避妊のためとはいえ、自らジャミの射精を望む言葉を口にしてしまったビアンカの衝撃は大きかった。
人間の子を宿すよりも、魔物であるジャミの方を取ったと思われても仕方がない。
だが、あの時は卑しいザバンたちの子を妊娠したくないという気持ちが強かった。
それにジャミの精子がヒトの精子を殺す作用があること、それにジャミの精子で受胎するかわからなかったこともある。

しかしそれを言うならば、いかに輪姦されて膣内に精液を溜められたとはいえ、それで懐妊するとは限らないのだ。
条件はそう変わらないはずである。
にも関わらずジャミを選んでしまったことにショックを受けていたのだ。

それに、あの時は本当にそれだけだったのかという思いもある。
気持ちではそう整理していたとはいえ、官能に燃え立っていた身体の方はジャミの仕上げ──射精を望んでいたからではないのか。
その思いが、人妻としてのビアンカの胸を白く灼いていた。
違う、ジャミを欲しがったのではない、あんな魔物に犯されるのは今でも屈辱だ。
そういう思いは確かにある。
しかし以前ほどの嫌悪感が失せているのもまた事実だった。

肉体の方も、あの巨大なペニスを普通に受け入れられるようになってきている。
犯されることが日常化されてしまったため、心も身体も慣れてきてしまったのだと思うのだが、ジャミに愛撫され、貫かれることで、
夫のリュカに抱かれている時とはまた違った愉悦を感じるようになってしまった。
これはいくら否定しても身体の方がジャミに応えてしまっているだけに、どうしようもなかった。

そして今のビアンカは、最初のうちはジャミを激しく拒絶するし、凌辱されている最中も言葉では抗うのだが、最後には歓喜の声を
噛み殺して絶頂するのが普通になっていた。
ジャミはそれを不満に思って「そのこと」を口にしろと言うのだが、それだけは拒否していた。
身体が脆くなっている以上、その心──夫や子供たちへの思い、ジャミへの憎しみが最後の砦となっているのだ。肉欲に負け、それを口に
してしまったら最後、身体も心も一気に引き寄せられてしまうと思っていた。
だからこそ、意地になってそうは言わないようにしていたのである。

そうは言うものの、犯されるたびに、膣内射精されるたびに気をやるようになっているビアンカの身体と心は、被虐の快楽によって
少しずつ摩耗していった。
頼りないほどに薄くなっていたリュカの妻としての思いや人間の女としての矜恃がいつまで保つのか、ビアンカ自身も不安になって
きているのだった。

「くっ……、いや! 触らないで」
「まだそんなことを言うんだな。どれ、またおっぱいを絞って乳を出してやろう」
「やめてって言ってるのよ!」
「生意気なところは変わらないのね」
「え……?」

ベッドの上でジャミに背中から抱き寄せられ、胸をまさぐられていたビアンカは第三者の声に唖然とした。
ジャミ以外は入室を禁じられている監禁部屋に人の声がしたのは、ザバンたちに輪姦された時以来だ。

いつの間にか半分ほど岩戸が開いており、そこに人らしいシルエットが浮かび上がっていた。
逆光になっていて誰だかわからなかった。
声は女だったから、女の魔物なのかも知れない。
そのビアンカの疑惑は、女が入ってきたことで払われた。
その女を見て、ビアンカは驚愕で目を見開いた。
知っている顔だったのだ。

豊かな量を誇る漆黒の長い髪を、真紅の薔薇の髪飾りでまとめている。
ややきつめの目つきが気になるものの、美人、麗人の類であることは間違いない。
もしかすると、左目の下にある小さなホクロが、きつそうなイメージを少し和らげているのかも知れない。

「あ……あなた、デボラ……?」
「そうよ」

素っ気なくツンと答えたデボラは、優雅な足取りでビアンカに近づいた。
というよりジャミの側に行ったらしい。
国の名士であり、大金持ちのルドマン──先日、ザバンたちとともにビアンカの身体を踏みにじった男──の養女だ。
同じく養女のフローラ──こちらもビアンカと知り合いだ──の姉でもある。
なにせ彼女たちはビアンカと同様、リュカに惚れていたのだから、恋敵というわけだ。

とはいえ、フローラの方はおとなしくて人も良いから、リュカがビアンカを選んだと知ると潔く身を引いた。
些か気が強く、高飛車なところもあるデボラも、リュカとビアンカが結婚を決めてからは鳴りを潜めていた。
何も言われはしなかったものの、フローラ同様、諦めてくれたのだとばかり思っていた。
典型的な「お嬢様」タイプなだけに飽きっぽいところもあったから、ビアンカを選んだリュカに対し、急速に興味を失ったように見えたのだ。

そのデボラがなぜここにいるのか。
しかも魔物であるジャミを目の前にしてもまったく動揺しておらず、ジャミの方も咎め立てていなかった。
デボラはコツコツとヒールサンダルの音をさせながら、ジャミの背中にまとわりついた。
ジャミが振り向かずに言った。

「……来たか」
「ええ。お招きいただいて感謝してますわ、ジャミさま」
「さ……さま?」

ジャミに「様」という敬称をつけるとはどういうことなのだろう。
人間なら魔物などは呼び捨てが普通だ。
ザバンたちは同じように「様」つけしていたが、それは彼らが裏で繋がっていたからだろう。

そこまで考えてハッとした。
つまりデボラもそうなのか。ジャミに取り込まれてしまっているのだろうか。
あまりのことに大きく見開いた目で見つめるだけのビアンカに「ふん」と鼻を鳴らしたまま、デボラはジャミの背中から身を剥がした。
そしてまたビアンカを驚かす行動を執った。

白い毛皮のショールを取ると無造作に床に捨てた。
その下は、見慣れたいつものワンピースだ。
ピンク地をベースに、襟元には結ばれた大きくリボンが垂れ下がっている。
スカートの裾と襟は髪飾りやリボンと同じく真紅で縁取られていた。
デボラは、飾りベルトを外すと、実にあっさりとワンピースも脱ぎ去った。

