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日記と言うより妄想記録。時々SS書き散らします(更新記録には載りません)

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日記と言うより妄想記録。時々SS書き散らします(更新記録には載りません)

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[レオスコ]抱き締めて、確かめて、

  • 2013/08/08 23:14
  • カテゴリー:FF


────どうしたのだろう。

ぎゅ、と互いの顔すら見えない程、近く強く抱き締められて、スコールは胸中で首を傾げる。
そんなスコールに気付く事なく、向き合う青年はスコールを抱き締め、細い肩口に顔を埋めていた。


「……レオン?」


スコールはそっと、出来るだけ驚かせないように、小さな声で青年の名を呼んだ。
しかし、青年───レオンからの返事はない。

いつもなら、名を呼べば直ぐに応えてくれるのに、どうしたのだろう。
朝から単独の散策に向かった彼は、帰って来るなり、待機組として聖域に残っていたスコールを捕まえると、スコールと共に自分の部屋へと引っ込んだ。
ただいま、と言う一言さえも発さないまま、彼はスコールを抱き締めたまま、動かなくなった。
帰った時の挨拶も、手を掴む前の優しい笑顔も、抱き締める前に頭を撫でる手も、何もない。
突然に二人きりになって、抱き締められて、……こんな事は初めてで、スコールはただただ戸惑うしかなかった。


「……レオン」
「………」


もう一度名を呼んでみると、ぎゅ、と抱き締める腕に力が篭った。

スコールは、レオンが何処か息苦しげにしているように思えた。
いつも凛と伸ばされた大きな背中が、今日は縮こまるように丸められている。
その背中に、そっと腕を回してみると、微かにレオンの背中が震えている事が判った。

まるで何かに怯えているみたいだ、と思ってから、スコールは震える背中を宥めるように、添えた手でぽんぽんとレオンの背中を柔らかく叩いてみる。
びく、とレオンの肩が一瞬跳ねたのが判って、間違えたか、と思ったが、抱き締める手が離れる事はなかったので、また同じようにレオンの背中を叩く。
いつもレオンがしてくれているように、柔らかく、優しく。


「ん……」


レオンがむずがるように、小さな音を漏らして、スコールの肩口に額を押し当てる。
肩まで伸びたダークブラウンの髪が、スコールの首や頬をくすぐった。


「レオン、」


何かあったのか、と聞こうとして、スコールは出来なかった。
抱き締める腕が力を込めたのを感じて、聞くな、聞かないでくれ、と言っているように思えたのだ。

レオンはあまり自分の事を語らない。
スコールと同じように、元の世界の記憶が曖昧らしいから、無理もない事かも知れない。
けれど時折、スコールよりもスコールを知っているような言動を見せる事があった。
だが、その事を「どうして」と訊ねても、レオンは曖昧にぼかして答えるばかりで、ジタンやバッツを持ってしても、彼は必要以上に自分の事は話す事はしなかった。
だからスコールは、毎日のように彼と同じ時間を過ごしているのに、彼の事を殆ど知らなかった。

スコールがレオンに何かを聞こうとしても、彼は決して答えない。
隠しているのか、彼自身が言葉に出したくないのか、スコールには判らなかった。
不公平だ、と思わないでもないのだが、スコールはそれを強く言える性質ではないし、レオンも普段はそれをスコールに意識させる事がない。
────けれど、今この時だけは、彼が何も話してくれない事に、スコールは居心地の悪さを覚えずにはいられなかった。


「……ん……」
「…っ……?」


レオンが身動ぎをして、スコールの首筋でちくり、と小さな痛みが走る。
何、とスコールが微かに眉根を寄せた後、同じ場所に柔らかなものが押し当てられた。

キス、だと気付いた瞬間、スコールの顔に朱色が走る。


「っレオン!」


レオンのジャケットの背中を掴んで、抱き締める彼を引っ張り剥がそうともがく。
しかし、スコールよりも上背がある上、確りとした体躯をしているレオンに、スコールが力で敵う筈もない。
畜生、と苦々しく思っていると、小さく震えていた筈のレオンの背中の代わりに、彼の肩がくつくつと揺れている事に気付く。


「レオン!あんた、人が折角……!」
「心配してやってるのに?」


興奮の所為か、中途半端に途切れたスコールの言葉を、レオンが代わりに口にした。
顔を上げた彼の目が、楽しそうに笑っているのを見て、スコールの顔に益々血が上る。

怒りに震えるスコールだったが、レオンは相変わらずスコールを抱き締めたまま放さない。
羞恥と怒りに任せて拳を振り上げようとするスコールだったが、腕は上腕ごとレオンに抱き締められた格好だった。
腕を持ち上げられない事が余計にスコールの苛立ちを煽り、くそ、と毒を吐く。
そんなスコールの表情さえ、レオンは楽しそうに見詰めている。
こうなったら何でも良いから仕返しがしたくて、スコールは背中に回した手で、レオンのダークブラウンの髪を掴んだ。


