アマゾネス2−1


 絶海の孤島ステージをひっそりとさまよう。ここに出てくる敵、アマゾネスたちに見つかったら最後、いきなり集団で襲われ、有無を言わさず射精させられるという恐ろしいステージである。ここでは逃げるが勝ち、捕まる前に脱出方法を見つけ出す勝負となっている。

 ただ、この比較的小さな島で、何百人もいる屈強なアマゾネスたちに、一切見つからないように逃げ切ることなど、実質不可能だ。これまでも何度か見つかっている。だが、機転を利かせて、また運がよく、ここまで集団に捕まることなく逃げおおせてきたのだった。

 それに、アマゾネスたちは、実はそれほど強くはない。もちろん攻撃力はずば抜けているし、男の力など軽くひねり潰せる女丈夫たちであることに変わりはない。しかし、ずっと女だけで暮らしてきたためか、男にたいする耐性がなく、つまりは防御力がゼロに近いのだ。体力があるために精力値もそれなりにあるのだが、僕の攻撃に大ダメージを受けてしまい、比較的簡単に倒れてしまうのである。

 したがって、捕まって身動きが取れない状態で、アマゾネスたちの攻撃力を存分に発揮できる状況にならないかぎり、普通に戦えば僕が圧勝するということである。逆にマウントポジションに持ち込まれ、集団逆レイプの状態になると、いくら敵が弱くても数に任せて集中攻撃してくるため、まず射精せずに脱出というのは不可能となる。そこが駆け引きなんだ。

 とにかく見つからないようにすることが大前提。見つかったら逃げ、少人数の場合だけすぐさま倒してその場を立ち去る。これに尽きるな。

 というわけで、いま僕は深い密林に身を潜めながら、島の中心部をめざしてさまよっている。森の中なら身を隠しやすいしね。できるだけ物音を立てないようにして、先を急ぐことにしよう。

 がさがさっ! 「!!」僕が立てた物音じゃない。近くに誰かいる!?

 「あっ!」「あっ!」僕の目の前にアマゾネスがあらわれた。お互いに敵の存在を知らなかったらしく、同時に声を上げてしまった。

 栗色のロングヘアのアマゾネスは一人だった。山菜でも探していたのだろうか、特に僕を探すよう特命を受けたという感じはない。海岸で僕を取り逃がして以来、全員で血眼になって僕を探すという感じではなくなっている。もはや島から逃げられない以上は、いずれ見つかるだろうというのんきな気構えで、それぞれのポジションに戻っているみたいだった。しかしじっさい、僕は袋のねずみで、何度か見つかっているのだが。

 アマゾネスはわなわなと震えている。突然戦闘に巻き込まれたという感じだ。敵は一人、か。ここでの判断は慎重を要する。一人だからと舐めてかかると大声を出され、仲間を呼ばれてしまう場合がある。かといって逃げても仲間は呼ばれるけど、この一人を倒すのに時間を取ってしまって囲まれてしまう危険も考えないと。いきなり逃げた方が時間的な余裕ができる。とはいうものの、やはり一人相手で、しかも弱いのだから、大声を出される前にさっさと倒してしまえば、より安全に先に進むことができるのも否定できない。…意外に逃げゲーは難しい。

 するとアマゾネスは、ユニフォームであるビキニアーマーを脱ぎ始めた。装飾を取り、ブラを取ってから顔を赤らめて胸を隠した。そしてこっちをじろっと睨みつけた。

 「べっ、べつにあんたに見せたくて脱いでるんじゃないんだからねっ! ジロジロ見ないでよ!」そういいながらアマゾネスは下も取って全裸になった。「なっ、なによ、そんな顔したって…あんたを喜ばせるためじゃないんだからっ! 近づかないで!」左手で胸を、右手で下を隠しながら真っ赤になって怒っている。なんか僕のためじゃないらしい。

 「…だったら脱がなきゃいいだろ。どっか行けよ。」「はうあっっ…!」

 や、やばい…おこらせた…よなあ…。つい売り言葉になんとやらで口を突いて出ちゃったけど…絶対仲間とか呼びそうな雰囲気だ。まずい…

 「う…うぅ…あんまりよ…」「…え?」「うわああああぁぁぁぁん!! お姉ちゃんに言いつけてやるー! ≡(つД`)」

 「あ…にげた…」アマゾネスは全裸で泣きながら逃げていった。なんだったんだ今のは。まぁいい、先を急ごう。

 しばらく歩くと、後方からがさがさと物音が聞こえる。僕はとっさに身を岩陰に隠してあたりをうかがった。

 10人以上のアマゾネスが草の根を掻き分けながらこっちに歩いてきている。くっそ、さっきの奴が仲間に知らせたのか。僕が隠れていそうなところ、木の影や背の高い草の間を丹念に掻き分けながら、こっちに迫ってきていた。まずいな、このままだともうすぐ見つかるぞ。全力で逃げても追い付かれるだろうし、そーっと逃げようとしても物音を立ててしまいそうだ。かなりピンチだな。どうしよう。

