あれからしばらく、グランバニア王は茫然自失とした日々を送っていた。
妻が──ビアンカが、こともあろうに魔物の慰み者となっていた。
攫われた直後、モンスター・タワーに乗り込んだ時もそんな予感は薄々していたのだ。

あの時ジャミは、単身タワーに入り込んだリュカを褒め称え、「褒美」と称して妻か子供のどちらかは返すと言ってきた。
冗談ではない。
どちらかなど選べるはずもなかった。
妻も子供も愛する家族だ。
しかし相手はその両者の生殺与奪を握っており、圧倒的に有利な立場にある。
両方だと答えたリュカに対し、冷たく「ならばどちらも殺す」と言ってきた。
どうしようもなかった。

ビアンカは泣いて懇願した。
「自分の心配はしないでいいから、子供たちを連れ帰って」と。
おとなであり母でもあるビアンカとしては当然そう言うだろう。
リュカもそれしかないと思っていた。
しかし、ここまで来てむざむざと妻を置いていくことなど出来ない。
それに、残した妻がどのような運命を辿るのか、想像しただけで気が狂いそうになる。
そして、その最悪の予想通りのことが、実際に行われていたのである。

確かに、殺されるよりはマシなのかも知れない。
しかし、ジャミによる凌辱によって夫婦間には癒しがたい傷が入ったことは確かだった。
もしジャミを退治してビアンカを取り戻せれば、一見ハッピーエンドには思える。
しかしそれは上辺の話であり、例えリュカが忘れようとしてもビアンカの心には禍根が残るに違いないのだ。
互いに愛し合って結ばれたのだから、いずれそんなものは乗り越えられようが、それ以前のような心情とは微妙に違っている。
それもこれも飲み込んで割り切っての関係になるしかないのだ。

そこまで考えを巡らさずとも、リュカは魔物に犯される妻の肢体を想像するだけで、どうしようもない妬心と憤りを覚える。
あの純白の肌に、汚らしい馬人の舌が這うと思うと寒気がする。
柔らかい乳房を、大きな野蛮な手が揉みしだいていると思うと身体が震える。
そして、リュカだけのものだったはずの媚肉に、ジャミの大きすぎる男根がめり込んでいくのを思うと、怒りと嫉妬で顔が青ざめた。
それが恐らく毎日のように繰り返されているのだ。
しかも、子供や民衆の命を盾に脅されたとはいえ、あろうことかビアンカへのレイプの手伝いまでさせられたのである。
妻はリュカのクンニリングスを受け、敢えなく達してしまった。
そこでリュカは帰されたが、考えるまでもなくその後にビアンカは再びジャミに犯されたのだろう。
リュカの心は、妻を思う気持ちと、その妻を穢した──そして今も穢しているであろうジャミへの怒りと憎しみでいっぱいになっていた。
正直言って、国政どころの話ではなかった。
一国の指導者としては失格だが、20歳の若者にそれを望むのは無理というものだろう。

いや、それでもリュカは表面上だけでも王として振る舞おうとし、政務を執り行おうとしたのである。そ
れを巧みに妨害したのがザバン一派だった。
リュカが政務に口を出そうとすると、さりげなく攫われたビアンカのことを口にし、王の心をかき乱した。
あまつさえ、無駄と判っているのに、王妃奪還のため北の塔で戦うよう勧めたりもした。

居ても立ってもいられなくなったリュカは、国務とザバンたちに任せ、血気に逸ってモンスター・タワーに向かうのだった。
そのたび撃退されても、またひとりで攻めに行くよう進言される。
その間の政務はザバンが仕切ってきた。
リュカもお人好しなのか、そんなザバンに「個人的なことで迷惑を掛ける」と謝罪と感謝までしていたのである。
しかし、そのザバンすらもういない。
三日ほど前に、ザバンとともにその一派と見られていた閣僚たちが一斉に姿を消したのである。
それどころか、彼らと繋がっているとされていた大貴族の当主たちまでいなくなっていた。

城内は騒然となった。
また魔物による誘拐かと思われたのだ。
だが、それにしては騒ぎもなく、不穏な気配もなかった。
まるで自主的に城を出たとしか思えなかったのだ。
すぐに捜索されたものの、邸宅や別宅にもおらず、家族たちも行方を知らなかったのである。
動揺する城内内閣から閣僚消失の情報が民衆にも漏れ、彼らにも不安と焦燥が伝わっていった。
ザバンたちはリュカ王を、いやグランバニア国そのものを見放したのではないか。
他国への亡命したに違いない、リュカ王が廃位になるまで一時的に姿を消したのだ、
いや国王が邪魔な大臣たちをこっそり始末したに違いない。
様々な噂や風聞が国内を駆け巡り、不穏な情勢を醸し出していくのだった。

そんな中、リュカ宛てに何とジャミから連絡が入った。
その手紙には信じがたいことが記してあった。妻を、ビアンカを返すというのである。
俄には信じられなかった。
信じられなかったが、リュカとしては行くしか道はない。
もしここで本当にビアンカを取り戻せれば、ふたりでまた頑張れるのだ。
心の底では、ジャミよって無惨にレイプされるビアンカの白い肉体がこびりついているものの、その思いを振り切るように魔塔へと向かった。

────────────────────────

「っ……くっ……いやっ……」

今日もビアンカはジャミの肉棒に貫かれていた。
慣れたわけではあるまいが、最初に挿入された時のような激痛はなくなかった。
あの時は本当に処女喪失時よりも痛かったのだ。
それでもまだ痛い。
許容量以上のものを強引に押し込まれているのだから当然だったろう。
動かれても痛いだけだ。
胸やクリトリスなどの性感帯を念入りにいじくられると、さすがに妖しい快感もあるのだが、セックス──ペニスを挿入され、ピストンされても、ちっとも気持ち良くはなかった。
ビアンカにとっては、愛している相手ではないのだから、これも当たり前である。

