ふたりの関係は秘密だったが、秘めたものであればあるほどに探ろうとする動きは起こってくる。
まして、可愛らしくてスタイルも良く、性格的にも素直で優しい麻美は男子生徒のウケが良い。
麻美本人は、自分が可愛いとか性的魅力に溢れている、などという認識はほとんどなかった。
むしろ童顔なのを気にしていたり、胸やお尻が大きくて恥ずかしいと思っていたくらいだ。
おまけに、多分に天然ボケなところがあり、そこがまた愛嬌として捉えられている。
麻美はおとなしく、目立ちたがる性格でもないから、表立ってアイドル化していたわけではないが、隠れた信望者は多かったし、ラブレターなどで求愛されることも珍しくなかった。
もっとも、男子生徒に友人以上の好感を持たれても、すでに恭介と結婚している麻美は戸惑うばかりだった。

そんなわけで男子からの人気は高かったが、一部の女子は彼女を嫌っていた。
気立てが良くて優しい子だから女生徒にも敵を作るようなことはなかったが、「可愛い」「男子に人気がある」という理由だけで彼女を敵視する子たちはいた。
特に自分の美貌に自信を持っている女子たちは、麻美を「ぶりっ子」「男子に媚びを売っている」として忌み嫌っている。
麻美は良い意味でも悪い意味でも天然だから、あまりそういうことには気づいていない。
そこがまた頭に来るらしかった。
麻美と恭介の関係について噂を流したのも、恐らくは彼女に反感を抱いた女生徒だったと思われる。

恭介はもちろん麻美も、学校では互いに素っ気なくしていた。
ふたりの関係がバレたら大変だということもあるが、恭介としては贔屓と取られては困るからだ。
麻美との関係とは別に、教師が生徒を依怙贔屓したり差別したりすることは許されない。
だからふたりは、どうしても話さなければならないことを除けば、校内で会話することはほとんどない。
恭介などは、用事がある時でも特に麻美でなければ困る場合以外は、他の生徒に頼むようにしている。
麻美も麻美で、恭介の担当科目以外の質問は恭介以外の教師にするようにしていた。
そこまで徹底しなくとも、と思うのだが、それくらいふたりは警戒していたということだろう。
むしろ、そこが怪しいと言われるくらいだった。

とはいえ、やはり愛し合った者同士である。
目配せしたりウィンクしたりのアイサインを交わしたり、そっと笑みを向けたりすることはあった。
本人たちはバレないよう、控え目にやっているつもりだったろうが、そうしたものは意外と周囲にはわかりやすいのである。
まして「怪しい」と思われている関係なら余計にそうだ。
だから、根も葉もない根拠のない話で片付けるわけにはいかない噂でもあったのだ。

その噂に敏感に反応したのが岩崎航平だった。
男子生徒のほとんどは「んなわけあるか」と思っていたが、その裏で「もしかしたら」という思いも皆持っていた。
無論、根拠があったわけではなく憶測だ。
あの可愛らしい小野原麻美が教師と禁断の関係を結んでいる──この年頃の男子であれば、そうした淫らな妄想を抱くのも無理はなかった。
インターネットでも漫画でもエロアニメは、ふんだんにそういうネタを組み込んでいる。
それを見て育った世代は、当然そんなものはフィクションであり、作り事だと理解はしている。
理解はしているが、逆に、もしそんなことが本当にあったなら……という妄想もしているのだ。
教師と生徒の性関係を描いた漫画を読みながら、麻美と市丸先生のセックスを妄想し、あるいは自分と麻美のセックスを夢想しながら自慰に耽る生徒はきっと多かったことだろう。

映画研究会部長である航平もそうだったのだ。
もともと「エロ崎」とあだ名されるほどのスケベだったし、麻美には何度も迫り、告白までしている。
そのすべてが失敗していたが、どうしても思いを断ち切れず、「映画製作に協力して欲しい」と麻美を部室へ呼び出したことがある。
言葉巧みに麻美を誑かし、下着を脱がせてシャツだけ着せてビデオ撮影したのだ。





濡れたシャツに浮き出たボディラインや乳首に興奮し、転んだ麻美の股間をモロに見ることも成功したが、それ以上のことまでは出来なかった。

悶々とした思いで日々を送っていたが「今度こそ」と決意し、航平はまた麻美を部室へ呼び出した。
誰かに気づかれても困ると思い、夕方遅く来るように言った。
麻美には夜の光景を撮りたいからと、適当なことを言って誤魔化した。
部室の引き戸がトントンとノックされた。