 「みつけたー!」「!!」真上から女の声が響き渡る。見上げると、高い木の枝からアマゾネスがこっちを見下ろしている。しまった、上からも探してやがったのか。あっさり見つかっちまったぞ。

 アマゾネスたちがこぞってこっちに歩いてくる。僕はとっさに全力疾走で逃げ出した。周囲ではがさがさと草の上を走る足音が方々からこだましている。

 「そこまでよ!」「げっ…」いつの間にか先回りしていたアマゾネスたち。脚力では僕などのろまな亀にも等しい差がある。あっという間に追いつかれ、地理にも詳しいアマゾネスたちに先回りされてしまっていたのだ。もちろん後方からも女たちが押し寄せてくる。戦慄が走った。

 アマゾネスたちは何十人という数ではないものの、もはや人の間を突破して逃げるのは不可能な人数だったし、仮に逃げてもすぐに追いつかれてしまう。もちろん全員を倒す自信はないし、戦っているうちにどんどん仲間が押し寄せてくるのは火を見るよりも明らかだった。まずい、絶体絶命だ…

 「お、お姉ちゃん! コイツです! 間違いないです!」「…分かってるわ。この島で男はこいつ一人。犯人もこいつしかいない。」泣きべそをかきながら、さっきの栗色のアマゾネスが僕を指差している。その隣で腕組みをしている妖艶な美女アマゾネスが僕をきつい目で睨みつけていた。

 「よくもかわいい妹を侮辱したわね。たっぷりお仕置きをさせてもらうわ。」「くっ…」「私たち『萌え三姉妹』にケンカを売ったことを永遠に後悔させてあげる。」「もえさんしまい〜!?」「そう! 萌え三姉妹長女、姉属性の麻里亜とは私のことよ! そしてアンタが泣かせた次女、ツンデレ属性のナルミが隣。あと、ここにはいないけど、萌え三姉妹の末っ子、妹属性のつぐみがいるわ。彼女は今養成学校でアマゾネスの修行中よ。」「…。」

 その周囲にいるのは従者のような感じなのだろう。けっこう強力なアマゾネスなのは間違いないが…萌え三姉妹ねえ。「あのさぁ、姉と妹はまぁ分かるけどさ、ツンデレて…」「何よ。べ、別にあんたを気持ちよくしたくて襲ってるんじゃないんだからね。」「どっか行けよ。」「うぐっ…」「おのれキサマ、またしても!」

 「…だからさ、ツンデレってのは、主人公の男がその女(ヒロインとか)のことを好きな場合だけ、効果があるんだよ。好きな人が普段ツンツンしてて、ストーリーが進む中であるきっかけで2人きり、そこでデレデレな展開になるのが萌えなんだろ。赤の他人に初対面でいきなり言われてもなァ…」「おのれー!」アマゾネスたちは怒り心頭だ。でも僕は素直じゃないのってあんまり好きくないんだけどね。例えば妻となっても普段ツンツンだったらって考えたらねえ。いくらデレデレモードがあっても長年一緒に暮らしてて大半がツンツンモードだと…ツンデレストーリーだって、ヒロインとめでたくゴールインした後の長い時間は苦痛になるかも…そんなことを考えるのはトシなのかなあ…

 「そんなに侮辱するなら、今ここでナルミの魅力をたっぷりその体に叩き込んでやる。覚悟しなさい!」麻里亜が合図するとアマゾネスたちは円陣を組み、いよいよ僕が逃げられないよう間合いをはかってきた。ツンデレどころじゃない、かなりのピンチなことに変わりはないんだ。この状況をどうやって打破すればいいだろう。多分いまさら謝っても絶対許してくれそうにないし。ここは頭を使わないと逃れられないぞ。どうしよう…
 


―選択肢―
アマゾネス2−2 とりあえず謝る
アマゾネス2−3 煙幕で逃げる
アマゾネス2−4 枝を伝って上から逃げる
アマゾネス2−5 強行突破あるのみ!


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