精する。
その繰り返しだった。
複数の男に輪姦されることよりも、排泄器官を犯される屈辱と恥辱の方が、マリアには堪えた。

「はあ……はあ…はあ……いや……も、もう、お尻……いや……」

もう三時間近く肛門に肉棒を挿入され続け、拡張され続けている。
アヌスを犯されるという汚辱感が延々と続き、マリアは気がおかしくなりそうだ。

「い、いや、うぶっ……ぐ、ぐうむっ…むんっ……むむう……むぐっ」

ロクに言葉を発しないうちに、新たな肉棒がその口唇に突っ込まれる。
肛門にペニスを入れられ、狭くなっている膣にも次の男根が入り込んできた。
たちまちマリアの穴は全部ふさがれた。

「んじゅるっ……ちゅぶ…むむんっ……んんっ…う、うう……うん、ううむっ…」

前後の口を同時に犯され、尻までも肉棒の餌食になっている美女の身悶えぶりは、いやが上
にも男たちを興奮させる。
出し終わって余裕のある男たちが、マリアに野卑な侮蔑をぶつける。

「ひひ、あと何回出されれば終わるかな?」
「俺はまだまだ平気だぜ」
「俺もだ」
「へっ、スケベどもが。だが、女の方が保たねえぞ」

それを聞いて、曹長がニヤリとして言う。

「遠慮はいらんぞ、おまえら。どうせ最後にゃぶち殺す女だ。それに、見ろ、こいつは日本人
じゃない」

曹長は腰を振りながら言った。
肉棒を突き刺しているマリアの肛門が、刺されるとめくれこまれ、抜かれるとめくり出されている。
そのぷりぷり動く尻を見ていると、突き潰したくなる欲求にかられた。

「この毛唐の身体を見ろ。たっぷりと肉が乗って脂が滴りそうだ。これならいくら犯っても
壊れはしまい」
「分隊長どのがそうおっしゃるなら、とことんやりますぜ」
「そうとも。それにしてもこんだけ中出ししたら孕むのは時間の問題ですな」
「かまわねえさ、これだけ大勢で犯してるんだ、誰が父親かわかりゃしねえよ」

下士官がそう言うと、ドッと男たちが笑い崩れた。
実際、マリアは前も後ろも溢れかえるほど射精されていた。

曹長が尻を突き上げると、咥内に含んだ肉棒が喉まで届いてくる。
また、尻を上から下に押しつぶすように挿入すると、下から媚肉を上へ突き上げてくる。
マリアは前後と上下から肢体を揉み潰されていた。

「ん、んん……む……むうう……んぐ……んごっ……む……」

犯され続けるブロンド美女は、何時間にも及ぶ凌辱の疲れで意識が朦朧としてきている。
羞恥も汚辱も、ともすれば消えてしまいそうである。
もう、どうでもいいと思ってしまうと、そこかしこから暗く妖しい快楽が忍び込んできてしまう。

それに気づいたマリアは、必死で意識を保とうとしていた。
疲労や激しい責めでチロリと愉悦が漂ってくると、目を固く閉じて堪え忍ぶ。
せめて、何とか責めの結果を声に出すことだけは防ぎたかった。
喘ぐことだけは堪えようとした。

「んううっ!? んおっ…むっ……むくっ……」

マリアが我慢して力むと、結果として膣やアヌスが締められてしまう。
それは兵を悦ばせるだけなのだ。
ぐぐっと締まった膣に、責める兵はより一層マリアを激しく突き上げる。
それは尻を責める曹長も同じだった。

(んああっ!? だ、だめ、そんな激しいっ……、ああっ)

声が出せず、マリアは心の中で叫ぶ。
さらに締まったアヌスに、曹長が腰を捻ってねじるように肉棒を挿入してきた。
その、肛門の襞を巻き込むような捻り込みに、とうとうマリアは耐え切れず、喘いでしまう。

