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※赤い文字色のページには性描写があります


 

「はー、楽しかった♪」
 ガックリと頭を垂れたままピクリとも動かぬ暮羽から身体を離して解放すると、少し前まで引き締まっていた蕾は強制的に花開かされた事でポッカリと無惨に拡がる穴と化しており、一呼吸の後に、血混じりの白濁が浮かび出てトロトロと床に流れ落ちて行く。それは、二人にとってまごう事なき隷属の証であった。
 風薙が手近な戸棚から引っ張り出した白色の柔らかなタオルで血と体液で汚れた肉幹を拭い、ユニフォームを整えている間も暮羽は全く動かなかった。動きたくなかった。何も考えたくなかった。自分の身に起きた事を認めたくなかった。風薙が小馬鹿にしたような視線で見下ろして来ているのを感じるが、反応したくない。もう、この男とは金輪際関わりたくな……
「……?」
 ふと、風薙の物とは違う視線を感じた。人の視線とは違う。だが、何かが自分を見詰めている。何が? 誰が、俺を見ている? 何だ? この、嫌な感じは。感覚に促されるままにやたらと重たい頭を無理矢理上げる。
「!!」
 眼は瞬きを忘れ、口は呼吸を忘れた。自分を見詰めていた謎の無感情な視線の正体。それは。
「あ、気付いちゃいました? シャッター音消すアプリ使ったんだけどなー」
 両手に持ったスマートフォン越しに風薙が無邪気に笑う。そうしている間も彼の指は動いている。自分の醜態が彼の携帯電話に収められている。
「て、てめェ!! 何をッ!!」
 反射的に立ち上がり、彼の手の中にある携帯電話を奪い取ろうとするが、長い間同じ姿勢で固定されていた両脚は痺れて痛み、暮羽本人の意思を裏切ってたたらを踏んだ。
「おっと、危ない」
 風薙は、ふらつきながらも掴み掛かって来る男からヒラリと身をかわし、少し不安定な体勢で自分の前を横切った彼の背中に向かって、顔を崩したまま蹴りを思い切り入れてやった。またしても壁と暮羽の身体が嫌な音を立てて激突し、彼は苦しげな声を上げて膝をつく。
「くッ……てめェ、ぜってェ殺す……!!」
「おー、怖い怖い! 物騒ですねー。夜道を歩く時は気をつけなくちゃ」
  仰々しくブルブルッと身震いしつつも頬は緩めている風薙の視線は手元のスマートフォンに注がれていて、人差し指が滑らかに動いていた。もう一度、組み掛かってやろうかと静かに攻撃態勢を作って隙を窺う暮羽を時折横目で見ながら、風薙はポンポンッと画面を指の腹で軽く叩いて向き直った。
「ねぇ、暮羽さん。貴方のこの写真、何処にバラ撒いて欲しいですか?」
「なッ……!!」
 身体が強張り、攻撃態勢は瞬く間に解除されて床に両手の平と両膝が無意識に貼り付いた。瞠目する暮羽の瞳に映るのは、突き出された液晶画面の中で蛙のように大股を開いて項垂れている自分。下半身をむき出しにし、通常よりも拡がりを見せている後穴から他人の精液を垂れ流すと言うこの上ない痴態を晒している自分。
「うーん、プロ球団? マスコミ? あ、ネット掲示板も面白いかなー。“【ヤバ過ぎ】壱琉大学野球部の現役エース・Kがガチの中出しホモセックスwwwww【モザイクなし】”みたいなタイトルで投稿しましょうか」
「や、やめッ、やめろ、そンな……」
 血の気の全くない顔で声を震わせる暮羽の脳裏に唐突に蘇ってきたのは、以前聞いたある野球選手の悲劇。
 確か、こんな感じの話だった気がする。
 かつて、ある大学の野球部に卒業後はプロ野球選手確定とまで言われた天才ピッチャーがいたが、男と性を交わしているビデオの存在が露呈し、彼はドラフト指名される事はなかった。最終的にその投手は紆余曲折を経て、何とかプロ野球選手にはなれたが、そうなるまでに余りにも長い年月を費やしてしまった―――。
 ……もし、自分のあの写真が、世間に公表されたら。
 全てのプロ球団に写真を送られたら? きっと今まで自分を真剣な眼差しで追っていた全てのスカウトが手の平を反してそっぽを向くだろう。