確かに、初めて本格的に犯された時には感じていた。
しかしあの時は、前戯として夫のリュカに愛撫させるという、卑劣で陰湿な行為があったからだ。
さすがに妻の肉体を知り尽くした夫の愛撫なのだから、ツボを突きまくられて感じてしまっていた。
それで一度絶頂させられた直後に犯されたのだ。
これで性的快感を持ってしまうのは無理ないだろう。
だが、それだけだった。
あれ以来ジャミはリュカを呼び寄せることもなく、ただひたすらビアンカに覆い被さるのみだった。
愛情はゼロで憎しみと屈辱しかないのだから、ジャミの思うように快楽の虜となるはずもない。

「……」
「……?」

それに気づいたのか、ジャミが無表情でビアンカから離れた。
じっと彼女の裸体を見つめている。
あまりに反応しないビアンカに愛想が尽きたのなら、願ったり叶ったりだ。
しかし、どうもそうではないらしい。
ジャミは顎に手をやって何事か考えていたようだが、すぐににやにやといやらしい笑みを浮かべた。
それもビアンカの鼻につく。

「……なによ、そのいやらしい顔は」

黙っている魔物に、ビアンカが強がって言った。

「これでわかったでしょ。私はあんたなんかに抱かれても、ちっとも感じたりはしないのよ」
「……」
「私に限らず、どんな女だってそうよ。誰が化け物に犯されて気持ち良いもんですか。わかったら諦めて私を……」
「よくしゃべる女だな」

こう切り替えされたビアンカがムッとする。

「そう思うなら追い出せばいいでしょ。私はあんたが大嫌いだし、あんたも私が嫌いならちょうどいいじゃないの」
「嫌いだなどとは言っていないさ。相変わらず気が強くてけっこうだと言っている」
「諦めが悪いのね。そんなことだから……あっ」

ビアンカの表情が強張る。
ジャミは両手にロープを握り、しごいていた。
始めのうちは、いつもロープで拘束されて犯されたのだ。
今では抵抗は無意味と覚り、暴れなくなったため、ジャミも縛らなくなっている。
抵抗したり暴れたりはしないものの、心も肉体もジャミを抗っていればそれでいいとビアンカは開き直っていたのである。
なのにジャミがまたロープを手にしていた。
ビアンカが少し上擦った声で言った。

「な、何よ、今さら。別に縛らなくたって暴れたりはしないわよ」
「いやいや」

ジャミは指を立てて軽く振った。

「今回はそういうつもりで縛るんじゃないさ。ま、言ってみればおまえの身体を飾り付けるようなもんだ」
「飾り付け……?」

意味がわからなかった。
ジャミが続ける。

「まあ、これで縛り上げないと、とても耐えられないようなこともしてやるがな。楽しみにしてろや、くくくっ」
「やっ……! 何するの!」

ジャミがしごいたロープでビアンカを縛り上げていく。
抵抗する暇も力もなかった。
あっと思った時には、もう半ばまで縛られてしまっていたのだ。
慌てて抵抗しようとしたものの、ビアンカの腕力などジャミの片手で軽く足りてしまう。
難なく押さえ込まれ、為す術もなく緊縛されていた。

「くっ……いや!」

ジャミの、四本しかない太い指は思いのほか器用に動き、てきぱきと人妻の女体にロープを掛けていく。
黒いロープが真っ白なビアンカの肌に食い込んだ。
ビアンカは両腕を背中に回され、肩胛骨の辺りで手首をひとまとめに括られた。
そして張り出した胸の上下にも二重三重にロープを巻かれてしまった。
これにより乳房が括り出ているのだが、右の乳房はきちんと上下に巻かれていて、左の乳房は膨らみの真ん中辺りでロープが掛かっている。
そのせいで美しい乳房が歪み、半分に割れるように潰れていた。
なるほど、こう縛るとビアンカの乳房の柔らかさや大きさがよくわかる。

「あっ、いやあ!」

それだけでは終わらなかった。
足首も片方ずつ縛って、その縄尻をジャミが掴む。
そのままぐいと頭の方へ引っ張ると、ビアンカはコロンと背中からベッドに転がってしまう。
ジャミは面白がって、なおも引っ張り上げ、岩壁に打ち込んであるハーケンのようなフックに固定した。

「あ……ああ……」

ビアンカは腰が大きく持ち上がるほどの屈脚位になっている。
大きく拡げた腿の間に、恥辱に染まった顔が苦悶していた。
確かに苦しい格好だろう。

「く、苦しい……」
「かかっ、いい格好だな。え、ビアンカ」

ビアンカの苦鳴を愉しげに聞きながらジャミが言った。

「おうおう、大股拡げおって。マンコに尻の穴まで丸見えじゃねえか。俺でも恥ずかしいくらいだぜ」
「だ、だったら解いて! やっ、見ないで、見るな!」

もっとも見られたくない場所を2箇所も、それも間近から観察され、ビアンカは羞恥と屈辱で顔を真っ赤にして怒鳴った。
足首を縛られた両脚をバタバタさせて暴れようとするものの、ロープがギシギシ軋んで尻や腿がうねる程度だった。
あまりにも恥ずかしいポーズで固定され、ビアンカはジャミを睨み殺さんばかりの表情で叫んだ。

「こっ、こんなのひどいっ……あ、見るな、見ないでよ!」

そんな人妻を、ジャミは喉を小さく鳴らして嘲笑った。いかに激怒して睨みつけようとも、身動きできない格好のまま性器とアヌスをさらけ出しているのだから、様にならないことこの上ない。
魔物は、にやついた表情を顔に張り付けたまま、大きく開脚された股間の恥部をそっと触れた。
ビアンカがビクンと反応する。

「んひっ!? こ、こら、触るなあっ……!」
「何を言ってやがる。もうマンコ濡らしてやがるのによ」
「ウソっ! そんなのウソよ!」

最初はウソだった。
しかし、ジャミがしつこく、そして巧みに媚肉をいびっていくうちに、そこはしっとりと露を帯びてきたのだ。
太い指が愛液でねちゃねちゃと音をさせている。
ビアンカにもそれがわかるらしく、真っ赤になった顔を背け、ぎゅっと目を閉じた。