「岩崎くん、いる?」

ガラッと戸が開き、麻美が顔を覗かせた。
もう夕方遅いということで、いささか不安そうな表情だ。
航平は警戒されないよう、笑顔で迎えた。

「お、小野原悪いな、こんな時間に」
「あ……、うん。でも、あたし、あんまり遅くなると……」

恭介よりも先に帰宅し、食事の用意をしてあげたい。
それに、学生の自分の方が帰りが遅ければ心配するだろう。
航平はビデオカメラの三脚を調整しながら、、安心させるように言った。

「悪い。でも、そんなにかからないから。それに……」

ちらりと麻美の方を見る。

「……今日は職員会議があって、先生たちはみんな遅くなるみたいだよ」
「あ……、そうなんだ」
「もちろん市丸先生もね」

鞄を机の上に下ろした麻美の動きが止まる。
それで航平にはピンと来た。どうやら事実かも知れない。
麻美は動揺を抑えるように、小さく言った。

「……どうして市丸先生のことなんか言うの?」
「それは小野原がいちばんよくわかってるんじゃない?」
「……」

航平はさりげなく麻美の後ろを回り、引き戸を背にする。
手を後ろに回して、器用にロックを掛けた。

「あの噂は本当なんだね」
「噂って……」
「小野原が市丸先生とつき合ってるってやつさ」
「……」

そんな噂が出ていることは薄々気づいていた。
でも、恭介と相談の上、出来るだけ相手にしないことにしていた。
それに、あくまで「つき合っている」という噂であって「結婚しているらしい」という噂ではなかったからだ。
もし問い詰められたとしても「知らぬ存ぜぬ」で押し通せば、何も証拠がない以上、バレる心配はないと思っていた。

ただ、麻美は「押しの強い」タイプではなく、逆に「押される」と弱い方だ。
だから、どこまで誤魔化せるか不安だったのだが、いきなり今日その機会が来てしまった。
麻美は作り笑いをしながら答える。

「何言ってるの? そういう噂が流れてることは知ってるけど、あたしはそんな……」
「……」

航平は黙ってノードパソコンを開き、そこに映像を映し出した。
モニタに小さなウィンドウが開く。ムービーが再生されているが、画素数は低いらしく画像はそう鮮明ではなかった。
だが、そこに人が映っており、何をしているのかくらいはわかった。
音声はなかったが、それだけにアングラさが際立っている。

麻美は何も言えず、身体の震えを抑えるのに必死となっていた。
ざあっと音を立てて血の気が引いていくのが自覚できる。
押し黙ってしまった麻美を見ながら航平が言った。

「……何だかわかるよな、小野原」
「し……知らない、こんなの……」
「そうかい? 何をしてる映像かもわからないかな?」
「……」
「男と女がいるのはわかるだろ、裸でさ。何をしてるのかなあ」
「知らない、知らないっ……!」

麻美は真っ赤にした顔を背けた。
唇が震えるのが止まらない。

見ればわかる。
あれは自分だ。
そして夫の恭介に間違いない。
何をしているのかも一目瞭然だった。
麻美は語尾を震わせながら聞いた。

「こ、これ……いったいどこで……」

被写体は自分ではないと否定せず、方法を聞いている時点で、映っているのは麻美自身だと認めたようなものだった。

「どこって、小野原の家に決まってるだろ。ってか、市丸先生の家って言った方がいいのかな」
「いつ、こんな……どうやって……」
「三日前。夜中にね、こっそりと小野原んとこに行ったんだよ。で、ロックしてない窓を探して少しだけ隙間を空けてさ。そこにこれを突っ込んだわけ」

そう言って航平が手にしたのは、何やら細いチューブのようなものだ。
蛇腹になっている直径1センチくらいのものだ。
その根元に何か四角いものがついている。
そこがモニタらしい。
よくよく見てみると、先端に小さなレンズがついていて、どうやらそこから撮影できるようだ。

「ファイバースコープって知ってる? 内視鏡手術とかに使うやつ。人のお腹とかに小さな穴を空けて、これで映しながら手術するんだ。大きく開腹しないで済むから患者の負担が少ない治療なんだね。聞いたことくらいあるだろ?」
「そんなもの……どうして岩崎くんが……」
「まあ医療用はかなり高くてどうにもならないんだけど、これ工業用なんだ。機械の中とかパイプの奥とかを覗くためのものだ。こっちは医療用よりはずっと安い。だから俺でも中古が買えた。その代わり画素数が低いから目が粗いんだ。ほら、こうやってズームしちゃうと……」

