上杉達也には、どうしても信じられなかった。
「偶然に出合った」渡瀬紀子から聞かされた話によると、南が指導コーチと関係しているらしい。
南との初体験が二度に渡って失敗したこともあり、最初にその話を聞かされた時にはかなり不安になったものだ。
しかし、後に冷静になって考えてみれば、そんなことがあるはずもない。
達也や故人となった和也が南に性的な関心を寄せることはあっても、その逆はあり得ないと思っていたからだ。
事実、今まではそうだったのだ。

それでも、南だって健康な女性である。
何も性欲があるのは男性ばかりではない。
当然、南にそれがあっても不思議はないし、なければむしろおかしいのだ。

相思相愛にありながら、肝心な時に惨めな失敗をして以来、南との関係がどこかぎくしゃくしてきたのは確かだった。
もっとも、その原因は主に達也にあるのであって、南の方は、内心はわからないが普段通りに振る舞っていた。
どうしても引け目を感じて、達也の方から南に距離を取るようになっていたのだ。
たまに例の部屋で南に出くわしたり、時間を作って会ったりすることあったが、まともに彼女の貌を見られないのだ。
南は持ち前の明るさと優しさで達也を気に掛けているのだが、それに達也が応えられないというのが実情だろう。

南の方も、達也が立ち直るのを待つしかないと思い始めて、過度に世話を焼いたり、気を回したりはしないようになっていた。
今まで通りというか、つき合う以前の状態──仲の良い友人、幼なじみのような接し方に戻っている。
とはいえ達也に対する思いが冷めたわけではなく、あくまで達也のプライドを傷つけぬよう気を遣った結果である。

ところが達也の方は最早平常心ではいられなくなっており、そうした南の態度によそよそしさを感じるまでになっていた。
南は自分を蔑み、見放してきているのではないかと邪推するようになったのだ。
別に嫌われているようなフシはなかったし、遠ざけている感じもしない。
ただ何となくそう思っただけだ。
すべて達也の錯覚なのだが、今の彼には自分や南を一歩引いて見る冷静さが失せていた。
男としての自信を取り戻し、南と愛し合うことが出来れば、また恋人関係に戻れると達也は信じ込んでいた。
実際には、南は達也を見捨ててなどはおらず、また男女関係とか彼の考えるような単純なものでもないのだが、この年代の男にとって「セックス」は重大な
関心事であり、大げさに言えば「生きるか死ぬか」の瀬戸際でもある。

そして達也は、再び風俗へ行き、彼自身二度目のセックスに成功している。
達也の初体験は、南との行為失敗後に「事前練習」としてソープで済ませている。
その際には問題なくうまくいった。
そして二度目も南とうまくいかず、悩んでいたところで紀子の話を聞いたのだ。

その後、またソープへ行ったが、これも成功していた。
風俗嬢の職業的なテクニックがあったからかとも思ったのだが、実際には達也がほぼ一方的に行為する状態で結合に成功し、射精もしている。
こうなってくると、南との行為だけ失敗するのか、あるいは素人相手では出来ないのではないかという不安に囚われる。

いわゆる心因性ED(達也は、自慰だけでなく風俗でのセックスは可能なのだから肉体的なEDではないだろう)──勃起不全にはいくつか要因があるが、
達也の場合は明らかに「予期不安」と呼ばれるものだ。
文字通り「うまくいくだろうか」と不安になることだ。
達也は最初のセックスで失敗しているだけに、余計にそれが強いだろう。
これに複合して、セックス時の動悸、呼吸が不規則に高まり、ある種のパニックに陥る「不安発作」もあった。
初回は間違いなくこれだろうし、二度目もこの要素はあったはずだ。

加えて、最愛の南とのセックスがうまくいかなったことに対するトラウマも大きかった。
相手が南の時だけダメなのかも知れないとまで思い始め、心的なダメージはかなりのものだったのだ。
それだけに、南の動向が気になった。
紀子が余計な情報を与えなければ、ここまで悩むことはなかっただろう。
まさか今の状態で南に「コーチとつき合っているのか」などと、冗談でも聞けない。

直接問い質すことも出来ず、達也は悶々とした日々を送っていた。
紀子から南の疑惑を聞かされ、意外なことに達也は少し興奮していたのだ。
紀子は、南とその男が「直接的な行為」を行なっているとは言わなかったが、話の節々からそれは窺われた。
そんな聞きたくもない話を聞かされ、達也は妄想に囚われてしまった。

あの南が、自分ではなく他の男と通じているかも知れない。
役に立たなかった自分ではなく、他の男に抱かれているかも知れない。
南の白い身体が他の男に貪られているのを想像するだけで、頭の中は白く灼けるほどの妬心に苛まれる。
なのに、そのことを妄想すると、南との行為では役に立たなかった自分の性器が、痛いほどに勃起してしてしまう自分が情けなかった。

その紀子から連絡があった。
達也は、自分の携帯番号を教えた記憶がなかったので不思議だったが、その内容には心を動かされた。
どうも問題のコーチと南は、こともあろうに部室でいかがわしい行為をしているらしい、というのだ。
今日も、南だけ居残り練習させられており、コーチがつきっきりなのだという。
もし確かめるつもりがあるのなら連絡するようにと言って、紀子の電話は切れた。

思い切り動揺した。
達也の心は千々と乱れた。
そんな覗き魔のようなことをせずとも、自分で南に確かめればいいだけなのだ。
だが、どうしてもそれが出来なかった。
もし南と身体の関係が成立していれば、堂々と問い質せたことだろう。
それが出来なかったから、南は呆れて自分を捨てて他の男に走ったのかも知れないのだ。
そんなことを直接聞けるはずもなかった。
ふたりっきりになっても気まずい時間が多くなってしまった今、冗談めかして尋ねることも出来ない。

