「どうしたの?」
「あ……、何でもありません、ダンナ様」

恭介が顔を覗き込むと、麻美は少し慌てて笑顔を作った。
結婚前まで麻美が処女だったのはともかく、恭介も童貞だった。
大学時代にも悪友に誘われ、ソープへ連れて行かれそうになったことはあるが、結局そのまま帰っている。

性欲がなかったわけではない。
自分でも人並みに女好きだとは思うし、イヤになるほど好きだと感じる時もある。
だが、そうした時でも大抵は自分で処理して済ませてしまい、とうとう女を抱くことはなかった。

セックスは愛し合った男女で行なうものだ──と綺麗事を言うつもりはない。
そういう気持ちがなかったわけではないが、どちらかというと度胸がなかったのだと思う。
そうでなくともシャイなところがあったから、女性の前に出るだけでドギマギしてしまうことがある。
況して交際し、キスして、その先……となると、情けないくらい意気地がないのだ。
嫌われたらどうしよう、相手がそれを望んでいなかったらどうしよう、という気持ちだ。
相手を思いやる気持ちが強いと言えば言えないこともないが、そんな男性に女は惹かれない。
多少強引なところもあっていい、と思うものらしい。

だから恭介は、学生時代を通じて女性とつき合ったはない。
性格は良いし、ルックスも悪くなかったから、そこそこモテはしたのだが、そうした面で深いつき合いになる女性は出来なかった。
名実共に麻美が「初めての女」だったのである。

その麻美とも、結婚してからもしばらく抱かなかった。
麻美の義父から「卒業するまでは子作り禁止」と言われていたこともあるし、麻美を自分の汚らしい欲望で穢すことにためらいを感じていたこともある。
だが、今思えばそれらは言い訳で、自分が童貞であり、うまく女性を扱えるか自信がなかったのだ。

一方の麻美は、夫婦はそういう行為で愛情を交歓するという知識はあったし、興味もあったから楽しみにしていた面もあるのだが、恭介の思いとなかなか重ならなかった。
その後、ある出来事をきっかけに恭介はそれらの思いを吹っ切って、自分と麻美の思いに忠実になろうと、彼女を抱いたのだった。

以降は、自分で思うのも何だが、猿のように麻美の身体を求め続けた。
麻美もそんな恭介の思いを受け入れ、毎夜の如く同衾し、愛を確かめ合っていた。
今までは積極的だったのはむしろ麻美の方で、恭介は疲れていても応じていたものだ。
なのに、ここ数日、麻美から求めてくることはなく、それどころか恭介が誘っても申し訳なさそうに拒絶してくる。
こんなことは初めてだ。
女性経験の少なさから、こうした心情の機微には疎い恭介ではあったが、さすがにおかしいと思ったようだ。
そっと愛妻の頭を撫でながら尋ねる。

「身体の調子でも悪いの?」
「いえ、そんなことは……」
「何か……悩みでもあるのかな」
「……」

あるのは事実だが、とても夫に相談できる内容ではない。
麻美はぎこちない笑みを浮かべながら否定してみせた。

「だいじょぶです。風邪もひいてないし……ホントに平気です。でも……」
「……その気にならない?」
「……」

何かあると恭介は踏んだ。
さすがに教職を勤めるだけあって、生徒のこうした反応には敏感だ。
きっと何か心配事があるのだろう。
だけど恭介にはあまり話したくない内容らしい。

恭介が教師だからか?
その場合、学校生活に問題があるということなる。
麻美の性格を考えればイジメの対象になるとはあまり思えない。
が、絶対ないと言い切ることは出来ないだろう。

それとも夫としての恭介に言えないことだろうか。
ならば、恭介と麻美の関係を仄めかすような噂が抜き差しならぬところまでいっている可能性がある。
一日二日ならともかく、ここのところずっと麻美はこの調子だ。

明日にでも、少し学校での様子を調べることにしよう。
教師仲間や生徒たちから、それとなく聞き出してみるのだ。
もし噂が広まって麻美が過ごしにくくなっているなら、何か考えなければならない。

恭介は口ごもる麻美をそっと抱きしめた。
小さくて暖かい、そして柔らかい身体が愛おしかった。
抱きしめられたことでホッとしたのか、麻美も恭介の胸に顔を埋めていた。
夫に抱きしめられ、背中を撫でられる安堵感はあったが、それ以上に後ろめたさが胸を支配し、麻美はなかなか寝付けなかった。

────────────────────────

麻美の様子は学校に行っても大差なかった。
授業中も休み時間も、そして放課後の今も、自席に座ったまま放心している。
関係を見破られないよう、なるべく恭介に顔を合わさないようにしているのはいつものことだが、今日は今まで以上に避けている。
それだけではなく、クラスの仲の良い友人たちにも「どうしたの?」と訝られる有様だ。
ぼーっとしているだけならともかく、悲しそうに俯いたりため息ばかりついていれば、友達に不審がられても仕方がない。
相談できるような内容ではないから、麻美はぎこちない笑顔を作って「何でもない」と言い、そそくさと席を立ってしまった。
矢野透は、その姿をじっと見つめていた。

心配そうなクラスメイトから逃れるように、麻美はふらふらと歩き回っていた。
ふと気づけば、もう夕刻である。
夫の恭介は、今日はPTAの会合があるそうで帰宅が遅くなると言っていた。
このところの麻美の様子を心配し、帰りが遅くなることを詫び、なるべく早く帰ると約束してくれた。
そんな恭介の気持ちは嬉しかったものの、事情を知らない夫が麻美を思う気持ちに対して胸が痛かった。