「いたた、スコール、痛い」
「あんたが悪い!」
「ああ、悪かった。別に揶揄ってた訳じゃないんだ」


ぐるぐると喉を鳴らして威嚇する猫のように睨むスコールに、レオンが謝る。

自分を抱き締めたまま、間近でくすくすと笑うレオンの貌に、スコールは唇を噛む。
悔しげに睨むスコールの姿に、レオンは一頻り笑った後、いつもの表情になって、こつん、とスコールの額に自分の額を押し当て、


「……探索の途中で、アルティミシアと戦った」


静かに告げられたその言葉に、スコールの肩が揺れる。

尖っていたスコールの目尻が微かに見開かれ、また尖る。
嫌悪にも似た感情を露わにするスコールを、レオンは抱き締め、大丈夫、と小さく囁く。


「大丈夫、別に何もなかった」
「……でもあんた、アルティミシアと戦ったって事は───」
「ああ。だから、大丈夫。何もなかったよ」


この世界に召喚された戦士達は、大なり小なり記憶を欠落させている。
欠落した記憶は、対となって召喚された混沌の戦士と戦う事で、少しずつ回復すると言われている。
しかしこれも個人によって大きく差があり、レオンやスコールの記憶の回復は、あまり芳しくないようだった。
だが、やはり戦っていれば僅かずつ元の世界の記憶を取り戻しており、スコールも始めから覚えていた事以外の記憶は、彼女と闘争を繰り返す内に思い出した事だった。

レオンとスコールは、魔法への価値観、SeeD、魔女と言う単語と言った記憶に共通点が多い。
ガンブレードと言う共通の武器を使用している事もあり、レオンがスコールを知っているような言動を取る事も多い為、同じ世界から召喚されたのだろうと言う見方が強かった。
ならばレオンも、アルティミシアと戦う事で、自身の記憶を少しずつでも取り戻している筈だ。

その蘇った記憶の中で、何か、レオンの感情の琴線を震わせるものがあったのではないか。
それがレオンを、常らしからぬ行動に駆り立てたのではないか───そう思ったスコールの言葉を、レオンは先に遮った。


「思い出した事はある。でも、大丈夫だ」
「だけど」


じゃあ、この行動はなんなんだ、と音なく問う青灰色の瞳に、レオンはそっと目を細める。


「疲れただけだよ。イミテーションを相手にするのとは、やはり話が違うからな」


それだけだ、と言って、レオンはもう一度スコールを抱き締めた。
ぎゅ、と力強く抱き締める腕に、スコールは戸惑う。
本当にそれだけだと言うなら、どうして、と。

スコールを抱き締めたまま、レオンは静かに息を吐いた。


「……温かいな」


そう呟いたレオンの声に、スコールは唇を噛んだ。

抱き締める腕に答えるように、彼の背中に手を回しても、レオンはもう震えていない。
それなのに、何故だろう。


包み込むように、閉じ込めるように。
抱き締める腕が、まるで繋ぎとめようとしているような気がして、泣きそうになって来る。



生きてるんだな、と言った彼に、その意味を問うのが、怖かった。





レオスコなのかスコレオなのか。
取り敢えず、スコールに甘えるレオンさんが書きたかったのです。

判り難い裏設定としては、レオンもⅧ世界出身でスコールの実兄で、恐らくED後にスコールに何かあったとかそう言う(アバウト)。
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[猫レオン&猫子スコ]雨とかみなり

  • 2013/07/14 22:35
  • カテゴリー:FF
なんか此処の所、ゲリラ豪雨的に突然の大雨に見舞われる日々。
そして今日は雷も物凄かった。なんか頭上で鳴ってるよ!?今の確実に落ちただろ!?って言うような雷雨でした。お陰で買っている柴犬のガクブルが止まらなかった。
恐がってる動物は可哀想と思うのですが、落ち付いたらどうしても妄想が広がります。

と言う訳で、猫なレオンと子スコで雷雨の日。


[まって、まって]の野良猫レオ子スコ → [雨宿り]

[ペットショップ・ファンタジア]の猫レオ子スコ → [レインドロップ・ファンタジア]


小動物が身を寄せ合ってるのって可愛いなあ。
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[セフィレオ]夕闇

  • 2013/07/08 22:51
  • カテゴリー:FF


此処しばらく、朝靄の空と夜空しか見ていなかった気がする。
城の奥深く、地下に存在する街のコンピューター室から出て、レオンは久しぶりに見た橙色の空を仰いで思った。

たまには陽の光に当たらないと、もっと根暗になっちゃうぞ、とユフィに言われた事を思い出す。
動物の生態に必要な要素の一つとして、光───出来れば自然光、つまり太陽光───に当たった方が良いと言うのは、レオンも理解できた。
しかし、「もっと根暗になる」とは、一体どういう意味だろう。
まるで今も根暗のようではないか……と思った後で、少なくとも自分が明るい性格をしていない事は確かだと思い出す。
無邪気で元気なユフィと比べられたら、根暗と言われても仕方がないかも知れない。