「あ、あああっ……むあうっ」

もう、口いっぱいに頬張っていたはずなのに、アヌスから強引に入ってきた快感に、マリアは
もっと大きく口を開けてよがった。
口を責めていた男は、そこを狙って思い切り喉奥まで貫き、ペニスを根元まで押し込んだ。

「んむうううっ……んごっ…ぐええっ……じゅ、じゅるるっ……じゅぶ、じゅぶ……」

もう入らないところまで入っていた肉棒が、さらに奥まで侵入する。
媚肉の方も、下から兵が腰を上げ、マリアの腰に密着させるほどに深くまで入れていた。

(ふわああっ……ふか、深い、深すぎるっ……口も……あそこも、ああっ……)

マリアは、腰と胸がカッと熱くなるのを感じた。
目には涙がにじみ、喉は咳き込む。
なのに、膣や肛門には苦痛とは違った熱さを感じているのだ。
それが何だか理解したマリアだが、もはや彼女にはそれをぐっと我慢することしか出来なかった。

(ああ……ああ、何だか……こ、このままじゃ…私……あ、あああ……)

責め抜かれる美女の顔は、苦悶だけでなく、うっとりとしたものが混じり始める。
マリアの美貌は、苦痛に喘ぐ表情だけでも男を魅了したが、だんだんと責めを受け入れ始めた
この顔を見て、責める男たちはさらに畳みかけるように責めた。

力任せに腰を使う。
太く硬い男根が、マリアの口を、媚肉を、肛門を責め立てた。
唇からは唾液が、膣からは愛液が、そして肛門からも腸液が滴っている。
いずれの汁も精液混じりである。

「いやあ、いい手だぜ。オマンコじゃなくても、これだけでいけそうだ」

マリアの手に逸物を握らせている兵が言った。
マリアはもう無抵抗で、男に動きを任せている。
しなやかな白い指が醜悪な形の赤黒いペニスを握らされ、しごいていた。
手も指も男汁でべとべとのぬるぬるだ。
その手がぶるぶると震えている。
恐怖のせいでも快楽のせいでもなかった。
もうマリアの身体と精神が保たなくなっているのである。

「んじゅるるっ……むう、むむっ……んぐぐっ……ふ、ふごっ……」

(ああ、もう……もう、だめ……。保たない……か、身体も、頭も、もう保たない……。これ
以上……ああ、これ以上されたら、もう……)

尻を犯している曹長と、媚肉を犯している兵が調子を合わせて腰を振る。
突っ込んだまま、ぐりぐりと腰を回し、内部を抉った。
曹長が下に突き込み、マリアの腹へ突き抜けるように抉れば、下から責める男は思いきり上へ
突き上げ、背中に抜けるほどに抉った。
たまに肉棒同士がマリアの中で擦れ合うと、粘膜が軋み、痺れるような快感が脳髄を襲ってくる。
マリアは、二本の男根で下半身を引き裂かれそうだった。

「んん……んんっ……んむむ……む、むう……むっ」

マリアの瞳の視点が合わなくなってくる。
精神崩壊寸前なのだ。

(だめ……もう、だめ……。き、気持ち…よく……なってる……。私、気持ちよくなってきてる……)

マリアは観念してしまった。
そう思った途端、頭で何かが白く弾け飛んだ。
逆に身体の方は軽くなってきた気がする。
マリアの心は、自我崩壊寸前で自らを救うことにしたらしい。
マリアが自覚した通り、これ以上、心の理性と肉体の欲望が反発しあうことは不可能だったのだ。
二律背反をやめ、素直に快楽を受け入れることにしたのである。
もう肉欲に溺れるしかなかったのだ。

(だめ、だめっ……そんなの、だめっ……、ああ、こんな連中に……か、感じさせられるなんて……)

マリアは必死に抗う。
もはや敵は、自分を凌辱する兵たちではなく、それを受け入れようとする自分の心だ。
だが、身体の方もおかしくなってきた。
末端と言わず、頭と言わず、びりびりと痺れてきた。
ムリヤリ感じさせられている快楽によるものか、疲労によるものなのか、それともマリアの心
の葛藤のせいなのか、はっきりわからなくなってきている。
マリアの穴を突く三人の男はリズムを合わせて突き上げている。
抗う気持ちも、肉の快美に狂乱する本能に押し伏せられそうだ。
たくましいペニスが三本も身体に入り込み、マリアの身体中の肉を爛れさせ、灼き尽くしていく。
その苦痛と快感が入り交じり、いよいよマリアを追い詰めていった。