迷ったが、結局達也は紀子に受諾の連絡をした。
そんなことをしてどうなる、という気持ちはあった。
よしんばそれが事実であっても、達也にはもうどうしようもないのだ。
南を非難できる立場にはない。
身体の関係がないにしても、達也は告白して南はそれを受け、曲がりなりにも恋人関係ではあったのだから、非難できないなどということはない。
況して南も以前からずっと達也を慕っていたのだから、例え一度や二度セックスが出来なかったからといって、こうもあっさりと達也を見切るというのは薄情である。
理屈の上ではそうなのだが、達也はどうしても「失敗」の負い目から抜けきれなかった。
紀子と例の喫茶店で待ち合わせた達也は、すぐに南と紀子の大学まで連れて来られた。
時間は午後10時を回っていた。
さすがにこの時間では、熱心な体育会系のサークルもほとんど練習を終え、キャンパスはシンと静まり返っていた。
まだ研究者やそれを手伝う学生が残っているらしい棟には、ポツポツと灯りのついている部屋もあった。
グラウンドも夜間照明が消え、ところどころにある防犯灯が寂しげに瞬いているだけだ。
そんな中、大きな体育館の一角だけ、微かに室内灯が灯っていた。
達也は、紀子に導かれるままにグラウンドへ侵入し、体育館内にある問題の部室の前まで来た。

人の気配がある。
それも複数だ。

大きな窓にはカーテンが引かれていたが、左右のカーテンの合わせ目が10センチほど開いていて、そこから中が覗けた。
そこで繰り広げられている光景に、達也は息を飲んだ。
達也が妄想した通りの惨状が展開されていたのである。
全裸になった南が、見知らぬ男の腰の上に座らされていた。
その男が由良というコーチらしい。
サングラスをかけ、頬から顎にかけて髭を生やしている。
年齢は40歳前後くらいに思えた。

南は、その男の毛深い腿の上にお尻を落とし、達也の方を向いていた。
男は後ろから南を抱きしめている。
男が盛んに腰を蠢かせているのは、股間に勃起した男根を南へ突き通そうとしているらしかった。
男は忙しなく南の身体を愛撫し、その顔を男の後ろに向かせようとしていた。
キスしようとしているらしい。
しかし南は激しく頭を振り、顔を背けている。
南はまだ男の言いなりにはなっていないようだ。
キスを拒んでいるのはその証拠ではないのか。

達也は少し安堵したが、男の愛撫は止まなかった。
南が拒絶すると男は無理に唇を奪おうとはせず、舌を伸ばして南の清楚な顔を舐め始めたのだ。
窓は防音になっているのか、声は聞こえなかったが、南の表情から察するに悲鳴を上げたようだ。
男の舌が、南の耳たぶから額の髪の生え際あたりをねっとりと舐めている。
耳の穴にも尖らせた舌先をそっと差し込んでみたり、うなじから首筋、そして滑らかで女らしいラインを描く肩口まで舐め上げている。

南はクッと顎を反らせ、口を噛みしばっている。
快感を堪えているようにも見えた。
そうしている間にも、男は腰を動かし、南の股間を刺激し続けている。
男の左手はじんわりと乳房を揉み込み、右手は下半身へ降って、南の媚肉をいじっていた。
クリトリスにでも触れたのか、南は大きく口を開けて喘いだように思えた。

達也はゴクリと生唾を飲み込んだ。
南の反応があまりにも生々しかったからだ。
達也にはとても出来そうにない濃厚で巧みな愛撫を受け、南は心ならずも反応している。
達也の横で顔を並べている紀子がそっと囁く。

「ね? ウソじゃないでしょ?」
「……」
「とてもコーチと教え子の正常な関係じゃないわよね」

紀子の声が虚ろに響く中、達也は窓枠の中で演じられる南と男の痴態から目が離せなくなっている。
官能のツボを突かれるたびに、南は小さく叫びながら白い裸身を軽く跳ね上げて反応していた。
乳房を柔らかく包み込むように揉まれたり、その中心で愛らしくぷくりと膨らんだ乳首を指で挟み、コリコリと潰すように転がすと、髪を振り乱して声を上げている。
どう見ても喘いでいるように見える。
南も、何とか声を出すまいと必死に我慢しているようなのだが、その白い肌は薄ピンクに染まり、全身から汗を滲ませてしまっている。
そのしっとりとした肌に男の指が食い込み、南の柔らかい肢体を絞るように愛撫していく。

いい加減、南を快楽に翻弄させてから、男はその細腰を両手で掴んで裸身を持ち上げた。
南の腰が男から離れると、その真下の股間には男根がはっきりと大きく勃起していた。
男の達也でも、思わず息を飲むような大きさだった。
いかにも硬そうにそそり立ち、今にも南の中へ入り込もうとしている。
思わず達也は身を乗り出し、窓に手を掛ける。
それを止めようと、紀子が達也の腕を押さえると、意外にも達也は腕から力を抜いた。
窓をこじ開けて止めようとしたのか、あるいは窓を叩いて己の存在を知らせて、それ以上の行為を止めさせようとしたのだ。

しかし、出来なかった。
仮に紀子が止めなくとも、出来なかったのかも知れなかった。
もちろん、このままむざむざと南を犯させるわけにはいかないという強い気持ちがあったが、それ以上の何かが達也の動きを食い止めていた。

南の声がひときわ高く上がった。
窓越しでも悲鳴のような声が微かに聞こえている。
寝台の上に座り込んだ男は、持ち上げた南の腰を強引に自分の股間に押しつけてきたのだ。
官能的なカーブを描く南の太腿が大きく割られ、股間を露わにしている。
ぺたりと男の腰の上に座らされると、激しく尻を左右に打ち振って拒否しているが、かえってそのことで男根を刺激してしまっているに違いなかった。
あの白くて丸い尻たぶが、あの男のペニスに擦りつけられているのだ。
達也はそれが自分のペニスにされているかのように夢想し、むくむくと股間を膨らませていた。

背面座位のまま、男は南と繋がろうとしているようだった。
男は南の腰をがっしりと掴むと、自分の腰へ強くたぐり寄せていった。
南が仰け反った。
艶やかな黒髪がばさっと宙を舞う。
南の顔が大きく仰け反り、後ろにいた男の右肩に頭が乗った。
とうとう南の膣をペニスが貫いたのだろう。