正直に告白して許しを乞えば、どれだけ楽になるだろう。
麻美は何度そう思ったか知れない。
それに、許しを乞うも何も、麻美本人は何も悪いことはしていないのだ。
だが、事実を知れば恭介は悲しむだろうし、航平に対してどう出るか不安でもある。
夫の穏やかな性格からして、暴力的な報復をするとは思えないが、あまり仕返しとか復讐とか、そういうことはして欲しくなかった。
出来れば穏便に済ませたい。

そうも思うのだが、夫の方は自分が耐えて黙っていればいいとしでも、航平の方がそれで終わるかわからないのだ。
脅迫があれ一度きりとは思えなかった。
夫との閨を盗撮したビデオは現存するのだし、航平に犯されたところも撮影されていたらしい。
また航平に脅され、身体を求められたらどうしたらいいのか。
同級生の脅迫者による恐怖と、愛する夫への背徳感とで、麻美の心は押し潰されてしまいそうだ。

「……小野原」

突然に後ろから声を掛けられ、麻美は腰を抜かすほどに驚いた。
大声こそ上げなかったものの、5センチほども飛び上がってしまった。

「矢野くん……」

思いがけない相手を見て、麻美はやや困惑した。
矢野もまた、麻美に好意を持っている男子生徒だ。

彼に対して……というよりも、彼との関係について恭介に対して少し引け目がある。
麻美は以前、矢野に告白されたことがあるのだ。
しかも矢野に迫られている時、たまたま恭介がその場に来てしまった。
一緒に居るところを見られるのは困るとばかりに、麻美と矢野は、咄嗟にすぐ側の倉庫の中に隠れた。
恭介の前からは逃れられたものの、矢野とふたりっきりでいたところはしっかり見られてしまったのだ。

浮気していると思われたのではとショックを受けた麻美は、その場で泣き崩れてしまう。
矢野は麻美のそんな姿を見て、敏感に麻美と恭介の関係に気づいた。
矢野は麻美とは別の意味で衝撃を受けた。
失恋したというダメージと、麻美が教師である市丸先生とつき合っているというショックだった。

だが、麻美の涙を見て、彼女の市丸先生に対する思いは強いと見て、潔く諦めようとした。
ダンナ様に見られたショックと、矢野の真摯な気持ちを受けて動揺したのか、それとも彼の純粋な愛情に応えることが出来ないことを申し訳なく思ったのか。
麻美はその時、矢野を拒絶しなかったのだった。

それに勇を得て、矢野は今一度麻美に告白した。
麻美は答えることが出来なかった。
受け入れるような返事はもちろん出来なかったものの、拒否も出来なかったのだ。
麻美のすぐ後ろには倉庫の扉がある。
そこを開ければ矢野の前から逃げられるのだ。
それを促すかのように矢野も「イヤだったら出て行ってくれればいい」とまで言った。

そうまで言われてもなお、麻美はそこから動けなかった。
いつしかふたりは向き合い、顔が自然に近づいていく。
互いに目を閉じ、惹きつけられるようにふたりは口づけを交わしてしまった。

無論、それっきりである。
麻美は一時の過ちと振り払っていたし、気持ちは今でも夫の恭介に向いている。
だからと言って、彼女を浮気性だ尻軽だと決めつけるのは酷だろう。
子供ではないが、まだ大人になりきれていないのだ。
あの時の精神状態で、憎からず思っていた矢野に迫られれば、そうなってしまっても仕方ない面もある。
それで本当に矢野に流れてしまったとしても、一概に麻美を責めるわけにはいかないだろう。
航平と違って矢野は優しく思いやりもあり、何より麻美を本当に愛しているように見えた。
嫌う理由はないのだ。

だから麻美は、航平とは違い矢野に対して悪い印象はまったく持っていない。
冷静に考えれば、教師である恭介とつき合うよりも同級生である矢野と恋人になった方が良いに決まっているのだ。
もし恭介と知り合い、愛し合い、結婚する前に矢野のことを知ったとしたら、麻美はどうなったかわからないだろう。

しかし今は恭介の妻である。
愛している。
もちろん矢野が嫌いなわけはないが、麻美は恭介を愛している。
今では矢野の存在は、ふたりの愛の障害に過ぎず、麻美が矢野に靡く可能性はないのだ。
麻美も矢野に好意を持っていたからこそ、あれ以来なるべく彼には近づかないようにしていた。
なのに、今はあの時の状況とほとんど同じだ。
しかも、周囲をよく見てみれば、あの時の倉庫の前にいたのだ。
麻美の心臓は、大きな胸を揺り動かすほどにドキドキしている。

「あ、ごめん。驚いた?」
「……なに?」

麻美が俯いてそう答えると、矢野も居心地悪そうに言った。

「いや……、何となく小野原、最近、元気ないからさ……」
「……」
「どうしたのかなって……、ちょっと心配だっただけ」
「……」
「ごめん、迷惑だったよね」

矢野はそう言って再び誤ると、すっと麻美から離れようとした。
その時である。
麻美は俯いたままそっと手を伸ばし、矢野の腕を掴んだのだ。
考えた末の行動ではない。
咄嗟に、ほとんど反射的なものだったろう。

「……!」

矢野は驚いた。
まさか引き留められるとは思わなかったのだ。
もはや麻美が市丸先生と恋人関係(さすがに結婚していることまでは知らなかった)なのは確実で、そうだとすれば自分の存在は邪魔なだけのはずだ。
元気のない麻美が純粋に心配だったのだが、そうした好意ですら、恋人のいる彼女にとっては迷惑なことだったろう。

「小野原……」

矢野は、自分の腕を掴んだ麻美の手をそっと掴んだ。
暖かく、柔らかい手だった。
矢も楯もたまらず、矢野は麻美を引き寄せ、その肩を抱いた。
麻美は小さくビクッと震えたものの、抵抗はしなかった。
なぜかは自分でもわからない。