(い、いいっ……、だめ、いいっ……)

マリアは心の中でよがった。
マリアは喘ぎたかった。
心の底からよがり、喘げれば、この苦悩から脱することが出来るからだ。
しかし口には野太い肉茎が入り込んでおり、声を出すどころか吐息すら出せない。
女肉を泣かせるほどの性の喜悦は、その出口を失ってマリアの肉体に籠もっていく。
それが限界に達し、炸裂した時が自分の堕ちる時だと彼女は覚っていた。

この時あたりからマリアの肉体に変化が生じた。
まるで男の動きを受け止めるかのような積極的なものになってきたのだ。
突かれれば腰を突き出す。
肉棒が右にねじられれば、左に腰を捻ってねじり感を強まらせる。
そして、咥内を犯す肉棒にも、甘く柔らかい舌を這わせ出したのである。

「う、うご……むむっ……むん……むん……むむうっ……」

責める男たちの目から見ても、明らかにマリアの様子が変わったのを確認出来た。
輪姦、強姦という状況でもふるいつきたくなるような女だったのに、これが快感を受け入れ
出したらどうなるのだろうか。
兵たちの期待が高まり、欲望はますます募っていく。

(そ、そこだめっ……あ、あ、あああ……お尻、お尻があっ……)

膣と肛門に詰め込まれたペニスがマリアの中で小突き合う。
粘膜を通して二本の肉棒が競い合うようにしてマリアを責め込んだ。
かと思うと、共同作戦で擦り合い、悶える美女の快感を増幅させている。

尻を犯す曹長が、盛んに肉棒が出入りしているアヌスの縁を指でなぞった。
途端にピリピリッとした刺激がマリアを襲う。
ビクン、ビクンと痙攣する肢体を、下の男が押さえ込み、ぐいぐいと子宮口まで責め上げていく。

曹長は飽きもせずマリアのアヌスを撫でている。
ただでさえ激しすぎる律動が加えられているアヌスなのに、皺を拡げるように擦られ続けて、
もうすっかり赤く爛れ、熱を帯びてきていた。

(ああ……熱い……、お尻、熱い……あう、あううっ……ま、前も熱くて、ああ、もうっ)

よりはっきりと快感の仕草を見せてきたマリアに興奮し、胸をまさぐっていた男が、乳首を
抓るように力を入れた。
びりりっと電気的な刺激が走り、マリアは狼狽する。
さらに乳房を根元からねじ上げるようにこね回された。
激痛すら走りそうな刺激なのに、マリアの肉体は違った反応を見せた。
きゅんきゅんと肛門と媚肉の締まりがきつくなっていったのだ。
マリアの精神は、痛みすら快楽に置き換え、心を救おうとしていた。

それを知ってか知らずか、男たちはかさに掛かって責めてくる。
マリアをまったく休ませようとしなかった。

「お……おおっ」

マリアの口を犯していた兵が思わず呻く。
熱い舌がねっとりと亀頭部を舐め回してきたのだ。
それまでは、なるべく舌を使わないようにしていたはずなのに、いつしか美女は愛おしそうに
男の肉茎をねぶっていたのだった。

「じゅぶ、じゅぶ、じゅぶっ……は、はむむっ……んじゅっ、くちゅ、ぐじゅっ…んれろぉ…
…じゅぶぶっ、じゅるるぅっ……」

竿の筋に舌を這わせたかと思うと、首を動かしてずぶずぶとピストンしてやる。
そしてカリ部分を唇でねぶり、今度は一気に喉の奥まで飲み込んだ。
だめ押しに、鈴口に舌の裏を押し当て、ぬるりとした粘膜でペニスを刺激した。
男はたまらず呻いて、マリアの顔をがっちり掴むと、ガクガクと思い切り揺さぶった。