だが、朝と夜だけ外に出ているだけでも、此処数日はまだ良い方ではないだろうか。
以前は文字通り、城の地下に篭り切りと言う時期もあったし、街の外れに確保した自分の家にさえ帰らなかった。
眠る為だけに帰る家と、仕事場となった城との間を往復するだけでも、あの頃に比べればマシな筈だ。
それが五十歩百歩の違いであるとしても。

今日は予定よりも早めにするべき事が終わったので、夕刻の内に帰路についた。
レオンとしては、今回の作業が終わったついでに、前倒しで次の作業に入りたかったのだが、「後は俺がやるからお前は帰れ」とシドに制御室から蹴り出されてしまった。
締め出されてしまったのでは仕方がないと、レオンも今日はゆっくり休む事にして、シドの言葉に甘える事にした。
そのお陰で、久しぶりに夕暮れを見る事が出来たである。

────そのまま真っ直ぐ帰宅しても良かったのだが、レオンの足は街へは向かわなかった。

いつであったか、小さな勇者から聞いた話を思い出す。
此処とは違う他の世界で、とても綺麗な夕焼け空を見たのだと。
何処までも続く海の向こうに沈みゆくオレンジ色の太陽と、その光を受けて綺麗なシルエットを映し出す列車と線路。
光と影が海に移り込み、風で揺れた波の中できらきらと光っては消えてを繰り返す。
その光景がとても綺麗だったのだと、彼は言った。

レオンは城の崩れた外壁に登り、橙色に染まった世界を見た。
其処には何処までも続く海はなく、あるのは闇に染まった時の爪痕をあちこちに刻んだ、傷付いた街がある。
橙色に染まった空だけは遠く広く続いているけれど、少年が言っていたような景色は此処にはない。
嘗ては美しく、輝ける庭と呼ばれていたこの街や城も、今は見る影もなかった。
最初の頃に比べれば、大分復興が進んだ方だと思っていたレオンだったが、こうして俯瞰で街の全てを見渡すと、全てを取り戻すにはまだ長い時間が必要だと言う事が判る。


(直すだけじゃない。まだあちこちにいるハートレスや、ノーバディも退治しないと)


踵を返して、背にしていた城を見る。
外目には随分と落ち付いたように見える城だが、その周囲には闇の者達が蠢いている。
それらを全て駆逐し、街が以前の光景を取り戻すまで、街の復興は終わらないのだ。

レオンはじっと、夕焼け色に染まった城を見詰めていた。
此処でこうして景色を見詰めていた所で、何が変わる訳でもない。
今日はもう仕事として出来る事がないのだから、早く家に帰って休み、明日に備えるべきだと、頭では判っている。
だが、そんな思考とは裏腹に、もう少し此処にいたい────と言う意識が、レオンの足を引き留める。
随分と久しぶりに見る夕焼け空の中、自分以外の誰もいないこの世界の片隅に留まっていたい、と。

しかし、レオンは直ぐにそんな意識を持った事を後悔した。


「先客か」


暗い気配と共に、頭上から落ちて来た低い声。
誰だ、と、誰も知らない秘密基地を許可なく侵されたような気分で振り返ったレオンの目に、夕暮れの光を受けて柔らかに光るプラチナブロンドが映った。

腰までの長い銀色の髪と、レオンがよく知る男と似た碧色の瞳を持った男。
面は神が厳選を重ねて選んだかのように整っており、それ故に返って人形めいて見えた。
銀色の髪に黒衣の衣装がよく映えたが、それ以上にレオンの意識を奪ったのは、男の肩口から覗く漆黒の片翼だった。


「……あんたは、誰だ?いや、何、と聞いた方が正しいのか」


レオンの言葉に、男の口元がうっそりと笑みを浮かべる。

男はゆっくりと下りて来た。
片翼なのに危なげがないな、と思った後、そもそも片翼で飛べるものなのだろうか、とレオンは首を傾げる。
それから、自分がよく知る男も片翼で飛んでいたな、と思い出す。

レオンと男の距離は、5メートルはあるだろうか。
腰に提げた獲物に手をかけて、レオンはじっと男と動きを見詰める。
男は両腕をだらりと重力に従わせたまま、一見すると無防備と取れる格好だった。

碧眼がじっとレオンを見詰め、唇が薄く開かれる。


「あれのお気に入り、か」
(……あれ?)