矢野は巧みに麻美を引き寄せ、そのまま倉庫の内部に入り込んだ。
麻美を離さぬよう注意しながら、その扉をそっと閉じる。
倉庫内に灯りはなく、中は薄暗い。
天井近くにある窓から、翳りつつある陽光が僅かに差し込んでいた。
内部は埃っぽく、古びた跳び箱だの破損した徒競走のハードルだのが、ごちゃごちゃと置いてある。
中から緩衝材のはみ出た大きなマットがふたつほど丸まっており、他に三枚ほどが無造作に重ね敷いてあった。

麻美は今、自分が夫に対して裏切り行為をしていることは認識している。
でも、寂しかったのだ。
つらかったのである。
夫に相談できぬ内容で悩み、解決の道筋が見えない。
そんな中、暖かく包み込んでくれそうな矢野に対し、つい心を許してしまったのである。
抱きしめてくる男の腕を振りほどかなければいけないのに、それが出来ない。
はね除けられないのだ。
それは身体的というよりも精神的なものが理由のように思われた。

矢野は、柄にもなく緊張していた。
今、惚れていた少女が自分の胸の中で震えているのだ。
背に回した手が、麻美の体温と柔らかさを伝えてくる。
いつの間にか麻美は、矢野の胸に顔を押しつけ、むせび泣いていた。
理由は知らなかったが、何かつらいことがあったに違いなかった。
矢野はそのまま優しく彼女を受け入れ、背中を抱いだ。麻美の髪の香りが矢野の鼻腔を擽る。
汗の匂いも少し混じっていただろう。
甘い匂いがした。
熟れた女の、濃厚な甘ったるいそれとは明らかに異なる。薄甘く、まだ少し青いような、そんな香しい匂い。
それは、矢野の「男」を昂ぶらせていくには充分なものだった。

「良い匂いだ、小野原……。これが小野原の匂いなんだね」
「や、そんな……恥ずかしい……やだ……」

恥ずかしがる麻美が心底愛おしく見え、矢野は言うともなく愛の言葉を口にした。

「小野原……愛してる」
「だめ……矢野くん、あたしは……」
「だめなら……僕の手を振り払ってくれていい」
「……あっ」

矢野の手が麻美の顎を軽く支え持つ。
麻美の顔が上向き、矢野の顔を正面から見据えた。

「……」

麻美は何も言えず、そっと目を閉じた。
自分が何を求めているのか、考えるのが怖かった。

「ん……」

矢野の唇が、そっと麻美の唇に重なる。
少しの間、軽く吸い合ってから、僅かに顔を傾け、口を小さく開く。

「んんっ……んむ……」

互いに口を開き、強く吸う。
麻美は少し顔を顰めつつも、矢野のキスに応えていく。
力強く吸ってくる矢野の口に、麻美は彼の愛情の強さを感じていた。

「んっ……!?」

舌が侵入してきた。
あの時、「出来心」でキスしてしまった時も、口を開けて吸い合ってはいたが、舌の挿入までは許していなかった。
今、矢野の舌が麻美の咥内に潜り込んできている。

「んんんっ……! んっ……んむう……」

麻美は少し顔を振って「イヤイヤ」をしたものの、強い拒絶ではなかった。
矢野はしっかりと麻美を抱きしめ、上から押し潰すように顔を彼女に押しつけている。
矢野らしからぬ強引なキスに、麻美は頭の芯が軽く痺れていた。
いつしか麻美の方も舌を伸ばし、舌同士を交歓している。
夫の恭介とはまた違った味と感触がした。

「あ……」

麻美と矢野の身体がとさっとマットの上に落ちた。
さすがに慌てて起きようとした麻美の肩を、矢野の手が押さえる。

「だ、だめ、それは……」

何をされようとしているのかはわかっている。
矢野は手を止めず、そっと麻美の制服を脱がせていった。
麻美はむずかるように身体を捩ってはいるものの、決定的な拒絶ではなくなよなよとした動きだ。
簡単に上着を脱がされ、ブラウスもはだけられた。
肌を露わにされ、それを夫以外の男に見られている羞恥で、麻美の顔が赤く染まる。
なのに悲鳴は出さなかった。
矢野はそれを「了承」のサインを受け取った。

「市丸先生とはもう……したの?」
「っ……!」

あまりに直接的な質問に、麻美は顔を真っ赤にして口ごもった。
そんな麻美を見て、矢野は覚ったらしかった。

「そう……、寝たんだね、先生と」
「そ……、そんなこと、言えない……」

それを聞いて矢野は確信した。
もう麻美と市丸先生は「深い仲」なのだ。
それを聞いても、矢野は意外なほどショックはなかった。
まったくないわけではないが、立ち直れないほどの衝撃でもなかったのだ。

逆に「もう麻美は処女ではないのだ」という思いの方が強かった。
その分、麻美の身体に気安いものを感じた……というほどのことはなかったものの、今まで抱いていた聖少女的な印象が薄れたのも確かだ。
もしかしたら自分にも手が届くのではないか……そんな気持ちが湧いてきたのである。

麻美の方は「いけない」と思いつつも、素肌になった肩口やスカートの上から撫でてくる矢野の手を、暖かく心地よいものに感じ始めていた。
ここまで来ては、もう男は止まらない。
さらに矢野は、航平と違って童貞ではない。
一時的ながら、真理子と肉体関係を続けていたことがあったから、航平よりもずっと「女」には慣れている。
そのせいか、憧れの麻美と結ばれるという興奮もあったが、思ったよりも落ち着いて彼女の身体をまさぐっていた。