 マスコミに写真が行ったら? スキャンダルが大好物の彼らは“堕ちた元甲子園のスター!”みたいな盛りに盛って盛り過ぎて虚実がごちゃ混ぜになっている記事を書き、己の飯の種にするだろう。
 インターネットの世界に投稿されたら? 消しても消されても誰かによってまた投稿されて拡散されて晒されて、自分はいつまでも世間の笑い者になるのだろう。もしかしたら、自分だけでなく母の情報までもが悪趣味な暇人によって特定されて、彼女を巻き込んでしまうかもしれない。
 何にせよ、これだけは分かっている。あの写真を風薙が世間に公表した時、自分はまず間違いなくプロ野球選手への道を断たれてしまう。プロへの道を断たれたら、自分は病を抱える母を救えない。自分を女手一つで育ててくれた母を。
「で、どうします?」
 次々と押し寄せる悲観の波に呑まれ、溺れかける暮羽を風薙の飄然とした声が引き上げる。その声にハッと我に返って風薙を見ると、彼は笑みを絶やさぬまま、手の中の携帯電話を見せびらかすように振っていた。あれを奪い取ってデータを破壊すれば何とかならないだろうか。そう考える暮羽の心を読んだかのように風薙は、あぁそうそう、とサラリと切り出した。
「貴方の写真はもう俺の家のパソコンに転送しましたから、このスマホを奪って壊しても無駄ですよ。まぁ、そんな事したらすぐに写真をあっちこっちにばら撒きますけどね」
「ンな事したら、俺はともかく、てめェもまずいンじゃね? ウチの野球部全体が連帯責任みたいな物を取らされるンじゃねェか?」
  それは、相手の暴露意欲を少しでも削ぐ為の咄嗟に浮かんだ牽制であったが、相手は“何を言っているんだコイツ”と眉の動きで呟いた後に肩をすくめた。
「まぁ、ちょっと面倒臭い事にはなるでしょうね。でも、与えられるペナルティと言ってもせいぜい一年間対外試合禁止とかそう言うレベルでじゃないですか? ぶっちゃけ、まだ一年の俺にはそうダメージ大きくないんですよね」
「……」
「そう言う訳で、暮羽さん。どうします? この写真」
 改めて問う風薙の楽しそうに細められた眼を暮羽は一頻り憎々しげに睨み付けていたが、やがて、その瞳からすっと力が抜け、黒目を下に落として小さく呟いた。
「どうすれば、それを大っぴらにしねェんだ? 俺は、てめェにどうすりゃ良いンだ」
 ついに彼から引っ張り出す事に成功した従属宣言とも取れる発言に風薙はニタリと顔を歪め、心の中で拳をグッと握って勝利のポーズをとった。スマートフォンをユニフォームの尻ポケットに突っ込みむと、風薙は身体を捻って暮羽の顔を覗き込み、屈託のない笑顔そのままの声で言う。
「簡単な事ですよ。今まで通り、上位ランカーの俺の命令に素直に従ってください。ただ、それだけです」
 語尾の辺りにフフッと嬉しそうな一笑を添えて風薙が暮羽の肩を新入社員を労う上司の如くポンポンと優しく叩き、そのまま大きく伸びをした。
「さて、ぼちぼち帰りますか。あ、下位ランカーの暮羽さん、後片付けお願いしますね。そろそろ練習終わらせて上がってくる人も出て来るかも知れませんから、早めに済ませた方が良いと思いますよ」
「……」
  ただただ無反応の相手に少し不満げに鼻から息を漏らす風薙だったが、数回の瞬きの間に気を取り直し、再度暮羽の肩に手を添え上機嫌の薔薇色に染まった唇を横顔に寄せて囁いた。
「また、今日みたいなマッサージをフルコースでお願いしますね♪」
「ッ!!」
  肩の上の手が跳ねるほどにびくつき、思わず強張った青い顔を向ける暮羽に流し目と崩した相好を返してやりながら、風薙豹は軽やかに出入り口の施錠を解いて鼻歌交じりで部屋を後にする。
 ドアが閉まる音を最後に無音の世界となった広いマッサージルームには、四肢を付いた体勢のまま床に縫い付けられたかのように微動だにせず、白いフローリングに散っている赤い水玉を空っぽの瞳で見詰める暮羽鋭次だけが残った。