そこには、ビアンカに負けぬほどの素晴らしい女体があった。
ビアンカの身体とはまた違い、妖艶さの漂うゴージャスな肢体であった。
その肉体を押さえつけていた下着は、男を挑発するような赤いシースルーだ。
ごく薄い生地で刺繍が施されてはいるものの、ブラ下の乳首やショーツのクロッチ部分はアンダーヘアが透けて見えるのだから、隠蔽力はほとんどない。
しかもショーツはTバックで、臀部はほぼ剥き出しただった。
男性を誘惑するスタイルとしか言いようがなかった。
ビアンカは呆気にとられてつぶやいた。

「あ、あなた……何を……」

デボラは、一瞬ビアンカを見たものの、またジャミに視線を移し、その下着すらも脱ぎ捨てていた。
真っ赤なヒールサンダルを履いただけの全裸である。
ただ、デボラらしく裸になっても身を飾っていた。
足首にはアンクレット、手にもブレスレット、首にはネックレス、そしてウェストにはウェストレットが巻かれている。
いずれも同じデザインで、純金の台座に収まった赤いルビーが、プラチナで造られたと思われる細いチェーンで吊られていた。
イヤリングも同じである。
デボラカラーである赤でまとめた彼女らしい装飾だった。
全裸をジュエリーで飾り立てたその肉体は、スタイルの良さも相まって妖しいセクシーさを醸し出していた。

「ジャミさま」

デボラはベッドへ横座りで腰掛け、腰を捩ってジャミの首に手を回した。

「今日は可愛がってくださるんでしょう? ……こんな女なんかより私の方がずっと……」
「わかった、わかった」

ジャミは珍しく苦笑を浮かべ、ビアンカを軽く突き飛ばした。

「あっ……」

転がされたビアンカはベッドの隅に後ずさり、デボラに言った。

「デボラ、あなたどういう気なの!? か、可愛がって、ってどういう意味なの!」
「……ふん、何を可愛い子ぶって。カマトトしてるんじゃないわよ」

デボラは冷たくそう言うと、ジャミの胸に頬を擦りつけていく。

「決まってるわ。ジャミさまに抱いていただくのよ」
「だ、抱いてって……」
「カマトトぶるんじゃないって言ってるのよ。セックスに決まってるでしょう、セックスしてもらうのよ、ジャミさまに」
「な……」

そうではないかと思っていたものの、あのプライドの高いデボラからそんな言葉が出てきたことにビアンカは驚いていた。
そして唇を震わせて叫ぶ。

「ジャミは魔物なのよ! しかも人間を何人も殺して、この国を混乱させてるわ。それくらい知ってるでしょう」
「……」
「そんな魔物に身を任せるというの!?」

デボラはビアンカをひと睨みしてから、またジャミにしなだれかかった。

「……ジャミさま、あんなこと言ってますよ。しかもジャミだなんて呼び捨てにまでして……」
「構わん。それよりも……」
「あっ……」

ジャミの手がデボラの乳房にかかると、デボラは眉間を寄せて早くも喘ぎ出した。
デボラはジャミに身体を預けたまま、甘えるように言う。

「嬉しいですわ、ジャミさま。愛し合いましょうよ、あの女に見せつけてやるんだから」

デボラはそう言ってまたビアンカを睨みつけてから、今度は一転妖しい笑顔になってジャミに迫っていく。
ジャミは心得たかのように座り込み、膝を立てて股を開いた。
ジャミの方もちらりとビアンカを見ている。
ビアンカの方は、いったい何が始まるのかと息を飲んで見つめるばかりだ。
デボラは、半馬半人の魔物の股間に躊躇なく覆い被さっていく。
そこには人間離れした男性器が隆々とそそり立っていた。
黒髪の美女は息を飲んでそれを見つめ、指を伸ばしていく。

「素敵……。何て立派なのかしら……」

デボラの指が撫で擦ると、その感触に刺激されたペニスはさらにぐぐっと硬く膨らみ、反り返る。
デボラはうっとりとした表情で愛撫を続けている。

「大きいわ、すっごく……。それに熱くて硬い……、ああ、もうかちかちになってる」

デボラは譫言のように呟き、愛おしそうに指でしごいた。
その瞳には官能の火がちろちろと燃え始めていた。
我慢しきれないかのように小さな舌を伸ばすと、ちろりと亀頭の先を舐める。
そしてすぐにそれを小さな口を開けて頬張っていた。

「ん、んっ……んちゅっ……んん……」

ビアンカは「信じられぬ」という顔で、デボラとジャミの痴態を見守っていた。
デボラの小さな口が裂けそうなほどに太いものをしゃぶっている。
小さな口の中には到底収まりきらず、半分以上は口から出ていた。
ジャミの亀頭がデボラの頬を内側から押し上げ、美女の右頬がぷくりと膨れている。

ビアンカは自分がジャミにイラマチオされたことを思い起こしている。
あの硬くて大きなものは、デボラの咥内粘膜に包まれ、その快感でびくびくと跳ねるように痙攣しているに違いない。

「ん、んむ……んむう……じゅっ……んふっ……んじゅううっ……」

わざとなのか、淫靡な音をさせながら、デボラは喉の奥までペニスをくわえ込んでいる。
苦しいのか吐き気がするのか、時折、美しい眉間を寄せて呻いていた。
そんな表情まで色気がほとばしり出ている。
口中でれろれろと舌を使ったかと思うと、今度は頬を窄ませて強く吸った。
口からはみ出ている半分ほどの肉竿にも絶え間なく指を這わせ、陰嚢まで愛撫していた。