「むほっ…ごっ、ごぼっ……じゅぶぶっ……」

喉を突かれ、マリアは思わず涙ぐむものの、それでもペニスを舐め回すことを止めなかった。
急に顔をしかめて唸りだした部下を見て曹長が言う。

「どうした、もういきそうか?」
「ぶ、分隊長どの、こ、この女、急に舌を使い出しましたよ」
「舌を?」
「ええ、やる気になったみたいっすよ」

それを聞いて下士官はニヤリとする。
ここで一気に作り替えてしまうべきだろう。
曹長は、マリアの身体を貪っている兵たちに目線を送る。
兵たちも心得ているようで、責めが一層烈しくなった。

「うごごっ……むむぅっ……じゅぶっ……む、むくっ……」

(だめ、だめ、そんなっ……あ、ああ激しすぎるっ……ああ、いいっ……あ、もう、だめ、
いく……いきそうっ…)

媚肉を責めている兵は子宮口まで貫くほどに、アヌスを犯す曹長も肉棒を根元まで押し込み、
口にくわえさせている兵も喉に陰茎が侵入するまで突っ込み、律動を加えた。
マリアの手を使っている男ふたりは何もしていなかった。
何もしなくても、マリアの方が握ったペニスを勝手にしごきだしていたのである。
そして腿を、乳を、足の裏を、二の腕を、ふくらはぎを、尻たぶを、脇腹を、腋の下を、首筋
を、男たちが舌を滑らせ唾液をまぶし続けた。

マリアはもう全身が性感帯だった。
その全身を犯されていた。
悩ましく身悶え、しなやかな裸身をうねらせる姿態は、もう帝撃花組隊員の誇りも意地もなかった。

(ああ……ああっ……い、いく……いくう……あっ、あっ、あっ……)

マリアの全身が言い尽くせぬ快楽で細かく痙攣し始める。
マリアが達すると知った男たちは、最後の仕上げとばかりに激しくピストンし、舐め、愛撫し
まくった。
兵たちも限界に近く、尻や媚肉や口を貫き、手に握らせたペニスがぐぐっと熱く硬く膨れあが
ってきた。
その熱さ、たくましさは直にマリアに伝わる。

(あ、ああ……ま、またおっきくなってる……で、出るんだわ……)

その精を浴びる感触を思い出し、マリアはぶるるっと大きく震えた。

(う、うむむっ……いく、いっくっ!)

美女が激しく絶頂に達し、肛門と膣が思い切り締め上げられる。
曹長も兵も、さすがに我慢できず射精した。

「うももっ……ぐ、ぐっ……ん、んぐっ……んくん……くん……」

子宮の中にまで熱い精液を浴び、マリアは痙攣する。
肛門深く、腸の奥にまで白濁を噴き上げられて失神しそうになった。
そして口いっぱいに射精された粘液を一滴残らず飲み干して見せた。

「ぷあ……、はあ…はあ……はあ……んっ、げ、げほんっ……はあ……」

マリアに群がる男たちは満足そうに肉棒を引き抜いた。
そしてぐったりとうつぶせに横たわった生贄を見やる。
溢れかえるほど射精された精液が媚肉と肛門からトロトロと漏れ出していた。

真っ白だった裸身はほのかなピンクに染まっている。
そこを乾いた精液がこびりつき、ガビガビになっていた。
その上には新しい精液がどろどろになって付着している。
顔は、苦悩というよりは快楽で歪んでいるように見えた。
しまりのなくなった口の端からはよだれが零れていた。
白い粘液が混じっているのは、飲みきれなかった精液だろう。
力無く、しどけなく横たわった美女に対し、男たちの底なしの欲望は尽きることがない。
すぐに新たな肉欲を覚え、次の兵たちがマリアに触れてきた。