 シャワーで汗と汚れを洗い流して、心身共にサッパリした風薙が戻って来た夕間暮れのロッカールームには誰もいなかった。既に規定の練習時間は過ぎているのだが、部員達は各自居残って自主トレーニングに励んでいるのだろう。その証拠に最初に暮羽にマッサージを頼みに向かった時と全く声量が変わらぬ、勢いの良い声々が此処まで聞こえて来る。
 ロッカー内に積み上げられた差し入れの山の中から明るい赤色の包装が目立つ飴玉を取り出して口に放り込み、苺らしき香りがする球体を舌の上で転がして遊びながら、風薙はあの携帯電話を手に取って液晶画面に指を滑らせた。
「ふふっ」
 自然と込み上げる黒い笑いを噛み締める彼の薄暗い瞳に映っているのは、男を求めるように足を開いた暮羽鋭次の何とも卑猥な事後写真。指を動かし、自分の愛息を深々と咥えていた箇所を拡大させると、何度見ても身体の中心部を熱く刺激してくる淫靡な肉穴が目に入り、零れ出ている己の種と相手の血が混ざり合った桃色が続き、隷従の懲証として刻み込んだそれを二人の愛の結晶だと我ながら不可思議な錯覚をしてしまい、同時に、これほどまでに美しいピンクは見た事がないと言う狂気含みの恍惚が風薙の心を同じ色に染めていく。
 今まで、端整な顔と高い社交能力とこまめな気遣いで頭と尻の軽い女を引っ掛けて、幾度も幾人も抱いて来たし、その際はしっかりと性欲処理をさせて頂いた。
 だが、此度の相手は何かが違った。彼との結合に強い快楽を得た。彼の喘ぎに激しく興奮した。彼の泣き叫ぶ顔にこの上ない優越感を覚えた。
 彼の全てが極上の馳走であり、最高の玩具に思えた。
「暮羽さん……」
 彼の名を呼ぶ風薙の長い指が何度も何度も桜の色を撫で、晒された肉茎をグリグリと抉るように掻き回し、おもむろに指を携帯電話から離して、苺味の涎が広がる舌で舐ってしゃぶる。瞳をウットリ濁らせて風薙豹は呟いた。
「暮羽さん、これから、いーっぱい遊びましょうね?」
 不意に窓から差し込んで来た橙色の夕陽が幾つもの眩い光の腕となり、風薙をふわっと抱き締めた。無味乾燥な日々を甘く潤す存在に巡り会えた事を素直に喜ぶ彼を祝福するかのように。