「ん、ううっ……んはっ……はあ、はあ……んぶっ……んくううっ……ん、んじゅっ……じゅじゅっ……んくっ……んんむ……ん、ぷあっ!」

いっぱいに開いた唇から引きずり出されたペニスには、デボラの唾液がたっぷりとまぶされている。
それを軽く指で摘んだまま、デボラは上目遣いでジャミを見て言った。

「ジャミさま……、これ、お好きでしたよね?」

そう言いながらデボラは、ビアンカに負けぬ大きな乳房を両手で持ち上げ、彼女の唾液でぬらぬらになっていたペニスをそれで挟み込んで見せた。

「いかが? こんなこと、そこの女はしてくれまして?」
「いいや。スケベなことは好きなようだが、とてもここまではな」
「わっ、私はスケベなんかじゃないわ!」

ビアンカの抗議を聞いてデボラが言った。

「ふん、どうだか。そのいやらしい身体で「あの人」を誑かしたくせに」
「あの人……?」
「気にしないでいいわ。そこでおとなしく私とジャミさまが愛し合うのを見てればいいわ」
「そ、そんなの見たくないっ」
「うふふ、まだそんなこと言うのね。ま、いいわ」

デボラは軽くビアンカをあしらってから、再びパイズリを始めた。
もう一度ジャミに小悪魔的な美貌で笑いかけたが、こうした媚態はデボラ特有のものだろう。
意識してはいないのだろうが、自然と男に媚びを売るような仕草をするのだ。
普段が高慢ちきなところが多いから、余計にそのギャップが魅惑的になっている。

唾液でぬるぬるになったペニスは、柔らかく温かいふたつの乳房に挟まれ、擦られ、さらに硬度を熱さを増していった。
そうしているうちにデボラも興奮してきたのか、硬くなりつつあった乳首でジャミの男根の擦るようなマネまでしてきた。
ジャミがデボラの頭を撫でながら言った。

「……相変わらず大したテクニックだな、デボラ」
「うふふ、お褒めいただいて恐縮ですわ。でも、半分以上はあなたに教わったものですし」
「そうだったな。物覚えのいい女は好きだぜ」
「まあ嬉しい。そこの女よりも……ですか?」

些か挑戦的な目で見つめてきたデボラに苦笑しながら、ジャミは頷いた。

「そうだな。少なくとも今はおまえの方がいいな。何せあの女、見かけによらず強情でな」
「でしょう? 生意気でしたもの、昔から。欲張りで、私のあの人まで……」

デボラはそう言いかけてから、乳房の間から顔を出していた亀頭に吸い付いた。
人間のものと変わらぬ先走り汁を舐め取りながら、カリ首に舌先を立てて愛撫する。
時折ジャミを見上げながら、唇でちゅっと亀頭に吸い付き、その濃厚な男液を愉しんでいた。
ふたつの肉塊でペニスをしごきあげつつ、舌で亀頭全体を覆うように舐め込む。

「んっ……」

尖った乳首が硬い肉竿に当たるたび、デボラが喘ぐような声を上げてきた。
その鼻にかかった甘い音色は、聞いた男の獣性を引き出すものだ。
ジャミもそうなのか、つい腰を軽く突き上げてしまう。
ぬめった肉棒はデボラの唇からはみ出て、ぬるっと頬の上を滑った。

「あんっ、すごい元気だこと……。ふふ、さっきからジャミさまのオチンチン、びくびく震えてますよ。感じてるんですね」
「ああ、いい気持ちだぜ」
「嬉しい。はむっ……」

熱く硬く反り返った肉棒を宥めるかのように、デボラの唇と舌が優しく覆っていく。
そのくせデボラの美貌は、もうすっかり官能の虜であり、むせ返るような色香を漂わせていた。

「んん、んっ……んっちゅううっ……んぶっ、くっ……んむう……ふううっ……」

乳房に挟まれ、しごかれているジャミのペニスに、デボラの小さく柔らかい舌が縦横無尽に這い回っている。
それを見つめるデボラの瞳には、肉欲に溺れる淫らな本能とともに、うっとりとした色も浮かんでいた。
デボラの口技が激しさを増していく。
彼女自身、自分の痴態に興奮してきているのだ。
さすがにジャミの性感も昂ぶり、カウパーとともに精液が少し噴き出てしまった。
量は僅かであったが、明らかに先走り液とは色も濃度も異なっている。
デボラが嬉しそうに言った。

「あ、少し出ました……。どうします? このまま一度……」
「いいや。それよりおまえのマンコで愉しもう」
「光栄ですわ……。どうぞ……」

デボラは少し顔を赤らめ、ごろりと仰向けになると、脚を拡げた。
そして指を秘裂に伸ばすと、自らそこを開いて見せた。
デボラの細い両腕が伸び、ジャミを求めていた。

「来て……」

ジャミが覆い被さると、デボラの腕がその背中に回り、抱きしめた。
それまでデボラの淫らな性技に圧倒され、声もなく見物させられていたビアンカも、さすがに目を疑った。
デボラは口々にジャミが愛おしいようなことを言っているのも信じられなかったが、自分からあの魔物を抱きしめるのを見て唖然とした。
普通の人間にとって、魔物に抱かれるということは獣姦にも等しいのである。
それを望む女がいるとは思ってもいなかった。

しかし、ビアンカの胸の奥には別の思いもあった。
最初はともかく、ビアンカ自身もジャミに犯され続けるうちに肉体が慣れてしまい、今では快感を得ているではないか。
しかも何度も気をやらされている。
認めはしなかったが、間違いなく絶頂を味わっていたのだ。
であるならば、魔物に抱かれたい、犯されたいという人間の女がいても不思議はない。

ビアンカだって、正直に言えばセックスは嫌いではない。
相手はリュカでなければ絶対に嫌だが、それを抜きにすれば、行為自体は好きなのかも知れなかった。
愛情云々ということももちろんあるが、それ以外にも肉体的な快楽を求めているかも知れないのだ。