「あ、ああ……」

兵の武骨な熱い指やペニスを感じ、マリアがうっすらを目を開いた。
アヌスを貫いたままの曹長が、髪を掴んで後ろを向かせる。

「女、そんなによかったか」
「……」
「よかったんだろうが。そう言えば、また極楽へ連れていってやるぞ」

マリアは首を振ろうとしたが、髪をつかまれて動けなかった。
そして口からは、本人が思いもかけなかった言葉がまろび出た。

「いい……」
「気持ちよかったんだな」

マリアの首が微かに縦に動いた。
彼女自身は、自分が何をやっているのか理解していない。
散々犯され、それでもまだ疼いている淫らな肉欲がマリアの身体を操っていた。

「どうして欲しいか言ってみろ」
「……」

マリアは唇を噛みしめたが、すぐに口を開いた。

「…ああ……た、たくましいので……し、してください……」
「そうじゃないだろう。たくましい大きなチンポで、オマンコと肛門に深くまで入れてくだ
さい、だろう。そして何度もいかせてください、だろうが」

マリアはカクンと頷いて口にした。
夢遊病のようなものだ。

「たくましい…お、大きなチン……チンポで……お、オマンコと……こう、肛門に、深くまで
……ああ、入れてください……。何度も……何度もいかせてくださいっ」
「ようし」

曹長は満足げにうなずくと、次の兵たちに合図した。
すぐに媚肉に押し込まれ、アヌスに入った曹長のペニスにも芯が入った。
ぐずぐずなのにきつい膣をこそぐように突っ込まれ、肛門を内側から拡張される感覚にマリア
はのけぞって絶叫した。

「あっ…ああ、いい、すごいっ……ふ、太いっ……あ、あうう、いいっ…」

何をためらうでもなく、マリアは腹の底から喘ぎ、嬌声を上げ続けるのだった。

* - * - * - * -* - *

その日の正午、京極陸軍大臣は参謀次長と軍参議官二名を引き連れて、決起軍の立て籠もる
陸軍省を訪れた。
クーデター軍指揮官の天笠少佐から電話があり、希望条項を述べたいと申し出てきたのである。

これは、決起軍バックの京極としては予定の行動だ。
ここで彼らの主張を述べさせ、参謀本部や陸軍省の連中に譲歩できるところを譲歩させるつもりなのだ。

しかし、このクーデターを完全に成功させる必要はないと踏んでいる京極にとっては、実は
どうでもいいことだ。
ただ、実戦部隊の面々にそうは思わせないためにも必要な儀式である。
さらに、少しでも彼らの主張が通れば、今後、京極にとってやりやすくなるのだ。
どっちに転んでも、彼にキズはつかない。

天笠たちが陸軍首脳に述べたのは、結局、意趣文とほぼ同様の内容だった。
京極を首班に内閣を作り、君奸を一掃する。
汚職・腐敗議員を追放し、旧財閥を解体、その資産を臣民に分配する等々である。
さらに自分たちの身分は決起前そのままとし、以上条件を満たした後、直ちに原隊へ復帰する
ものとした。

京極は、自分が首相となることには難色を示したが、他は認めてもよい旨を告げた。
首相就任を断ったのは、裏があるとバレては意味がないし、このような強硬手段で成立させた
内閣は脆いとわかっているからだ。
自分が組閣する内閣は長期安定政権でなければならない。
現状を活かし、自分の立場を強化すれば今回は良しとすべきである。

参謀次長や参議官たちは言葉を濁したが、彼らにとって決起軍の主張はとても受け入れられる
ものではなかった。
京極は天笠らに善処を約し、会見は終了した。
そして臨時陸軍省である憲兵司令部に帰ると、ただちに参謀会議を開催、戒厳令の公布を決定した。
その知らせは帝都内の決起軍部隊にも届き、横浜の紀平たちのもとにも電話で連絡された。

* - * - * - * -* - *

「そうですか! とうとう戒厳令が……」

紀平中尉に天笠少佐から直接電話が入っていた。

−ああ、そうだ。陸軍大臣告示として戒厳令が公布された。同時に、我々は警備部隊として
現在の占領地を警備せよ、との命令もある。

何もかも思った通りに進んでいる。
天笠の描いたシナリオとしては、帝都各地に進出した部隊は、戒厳令後、そのまま治安のため
の警備部隊に組み入れられ、事態終結後に原隊へ帰るというものだった。
京極大臣はその通りに事を運んでくれているようだ。

