フォッケウルフ Ta-152

      フォッケウルフ Ta-152

 
  1942~43年頃、ドイツに対する連合国の空爆は作戦高度が次第に高くなり従来の戦闘機では迎撃が困難になることが目に見えてきました。さらにアメリカで与圧装置を標準装備した新型大型戦略爆撃機(後のB-29)が開発中との情報もあり、航空局はメッサーシュミット社とフォッケウルフ社に来るべき高高度での本土防空戦に使用できる戦闘機の開発を命じます。
 この頃、Fw190をドイツ空軍に送り出し、その功績を認められたタンク博士はこれから開発する飛行機には彼の名前の一部、"Ta"をつけることが許されました。この開発命令を受け、タンクを中心にした設計チームはFw190Aをベースにした試作機の製作に取り掛かりました。
 主な改修点は空冷エンジンBMW801D-2(出力1700hp)を液冷エンジンJumo213C(出力1870hp)に載せ換え、武装も20㎜以上の機関砲を装備したまさしく重爆撃機を撃墜する目的でラフプランは描かれました。


 しかし、肝心の新型エンジンが実用・生産段階にはいたっておらずせっかくの設計も1944年の初期まで停止状態にありました。そこでタンクは1944年8月、ドイツ航空省の許可をもらいダイムラーベンツで開発されたばかりの試作段階にあったDB603Lを試作機の機体に載せTa152Cとして完成させました。テスト飛行は1944年12月に行われ、さしたる問題もなかった為、随時生産に移っていくはずでしたが、戦局の悪化により生産は進まずTa152シリーズはわずか150機程度しか完成しませんでした。

 ドイツの主力ジェット戦闘機、Me262の離発着時の護衛など、これといった戦果は残っていませんが、有名なエピソードとして、タンク自らがTa152の高高度テスト飛行中2機のムスタングに追われるというアクシデントに遭っています。彼は慌てることもなく、スロットルを全開にしてムスタングを振り切って逃げたという記録が残っています。後日、彼は「自分に振り切られたムスタングのパイロットの悔しげな顔はどのようなものだったのだろう」と言い残しています。

性能諸元(Ta152H-1)

 全長; 10.71m
 全幅;  14.44m
 全高; 3.36m
 正規全備重量; 4964kg
 エンジン; Jumo213E-0 (離昇出力:1870馬力)
 最大速度; 750km/h (高度12500m)
  武装;  30㎜機関砲×1 (MK108×1)       
        20mm機関砲×2 (MK151/20×2) 



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