「あー、くそ、もう我慢できないや。今日こそ……」

航平はそう呟くと、そっと校舎の陰から渡り廊下を見つめている。
また夕べも、あの時に撮影した麻美のビデオを見てオナニーしてしまった。
何しろ裸体だけでなく、モロにセックスシーンの入った映像である。
もちろん演技でも擬似でもない。
何しろ麻美を犯したのは自分なのだ。

撮影したビデオは、麻美に約束した通り、どこにも出しておらず、誰にも見せていない。
頼まれずとも、そんな気はなかった。
麻美はもう自分のものだと信じていたからだ。
それでも、なかなか「二回目」をやるチャンスはなかった。

当然だが、麻美の方は航平を避けるようになっていたし、航平の方も、衆人環視の状態で麻美を無理に引っ張っていくことも出来ない。
携帯の番号は押さえていたが、すぐに着信拒否されてしまった。
苛立ったが、ここで無茶をすれば表沙汰になるかも知れない。
そうなれば麻美も困るだろうが、それ以上に航平自身が身の破滅である。
退学は確実の上、ヘタをすれば逮捕される。

それもあって悶々とする中、我慢を続けてきたが、毎日毎日学校で彼女を目の当たりにしているのだ。
若い性欲は抑えきれるものではない。
しかも、今日のように半袖の体操着にブルマ姿など見てしまうと、もうどうにもならかった。
見ているだけであの時のことを思い出し、黒いスラックスの股間が痛いほどに硬く充血してしまうのだった。

体育が終わったばかりの女子がぞろぞろと体育館から出てくるところだった。
ワイワイきゃぴきゃぴと騒がしいのはいつも通りだが、何だか様子がおかしい。
それもそのはずで、いつも友人たちと一緒にはしゃいでいたはずの小野原麻美が打ち沈んでいるのだ。
彼女がこのところ元気がなく様子が変なのは友人たちも知っていたが、なるべくそのことを口にしないようにしているらしい。
無論、最初のうちはみんな心配してあれこれ尋ねたり、相談するよう勧めたのだが、毎回麻美の方がぎこちない笑みで遠慮するものだから、「あまり触れられたくない悩みなのだろう」と察してくれたらしい。
それまでと変わらずつき合っているし、話もするのだが、ことさら麻美の元気がないなどはそっとしておいてやることにしたようだ。
それでも何人かはいたたまれず話を聞こうとするのだが、相変わらず麻美は謝辞していたのだった。

航平はその原因を知っている。
というより、彼自身がその元凶なのだ。麻美が落ち込んでいる理由は、航平に犯されたこと以外にないだろう。
その日も、友人たちとは少し離れ、いちばん最後をとぼとぼと歩いていた。
航平は他の女子たちがみんな渡り廊下を通り抜け、校舎内に入ったのを見計らって素早く麻美に駆け寄った。

「小野原」
「あ……、岩崎くん、今は……」

麻美はそう言うと周囲をキョロキョロと窺った。
まさか航平との関係を覚られはしないだろうが、友人たちが見たらどう思うか気になってしかたがないのだ。

「い、いいだろ。教室戻る前にちょっと来いって」
「や、離して……どこ行くの」
「部室だよ。早くしろよ、他にやつに見つかる」
「い、いや……何の用なの、言って」
「言わなきゃわからないのかよ。ほら、これ見ろ」
「え……、あっ……!」

麻美は思わず両手を口に当てて絶句した。顔が真っ赤である。
航平は、これ見よがしに自分の股間を指差していたのだ。
さすがに中身を出すようなことはなかったが、ズボンの前はファスナーが壊れそうなくらいに膨れあがっていたのだ。
それが何を意味するのか、わからない麻美ではない。
すぐに青ざめ、後じさった。

「い、いや……もうあんなこといやよ」
「何だよ、今さら。つきあえよ、じゃなきゃあのビデオを……」
「!」

麻美の動きが止まった。
ずっと気になっていたのだ。
航平、矢野、そして天野によって続けざまに強姦されたこともショックだったのだが、それ以上に、そのシーンを航平によって撮影されてしまったことを気に病んでいたのである。
あんなものが広まったら、もう学校にいられない。
恭介に捨てられてしまうかも知れない。
そのこともあって、学校では必要以上にビクビクしていたのだった。
麻美は震える唇から、ようやく言葉を絞り出した。

「岩崎くん……あ、あれは誰にも見せないって……」
「だからまだ見せてないよ。でも……」

航平はそう思わせぶりに言って、麻美を斜に見た。
今にも泣き出しそうな表情も、彼の獣欲をかき立てる。

「でも、もし小野原がオレの言うこと聞いてくれないなら……ネットに公開しちゃうかも知れないな」
「そんなっ……」
「そうなったら凄い評判になるだろうな。ま、目線くらいは入れといてやってもいいけど、それでも現役女子高生のナマセックスだからね。それも……」
「そ、そんなこと大きな声で言わないで!」