何の事だ、とレオンは思ったが、問う事はしなかった。
踏み込むな、と本能的なブレーキが働いた事を、レオンは後になってから理解する。

一挙手一投足を見逃すまいと、僅かでも何かあれば直ぐに反応できるように身構えるレオンに、男は敵意のない証左とでも言うのか、目を伏せて言った。


「ただの通りすがりだ。気にするな」
「随分、変わった場所を通り道にしているんだな」


街を見下ろせるこの壁は、通りがかろうと思って通れる場所ではあるまい。
そんな場所にいるレオンに、この男は、頭上から声をかけて来たのだ。
変わり者の一言で済ませられるような出来事ではない。

だが、それもレオンは追及しなかった。
男の背から覗く漆黒の片翼を見れば、この男が常識的な物事の範疇に納められない事は直ぐに判る。
下手に藪を突いて蛇を出すのは御免だった。

それでも、男の同行を伺うように見詰める蒼灰色は逸らされない。
男はそれを気にする風もなく、それもそうだな、と肩を竦めた後、


「此処は眺めが良いからな」


男の碧眼が眼下の街へと向けられて、レオンも同じようにそれを追った。

大きな街と、美しい城。
その全て全視界で一望できる場所など、早々ない。
だからこそ、今の街の全てを目の当たりにする事が出来る。

“輝ける庭”と呼ばれた街も城も、今ではあの頃の面影を思い出させる事さえ難しい。
西の空に沈み行く太陽に照らされて、橙色に染められた街の中に、動きを止めた大型クレーンの細長い影がある。
それだけでレオンは、胸の奥が締め付けられるような気がして、時折、呼吸を忘れてしまう。
あの日、あの時の、自分の無力さが思い出されてしまうから。

目を逸らしても、何処を見ても、この場所からは街が見える。
夕焼け空に照らされた愛すべき故郷は、いつかの少年が語ってくれたような、きらきらとした表情を見せてはくれなかった。
それが見たくて此処に来た、と言う訳ではないけれど、気紛れなんて起こすものじゃないな、とレオンは思う。

夕焼けに照らされた街を見るのが苦しくなって、レオンは俯いた。
そうして見えた足下に、自分のものではない影が落ちる。


「何を思い煩っているのかは知らないが、少し無防備が過ぎるんじゃないのか」
「それはつまり、あんたは俺に危害を加える気があると言う事か?」


いつの間にか、男との距離が酷く近くなっている事に、レオンは気付いていた。
男への警戒心が解けた訳ではなかったが、可惜に身構えている必要はない────とレオンは思う。
若しもこの男が自分に危害を加えるつもりなら、最初に声をかけた時点で、彼はレオンに手をかけているだろう。
それ位に隙だらけな状態で、ぼんやりと佇んでいた事は、レオンも自覚している。

レオンの指摘に、男は少しの間考えるように沈黙した。
それから、ふ、と小さく笑い、


「危害を加えるつもりはないが、」
「……?」


コツリ、と硬い床を踏む音が鳴った。
それと同時に、レオンの視界に影だけではなく、男のブーツが映り込む。

近いな、とレオンは眉根を寄せた。
敵意らしいものがないので好きにさせていたが、何処の誰とも知れない、“何”かも判らないものに必要以上に近付かれるのは、余り落ち着かない。
離れろ、と言おうとして、レオンは顔を上げた。

しかし言葉は音にならず、柔らかなもので呼吸ごと塞がれる。


(──────なん、だ?)


一体何が起きているのか。

理解出来ずに固まったレオンの眼前で、オレンジ色を帯びた銀色が閃いて、自分が知っているものとよく似た碧眼が笑う。
それを見て我に返ったレオンが、咄嗟に握っていた剣を振り抜いた。


「物騒だな」
「貴様……っ!」


男を睨むレオンの頬は、夕焼けの朱色ではない赤で染まっていた。

薄らと濡れた感触の残る唇を、手の甲で乱暴に拭う。
最悪だ、と呟くレオンから逃れるように、男は外壁の外へと身を投げた。
ふわりと風を纏って宙に浮いた男を、レオンは愛剣を握り締めて睨む。


「そう怒るな。これ位の悪戯なら、可愛いものだろう」
「何処が可愛いんだ。貴様がどれだけ性質の悪い人間か、よく判った」
「だが、お前がいつもされている事と比べたら、軽いものだろう?」


────いつもされている事。
誰が、誰に。

問うまでもなく真っ先に浮かんだ顔に、レオンの顔に火が上る。
それを見た男が、一瞬驚いたように目を瞠った後、くつくつと笑い出した。


「其処まで入れ込んでいたとはな。少々驚いたが、面白い事になりそうだ」
「っ……おい!」


楽しそうに笑う声を微かに残して、男の姿は闇の影に溶けるように消える。
レオンの制止の声は、夜の色を宿し始めた空に虚しく響くだけだった。

再び一人になった外壁の上で、レオンは苦々しい表情を浮かべ、もう一度唇を手の甲で拭う。


(最悪だ)


気紛れに少年の言葉を思い出し、気紛れにこの場所に登った十数分前の自分を、レオンは後悔していた。
やはり気紛れなんてものは、碌なものを呼んで来ない。
いつもと違う行動は、滅多に取るものではないのだと、レオンは思った。




唇に残る感触を、妙に意識している自分がいた事には、気付かない振りをした。






7月8日なのでセフィレオ!