麻美と思われる女体をアップにしてみたが、かなりドットが粗くなっている。
それでも被写体が女性であり、裸であることは充分にわかる。
男と絡み合っているのも、もちろんわかった。
麻美の肩がわなわなと大きく震えだし、大きく動いた。

「やめて! もうやめて!」
「おっと」

恥ずかしい映像が映っているパソコンに飛びかかろうとする麻美の細い腕を、航平はがっしりと掴んだ。

「痛い……! 離して!」
「暴れるなよ、小野原。俺のパソコン、どうする気なんだよ」
「そんなの消して!」
「何言ってんだ、これ俺のだぞ」
「う、映ってるのはあたしです!」
「ほう、認めたね。相手は市丸先生なんだろ?」
「……っ」

ぴたっと動きが止まり、膝が崩れ、麻美はその場にへたり込んでしまう。
そのまま手を顔に当て、すすり泣き始めた。

「ひどい……ひどい岩崎くん……こんなこと……」

惚れた女の涙だけに、さすがに航平も少し堪えた。
だが自業自得だ、麻美が悪いのだ。
俺に内緒でつき合っていた、それも教師とセックスの関係になっている麻美が悪い。
航平はそう割り切ることにする。

「チューブ動かすとカーテンも動いちゃって閉口したよ。あんまり大きく動いたらバレちゃうもんな。まさかこんなものが撮れるとは思わなかったんだよ。俺としちゃ、小野原の寝顔でも撮れればいいな、くらいに思ってたんだからさ。もちろんオナニーでもしてるところが撮れれば最高だけどな」
「おっ、おな……いやらしいっ!」

航平は、顔を染めて非難してくる麻美をにやにやしながら眺めている。

「いやらしい、だって? そりゃ小野原の方だろ? 高校生の分際で学校の男性教師とセックス……」
「言わないで!」

麻美は座り込んだまま立ち上がれず、両手で耳を塞いで叫んだ。
航平は麻美の手首を掴んで立ち上がらせた。

「あっ……」
「どうだ小野原。認めるんだな、市丸先生との関係を」
「……」
「ダンマリか。それで済むと思うなよ、正直に答えなきゃどうなると思う?」
「ど、どうなるって……」

麻美は脅えた顔で同級生の脅迫者の顔を見つめた。
睫毛がふるふると震えているのが愛らしい。

「学校に……いや教育委員会に提出しようか?」
「えっ……」
「大問題になるよな。小野原はともかく、市丸先生は学校クビになるどころか、教師でいられなくなるぜ。いや、それだけじゃない、淫行の条例違反で逮捕され……」
「だ、だめっ……絶対だめ!」
「もっといい方法があるよ。いっそのこと、ネットにアップしてやろうか」
「ああ……」

麻美は絶望し、手首を掴まれたまま身体の力を抜いた。
足ががくがくする。
膝が笑ってしまう。
航平の顔が近づいてきても気づかなかった。

「小野原」
「やっ……!」

麻美は、間近に迫ってきた航平の顔から逃げるように顔を背ける。
航平はその顎を掴み、強引に正面へ向かせた。

「い、痛いわ岩崎くん……」
「じゃあこっち見てよ。俺だって悪魔じゃない、条件次第じゃ俺のパソコンから流出させないでやってもいいんだ」
「どうすれば……」

麻美は縋るような表情で航平を見つめた。
思わず甘酸っぱい気持ちに押し潰されそうになるところを、航平は何とか堪える。

「俺はおまえに惚れてる。何を求めてるかわかるだろ?」
「ま、まさかそんな……」
「図星って顔だね。そう、俺も小野原と寝たい。セックスしたいんだ」
「い、いや、そんな……バカなこと言わないで!」
「バカなことかな? だって小野原だって市丸先生としてるじゃないか」
「だってあの人はあたしのダンナ……」

麻美はそこまで言いかけて、ハッとして口を閉じた。
航平は不得要領な顔をしている。

「なに? ダン……」
「な、何でもない!」

身体の関係であることは、もう否定しようもなかった。
ならばせめて実は「夫婦」である、という秘密だけは守らねばならない。
これまでバレたら、本当に居場所がなくなってしまう。
航平はよく聞き取れなかったらしいが、あまり気にした様子もなく言った。