ビアンカは、横になったデボラの身体を見つめている。
美しかった。
勝ち気そうで少し気の荒いところはあるものの、デボラも優しい面は持っている。
きつそうな顔つきなのだが、元が良いからその美貌を妨げるものではなかった。
そして身体も素晴らしかった。
もちろんビアンカはデボラのヌードを見たのは初めてだったが、女性から見ても美しいと思う。
ビアンカのような柔らかそうな乳房とはまた違うが、あれだけ大きいのに寝転んでも少しも型崩れのしないバストは凄いものだ。
丸いというよりは円錐形で、まだまだ若い硬さを保っている。
臀部も豊かで、ビアンカ同様に安産型であろう。
腿も立派で、いかにも成熟した女性らしい肉づきをしている。
そのくせ、それ以外の部分──腹部や首、足首などには余分な肉は一切ついておらず、滑らかなラインを誇っていた。
まるで芸術家が意識して作り上げたような美神のような裸身だった。
女性なら誰でも思い描く理想的なスタイルをしていたと言っていいだろう。

抱き合ったふたりは、少しずつ位置をずらしていく。
いつの間にか、ビアンカに足を向けていた。

「いやっ……!」

ビアンカは思わず顔を背けた。
デボラとジャミの性器が丸見えなのである。
彼らが意識してそうしていることは間違いなかった。
目を瞑り、顔を背けたビアンカだったが、ふたりの会話や息遣いを聞いているうちに、徐々に顔を戻していく。
その目はしっかりと開かれていた。

「ジャミさま……、ください」
「ほう、何をだ」
「また意地悪するんですね……。ジャミさまの……オチンチンが欲しいんです」
「そうか、そうか。俺のペニスがな」
「ああ、そうです……。私の……」

さすがに言いづらかったのか口ごもったデボラだったが、すぐにジャミがはっきりと口にした。

「マンコ」
「そ、そう……私のオマンコに入れて……ジャミさまのすごいのを奥までください」
「いいな、おまえのそういうはっきりしたところは好きだぜ。まったく、ビアンカとは大違いだ」

ジャミがそう言って、後ろのビアンカにちらりと目をやる。
同時にデボラも首を伸ばしてビアンカを見た。ビアンカはぷいと顔を逸らした。
デボラが言った。

「もう、こんな時に……。あんな女のことはどうでもいいじゃありませんか。さ、私を愉しませてください」
「いいだろう。だが、おまえも俺を愉しませろよ」
「もちろんですわ。あんな女より私の方がずっといいことを教えて差し上げ、あっ……!」

デボラは膣口に熱くて硬い感覚を覚えた。
ジャミのペニスが押し当てられたのだ。
デボラの声が上擦る。

「ああ、は、早く……」

ジャミが少し腰を引くと、デボラの腰が追いかけてくる。
亀頭を媚肉に押しつけてから、ジャミはその硬く膨れあがったものを一気に膣に埋め込んできた。

「んはああっ……!」

デボラは喉を反らせ、背中を浮かせ、後頭部と尻で身体を支えていた。
太いもので貫かれ、全身をびくびくと痙攣させている。
挿入だけでいってしまったのかも知れなかった。

「はううっ、すっ、すごいっ……いいっ……」

デボラのそこは、無理に押し入ってきた男根に絡みつき、締め付けている。
もうすっかり内部は愛液で潤っており、あっさりと言っていいくらいにジャミの巨根を飲み込んでいた。
といっても、もちろんとても全部は入らない。2/3くらいであろう。
それでも半分くらいしか入らないビアンカにとっては衝撃的だった。

「ひっ!」

あまりの光景に、ビアンカは手の甲で口を塞いで小さく悲鳴を上げた。
あの太いものが女陰にめり込むように突き刺さっているのは無惨極まりない。

(ジャ、ジャミったら……! す、少しは気遣いすればいいのに。前戯もなしに、あ、あんな大きなのをいきなり入れるなんて……!)

ビアンカは、自分があのペニスを挿入された時のことを思い出している。
あの圧迫感と息苦しさは忘れられない。
しかし、デボラは少しも苦しそうではなかった。
美貌が苦悶しているように見えるが、それは恐らく苦痛ではなく快楽の表情なのだろう。
痛がったり、苦しがったりはしていない。
それどころか、脚までジャミに絡めてきているではないか。

(すごい……あんな太いのを平気で受け入れて……)

ビアンカの喉がごくっと鳴った。

「ん、ああっ……すごい、大きいっ……ど、どうしてこんな……ああっ、き、気持ち良いっ……!」

デボラは、ビアンカが言うのを堪えているセリフを平気で口にしている。
その顔には少しの恥辱もためらいもないようだ。

デボラの膣は圧倒的な量感のペニスの前にひしゃげ、わなないている。
それでも、抉り込まれ、引き抜かれると、大量の蜜がぶしゅっと噴き出してきた。
デボラは感じているのである。
デボラは、自分の中に侵入してきた人外の男性器の感触を確かめるように腰をうねらせていた。
突かれるごとに喘ぎ、よがり声を上げている。
そんなデボラを突き動かすように、ジャミは体重を載せて腰を打ち込んだ。
華奢な女の裸身が跳ねるようにうねった。

「んあっ、激しいっ……気持ち良いっ……ふああっ、ジャミさまあっ、いいっ……!」

ピストンされるとデボラの裸身が浮き、跳ねる。
その様子を見ているだけで、デボラはきっと子宮口まで抉られていることがビアンカにはわかる。
自分もそうされたからだ。
ビアンカの想像通り、ジャミのペニスは正確にデボラの子宮口を突いていた。
突くだけでなく、密着させてなぞり上げるようにしてやると、敏感な女体はひとたまりもなく官能を露わにする。