麻美は慌てて航平の口を掌で塞いだ。
航平はにやりとしてその柔らかい手を掴み、ぺろりと舐め上げる。

「……じゃ、いいよね?」
「……」

断れる道理もなく、麻美は力なく頷いた。
そして縋るような表情で航平を見つめる。

「でも……今は……まだ学校だし……」
「もう我慢できないんだよ。すぐ終わるよ、今日は一回でいいや。もう放課後だし、帰るのが少し遅くなるだけだ」
「あ……でも、あたしまだ着替えてないし……」
「そのままでいいさ。小野原は汗も良い匂いだよな」

航平はそう言って、わざとクンクンと鼻を鳴らして麻美の首もとに顔を寄せた。

「女子の体操着って、何か萌えるものがあるんだよね。へへ、今度もビデオ撮ろうかな」
「そ、それだけはもうやめて!」
「わかったよ。じゃ、行こうか……、あ?」
「そこまでだ、岩崎」

麻美の手を引っ張ろうと握った手を掴まれ、航平は唖然としてその男を見た。

「……矢野じゃないか」

航平は矢野の手を振り切ると、取り繕うように言った。

「何か用か? オレ、ちょっと小野原に話があるんだよ」
「……奇遇だね。僕もなんだ」
「なに?」

航平の顔が強張る。

「……どういうことだよ」
「言葉通り。小野原に用事がある」
「……遠慮してくれよ、先に声を掛けたのはオレだ」
「関係ないだろう。小野原がどう思ってるか、だ。小野原」
「あ、はい」

予想外の展開で呆気にとられていたが、声を掛けられて麻美は我に返った。
航平もズイと迫ってくる。

「小野原、オレと来るんだろ?」
「脅すような真似はやめなよ。小野原、僕と行こう」
「あたしは……」

ふたりの同級生を交互に見ながら言葉に詰まる。
どっちにも行きたくないのだ。
どちらかと言えば矢野の方が信頼できるし好感もあるから、「あの事件」さえなければそっちにしていたと思う。
だが、今となっては航平と矢野は麻美にとって、そう変わりない存在になってしまっている。
答えようがなく麻美が困惑していると、またひとりの男子生徒が近寄ってきた。

「なんだい、女の子を挟んで睨み合っちゃって。穏やかじゃないね」
「あ……、天野くん」
「そう。キミの王子様の天野明だよ」

天野はそう言ってにっこりとと笑って見せた。
当然、ふたりの先客は気色ばむ。

「王子様って何だよ」
「カッコつけんなよ、天野!」

いきり立つふたりを抑えるように、天野は両手を拡げて宥める。

「まあまあ、そう興奮しないで。ボクも小野原に用があったのさ」
「な、なんでおまえまで……」
「おまえ、あれこれ他の女の子に手を出してるくせに、今度は小野原かよ」
「それはキミたちには関係ない。小野原だってボクと行きたいに決まってる。そうだよね、おの……」
「……」

いなかった。
三人が口論を始めたのをいいことに、麻美の方はこっそりこの場から逃げてしまったようだった。
三人はしばらくきょとんとしていたが、そのうち航平が「ちっ」と舌打ちして地面を蹴った。
矢野はがっかりしたようにも見えるが、少し安堵したような表情にも見える。
天野の方は「獲物に逃げられた猟犬」そのものまぬけな顔だった。
航平が少し苛立ったように口を尖らせた。

「おまえたちのせいだぞ。小野原、逃げちまったじゃないか」
「……なんで僕のせいなんだ。そもそも、なんで小野原がおまえについていかなきゃならないんだ」
「その点についてはボクも是非聞きたいね。岩崎だけじゃなく、矢野からもね」
「それはオレだって同じだ。矢野だけじゃなく、どうして天野まで小野原に……」

三人は怪訝そうに顔を見合わせた。
麻美は男子に人気があるから、惚れてる生徒も多いことだろう。
だが実際には麻美は結婚しており、夫の市丸先生に対する愛情は深いようで、他の男子に靡いた様子はなかった。
矢野にだけは、その真情に絆されてよろめきかかったことはあったものの(キスまでは許してしまったが)、それっきりだったのだ。
なのに他の男子生徒に誘われ、断ることも出来ずにいる麻美に不信感を抱くのは当然だった。
いがみ合っている矢野と岩崎を見下すように、天野が言った。

「……ふん、所詮おまえらは横恋慕ってやつだよ。小野原はボクのものなんだから」
「ふざけるなよ、天野! 何を根拠にそんなこと……」
「ふふ、ボクはね、小野原と……おっと、これ以上は「言わぬが花」ってやつかな」
「格好つけやがって。聞いて驚くなよ、オレは……」

航平がそう言いかけると、追い打ちを掛けるように矢野も、そして天野まで口走った。

「僕は……」
「ボクは……」
「小野原を抱いたんだ!」

三人はのぼ同時に、異口同音にそう口走った。

「え?」
「なに?」
「何だって!?」

そして直後、三人とも口を開けて互いを見つめ合った。
あまりのことに口をパクパクさせていたが、ちらほらと周囲に残っていた他の生徒たちがビックリしたようにこっちを見ているのに気づき、天野がふたりを校庭の隅っこにまで引っ張っていく。
大きなポプラの木の下で、三人は改めて顔を見合わせ問い詰めた。