達也は、さっき見た男の大きな肉棒が南の「女」を犯したことを覚り、青ざめた。
ふたりの絡みなどまともに見られず、思わず顔を伏せた。
額に脂汗を浮かべ、目を堅くつむっている。
憤激と嫉妬で、達也の胸の奥は締めつけられるようにキリキリと痛んだ。
そんな達也の耳元で、紀子が小さく囁いた。

「……もう充分なの?」
「……」
「これ以上見られそうもないわね。じゃあ、もう行く?」

達也が恐る恐る顔を上げると、男は南の臀部を腰の上に載せ、両手で持ち上げたり引き寄せたりを繰り返している。
男も腰を動かし、南の股間を突き上げていた。
愛する女が別の男に抱かれて──いや、犯されている。
そんな見るに堪えない酸鼻極まる光景が目の前で繰り広げられていた。

しかし達也は動けなかった。
あまりのことで腰が抜けてしまったわけでもない。
激しい怒りと妬心に苛まれながらも、犯される南がこれからどうなるのか見届けたくもなっていたのだ。
自分にはない長大なペニスが南の奥深くまで貫いているのだと思うと、羨望にも似た気持ちすら込み上げてくる。
紀子は達也の顔を覗き込みながら、妖しい笑みを浮かべ、同じように由良と南のセックスを見つめ直した。

男に責め立てられる南の喘ぎが聞こえてくるような気がする。
窓ガラスを通して見ているせいか、どこかそれが現実のものとは思えず、まるで映像を見ているかのような錯覚がしてきた。
しかしこれは現実なのだ。
もう南は男の攻撃に抗えず、後ろから両手で乳房を抱え込まれた上半身をすっかり男に預け、髪をばさつかせながら尻を振り、短いが激しい上下運動を反復させられている。
よく見れば、嫌がって逃げようとしているというよりも、男の腰の動きに合わせるかのように腰をうねらせている。
初めて見る南のセックスを、固唾を飲んで見つめていた達也は、いつの間にか自分のペニスが痛いほどに勃起していたことに気づいた。
南とのセックスの際には力なく萎えてしまい、使い物にならなかったというのに、こうして他の男に犯される南を見て激しく反応してしまうことに、
達也は男としての情けなさを激しく感じていた。

男は南の様子を観察しながら、余裕を持って責めている。
これが達也なら、仮に南に挿入できたとしても、その悦びと興奮で、自分がいくことばかり考えて行為しただろう。
男は決して慌てず、膝の上に載せた南を揺さぶって己を突き込んでいる。
南の方はそんな責めで快感中枢をすっかりやられてしまったらしく、もどかしげに自分から尻を振って大きく口を開けている。
喘いでいるのだ。
よがっているのかも知れなかった。
そう思うと、達也は怒りに変わって虚しさと寂しささえ感じるようになっている。

突如、男のペースが上がった。
それに連動して南の反応も著しくなり、一瞬、何かを堪えるかのように顔を伏せて呻いている。
しかし、その露わになったうなじに男の舌と唇が這うと、また南は仰け反って喘ぐ。
そして、トドメとばかりに南の大きな尻に添えた両手を引き寄せ、激しく自分の腰に叩きつけていく。
南の上半身がぐぐっと大きく伸び上がり、白い首筋を晒した。
肉の乗った太腿が割り開かれ、ぶるぶると震えている。

(い……、いったのか……?)

また達也の嫉妬が激しく燃え上がる。
同時に、自分まで射精しかねないほどに、ペニスがぐぐっと力強く膨れあがった。
男は南の腰骨をしっかりと抱き込んで、びくっ、びくっと腰を発作的に震わせている。
射精しているのだ。
南の媚肉の奥に、あの男の精液が注ぎ込まれている。
達也は、頭がおかしくなりそうなほどの屈辱と嫉妬にまみれていた。
犯されて絶頂させられた南にも怒りを感じている。
あんな男の精液を身体の奥深くに受け入れたのが腹立たしかった。
しかし、それもこれも自分に原因があると思うと、達也は嫉妬で胸が締めつけられる。

南はぐったりと男の胸に背中を預け、反り返ったままの頭を男の肩に乗せている。
達也を魅了して止まない形の良いふくよかなバストは、激しい鼓動と呼吸に併せてビクン、ビクンと何度も大きく揺れ動いていた。
紀子も、達也の男根がジーンズの硬い生地を突き破りそうなほどに勃起していることに気づいている。
苦しげに盛り上がった股間を見つめながら、誘いを掛けてみる。

「……このまんまじゃ君も収まりそうもないわね。どうする?」
「……どうするって……」
「だから……、あ、また始まるみたいよ」
「……!?」

信じられないことに、男と南はまたセックスを始めていた。
今度は南を押し倒し、その上にのしかかる形で正常位になっている。
達也たちからは、ちょうど真横から見る角度になっていた。
たった今射精したばかりだというのに、連続して勃起させ挿入できる男の体力に、若い達也ですら驚嘆した。
達也も続けて二度くらいオナニーしたことはあったが、女を連続で抱くのとは体力の消費度がまるで違う。
しかも男は、どうやら射精後も南からペニスを抜かずに挿入したまま体位を変え、連続セックスに持ち込んだらしかった。

また南の口が大きく開いている。
快楽を訴えているのかも知れない。
男は巧みに脚を使って南の両脚を開かせ、その中に自分の腰をはめ込んでいる。
片手で脚を開かせて腿を押さえつけ、さらに大きく開脚させ、犯していた。
達也の目からも、淡い陰毛に隠れた南の膣に太い男根が激しく抜き差しされているのが見て取れる。
見る限り抜き差しはスムーズで、あの長大な肉棒を難なく飲み込んでいる。
当然のように、そのペニスは南の出した愛液でべっとりと濡れそぼっていた。