「うッ……!」
 風薙が祝福を受けていた丁度その頃、暮羽鋭次は口と腹を押さえてよろよろとしゃがみ込み、狭いシャワールームの壁に身体を預けた。風薙による陵辱を受けて以降、異物を注ぎ込まれた事から生じる腹の違和感と吐き気に時折襲われて眉間に深い皺を寄せる彼に熱い湯の雨が降り注ぐ。
「んくっ、うっ、うっ、はぁ、はっ……!」
 口を覆ったまま喉元まで来ている吐気を刺激しないように生唾を恐る恐る飲み込み、自然と固く閉じていた瞳を半分開き、浅くなっている呼吸を少しずつ少しずつ深くして整えると、耐え難かった不快感が呼吸に合わせて落ち着いて来た気がした。だが、辱めの傷は別の形で容赦なく暮羽の心を斬り付ける。
「ぃ……!!」
 喉彦の奥で揺れる小さな悲鳴。それに促されたかのように、風薙に狼藉を加えられた場所から件の穢れが零れ落ち、渦を巻いて排水溝へと消えて行く。今の見ましたか? 唐突に脳裏に浮かんだ風薙が笑う。貴方は汚れたんですよ。そして深まる彼の嘲笑。
「くっそ……!!」
 床にへなへなと尻をつけて横座りをし、弱々しく壁を拳の横腹で殴って俯く暮羽の頭の中で、不意に風薙のある台詞がリプレイされる。
『また、今日みたいなマッサージをフルコースでお願いしますね♪』
「!! あ、あぁあ!」
 蹂躙される自分も同時再生され、温かな、寧ろ普段よりも熱くしている湯を浴びているにも関わらずガタガタと大きな横揺れを始める身体を、暮羽は己の両腕を絡めて抱きすくめた。

 それからどれ位経ったのだろう。力の限りに身体を締め付けていた腕がようよう離れた。ほんの少し指を丸めた自分の手をボンヤリと眺め、無意識の内にその手の平を天に向けてわなわなと伸ばす。翳した左手の微かに震える指の間を縫って降りてくるのは、湯気でぼやける照明の灯りと勢いを全く変えずに降り続けるシャワーの雨。
 自分は、その人工の灯りを己のこれからを導く光に見立てたかったのかも知れない。自分は、降り続く人工の雨を穢された身体を慰め清める慈雨になぞらえたかったのかも知れない。
 自分は、普段は頼らぬ神に助けを求め、縋り付きたかったのかも知れない。
 雨は降り続いた。それは恵みの雨でも何でもないただの温水だった。湯雨は仰向く暮羽の虚ろな顔に容赦なく降りかかり、頬を流れる涙を経由し、顎を伝って連なる雫を落とし続けた。
 狭いシャワー室の中でへたり込み、天井に向かって空しく手と頭を掲げる青年の姿に気付く者は誰もいない。人知れず伸ばされたその手の求める救いは一体何処にあるのだろう。

 この時、暮羽鋭次の全てが終わり、全てが始まった。

<To Be Continued...?>


 

最後までお付き合いいただき、本当に有難うございました!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

<コッソリ後書き>

と言う訳で、長い長い(予定)強姦編の始まりです。
正しく言えば、風暮強姦中心。でもモブ輪姦も結構あるよ!!と言った所でしょうか。
最後まで書き上げられるかは正直ちょっと自信がないのですが、もしも完走出来たら自分を褒めてあげたいと思います。
しょっぱなから弱気発言かよ!

今回は物語も風暮エッチも序盤と言う事で、エロが比較的ライトで普通(?)になりましたが
これから少しずつ筆者の趣味が滲み出て、頭がおかしい内容になっていき
特にエロシーンに関しては筆者の人格を疑われそうです。読者様をふるいにかける事になるでしょう。
予め謝っておきます。ごめんなさい。
あと、暮羽さんを童貞設定にしたのもちょこっとゴメンなさい。風薙に何もかも奪われてしまうってのを書きたかったので、つい…。

さて、暮羽鋭次はこれからどうなってしまうのか!?
…キャラを好きになれば好きになるほど痛め付けたくなる歪んだ性格の持ち主が書く話なので、各自でお察しください…。
今まで色んなキャラを小説の中で酷い目に遭わせてきましたが(特に性的な意味で)
これほどまでに苛めたくなるキャラは久し振りですエヘ。暮羽さん可愛いよ暮羽さん!
初めて壱琉大学編をプレイした時、暮羽のダーティさに「何だコイツ!クズ過ぎる!!」と怒っていたあの頃が懐かしい。

長くなってしまいましたが、最後まで付き合っていただき有難う御座いました!

…コレ読んだ後に某派生作品を読むと暮羽さん異常レベルにチョロい気がするんですが…。←宣伝か?