「や、矢野くん……お願い、これ以上はだめ……あ、んんっ! んむ……ちゅうっ……」

麻美は脅えたような声で哀願したが、すぐにまたキスで封じられてしまった。
愛情たっぷりのディープキスをされ、麻美の肉体と心がとろけ始めていく。

(ずるい、矢野くん……こんなキスされたら、あたし……)

激しく唇を重ねられ、貪るように舌を吸われているうちに、いつしか麻美の手は矢野の背に回り、彼のたくましい背中を抱きしめていた。
もう矢野に迷いはなかった。
僅かに抗う麻美を優しく封じながらブラウスやスカートを脱がせていく。
麻美は「いけない」と思っているのだが、矢野に対する複雑な感情──もしかすると恭介とはまた違った愛情だったかも知れない──のためか、ろくに抵抗できなかった。
それどころか、スカートを脱がされた時は、脱がしやすいようにスッと小さく腰を持ち上げてしまったほどだ。

「……いいんだね、小野原」
「だ……」

なぜか「だめ」と言えなかった。
その場の雰囲気、矢野に対する思い、そして──あの一件以来、恭介に抱かれておらず、男を知ってしまった身体が男性を欲していた面も否定できなかった。

「いいね?」
「……」

麻美は、小さく頷いてしまった自分が信じられなかった。
恭介以外の男性に身体を許すことになる。
しかも、この前の航平のように脅されたわけでも無理矢理に犯されるわけでもない。
自分で了承して肉体を提供することになるのだ。
大きく動揺する麻美に追い打ちを掛けるように、矢野はブラジャーのホックを外した。

「あっ、いやっ……!」
「いやなの?」
「……」

また拒絶できない。
矢野が指先でホックを器用に外すと、カップからぽろんと大きな乳房がまろび出た。
それをじっと凝視される恥ずかしさに、麻美は顔を振って小さく叫ぶ。

「だめっ……み、見ないで矢野くん、お願い……」
「綺麗なおっぱいだよ、小野原……本当に綺麗だ……」
「ああ……」
「触るよ」
「あ、あ、だめ……」

矢野が大きく手のひらを拡げ、不安におののく麻美の乳房を掴んでいく。

「んんっ……!」

麻美はピクンと仰け反ったが、揉んだ矢野の方は驚愕とも感激ともつかぬ表情を浮かべていた。
大きくて形が良いだけではなく、信じられないほどに柔らかい。
掴んだ矢野の指は、そのまま麻美の乳房の中に埋没してしまっている。
温かく、そしてしっかりと肉の詰まった充実感もあった。ややもすると指を押し返してしまいそうなほどの弾力に驚きつつ、矢野はなおも胸肉を揉みしだく。

「んっ……だめ、あっ……そんなにしないで……くっ……」

矢野の手と指が動くたびに、麻美の乳房は淫らに形を変えていった。
男の手を押さえようと麻美の手が伸びるものの、その力は弱々しかった。
矢野は女子高生の肌の感触を味わいながら、じっくりと揉み上げていく。胸の肉塊を愛撫するだけでなく、徐々に指を移動させ、盛り上がりつつあった乳輪の縁をそっとなぞってやる。
途端にゾクッとした快感に襲われ、麻美は「ああっ」と小さく喘いでしまった。

「……もう、ここがこんなになってる……。乳首もほら、こんなに硬くなって……」
「そこだめっ……んああっ!」

快感で尖りだした乳首を搾るようにこねくられると、麻美の声が甲高くなった。
普通、あまりに乳房が豊か過ぎると感度は落ちるなどと俗説では言われているが、麻美の反応を見ればそれがウソだということがわかる。
少女は、軽く触れるように愛撫するだけでも快感を我慢するように呻き、少し強く揉んだり乳首をせめてやると、堪えきれずに喘いでしまっている。
麻美が特別に鋭敏だという可能性もあるが、やはりこの部分は女の弱点には違いないのだ。

「あっ、あっ……うんっ……やっ……矢野っ、くんっ……ひあっ」

矢野の手に余るほどの乳房はたぷたぷと揉み込まれ、握られた形に括り出ている。
ぐっと強く握ると、乳輪ごと乳首がぷくんと膨れ、弾けそうに飛び出た。
その乳首の根元を指先で摘み、ぐりぐりとしごくようにこねくると、麻美はたまらず仰け反り、大きく喘いだ。

「んああっ……! だめ、そんな……おっぱいばっかりっ……やああっ……」
「そんなに気持ち良いの? なら、もっとしてあげる」
「ちっ、違う、違うの矢野く……ああっ!」

硬くしこった乳首ばかり責め続けると、麻美は耐えられないとばかりに喘ぎ、背をたわめて身をうねらせる。
矢野は手のひらを拡げ、勃起した乳首を嬲るように転がしている。
乳首の硬さが手のひらに心地よかった。
矢野は麻美の耳に口を近づけ、囁くように言った。

「小野原、僕の愛撫で感じているだね……うれしいよ」
「ああ……違うの、これは……くぅっ……か、感じてなんか……んんっ!」

否定すればするほどに、麻美の被虐感がじりじりと焦げ付いていく。
強く乳房を掴まれ、激しく揉みしだかれていると、どうしても腿をすり合わせたくなってくる。
いつしか股間の奥から熱いものが滲み出て、下着を汚し始めていた。

「んう……ああ……」

もうどうしようもないほどに性感がグングン上昇していくのがわかる。
このままいかされてしまいそうな気すらしてきた。
それだけはいけないと、麻美は必死になって唇を噛みしめて堪えている。
しかし、矢野の強い愛撫と優しい愛撫のコンビネーションの前に、その決意も崩壊寸前だ。

「ひっ……!」

矢野がいきなり乳首に吸い付いた。
唇で乳首を挟み、引っ張るようにしながら、舌でつつくように嬲る。
指とはまるで違った愛撫に、麻美はいよいよ絶頂しそうになってしまう。

