麻美の苦悩はさらに深くなってしまった。
立て続けに恭介以外の男に抱かれ、しかも思いもよらず感応してしまったことにショックを受けたのである。

自分は本当に恭介を愛しているのだろうか。
それとも男なら誰でもいいというふしだらな女なのだろうか。
どちらにしても少女妻を打ちのめすには充分の衝撃を持っていた。
さらに、矢野に対しては、以前から仄かに好意を抱いていたのだが、それが朧気な恋愛感情にまで発展しそうで怖かった。

それでも麻美はことさら明るく振る舞っていた。
友人たちとも、出来るだけ普段と変わらず接していたし、積極的に遊んでもいた。
ただ、航平や矢野にはなるべく顔を合わさず、廊下などで出くわせばそそくさとその場を立ち去る始末だった。

そんな麻美の様子に夫の恭介は気づいていたが、麻美の方から言い出すまでは黙って見守ってやるつもりだった。
言いたくないことだってあるだろうし、時間が解決してくれる場合もあろう。
あまりに様子がおかしければ、その時こそ教師であり夫である自分の出番なのだ。

しかし、麻美をじっと観察していたのは恭介だけではなかった。
天野明もそのひとりだ。
女たらしである彼にとっては、麻美が普通でないことはすぐわかる。
原因は不明だが、何か思い悩んでいることがあるに違いない。
こんな時、矢野であれば「慰めよう」とするのだろうが、天野は「チャンス」と見て取っていた。
隙だらけに見えるのである。
今なら……「あの時」のように邪魔が入らなければ麻美をモノにすることが出来るかも知れない。
放課後となり、友達の輪の中から離れて行く麻美を見て、天野はそっと尾行していった。

「天野」

壁際からそっと顔を出し、廊下を曲がっていく麻美を見つめていた天野は、突然に呼びかけられてビクリと振り返った。

「岩崎先生……」

英語教師の岩崎は、麻美を犯した航平の実姉だ。
きりっとした美人でクールなタイプなのだが、その反面、弟と同じく好色で漁色家でもあった。
倫理観もあまり高いとは言えず、好みの男子生徒と関係することも厭わなかった。
目の前にいる天野もそのひとりで、岩崎先生の愛人だったのである。
加えて恭介に惹かれ、仲の良さそうな麻美に嫉妬して、弟や天野を使って籠絡させようとしたこともあった。
今回の天野の行為も、それに遠因があったと思われる。
その後、恭介の麻美への思いが強いことを知って諦め、天野が恭介を殴り倒して、その身と引き替えに麻美の身体を奪おうとしていた現場に駆けつけ、すんでのところで救っている。
今はもう、ふたりの味方となっていた。
この辺りはサクラと同じだ。

「こそこそと何をしてるの?」
「……先生には関係ないですよ」
「そうもいかないわよ、また校内不祥事でも起こされたらたまらないもの」
「……」

岩崎先生は、周囲の生徒の目もあるのであまり過激な行為はしなかったものの、状況が許せばひっぱたいてやりたいと思っている。
あの時、かなりきつく叱ったつもりだったが、まだ堪えていないらしい。
前を行く麻美を見る目が、野獣のものと大差なかったのだ。
あからさまな欲望を剥き出しにしたような顔を見ながら先生が言った。

「そんな顔してれば何を考えてるかくらいはわかるわよ。あなた、また小野原をどうにかしようと思ってるんじゃないでしょうね」
「先生には関係ない。そう言ったでしょう」

天野は吐き捨てるようにそう言って、岩崎先生の手を振りほどいて足早に歩み去った。
舌打ちをしながら天野は麻美を捜した。
つまらない邪魔が入って麻美の姿を見失ったことで、胸の奥で怒りの黒い炎が燻っている。
が、案外とすぐに見つけ出し、ホッと息をついた。
麻美は目的もなく、ただうろうろと校内を彷徨っていただけらしい。
麻美を毛嫌いする女生徒もいるが、性格が穏やかで人が良いからそれなり友達は多いのだ。
おとなしく座っていれば、心配してくれる友人たちに囲まれてしまうことになる。
心配されても相談できない内容だし、自分のことに友人を巻き込んでしまうことも怖かった。
家に早く帰る気にもなれない。
恭介はまだ学校にいるだろうが、シンとした部屋の中で悩んでいたら、考えがますます暗い方向に進んでしまいそうだったからだ。

「あっ……」

いきなり手首を掴まれてハッとした。思わず相手を見上げて唖然とする。

「あ、天野くん……」

当然、好感情はない。
散々自分に性的意地悪を重ねて愉しみ、愛する恭介を叩きのめしてケガをさせ、挙げ句その前で犯そうとまでしてきた男なのだ。
恨みこそあれ、親しみなど微塵もなかった。
求愛してきた相手である航平にはさほど悪感情はなかったし、矢野へは好感すら持っていた。