男は南の乳房を手で激しく揉み、舌で舐め、乳首を吸い上げて甲高い悲鳴を上げさせている。
もう南も諦観してしまったのか、自分から少し脚を開いて、男を深いところで迎え入れていた。
男の腰が突き込まれ、押さえ込まれるたびに、身体を弾ませ、脚が宙に蠢いている。

南の表情が切羽詰まってきたものになってきた。
またいきそうになっているのだ。
男はそんな南をしっかりと押さえつけ、激しく腰を打ち込んでいった。
突き上げられるたびに南の裸身が激しく弾み、腰がぶつかって濡れた肉を打ち付けるような音がしているのだろう。
南が首を仰け反らせ、後頭部で頭を支えるような格好になった。
身体はもうぶるぶると痙攣が止まらないらしい。
狂おしいほどに腰を揺さぶりあい、そしてふたりの動きが一瞬、止まった。
男の表情が歪み、南の裸身をしっかりと抱きしめて、何度も腰を小さく突き上げている。
また射精しているのだ。
南は、射精されるたびに身体をビクンっと震わせ、わなないていた。

「……」

達也はもう、室内に殴り込んで行って止めようとか、顔を背けるとか、そんなことも出来なくなっている。
ただ身を固くしてその場に留まり、じっと南の痴態を凝視していた。
男の射精はともかく、南が何度か絶頂させられたらしいことを覚ると、達也はもうどうしようもない気持ちとなり、ふらふらと立ち上がった。
その横に紀子がすっと近寄ってくる。
そして、達也の勃起したままの股間へ、その細い指を絡めていく。

「……!!」

驚いた達也が紀子を見ると、紀子はジーパン越しにペニスを擦ったまま、達也に寄りかかってきた。

「……すごいじゃない、君のも。こんなにバッキバキに硬くなってるわ」
「……」
「愛しい恋人が犯されているのを見て、すっかり興奮しちゃったのね」
「俺は……」
「いいわ、何も言わなくて。君のここが雄弁に物語ってるもの」

達也は何も言えなかった。
南との時も、彼女の身体を愛撫している時や、挿入の直前までは勃起していたのだ。
それが、いざ本番となると使えなくなってしまった。

しかし今は、南が気をやったシーンを見せつけられ、しかも男の射精を受け入れたのを知ってからも、男根は一向に萎えず、かえって力強いほどに勃起を主張しているのだ。
情けないともだらしないとも思えたが、逆に今ならセックス出来るのではないかという気もしてきた。
そこに紀子が囁きかける。

「このままじゃ収まらないでしょう?」
「……」
「どう? 私と……」
「あ、あなたと……?」

紀子は黙って頷き、なおも達也のペニスを生地越しに愛撫している。
確かにこのままでは達也のここも収まらないだろう。
このままひとり寂しく帰宅して、犯される南を思いながら自慰に耽るなど、情けないにも程がある。
そして目の前には、南とはまた違うタイプだが、充分に美女と言える女がいて、誘ってきているのだ。

南の行為が無理矢理なのか、それとも紀子の言うように合意の上なのかはわからないが、南も他の男としてしまったのなら自分もしてもさほど罪悪感はないような気もした。
達也は黙って紀子を見返した。
紀子はその表情を「了承」と受け取り、ようやく達也の股間から手を引くと、彼の腕を取った。
達也も、このまま紀子に誘われるままホテルへ行き、そしてセックスが出来れば、また自信が生まれるかも知れないと思っていた。
風俗嬢ではなく、普通の女の子とはまだセックス出来たことはないのだ。
達也は、南に対する背徳感とともに、ほんのちょっとの期待を持って、手を引かれるままに紀子についていった。

────────────────

由良にホテルへ呼び出された南は、シャワーを浴びるなり、早速その身体を与えていた。
もうこれで何回目の呼び出しになるのか、そして何度この男に抱かれたのか、数える気にもならなかった。
それくらい由良との関係は、もう南にとって日常化しつつあったのだ。

なぜそうなってしまったのか、南自身にもよくわかっていない。
別に南は由良によって監禁あるいは軟禁されているわけではないのだ。
大学へも普通に通っているし、合宿所住まいではあるが、着替えを取りに自宅へも定期的に戻っている。
つまり、逃げようと思えばいつでも簡単に逃げられる状態なのである。
大学から逃げずとも、由良の命令を拒絶することだって可能だ。
それが出来ないと思っているのは、由良との爛れた関係を恋人である達也に漏らす、と脅迫されているからだ。

しかし、それもよく考えればおかしな話で、例え由良が達也と接触し、南との関係を暴露したとしても、それはそれで仕方がないのだ。
強要された、あるいは騙されたとはいえ、関係してしまったことは事実である。
それを達也に知られたくないという気持ちはわかるが、だからと言って、このままズルズルと由良と関係し続けていることは、かえって達也に対しての裏切りになるだろう。
そうならば、一時の怒りを買うかも知れないが、包み隠さず本当のことを伝え、由良の悪事を暴き、関係を終わらせるべきだ。
もしそれで達也との関係が決定的に破綻したとしても、やむを得ないだろう。
南にとっては文字通り「野良犬に噛まれたようなもの」なのだし、油断がなかったとは言わないが、ほとんど被害者である。
達也の気持ちとして、南が他の男に抱かれ、穢されたというのは充分に憤激を買うものだろうが、怒りの対象は南ではなく相手の由良であるはずだ。

達也の性格からして、無軌道に怒りを爆発させて由良を害するということもないだろうし、正直に打ち明けた南を責めるということもないだろう。
もちろん南にはトラウマになるだろうし、達也もそれを南の瑕疵と見るかも知れない。
今まで通りの関係でいることは、なかなか難しいだろう。
関係はギクシャクし、最悪の場合、破局ということもあるかも知れない。

だが、これで破綻してしまうような絆や繋がりであるならば、どのみち長続きはしない。
通常、男女関係は山あり谷ありで、こうした誤解を解き、幾多の障害を排除し、壁を乗り越えて結実するものだ。
今回の南のようなケースまで発展することは珍しいだろうが、あり得ない話ではない。
そう思えば、南としてのベストの結論は、やはり達也に打ち明けて由良との関係を清算することだったろう。
それが出来なかったのは、由良とのセックスが南にとってもかなりのウェイトを占めるようになっていたことだ。