「や、やめて、やめなさいっ! あっ……」
「おらどうだ、こんなにいやらしいおつゆが出てきたぞ」
「う、うるさい、いやっ!」
「おやおや、どんどん出てくるな。ははん、おまえ、こういうことされると感じるんだな」
「え……?」

ビアンカがぽかんとしてジャミを見た。
その顔を覗き込むようにして馬の妖物がつぶやく。

「だからよ、おまえは俺に見られて感じてきてるんだよ。恥ずかしい目に遭うと感じちまうんだ」
「そ、そんなこと……」
「ない、と言えるか? じゃあ何でこんなに濡れてきてるんだ」
「それは……」
「こうして縛られて、恥ずかしいところを見られてゾクゾクしてきたんじゃないのか?」
「ち……違う! 違うに決まってるわ!」

ビアンカは、徐々に熱くなってきた股間を気にしながら、そう強がった。
認めたくはなかったが、膣やその中が熱を持ってきたのは否定しようもない。
その媚肉をジャミの太い指が蹂躙する。

「ひっ、いやあ! やめて、触らないで! くっ……こ、この格好いやよ、解いて!」
「やれやれ。相変わらず元気の良い奥さんだな」

「奥さん」と呼ばれて、ビアンカはハッとした。
そうだ、自分はリュカの妻なのだ。
人妻なのに、今はこうして魔物の前で無防備に股間を晒している。
そのギャップとおぞましさに人妻は反応してきていた。

「ああ……、リュカ……」

そのつぶやきを聞き逃さず、ジャミが嘲った。

「リュカだと? ふん、あの意気地なしにまだ頼ろうというのか」
「リュカが意気地なしですって!?」

ビアンカの怒りが増大する。
自分を蔑まれるよりも、リュカをバカにされる方が悔しかった。

「リュカは、あの人は意気地なしなんかじゃないわ! だから、たったひとりでこんなところへ助けに来てくれたのよ!」
「そうだったな。だが、むざむざと俺に敗れた挙げ句、這々の体で逃げ出した」
「……」
「しかも、おまえかガキのどっちかを連れ帰っていいと言ってやったのに、やつはおまえではなくガキを選びおった」
「当たり前じゃない!」

ビアンカが叫ぶように答える。
それが人間であり、親というものだ。
あの状況では、親であれば十人が十人リュカと同じ判断をするだろう。
ジャミは肩をすくめて言った。

「それがわからねえ。なんでガキなんだ? 俺なら間違いなくガキよりおまえを取るぜ」
「え……?」

ビアンカはびっくりしたようにジャミを見た。
予想外の答えだったからだ。
まさかこの魔物は自分の愛情を抱いているのだろうか。
そう思ってビアンカは激しく顔を振った。
そんなことがあるはずもない。
仮にそうだとしても、ビアンカがジャミに好感を持つわけがないのだ。
ジャミが続ける。

「だってよ、ガキなんてまた作ればいいじゃねえか。んなもの、ビアンカが無事ならいくらだって出来るだろうぜ。だろ?」
「……」
「けどよ、いくらガキを助けてもおまえが死んじまったら、もうガキはそれ以上作れねえいし、おまえも永遠にいなくなる。だったら、
どう考えたっておまえを選ぶんじゃねえか? リュカってのは本当におまえを愛してんのかよ」
「それが……」

ビアンカは言葉を選びつつ答えた。

「それが人間だからよ。親っていうのはそういうものなの。モンスター風情と一緒にしないで」
「そうかねえ。でもよ、自分の子孫を残すんなら、ガキよりも相手だろうさ。もっとも……」

ジャミがにやっとする。

「リュカ……亭主にとってはそうでもねえかな」
「……どういうことよ」
「だから自分の子供の方が女房より大事なんだろうさ。だってそうだろ? よく考えれば、自分のガキを作るだけなら、別に相手は
ビアンカじゃなけりゃいけない理由はねえしな」
「……!」
「じゃなけりゃ、どう考えたっておまえを選ぶさ。ガキはまた作れるがおまえはひとりしかいねえしな」

一瞬言葉に詰まったビアンカだったが、すぐに抑えた声で言った。

「……そうじゃないのよ。確かに私はこの後もまたリュカと子供を作るかも知れない。でも、だからと言って前に産んだ子たち……
レックスやタバサはどうでもいいってもんじゃないの。リュカや私がひとりしかいないのと同じように、レックスもタバサもひとり
しかいないのよ!」

ジャミは苦笑してたてがみを指で掻いた。

「平行線てとこか。ま、いい。別におまえを説得しようってわけじゃねえんだ。それよりも、だ」
「え……、きゃあ!」

股間に異様な感触を得て、ビアンカが叫んだ。

「ど、どこに触ってるのよ!」
「触られてんだからわかるだろうさ。尻の穴だよ、ビアンカの肛門」
「こっ、こうも……バカっ、そんなとこ触らないで、あ、いやあっ!」

ジャミの指が、こねるようにアヌスをいびり始めた。
よほどいやのか、ジャミの指がいじってくるたびに腰が跳ね、触られる肛門がキュッ締まる。

「ほほう、ここも感度が良さそうだな。ほれ、ぐりぐりってな」
「ひっ、触るなっ、きゃああ! か、感度が良いって何のことよ、あっ!」
「近いうちにイヤでもわかるようになるさ、この身体でな」
「うひっ!」

アヌスから蟻の戸渡りに掛けて指でなぞられると、ビアンカの背に寒気が走り抜ける。
何というおぞましい感覚だろうか。
そして、排泄器官を嬲る魔物の異常さに、すっかり気が動転した。

「なんだ、その反応は。もしかして亭主にはいじられたことはねえのか、ここは」
「ひっ、いやっ! あ、あるわけないでしょ! リュカは変態じゃないわ!」
「そうか、そうか。じゃあ、こっちも愉しみに取っておくか。まずはこれだ」
「え……?」