「ま、何でもいいや。そういうわけだよ。俺と……、断れないよな、小野原」
「ひどい……卑怯よ、岩崎くん……そんな人だと思わなかった……」
「そう言われると辛いけど、それだけ小野原が好きだってことにしてよ。で、どうする?」
「……」

麻美は口ごもってしまったものの、もう結論は出ているのだ。
航平の要求は拒めない。
彼に抱かれるしかないのである。
何とか勇を振るい、死んだ気になって身を任せるのだ。
幸い、もう恭介には抱かれている。
処女ではないのだ。
初めては愛するダンナ様に捧げることが出来た。
それを慰めにするしかなかった。
麻美は弱々しい声で言った。

「こ、今回……今回だけって約束して……」
「軽はずみにそんな約束はできないけど……、ま、考えてみるよ」
「お願い……本当にこれっきりにして……」
「そんな顔されたら同情しちゃいそうだよ。とにかく服を脱いでみて」
「そんな……」
「いやか?」
「……」

麻美の返事を待つ間、航平は引き戸の内鍵を確認し、窓は分厚い遮光カーテンを引いた。
引き戸の小窓や廊下側の窓もすべて黒いカーテンで覆った。
暗室としても使う部室だから、そうしていても不自然ではない。
麻美はまだ脱げず、もじもじしている。
当然だろう。夫以外の男の前で肌を晒さねばならないのだ。
しかし航平が焦れたような仕草を見せると、哀しそうに俯いて後ろを向き、おずおずと制服に手を掛けていく。
途端に航平の鋭い叱責が飛ぶ。

「だめだよ、ちゃんとこっち見て脱ぐの」

麻美が渋々前を向くと、何と航平はビデオカメラをセットしている。
人妻なのにまだ初心さを失わない女子高生は、たまらずに小さく叫ぶ。

「やっ、カメラは……」
「是非、撮らせて欲しいね。断るの?」
「……誰にも見せないって約束して……」
「いいよ。ま、それも小野原の態度次第だけど」
「ひどい……」

そうつぶやきながらも、麻美は拒めなかった。
強張ったままの腕を動かしてブレザーのボタンを外し、袖を抜くとブラウスの胸元がはち切れそうになっている。
そのブラウスも脱いで胸元をはだけさせた。

「……」

エロ崎の異名を取り、ネットやビデオ、雑誌でも様々な女体を鑑賞してきた航平でさえ、息を飲むような光景だった。
サイズが違っているのではないかと思われるくらいの胸が、真っ白のブラを押し返すようにその存在感をアピールしている。
ボリューム感が物凄く、谷間もくっきりと深く刻まれていた。

「ブ、ブラ外せよ、早く!」
「……」

麻美が手を背中に回し、そっとホックを外すと、ブラジャーに締めつけられていた乳房がぽろんとまろび出た。
慌てて腕で隠したが、「隠すな」と叱責する航平の声に屈し、そっと手を外した。
制服の上からでも男子生徒の評判だった麻美の胸は、妄想にそぐわぬ実に見事なものだった。
下着に負けぬほどに白い乳房は、かなりのサイズだと思われた。
航平は知らなかったが、麻美のサイズは上から90−62−88である。
それを知れば航平も納得したことだろう。
特筆すべきは、これだけ大きなバストなのにちっとも垂れておらず、型崩れもしていないことだ。
若さもあるのだろうが、それだけ肌に張りがあり、中身もたっぷり詰まっているということだろう。
まるで美少女フィギュアのようだ。
顔がくっつきそうなほどに接近してくる航平を腕で遮り、麻美は蚊の鳴くような声で言った。

「あ、あんまり見ないで……」
「無理言うなよ、男なら誰だって見ちまうって。それにしてもでかいな、小野原。ブラ、窮屈で苦しかったろ?」
「し、知らない……やっ!」

思わず手で押しのけてしまったが、航平は文句も言わず続きを求めた。
麻美は半泣きになりながら、プリーツの入ったスカートを下ろして下着一枚となる。

「もう……これで許して……あっ!」

麻美の半裸を間近に見ただけで、もう航平は抑えが利かなくなり、襲いかかってきた。
ショーツとソックスだけになっていた麻美は片手で胸を隠しながら男を押し返そうとしたものの、強く拒否できない。
弱々しくなよなよと顔を振り、身体をくねらせるのが精一杯だ。
もし、ここで大声を出して助けを求めれば誰か来てくれるはずだ。
放課後とはいえ、まだ校内には職員も大勢残っている。
だが、そうなって航平が罰せられても、麻美が何をされようとしていたのかはわかる。
そして撮影した映像も残っているのだ。
今日のものはともかく、恭介に抱かれたビデオが公になったらと思うと、それも出来なかった。