連日のように性を調教され、激しいセックスを繰り返されていくうちに、もともとこの少女が持ち合わせていた理性や倫理観が薄まっていったことは否めない。
激しい責めによる肉体的および精神的な疲労やダメージが蓄積されていき、南をして「もう、どうでもいい」という半ば投げ遣りな気持ちを抱かせるまでに至っていた。
常に脳裏にいた達也の存在も少しずつ霧の向こうへ消えつつあり、忘れることはなかったものの、朧気なものになりつつあった。

それに、達也を思うたびに背徳感が刺激され、チクチクと胸が痛む。
それが不快感に繋がり、南は意識して達也を思い出すことを避けるようにすらなっていた。
それでいて、完全に忘れることも出来ない。
特に、由良に犯されている時などは、時折、明確に達也を思ってしまうことも多かった。
申し訳ない、はしたないと思う気持ちが南の被虐快感をくすぐり、より官能の深みに嵌ってしまうのだった。

「ああ……」

南は、由良に裸身をまさぐられながら小さく喘いだ。
由良に呼び出されるのはいつも同じホテルではあるが、当然、部屋はまちまちだ。
その時のプレイによって回転ベッドだったりウォーターベッドのある部屋だったり、あるいはSMプレイ用の器具が揃った部屋だったこともあった。

今回は初めての部屋で、かなり広そうな室内だ。
「広そうな」というのは、部屋の真ん中あたりで間仕切りらしいアコーディオン・カーテンが引かれていて、その向こうの様子がわからないからだ。
恐らくは、SM部屋か何かのように凝ったセットでもあるのだろう。
ホテルによっては、磔にするための十字架だの、拷問ごっこの三角木馬だのという設備まである。
あるいは、必須インテリアであるはずの大型テレビや飲食の出来るテーブルなどが南の視界内にはないから、それらがそっちにあるのかも知れない。

もっとも南は、由良が気まぐれでSMごっこをやり出したり、定番の浣腸プレイでもしかけてこない限りはベッドから降りることもままならないので、あまり気にもならない。
胸を揉みしだかれ、乳首を転がされてうっとりと愛撫に身を任せていた南に由良が言った。

「よし。今度はこっちの番だ。口でしろ」
「……」

南は小さく頷くと、ベッドから降りて跪いた。
由良はベッドの縁に腰掛け、股を開いている。
南は些か躊躇したものの、由良の男根をそっと頬張った。

「ん……」

南が顔を顰める。
相変わらず変な味だ。塩辛いような酸いような不快な味だ。
舌先にピリピリとおかしな刺激もある。
むっとするような男臭さ、性臭も嗅ぎ慣れてしまった。

初めて由良のものをくわえさせられた時は噎せ返り、吐き気を催したものだ。
達也のものを口にした時には、こんないやな匂いはなかったのに。
しかし、今ではその匂いや味にも馴らされてしまい、これがペニスなのだと思うようになってしまっていた。
仮に今、達也のものをくわえても「何か違う」「物足りない」と思ってしまったかも知れない。

南の柔らかく暖かい唇と舌、そして咥内粘膜に反応したのか、だらりとしていた肉棒が生き返ったように芯が通り、ぐぐっと大きく膨れあがっていく。
自分がそうさせたのだと思うと、南の頬が羞恥で赤く染まる。
同時に、肉体にも変化が生じてきた。口いっぱいに大きくなり、顎が外れそうなほどだ。
こんな大きなものが膣に、そして肛門に入っていたなどとはとても信じられない。
そんなことを思うと、南の媚肉がジュンと潤っていく。
媚肉の合わせ目がじわっと開きかけ、膣口から少しずつ蜜まで漏れ出てくるのだ。

(ああ、どうして……どうして私……いや、こんな……口にしただけなのに……あそこが濡れて……ああ……)

生暖かくぬめった粘膜の感触で、ペニスが熱く太く膨張していく。
口の中でぐぐっとまた一回り大きくなった逸物に、南の膣がまた反応する。
揃えていた膝がもぞつき、股間をすり合わせるような仕草を見せるようになっていた。
たちまち小さな口腔内を圧迫するまでに成長したものを、南は思わず吐き出した。

(す、すごい……、何てたくましいの……。大きいだけでなく、すごく硬い……)

由良が無言で続きを求める前に、南はそれをまた口に入れていく。
裏筋、サオの根元から先端、そして亀頭にも丹念に舌を這わせる。
濡れた小さな舌が由良の肉棒を這い回り、仕込まれた舌技を駆使していた。

(ビ、ビクビクしてる……あ、また太くなって……)

徐々にフェラチオに没頭していく南に興奮したのか、由良はその髪に指を突っ込み、頭を掴んでぐいぐいと腰に押しつけている。
喉を突かれるのか、南は時折苦しそうに顔を歪めているが、それでも吐き出さずに愛撫を続けている。
左手を由良の腰に当て、右手はペニスの根元を掴んでしごいていた。
息が苦しいのか、鼻で呼吸しながら唇でペニスを締めつけ、咥内では舌で舐めしゃぶる。

「うっ……、く……」

由良がサングラス越しに顔を苦悶させている。
南の口唇愛撫に強く反応し、我慢しているらしい。
それがわかるのか、南はちらりと由良を見上げてから、さらに激しくしゃぶっていった。
カリを唇で挟んでしごきあげ、舌の裏粘膜で亀頭の先っちょを押さえつけるように刺激すると、由良は南の頭を両手でガッと掴んだ。

「浅倉っ……!」
「んんっ……」

由良は「もう出る」と意思表示すると、南は「わかった」とでもいうように、小さく頷いて見せた。
南は激しく顔を前後運動させてサオを思い切り擦り上げ、つるつるした亀頭を舌全体でねっとりと舐め上げる。
由良の腰がクッと少し上がったかと思うと、ぐいっと南の口奥までペニスを差し込む。
もう一瞬も耐えきれず、由良の腰がぶるっと震えたかと思うと、南の咥内へ射精した。