KH準拠のセフィレオは初めて書いたなあ。
そして、なんか知らんがセフィレオは不倫臭がする。
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[セフィスコ]一本木の向こう側

  • 2013/07/08 22:44
  • カテゴリー:FF


秩序の聖域から程近い場所に、小高い丘と、その上に一本の木が立っている。
見晴らしが良く、風通しも良いその木の下は、秩序の戦士達の束の間の休息場所として親しまれていた。
其処でのんびりと刀の手入れをしていたセフィロスの下に、秩序の賑やかし組二人がやって来たのは、五分前の事。

ふらりと行方を眩ませる仲間────スコールを探して、ジタンとバッツは聖域とその周辺を走り回っていた。
なんでも、今日はスコールと一緒にグルグ火山方面へ赴いて、素材集めをする予定だったのに、肝心のスコールの姿が見当たらないのだと言う。
折角三人で素材集め競争をしようと思っていたのに、と言うジタンとバッツに、セフィロスは無邪気なものだと小さく笑う。


「ちぇー。この間はスコールがぶっちぎりだったから、今度こそ勝とうと思ってたのに」
「不参加による不戦敗……にはしないんだな」
「それは前にやった事あるけど、ヒールクラッシュ食らったからもうやらない」


前科があったのか、とセフィロスはくつくつと笑う。
そんなセフィロスを挟んで、ジタンとバッツはきょろきょろと辺りを見回している。

此処に来るような気がしたんだけどなあ、とバッツが呟いて、見当たらない目当ての人物に、ジタンは宛が外れたと肩を竦めた。
これだけ探しても見付からないのなら、一人で探索に向かったのかも知れない。
またウォーリアと揉めるような事になっていないと良いけど、と言いながら、ジタンとバッツは丘を下っていった。

丘を降りた向こう、秩序の聖域と丘を隔てるように存在する森に二人の姿が消えて、セフィロスは手入れを終えた愛刀を手放し、


「行ったぞ」


振り返らずに言ったセフィロスの言葉の、数秒の後。
ザッ、と木の枝葉が音を慣らして、木の上から一人の少年が降りてきた────スコールである。


「……助かった」


スコールはジャケットや髪に絡まった葉を払い除けて、眉間に深い皺を寄せたままの表情で言った。
セフィロスはそれを見ないまま、気にするな、と言うようにひらりと左手を上げて見せる。

────此処に来ると思ったのに、と言うバッツの勘は当たっていた。
スコールが此処に来たのは、ジタンとバッツがやって来るほんの少し前の事。
何かから逃げるように丘を駆け上ってきたスコールを見た時、先客であったセフィロスは何事かと思ったのだが、「邪魔する」と言うごく短い断りをした後、セフィロスの反応を待たずに木に上った。
それから数分後、スコールを探しに来たジタンとバッツを見て、セフィロスは納得した。
スコールがこの丘に来たのは、ジタンとバッツによる素材収集合戦から逃げる為だったのだと。

画して無事にジタンとバッツから逃げ仰せたスコールは、ジタンとバッツが戻って行った方向をじっと見詰めていた。
向かえば秩序の聖域に戻れる方角だが、今行けばジタンとバッツに見つかるかも知れない。
何せ二人は非常に勘が良いので、理由もなく「ちょっと戻ってみよう」と言う提案をして引き返してくる可能性がある。


「あいつらに付き合う気がないのなら、もうしばらく此処にいた方が良いんじゃないか」


セフィロスの言葉に、スコールが視線を落として魔晄の瞳を見下ろした。
じっと睨むように見つめる蒼灰色を見返して、セフィロスは形の良い口許を緩め、


「たまには恋人同士、他愛のない語らいをするのも悪くはないと思うんだが、どうだ?」


薄く笑みを浮かべた男の言葉に、スコールはぱちり、と瞬きを一つ。
魔晄の瞳に映り混んだ少年の頬に、一気に朱色が上ったのはその直後だ。

真っ赤な顔ではくはくと無音の口を開閉させるスコールに、セフィロスはくつくつと笑う。
それを見たスコールの頬が、益々赤くなる。


「あんた…っ!からかってるのか!」
「いいや。可愛いなと思っただけだ」
「やっぱりからかってるだろう!」


常の落ち着き払った大人びた顔は何処へやら、噛み付かんばかりに声を荒げるスコールだが、セフィロスの表情は崩れない。
穏やかな笑みを浮かべたまま、じっと見詰めるセフィロスに、スコールは何か言おうとして、結局それ以上は何も音にならない。

怒りか、羞恥か、それとももっと別の何かか。
色々な感情をごちゃまぜにした表情で睨むスコールに、これは無理かもな、とセフィロスは思う。
滅多に訪れない二人きりの時間、のんびり共に過ごすのも良いだろうと思ったのだが、どうやら誘い方が悪かったらしい。
先日、同じような時間に恵まれた時、遠回しに誘った時には全く気付かれなかった為、今度は直接誘ってみようと思ったのだが────気難しい恋人の操縦方法は、そう簡単なものではないようだ。