「や、やめて、お願い!」
航平の手が露わになった乳房に伸びる。思い切り抗えない麻美は、さほど抵抗もせず震えていた。
なのに航平の責めはぬるく、どこかおどおどしたところもあった。

「んっ……!」

それでも、恐る恐る伸ばした指が乳房に少し触れただけで麻美は敏感に反応した。
航平の手が這うたびに裸身をピクンと痙攣させ、唇をじっと噛みしめている。
早くこの忌まわしい時間が過ぎ去ることだけを願っていた。

「あっ……いや……んんっ……」

手にあまりそうな巨乳を航平が鷲掴みする。あまりの柔らかさ、そして滑らかな肌の感触に航平は陶然となった。
夢にまで見た麻美の胸だ。
それは想像以上に素晴らしいものだった。
まるで宝石でも扱うように優しく掬い上げ、揉み込むと、麻美はクッと顎を反らし鼻を鳴らした。

(ち、乳首が起ってきてる……!)

揉んでいるうちにそこが勃起してきたのを知った航平に、少し余裕が出てきている。
麻美は感じている。
焦ることはない。
航平は今まで蓄えたエロ知識を駆使して、麻美の女体を嬲っていく。
乳首が起ったのは生理的なものだ。
別段、麻美は感応していたからとは言えない。
男の乳首だっていじっていれば勃起するのである。
特に感じていなくても、だ。

「あ、あ……い……わさきくんっ、だめ……んうっ」

抗う麻美の声が低い。
大声で叫ぶわけにはいかないのだ。
それをいいことに、航平は麻美を六人掛けの机の上に押し倒し、その全身をくまなく愛撫していく。
男の手が麻美の腿を撫で、尻を擦り、ふくらはぎを揉んでくる。
そのたびに揺れ動く乳房も、もちろん愛撫の対象となり、特に念入りに責められた。
伸ばした舌で首筋を舐められた時は鳥肌が立ったが、同時に乳首をこねくられると、つい「あっ」と甘い声が洩れてしまう。

(だ、だめ、いけない……こんなところで……ダンナ様以外の男の人に……ああ……)

濡れてきている。
恥ずかしい、いけないと思えば思うほどに身体が敏感になっていく。

以前もそうだった。
実家に電話している時に恭介が悪戯してきたが、あの時は異様に感じてしまった。
直後に抱かれた時は、自分でも驚くほど濡れ、感じてしまっていた。
どうも、そういう状況で抱かれたり、犯されるようにセックスされると感じやすくなるようだ。
麻美も薄々そのことに気づいていたが、今それを実感させられていた。

「や、やだ、こんなの……どうしよう……あっ……」

航平の興奮も異常なまでに高まっていく。
あの麻美が今、自分の腕の中で悶えているのだ。
夢のような状況だが、手に感じている乳房の柔らかさや太腿の張りは、紛うことなく現実のものだった。

麻美を見ると、鋭敏なまでに航平の愛撫に反応し始めていた。
「女はこんな状況下でも感じるのか!?」と半信半疑だった航平だったが、麻美の表情が演技とはとても思えなかった。
やわやわと乳房を揉み、お腹を撫でると、麻美は切なそうに顔を歪め、もじもじと腿をすり合わせるような仕草まで見せてきた。
頼りなく揺れ動く乳房の頂点は、もうすっかり硬くなっている。
ピクピク動くそこを見ているうちに、たまらなくそこをいじってみたくなる。
航平は手のひらの真ん中で乳首を押し潰すように転がしてみた。

「ああっ……!」

麻美は鋭く反応し、はっきりとした喘ぎまで放っていた。
なおも手のひらを押し、乳首を乳房に押し込んでやると、たまらなそうに身体を捩り、熱い息を吐いた。
すかさず航平は麻美の股間をいじった。
ショーツの上からだが媚肉に触れると、麻美の肢体が小さく跳ねる。
さらに指の先で肉芽を転がすようにいじると、麻美は息を熱く弾ませ呻いた。

「くっ……、だめっ……岩崎くん、そこ……あっ……」

乳房を責めた時に負けぬ反応を見せ、麻美は強く感じていた。
乳首と並んでここがいちばん感じるところなのだろうから無理もない。
焦らすように下着越しに指を上下させ、擦り上げる。
すぐに染みが広がり、筋目がはっきりと浮き上がった。