ビアンカは、ジャミの不気味な宣言に脅えた顔を魔物に向けた。
今度は何をされるのか不安でたまらないのだ。
そのビアンカの顔から血の気が引き、唇がおののいた。
魔物の武骨な手が抱えていたものは巨大な注射器だった。
いや、嘴管に針がついていないところを見るとそうではないようだ。

「そ、それっ……」
「知ってるのか? そうさ、浣腸だよ」
「か、浣腸って……!」
「されたことでもあるのか」
「バ、バカっ、あるわけないでしょ、そんな……」

ビアンカはそう言ったが、実は一度だけ経験があった。
言うまでもなく出産の時だ。
出産の際はかなり息むから、どうしても失禁することがある。
そうなった場合、粗相のないよう、予め出してしまうわけだ。
特にビアンカの場合、双子を身籠もっていたから余計に難産となる可能性があった。
実際には思ったよりも安産だったのだが、それでもかなり息張ったのは事実だ。
その時に産婆によってされた浣腸の恥ずかしさと辛さは忘れられない。
産婆は当然女性だったが、それでも羞恥はあった。
誰にも見せたことのないところに浣腸されるのだから当然だ。

それをまたされるというだけでもイヤなのに、相手は女性ではなく魔物である。
それもビアンカに並々ならぬ関心を示す化け物なのだ。
女に浣腸して愉しむ。
そんな性癖が世の中にあるとは知らなかったビアンカだったが、それでもジャミの何度も淫らな表情を見るうちに、それがいやらしい目的であることはすぐにわかった。

「い、いやっ……!」

大柄なジャミが持っていても、その大きさがわかるほどに長大な浣腸器だった。
ビアンカが出産の際にされたものとはまるで違う。
すでにシリンダーにはぎらっとした薄い緑色の液体が満たされていた。
あまりのことに、ビアンカは悲鳴を上げてもがいた。
しかし、上半身はかっちりと緊縛されている上に、脚は無惨なまで頭上に引き上げられており、いくら身体を揺さぶっても尻がうねるだけだった。
そのぷりぷりと動く尻を見ながらジャミが浣腸器を構えた。

「いい尻してるな、王妃さまよ。でかくてぷりっぷりで艶々してやがる」

ジャミはそう言ったが、そのビアンカの豊満な臀部をもってしても、浣腸器は大きく見える。

「いやっ、絶対にいやあっ……!」

犯されるだけではない。
浣腸などというあくどい悪戯までされて辱められるのだ。
ビアンカは、繊細で美しいブロンドを振り乱し、悲鳴を上げて身を捩った。
縄目から括り出された乳房がぶるんと大きく何度も揺れ動いた。

「くくっ、嫌がれ嫌がれ。それでこそ嬲り甲斐もあるってもんだ」
「や、やめて! それだけはしないで、許してっ!」

ビアンカの震えが止まらなくなった。
つんざくような悲鳴もわなないている。

「亭主も知らねえ尻の穴を俺にいたぶられる気分はどうだ、ビアンカ」
「いやっ! し、しないで、だめっ……んはああっ!」

とうとうノズルがビアンカのアヌスに突き刺さった。

「いやあっ、痛いっ!」
「痛くはねえだろうさ、こんなもの。これから入れられるものを思えば可愛いもんだぜ」

ジャミはそう言って笑ったが、動転しているビアンカとしてはそれどころではない。
第一、そこは排泄器官であり、本来は物を入れるところではないのだ。
確かに以前に浣腸もされたことはあるが、今回のそれとはサイズがまるで違う。
ノズルの太さも二回りは太いのだ。
堅く締まったビアンカの肛門が苦痛を覚えるのも当然だ。

「あ……あ……いやあ……あ、ひっ! い、入れないで、ひぃっ……!」

挿入したノズルで、愉しむようにゆっくりとビアンカのアヌスをこねくっていたジャミが、ゆっくりとシリンダーを押し込んだ。
ちゅるっと腸内に薬液が注入された瞬間、ビアンカは目を剥いてぐぐっと身体を伸び上がらせるようにして呻いた。
太い浣腸器は、少しシリンダーを押しただけでも大量の溶液を注入する。
シリンダーを押すと、内部の薬液が不気味に渦巻いて、目指すビアンカのアヌスの奥へ入り込んでいった。

「ぐっ……いやあっ……い、入れないで、入れちゃいやあっ……!」

ビアンカは首を仰け反らせて喉から悲鳴を絞り出した。
ロープをギシギシと軋ませながら、二つ折りにされた裸身をうねらせる。
何とも言いようのない圧迫感が腹の底を押し上げてくるような感覚。息んでもいないのに顔が真っ赤になり、内部から破裂してしまいそうな辛さ。
どくどくと妖しい液体が腸内の送り込まれてくると、ビアンカはそのおぞましさに身体が震え、目の前が暗くなってきた。

「くく……、いい顔してるじゃねえか、ビアンカ」

ジャミはその美貌を覗き込みながら舌なめずりをした。
美女が苦悶する表情こそ、このサディスティックな魔物を何よりも興奮させる。
羞恥プレイでビアンカを追い込むだけでなく、自らの欲望も満足させていた。

「あ、う……だ、だめよ……もう入れちゃだめ……あっ……」
「どうした色っぽい声を出しやがって。もう浣腸で感じてきたのか」
「ち、違うわバカっ……あっ……」

感じるどころの話ではなかった。
浣腸器の薬液が1/3も減らないうちに、ビアンカの声が弱まってきた。
背筋に悪寒が走る。
もっとも恐れていた徴候が出てきたのだ。
じわじわとお腹の奥から込み上げてくるのは、間違いなく便意である。

「あ、あ……」

ビアンカの微妙な変化を見てとって、ジャミは注入の度合いを強くしていく。
途中で漏らされてはつまらない。
全部入れてやるのだ。
いきなり注入が激しくなり、ビアンカは目を剥いた。