しかし天野だけは別である。
同じように告白はされたが、彼の行動や言動にはまったく同調できなかった。
暴力を持って女をモノにしようとしただけでなく、夫にまで手を出した相手だ。
一見、優男風のプレイボーイなのだが、見た目以上に腕力があり、何しろケンカ慣れしている。
暴力とは縁のなかった恭介は、反撃も出来ずほぼ一方的に殴られたのだった。
嫌って当然ではあったが、生憎、麻美は人を恨んだり、根に持ったり、という人間ではない。
好き嫌いの感情は無論あるが、恨みを抱くとか、酷い目に遭わせたいというよりも「出来るだけ関わりたくない」と考えるタイプだ。
周囲にあまり波風を立てない温厚な少女なのであった。

だから、天野に見つかった時は嫌悪の感情を抱くよりもまず恐怖を感じた。
あの時のことは明確な記憶として残っている。
それは天野も同じであり、もう二度とチャンスを逃す気はなかった。

「ちょっと、いいかな?」
「や……、いや」
「つれないこと言わないでよ、ほら」
「あっ……、痛い天野くん、そんな強く握らないで……」

天野は周囲に気を配りつつ、麻美を部屋に押し込んだ。

「ここは……」

天野は、あの時麻美を襲ったその場所へ連れ込んだのだった。
麻美はふらふらと、偶然その近くまで歩いてきてしまっていたのである。
ロッカー室だ。
もう誰も使っていない。
歩けば、床や古びたロッカーから埃が舞うような場所である。
少し饐えたような匂いがして、麻美は思わず顔を顰めた。
放課後だったこともあり、場所が場所だっただけに生徒も教師も誰もいなかった。

「あっ!」

有無を言わさず、天野は麻美を古ぼけたマットに突き転がした。

「な、何を……」
「するの?……とでも言いたいのかな?」
「……」

天野は唇を歪めて麻美を見下ろした。

「知れたこと。あの時と同じ……いや、その続きをしようと思ってね。こないだはとんだ邪魔者が入って出来なかったからさ」
「そんな……、いや!」
「……そんなこと言えるのかい、小野原。ボクはキミと市丸先生の秘密を知ってるんだよ」
「!!」

一瞬、驚愕の表情を見せた麻美だったが、すぐに「やっぱり」という沈んだ顔になった。
それを眺めながら、天野は着衣を脱いでいく。
ロープなどを使って麻美を拘束したりはしなかったが、どうせ秘密を仄めかせば逃げられないし、拒絶も出来ないと踏んでいたのだ。
だが、今回は縛らないが、そのうち緊縛して犯すというのもいいかも知れないと思い始めた。
この肉感的な身体には、ロープがさぞ映えることだろうと思う。

「わかるよね、小野原。ボクにも、その身体を抱かせて欲しいってことだよ、市丸先生のようにね」
「っ……」
「キミと先生が教室で話してるのを聞いたんだよ」
「……」

やっぱりそうなのか。
麻美は見る見るうちに顔が赤くなるのが自覚できた。
「あの時」聞かれてしまったかも知れない、とは思ったのだ。
それが最悪の結果をもたらすかも知れないと覚ると、今度は青ざめていく。
と言って認めるわけにもいかず、硬い声で言った。

「……なんのこと?」
「あれ? 今さら惚けるのかい? 白々しいなあ」
「……」
「でもなあ……、精々、隠れて交際してるくらいだと思ってたんだ。まさか本当に夫婦だとは思いもしなかったよ」

天野はおどけるようにそう言った。
そして麻美のブラウスにも手を掛ける。

と、ほぼ瞬間的に麻美の手が翻り、天野の頬を打った。
ほとんど反射的な行為だったのだろう。
天野もびっくりしたが、ぶった麻美の方も驚いていた。
天野はにやりと笑いながら、麻美の手形がほんのりと残った頬を撫でる。

「……驚いたよ、キミがこんなことしてくるなんて」
「あ……、ご、ごめんなさい、つい……。でも天野くんが悪いのよ、あたしは……」
「別に怒っちゃいないさ、ボクは殴られて当然のことをしようとしてるんだから」
「じゃ……じゃあ……」

麻美はホッとして表情を緩めたが、それがとんでもない勘違いだったこと思い知らされた。

「だからって、キミを諦めたわけじゃあない。先生に抱かせておきながら、同級生のボクは拒否するのかい?」
「あ、当たり前でしょっ。あたしは……」
「市丸先生の奥さんです、って?」
「そ、そうですっ。あたしはダンナ様の……」
「ダンナ様、か……」

天野の声が、それまでとはガラリと変わって冷たい調子だったので、麻美はぎくりとして彼の顔を見直した。
窓から洩れる夕陽の逆光のため、顔が翳っていてよくわからないが、その雰囲気から冷酷なものを感じ取っていた。