「小野原、わかるかい? もうこんなに濡れてきてる」
「やっ……言わないで……あうっ……」
「感じるんだね?」
「ち、違う……これは違うの、ああ……」

航平の指が次第に大胆に動き、ぷっくり膨れてきた肉厚の割れ目を摘んで揉んでみる。

「すっげ……、小野原のマン肉ぷにぷにしてる。すげえ柔らかい」
「そ、そんなこと言わないで……あっ、さ、触っちゃ……あくっ」

もう航平の指先にもショーツが湿ってくる感触がはっきりと感じられている。
いや、もう湿っているどころか厚いクロッチ部分を染み通って表面にまで分泌されていた。
この分では、ショーツの裏はとろとろになっていることだろう。
麻美は忘我となりつつあったが、太腿に当たる異様な感覚で我に返った。

「あっ」

いつの間にか航平も服を脱いでいた。
全然気づかなかったが、制服を脱いでワイシャツ姿になっている。
下半身はズボンを脱ぎ、トランクスだ。
しかも、その前がはだけて中から見たくもない男性器が露出しているではないか。
航平はそれを麻美の腿に擦りつけていたのだ。

「ひっ……!」

麻美は寒気がした。
それは恭介のものに劣らぬサイズだった。
しかもかなり硬い。
おまけにぐっと左側に曲がっているのが恐ろしい感じがする。

「やっ、やだっ……! い、岩崎くんっ……岩崎くんのが当たってるっ……」
「くっ……すっげ気持ち良いよ、小野原の太腿っ。くそ、出ちまいそうだ」
「いやっ、離れて! き、気持ち悪いっ、脚にぬるぬるしたのが……」

カウパーはとっくに漏れ出ていて、航平はそれを麻美の腿になすりつけるように擦っていた。
素股なんてバカバカしいと思っていたが、なるほどこれもいいものだと航平は思い直した。
だが、そんなもので満足する気はない。
千載一遇のチャンスなのだ。

「お、小野原いいよなっ? 俺、もう我慢できねっ」
「だめよ! これ以上だめっ、岩崎くん、やめて! 思い直して!」

声を殺して麻美が懇願する。
しかし、男がこうなってしまっては、最早止めようがないだろう。
麻美もそれは恭介で経験済みだ。
受け入れるしかない。
拒否すれば脅迫されるし、もう自分の身体も燃え始めていた。
このまま航平が諦めたとしても、家に帰って恭介に抱いてもらうか、恥ずかしいオナニーでもしなければ収まりそうにない。

「や、やるよ」
「お願い……」
「だめだよ、今さら。ほら、脚を拡げて」
「やあっ……!」

右足の付け根を左手で押さえ込まれ、左足首を右手で掴まれ持ち上げられた。
もう股間は完全に航平の望むままとなっている。
耐えるしかなかった。

「っ……!」

熱いペニスが媚肉に触れてくる。
びくびくしているのがわかる。
航平もかなり興奮しているのだ。
先っちょが割れ目を開こうとしたり、中をちょんちょんと突っついてくる。
もうそこはすっかり濡れており、準備は万端だ。
焦らしているつもりだろうか。

麻美は背けていた顔を戻し、うっすらと目を開けて航平を見てみた。
航平は何やら慌て気味で、戸惑ったように腰を動かしている。
ペニスを自分で掴んで方向をコントロールしているようだ。
様子がおかしい。
ようやくペニスがぐぐっと麻美の中に入ろうとしてきた。
しかし場所が違う。今度は麻美が慌てたように言った。

「いやっ、岩崎くん、そこっ……」
「ま、待ってろ、もう少しで……」
「ち、違う、違うっ……そ、そこ、違うから……」
「え……?」

指摘された航平が呆然とすると、麻美が下から恥ずかしそうに言った。

「そこ……おしっこの……」
「……」

尿道だったらしい。
今まで強引だった航平の顔が真っ赤になる。
それで麻美はピンと来た。

「あの……もしかして岩崎くん、その……」
「は……初めてなんだ」

そうなのか。
麻美は意外そうに航平を見つめる。
愛撫は手慣れたもののような感じがしていたから、きっと経験はあると思っていたのだ。
でも実際は、ビデオ等で覚えたことを見よう見まねでやっていただけだ。
ベテランの風俗嬢ならあっさり見抜いただろうし、そんな愛撫には反応しなかったろうが、麻美は人一倍感じやすいときている。
おまけに、こうした一種異常なシチュエーションで抱かれると、余計に感応してしまうところがある。
夫以外の男に初めて犯される、という恐怖もあった。
それで気づかなかったのだった。