「んひぃっ、いやあっ……だめ、そんな強く入れちゃ……ぐぐ……ああ、もう……」

便意が一層に高まっていく。
背中の下で潰れている両手は、ぐぐっと強く握られている。
宙に浮いた臀部に汗が浮き、ぶるぶると震え始めた。

「い、いや……うむ……」

火のように熱かったビアンカの頬から血の気が引き、青白くなっていく。
苦悶の脂汗が浮いていた裸身には、代わって便意を堪える冷や汗が滲み出ていた。
悲鳴の中にも、苦しげな呻き声が混じってくる。
もう溶液は半分ほども注入されしまい、ビアンカの腸内で猛烈な便意が暴れているのだ。

「あ、あ……く……苦しい……苦しいわ……あ、あなた……助けて……」
「おうおう、居もしない亭主に助けを求めるのか。くく、さすがに人妻だな」
「あなた……リュカ……わ、私、もう……ああ……」
「無駄無駄。あんな根性なし、例えここにいたっておまえを助けることなんざ出来はしねえさ。むしろ、浣腸されて悶え苦しむおまえを
見てチンポおっ立てるんじゃねえか?」

そう言ってジャミは笑った。
だが、それに反発する余裕はもうビアンカにはない。
ただただ腹痛と便意の苦痛に耐えるのみだ。
そうしている間にも悪寒が背中から全身を駆け抜けていく。
もう我慢できない。
ビアンカは我を忘れて恥ずかしい要求を口にした。

「ううっ……あ……お……おトイレに……」

もちろんジャミは拒絶する。
それどころか面白がって、なおも注入を仕掛けてきた。

「だめだ。全部飲むまで許さん」
「そんな……もう無理よ……ぐうっ……」

ビアンカの裸身が細かく痙攣している。
手足の指はぐっと握られ、内側に屈まっていた。
そうでもしないと漏れそうなのだ。

「もうだめ……お願い、もうやめて……苦しい……あなたあ……ひっ……ひっ……」

ビアンカの声が切羽詰まってきた。
口が開きっぱなしであうあうと呻いている。
さすがに限界と見たのか、ジャミは残っていた溶液を一気にビアンカの肛門内に注入した。

「んひぃぃっっ……!」

いきなり大量の残液がどどっと流れ込み、ビアンカは頭で身体を支えるようなブリッジを作って大きく仰け反った。
汗の浮いた白い喉を晒して甲高い悲鳴を上げる。
ジャミがノズルを引き抜くと、ちゅるっと僅かに溶液が逆流した。

「ああ……」

おぞましい注入がようやく終わり、ビアンカはホッと脱力したが、またすぐにぶるっと大きく震えた。
今度は便意が本格的にやってきたのだ。
もう一時も我慢できなかった。
ビアンカの上擦った悲鳴が響く。

「あっ……あっ……もうだめっ……早くおトイレっ……」
「……」

黙って凝視するだけのジャミに、ビアンカはカッとなって叫ぶ。

「な、何をしてるの、早くっ……おトイレに連れてってっ! じゃないと私っ……」
「どうなるってんだ?」

ジャミが意地悪くそう聞いた。
浣腸されたのだから、その後どうなるかは子供でもわかる。
トイレに行かせて欲しいと頼んでいるのだから、そこで何をするのかもわかるだろう。
ジャミはそれをビアンカの口から言わせようとしていた。
魔物の卑劣な考えを知り、ビアンカは激怒したものの、今や便意は怒りを大きく凌いでいた。

「だめっ……ホントにもうだめなのよっ……あああっ……で、出る、出ちゃうわ!」
「ほう、何が出るんだ?」
「言えないっ……そんなこと言えないわよっ、あっ……あ、もう……もうっ……!」

剥き出しにされたビアンカの肛門がわななき始めた。
ぐぐっと内側から開きかけたかと思うと、慌ててきゅっと引き窄まるのを繰り返している。
出したくて仕方がないのだ。
堪えきれず、ぴゅっと溶液が小さく噴き出すようになっていた。
さすがにもういっぱいいっぱいだろう。
ジャミはにやつきながら、大きな水瓶を持ってくると、それを痙攣しているビアンカの臀部に押しつけてきた。
その冷たい感触が、ビアンカの便意に拍車を掛ける。

「あ……あ……」
「もう出そうだな。ところでビアンカ、おまえに入れてやった薬、何だかわかるか?」
「そ、そんなの知らない……どうでもいいから、おトイレにぃっ……」
「ウテ・ブレの薬だよ。聞いたことないか?」
「ウテ……ブレ……?」

初耳だ。
ビアンカが不安そうにジャミを見つめる。
訳のわからない液体を身体の中に入れられたのだ。
心配しないわけがない。
ジャミはパシッとビアンカの尻を叩いて笑った。

「ははは、心配するな。毒なんぞじゃないさ」
「……じゃ……じゃあ何よ……」
「取り敢えずは無害はなずだ。妊娠しやすくなっただけだ」
「に、妊娠……? 妊娠しやすいって……」

類似点のないような種同士だと、例え精子と卵子が出くわしても──つまりセックスしても受精はできない。
というのも、雌の卵子にはその種独特のシールドがあるのだ。
そこは同じ種の精子でないと通過できないのである。
つまり胎児は出来ないのだ。
人間と魔族も同様である。

さらに、何とかそのバリアを通過したとしても染色体の問題がある。
生物の受精卵は、雄の染色体と雌の染色体、つまり精子と卵子を半分ずつ組み合わせることによって受精し、新たな細胞に生まれ変わるのだ。
従って、染色体の数が違った生物同士を掛け合わせても組み合わせが出来ないことになる。
異種間の雑種は不可能ということである。

「ところがな、この薬を使うと、雌の卵子がかなり柔軟になって、大抵の生物の精子を受け入れることが出来るんだな」
「な……」
「ほれ、キメラとかいるだろう? 他にも俺のような半人半獣の魔物とかな。そういう連中は、誰かがこの薬や、その成分を持った何かを
使って交配させた結果なんだと思うぜ」
「そんな……そんなものを私に……?」