「んぐっ……!」

亀頭から舌を押し返すように射精された瞬間、南はグッと目と堅く閉じて、流し込まれる精液の感触に耐えていた。
どろどろと濃く生臭い体液の味と感覚は、どうしても慣れることが出来ない。
が、それでいて、口に出され、飲まされるたびにその匂いと味が忘れられなくなっていく。

「んっ、んぐ……ぐううっ……んく、んく……ごくっ……んくっ」

南は反射的に顔を股間から離そうとするものの、当然、由良は許さず、腰に押しつけている。
南は顔を顰め、喉を何度も上下させて精液を嚥下していたが、量が多すぎるのに加え、喉奥に注ぎ込まれたこともあって噎せ返り、口から肉棒を吐き出した。

「ぐっ……、ごっ、ごほっ……けほ、けほっ……いや、まずい……」
「まずい、とか言いながら、ちゃんと飲むようになったな、浅倉」
「……」

飲みきれなかった精液が唇の端からだらりと垂れ落ちている。
なおも射精は続き、南の綺麗な顔や艶やかな髪を汚していく。

「や……、まだ出てる……」

ペニスがビクッと跳ねるたびに精液が放たれ、南の頬や鼻筋に粘る液体が引っかかっている。
よほど濃いのか、頬に掛かった液体は塊となってこびりついている。
南は濃厚な男の匂いに陶酔し、恍惚とした表情を浮かべて、射精の発作を続けるペニスを見つめていた。
由良に命令される前に、南はまだびくびくと脈打っている肉棒を白い手に取ると、そっとしごき始めた。
手のひらでしゅるっと扱くと、それに併せて精液の残滓がぴゅるっと飛び出てくる。
由良は南の頭を掴んで言った。

「綺麗にするんだ。わかってるな、またすぐに使えるようにしろ」
「ん……」

南はまた頷くと、それを頬張っていく。

「んん……んっ、じゅるっ……んぐ……ちゅぶぶ……んっ……んぐぐ……んむ……」

南はペニスのちょうど真ん中あたりを掴むと、そのままゆっくりと扱きつつ、唇と舌で再び愛撫していった。
射精を終え、頼りなく萎れ掛かっていたペニスにまた芯が入り、熱くなっていく。
精液で汚れていることなど気にもしないように、というよりもこびりついている精液を舐め取るように舌を這わせている。
南も、精液の匂いに酔い始めたのかも知れなかった。

「ん、ん、ん……ん、ぐ……んむ……ちゅっ……じゅっ、じゅっ……ちゅううっ……んんっ」

南は唇でしっかりと締めつけてから、そのまま顔を何度も前後に動かしていく。
せかせかと早い動きではなく、ゆっくりとだが長いストロークだった。
抜く時はカリが唇に掛かるまで引き抜き、入れる時は先っちょが喉に当たるまで飲み込んだ。
亀頭を擦って射精させるというよりも、またペニスを元気にさせるような愛撫であった。

イヤが上にも肉棒は硬くそそり立ち、由良は下腹や腰がまた熱く疼くのを感じていた。
由良は南の髪をくしゃくしゃとかき回しながら、感極まったように言った。

「巧くなったな、浅倉。おまえは新体操の技術でも物覚えが早かったが、セックスでも優等生じゃないか」
「んんっ……」

あからさまで淫らな褒め言葉に、南はどう反応したらいいのかわからなかったらしく、頬を染めて恥ずかしげに目を閉じた。
その間にもフェラは続行している。

「ようし、もういい」
「あ……」

由良が腰を引くと、南の唇を弾くようにして充分に勃起したペニスがぶるんと跳ね出た。
由良に止められるまで一心不乱に肉棒を口にしていた自分を恥じているのか、南の顔が真っ赤になっている。
白い喉がコクッと動いているのは、ペニスに残っていた精液の残滓か、あるいは早くも漏れ出ていたカウパーが口に溜まっていたからだろう。
それを躊躇なく飲み下していることに、南はまだ気づいていない。

「ここに来い」
「はい……」
「尻を向けろ」

南をベッドに上がらせた由良は、その尻を軽く叩いて後背位の姿勢を求めた。
もう身体の隅々まで知られている男だとはいえ、それでもまだ尻を突きつけるのは恥ずかしいらしく、頬を紅潮させた南は幾分躊躇っている。
しかし、おずおずと由良の指示に従い、四つん這いとなって豊かに張った臀部を由良に向けた。

シーツに突いた膝を震えながら少し拡げると、股間の隠しておきたい部分がすべて由良の目に晒される。
由良の目が今どこを見ているのかわかるのか、南はカタカタと小さく震えて手を握りしめていた。
恐らくは、もう愛液を分泌し、恥毛まで濡らしている媚肉と、そのすぐ上に恥ずかしげに窄まっている排泄器官を、穴が開くほどに見つめているのだろう。
見られていると意識するだけで、南のそこは熱を持ち、ジーンと疼いてくる。

由良が何もしてこないので、南は少し不安げに犬這いのまま振り向く。
ただ犯すだけでなく、また浣腸されるのだろうか。
膣にではなく肛門に挿入されてしまうのだろうか。
最近ではもう、膣でも肛門でもほとんど変わらぬほどに感じてしまうようになっている。
そのどちらを期待しているのか、南はなよなよと尻まで振り始めていた。
何もせず、ただ見られているのは凌辱されるよりもつらい。
一息に犯されるのであれば「心ならずも」「力尽くで」と思い込むことも出来るが、見られるだけで手も触れない状態にされると、心は冷静となり嫌悪感や
背徳に苦悩することになるが、肉体の方は逆に燃えてきてしまう。
そのギャップの大きさに、南は自分が本当に淫蕩な女になってしまったような錯覚を覚え、ますます被虐の官能が深まっていく。