「……」

さっきまでの態度はどこへやら、航平は今にも泣きそうな顔になっている。
男としてのプライドが傷ついたのかも知れない。
リードすべき男が初体験で、脅えている女が経験者なのだ。
しかも麻美は年上というわけではなく、同級生なのである。
恥辱と情けなさで俯いている航平に、麻美がそっと囁いた。

「そこより……ちょっと下のところ……」
「こ、こうか?」
「んっ……違う、もっと……」

麻美の言葉や態度を頼りに、航平は必死になって己の肉棒を操作し、本来入るべき穴を探している。
結果として割れ目の中をかき回すこととなり、麻美を感じさせることにもつながっていた。
そのうち、亀頭の先がすっと沈むところを見つけた。
すると麻美の「あっ」と小さく叫んで、コクッと頷く。

「そ、そこ……」
「こ、ここか? ここだよな?」
「う、うん……」

麻美は小さく動揺している。

(あたしってば何を言ってるの!? そんなことしないで、このまま岩崎くんをやめさせればいいのに……)

そう思わないことはなかった。
が、航平の何とも悲しそうな顔を見るにつけ、つい同情してしまった。
ここで無理に止めさせたら、彼は酷いショックを受けるのではないか。
つい、そんな心配をしてしまう。
だが、そんなのは自業自得であり、麻美を脅迫して犯そうとしていた航平が一方的に悪いのだ。
なのに情に絆されてしまう。
基本的に人が良く、誰にでも優しい。
それでいて天然なところがある。
麻美の美点と欠点が、逃げるチャンスを逸してしまった。
航平の上擦った声が聞こえる。

「い、入れるよ」
「……」

さすがに何も言えず、麻美は目を閉じ、横を向いたまま、小さく首を縦に振った。
航平は右手でペニスを摘み、左手で麻美の腰を抱き寄せながら、そのままグイッと熱い膣内に挿入していく。

「んっ!……ああっ!」

処女ではなく、そして濡れ切っていた麻美のそこは、実にあっさりと航平のペニスを受け入れていった。

「あっ、あっ……んんっ……あはあっ!」

硬いものが抉るように内部に入り込んでくる。
感度が良いせいもあって、麻美の膣は航平の肉棒を受け入れると襞をひくつかせ、敏感な反応を見せた。

「くっ、だめっ……ああ、岩崎くんのが……中に……ああっ」

曲がったペニスのせいか、膣道を太さ以上に押し広げていく感じがたまらなかった。
ペニスの先で膣内を擦りながら奥へと進んで行く。
航平も呻きながら腰を送り、根元いっぱいまでペニスを麻美の中に埋め込んだ。

「うっ……は、入った……小野原の中に全部……入ったぞ」
「ああ……」

とうとう犯されてしまった。
麻美は痛切に「穢された」という実感を持っている。
自然に涙が溢れてきた。
一方の航平は、惚れていた女と繋がったということで、この上ない至上の喜びを感じていた。
しっかりと腰で繋がったまま、麻美の背に手を回し、抱きしめている。

「ど、どうだ小野原。俺のが中に入ってるんだぞ」
「いや……も、もう抜いて……」
「バカ言うな、こんな気持ち良いのをやめられるかよ。やっと……やっとおまえとやってるってのに」

実際、航平は感無量だった。
女好きで通ってはいたが、もしかしたら麻美には本気に惚れていたのかも知れない。
航平は、出来るだけ麻美に密着したまま、その体温や肌触りを全身で愉しんでいた。

「ううっ……、小野原の中、すげえ熱い……周りが柔らかいし……な、何だか少し中が動いてるみたいだ」

初めて味わう女体に、童貞だった高校生はすっかり感動していた。
セックスがこれほど良いものだとは思わなかった。
ビデオやエロ漫画を見て興奮し、自慰していた今までの自分がバカに思えてくるほどだ。
麻美の方は、早く終わってくれることだけを祈っていたが、そのうち航平が動き出したので焦ったように言った。

「あ、あっ……う、動いちゃだめえっ……」
「くっ……、マジで気持ち良いっ……おっ、おっ」

航平は麻美に覆い被さったまま、尻を上下に揺するように腰を動かしていく。
麻美の膣も激しく反応し、呑み込んでいる航平を包み込むように膣襞が蠢いていた。

「あっ……あんっ……あんっ……」

麻美が控え目に喘ぐ顔を見てたまらなくなり、航平はつい言ってしまう。

「な、なあ、小野原っ……くっ、け、結婚しようよ」
「えっ……、な、何を言って……ああっ、動かないでっ」
「マジだよ、小野原っ。す、好きなんだ……結婚してくれ」
「そんな……ああ……」