「……おまえたち、さっき何て言った?」
「そりゃ……僕も同じことを言いたいよ」

唖然としたように天野も言う。

「ボクもだ。いったい、どういうことだ? おまえたちが小野原を抱いた? ウソだろう? 小野原を抱いたのはボクだ」

天野の言葉を聞いて、航平も慌てたように言う。

「そ、そりゃオレのセリフだって! オレは確かに小野原を部室で……」

呆気にとられたように矢野もつぶやいた。

「本当なのか……? 小野原を抱いたのは僕だけじゃなかったのか?」
「……どうやら色々と事情がありそうだね。どうだ、詳しい話をしないか?」
「……」

否応なく、航平と矢野も天野の提案に従った。
航平の提案で、人のいない写真部の部室へ三人は集まり、事情を確認し合った。
三人とも、どうやら見栄や思いつきで「小野原とのセックス」を主張しているわけではないらしかった。
話の内容が生々しく、高校生の男子が想像して作り話できるような描写ではない。
三人は、それぞれが本当に麻美を犯したらしいことを覚ってしまった。

激昂したのは矢野である。
彼は本気で麻美に惚れていたのであり、もしかすると麻美が市丸先生と「関係」を持っているかも知れないと思うだけで、嫉妬の炎が胸を灼いたくらいだ。

航平も驚愕した。
純情そうに見える麻美が、複数の男子に抱かれていたとはどうしても思えなかったからだ。

天野は比較的冷静ではあった。
スケベとして有名だった航平や、真面目一辺倒の矢野に麻美が犯される羽目になったのか不思議だったが、話を聞いてみれば納得のいくものがあった。

そこで矢野と航平は、天野から麻美と市丸先生との本当の関係を聞いて仰天した。
薄々「つき合ってるんじゃないか」と思ってはいたものの、まさか結婚までしているとは思いもしなかったのだ。
それが事実なら、市丸先生は麻美のあの身体を毎晩のように抱いている、ということになる。
複雑な思い……というよりも、明確な怒りと嫉妬がこみ上げてくる。

矢野でさえそうなのだから、航平などは激怒に近かった。
「教師のくせに女生徒に手を出すとは何事か」という義憤を述べていたものの、実際にはやっかみであり、妬心だったのは間違いない。
それは矢野も同じで、彼女に対する思いが真剣だったからこそ、余計に失望と憤懣の度合いは高かった。

航平も、女好きとして名を馳せてはいたものの、麻美にはどうやら本気で惚れていたらしかった。
それに、噂とは裏腹に実際には奥手で、初体験はあの時の麻美だったくらいである。
天野から「結婚している」と聞かされ、がっかりするとともに「オレの思いを踏みにじりやがって」という身勝手かつ理不尽な怒りをふつふつとさせてしまった。

思いあまった航平は、自分と麻美の絡んだセックスビデオを、その場でふたりに公開した。
これにはさすがの天野も驚愕した。
心の片隅に「こいつらはウソをついてるんじゃないか。本当に小野原を抱いたのはボクだけのはずだ」という願望に近いものがあったせいもある。
加えて、その映像には麻美が無理矢理に犯されているだけでなく、次第に反応し、感じてきている様子までしっかりと映っていた。
これによって麻美に対する虚像が崩れ、「小野原もそこらの女と変わらない」という「気安さ」を覚える一因にもなった。

同じように、矢野にとってもかなりショックだった。
麻美が矢野に抱かれて感じていたのは、彼女は市丸先生とつき合ってはいるが矢野に対しても仄かな恋情を持っていたからだと信じていたのである。
それが航平に、しかも強引にレイプされているというのに喘いでいる映像を見せつけられてしまった。
麻美への偶像が音を立てて崩れていく実感があった。

「……」

天野によって麻美の真相を知り、航平の撮影した麻美の痴態を見るにつけ、二人は言葉を失った。
自分の気持ちをどうすればいいのかわからず、戸惑っていたのだ。
三人に共通するのは、邪ではあるが、麻美への愛情というのは確かにあった、ということだ。
素直ではないし歪んでもいたが、肉体的にも精神的に決して麻美を傷つけたいとは思っていなかったのである。
願わくば市丸先生と別れさせ、自分の恋人にしたかったわけだ。

だが、麻美は実は人妻であり──つまり夫である市丸先生に散々抱かれている──、しかも複数の男性と経験を持ち──とはいえ、市丸先生以外の相手はすべて強姦に近い──、おまけにしっかりと性的な反応を示していた。
それらを考え併せていくうちに、半ば神聖視していた麻美への思いは崩壊した。
あんな女であれば──自分が寝取っても構わないはずだ。
それに、あんな冴えない教師の妻にしておくにはもったいない。

航平や矢野がそれぞれそんなことを考え始めると、同じことを考えていた天野がある提案をした。
聞いた時は驚いたし抵抗もあったが、矢野も航平も天野の案に乗ることになった。
綺麗事を言っても、麻美をまた抱きたいと言う気持ちはあったし、麻美と淫行していた市丸先生の鼻も明かしてやりたかった。
何より、天野の提案に乗り気となったのは、もしかすると麻美を本当に自分のものに出来るかも知れない、という可能性があったからだ。
確率は1/3だが、運や自分の「努力」次第で、そのレシオを上げることは期待できる。
三人は顔を寄せ、ひそひそと悪辣な計画を練っていった。