「そっ、それですジャミさまあっ、いいっ……くっ、奥がいいんですっ……ひっ!」
「子宮がいいんだろ、子宮がよ」

デボラは何度も頷いて叫ぶように喘ぐ。

「ああっ、いいっ……そ、そうですっ、し、子宮が、子宮があっ……」

上擦った声でデボラが必死にそう答えた。
まるで強制されてもおらず、自ら恥ずかしいことを口にしている。
ジャミはその身体に応えるかのように、最奥まで叩きつけるようにして肉棒を差し込み、引き抜いた。
グラインドは最初から大きく、テクニックというよりは純粋に男根の威力を見せつけているようなセックスだった。
唯一性技があるとすれば、ジャミは引き抜く時に、カリを引っかけて膣襞をこそげとるようにかき回していることだけだ。
だが、それがことさらデボラには効いた。

「ふああっ、す、すごいっ……気持ち良い、良すぎますっ……ひぃっ、こ、これいいっ……あああ、もういってしまいますっ……!」

デボラの肉体から汗が飛び、弓なりに反り返り、豊かな黒髪が宙を舞って額や身体にへばりついている。
両手は爪を立ててジャミの背中を抱き寄せていた。
ジャミは、絡んでくるデボラの腕を引き剥がすと、その腰を掴んで激しく突いていく。
大きなグラインドで膣を抉ると、カリが遠慮なく内壁を引っ掻き、襞を削り上げる。
デボラはたまたず目を見開いてよがった。

「ふわああっ、いいっ! そ、そこ擦っちゃあっ、ひっ、い、いってしまいますっ……!」

デボラの蠱惑的な肢体が何度も弓なりに仰け反り、汗で黒い髪が額や硬や首筋にへばりついている。
長すぎるペニスは当然すべて膣に入りきらないが、デボラは何とか入れようと腕を背中に回し、脚を絡めて腰を密着させようとしている。
それを引き離すようにしてジャミの腰が叩き込まれ、反動をつけてデボラに肉棒を打ち込んでいる。
そのたびにデボラの身体が跳ね、宙に浮き、身悶えた。
律動のペースが上がっていくと、もうデボラは息も出来ないような状態に追い込まれてしまい、激しく首を振りたくり、大口を開けて喘ぐ。

「んああっ、いいっ……ジャ、ジャミさまあっ、いいっ……」

あまりに喘ぎ、よがり続けたせいか、デボラの声が涸れかけている。
それでもジャミに対する肉欲の要求は止まず、急かすように腰をうねらせてきた。
ジャミのペニスが盛んにデボラの中から愛液をかき出し、シーツはもうあちこち染みだらけだ。

デボラの媚肉も名器だった。
あんな太いものを入れられているのに、その膣はしっかりと受け止めている。
膣が軋むほどのピストンを加えられても、中は蜜でどろどろになっていて動きはスムーズだ。
襞はべたっとペニスにへばりつき、ひくついて蠢き、奥へといざなおうとしていた。
それに応えるように、ジャミがガスガスと最奥を突いていくと、デボラは細い首が折れそうなほどに仰け反らせて嬌声を上げた。

「だ、だめっ……ジャミさま、もうだめっ……ひっ、く、来るっ、来ます、すごいのがっ……い、いきますぅっ!」
「なんだ、もうか。いいだろう、一度いっておけ」
「ひああっ、いくっ!」

ジャミはだめ押しで二三度強く突き上げると、デボラは全身を激しくわななかせ、口の端から唾液すら零して絶頂した。
上に乗ったジャミを持ち上げるほどに背を弓なりにして、何度も何度も痙攣する。
それでも膣がまだしっかりとジャミの男根を締め付けており、決して離そうとはしなかった。

「あ、ああ……」

ガクンと力が抜け、はあはあと荒く息をついているものの、デボラの腰はまだ小さく動いている。
ジャミに押しつけるように上下運動しているのだ。
絶頂させられた膣は、精液が来ないのを不満に思っているのか、ひくひくと強く収縮していた。

ジャミはまたちらりとビアンカを見る。
そのビアンカは、両手で口を押さえたまま小さく震えていた。
目を閉じたり顔を背けたりはしておらず、目の前で行われた激しいセックスをしっかりと見ていたようだ。
ビアンカの喉が小さく動く。
口に溜まった唾液を飲み下したらしい。

(す……すごい……。デボラったら、あ、あんなに激しいなんて……)

ビアンカには、デボラの今の状態がよくわかる。
彼女もジャミには何度も激しくいかされたからだ。
そして、イヤでもその脳裏にはジャミのけだものじみたセックスと、長大すぎる男根の記憶が蘇ってくる。

意識した途端に、腰の奥が少し熱くなってきた。
横座りになっていた脚が少し動く。
腰も僅かに捩った。
じっとしていられなくなったのだ。
ビアンカは、それがデボラとジャミのセックスを見たことで、自分まで興奮してきたことを自覚している。
身体が火照る。
生唾が口の中に湧いてくる。
息も乱れ、熱くなってきた。
だんだんと自分がジャミに犯されているような錯覚を受け始めている。
デボラがジャミの大きな手で激しく乳房を揉みしだかれると、ビアンカは自分の乳房に強く握られた痛みを感じた。
乳首がこねくられると、ビアンカの乳首まではずきずきと疼くのだ。
いけないと思って目を閉じ、顔を背けても、ジャミの息遣いとデボラの喘ぎ声、そしてふたりは腰をぶつけあう肉の打ち合わせる音は聞こえてしまう。

唐突にビアンカの身体が小さくピクンと動いた。カッと子宮の辺りが熱を持った。
ビアンカはピンク色だった頬を真っ赤に染め、悔しそうに唇を噛みしめる。
どうやら、犯されて激しく反応しているデボラを見ているだけで、自分まで軽く達してしまったらしい。
自慰ならともかく、何もしていないのにいってしまったのは生まれて初めてだった。
それほどまでに、ビアンカにとってジャミとデボラの性交が刺激的だったのだ。
小さく昇り詰めてしまったことを紛らわそうとしているのか、あるいはそのことをジャミに知られたくないからなのか、やっと顔を背けて目を閉じた。
そんなビアンカの心情がわかるのか、ジャミはにやついたままデボラに言う。