天野の方も、自分の感情がスッとどす黒くなってきたのを感じている。
最初は、あの時の恨みを晴らし、狙っていた女体を愉しむために襲おうと思っていたのだが、麻美が一言「ダンナ様」と口にしたのを聞いて、まったく別の感情が湧き起こっていた。
麻美を思うと……というより、麻美を妻としている恭介のことを考えると、ムラムラと怒りがこみ上げてくるのだ。
教師の分際で女生徒に手を出し、あまつさえ結婚までしてしまっている。
そうした社会的断罪ではなく、ごく個人的な憤怒だった。
嫉妬である。

数々の女性体験を重ね、自他共に認めるプレイボーイである天野は、女に「女体」以上の感情を持ったことはない。
愛人だった岩崎先生についてもそれは同じである。
だから、その女が誰にひっつこうか気にしたことはない。
自分が手を出す前に奪い取られたら面白くなかったが、もう「お手つき」にした女であれば問題ない。
よほど気に入った女でなければ、むしろ厄介払いが出来たと歓迎していたくらいだ。

だが、麻美は違うようだった。
まだ天野は手をつけていないし、その前に恭介が抱いている。
そのことについては悔しく思うのだが、それ以上に妬心が湧いてしまっていた。
天野は、自分が女を愛するような男だとは思っていなかったから、その感情に少なからず驚いていた。
恋愛感情に近いものを持っていたらしいのだ。
初めての気持ちだっただけに制御が効かなくなっている。
恭介への嫉妬とともに、麻美に対する思いも些か暴力的に発露してしまった。
意外だが天野は、女を口説いて抱くのが本流であり、意外なことに無理矢理に犯すという行為はほとんどしていない。
希にプレイの一環としてレイプ紛いのことをすることもあったが、それは犯される女の側も半ば納得済みではあったわけだ。

なのに今回は違った。
麻美への欲望とともに、恭介への憤りまでも、彼女の身体にぶつけていったのだった。
但し、そこは女性遍歴の豊富であり、表面上は紳士然としている天野だけあって暴力的に犯すような真似はしない。
巧みな愛撫で女体を性的に刺激し、じっくりと麻美の性感と官能をほじくり出していった。

「ああ……」

麻美はブラウスやスカートだけでなく、下着まで脱がされていた。
いつ自分が全裸にされてしまったのか、麻美自身よくわからなかった。
それだけ天野が巧妙だったこともあり、また麻美が動揺していたことの証左でもあろう。
脅迫されている以上、ろくな抵抗が出来なかったのは言うまでもない。

「あっ」

天野は、仰向けになった麻美の足首を掴んで持ち上げると、開脚された股間の中心を粘い視線で見つめた。
局部を覗き見られる恥辱感にいたたまれず、麻美は顔を伏せて小さく叫ぶ。

「やめて……! 見ないで!」

しかし天野の次の行動は麻美の予想を覆すものだった。

「ひゃっ……!」

仰天した麻美は奇妙な悲鳴を上げた。
天野は口を大きく開けると、その爪先を中に入れたのである。
まさか足を──それも足の裏やかかとを舐めるなど思いもよらず、麻美は激しく動揺した。

「や、やめて天野くん、汚いっ」
「汚くなんかないさ。ふふ、まるで風呂上がりみたいに綺麗な肌だよ。柔らかいし弾力もあるし。食べてしまいたいくらいだ」
「やっ……いやあっ」
「何だい、大騒ぎだね。そうか、市丸先生はこんなことしてくれなかったんだね」
「あ、当たり前……やあっ!」

暴れる脚を押さえ込み、天野は再び麻美の爪先を口に含んだ。
舌がまるで蛇か何かのようにうねり、動き回り、指やその間に潜り込んでくる。
異様な感触を伴う恥辱的な愛撫に戸惑っていた麻美だったが、徐々に不可思議な感覚に囚われていく。
生温かくぬめぬめした舌や唇の感触、熱い吐息が敏感な素肌にこそばゆい。
次第にそのくすぐったさが不可思議な心地よさに変化し、麻美の鋭敏な性感を刺激していった。

「んっ……んう……や……あっ……」

天野は、悶え始めた麻美の様子を観察しつつ愛撫を加えていく。
指だけでなくくるぶしや足の裏にまで舌を這わせ、柔らかいくせに充実した弾力を併せ持ったふくらはぎを優しくマッサージした。

「ああ……」

その、うっとりするような快感に負けまいと麻美は唇を噛んで堪え忍ぶのだが、もうその女体は火が着き始めている。
これほど執拗に、そして念入りに愛撫されたことなどなかった。
麻美の肌には、いつの間にかじっとりと汗が浮き始めている。
弱々しく、そしてもどかしかった快感が、やがてくらくらするような快楽となり、貞淑な高校生妻を戸惑わせていた。