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麻美は何が何だかわからなかった。
岩崎、矢野、天野の三人によって、別々に呼び出され犯されたのは事実だ。
だから、これからも彼らから脅迫紛いの関係を強要されるのではないかと恐れてもいた。

だが、まさか三人がつるんで麻美に迫ってくるとは思いもしなかったのだ。
麻美が彼らとの関係暴露を恐れるのと同様に、彼らも麻美との関係を知られたくはないはずなのだ。
なにしろ通常の恋愛関係ではなく、男の方の一方的な好意による性行為の強要なのである。
学校や警察はもちろん、友人たちにもバレたら困るはずだ。
しかも彼らは、言ってみれば麻美を巡ってのライバル関係であり、互いを牽制し奪い合うなら話はわかる。
しかし、航平たちが、独占欲よりも邪で淫らな欲望を優先させ、一緒になって麻美を連れ出すというのは彼女の想像を超えていた。
麻美は人並みに性にも関心はあるし、肉体的にも育ってはいたものの、やはり愛情あってのセックスと思っているフシがある。
男性独特の、愛だの恋だのとは無縁な薄汚い劣情など、麻美には到底理解不能だったのだ。

連れて来られたのはラブホテルだった。
もちろん麻美は初体験である。
知識はあったものの入ったことはなかったが、興味はあった。自分から「行こう」と誘うのもどうかと思ったし、夫の恭介も妻をホテルへいざなうことはなかった。
恐らく恭介も、麻美を連れて行きたいと思ったことはあったはずだが機会がなかった。
何しろ教師と教え子という禁断の関係である。
街を連れ添って歩くだけでも憚れるのに、ホテルへ行くなど論外だったろう。
一緒に買い物に行くところを知り合いに見られるだけでも問題があるのに、ホテルへ入ろうとするところを目撃でもされたらえらいことになる。
だから遠慮していたのに、まさかこんな形で訪れることになるとは夢にも思わなかった。当然、麻美は渋ったし拒絶はしたものの、関係暴露を仄めかされては如何ともし難く、結局は部屋に押し込まれてしまった。

「ほら、入れってば。もう観念しなよ」
「やっ……、い、いや!」

腕を片方ずつ航平と矢野に掴まれて引き摺られ、ベッドに突き転がされた。
すぐに起き上がろうとしたが、ふたりはすぐにその両腕を押さえ込んでしまう。

「やっ……、は、離して!」
「騒ぐなって。初めてじゃあるまいし」
「そうだよ、小野原。もう市丸先生とは何度もこういうところに入ってるんだろ?」
「は、入ってません!」
「ほう、そうなんだ」

航平と矢野は顔を見合わせ、意外そうな声を上げた。
天野はにやにやしながら麻美を見下ろして言う。

「ふーん、じゃあいつも家で先生に抱かれてるんだね」
「……」
「ダンマリか。ま、いい。で、感想はどう? 初めて入ったラブホは?」

麻美は目を堅く閉じ、クッと顔を背ける。
力尽くと恐喝で身体を奪われるのは致し方ないにしても、男たちの言いなりにだけはならないという矜恃はまだ残っていた。
すると、麻美の代わりに航平が感嘆したように答えた。

「実はオレも初めてなんだよ。ビデオとかでは見てたけど……、へー、こうなってたんだな」
「僕もだ。何しろ相手もいなかったしね。けど、テレビやDVDくらいあるのは知ってたけど……、冷蔵庫はともかくレンジやカラオケまであるんだな。あ、自販機まで室内にあるのか」

矢野もそう言って、部屋をあちこち見回している。
当然、天野だけは何度も来た経験はあって、得意そうに言った。

「まあ、この部屋は安いからね、こんなもんだろうな。高い部屋だと風呂もジャグジーだったり露天風の岩風呂だったり色々だ。サウナもあるしね。浴室テレビとかさ。マッサージチェアまであったりするよ」
「へえ、そういう部屋がよかったなあ」
「言ったろ? 高いんだよ、そういう部屋は。おい、部屋代は割り勘だからな」
「わかってるって。ちゃんと三等分してくれよ、端数はおまえ持ちだ」
「ちゃっかりしてるな、まあいいさ」

天野はそう答えて笑った。
部屋などどうでもいい。高い部屋だろうが安い部屋だろうが、どうせすることはひとつなのだ。
長年つき合ってるカップルならともかく、今の天野たちなら、時間制限いっぱいまで麻美とのセックスに浸りたいと思うだろう。
それには周囲を気にせずに済む隔離環境とベッドさえあればいいのだ。
そのベッドは円形の回転ベッドだ。
とはいえ、今日はその設備を使って愉しむ余裕まではないだろう。
三人とも、一分でも長く麻美と交わることが目的であり、そうした遊びや雰囲気作りに気を回すゆとりはない。