「いったのか、デボラ」
「ああ……、はい……。い、いきました、ジャミさま……すごかったです……」
「もういいのか? もっと抱かれたいだろう」
「は、はい、もちろんです……。もっと愛してください。あんな女よりも私の方を……あああっ!?」

その言葉が終わらぬうちにジャミの腰がまた打ち込まれてきた。
デボラは目を剥いて仰け反った。
まだいったばかりで完全に落ち着いていないのだ。
感じやすくなりすぎた膣内をまた強く擦られ、消えていなかった官能の火に油が注がれる。

「そ、そんなジャミさまっ……ひっ、ま、まだ私いったばかりで……あ、す、少し休ませてっ、ああんっ……!」
「何を今さら。こってり可愛がって欲しかったんだろうが」
「そ、それはそうですけど、ああっ、いいっ……!」
「そらみろ、おまえの本性はそれだ。いくらいっても、おまえの身体は「まだいける」と言ってるぞ」
「んひぃぃっ、だ、だめ激しすぎますっ、も、もっと優しく、ああっ」

甘い絶頂感に浸ることも許されず、デボラは硬い肉棒に虐められ、また掠れた喘ぎ声を漏らして身悶えている。
突き込まれる膣の上で揺れ動くクリトリスをジャミがいじると、デボラはまたいった。

「だ、だめ、今そんなとこいじっちゃあっっ……だめえっ、いくうっっ……!」

デボラはがくがくと仰け反り、立て続けに絶頂した。
その膣内は、何度もいかされ、硬いもので擦られて爛れているのか、人間の体温とも思えぬほどに熱くなってきている。
それでも小刻みに痙攣し、ジャミのペニスを締め付けることは忘れていない。

「うああっ、ジャミさますごいっ……と、溶けるっ、オマンコ溶けちゃいますっ……いいっ!」
「またマンコが震えてきたな、いくのか?」
「い、いきますっ……ひぃっ!」

デボラはビクッと大きく裸身を弾ませて、絶叫に近い嬌声を放った。
それでもジャミは攻勢を緩めず、デボラの子宮を激しく突いていく。

「くああっ、こ、壊れてしまいますっ……わ、私のオマンコ壊れるっ……ひああっ」
「ならやめようか、ええ?」
「いやあっ、やめないで! いいっ、壊れてもいいから、もっと強くっ、あっ、奥まで……んああっ……!」

デボラは懸命に腕を伸ばし、ジャミの背中に手を回して抱き寄せようとしている。
爪を立てて、その皮膚にめり込ませていた。
脚もジャミの脚に絡ませて引き寄せようと必死になっていた。
デボラの裸身は薄紅に染まり、まるで正気を失ったかのようによがり、髪を振り乱してよがり泣いた。

「いやあああっ、いいっ……ジャミさまの、いいっ……く、狂うっ、おかしくなるっ……気持ち良すぎておかしくなるぅっ……!」

女体は連続的な絶頂でくたくたのはずなのに、なおも貪欲に肉の喜悦を求め、悶え狂っている。
身も心も蕩かすような官能は、この高慢な女すらも性を貪る牝に変えていった。
デボラは喚くように嬌声を上げ、ひっきりなしによがり声を放ち続けた。

ジャミの方も限界に近くなっている。
その甘美な締め付けはビアンカに優るとも劣らない。人の女離れした収縮の強さと心地よさは、魔物であるジャミですら追い込まれてしまうらしい。
ジャミは唸りを上げてデボラの子宮口を突き上げる。
子宮がひしゃげ、上へ押しやられる感覚に、デボラの爪先がくねり、反り返った。

「い、いくっ、またいきますっ……い、いっちゃう……んんっ、いっ、いっっくうううっっっ……!」

デボラの身体が大きくしなり、反り返った。
裸身をビクビクと痙攣させ、仕上げとも言える激しい絶頂に達した。

「おっ……くう……!」

デボラ絶頂の際の猛烈な締め上げに、ついジャミも漏らしそうになった。
というより、ほんの少しだがぴゅるっと精液が漏れ出てしまった。
本能に従って思うさま射精したいという気持ちを抑え込んで、ジャミは何とかデボラの媚肉からペニスを抜き去った。

「ううんっ……!」

硬いままのペニスがごりごりっと膣襞を抉って抜き取られると、デボラはその刺激だけでまた気をやったようだった。
度重なる絶頂を与えられて力が入らず、くたりとしたデボラがのろのろと腕を伸ばしてジャミに言った。

「……なんで出してくれないのですか……私の中に……」
「ビアンカに出そうと思ってな」

それを聞いたデボラの美貌が険しくなった。
あのビアンカという女は、あの人だけでなくジャミの寵愛まで一手に受けようとしている。
激しくいかされ、疲労していたはずの身体の奥から、ふつふつと暗い怒りが込み上げてきた。
見れば、ジャミは小さく悲鳴を上げているビアンカを抱き寄せているではないか。
のそりと起き上がったデボラは、弱々しく抗っているビアンカと、その虚しい抵抗を愉しむかのようにいたぶっているジャミの元へ
膝立ちで近づいていく。

「えっ……!?」

前から迫るジャミから逃げようとしていたビアンカの背中に、何か柔らかく暖かいものが当たった。
驚いて振り向くと、デボラがまとまりついていたのだ。

「デ、デボラ!? ちょっとあなた何を……あっ!」

憎い女の後ろに回り込んだデボラは、細身のビアンカを抱えるように両腕を前に回した。そしてビアンカのうなじや首筋に舌を這わせながら、両手で左右の乳房をゆっくりと揉み始めた。
あまりのことに混乱したビアンカは、慌ててそのデボラの腕を掴み、身体を捩った。
それでも、デボラの細い腕は意外に力強く、振りほどくこともできない。
それでいて指は優しく動き、ビアンカの乳首をそっと摘んでいた。