紀平も「これはいける」と思った。
実際、計画を聞かされ、また、いざ実施に段になっても、本当に成功するのかという一抹の
不安は残っていた。

失敗して自分らが処分されるだけならまだいい。
しかし、ついてきた兵たちはどうなるのか。
決起のために閣僚たちを暗殺したこともムダになってしまう。
紀平にとっても天笠にとっても、決起に於ける要人襲撃、暗殺は付随的なことなのだ。
殺人は手段であり、目的ではなかった。
だからこそ、殺さねばならなかった人々のためにも、この計画を是が非でも成功させる必要が
あったのである。
紀平は今までの苦難と拓けた未来を思い、喜びを噛みしめた。

* - * - * - * -* - *

「あ……ああっ…」

大帝国劇場地下一階からは、相変わらずマリアの喘ぎ声が響く。
部屋には男女の性臭が籠もりきり、むせかえるほどだ。
部屋を掃除するわけでもなく、またマリアも入浴できない状態だから、部屋にも彼女自身にも
饐えたような匂いが漂っている。

この惨劇を、米田もかえでも知らなかった。
地階は、司令室や鍛錬場、訓練用プールなど、劇場ではなく軍事施設としての帝撃基地になっ
ているため、防火防音がきっちりなされている。
しかも地階出入り口には常時歩哨が立っているし、そもそも米田らは私室に監禁されているの
だから知り得ようがなかった。
無事に逃げたことを祈るくらいしか出来なかったのだ。
事実は、マリアはここで、さくらはすみれの邸宅で激しい凌辱を受けていた。

「ふああっ……あ、あんっ……く、くあっ……」

珍しく、マリアを犯しているのはひとりである。
関本完治少尉だった。
普段は、彼の小隊の兵たちが輪姦しているのだが、指揮官の井村中尉の目を逃れ、時間がとれ
る時はこうして関本もやってきてマリアを凌辱した。
その時は人払いをして、関本ひとりでマリアの肉体を愉しむのである。

「あ、あむむっ……い、痛い……あっ……ううんっ」

関本のセックスも激しい。
荒々しくマリアの乳首を吸い上げ、乳房を根元から絞り上げるようにして揉み込む。
乳首は舌で転がされるだけでなく、容赦なく歯を立てられ、跡までつけられた。
同時に肉芽を指で嬲り、これも力を入れて抓る。

「やめて、痛い! ……ああ……ひっ、ひぃっ…いやあっ……」

どんなに泣き叫ぼうが、関本は許さなかった。
下っ端の兵隊たちに散々ぱら犯されまくり、まだ完全に官能の火が治まってはいないのだ。
それが熾き火のようにマリアの中に残り、身体を淫らにまさぐられると、途端に表に出てきて
しまう。
マリアの意志はまったく関係ない。
勝手に肉体が燃え上がり、浅ましい欲望がじりじりと全身へ広がってゆく。
どうしようもなく高まらされ、肢体からはねばっこい汗が滲んでくる。

「あああ……ああ……」

美女の裸体は、少尉の指や舌に振り回され、追い上げられていく。
いびられる乳首もクリトリスもピンと硬く尖り、充血する。
媚肉も熱い蜜を滴らせ、アヌスもひくひくとしてきていた。
呻き、喘ぐ声にも艶めいた色を浮かび上がらせ、媚びるようにすら聞こえた。
嫌がっていたはずの腰の動きも、まるで求めるかのようなそれに変化していく。
どうしようもない肉の悦楽に巻き込まれ、翻弄される。