性感帯を刺激するたびに麻美は裸身をうねらせる。
ギクッと背中が震えたり、びくりと腿がわななく。
天野は、そんな麻美の脚を愛おしそうに愛撫し、感嘆した。

「本当に綺麗な脚だよ、小野原。この腿の肉づきといい柔らかさといい素晴らしいよ。それでいて足首や膝がキュッと締まってる。ふふ、学校でもスカートから伸びるこの脚を見ているだけでオナニーしたくなる男子生徒は多いだろうね」
「い、いやらしいこと言わないで! んあっ……く、くすぐった……うあっ……」

麻美としては、むしろ力尽くで奪われてしまった方が気が楽だったかも知れない。
こうまで念入りに愛撫されては感応せざるを得なかった。
夫の恭介より遥かに巧妙で、しかも偏執的な執着度だった。
歳に似合わないねちっこい責めを加えられ、心はともかく肉体の方は脆くも崩れ去っていく。

麻美の絶望感が強くなっていく。
拒めないのだ。
天野は別に、暴力的に麻美の肉体を奪おうとしているのではない。
脅迫こそしているが、麻美の方が激しく拒絶し、藻掻き暴れれば諦めるかも知れないのだ。
なのに、なぜかはね除けられない。
今だって、天野の腕を振りほどこうとすれば出来ないことはない。
天野は、猫が獲物をいたぶるかのように麻美を扱っており、決して筋力で女を押さえ込んでるわけではないのだ。
もう少し力を込めれば、覆い被さる天野を押しのけることが出来るはずだ。
もう僅かでも気力があれば、天野の行為を詰り、蹴飛ばすことだって可能だろう。

それなのに、それが出来ない。
麻美の腕は萎えきり、気力も摩耗されていた。
天野の愛撫に、口では嫌がりながらも鋭敏に反応し、ややもすれば甘い声も洩れてしまう。
これでは、もうどうにでもしてくれ、という態度だと思われても致し方なかった。

喘ぎ声を懸命に噛み殺している麻美を見ている天野の顔に嘲りの表情が浮かぶ。
「所詮、女なんてこんなものだ」という女性蔑視な思考が、彼を漁色家に仕立てているのだ。
身悶える麻美を見下ろしながら、天野はその左腕を掴んで背中に軽く捻り上げる。
麻美は小さく苦鳴を上げて背を向けると、天野はその滑らかな背中をぐいっと押しつけた。
そして腕を離すと、今度は麻美の右足を抱え持って割り開き、大きく開脚させた。
麻美は激しく狼狽する。

「あっ! いや、だめ、見ないで! あ、天野くん、そこ見ちゃだめえ!」

麻美は半泣きになりながら天野を止めようとするのだが、そんなことで躊躇するような男ではない。
天野の目に晒された麻美のそこは、もう言い逃れが出来ないほどに潤っていた。
薄い陰毛は濡れてべっとりと柔肌にへばりつき、吸い取り切れなかった淫蜜が毛先からぽたぽたと滴り落ちていた。
それまでは、まるで処女かと思うほどにぴっちりと閉じていた肉の割れ目も、今は見る影もない。
だらしなく口を開きかけ、むっとするような若い女の匂いが漂っている。
さらに尻を割ってみると、アヌスまで何かを欲しがるかのようにひくついていた。
天野は、いっそそこも犯そうかとも思ったが、まずは正攻法にいくことにする。

「ああ……いやあ……」

けだものの目でじっと見つめられていることを意識するのか、麻美は弱々しく顔を振り羞恥に身を染めた。
だがその反面、そんなところを見られているという恥辱や、これから犯されるという絶望感が微妙に変化してきている。
自分でもわからないが、なぜかじわじわと昂揚していっている。
心拍数が上がり、肌が火照る。
まさか「期待」しているのでは、と思うといたたまれなくなり、麻美は何度も強く頭を振った。
天野はそんな麻美の動揺が手に取るようにわかるのか、蔑んだような笑みを浮かべて嘲る。

「……ふん。なんだ、もうこんなに濡れてるじゃないか」
「そ、それは……」
「あんなに市丸先生のことを愛してるなんて言っておきながら、これは何だい? 本当はこうやって可愛がられれば、相手は誰だっていいんだろう?」
「違う……違うわ、天野くん……これは……」
「言い訳はいいよ。キミも所詮この程度の女だってことさ。……ちょっと失望したな、小野原」

天野は、もう少し抵抗があると思っていたのだ。
麻美の言動から考えても、恭介への愛情は本物なのだろう。
だから、麻美を堕とすにはある程度時間はかかるだろうが、それもまたジゴロを気取る天野にとって愉しみでもあったのだ。
それが、こうである。
内心、少し期待外れだったのだ。
だが逆に言えば、そんな女であればもう遠慮する必要などない。
欲望の赴くままに嬲り、飽きたら捨てればいいのだ。