「あっ……あっ、だめっ……そんなことしたら、あたしっ……!」

麻美は懸命に堪え、乳房に顔を埋めている矢野を引き剥がそうと腕に力を込めた。
と、矢野は意外とあっさり顔を引き、乳首から口を離した。
矢野の唾液にまみれた乳首が妖しく光っている。

「あ……」

拍子抜けしたような声を上げた麻美を、覆い被さった矢野が正面から見据えた。
麻美は慌てて顔を背け、唇を振るわせる。

「いきそうだったね」
「ち……違います……あたし、そんな……」

幼い美貌を真っ赤に染めて否定する麻美だが、腫れ上がるほどに勃起した乳首やとろけそうな表情をしていては説得力がない。
矢野は麻美の顎を持って顔をこちらに向けさせると、またその唇を奪った。

「ん……んむ……ちゅっ……んちゅ……ぷあっ……あ、はあ……はあ……」
「今度はちゃんといかせてあげる。僕もね」
「や……、だめよ、矢野くん……もう……もうここまでにして……」
「無理だよ。ほら、これ見て」
「っ……!」

矢野が学生ズボンを脱ぎ、下着も下ろすと、もう完全に勃起した状態の男根がそそり立っていた。
麻美は息を飲んだ。

(あ……、すごい矢野くんの……け、けっこうおっきい……あんなに硬そうに勃起してて……ビクビクしてる……あたしを見て興奮してる? ……そんなにあたしのことが好きなの?)

「あうっ!」

麻美がギクンと仰け反る。とうとう矢野の手が下半身に伸びて来たのだ。
矢野は左手で乳房を優しく揉み込みながら、右手で麻美の脚を撫でまわしている。
むっちりと肉感的な太腿を撫で、時にマッサージするように揉む。
乳房よりもさらに弾力があり、水を弾きそうな肌は指に馴染んだ。
腿の表面を撫でて、絶え入りそうな喘ぎを麻美に上げさせたかと思うと、唐突に内腿に滑り込ませてくる。
普段触られることなどない部分を揉まれ、麻美はそのくすぐったさともどかしさの混じったような快感に呻いた。

「んっ……はああっ……やっ、そんな……んくっ」
「小野原……、ここも触っていいね?」
「やあっ! そこ、触っちゃ……いあっ!」

内腿を撫でていた指先が股間に潜り込んでくる。
慌てて麻美が脚を閉じたが、矢野の手を挟み込んだだけだった。
矢野は麻美の腿の柔らかさと肌の滑らかさにうっとりしながら、指をもぞつかせて奥へと忍び込んでいく。

「んっ……!」

男の指先が股間の大事なところに到達すると、麻美はピクンと顎を反らせた。

(恥ずかしいっ……。下着、濡れてるのがバレちゃう……)

ショーツのそこはもう湿っていた。
クロッチの厚い布地を通り越して、愛液が染み出しているのだ。
矢野は指先でくすぐるようにそこを刺激した。

「やうっ……も、やめ……ああっ!?」

股間を責められ喘いでいた麻美は、突如下半身が涼しくなったのを感じ、ハッとしてショーツに手を伸ばしたものの、もう膝までずり下ろされていた。
脱がされてしまったことよりも、淫らな体液で汚れた下着を見られる恥ずかしさで顔が紅潮した。
だが、すぐに股間が裸であることに気づき、途端に美貌が青ざめた。
薄い陰毛まで愛液で濡れ光っており、それを知られてしまった羞恥に麻美は消えてしまいたくなる。
無論、矢野がそれで止めるはずもなく、おののく麻美の脚を開いて、その間に股間に入り込む。
本当に犯される。
そう察した麻美の顔はまだ血の気が引いていたが、航平にされた時よりも恐怖感や嫌悪感がないことに気づいた。

(あたし……、矢野くんに抱かれてもいいって思って……そんな、ウソよ、そんなっ……あたしは……あたしはダンナ様だけのものなのに……)

その間にも矢野は麻美の股を大きく拡げ、生唾を飲んでそこを見つめていた。
麻美の秘裂は濡れそぼち、パックリと口を開けていた。
よく見ると、割れ目の奥にある小さな女穴がひくついているのがわかった。
矢野は一度深呼吸してから、おもむろにペニスを膣に押しつける。

「……いくよ、小野原」
「だめ……」

麻美は何とかそれだけ口にしたものの、もうほとんど抗わなかった。
諦観もあったが「矢野くんになら……」という思いがなかったとは言えない。
激しく動揺する麻美を尻目に、矢野は腰を落とし、ゆっくりと挿入していく。

「んっ……あはああっっ……!」

麻美はその瞬間、目を堅く閉じていたものの、その圧迫感で大きなものが中に入ってくるのがわかる。
噛みしめた唇は敢えなく解放され、苦悩の呻き声が上がった。
もうたっぷりと潤滑油の滲み出ているそこは、難なく矢野の男根を受け入れていた。
さすがに童貞だった航平とは違い、矢野は手助けも要らず麻美の膣内に埋め込んでいく。
それでも、麻美とセックスしたという感激のせいか、幾分腰が震え、声も上擦っていた。

「くっ……お、小野原っ……僕が入っていくのがわかるかい?」
「あっ……ああんっ……くううっ……やっ、入れないで……あう!」
「もう少し……もうちょっとで全部……」
「かはあっ!」

矢野の腰が股間に密着し、麻美はぐうっと背中を仰け反らせた。
ペニスを根元まで埋め込まれ、満足に息が出来ない。
夫の恭介とも、前回の航平とも違う感覚に呻き、身体をうねらせる。
自然と熱い吐息が漏れ、腰が震え出す。