さて、なんと言えば彼は応えてくれるのだろう、ともう一度考えていると、


「………」


じゃり、と土を踏む音して、セフィロスの視界に木漏れ日が差し込む。
その木洩れ日は、傍らに立っていた少年によって遮られていたものだった。

去って行く少年の姿は見えない。
当然だ、彼は立ち去る事なく、セフィロスが背にした木の裏側にいるのだから。
彼が其処に留まっている事は、隠さない気配が伝えてくれる。

これは予想外の事だったが、セフィロスにとっては嬉しい誤算だ。
気難しい恋人は、周囲に人の気配がなくとも、二人きりと言うだけで酷く緊張するらしく、“二人きり”である事を自覚した瞬間に逃げるように立ち去ってしまうのが常だった。
そんなスコールがこの場に留まってくれたと言う事は───ジタンやバッツに見付かりたくないと言う思いも少なからずあるのだろうが───、彼も少なからずセフィロスと二人で過ごす事を憎からず思ってくれていると言う事なのだろう。

しかし、セフィロスは思う。


「どうせなら、もう少し近付いてくれると良いんだが」
「……今も十分近いだろ」
「だが、この距離だと、私がお前に触れられない」


傍にいる事を赦してくれた事は嬉しいが、どうせなら触れ合いたい。
人前にいる時は、恥ずかしがって絶対に触れさせてくれないから、尚更。


「だからスコール、こっちに」
「誰が行くか!!」


ふざけるな、と幹の向こうから怒鳴られ、セフィロスはくつくつと笑う。
それが聞こえたのだろう、「笑うな!」と怒鳴られたが、セフィロスは笑う事を止めなかった。

一本木の向こうで、見た目よりもずっと幼い恋人は、果たしてどんな顔をしているのだろう。




腰を上げた英雄が、こっそりと幹の裏側を覗いて見れば、思った以上に赤くなった少年が蹲っていた。






7月8日と言う事で、セフィスコ!
英雄は恥ずかしい台詞をさらっと言って、スコールを真っ赤にさせてれば良い。
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[絆]未来への祈り

  • 2013/07/07 23:58
  • カテゴリー:FF
アルバイトを終えて家に帰ったレオンを出迎えたのは、エルオーネだった。
お帰りなさい、と微笑んで言った妹に、ただいま、といつもと変わらない帰宅の挨拶をする。

放課後とアルバイトの隙間の時間に一度帰宅し、作っておいた夕飯を、エルオーネは温めておいてくれていた。
彼女のお陰で、レオンは帰宅して直ぐに遅い夕飯を食べる事が出来る。
レオンがカフェバーに勤務している時間は、午後6時から10時まで────早めの夕飯や、ガーデン帰りの学生達が集まる時間なので、一番客入りが多い時間である。
アルバイトを初めてから既に1年が経つレオンだが、特に客入りが多い時となれば当然仕事の量も多くなる訳で、更にはガーデンで一日勉強をした直後に直ぐアルバイトが始まる為、レオンは到底休む暇がない。
エルオーネはそんな兄を労って、疲れた兄がのんびりと食事が出来るように、レオンが帰る時間に合わせて夕飯を温め直し、風呂も冷めた湯を温かいものに容れ直しておくのである。

リビングの窓辺のテーブルに落ち着いたレオンの前に、今日の夕飯に作ったシチューが運ばれて来る。
白いシチューの中には、大きく切ったジャガイモやブロッコリーの他に、星の形をした鮮やかなオレンジ色が浮かんでいる。
レオンはアルバイトに向かう前、小さな弟達と一緒にキッチンに立った事を思い出し、小さく笑みを漏らす。


「スコールとティーダは、ちゃんと人参は食べたか?」
「うん。やっぱり自分達で作ったものだと、いつもより美味しく感じるみたい。最初は変な顔しながら食べてたけどね」


くすくすと笑って言うエルオーネに、レオンもつられて喉を鳴らす。

今日の夕飯が星入りクリームシチューだと聞いた時、幼い弟達はきらきらと目を輝かせて喜んだ。
それから二人は、待ち遠しそうにキッチンで夕飯作りをしていたレオンとエルオーネをじっと見つめていたのだが、エルオーネが星形の型抜きを使っているのを見て、自分達もやりたいと言い出した。
包丁や火を使う訳ではないし、とレオンとエルオーネの見守りの下、弟達も夕飯作りに参加する事となり、二人は輪切りにした人参を交替しながら型抜きして行った。

人参嫌いのスコールとティーダだが、今日は中々美味しく感じられたと言う。
やはり、自分が手伝った、自分で作ったと言う意識があると、いつもと同じように見える夕飯でも、子供達にとっては特別なものになるらしい。
レオンは、俺もそんな頃があったかな、と花の匂いのする故郷の記憶を思い返す。


「星の形の他にも、色々やってみたいって言ってたんだけど、型抜きって他にも何かあるかな?」
「クッキー用の型抜きなら、ママ先生に貰った奴があったと思う。ケーキの焼き型と同じ所に入ってる筈だ」
「じゃあ、今度探してみよう。ティーダがね、ジャガイモとかお肉も型抜きしてみたいって言ってたんだけど、難しいよねえ」
「ジャガイモと肉か。確かに、人参よりも食べる楽しみは大きくなるだろうけど、出来上がった時に形が出来ていなかったら、がっかりするだろうな」