「あ……」
「なんだ?」
「……」

思わず顔を真っ赤にして黙り込んでしまう南に、由良がにやっと笑いかける。

「言いたいことがあれば遠慮なく言え」
「でも……」
「今さら何を恥ずかしがってる。おまえはもうそういう女なんだ」
「ひどい……」
「ひどくはないさ、さあ言え」

南は半ば捨て鉢になって、屈辱の言葉を吐いた。

「し、して……、ああ、もう早く済ませて……、こんなのもういや……」
「ふふん、まだ可愛い子ぶってるのか。ま、いい。以前のおまえなら、そんな言葉を口にすることすら想像できなかったからな」
「だ、誰のせいで……」
「そう、俺のおかげだな。ではお待ちかねの「これ」をくれてやるぞ」
「あ、いや……、ああっ!」

由良は挿入する前に、南の左足を抱えて持ち上げた。
犬這いのままだから、まるで犬が電柱に小便をするスタイルだ。
片足を抱えられたことで股間がガバッと開き、濡れていた媚肉の割れ目が大きく口を開けている。

「こ、こんな……いや!」
「ふふ、こうした方がよく見えるだろうからな」
「み、見えるって……あ!」

ひくひくと蠢く媚肉に熱い男根を押しつけられ、南は「犯される」ことを覚悟する。
もはや「犯される」レベルではなく「セックス」なのだが、南は最後までそれを認めたくなかった。

「んっ、んんっ! くっ……ふああっ……!」

南は、エラの張ったカリが膣口をくぐり抜けるきつさに呻き、野太いサオがずずっと膣壁を抉りながら潜っていく感触に悲鳴を上げた。
それでも、よくあんな大きなものがと思えるような肉棒を、南はあっさりと受け入れていた。
事前の愛撫と強制フェラにより、充分すぎるほどに潤っていた媚肉は難なく奥まで侵入を許している。
未だ達也への想いと由良への複雑な感情を抱いている心はともかく、肉体の方はすでに長大な男性器に貫かれる愉悦を覚え込んでしまっていて、南は全身を
わななかせながら熱の籠もった吐息を漏らしている。

「んんっ……、はああっ……、こ、こんな、ああ……ど、どうして……あうう……」
「随分と悩ましい声を上げるようになったもんだな、浅倉。こんなところを彼氏に見られたらどうする気なんだ」
「やっ、やだ、どうしてこんな時に……ああっ……だ、だめ、動かないで!」
「バカ言うな、動くためにやってるんだ。浅倉だって動いてもらいたいだろうに」
「ち、違いますっ、私はこんなこと……くっ……いああっ……」

由良にバックからグンっと強く突き上げられると、南はグウッと大きき仰け反って喘いだ。
先端が最深部に当たるのだ。
初めの頃はただ痛いだけだった子宮口への刺激は、いつしか腰が震え、嬌声が零れるほどに快感スポットに変えさせられていた。
そこを突かれるとどうにも抗いようがなく、南は堪えきれない喘ぎ声を漏らすことしか出来ない。
由良は腰を使いながら、巧みに南のマゾ性を刺激し、被虐性感を盛り上げていく。

「やっぱりあのビデオや写真をあの男にも見せてやったらどうだ? あれだって男だ、きっとチンポをでかくして興奮するだろうよ」
「やっ、いやです、そんなこと……ああっ、タ、タッちゃんはそんな人じゃ……ああっ!」
「そんなことないさ。男なら誰だって、浅倉のこの身体を見ればその気になる。しかもそれが、浣腸されたり、犯されてるシーンなら余計にな」
「ああっ……」

露骨に表現され、南はいやでも達也を意識する。
もし、あんなものを達也に見られたら、という恐怖と羞恥で気が狂いそうになる。
同時に、あれを見たら本当に達也も興奮するのだろうか、そうなら達也とも愛し合うことが出来るのではないだろうか、という淫靡とも背徳ともつかぬ
妖しげな期待すら抱いてしまうのだった。
そんなあさましいことを考えてはいけないと、持ち前の意志の力で歯を食いしばって耐えようとしても、男の肉棒の前には苦しげで甘い声を漏らしてしまう。

「しかしおまえはどうしてその上杉という男に身体を許さなかったんだ? 好き合っていたんだろうに」
「それは……」

南はつらそうに顔を背けた。
そうしたかったのは山々なのだ。
まさか由良に、達也がEDらしいとは言えなかった。
健気な南は、未だに達也とそうなることを夢見ているのだ。

「バカ正直に「男を作るな」という俺の命令を守っていたってわけか? まったく生真面目にも程があるぞ。いくら指導者が口を酸っぱくしてそう言っても、
ほとんど部員連中はそんなもの守っちゃいないんだ。守っているように見えるやつでも、たまたま今はフリーだというだけのことだ」
「……」

南は、由良に腰を打ち込まれながら黙って口をつぐんでいる。
室内には、由良の声と彼の腰が南の尻を打つ音だけが響いていた。

「こっちだって、おまえらがそんな指示を確実に守ってるとは思ってない。それにな、女は男に抱かれるようになると身体がそれらしくなる、なんてのは
迷信だ。あくまで年齢相応にそうなってるだけだ。セックスの有無なんてのは、そう関係ないんだ。後生大事に処女なんか護ろうとするから、こんなことになる」
「いやあ……」

南は盛んに顔を左右に打ち振って泣いた。
ことさら達也と結ばれず、むざむざと由良のものになってしまったことを強調され、哀しさと情けなさに感情が高ぶっていく。
その昂ぶりすらも性的なものに変換させられ、南の身体はなおも燃え立っていった。

「すっかり男も覚えたようだな。これならいつあの男に抱かれるようになっても、きっと喜んでくれるぞ」
「い、いや……あうっ」
「いやってことがあるか。現におまえのマンコは俺のものをきついくらい食い締めてるじゃないか。ここの味は紀子以上かも知れないな」
「の、紀子って……キャプテン!? コーチ、あなた渡瀬さんともっ……!」