あまりのことに、ビアンカは呆然とした。
つまり、この薬を入れられてしまったビアンカは、この先、魔物や妖怪、いや犬や牛と交尾しても子が出来てしまう可能性があるということではないか。
ジャミは愉しくて仕方がないという風に笑っていた。

「そういうことさ。何も浣腸じゃなくたってよかったんだが、おまえのこった、素直にこいつを口から飲んではくれなかっただろ?」
「き、決まってるでしょ!」
「だから浣腸しかなかったんだよ。ああ、そうそう、だから浣腸されてもしばらくは我慢してくれや。腹が薬を吸い取る前に出されちゃ無駄になるからな」
「じょ、冗談じゃないわ! だったら余計に早くおトイレにっ……!」
「行かせないさ、絶対にな。するならここでしな」
「バカなこと言わないで! こ、こんなところでできるわけないでしょう! あくっ……あ、早くっ……」
「だから、するならここだよ。俺がじっくり見てやるからな。ま、俺に見られたくないなら出来るだけ我慢するこった」
「くっ……」

何という卑劣な魔物だろうか。
ジャミはビアンカの秘められた行為──排泄を見物する気でいるのだ。
ビアンカは死んでも出すまい、意地でも漏らすまいとするだろう。
だが、あまり長く腸内に留め置けば、それだけ多くのウテ・ブレの薬を吸収してしまうことになる。
そうなれば、この後にジャミの凌辱を受け、膣内に射精されるようなことがあれば、この魔物の子を孕むことになりかねない。
美しい若妻は、究極の二者択一を迫られることになった。

常識的に考えれば、ここは恥も外聞もなく排泄するしかないだろう。
しかし、そんな理屈で割り切れるものではない。
自分の貞操を奪い、子供たちを誘拐し、夫を叩きのめしたにっくき仇なのだ。
そんなやつの前で、これ以上ないほどの恥辱的な行為を見せるなど、とても我慢できなかった。
ビアンカはどちらも選べず、ただただ便意の苦痛に耐えていた。
だが、いくら我慢していてもこのまま乗り切ることなど出来るはずもない。
結果的には二者択一どころか、どちらも選ばされることになってしまうのだった。

それでも15分ほどは我慢しただろうか。
さすがに腸が限界を訴え、グルグルと熱い流動音を立ててきている。
浣腸液が猛烈に暴れ、内臓を掻きむしっていた。

「も……う、だめ……あ、あっ……」

ビアンカはアヌスの痙攣を自覚した。
今にも綻び、噴き出しそうなのを、唇を噛んで必死に堪えている。
その肛門を、ぎらぎらした欲望で光るジャミの目が凝視していた。
その前で排泄など死んでもできない。
できないのだが、肉体はいっぱいいっぱいだった。
尻たぶが強張り、肛門がわななく。
ビアンカは、喉が潰れたような声で呻いた。

「だ、だめ……で、出る、出てしまう……」
「けっこう我慢したもんだな、おい。尻の穴まで締まりが良さそうだ」
「くっ、出る……あ、もう出ちゃうっ……お願い、見ないで……見ないでっ、出るっ!」

ジャミがぐぐっと水瓶を尻たぶに押し当てると、ビアンカは引き攣った悲鳴を上げて排泄を始めた。
ぶるるっと何度か大きく臀部を痙攣させると、腸内で猛威を振るっていた便意がアヌスを突破してドッと噴き出てきた。

「ああっ、いやあ! 見ないで!」

あのビアンカが恥辱にまみれて泣き叫んでいる。
レイプされた時でさえ、ここまで激しく動揺したことはなかった。
それだけ排泄、そしてそれを見られたショックが大きかったことを物語っている。

「ああ……もういやあ……し、死にたい……こんなのって……」

泣き叫んでいたビアンカは、徐々に力を失うように声量を落とし、呻くだけになっていく。
ようやく全部絞り出したのか、開ききっていたアヌスがきゅうっと引き窄まる。
それでもまだ便意が残っているのか、もう出すものもないのに、苦しげに開閉を繰り返していた。
ジャミはその様子を、淫らそのものといった表情で眺めていた。
ジャミがまたビアンカの尻をパシッと叩いた。
ビクッと一度震えただけで、ビアンカは脱力している。
その美しいブルーアイも虚ろである。

「どうだ全部出たか? じっくり見てやったぜ。それにしても、けっこう我慢したもんだな」
「……」
「だいぶまいったという顔だな、おい」
「……」
「くく、まだ尻の穴が開いたままだぜ。いやらしいアヌスだ」

もう何を言われても反発する気力もなかった。
ビアンカは死んだように横たわっている。
ジャミは構わず、ビアンカの股間の前に屈むと、片手でぐっと尻を大きく割った。
その中心には、激しい排泄を物語るかのように少し爛れた肛門がひくついている。

「あっ……」

ビアンカは、そのアヌスに異様な感覚を得て顔を上げた。
爛れて痺れ、緩んでいる肛門がこじ開けられている感じがする。
慌てて顔を下に向けると、ジャミが何か道具を使ってそこをいじくっているのが見えた。

「な、何を……」
「ん? これだよ、これ」
ジャミはいたぶるのを中断して、手にした物をビアンカに見せつけた。
何やら、くるくると螺旋状になったスプリングに似たものだ。
バネを伸ばしたようにも見える。
ビアンカはワインオープナーを思い出した。
コルク栓を抜く、あの道具に似ている。
ただ、そのバネ状になっているのは金属線ではないらしい。
それでいて、ジャミが軽く振るとぷるぷると楽に震えている。
直径が1センチくらいのスクリューになっていた。
ジャミがそれを構えてビアンカのアヌスにあてがう。

「こいつをな」
「ひっ!?」
「こうするのよ」
「ああっ!」

ジャミはその責め具をアヌスに押しつけ、ぐぐっと埋め込みに掛かった。

「いやああっ、そんなことしないでっ……!」

排泄直後でひりひりと敏感になっているアヌスが、螺旋が削っていく。
その刺激と違和感、おぞましさに吐き気がしてくる。
だが、どんなに嫌がっても、ビアンカは頭を振って尻をうねらせることくらいしかできない。
乳房の上下にきつく巻かれたロープが肌に食い込む。