「はあああっ……あむ……あっ……んはっ…」

もはや隠しようもないよがり声を上げ、汗に濡れた肢体をくねらせている。
関本は遠慮なく貫いた。

「か…はっ……」

その瞬間、マリアはガクンと仰け反った。
熱く太い衝撃が敏感な柔肉に襲いかかる。
ぬるぬるの女肉は、あっさりと硬い男根を飲み込んでいた。
関本はできるだけ深くまで貫いた。
先端が子宮に当たり、マリアは絶息しそうな悲鳴を上げて悶えた。
なのに媚肉は収縮を始めている。
肉襞は伸びきって赤く爛れていた。

「あ、ああっ……う、動かないで…ああっ……っあ…っあ…っあ…っあ…」

若い男の攻撃に、マリアはひとたまりもなく呻きだした。
リズミカルに突かれるごとに、紅唇から女の吐息が洩れてしまうのを止められない。
ずるずると出入りする男根は、マリアの膣から生み出される愛液でドロドロに粘ついていた。

正面座位で交わっている関本は、マリアの尻を抱え込み、より深くまでペニスを押し込んだ。

熱い肉棒が子宮口をこね回し、突き上げてくる。
背筋がビリビリと痺れ、我慢できない疼きが全身を駆け抜ける。
突き込まれるとゆさゆさする乳房に吸い付かれ、力いっぱい揉み込まれる。
こうして激しく犯され、痛みが快楽に変わるようになってどれくらいになるだろう。
優しい愛撫では物足りなくなってきている自分に、マリアは嫌悪した。

「っは……あ、あっ……うあ、うああっ……あ、も、もう……」
「早いな、もうか」

返事も出来ず、マリアはめくるめく官能に追い立てられる。
もう我慢するとか耐えるとかいう気持ちはない。
とても堪えきれるような快楽ではないのである。

性の歓喜を満喫している身体から、小さな痙攣がわき起こってくる。
もう関本に抱えてもらわないと、後ろに倒れてしまいそうなくらいに背を反らせていた。
それでいて、太腿は責める彼の腰に巻き付いて離れない。
関本の律動が弱まろうものなら、自分から動いてしまう。

「はあ……はああっ……だ、だめ、もうっ……ああ、い、いきそうっ」

関本は腰をマリアに押しつけたままグリグリと肉棒で抉る。
媚肉をこじ開けるようにして膣襞を擦り上げ、先端は子宮口に入り込もうとしている。
それでも飽きたらず、子宮を胃まで押し上げようと、さらにグイグイと抉った。

子宮を抉られ、子宮口をこじ開けられる。
そしてグイグイと上へと押し上げられる苦痛と快楽に、マリアは半ば失神しかけた。

「い、い、いく……そ、そんなことされたら、いっちゃうっ……あ、ああっ…」

関本は尻に伸ばした指で思い切りアヌスを貫き、抉ってやった。
それをきっかけに、マリアが頂点に達する。

「うああっ、いく……いく!!」

マリアは背骨が折れそうなくらいに仰け反り、ぎゅっと太腿で関本の腰を締め上げた。
脚の指は思い切り内側にかがまっており、激しい絶頂が見てとれた。
二段にも三段にも締め上げてくるマリアの媚肉に、関本も堪えきれずに射精した。

「ふああっ、熱いっ……い、いく!」

子宮の中に直接精液を流し込まれる快感に、マリアはぶるるっと大きく痙攣した。
そしてガックリと力が抜け、仰向けに倒れ込んだ。
関本が覗き込むと、その美貌は凄惨ですらあった。
男心をとろかすような甘く熱い吐息が間断なく洩れている。
喘ぐばかりでろくに呼吸できなかったのか、激しく口と喉を動かし、息をしていた。

「……」

呼吸が整い、ぼんやりながらもマリアが意識を取り戻したので関本は聞いてみる。
ぜひ確認したいことがあった。

「おい、女」
「……」
「きさま、返事をせんか」

マリアは虚ろなままの瞳を関本に向けた。
まだ股間を閉じようという気にもならなかった。
恥ずかしい女の秘密を晒したまま彼女は答えた。

「……な、なによ…。また何か恥ずかしいことでも言わせたいの? この変態……」
「そうではない」

関本はやや苦笑する。
少し虐めすぎたかも知れぬ。

「きさま、露人との混血だそうだな」
「……そうよ。それがどうかして?」
「そう喧嘩腰になるな。露西亜革命に参加したと聞いているが本当か?」
「……」

マリアは意外そうな顔で若い陸軍少尉の顔を見た。
何も考えず、調べずに闇雲に突っ込む特攻的なクーデターだと思っていたが、そうでもないらしい。
一襲撃目標の部隊員に過ぎないマリアのことまで調べているらしい。