ベッドに押さえつけられ、逃れようと脚をじたばたさせているとスカートがめくれ上がった。
それに気づいた麻美が慌てて裾を直そうとするが、腕は矢野たちによって押さえ込まれている。
凌辱から脱しようと抵抗する美少女。
露わになったむちっと肉の乗った白い太腿。
それを見られる羞恥に赤く染まる頬。
そのどれもが男たちの獣欲を誘った。
彼らの背後からおぞましいオーラが立ち上ったような気がした麻美は、小さく悲鳴を上げて激しく抗った。
ただ犯されるだけでなく、寄って集って輪姦されてしまう。
その恐怖は今までの比ではない。

「ほら、暴れるなよ、小野原。往生際が悪いぞ」
「いや、もういやよ! 離して、ここから帰して!」
「しょうがないな。おい岩崎、あれ持ってきてるな?」
「ん? あ、ああ。用意するからおまえ代わってくれ」

航平はそう言って麻美の腕を押さえるのを天野と交代すると、スポーツバッグからデジタルビデオカメラを取り出した。
その様子を見ていた矢野が感心したようにつぶやいた。

「用意が良いな。照明まで持ってきたのか」
「まあね、室内照明だけじゃ不安だったからな。ま、レフ板までは持って来なかったけどこれで充分だろ」

三脚にカメラがセットされ、そのレンズが自分に向けられているのを見て、麻美の顔が見る見る青ざめた。
麻美がやめるよう哀願する前に、天野が冷たい声で言った。

「おとなしくするんだな。岩崎に犯された時、こいつで撮影されたのは憶えてるだろう?」
「っ……!」

麻美の身体がビクッと痙攣する。
少女は震える唇からようやく言葉を絞り出す。

「そ、それ……まさか天野くんたち……」
「ああ、見たとも。それを見てボクたちは結託する気になったんだから」
「ひどいっ……。岩崎くん、絶対に他人には見せないって言ってたのにっ……!」
「そうなんだけどね。まさかさ、小野原が矢野や天野とも寝ていたとは思わなかったから」
「そんな、「寝た」なんて……。あたしは……」
「「犯された」だけ、か? 同じだよ。けっこうショックだったんだよ、オレも。で、ふたりから話を聞いて「実はオレも」って感じで見せたんだ。成り行きだよ、悪く思うな。約束通り、ネットとかには流してないし」
「ああ……」

麻美は絶望に沈んだ呻き声を出した。
あんなものを他人に見られてしまった。
航平の約束など信じるべきではなかったのだ。
そのことをネタにされ、今度もまた恥ずかしい姿をビデオに撮られてしまう。
麻美は、自分がずるずると蟻地獄に引きずり込まれていくような喪失感と絶望感を覚えた。
追い打ちを掛けるように航平が言った。

「まだ動画投稿はしてないけど……、小野原がオレたちに逆らうようなら……ふふ、わかってるよな?」
「そういうことだな。ネットじゃなくて、直接、市丸先生に見せたっていいんだぜ」
「ひどい……、あんまりよ……」

恨めしそうにそう言ったものの、もう麻美に選択肢はなかった。
麻美の抵抗が止み、身体の力が抜けたのを確認すると、天野と矢野は押さえ込んでいた腕を解放した。
それでも麻美は逃げようとも動こうともしなかった。
もう言いなりだった。
服を脱げ、裸になれと言われれば、ふらふらとベッドから起き上がり、命じられるままに下着まで脱ぎ去った。

覚悟はしたものの、肌を野卑な男どもの目に晒すのはさすがに恥ずかしいのか、無意識のうちに顔を背け、手で胸と前を隠してしまう。
すると男たちの叱責が飛び、おずおずと腕を外した。
白く輝くばかりの見事な肢体だった。
矢野たちは、改めて惚れ惚れとその肉体を鑑賞する。
航平は液晶を覗いてアングルを確認しつつも、その股間はもっこりと膨らんでいた。



「では、早速……」

カメラのセットを終えた航平が舌なめずりしながら麻美に近づくのを天野が止めた。

「ちょっと」
「……何だよ」
「面白い趣向を思いついたんだ。どうせ撮影するなら徹底的にやろうよ」
「どういう意味だ?」
「取り敢えず任せてくれないかな」

航平は取り敢えずカメラマンをやることとなり、矢野も照明を担当させられた。
天野はレンズに自分がレンズに映らないよう注意しながら麻美に命じた。

「身体を隠すな。もったいないだろう? そんないい身体をさ」
「や……、見ないで、撮さないで……」
「ほら、今度は後ろを向いて」

そう言って麻美の背をカメラに向けさせた。
陶器のような肌に覆われた背中のラインも美しかった。
何より、思い切り張りだした腰回り──臀部の見事さには言葉もない。
麻美は、豊かで柔らかそうな乳房ばかり褒め称えられるが、どうしてどうして尻もかなりのものである。
サイズはもちろん、その形状が官能極まりなかった。

胸や股間を撮られるよりはマシだと思っていた麻美は、男の関心やカメラがヒップに向いていることに気づき、悲鳴を上げて両手で尻を隠した。
が、それを天野が許すはずもなく、叱られておずおずと手を外した。

「……よし。今度はベッドで横になれ」
「……」
「俯せでいい、早くするんだ」
「……」

おずおずと麻美が腹をシーツへ押しつけるようにして背を向けると、さらに過酷な指示が下された。

「そのまま四つん這いになれ」
「えっ……!」
「早く」
「……」

犬這いにされ、その後ろ姿を見られる惨めさと恥辱に麻美の頬がカッと赤く染まる。
逆らうことは許されず、震える腕を叱咤して立たせて膝立ちとなった。
それでも天野は満足せず、厳しい声で命じる。