「くく、浣腸で出したばっかりだけあって、案外楽に出入りしてるな」
「ひっ、いやっ! お尻はいやよ! ああっ、入れないで!」

ジャミの大きな左手が、ビアンカの尻を割り、右手に持った責め具を肛門に捻り込む。
そのままゆっくりと出し入れし始めた。
途端に、それまでぐったりしていたビアンカの裸身に活が入り、尻がうねり、腰が跳ねる。
ジャミは慎重にビアンカのアヌスを抉り、円を描くように回転させながらこねくっていく。
たまらない感触だった。

「ひっ、ひっ、いやあっ! お尻、しないで……んひぃっ……!」

とてもじっとしてはいられず、ビアンカは縄を軋ませて身体を捩った。
ジャミは責め具を根元まで埋め込んでから、また引き抜いた。
入れる時は回転させていたが、抜く時はそのまま真っ直ぐ引っ張っただけだ。
だから螺旋部分が肛門とその粘膜と絡まり合って、泣き叫びたいような刺激が加わってくる。

「や、やめてぇぇっ、お願いっ……いやっ、お尻は許して……ああっ……」

なぜこの魔物は肛門まで責めるのだろう。
犯したければ、さっさと膣を犯せばいい。
何も排泄器官をいたぶる必要などないのだ。
なのにこの魔物は執拗に尻を責めてくる。
ビアンカは泣き喚きたくなった。

「ああ、いやっ……あ、うんっ……ぬ、抜いて……ああっ、そんな強く引っ張っちゃだめえっ……!」

激しい出し入れが繰り返され、ビアンカのアヌスは口を閉じる暇もない。
肛門粘膜が何度も巻き込まれるように押し込まれ、また引き出されてくる。
粘膜が軋むかのようだった。

「や、やめて、そんな……うむ……痛いわ、あっ……」
「痛くはねえだろうさ、こんなにスムーズなんだ。ほれ」
「あ、いやあっ!」
「敏感そうないいアヌスだ。そのうち、ここもこってり責めてやるからな」
「あう……」

根元まで押し込まれていた責め具が、ぬぷっと抜き取られた。
ビアンカの尻が激しく反応し、ぶるるっと痙攣している。
その、まだわなないているアヌスに、ジャミはまたしても浣腸を仕掛けていく。
ジャミが浣腸器を構えているのに気づき、ビアンカがハッとして叫んだ。

「いやあっっ……!」
「また入れてやるぜ」
「いやっ! ど、どうして……もう終わったのにぃっ……!」
「誰が一回だけだと言ったよ。満足するまで何度でもしてやる」
「い、いや……ああっ!」

ジャミは遠慮なくビアンカの肛門にノズルを突き刺し、そのままシリンダーを押し込んだ。
ガラス製の筒に充満しているウテ・ブレの薬が、ずずっとビアンカの腸内に注ぎ込まれていく。

「あ、またあっ……やっ、入れないでっ……くっ……ううんっ……」

不気味にどくどくと注入されてくるおぞましい感覚に、ビアンカがぶるっと震えた。
またあの苦しさと辛さを味わわねばならない。
そして最後には羞恥の極地である排泄を晒さなくてはならないのだ。
それを考えるとビアンカは悩乱し、意識が薄れてくる。
その薄れる意識を奮い立たせるかのように、次々と薬液が注入されてきた。

「あ、あ……やあ……許して、もう……あむむっ……」
「くくっ、いい声だ。もっと泣け、呻け。そらそら」
「んぐうっ、だめ、そんなにっ……あ、あ、入る……入って来ちゃう……いやあっ」

ジャミは口の端からよだれを垂らしながら、欲望剥き出しの顔でぐいぐいとシリンダーを押していく。
たちまち薬液は半分ほどもビアンカの腸内に注がれてしまう。
粘膜が薬液で沁みてピリピリする。
腸内を溶液が駆け巡り、ビアンカは泣き、呻き、悶えた。

「あっ……あ、いや……ひっ……あ、ううむ……」
「へへ、どんどん飲むじゃねえか。その調子だぜ」
「ううむ……もう、いや……あ、く、苦しいわ……うんっ……きついっ」
「おまえのその苦しそうな顔がたまらねえぜ。俺のチンポもビンビンになってやがる」
「いや……もう入れないで……あぐ……お腹がきついっ……」

ビアンカは、歯が割れるほどに口を噛みしめて呻いた。
だが、すぐにその口が開き、悲鳴を上げてしまう。
もう便意が起こってきている。
さっき浣腸されて排泄したばかりなだけに、腸内には何もなく、薬液が直接腸管を刺激するのだ。
ジャミへの怒りや、リュカを恋い慕う感情までもが便意に飲み込まれていく。
荒々しいまでの便意がビアンカの心と腹の中で暴れ回っている。

「うっ……く、苦しい……ああ、もう我慢が……た、たまらないっ……」
「漏らすんじゃねえぞ、最後まで入れてから出させてやる。途中で漏らしやがったら、今度は二本分浣腸してやるからな」
「い、いや、そんな……あうむ……」

ビアンカの臀部がぶるぶると大きく震え、止まらなくなってきた。
ノズルをしっかりとくわえ込んでいたアヌスまでが痙攣している。
本当にもう限界らしい。
ジャミはそれを確認すると、残りをいっぺんに注入した。

「んひぃぃっっ……!」

ドッと一度に大量の溶液を注がれ、ビアンカはぐぐっと仰け反って悲鳴を発した。
ねっとりとした汗の浮いた裸身を喘がせ、何度も何度も反り返った。
ジャミは浣腸器を素早く引き抜くと、間髪を置かずに排泄用の水瓶をお尻にあてがう。
ビアンカの尻に顔を近づけながら、上目遣いで言った。