一方の麻美にしてみれば、天野の思いは心外だったろう。
麻美の身体は充分に発達しており、人並み外れて鋭敏な性感を持っている。
そのくせ、夫である恭介に抱かれてから、まだ三ヶ月と経っていないのだ。
言ってみれば、熟れたまま放って置かれ、ようやく味わえるようになって間もないことになる。
その分、麻美自身恥ずかしくなるくらい恭介とのセックスに溺れたし、毎晩でも抱かれたいと思っていた。
それは別に彼女が淫らというわけではなく、性に興味を持ち始め、男性を経験し始めた女性であれば、多かれ少なかれそういうところはあるのだ。
まして天野は、年下でありながら恭介とは比較にならぬほどに性技に長けており、感じやすい麻美を翻弄するには充分すぎる技巧の持ち主だ。
加えて脅迫されていることもある。
麻美はまさに蜘蛛の巣に掛かった哀れな蝶であり、もはや逃げようもなく蜘蛛である天野の餌食になるしかなかったのだ。
それでも、天野の冷酷な声で現実に引き戻される。

「ほら、見てみなよ」
「ひっ……! そんな……お、おっきい……」
「そうかい? 愛しのダンナ様と比べてどうかな? ボクのもけっこう良い線いってると思うけど」

天野はそう言うとゲラゲラ笑い出した。
麻美は喉を鳴らして顔を背けた。
「見ろ」と命令され、また見せつけられると、その迫力に息を飲んだ。
天野の肉茎は大きいというか、長いのだ。
太さとかは恭介と似たようなものだと思う。
しかしかなり長かった。
そんなもので身体の奥まで貫かれると思うと、高校生の人妻は心底脅えた。

「む……無理……無理だから、そんなの……」
「そんなことないさ。これでもけっこう他の女性ともしてるんだから」
「ひどい……」
「ん? なら、これからは小野原だけとやることにするよ」

実際、天野は麻美をものに出来るのなら、それでも悔いはないと思っていた。
それくらい素晴らしい肉体の持ち主だったのだ。
麻美はぷるぷると顔を振る。

「やっ……ち、違う、そういうことじゃなくって……」
「いいんだよ、それで。ボクはもうやら、本気で小野原に惚れてきたみたいだからさ」
「そんな……ウソよ!」
「ウソじゃないさ。これからイヤでもそのことを思い知らせてあげるよ」

天野は勃起したペニスを、露わになった麻美の膣口にあてがっていく。
その硬く熱い感触に麻美は思わず悲鳴を上げた。

「入れるよ、小野原」
「あ、いや! やめて! ああ……助けてダンナさまぁ……」
「……ダンナ様、か。ふん」
「ああっ!」



天野は、麻美の官能的な太腿を抱えながら、白い肉が盛り上がった土手の奥に潜む小さな女穴に向かって腰を送っていく。
肉棒の先がぐっと強い圧力を感じたが、すぐにずずっと中に潜り込んでいった。
仰け反る麻美の白い喉が哀れだった。

「んんっ……んんん〜〜っ……や……いやあっ……」
「諦めなよ、もうこんなに入ってるんだからさ。ほら、もっと奥まで入れてあげるよ」
「んうっ!」

蜜で充分濡れているはずのそこは、意外なほどにきつかった。
これだけの身体をしていても、まだ「女」になってから数ヶ月らしい。
若いから肉づきもよく、膣内もみっちりしているせいもあるだろう。

「くっ……、けっこうきついな、小野原。まるで処女みたいだ……」
「んっ! い、いや、天野く……ぬ、抜いてぇ……」

嫌がる麻美は腰を揺さぶるのだが、それがかえって天野の挿入をサポートする形となり、硬化した肉塊はずぶずぶと膣奥まで入り込んでいく。
天野は後ろから麻美の両腿を抱え持ち、大きく股を開かせた状態で挿入する。

「ねじ込む感じで入れてやる。ほら、どうだ?」
「くはっ……!」

天野が腰を捩って突き入れてくると、硬いものに媚肉や膣内の襞が巻き込まれ、麻美は大きく仰け反った。
天野はどこまでも入り込んでいくかのような錯覚を受けたが、ペニスはようやく何かにコツンと当たって止まった。

「んっ……奥まで行ったようだな。ほら小野原、ボクのが全部キミの中に入ったよ」
「あ、ああ……そんな……」

麻美の内部はウソみたいにきつかった。
天野の経験でも、ここまで締まりの良い膣は珍しかった。
処女は別格として、今までの女の中ではやはり岩崎先生がいちばんだったのだ。
妙齢の美女で当然20代だったが、そこの心地よさは抜群だった。
しかし麻美は、その岩崎先生を凌いでいる。
きついくせに内部はたっぷりと蜜で潤い、ペニスが動くには支障がないのだ。