「膝をくっつけるんじゃない、脚を拡げるんだ」
「そんな……」
「早くしろ。そのまま手を後ろに回して自分の尻を掴んでみろ」
「えっ……」
「わかるだろう? 尻たぶを掴んで拡げろって言ってるんだよ」

それまで成り行きを見ていた航平も、やや呆れたように言った。

「おまえ、鬼畜だなあ」
「ここが勝負なんだよ。小野原がボクたちのものになるかどうかのポイントだ。誘う時は紳士でいいけど、ここぞという時にはしっかりと主従関係を叩き込むんだ。酷いと思うか?」
「さすがに、ちょっとな」
「だから岩崎はダメなんだよ。そんなことじゃ女をものにすることなんて出来ないぜ。矢野、おまえはどうだ? 岩崎と同じか? それとも、もうこんなことはやめるか? 今ならまだ引き返しは利くぜ」

決意を促すように天野が問うと、意外にも矢野は首を振った。

「……いいや、それでいいよ」
「おいおい、矢野らしくないじゃないか」

航平にそう言われた矢野は、出来るだけワルぶったような笑みを浮かべて見せた。

「ここまで来たら一緒だよ。呉越同舟、毒を食らわば皿までってやつさ。僕はもう、小野原を犯した時点で後戻りは出来なくなっていたんだ。自分ひとりなら、まだ躊躇したかも知れない。だが、こうして秘密を共有する仲間を持った以上、最後まで行くしかないよ。それに、岩崎もそうだろうが僕もこういうのには慣れてない。天野に任せるのがいちばん良いと思う」

矢野の酷く冷静な──というより、酷薄な感じすらする言い方に、麻美は絶望した。
この三人の中では、矢野こそが唯一の逃げ道だったかも知れないのだ。
矢野なら、この異常な状況を察してふたりを止めてくれるかも知れない、という仄かな希望があった。
麻美自身、矢野は憎からず思っていたし、彼も自分を大事に思っているものだと信じていた。
それがあったからこそ、同じ犯されたと言っても他のふたりと違ってあまり嫌悪感はなかったのだ(それだけに恭介に対する罪悪感はもっとも強かったのだが)。

その矢野までが男の醜い欲望に浸ってしまっている。
それまで救いを求めるように矢野を見ていた麻美は、涙の滲んだ顔を彼から背けた。
それを合図に天野は麻美の尻たぶをぴしゃりと叩いた。

「ほら早く! 自分で尻を割るんだよ」
「ど、どうしてそんな……そんな恥ずかしいことを……」
「見たいからさ。ほら、やって!」
「……」

もはや矢野もアテにならず、麻美は悲しそうな表情を浮かべながら自分の尻肉に指を立てた。
柔らかい肉に細い指が食い込む情景だけでも、充分に少年たちの勃起を誘うものだったが、彼らはそれ以上を要求した。長引かせても自分が恥ずかしくなるだけ。
そう思ったのか、麻美は意を決したように唇を噛みしめ、グッと指に力を入れた。

「あ……あ……」

尻肉が拡げられ、その谷間に冷たい外気が触れるのがわかる。
さらけ出された谷間の底に入ってくるのは空気だけではない。
三人の視線が食い込んでくる。
ビデオカメラのレンズの視線も感じ取れた。
視線に熱があるわけでもあるまいに、麻美は見られているそこ──アヌスがじわじわと熱くなってくるのを感じていた。

「見ないで……やああ……お願い、そんな恥ずかしいところ見ないで……」

三人とも、生唾を呑み込んで凝視している。
いかに女性経験の豊富な天野と言えども、肛門をこうまでまじまじと見たことはなかった。
恥ずかしいのか、ヒクヒクと蠢いているのが何とも艶めかしかった。

「凄い尻だよね……。量感たっぷりで肉感的というか……」
「な、こういう尻って安産型って言うんだろ?」
「だな。しかし大きいだけじゃなくて形もいいや。お、今、尻の穴が震えたぜ。へへ、オレたちが見てるのがわかるんだな」

その言葉を聞いて、麻美は首から上が真っ赤になる。

(ああ……、み、見てる……みんなあたしの……あたしのお尻を見てる……は、恥ずかしい……こんな……ああ……)

思わず指が萎えて尻肉から離れそうになると、天野が鋭い声を飛ばしてくる。

「そのまま! そのままでいてくれよ、小野原。その姿勢を崩すな」
「そんな……もう……もう許して……こんなの恥ずかし過ぎる……」
「そのままだよ。いいか、小野原……いや、もうこの呼び方はよそう。麻美と呼ぶことにするよ」