(こ、これ……んんっ……太い……岩崎くんよりも……ダンナ様よりも、ふ、太いっ……息、苦しい……ああ……)

長さ自体は恭介のものより少し大きいくらいだが、太さは一回りくらい太そうだった。
紳士的な矢野に似つかぬ、ゴツゴツとしたたくましい肉棒だった。
その太いものを奥まで入れられ、膣が内部から押し広げられる感じがする。
それだけに「犯されている」「セックスされている」感覚が異常に強かった。

「ああ……」

ペニスを全部入れられ、矢野の動きが止まると、麻美も少しホッとしたように小さく呻いた。
すると、無意気のうちにつうっと涙が一筋流れ落ちた。
また恭介以外の男性と関係を結んでしまった。
航平の時は不可抗力だったが、今回は半ば麻美が受け入れてしまった結果になっている。
それだけにつらく、恭介に何と詫びればいいのかと思うと言葉もなかった。

入れられた麻美がペニスの太さをきつく感じているのだから、当然入れている矢野の方も膣の狭さを実感している。
真理子とのセックスを思い出しても、こんなにきつくはなかったと思う。
むちむちしているのは外観だけではなかった。
膣の中までみっちりと肉が詰まっている感じで、肉棒と膣道がほとんど隙間なくくっついている感じがする。

「くっ……、小野原の中、すごい……締めつけてくるよ……」
「んんっ……ああ……矢野く、あっ……ぬ、抜いて……」
「こ、ここまで来たらするしかないよ、小野原……悪いけど、最後までつき合ってもらうよ」
「そんな……あ、あっ、う、動かないで!」

それまでじっとして媚肉の中で密着感と麻美の体温を味わっていた矢野は、ようやく動き始めた。
とは言え、航平のように闇雲に動き、突き回っているわけではなかった。
ゆっくりと優しい動きだ。
自分の快楽のためというよりも、麻美を労り、快感を提供しようという律動だ。
矢野の腰が大きくゆっくりと動き、麻美の内部を柔らかく抉っていく。

「あっ……あうっ……あんっ……やっ……は……だめ、あう……ぬ、抜いて……動かないでぇ……」
「気持ち良くさせてあげるよ、小野原……ぼ、僕もかなり……くっ、気持ち良いよ……」
「はああっ、いや……くっ……んんっ……ああ……」

グイッと大きくゆっくりと突き込み、そのまましばらくじっとしてから、おもむろに同じ速度で引き抜いていく。
そのリズムを徐々に覚え始めたのか、麻美の表情にも強張りが取れ、少しずつ快楽に染まっていった。

「あっ、あんっ……んんっ……や、矢野くん、あっ……あう……」

矢野は麻美の様子を観察し、腰を打ち込みながらその身体を愛撫していく。
突き込むとゆさっと揺れ動く豊満な乳房を揉み込み、起った乳首を舌と唇でねぶる。
腰に回した両手で、背中を撫で、尻を揉み、腿をさすった。
胸肉を揉まれながら首筋を優しくキスされ、舌で舐め回されると、麻美はついつい喘いでしまう。

「いっ……ああ……んううっ……」

(や、やだ、こんな……矢野くん、上手……どうしてこんなに……ああ……)

ややもすると夫の恭介よりも巧みな気がする。
矢野が、事情があって実姉の真理子と肉体関係にあったことなど、麻美は知る由もない。
年上の女性とのセックスで培われた技巧は、まだ性体験の浅い麻美を翻弄していく。
肉体的には充分に成熟しているが、精神的にも、また性的にも開発されていない。
それでいて感じやすい。
そんな身体が矢野のテクニックに耐えられるはずもなかった。

「んっ……あうっ……いっ……ああ……だっ、め……うんっ……あっ……」

矢野が様子を窺いながらピストンしていくと、麻美の口が小さく開き、堪えきれぬ喘ぎがぽろぽろと零れ出ていく。
愛液で充分にぬめった膣内に男根を抉り込み、同じ速度で引き抜く。
胎内の襞がペニスに擦られる感触に、麻美は愉悦の表情を浮かべ始めていた。
はあはあと喘ぐ吐息は熱く、香しい。
ズンと深く突かれると「あっ」と愛らしい悲鳴を上げつつ、豊満な乳房をゆさっと大きく揺らして悶える。
ぬっと引き抜くと「ああ……」と切なそうな喘ぎを発しつつ、矢野の腕をぎゅっと強く掴んだ。
いつしか真っ白だった肌はほんのりとピンク色に染まり、ふつふつと小さな汗の粒が滲んでいる。
同様の官能はもちろん矢野も受け取っている。
魅惑的とでも言いたいような麻美の媚肉に、震えが来るほどの快感を得ていた。

「小野原の中……くっ……熱く絡みついてくるよ……。僕のはどうだ、小野原?」
「いっ……あ……ふ、太い……んんっ……な、中がいっぱいになって……ああ……」

思わず「いい」と言いそうになるのを懸命に堪え、麻美は何度も顎を反らせながら呻いた。
麻美のそこは貪欲なまでに矢野のものを咥え込み、きゅうきゅうと締めつけている。
どう堪えても、身体の芯から次々にこみ上げてくる快楽にどうしようもなくなってくる。

膣を貫くだけでなく、乳房を中心に愛撫の手も休めない。
航平のように、欲望をストレートに出した激しいものではなく、労るようにやんわりとした愛撫だ。
乳房全体を掬い上げるように持ち、ゆさゆさと軽く揺さぶる。
指は裾野から徐々に頂点を目指して這い上がり、麻美のゾクゾクするような快感と期待を与えている。
そして、いよいよ乳首だというところで無情にも進路を変え、上乳の方へと進んで行く。
そんな中、まるで偶然のようにスッと指で乳首の先端を擦ってやると、もう麻美は我慢しようという気もないのか、大きな声で「ああっ!」と喘いでしまうのだった。
乳房は舌と唇でも愛されていたが、首筋にも口をつけ、強く吸ったり味わうように舐め上げている。
麻美はそんな愛撫に翻弄され、身体に伴って心まで大きく揺れ動かされていく。