「ほれ、用意できたぜ。したけりゃいつでもしな」
「い、いや、ここでは……ううむ……」
「相変わらず意地っ張りだな。だが、いつまでそんなこと言ってられるかな、へへ。けどな、我慢したけりゃいつまでも我慢してな。
それだけ薬がおまえの腹ん中に染みこむんだからな」
「いや……それもいやあ……ああ……」

ビアンカはそう言って泣いたが、もうどうしようもないところまで来ていた。
直前に浣腸されたばかりなのだから、すぐにでも排泄しても仕方がないところだが、ビアンカは懸命に耐えていた。
この薬液は強力だから、過去のジャミの経験からも、普通の女なら5分と保たないはずだ。
ところがビアンカは最初で15分、二度目の今も、もう3分くらいは保っている。
常識外れなほどに我慢強い。
というよりも、それだけジャミを忌み嫌っているのだ。
そんなやつの前で恥ずかしい行為を晒したくないという思いが、激しい便意をひたすらに堪えさせているのである。

だが、それにしてもよく保っている。
気が強いだけでなく、よほどアヌス自体の締め付けもいいのだろう。
それでも、さすがに限界らしい。
5分を過ぎた頃になると、冷や汗の伝うビアンカの尻たぶがぶるぶると震えだした。
膝ががくがくしており、足の指がぐっと屈まっている。
もう魔物に性器や肛門を見られているという恥辱も吹っ飛んでいた。
ただただ、早くこの苦痛の塊を出したいという思いだけだ。
それを意志の力だけで我慢してきたのだが、もう無理だ。
ビアンカが上擦った悲鳴を上げた。

「あ、あっ……だめ、もうだめっ……が、我慢できないっ」

そう叫んでからも、なおもアヌスを引き締めている。
よほどジャミの前で排泄するのがイヤであるらしい。
ジャミは呆れると同時に感心している。
ここまで気丈な女も初めてだった。
だからこそ虐め甲斐があるし、辱めていて愉しくなる。

「だ、だめっ、お願いっ……おトイレにぃっ……」

ビアンカはそう哀願したが、当然聞き入れられるものではない。
荒れ狂う便意は今にも炸裂してしまいそうで、頭の中はその苦痛のみで占められている。
もう二度とジャミの前では出したくない。
そう決心して最後の気力を振り絞っていた。
だが、耐える限界を超えた便意が、とうとうビアンカのアヌスを割った。

「み、見ないで出るっ……もう出るっ……!」

血を吐くようにそう叫んだかと思うと、ドッとばかりに排泄が始まった。
ジャミの構える水瓶の中に勢いよく薬液が噴出されていく。
もうほとんど便はないのだが、それで恥ずかしさが消えるものではなかった。
ビアンカは泣きながら排泄し、身を捩った。

「いやああ……見ないで、見ないで……ああっ、で、出る、まだ出るぅ……」

一度途切れても、またドッとしぶき出てしまう。
それが何度も繰り返された。
後から後からひり出しながら、ビアンカはあまりの恥辱と屈辱に泣いた。
それでも止まらなかった。

「ああ……」

最後までひり出し終わると、アヌスがきゅうっと引き窄まった。完全に口が閉じきらず、そこからだらだらと薬液の混じった腸液が垂れている。
ジャミがビアンカの髪を掴み、その顔を持ち上げた。

「どうだ、いい加減まいったか」
「ああ……いや……」
「俺様のものになるんだ、いいな」
「い、いやよ、そんな……」
「まだそんなことを言うのか。なら、また浣腸だ。もっと薬を効かせてえしな」
「いやっ……もう浣腸は……浣腸だけはやめて……」
「なら、おまえの方から俺に抱かれろ。「愛している」と言ってみろ」
「そんなこと……言えるわけが……」
「強情だな、よし」

ジャミはにやっと笑うと、また浣腸器に薬液を吸い上げた。
シリンダーがキキッと不気味になる。
ビアンカは青ざめた唇を震わせて叫んだ。

「い、いやあっ、もう浣腸はいやあっ!」

もう尻をうねらせる気力もなく、なよなよと身体を揺するのみだ。
そんなビアンカに、残酷にもジャミはまた浣腸していく。
緩んだアヌスはあっさりと言っていいくらい楽にノズルを受け入れてしまう。
ジャミがシリンダーを押して注入すると、ビアンカの裸身が仰け反った。

「い、いやあっ、ま、またっ……ひぃっ……」

少し入っただけだが、もう便意が来た。

「い、いや、ううむっ……」

汗まみれのビアンカの顔が、便意の苦痛で歪む。
身体がまた痙攣してきた。

「あ、だめ、もうだめっ……入れないで、だめよ……ああっ……」
「全部入れるまではさせねえぞ、我慢しろ」
「そんな……、ど、どうしてこんなひどいことばっかり……」
「おまえが俺のものにならねえからよ」
「な、なるわけないわ……わ、私にはリュカが……あ、あう、もうっ……」

悪あがきするビアンカの苦しみようを見ながら、ジャミはぐぐっとシリンダーを押す。
猛烈に膨れあがる便意は、ビアンカの腹の中でグルグル、グキュウッっと激しく鳴りだした。
腸管に薬液が浴びせられると粘膜がたちまち反応し、燃えるように熱くなっていく。
その熱はすぐに便意に変換された。

「ああ、もうだめっ……で、出ちゃうわっ……」
「おいおい、早すぎるぜ。まだ半分も入れてねえ」
「そんな……い、入れるなら早くしてっ、苦しいのっ……」
「今度は催促かい。そんなら入れてやるか、それっ」
「ぐぐっ、苦しいっ……そんな強くしちゃいやあっ……き、きついっ……」
「いちいち注文が多いな。俺の命令に従わねえ罰だ、せいぜい苦しみな」
「く、苦しいっ……お腹が苦しいっ……リュカ、助けてぇっ……」

いもしない夫に助けを求めながら、美しい人妻は魔物の邪悪で淫らな責めを受け続けていた。



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