天野はそう言って唇を冷たい微笑を浮かべた。

「これからボクが何をやっても逃げちゃだめだ。いや、動いてもだめだからね。そのままの格好でいるんだ」
「……」

麻美は両腕を後ろに回しているため、上半身を支えているのは顔である。
つまり四つん這いならぬ三つん這いになっている。
腕はまっすぐ後ろに伸ばして、命令通りに尻を大きく開いていた。
女の羞恥の源をモロに、しかも間近に見られている事実をイヤと言うほど認識させられ、麻美の心が軋んでいく。
肛門だけでなく、そのすぐ下にある女の亀裂まではっきりと見て取れる。
人にとって最も大切な部分がひび割れ、砕け散ってしまいそうな錯覚に陥る。

思わず手を離そうになるのを、必死になって堪えている健気さは、男たちを余計に興奮させていった。
天野が近寄り、そっと背中を撫でると、麻美はビクッと大きく震えた。
そのまま背中を押さえつつ、天野は麻美の股間に手を伸ばした。

「んんっ……!」

手のひらで覆うように、柔らかい繊毛を軽く撫でる。
そのまま指を巧みに使い、甘美な肉の割れ目を器用に開かせていく。
麻美は小さく腰を振って嫌がったものの、それ以上の抵抗も出来ず、辛そうに顔を振った。
天野の指先は、麻美の淫肉がすでに湿ってきているのを感じていた。
まだ濡れているというところまではいっていないものの、陰毛は湿っぽく、媚肉も熱を帯びている。
そっと指が割れ目をなぞり上げると、麻美は全身の筋肉をピンとさせて鋭く悲鳴を上げた。

「ああっ!」

天野の愛撫を受け、なよなよと腰を振る麻美の仕草に耐えきれなくなったのか、航平が参加を申し出た。

「お、おい天野! オレもいいだろ? もう我慢できないよ」

勃起した股間を押さえながら航平がそう言うのを見て、天野は苦笑して受け入れた。

「まあいいか。矢野、おまえもどうだ?」
「いいのか?」
「ああ。そうだな、ふたりでいおっぱいを片方ずつ可愛がってやったらどうだ?」
「そりゃいい」
「OK」
「あ、あ、やっ……岩崎くん、あっ……矢野くんも、ああっ……やめてっ、んうっ!」

天野に下半身を責められながら、上半身──乳房を矢野と航平に嬲られる。
左の乳房を航平が、右の乳房を矢野が担当した。
航平は興奮が収まらないのか、欲望の赴くままにぎゅうぎゅうと豊満な乳房を揉みしだき、激しくその形を変えさせている。
頂点の乳首が嵐に遭った小舟のようにあちこち蠢いていた。

矢野はまるで宝物でも扱うかのように優しく揉み上げ、ゆっくりとその膨らみを淫らな形に変えていた。
すぐに乳首が反応し、ぷくんと恥ずかしそうに硬くなっていった。

左右の乳房を別々の男に責められることなど当然初めてだったし、しかも愛撫の仕方がまるで違っている。
麻美は航平の乱暴な愛撫も、矢野の慈しむような愛撫も受け止め、はっきりとした快感を得ていた。
情感豊かな若い乳房は粘っこく揉み込まれ、航平が左の乳首を思い切り吸い上げる。
同時に矢野が右の乳首を舌先でころころと転がした。

麻美は自分が信じられなかった。
いつもよりずっと感じやすい気がする。
三人の男に弄ばれているという異常な状況すら、倒錯と被虐の快感を呼び覚まさせていた。
麻美の若く鋭敏な性感は彼らの愛撫を受け入れ、生殖中枢は強く刺激され、たまらず麻美は大きく喘いでしまう。

「んああっ! あっ、あっ、だ、だめっ……あ、そんな……ひっ……んむっ!」

(だめ……ち、乳首が……乳首がビリビリする……ジンジンする……ああ、あたし……また感じて……ああ……)

快楽の声を洩らすまいと懸命に我慢するものの、両の乳房を揉みしだかれ、媚肉を天野に許している状態では如何ともし難かった。
同級生数人に嬲られる屈辱と、恥部を観察される恥辱に震え、つい尻を拡げる手が萎えそうになる。
少しでも尻の谷間が狭くなると、途端に天野が怒鳴りつけた。

そうまでして男たちに痴態を見せねばならない自分が惨めに思えたが、同時に得も知れぬ被虐の快感が湧き起こってくる。
麻美の脳髄は、甘美だがどす黒い快楽で次第にぼやけてきた。
身体は熱を帯び、鼓動は激しくなる。
彼らの愛撫によって早鐘のように鳴る心臓は、恥知らずで淫靡な血を全身に行き渡らせていった。
この頃になると、もう麻美は喘ぎを抑えようがなく、上気した顔を左右に降りたくって熱い息を吐いていた。
恥辱や苦痛ではなく、明らかに喜悦の声であった。

「んひっ!」

麻美は喉を反らせて大きく喘いだ。
天野が股間に口をつけ、舌先を膣内深くに潜り込ませたのだ。
その上、下で膣襞を執拗に舐め回した。
まだ堅く締まる媚肉をほぐすように拡げるように舌先を回転させ、内部を抉る。
とろとろと滴ってくる愛液を指先で掬い取り、それを肛門へまぶすようにマッサージしていった。
さすがに麻美も驚き、慌てて腰を振って抗った。