「んんっ……!」

その乳首がすでに硬くなっていたことを確認すると、デボラはビアンカの耳元で妖しげに囁いた。

「……いやらしい。清純そうな顔してるくせに、もうこんなになってるの?」
「やっ、そんな……やめて、んうっ……!」
「やめて、ですって? 乳首をこんなに尖らせておいて今さら何を言うのよ」

そう言うと、デボラは舌を伸ばしてビアンカの耳孔にそっと差し込んだ。
ジャミはもちろん、リュカにさえされたことのない繊細な愛撫を受け、ビアンカの背にぞくりと電気が走った。
ビアンカがクッと顎を突き出し、背中を震わせているのを見ながら、デボラは耳やその裏を舐め、軽く耳たぶを噛んでやる。
そのたびにビアンカは小さく呻きながら、必死になってその快感に抵抗しているようだ。

しかし身体の方は、もうデボラの愛撫に反応してしまっているようで、その抗いは頼りないものだった。
やはり目の前での激しいセックスショーが効いているのだ。
加えて、同性であるデボラの愛撫も巧みだった。
男のような荒々しい愛撫ではなく、女ならではの優しい、ポイントを突いた技巧的なもので、人妻はその快楽に堪えきれなかった。

「だ、だめよデボラ、そんな……あう……」

力なく喘ぐビアンカを、デボラは冷たい目で睨みながらその肉体をまさぐっている。
彼女には、ビアンカに対する愛情はもちろん友愛もなかった。
そんなものはビアンカの結婚と同時に雲散霧消している。
愛しい男を奪った憎い女という評価に様変わりしたのだ。
もしデボラに、ジャミのようなたくましい陰茎があれば、それに物を言わせてビアンカを乱暴に犯したところだが、それは無い物ねだりだ。
そこでデボラは、逆にビアンカを徹底的に感じさせ、女に嬲られて官能を極めさせ、その屈辱と羞恥で精神的に虐めようとしているのである。
そのせいか、次第にデボラの責めが激しさを増していった。

「いやらしい……こんな大きくて柔らかいおっぱいであの人を誘惑したのね?」
「あ、あの人って、あっ……リュ、リュカ? デボラあなた、もしかしてまだリュカを……ああっ!」
「余計なこと言わないでよ。私たちのセックスを見てるだけでこんなにしちゃったいやらしい女のくせに!」

ビアンカの鋭敏な肉体は、一度快感を得てしまうと、どんどんと快楽に流されやすくなっていってしまう。
デボラの手が乳房を揉みしだいていくと、ビアンカはもう諦めたのか、目を堅く閉じてその愛撫に身を任せている。
辛うじてデボラの腕を手が掴んでいるものの、引き離そうという意志は薄れているようだ。
「んっ」と唇を噛み、睫毛がふるふると震わせながら、懸命に淫らな欲望を堪えていた。

「や、やめてデボラ、こんなこと……あっ……ジャ、ジャミの前でそんな……はああっ」

口では抗うものの、ビアンカはデボラの動きに合わせて甘い声を漏らすようになっている。
頬は紅潮したままで、その赤さが顔から首筋まで降りていっていた。

ジャミはその様子をにやにやしながら眺めていた。
デボラの行為は想定外だったが、思ったより面白かった。
気丈なビアンカが、恋敵だったデボラに嬲られ、その快感を必死に耐えている姿は濃厚な色気を放っている。
最初は爪を立てるほどに力を入れてデボラの手を掴んでいたのだが、今ではもうただ添えているだけになっていた。
デボラが妖艶な笑みを浮かべ、満足そうにビアンカの耳に言う。

「その気になってきたのね? ほうら、おっぱい気持ち良いんでしょう?」
「や……、お願いデボラ、もうやめて……や、やめ、はあっ……」
「うふふ、だんだんと鼻に掛かったような甘い声になってきたわよ。本当にいやらしいわ」
「ち、違う……私はそんな……んむうっ!?」

つまらないことを言うなとばかりに、デボラはビアンカの唇を塞いだ。
まさか同性のデボラにキスされるなどとは思いもしなかったビアンカはじたばたと少し暴れたものの、すぐに鼻を鳴らして呻き出した。
そのふたりの口の動きを見ていると、もうデボラの舌はビアンカの唇を割り、その咥内に侵入していることが知れた。
デボラの小さな舌が、ビアンカの柔らかい舌に絡みつき、ちゅうっと強く吸った。

「んんっ! ……ん、んむ……んんんっ……じゅっ……んちゅっ……んむう……」

びっくりしたような表情を浮かべ、顔を振って抵抗したビアンカだったが、デボラの両手がしっかりとその顔を押さえ込んでいて離れて
くれなかった。
その間にも、ビアンカの口の中ではデボラの舌が蠢き回り、歯茎や舌の裏にまで入り込んでくる。
いつしかビアンカから拒絶の色が消え失せ、そのブルーアイにはうっすらと霞がかかってきた。
時折、顔を顰めるものの、全体的にはデボラのキスに応えていた。
そのうち、ビアンカの方からも舌を伸ばし始めてくる。
デボラはその舌を絡め取り、抜き取るように強く吸って、ビアンカを喘がせていた。

「んん……むうう……ちゅっ……んっ……んんっ……」

唇を吸いながら、デボラはビアンカの乳房を愛撫し続けている。
丸い乳房全体を柔らかく揉み、ぷくんと膨れた乳首を指先でころころと転がしていた。

だんだんとデボラもその気になってきていた。
最初は、ビアンカを責めていかせ、恥をかかせるつもりだったのだが、責めているデボラ自身も責められるビアンカの官能を敏感に感じ取り、
それを自分の快感として捉えてきている。
だが、ビアンカ憎しの思いは消えない。
徐々に感じてきているビアンカを見て、またむらむらと嫉妬と憤りを覚えてきた。
それまで優しく愛撫していた指に力を込めた。
ぎゅっと乳房を握りつぶされ、ビアンカは口を振りほどいて悲鳴を上げた。