「たまらんな……。ふふ、小野原、こんな凄い身体を市丸先生に独り占めさせることはないよ。ボクだけじゃなく、クラスメイトの男子どもにも抱かせてやったらどうだい?」
「やっ……そ、そんなこと言わないで……んひぃっ……!」

天野のからかいにもまともに応じられない。
それもそのはずで、膣の中で長大なものが蠢くたびに、麻美の胎内は引き攣れるような苦痛とビリビリとした甘い痺れが同時にやってくるのだ。
耐えられるものではなかった。
天野は麻美の良く張った腿を掴むと、ゆっくりと突き上げ始めた。

「動くよ、小野原」
「だっ、だめ! 抜いて……ああっ」

大きなものが内部を思い切り擦っていく感覚に、麻美は目を剥いて呻く。

「んっ! くっ! やっ! はあっ! いっ! お願い、やめ……ああっ!」

突かれるたびに麻美の裸身は仰け反り、反り返った。
内部はペニスに蹂躙され、否応なく馴染まされていく。
天野が奥まで味わおうと子宮口まで届かせて抉ると、麻美はくぐもった悲鳴を上げた。

「ひっ! だ、だめ、そんな奥……んんっ、ふ、深いっ……ああっ」
「ここだよね、ここが小野原のいちばん奥だ。ん? なんだい、ここが感じるのかな?」
「ち、違……痛いだけ……あうっ」
「そうは見えないけどね。ああ、市丸先生はここまで責めてくれなかったのかな」
「……」

その通りだった。
今、天野の肉棒は、恭介ではとても届かなかったところまで入り込んでいるのだ。
それを意識すると、まるで天野に処女を犯されている気がして、ますます麻美の背徳感は増し、恭介に対する申し訳なさが込み上げてくる。
が、それとは裏腹にゾクゾクするような痺れと、ツンと来るような刺激が湧き起こり、麻美を困惑させるのだった。
天野はそんな麻美の媚肉を奥までを責めながら、脚や尻を撫でて惚れ惚れしたように言う。

「小野原はおっぱいが凄いとは思っていたけど、どうしてどうして他のパーツも凄いね。ほら、この腿とかお尻。ぷりっぷりじゃないか」
「いや……恥ずかしい事言っちゃいや……」
「褒めてるんだよ。何て言うか、やっぱり肌が若いんだよね。ぱっつんぱっつんだ。ボクはどっちかって言うと20代以降の女の方がしっとりしてて好きだったんだけど、小野原のこの身体味わっちゃったら、もうそっちには戻れそうにないよ」

天野はそう言って笑った。
事実、小野原はそのおっとりした性格の良さと素晴らしいプロポーションで、クラスだけでなく学校の男子の注目の的だった。
本人と恭介以外は誰も知らないが、スリーサイズは上から90、62、88である。
いかに最近の女子高生は発育が良いとは言っても、どうしてもモデル体型のスリムな身体になりたい子が多いため、麻美ほどのむっちりした体型をもっているのは珍しい。
胸にも尻にも腿にもたっぷりと肉が乗っているのに、あまり太っている印象はない。
せいぜい「むちむち」とか「ぱっつんぱっつん」という言葉で表現されるレベルだ。
そして、その誰もが麻美のバストを褒め称えていたのだ。
体育着で走る時(場合によっては歩いただけでも)に、ゆさゆさと揺れ動く蠱惑的な胸は、やりたい盛りの男子生徒を刺激して止まなかった。
それどころか、制服やその下のブラウスを押し返すサイズの胸は、見ているだけでもその中身を想像させ、股間を硬くさせていた。
そして胸だけでなく、スカートから素直に伸びる脚もまた魅力的だった。
肉の乗った太腿は破壊力充分だったし、ふんわりとふくらんだふくらはぎに生唾を呑み込む男子も多かった。
もちろん臀部もそうで、校内で軽くヒップを触られたことは数限りなくあったくらいだ。

麻美の内部を充分に味わうと、天野はおもむろに腰を使い出す。

「あっ、いや! もう、いや……やめて、もうやめて!」
「ウソだろ? 気持ち良さそうじゃない?」
「違……んんうっ!」

まだ残っている理性を裏切るように、麻美の肢体は官能を露わにしていた。
男の与える突き込みや愛撫に対して素直に反応し、膣はペニスを盛んに締めつけてくる。
ズンと突くごとにゆさっと官能的に揺れ動く乳房を乱暴に掴むと、天野はそのままぎゅうぎゅうと搾るように愛撫する。
麻美は、急所をきつく揉み込まれる苦痛に耐えきれず、大きく悶えて悲鳴を上げる。

「い、いたっ……痛い、天野くん、もっと優しく……」
「なんだ、優しく揉まれたいの?」
「そ、そういうことじゃなくて……もう、しないで!」
「そうかな、乱暴にされるのが好きそうに見えるけど。市丸先生はこんなことしなかったのかい?」
「い、いちいちダンナ様のことは言わないで!」
「いいじゃない。比べてもみてよ、市丸先生に抱かれるのとボクに犯されるのは、どっちが気持ち良いのかをさ」
「くっ……」

