TOP  1  2  3  4  5
※赤い文字色のページには性描写があります


 

 風薙が一歩進むと未だ立ち上がれぬ暮羽がその歩幅の分、尻をずらして後ずさる。そんなぬるくて不毛な追いかけっこが数歩分ほど行われた後、風薙が小さく溜め息を吐いた。
「うーん、どうしましょう」
「な、何がだよ……」
 今の非常識な状況とは場違い過ぎる呑気な声に緊張した掠れ声で対応する暮羽に、風薙はニコッと浮かべたあどけない笑顔を時代遅れのアイドルのように可愛らしく横に傾けた。
「一回イッたけど何だか全く収まりそうにないんです。暮羽さん、命令を追加します。ヤらせてください♪」
「!!」
 命令を理解した瞬間には反射的に立ち上がり、まろぶように部屋を飛び出そうとする暮羽だったが、風薙も相手がそう反応する事は充分予想出来ていたので、逃げようとする先輩の背後から襟を猫のように掴み、そのまま流れるようにサイドスローフォームで軽々と投げ飛ばすと、パイプ椅子と派手にぶつかる結構な音と共に壁に頭を強かに打った暮羽の身体がずるずると壁を伝いながら倒れこみ、その口からは低い呻き声が聞こえた。
「う、ぐッ……てめェ!」
 痛む場所を数秒押さえた後に出血がないかその手の平を見る(幸い血は付いていなかった)暮羽に幽鬼のような風薙がゆらりと近付く。その無感情な瞳に背筋が凍った時には風薙の諸手が座り込んだままの暮羽の両手首を掴み、後頭部と背中を壁に押し付け、顔を舐めるように見詰め、そのまま膝を折ると端正な顔をゆっくりと暮羽に接近させて来た。
「んッ!」
 唇が触れ合う感触に思わず目を固く閉じる暮羽の口を風薙の口唇が啄ばみ、舌で形をなぞり、何とか隙間から侵入しようと試みる。必死で口を真一文字に結んで抗う暮羽だったが、風薙のしつこい進撃の前にやがて陥落し、柔らかで温かい舌がぬるぬると口の中に攻め込んで来た。
「んぅ、う……はぁ、ぁ……」
 堅く閉じられていた口は内部からの執拗な攻めによって開かれていき、新たな唾液が暮羽の口角から流れ落ちた。半開きの口の中を風薙の舌が愛撫し、暮羽の口内に残る不快な汁を舐め取らんばかりに丹念に巡っていき、その刺激は不思議と暮羽の頭を熱く痺れさせていくが、その少しボンヤリしかけている眼の尻からは一筋の涙が零れ落ちた。何故なら、この口付けは―――
「ッ!!」
 放心しかけていた暮羽を我に返らせたのはカチャカチャと言う自分のユニフォームのベルトのバックルを弄る音。ハッと気が付き、理性を取り戻した眼で音の発生場所を見た時には既にベルトは外されており、息を呑んだ時には下着もろとも剥ぎ取られ、暮羽の足元に放り投げられていた。
「ば、馬鹿ッ! 何しやがる!!」
 何時の間にか解放されていた両手でまずは相手を突き飛ばさねば、などと考えている間にまたしても両手首は風薙の諸手の中に収まって壁に強く当てられた。苦痛と恥辱で歪む暮羽の顔を見てフフッと笑った後に風薙は顎を落として露わにされた暮羽の漆黒の玉藻と男茎をねっとりと直視した。
「み、み、見ンな! ジロジロ見ンじゃねェ!!」
 ベソの混じった暮羽の癇声を小気味よく聞きながら、風薙は口の端から暮羽の唾液で湿った赤い舌先をチロリと小さく出して笑んだ。何か反応がいちいち大袈裟で初々しいんだよなぁ。もしかして。
「暮羽さん、もしかして初めてですか?」
「あ、当たり前ェだろ!? や、や、野郎同士で、こンな……」
「男同士だけですか? 女の子ともセックスした事ないんじゃないですか?」
 風薙の底意地の悪い質問に暮羽はいかにも動揺した様子で濡れた唇を小さく開き揺らしたが、やがて視線を明後日の方向へ向けてぽつんと呟いた。
「悪ィかよ」
「へぇー」
 無関心そうに返すも、心の中にいるミニサイズ風薙はうつ伏せの腹を庇うように抱えて笑い転げ、地面をバンバンと叩いていた。童貞! 暮羽さん、童貞だったんだ! でも、まぁ、何となく分かるかも。パッと見、サッサと女の子食いそうだけど、そう言う事には案外真面目と言うか堅実派っぽいし。それに、却ってその方がこっちとしては非常に朗報な訳で。
「その様子じゃキスも初めてだったんでしょうね」
 暮羽の告白によって湧き上がって来た興奮に躍る胸を抑えながら風薙は微笑み、目を逸らしたまま口付けについても否定をしない(だから、さっきキスされている時に涙を流したのかと風薙は思った)暮羽のやや俯いた横面に向かって嬉しそうに言った。
「じゃあ、俺は暮羽さんのファーストキスを貰った訳ですね。そして、これからとっても大事な初めても貰える訳ですね」
 言うや否や風薙の両手は暮羽の手首から両膝へと移動して、何の躊躇いもなく大きく開け放つと幾度目かの悲鳴が頭上から聞こえた。
「ふざけンなてめェ!! 好い加減にしろ!! やめろ!! やめろッつってンだろ!!」
 自由になった暮羽の手が暴れ、風薙の青毛を掴み、何とか突き飛ばそうとするが、何故か相手は床に太い根が張っているかのように微動だにしない。相手の謎の超人的な力と言う物がまた発揮されているのか、自分自身から力が抜けて来ているのか全く分からずに混乱する暮羽に構わず、風薙は暮羽本人も見た事がないであろう秘所をしげしげと眺めて熱い嘆息をうっとりと漏らした。
「へぇ。これが暮羽さんのお尻の穴ですか。凄く締まってて何かやらしい……」
「み、見ンな! 見ンなって!! 見るなああああ!!!」
 首を激しく振って涙の粒を撒き散らし、真っ赤な顔を覆って叫ぶ暮羽の姿は皮肉にも風薙の嗜虐心を煽り、やや落ち着いていた分身がみるみる雄の逞しさを取り戻した。熱を帯びて脈打つ愛息を軽く扱いて慰めてやる風薙の瞳が少しずつ濁っていく。もう駄目。我慢出来ない。突っ込まないと。この人、犯さないと。
「ひッ……!!」
 限界まで開いた暮羽の両足の間に自分の腰を近付け、蜜が漏れ出る先端をお目当ての蕾に触れさせると甲高く息を呑む声が響いた。何気なく声の方へと目をやると、彼は幼い迷子のようにスンスンと鼻を啜り、悲哀に満ちた震え声を搾り出した。
「なァ、何でだよ……何でなンだよ……俺、てめェに何かしたか?」
「……」
 涙も拭わぬ相手の顔を見るその表情は冷たくて。そっと開いた唇から出てきた声と言葉はもっと冷たくて。
「いえ、別に? ただ、何となく、です。貴方みたいな人を屈服させたら面白いだろうなーって本っ当に何となく思っただけです。相手の尊厳と言う物を踏み躙り、屈服させるなら、こうしてレイプするのが一番手っ取り早いでしょ?」
「て、てめェ、狂ってンのか……!!」
 思わぬ答えに、湿り気を帯びた赤眼を見開き、直後に整った眉を引き攣らせて睨んで来る暮羽だったが、睨まれた方はさして表情を変えずに軽く鼻で笑って見せた。
「俺が狂っていると思うなら勝手にどうぞ。その狂っている男に貴方は今から処女ケツ掘られて犯されるんですよ?」
 それ以上の問答は無用と言わんばかりに風薙の下半身が前進し、相手の処女を貫こうとする。貫こうと……
 硬い。
 風薙は滅多にしない舌打ちをした。歯を食い縛って力入れてるんじゃねぇよ全く。