「どっ、どこを……!」
「どこって……お尻に決まってるじゃない」
「お尻っ……や、なんでそんなところっ……」
「ん? ここ愛されたことないの? 市丸先生には放って置かれたのかな?」
「あ、当たり前、ああっ……そんな……そんなとこ、ダンナさまは触らない……やあっ、やめて、汚いっ!」

嫌がっても振りほどくことはできない。
そうしたくても、左右から航平と矢野が押さえ込んでおり、乳房を揉みくちゃにしているのだ。
天野の指が触れるたびに、麻美の肛門が脅えたようにひくっと収縮する。
それを解きほぐすように天野は指を押しつけ、肛門粘膜を擦り、揉み、撫でていく。
少し湿った粘膜が天野の指に吸着するようにくっついてくる。
あまりの汚辱感で、麻美の背に悪寒が走った。
快楽に溺れさせられるだけではない。
屈辱の性技まで仕込まれることになるのだ。

「やあっ! い、いや、お尻っ……し、しないで、ああっ……!」

麻美は我を忘れて仰け反り、尻を振り立てた。航平たちの愛撫も、もはや気にしている余裕はないようだ。
航平たちもそれは同じで、麻美が自分たちの愛撫に反応しなくなったことよりも、天野が思いもかけない場所を責めているのを見て呆然としていた。

「お、おい天野、おまえ……」
「そこまでするか……」
「当たり前だよ。いいじゃないか、これはもうボクたちの女なんだからな。好きなように仕込むのさ」
「待てよ、まだおまえのものと決まったわけじゃ……」
「だから「ボクたち」と言ったろ? 今は三人のものだよ。そんなことより、キミたちも続けなよ」
「あ、ああ……」

天野に促された、
矢野たちも思い出したように麻美の胸を揉み、舐め始めたが、それでも視線と意識は自然に天野の行為にいってしまう。
彼らにしても、ビデオや漫画以外でアヌスプレイを見るのは初めてなのだ。
女のもっとも恥ずかしい箇所を責められている麻美を見ていると、ますます昂ぶっていくのを自覚した。

そんなアヌス愛撫を10分、20分と続けられていくうちに、麻美は息も絶え絶えになってきている。
激しい拒否反応で思い切り引き窄めていた肛門を揉みほぐされ、次第にふっくらと膨らんでいくのがたまらなかった。
いくら力んで括約筋を締めても肛門に力が入らず、ふっと緩んでしまう。
腰はわなわなと震え、手をギュッと握りしめて堪え忍んでいたものの、なぜか身体の奥が熱くとろけ、爛れていくような感覚を打ち消すことはできなかった。
腿には鳥肌が立ち、お尻を開いている指は力が入りすぎて白くなっていた。
指先が食い込んでいる柔らかそうな尻たぶが痛々しかった。

「あ、あうう、いや……もう……もうやめて……ああ、お願い……お、お尻はいや……あああ……」

麻美から洩れる呻き声は、嫌がっているのか快楽に喘いでいるのか、もはや判断がつきにくくなっている。
もう自分で尻を開くどころではなかった。
麻美は顔を枕に押しつけ、手でシーツをギュッと握りしめたまま声を上げていた。

「もういや……もう許して……ああ、た、たまらないわ……」
「ふふ……」

天野は、浮いた汗で白く光る麻美の背を撫でながら満足そう笑った。
もうアヌスから来る妖しい感覚に耐えきれなくなっているのだ。
その証拠に、もう媚肉の愛撫を止めているのに、膣からは蜜がぽたぽたと滴り続け、止まる様子がない。

最初は矢野たちの乳房責めと天野の媚肉愛撫による快楽だけだったろう。
それがアヌス愛撫によって中断されたものの、すぐにまた乳房と膣を責められることにより、混乱してきたのだ。
媚肉と乳からくる快感と肛門責めの恥辱が混じり合い、肛門を責められて快感になっていると身体の方が勘違いしてきている。
そうなればしめたもので、もう条件反射的に、アヌスを責められたら気持ち良くなってしまうと錯覚してくれる。
それを繰り返せば、本当に肛門責めで悦楽を得て、気をやれるようになる。
そうでなくとも、もともと肛門にも性感帯はあるのだ。
要は、それを呼び覚ましてやればいいだけだ。

もう麻美ははっきりとした抵抗の素振りは見せなくなっている。
尻穴を中指と親指で挟むようにして揉んでいると、にちにち、ねちねちと小さく淫らな粘った音がしてきた。
それは自分でもわかるらしく、前だけでなくお尻まで濡れていると思い込み、ますます恥辱感が高まっていく。
揉み解されていくと、窄めたアヌスが緩くなる感じがして、今にも漏らしてしまいそうな、放屁してしまいそうになるのがたまらなかった。
頭の芯がカッと熱く火照り、骨がぐずぐずになっていくような妖しい快美感に囚われてくる。

麻美の反応が鋭いものに変化していく頃になると、もう航平や矢野は乳房の愛撫もおざなりとなり、天野の指が麻美のそこを責めるのを凝視していた。
いつの間にか三人ともパンツ一枚となっており、矢野も航平も前からペニスがはみ出してしまうほどに勃起している。

「いや……もういや……ああ……」

麻美は唇をわななかせて異様な快感に耐えている。



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