言葉で詰られるたびに、麻美の媚肉がキュッと締まる。
天野の責め口も巧妙で、恭介のことを言うごとにわざと深いところまで抉っていくのだ。
加えて麻美は、辱められることにより屈辱と同時に強い興奮を覚えてしまうところがあって、天野の責めによってさらに被虐性が増してしまっていた。
このことも、ややサディストの面がある天野の性癖とぴったりマッチしている。

「んっ、んあっ……や、やめて、あうっ……も、もう……もうしないで……はあっ……いっ……んくっ……ふわっ、ふっ、深いっ!」

天野は麻美の脚を抱え持った姿勢のまま、何度も何度も深くまで貫いた。
根元までぶち込んでやると、亀頭の先に内壁を感じる。
麻美の子宮口らしい。
そこを麻美の弱点とすべく、天野は念入りかつ慎重に責め上げていく。
徐々に麻美の膣内が狭まり、天野の肉棒を締めつける圧力も高まっていった。

「どっちがいい? ねえ、ボクと市丸先生のセックス、どっちが気持ち良いかな?」
「ひあっ……やっ、そんな……そんなこと聞かないで……ああう……」

恭介のことを言うと、また中が強く収縮した。喘ぐ声が熱く籠もってくる。
抗う声が弱まり、抵抗はほとんど止んでいる。
肉体が蕩け始めているのだ。
愛する夫のことを言われると、身体が勝手に反応してしまうらしい。
因果な肉体だが、天野にとってはつけいる隙となる。
天野はなおも何度となく麻美の最奥まで抉り続けた。

「んんっ……はああっ……いっ、いう……あうんっ……やは……はうう……」

さすがにまだ麻美の方から求めてくるような気配はないものの、もはや天野の責めを全面的に受け入れている。
成熟した身体とまだ幼いままの精神。夫ならセックスを教え込まれ、ようやく開花しつつあった性感。
そこに割り込んできた野卑な同級生たちの強引なセックス。
それらすべてがない交ぜとなり、麻美の心と肉体を震わせていた。

「だ、だめ、こんな……ああ……んっ……んく……くうっ……」
「感じてるんだろう? 気持ち良くなっていいんだよ、小野原」
「そんな気持ち良いなんて……はあっ……いっ……あ、あっ、だめ、そんな激しくっ……ああっ!」

天野は攻勢を強め、遠慮なく麻美の膣奥へ突き込み、子宮口を虐めるように抉った。
深々と貫き、前後に動き、腰を回転させて硬いペニスを膣癖を擦り上げる。
奥はまだ苦鳴を上げていた麻美だったが、大きく腰をグラインドさせて膣内を擦られるのはたまらないらしく、大きく背を仰け反らせて何度も喘ぎ声を放った。

「んああっ……いっ、い……」
「ん? 今、「いい」って言ったの? 気持ち良かった?」
「っ……! ち、違う、違います、今のは……ひあ!」
「やっぱ、これだね。これが弱いのか」
「だめ、それっ……いっ……ひぃああっ!」

天野は面白がって、麻美の反応が特に強いところを何度も擦り、責めた。
もう麻美のそこはひどい有様で、粘液にまみれ、ねちょねちょになっている。
天野の腰と密着すると、互いの陰毛が濡れて絡みあい、べっとりと貼り付いていた。
突っ込むごとに「にちっ」「ぬちゃっ」と、麻美にしてみれば聞くに堪えない淫らな音が響いている。
もっとも、今の麻美はそれを気にする余裕もない。天野によっていいように責め抜かれ、今にも達してしまいそうになっているのだ。

(あ、あ……どうしよう……あ、あたし……あたし、いきそうになってる……そんな……天野くんに犯されていっちゃうなんて……ぜ、絶対だめっ……で、でも、もう……あああ……)

麻美が絶頂を極めようとしているのは天野にもわかった。
当然のように彼女の膣は、激しく肉棒を締めつけてきているのだ。
まるで射精を促すかのように強く、だが心地よい刺激をペニスに与え続けている。
麻美の美貌や身悶える裸身、感じっぷりや媚肉の心地よさを味わっていると、さすがに天野も限界になってくる。
ジンジンと足の裏が痺れ、腰の後ろ辺りが熱く重くなってきた。

「小野原……くっ……どうやらボクもいきそうだ。キミもいっていいよ」
「やっ……あたしはそんな……あっ……いあっ」
「こ、このまま出すけど……いいよね?」
「えっ……!?」