「暮羽さん、力抜いてくれないと入らないんですけどー?」
 軋む音が聞こえそうな程に歯噛みしている相手に露骨な非難の声を浴びせつつも、右手は床の方へと伸びていく。長い指が触れたのは、さっき暮羽が派手に吐き出した白濁混じりの大量の唾液の溜まり。数本の指で掻き混ぜ、掬い取り、雫が一滴も零れぬ内に硬い其処に乱暴に塗りたくり、そして、そのまま無遠慮に最も長い指のみを突き入れていくと、熱い肉が侵入者を食い千切らんばかりに第一関節辺りに噛み付いて来た。
「い、ぃあ…ッ!!ぃぎぃい……!!ふ、うっ、ふっ、ふうう、ふううぅ!!」
 食い縛ったままの暮羽の口が一度開かれたが、次の瞬間には新たな生命を産み落とすかのように、再度顔が真っ赤になるほど歯を擦り合わせて目を閉じて、鼻で激しい息を乱す。強い力を込められた事によって風薙の指と言う名の異物は敢えなく排除され、暮羽の強固な肉門から弾かれるようにチュポンと間抜けな音と共に押し出されてしまった。
 体液に濡れた己の指を風薙は冷めた目で見据え、その氷の眼を自分の指を排除した関門へと向けると、指による刺激が少しは効果があったのか、慎ましい蕾は酷い顰めっ面で荒い呼吸を繰り返す暮羽の上下する肩に合わせてヒクヒクと微かな鼓動を始めていた。風薙は淫色が増してきている穴を暫し眺め、滑る自分の指を見遣り、さっきから相手への内部突入をひたすら求め続けて筋を浮かべる肉杭にそのまま視線を落として、フッと軽い溜息が混じった笑みを零した。
 頑強な門は強力な破城槌で突破せねばなるまい。
 そう心の中で呟いた風薙が、一度大きく息を吐いて呼吸を整えつつ姿勢を正し、改めて持ち直した肉槌の先端を相手の硬い門に軽く当てた時、暮羽は閉じっ放しだった眼をカッと開いて堰を切ったように叫びだした。
「む、無理! ぜってェ無理だって!! なァ、もうやめてくれ!! もう許してくれ!! 本当に、誰にも言わねェし、俺も、今日の事は忘れる!! だから……!」
「忘れなくても良いですよ。寧ろ覚えていて欲しいですね」
 何とか最後の抵抗を試みる暮羽のもがく手足を適当にあしらいながら、瞳の闇と濁りを強くした風薙は言い、
「今日は暮羽さんの処女が俺によって奪われる記念すべき日だって」
 潤滑油(と呼ぶには思ったよりも効果がなかった)代わりの体液に手伝って貰いつつ全ての力を身体の中心に注ぎ、一気に腰を突き入れた。