ちょっと難しいな、と言うレオンに、やっぱりね、とエルオーネは眉尻を下げて笑う。
自分達で好きな食べ物を好きな形にくり貫いて、美味しく食べたいと言うティーダの気持ちは判らなくもないが、食材の性質を考えると、簡単には叶えてやれそうにない。


「でも、美味しく食べられたって言う経験が出来たのは良い事だ。好き嫌いもなくせるかも知れないし」
「そうだね。二人ともお手伝い出来るって嬉しそうだったし、レオンも楽になるでしょ?」
「ああ。火とか刃物とかは、まだ危なっかしくて触らせられないけどな」
「まだ8歳だもんね」


でもピューラーくらいなら平気かな、と言うエルオーネに、ゆっくり慣らして行こうか、とレオンは言った。

話題の中心であるスコールとティーダは、9時には二人一緒に二階に上がって眠りに着いている。
ティーダはよく夜中まで起きていたがる(夜更かしが大人っぽい、と憧れているらしい)のだが、昼間を元気に過ごすティーダは、夜になると電池が切れたようにぱったりと眠る。
スコールはティーダよりも早寝で、8時頃にはうとうとと舟を漕ぎ始める。
アルバイトに行っているレオンが帰ってくるまで起きてる、とよく頑張っているそうだが、ティーダが寝落ちる頃にはスコールも寝落ちているのが常であった。

弟達が頑張って手伝った、星入りのシチュー。
食べている所を見てみたかったな、と思いつつ、レオンは星型の人参を口に入れた。


「どう?」
「美味しいよ」
「ふふ、良かった。明日、スコール達にも言ってあげてね」
「ああ」


明日の朝、美味しかったよ、と言ってやったら、幼い弟達はどんな風に喜んでくれるだろう。
それを思うだけで、レオンは口許が緩んでしまう。

レオンは何度かシチューを口に運んだ後、じっと自分を見詰めている妹に気付き、


「エルもそろそろ寝た方が良いんじゃないか。もう直ぐ11時だぞ」
「えっ、もう?」


目を丸くしたエルオーネが、テレビ横の置時計を見る。
あと数分で午後11時を迎える事に気付いて、いけない、とエルオーネは椅子を立った。


「もう寝なきゃ。レオン、朝ご飯の準備はできてるからね」
「ああ。おやすみ、エル」
「おやすみ────あっ、ちょっと待って。忘れる所だった」


二階に上がろうとしたエルオーネが、くるりと踵を戻す。
エルオーネはレオンのいるテーブルに戻ると、窓辺に立て掛けられた写真立てに手を伸ばす。
其処には、鮮やかな色をした四枚の細長い紙が置かれている。

紙は画用紙に使われているような少し厚目のもので、きらきらと金箔が散らばらせてあり、シンプルながら華やかだ。
上辺にはメッシュ生地のリボンが結びつけられており、可愛らしい印象になっている。

エルオーネは一番端の赤色の紙を取って、レオンの前に置いた。


「これは……短冊か?」
「うん」


今日は7月6日────七夕の前日だ。
レオンが夕飯を星入りのシチューにしたのも、それが理由だった。
そんな日にリボンを結んだ細長い紙と言ったら、短冊を連想するのは当然だろう。


「今日、ガーデンのエレベーターホールに笹が飾ってあったの、見た?」
「ああ」
「それでね。明日、初等部の一年生と二年生が笹に飾り付けをするんだって。その時、皆の短冊も一緒に吊るすの。その短冊にお願いを書いてくるのが、今日のスコール達の宿題だったんだって」


エルオーネは窓辺に並べられていた二枚の紙を取って、レオンに見せる。
水色に青のクレヨンで書かれたのがスコールの短冊、黄色に一文字ずつ違う色のクレヨンで書かれているのがティーダの短冊だ。
二人の短冊にはそれぞれ絵も描いてあり、猫や犬、ひよこと言ったものが描かれており、微笑ましさを誘う。

見慣れた弟達の字が書かれた二枚の短冊を見て、レオンはくすりと小さく笑う。
それから写真立ての横に置かれているピンク色の短冊を手に取り、


「じゃあ、エルのはこれか」
「あっ、ちょっ、見ちゃダメ!」


用心深く裏返しにされていた短冊を引っくり返すと、女の子らしい丸みのある字が書かれている。
クレヨンではなくマジックペンが使われており、紙の隅には四日前にエルオーネが購買で買ったチョコボのシールが貼られている。