「んぷはあっ、い、痛いわ、デボラ! だめよ、そんなに強くっ!」
「ふん。じゃあ、さっきみたいに優しく揉んで欲しいの?」
「そ……そうじゃなくて、もうこんなことやめて……あっ、だめ! はああっ……!」

いきなり強く揉みしだかれ、恐らくは痛かったはずだろうに、ビアンカはさっきよりも激しく喘いだ。
それに気づいたのか、デボラは力を弱めず、そのままぎゅうぎゅうと絞るように揉みたてた。
乳首も転がすだけでなく、思い切り指先で弾いて、ビアンカに甲高い悲鳴を上げさせている。

「痛いの? それとも気持ち良いのかしら? ホントにいやらしいんだから、ビアンカは。さ、もっと身体から力を抜きなさい。ふふ、私とジャミさまで天国へ連れていってあげるから」
「んんっ……」

デボラはビアンカの首や耳へ執拗に舌を這わせ、強弱をつけながらその乳房を愛撫していく。
ビアンカの方はもうすっかりデボラに身を任せており、身体に力が入らなくなってきていた。
デボラは鼻で笑うと、左手で胸をまさぐりながら、右手を伸ばしてビアンカの股間を襲った。
「あっ」とビアンカが叫び、反射的にデボラの右腕を掴んだものの、その手はしっかりと股間をまさぐっていた。
デボラの腕を掴んでいたビアンカの手はすぐに緩み、彼女の手の動きに応えるかのように腰をうねらせ始めた。

「だ……だめっ、デボラお願いっ……ああっ」
「ほら、ここね? クリトリス……あなたもここが感じるのよね」
「やあっ、そこっ! だ、だめよ、そんなにっ……ひぃっ!」
「ここに指も入れてあげるわ、ほら」
「あうっ!」
「もう中が熱い……。男のものを欲しがっているわ。本当に淫らな女……」
「やめて、お願いよ……デ、デボラ、ああ……」

デボラは人差し指と中指をずぶりと根元まで埋め込み、内部をかき回した。
同時に親指で肉芽を軽くころがし、ぐぐっと押し込んでやる。

「んくあっ! だ、だめっ……!」
「おっと」

ビアンカの膣が急速に絞まり、いきそうになったと思いきや、そこでデボラは指を抜いた。

「あう……。な、なんで……」
「危ない、危ない。うふふっ、そんなに簡単にはいかせてあげないわ。それとも、そんなにいきたかったの? 女の私に責められて」
「……」

デボラはほくそ笑んだ。

「でも、だめよ。いかせてあげない」
「……」
「いきたいならジャミさまにお願いなさい」
「そんなこと……」
「いいから見なさい!」
「あ……」

デボラはビアンカの頭を掴んで正面を向かせた。
そこにはジャミが仁王立ちしている。
魔物の股間には、猛々しいに勃起した男根があった。

「す……ごい……」

もはや見慣れてしまったはずのジャミのペニスだが、ビアンカはそのたくましさに目を見張った。
デボラもうっとりして凝視している。

「そうよ、すごいでしょう? ばっきばきに……痛いほど硬くなってるのよ」
「……」

ビアンカは声もなくそれを見つめ、ごくりと喉を鳴らしていた。
デボラに背を押され、這いずるように間近に寄っていく。

「さ」
「……」

デボラに促され、ビアンカは突き出された男根を前に跪いた。
その瞳は熱く潤んでいた。
直接的に命令されたわけではないが、ビアンカはおずおずと口を開き、舌を伸ばしていった。
それを見たデボラも同じようにジャミのものに舌を這わせていく。

「んふっ……ちゅっ」
「……」

デボラが舐め始めると、躊躇していたビアンカも舌を触れさせた。

「ん、んんっ……ちゅる……んんん……」

ふたりの女が魔物の性器を奉仕していく。
デボラはペニスの下から上へ、ビアンカは上から下へ舐め下ろすようにフェラチオしていった。
ふたりの美女が交互に舐め上げていくと、ジャミのペニスはたちまち女たちの唾液にまみれていく。
その女の舌の心地よさのせいか、ジャミの男根はさらに熱く硬く、そして大きく膨れていく。

それを驚嘆した目で見ながら、ビアンカは唇でそっと口づけた。
デボラはビアンカの未熟さを嘲笑うかのようにテクニックを見せつけている。
舌で亀頭全体を覆うようにしたり、先っぽを尖らせた舌でちろちろとくすぐるように愛撫した。
これだけ見ても、人妻であるビアンカよりもデボラの方が性体験は豊富だったとわかる。

「んっ、ちゅっ……ちゅぶっ……んんう……」

どきなさい、と言わんばかりにビアンカを押しやると、デボラは本格的に口唇愛撫を始めた。
舌を大きく使い、べろりと舐め上げる。
唇にくわえて口を窄め、カリ首を締め上げる。
舌先を使って裏筋をこそぐように舐めていく。
その熱い舌はジャミの肉棒を興奮させるに充分だった。

「なかなかいいぞ。さすがデボラだな」
「んんっ……お褒めいただいて光栄ですわ。では、もっと……」
「いや、待て。おまえが巧いのはよくわかってる。今度は下手なやつに経験を積ませないとな」
「……そうですか」

ジャミはビアンカを指名したのだ。
デボラは憎々しげにビアンカを睨みつけ、それでもジャミに言われた通り場所は譲った。
まだ吹っ切れないのか、ぐずぐずしているビアンカの背中を叩いて言った。

「ほら、何してるの。さっさとジャミさまのものを気持ち良くして差し上げるのよ」
「で、でも……」
「でも、じゃないわ!」
「あ、いや! んぐうっ!」



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