由良は呆れるように言った。

「何を今さら。おまえ、気づかなかったのか、鈍いにも程があるぞ。そうさ、俺と紀子はもう2年くらいのつき合いになる」
「そんな……」
「なんだ、ショックなのか? 俺は浅倉だけのものだと思ったのか」
「そ、そうじゃありません!」

南のショックは、紀子と由良に肉体関係があったということではない。
昔からの仲であったということは、紀子が由良の「使い魔」だったのではないかと思ったのだ。

事実その通りで、紀子は由良が目を着けた女を誘い出す役割を持っていたのだ。
彼女は完全に由良のに屈服しており、コントロール下にあった。
つき合いが長くなるにつれ、表面上は小生意気なところも見せるようになってはいたが、あくまで由良の許容範囲に於いての話である。

「はああっ……ああ、あ……あう……んんっ……くっ……ああっ」

最奥を突かれ、快楽を訴える声を抑えきれず、南の口からぽろぽろと喘ぎ声が漏れる。
信じていたコーチに欺かれて犯されただけでなく、頼りにしていた先輩にまで裏切られていた。
騙され、虐待される自分に異様な快感を覚え、胎内の奥から熱い蜜が滲み出て止まらなくなってきている。
それを知ってか、由良の動きも力強くなっていく。

「やっ! だめ、激しいっ……んんっ……あっ……」
「気持ち良いんだろうが。素直な浅倉らしく、正直に言ってみろ」
「やっ、そんな……ああっ……あ、あ……」
「やれやれ、普段のおまえは素直になのに、どうしてこういう時には意地を張るんだろうな。いつものようにめろめろにしてやらないとダメか?」
「うあっ……!」

由良は持ち上げた南の左足を抱え込み、深々と腰を突き込んでいく。
結合がさらに深まり、南は目を剥いて悲鳴を上げた。
由良は欲望のままに激しく責め込み、突き上げる。脚を抱えたまま南の背中に覆い被さり、突き込むたびに激しく揺れ動く乳房を鷲掴みにし、ぎゅうぎゅうと絞り上げた。

「んんっ! だ、だめ、いっ……いいっ……!」

とうとう南は屈し、肉の喜悦を口にした。
いつものことだが、やはりこの女は少し乱暴なくらいに手荒く責めた方がいいらしい。
揉み込まれる乳房は、快感が強まってくると充実した弾力を帯び、肉に食い込んでくる男の指を弾き返すほどだ。
膣も肉棒に吸い付くように絡みつき、適度な強さと柔らかさで由良を刺激していく。
由良が男根の角度や強さを変化させて突き込んでいくと、南の膣はそのすべてを柔軟に受け止め、より強い快楽を享受して喘ぎ、よがっていた。

「んああっ、いっ、いいっ……コ、コーチ……いいっ……」
「やっと素直になったな。彼氏に聞かせるつもりで喘いでやれ」
「いやっ、タッちゃん許して……やあっ……いい……ううんっ、いっ、いいっ!」

南は何度も裸身を震わせ、背中を波打たせて身悶えている。
急速に快感が高まっているらしく、ベッドに突いていた手でシーツをきゅっと握りしめている。
脚の指も屈まり、また開くのを繰り返していた。
膣肉もびくびくと痙攣し、腰周辺に鳥肌がたってわなないている。

「は、激しいっ……激し過ぎます、コーチっ、あ、深いぃっ……くあっ、お、奥に当たって……いいっ!」
「ふふ、浅倉が「いい」のはここだろう?」
「うああっ、そ、そこぉっ! だめ、そこにされるとすぐに……あああっ、い、いきそうっ……」

もう南は一方的に犯されるだけでなく、由良の激しい動きに合わせて自ら腰を振っている。
由良が突き込むと自分から尻を押しつけ、より深い挿入を求めていた。
抜かれる時には下腹に力を込めて収縮させ、摩擦感を強くさせている。
南がいく寸前、あるいはいった時の膣収縮は強力だ。
女慣れしているはずの由良でさえ、我慢出来なくなるほどだった。
由良は「先にいかされてなるものか」とばかりに、グイグイと南の子宮口目がけて腰を打ち込んでいった。
子宮口に硬い亀頭で何度も小突かれ、子宮が振動するほどの刺激を受けると、南はひとたまりもなかった。

「ひっ、ひっ、いくうっ……い、いっちゃう、いくっ……いっく!!」

南はガクンガクンと大きく二度ほど仰け反り、全身を痙攣させて激しく絶頂した。
ほぼ同時に膣が強烈に締めつけられ、由良のペニスを猛烈に圧迫する。
由良はもう耐えるつもりもなく、吠えながら南の尻を激しく押しつぶしながら、その胎内へ一気に射精した。

どびゅるるっ、びゅるるっ。
びゅくっ、びゅううっ。

熱く粘っこい精液を膣内粘膜と子宮口で感じ取り、南は汗にまみれた大きな尻と綺麗に窪んだ背中をビクビクッと何度も震わせて達した。

「んんうっ……で、出てるっ……熱いの、中に……あああ……また出された……いやあ……あ、あ、まだ出てる……い、いく!」

びゅくっ、びゅくっと発作があるたびに子宮口へびちゃっと精液が浴びせられ、その濃さと熱さで南は何度も気をやらされた。
彼女の身体は、ペニス挿入と律動による膣や子宮口への摩擦や刺激だけでなく、精液を胎内に浴びせられる感覚でも絶頂するまでに成長していた。
南の肉体は完全に「少女」から「女」へと熟成していたのだった。

由良は、力尽きて膝を崩し、ベッドに突っ伏していた南の尻たぶを愛おしそうに撫でた。
まだ絶頂の余韻があるのか、その尻がびくっと間歇的に痙攣している。
背中が軽く上下し、まだ荒い呼吸が収まらないのがわかる
。由良はその南の肩に手を掛け、ごろりとひっくり返した。
南はされるがままに仰向けとなり、まだ力の入らぬ身体をしどけなく開いている。



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