(ああ……そんなやさしくされたら、あたし……)

そんな麻美の口を、矢野が再び奪ってくる。

「あ、んむっ……んむう……んっ……ちゅ……ちゅううっ……んふ……むううっ」

唐突に口を吸われ、一瞬驚いたような顔をした麻美だったが、すぐにそのキスに没頭させられてしまう。
矢野はただ吸ってくるだけではなかった。
上唇を咥えてペロペロと舐めたり、舌先は頬裏や上顎の裏、舌の裏まで潜り込んでくる。

(だ、だめ……ずるい、矢野くん……またキス……あたし、キス弱くて……ああ……)

もともとキスは好きだったものの、夫の恭介はそこまで情熱的な口づけはしてこなかった。
愛していないというわけではなく、単に経験不足、知識不足ということだったろう。
矢野の動きにつられるように、麻美も舌を絡ませてしまう。
充分に舌を絡ませあうと、矢野は麻美の舌を引き抜くように強く吸った。

「んんんっ……!」

麻美はピクッと小さく痙攣し、矢野の口の中で大きく喘いだ。カクッと全身の力が抜け、鼓動で乳房が大きく揺れている。
不定期にピクッ、ピクッと全身がわなないていた。

(そんな……あ、あたし……いっちゃった……?)

信じられない思いだった。
恭介とのセックスでも毎回必ず絶頂していたわけではない。
なのに、初めて身体を許した矢野にいきなりいかされてしまったのだ。
自分はそんなに淫らなのかと自己嫌悪に陥るととともに、もしかしたら矢野との「相性」が良いのではないかとすら思えてしまう。

麻美の心の動きを見抜いたかのように、矢野はさらに責めを続けてくる。
恐らく、麻美が軽い絶頂までいったことはわかったのだろう。
その表情には、少しだけ余裕のような色が浮かんでいた。

「気持ち良かった?」
「……」

答えられずはずもなく、麻美は染めた顔を背けた。
その仕草が何とも愛らしく、矢野はたまらずまたキスを仕掛けてきた。
もう麻美はほとんど抵抗なく受け入れ、唇を吸わせ、咥内を許していた。
キスされるたびに官能の段階が上がっていき、麻美の倫理観が下降するのに比例して、肉体的感受性はますます昂ぶっていく。

「ああっ……! 矢野くん、もう……もう許して……はああっ……」
「まだだよ。僕がまだだ」
「そんな……あっ、ああっ!」

言葉では拒みながらも、麻美は矢野にしがみついていた。
矢野は麻美と正面から抱き合う形で密着し、腰を小さく使っている。
自分の胸板で麻美の豊かな乳房が潰れ、その柔らかさと弾力、肌のきめ細やかさを皮膚で味わっていた。
その膣の締めつけで麻美の官能が高まってきたのを感じた矢野は、太腿を掴んで大きく開脚させる。
そして腰をグラインドさせてペニスを打ち込み、麻美のお腹の裏側辺りをこそぐようにえぐり出した。

「んふうっ……やっ……んあっ!」

媚肉はさらに矢野を締め上げてくるが、それを振りほどくように男根を突き込む。
もういきそうなのかも知れない。
赤く上気した顔を振りたくり、恥ずかしい声を出すまいと必死になって我慢している麻美の表情が何とも愛らしく、矢野は覆い被さってその耳元に囁く。

「……好きだ、小野原。愛してるんだ」
「矢野くん……」
「……結婚して欲しい」
「そんな……無理よ……」
「本気なんだ。小野原と結婚したいと思ってる」
「こ、こんな時にそんな……」

結婚したい、愛していると言われ、麻美の心は激しくかき乱されていく。
麻美だって矢野には好感以上のものを持っている。
恭介がいなければ矢野を選んでいた可能性は高いのだ。
その矢野から真剣に告白され、麻美は心も身体も燃え上がってしまう。
矢野は動揺する麻美の胸を揉みたて、乳首に舌を這わせてくると、感度が急激に上昇していく。

(だめっ、こんな……感じたらだめなのに……気持ち良くなっちゃいけないのにっ……でも、あたし、もうっ……)

感じまいとすればするほどに敏感となり、貫かれる媚肉や愛撫される乳房に神経が集中していく。
焦った麻美は懸命に哀願する。

「矢野くんっ、ホントにこれ以上はだめっ……ああっ……ああっ、もうあたしっ……」
「いっていいよ、小野原っ!」
「だめだめぇっ……んっ……あはあっっ……!」

麻美の裸身が、上に乗った矢野を弾き飛ばすように跳ね上がった。
全身をピクンピクンと痙攣させ、膣は収縮してペニスを思い切り食い締めた。



「くっ……」

矢野は思わず漏らしてしまいそうになるところを、唇を噛んで堪えた。
いっそ、一度引き抜こうかとも思ったのだが、麻美の膣襞が絡みついて肉棒を離そうとしなかった。
麻美の膣はビクビクと痙攣し、じくじくと愛液を滲み出させている。
矢野は麻美を絶頂させた満足感と、締めつけてくる膣の心地よさをじっくりと味わいながら言った。

「……気持ち良かった?」
「そんな……こと……言えない……」

麻美は両手で顔を覆い、イヤイヤするように小さく首を振った。
心底恥ずかしそうなその仕草がたまらなく愛おしく、中に入った肉棒がさらに硬度を増していった。
いったばかりの身体をギクンとさせ、麻美は「信じられない」という顔で矢野を見つめた。