隠す必要もないので、マリアは正直に言った。

「……本当よ」
「ならば我らがなぜ起ったかわかるだろう」

関本がマリアに向き直って言った。
いつの間にか軍服を身につけ、軍靴を履き、軍帽もきちんと被っていた。
マリアが答えないでいると、何かいらついたように言った。

「露西亜革命も悪政を布く政府に叛乱を起こしたものだろう。我々の維新も同じだ」
「違うわ!」
「……」

マリアは激しい口調で関本を遮った。

一九一七年二月、ペテログラードで食料難デモが発生する。
それが翌月になると、治まるどころか政治的要求(皇后追放、内相解任を求める)に発展し、
全土に広まっていく。
絶対君主制に反対するロシア国内の勢力は根強く、また頑強だった。

この反体制運動に対し、皇帝ニコライU世は常に弾圧策で臨んだ。
また官僚の任命に当たっても、有能な人物に反感を覚えるという性格であり、君主にふさわ
しいとは言えなかった。
ここで内心皇帝に反感を覚えていた国軍の各級司令官たちが呼応し、ニコライU世に対し、
一斉に反旗を翻したのである。

無論、ニコライが素直に引き下がるはずもなく、ロシアは内戦状態となった。
しかし、最終的にはほぼ全員の軍司令官が彼の退位に賛同し、皇帝の座から追い払われた。
その後成立した臨時政府によりニコライは逮捕され、他の連合国が受け入れを拒絶する中で
軟禁状態におかれ、最後には一族ごと処刑されることになる。

その内戦に、当時十四歳だったマリアも革命軍のメンバーとして参戦していたのだ。

「……ロシア革命は、ニコライの圧政に苦しんだ女性たちが平和的にデモを起こしたのがきっ
かけよ。最初から武力に訴えたわけじゃないわ」
「……」
「最後には軍隊も加わったけど、当初は民衆革命だったのよ。最初っから軍隊が暴走して要人
暗殺をするような愚かなことはしていないわ」

マリアは本当に怒っていた。
胸が張り裂けそうな悲しい思い出のあるあの事件は、もう思い出したくもない。
しかし、その革命に参加したことに関してはまったく悔いはない。
耐え難きを耐え、忍びがたきを忍んできたロシア国民の怒りだったのだ。

それを、己の要求を通すため、あるいは権力奪取のために武力蜂起した輩と同列にされたくは
なかった。
それはマリア自身を、そして兄とも慕い、戦死した隊長を侮辱するのと同義だからだ。

関本は言い返す。

「同じだ! 露国革命は、最初は民衆だったかも知れん。だが結局、軍が動かなければ成り立
たなかったのだ。我々の太正維新もそうだ。きっかけを我々が作っただけのことだ。順番の
問題だ!」
「違うわ」

熱く言い募る関本少尉に対し、マリアはむしろ冷静に受け答えた。

「外をご覧なさい」
「……外だと?」
「あなた方を支持している民衆がひとりでもいるの?」
「……」

マリアは外を見たわけではない。
だから想像である。
しかし、このような暴挙に日本国民が賛同し、革命に加わるわけがない。
父の国の民衆は、そこまで愚かではあるまい。

言われた陸軍少尉の方は虚を突かれた。
確かにそうだ。
関本自身、四丁目交差点でビラを配り、演説もしたが、帝都の人々は遠巻きに見守るだけで、
同意の声を上げてくれる人はいなかったのだ。
関本はぐっと手を握りしめ、マリアに何事か言い返そうとしたが、そのまま黙って部屋を出ていった。



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