突然の告白に、麻美は強く動揺した。
同時に、愛を告げられ、結婚を望まれたことで、麻美の肉体が著しく反応してしまった。
男性に望まれている、好意を持たれているということで、麻美の中の女性本能が強く反応し、性ホルモンが激しく分泌されていく。
さっきよりもずっと鋭い快感と肉欲を得てしまい、麻美はどうしようもなくなっている。

航平は唸りながら腰を使っていたが、さすがにあまりダイナミックな動きはまだ出来ないようで、航平は顔を真っ赤にしながら尻を小さく揺すっていた。
それでも若い肉棒は硬く、その亀頭が麻美の感じるところを巧みに擦り上げていく。
緩い快楽にたゆっていると、突如鋭い快感に突き動かされることがある。
航平のものが無意識のうちに、麻美の感じるところを突いているらしい。
今の航平には「女を責める」ような余裕はなく、ただひたすら腰を動かし、ペニスに快感をもたらそうとしているだけだ。
そのせいか、予想もしなかったところを責められ、麻美はたまらず喘いでしまう。
それは航平も同じで、徐々に収縮の激しくなってきた麻美の膣圧に耐え切れそうにない。

「うっ、あっ……お、小野原っ、小野原の中、きつい……」
「あっ……岩崎くんっ……やっ、もうしないで……抜いてぇっ……」
「あっ、おっ、おおっ……くっ、出るっ……おまえの中、きつくて……もう出そうだっ」
「だ、だめっ……抜いて岩崎くん、お願いっ!」

麻美の哀願を聞きつつも、航平の腰が止まらない。
止める事が出来ないというより、止めるつもりがなかった。
このまま、ここで中断など到底考えられない。
最後までしなければ死んでしまいそうが気がした。

「くっ、出るっ……いきそうだ!」
「だめえっ、しないで……中はだめ、絶対にだめえっ!」

航平の突き込みが次第に激しくなり、麻美の裸身ががくがくと揺さぶられる。
いくつもりなのだ。
そう理解した麻美は顔を青くして必死に頼んだ。
中に出されるのだけはだめだ。
本当に穢されてしまうし、最悪の場合、妊娠してしまいかねない。

「抜いて、岩崎くん、お願いっ……あっ、ああっ……だめよ、絶対ぃっ!」
「く、くそっ、なんでだよ! 市丸先生には中に出させたんだろ!?」

確証はないが、航平はそう言った。
しかし麻美はそう言われて必要以上に動揺した。

「あっ……ああっ! で、でもぉっ……ホントにだめなのっ……お願い、外にぃっ……」
「ち、ちくしょうっ!」

もう我慢出来ない。
女の媚肉……というより、麻美の肉の妖しさに耐えかね、航平は暴発しそうになる。
このまま出したい。
中に出した方が気持ち良いはずだ。
だいいち、今にも射精してしまいそうなのだ。
そう思うのだが、自分の最初の女になってくれた憧れの麻美に哀願され、やむを得ずペニスを膣から引き抜いた。

「ああっ!」

肉棒を抜かれた瞬間、麻美はグウッと仰け反って大きく喘いだ。
カリで膣口を激しく抉られ、絶頂したのかも知れない。
航平の方も、右手でペニスを引き抜くと、そのまま麻美の白い裸身に射精した。
びゅるるっ、どびゅっと音がしそうなほどに激しい射精だった。
豊かで白い乳房に、滑らかなお腹に白濁液が浴びせられていく。

「くっ……!」

航平はペニスを支え持ったまま、麻美の身体に精液を引っかけた。
膝立ちのままずり上がり、麻美の顔にペニスを近づけ、そこで射精する。
白濁した粘液で汚される麻美の美貌を見て、さらに精液が尿道口から噴き上がった。

「ああ……」

胸と言わず腹と言わず、顔にまで航平の精液を浴びた麻美は陶酔したような表情で小さく呻いている。
むっとするような男の精臭が鼻腔をくすぐり、膣内部がまた熱を持っていく。

思う存分に射精が終わると、航平はすぐにカメラを持って近づき、精液にまみれた麻美の顔をしっかりと映像に記録した。
これを見るだけで、いくらでもオナニー出来そうな気がしていた。



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