「もう、見ちゃダメだってば!」
「良いじゃないか、減るものでもないし」
「恥ずかしいの!」


エルオーネは真っ赤になって、レオンの手から短冊を奪い取った。
うーっと威嚇する猫のように唸りながら睨む妹に、レオンは悪かったよ、と両手を上げる。

昔は何でも見せてきてくれてたのにな────と、兄と言うよりも父親に近いような気分に浸るレオンに、エルオーネは顔を赤くしたまま説明を再開させる。


「それで、えーっと……本当はね、短冊を飾るのって初等部の一年生と二年生だけでしょ?」
「ああ。確かそうだったな。まあ、中等部や高等部にもなると、あまりそういう行事に感ける事もなくなるし」
「うん。なんだけど、スコールとティーダが先生にお願いして、私とレオンの分の短冊も貰って来たの。私達のお願いも、スコールとティーダが一緒に吊るしてくれるんだって」


だから、ちゃんとお願い、書いておいてね。
エルオーネは楽しそうにそう言って、「おやすみ」と今度こそ二階の寝室へと上がっていった。
自分のお願いを書いた短冊を、しっかり胸に抱いて。

一人になったリビングで、レオンはテーブルに並べられた三枚の短冊を見た。
水色と黄色の短冊には、小さな弟達の子供らしい願い事が書かれている。
レオンは水色の短冊を手に取って、記された字の形をゆっくりと眺めるように目でなぞった。


(誰に似たんだろうな)


くすりと笑うレオンの脳裏に、いつかの自分自身の幼い記憶が蘇る。

其処には父がいて、母がいて、まだ生まれたばかりの妹がいて、そんな妹の両親もいて、自分は今の弟達よりもまだ幼かった。
今日は七夕なんだぞ、と言って何処からか調達して来た笹を飾り、お願いを書くんだぞ、と言って短冊を渡した父。
それから父は、まだ字も知らないような妹にも短冊を渡し、まだ無理だよ言う妹の両親に「折角だからさ!」と言った。
当然、妹はお願いどころか文字すら描けず、絵も描けなかったので、彼女の両親が代わりに「元気に大きくなりますように」と書いていたのをレオンは覚えている。
そしてあの時、自分が何を願ったのか、レオンは朧気ながら覚えていた。

レオンはむず痒い気持ちを感じながら、黄色の短冊に視線を移した。
短冊のお願いは、黄色の紙に白や黄色のクレヨンで書かれた所為で少し見辛くなっているが、読めない程ではない。
其処に書かれた願い事を読んで、レオンは思う。


(やっぱり、似るものなのかな。こう言うのは)


水色と黄色の短冊を並べ、レオンは空になった皿を退かせて、白紙の赤い短冊を手元に寄せた。

隣の椅子に置いていた鞄の口を開け、筆記用具を取り出す。
ボールペンのインクの具合を確認し、きちんと書ける事を確認した後で、さて何を書こう────としばし考え、ふわりと脳裏に浮かんだ言葉に、思わず苦笑が盛れる。


(……うん。やっぱり、似るんだろうな)


二度目のなんとも言えない、けれども決して嫌なものではないむず痒さを感じながら、レオンは赤の短冊にボールペンを乗せた。

書き終えた短冊を、弟達のものと並べる。
クレヨンで絵と一緒に書かれた弟達の短冊に比べ、レオンのそれは黒のボールペンでシンプルに願い事だけが書かれていて、少し素っ気なく見える。
エルオーネの短冊も、色ペンにシールが貼られて可愛らしいものになっていた。
少しは何か工夫をした方が良いかな、と思ったが、明日にはこの短冊はガーデンのエレベーターホールに飾られるのだ。
ガーデンのエレベーターホールと言えば、教室と各施設を移動する時に必ず通る場所だから、ひょっとしたら友人達に見つかってしまう可能性もある────と言うより、確実にレオンの短冊を探そうとする友人達の姿が想像できてしまった。

やっぱりこのままにして置こう、と、可愛らしい弟達の横に、シンプルな自分のそれを並べる。
此処に置いておけば、スコールとティーダも朝食の時に気付く筈だから、忘れる事もないだろう。

空になったシチュー皿を持って、レオンは席を立った。
キッチンで手早く食器を洗い流し、リビングの電気を消してから、二階の自室へと上がる。



リビングの窓から差し込む月明かりに、三枚の短冊が照らし出されている。
子供達の寝室でも、同じ月の光が一枚の短冊を照らしていた。

それらには、それぞれ、こう書かれている。




『らいおんさんになりたい。』
『ボールがじょうずになりますように!』

『スコールとティーダが元気で育ちますように。
レオンが無理をしませんように。』

『家内安全、無病息災。』


────ずっと昔、同じ言葉を短冊に綴った子供と、大人がいた。
その出来事を知る唯一の少年は、あの日の祈りが受け継がれて行くような気がして、来年も同じように願い事が出来れば良いな、と思った。





七夕と言うことで、皆で短冊書きました。

スコールのライオン好きはレオン譲り。
ティーダはやっぱり父親の影響が少なからず。
エルのお願いは、昔はレインが書きました。
レオンのお願いも、昔はラグナが書きました(確実に何か間違えていると思うけど)。

レオンは妹が思春期にさしかかってちょっと寂しいようです。最早父親の感覚。
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