「や、矢野くん、あたしはもう……」
「今度は僕の番だ。いくよ」
「や……ちょ、待って……あっ、ああっ!」

絶頂したばかりの膣奥を突き上げられ、麻美は目を剥いて喘いだ。

「ひぃっ! だめ、矢野くんっ……これ以上、もうっ……いやあっ……」

戸惑う麻美を尻目に、矢野は徐々に強く突き込んでいった。
硬く張り詰めた肉棒で貫かれる麻美の媚肉は、いかされたばかりでかなり熱を持ち、まだ絶頂した余韻が残るのか、ビクビクと痙攣していた。

「あっ! ああっ!?」

矢野の動きが激しくなっていく。
それまでの優しい、思いやりのある動作ではなくなってきていた。
麻美を気遣うよりも、自らが達したいという欲望が強まっている。
一度麻美をいかせたという自信と安堵感がそうさせているらしい。

「矢野くっ……激しいっ……やあっ……あっ……ああっ、あっ、あっ、あっ、あっ……はああっ」

もう麻美は必死になって矢野にしがみつき、早くいってくれることを祈っている。
そうすれば矢野はやめてくれる……というよりも、自分ももう一度達しなければ収まらなくなってきているのだ。
麻美自ら腰を振り、責めてくる矢野に合わせて身体をうねらせ始めた。
全身からはむっとするような女の匂いと汗を噴き出し、呻き喘いでいる。
いけない。
こんな禁断の行為で感じてはいけないのに。麻美は恭介の温顔を思い起こし、何とか耐えようとしていた。
なのに、愛している夫を思い出そうとしても、激しいほどの強烈な快感と愉悦に押し流されてしまう。

(ごめんなさいダンナ様っ……ダンナ様、愛してる……ああ、でも……でも感じちゃう、ごめんなさいっ……)

「矢野……矢野くん、もうだめっ……あ、あたし……あたし、またっ……」
「僕もいきそうだ、小野原っ……受け止めてくれ、僕の気持ちをっ……!」
「いやっ!」

それを聞いた麻美は青ざめた。
矢野がいきそうになっていることを敏感に覚り、彼から逃れようと藻掻きだす。

「だめよ、それだけはだめっ……」
「小野原……」
「お願い、矢野くん……それはやめて、出さないで……そんなことしたら……」

麻美はなぜか少し涙ぐみながら矢野を睨んだ。

「そんなことしたら、あたしホントに矢野くんのことが嫌いになっちゃう……」
「……!」

矢野は唖然として動きを止めた。
そして、悔しそうに俯いてから、思い直したように腰を動かしていく。
再び強く腰を打ち込み、今一度麻美を追い込もうとしている。
矢野は腰の奥から背中へと駆け上がっていく快感を堪えきれなくなっていた。
足の裏が痺れ、陰嚢がきゅうっと締まっていく。
今にも尿道へ欲望の塊が突き抜けていきそうだ。

「あっ、あっ、ああっ、矢野くん、お願いっ……中だけは許してぇっ……ああっ!」
「じゃ、じゃあ言ってくれ、小野原っ! いきそうなんだよね? 僕に抱かれていきそうだと言ってくれ!」
「やっ、そんな……あっ!」
「い、いきそうなんだねっ!?」
「んっ……んんっ……!」

麻美は堅く目を閉じたまま、何度も小さく頷いていた。
それを確認した矢野は、けもののように吠えながら最後の律動を加えていく。

「くっ……小野原、出るっ!」
「矢野くんっ……!」
「くっ……くそっ!」
「ああっ!」

矢野は死ぬ思いで、寸前のペニスを麻美から引き抜いた。
もう精液は尿道の中程まで来ており、危ないところだった。
亀頭を擦るまでもなく、握った肉棒の先から激しく射精が始まる。

「んあっ……」

麻美は顔を背けたが、矢野の放った精液はその乳房に浴びせられた。
びゅるびゅると勢いよく射精され、麻美の大きな胸はたちまち白い濁液で汚されていく。
ひっかけられるたびに麻美は「あっ」と小さく悲鳴を上げた。
その熱さに驚いたのと、精液がかかる感触を乳房で敏感に感じ取ったからだ。

矢野はくぐもった声で呻きながら、ようやく射精を終えた。
それでもまだ収まらないのか、精液が垂れている亀頭の先で乳房を擦り、突っついている。
麻美は、まるでペニスで愛撫されているかのように反応し、とろんとした顔で控え目に喘いでいた。
それを見ているだけで、また矢野のものが勃起し始める。

「小野原……」
「え……、あ、矢野くん……きゃっ!」

あろうことか、矢野は麻美の乳房を両手で掴むと、その谷間に肉棒を挟み込んだのだ。
まさかそんなことをされるとは思いもしなかった麻美は、その恥ずかしさに身が縮んだ。
矢野の方は、精液にまみれた乳房を揉みながら、その間にペニスを挟み、しごき出している。

「知ってるかい、小野原。これ、パイずりって言うんだ」
「パイ……ずり……」
「ああ。小野原みたいなおっぱいでやると気持ち良いんだよ、ほら、こんな具合に」
「あっ……、や、やだ、矢野くんの、またおっきくなって……」
「もうちょっとだよ。もう少し大きく硬くしたら……また小野原の中に入れるんだ」
「えっ……!」

またこれで貫かれる、犯されると知った麻美は戸惑った。
だが自分の股間もなぜか反応を見せていることに恥辱を覚え、そのくせ新たな蜜を分泌していることを痛感した。

「矢野……くん、ホントに、また……」
「もう一回。いいよね?」
「ああ……」

麻美は否定も肯定もしなかったものの、矢野の行為に激しく抗うこともしなかった。



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