日記

『マドモアゼル・モーツァルト』

本棚の整理してて、古い本を見つけて読みふけるのは良くある話。今回はその「古い本」についての感想です。

福山庸治作『マドモアゼル・モーツァルト』
「父親に音楽の天才的才能を見いだされ、男として育てられたエリーザの数奇な運命」
…というとなんだか少女漫画くさいですが、青年誌掲載作品だけあって適度に下品で秀逸な作品に仕上がっています。天才としての黄金期、「父親」の呪縛、魔笛、そしてレクイエム。ウォルフガングに恋をして「俺はホモじゃない!」と苦悩しまくるサリエリ先生とか、「夫が女」と知ってシーツ一枚で夜の町に飛び出す新妻(同じく追いかける「夫」)とかいう面白場面も満載。
夫婦生活の不自然さを怪しんだ弟子がモーツァルトに口止め料を請求し、「お金無いからこれで勘弁」と差し出された楽譜(アイネクライネナハトムジーク)を帰り道で口ずさんで、あらためて師匠の才能を思い知らされ号泣する場面とかお気に入り。この場面に限らず、楽曲の引用の仕方が上手いのですよ。

それにしてもこれ、「別に女にしなくてもいいじゃん、サリエリもシカネーダーも『男』のモーツァルトに惚れてるのに」とか思ってしまう自分はつくづく腐女子属性というかなんというか…

管理人 2005年01月29日(土)13:40

そういえばこの作者、『ドン・ジョバンニ』という作品も描いているのですが、こちらは同名のオペラの豪快な翻案なんですよ。ストーリーはほぼオペラ通りなんだけど、設定のズレ加減が最高。ドン・ジョバンニはちょんまげ、お供のレポレッロは岡っ引き風メカ、ツェルリーナは乙姫、ドン(ナ)・エルヴィーラに到っては前髪の若衆!なんだよこの人普通に衆道もの描けるじゃないか!

仕立屋雅楽 2005年01月29日(土)21:15

福山庸治さんは大好きでした。モーニングに連載されていた頃は本当に楽しみで、発売日の木曜日が待ち遠しかったのを覚えています。
最近あまりマンガを描いておられないようなので、少し残念です。単行本も手に入りにくいしね。当時の本は地震の後、なんやかんやでゴミと一緒に捨てちゃった。ああ、もったいない。(苦笑)
いやぁ、あの頃のモーニングは面白かったな。今はあんまし面白いマンガに出合わない。というより、探す努力をしていないんだよね。年齢とともに保守的にもなるし。今はPLUTOくらいかな。

マドモアゼル・モーツァルトは一度ミュージカルになったことがあったよな、と思い検索したら、また新しく上演するみたい。どうせまた関東でしょうけどね。(笑)

管理人 2005年02月01日(火)05:46

新しい作家さんや作品を見つけようと思ったら、雑誌をきちんとチェックしないといけないので「面倒くさい」んですよね。本屋さんで迷子になったり視ながら面白そうな本を探すのはちょっと体力切れ(^_^;)

結構すぐ絶版になってしまう作品が多すぎると思います。手に入らないから古本屋さんを探してみると、意外な掘り出し物を見つけたり。ただ古本屋さんで買うと、作者に利益が還元されないのがちょっと…