天野の言葉を耳にすると、麻美は今にもいきそうだったことすら忘れて大きく目を見開いた。

「いっ、いやっっ! だめ、絶対にだめっ……やめて天野くんっ、お願いっ!」
「……随分思い切り嫌がるんだな。だって市丸先生には中出しさせてるんだろう?」
「だってダンナ様なんだから……と、当然ですっ……」

黒い髪が大きく乱れ舞うほどに、麻美は激しく頭を振りたくって拒絶した。
腰も捩らせ、何とかペニスを抜こうとしているらしい。
嫌がるのも当然で、もし膣内射精されてしまったら夫以外の子を宿すかも知れないのだ。
それだけは避けたいのだろう。
天野はそんなことを斟酌するような男ではなかったものの、それはまた後の愉しみにしておこうと思った。
それよりも、普通ならとても受け入れて貰えないことをやってやるつもりだった。

「わかった。そんなにイヤなら中はやめてあげる」

そう言うと、麻美は傍目に判るほとホッとした顔になった。
だが、その表情は直後に固まった。

「でもボクも、もう出そうなんだ。中がダメなら……そうだな、口に出していいかな?」
「え……、く、口って……」
「だから、いく寸前に小野原のマンコからペニスを引き抜くから、それを口に咥えるんだ。いいよね」
「やっ……何を……何を言ってるの!? そんなこと絶対に……」
「イヤならこのまま中に出す。いいの?」
「だめっ……」
「じゃあ口だ。どっちもダメなんてのはナシだよ。さあ、どうするの、ボクももう我慢できなくなってるんだけど……」
「やあっ、ぬ、抜いて! お願いだから抜いて……中は……中だけは許して!」
「口……、いいんだね?」
「……くっ」

良いも悪いもなかった。
それしか選択の余地がないのだ。麻美は顔を背け、辛そうに小さく頷いた。
その仕草が嗜虐心を刺激したのか、天野は力任せにがすがすと麻美の膣を突き上げる。
たまらず麻美が仰け反った。

「んああっ、つ、強いっ……激しすぎっ……天野っ、くんっ、は、激し……ああっ!」
「くっ……!」
「ああっ!」

すんでの所で、天野は危うく麻美の中から肉棒を抜き取った。
それから大慌てで亀頭を摘んで射精を抑え、同時に麻美を仰向けにひっくり返す。
呆然としている麻美の口をこじ開けると、その中にペニスを突っ込んだ。
突然のことに、麻美は目を白黒させている。
麻美の柔らかい唇と熱い舌の感触を受け、天野の男根が暴発した。

「で、出るっ……!」
「んむうっ!?」

麻美は、顔の前に来た天野の腰を両手で押し返そうとしたものの、天野も両手でがっしりと麻美の顔を固定させて離さなかった。
天野はもう耐えようともせず、麻美の咥内へ一気に精を噴き上げた。

「むぐっ……むううっ……!」
「こ、零すなよ、全部飲むんだ!」

「とんでもない」とでも言うように麻美は顔を振ろうとするものの、天野の力には敵わない。
天野は嫌がる麻美の顔を抱え込むようにして腰に密着させ、容赦なく射精を行なった。
熱い精液が陰嚢から尿道を通り、亀頭から弾けるように噴出するのが実感できる。
痺れるような快感にうっとりしながら、天野はさらに腰を押しつけ、麻美の喉の奥で射精を続けた。
これでは飲むも飲まないもない。汚濁の精液は、麻美の喉へ直撃し、食道を通って胃にまで到達していた。

「ん……んむ……んくっ……ごく……んくっ……」

白い喉が何度もこくっ、こくっと動いている。
麻美はきつく目を閉じて涙を滲ませながら、死ぬ気になって飲み下していた。
悔しくて涙が出る。
どこまで辱めれば気が済むのか。
こんなこと、恭介にさえさせたことはなかった。
彼もそこまでは求めはしなかったし、言われてもしてあげたかどうかわからない。
そもそも、こんなものは飲むものではないという認識が強かった。

満足するまで射精すると、天野はようやく麻美の顔を解放した。
もう麻美は突き放すだけの気力もなく、そのままぐったりと倒れ込んでしまった。
時折咳き込むものの吐き出そうともせず、まだ口や喉に残る精液を嚥下している。
濃いから飲みにくいらしい。
天野は、半開きになった唇から自分の精液を滴らせている麻美を見て、また欲情していった。
激しい呼吸と鼓動で揺れる乳房をやんわりと揉みながら、自分のペニスをしごく。

「ほら、もう一回やろうよ」
「いや……もういやよ……もう、終わった……」
「誰も一回しかやらない、なんて言ってないよ。キミもボクも若いんだ、まだ出来るよね」
「そんな……もう帰らせて……あんまり遅いとダンナ様が心配するから……」
「心配しなくていいよ、夜までには帰してあげるからさ」
「ああ……」

もう今の麻美には、再び挑み掛かってくる天野を食い止める術は何もなかった。



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