Pan's Labyrinth
2007.01.16 Tuesday | 映画作品 > SF/ファンタジー
(2006年)
市民戦争終結直後、フランコ政権下のスペイン。
おとぎ話の世界や絵本が大好きな少女オフェリアは、内戦で夫を亡くし軍の将校と再婚した母親とともに、森に囲まれた基地の中の屋敷へ越してきたばかり。
しかし、笑顔すら見せない冷酷な義父、身重の母親の体調も思わしくなく、同じ年頃の友達もいないオフェリアの新生活は、楽しさとはかけ離れたものになってしまう。
そんなある晩のこと、不思議な妖精にいざなわれて敷地内の古い巨大迷路へ足を踏み入れたオフェリアは、その奥で迷宮の守護神パンと出会う。
パンはオフェリアをずっと待っていたのだと、そしてオフェリアが本当は「魔法の王国のプリンセス」であるのだと告げる。
しかし王国へ戻るには3つの試練を越えねばならぬと、パンは一冊の分厚い本と道具を彼女に与えたのであった……
劇場で観賞。
メキシコ映画/英語字幕。
えぇとまず先にこれだけ言っちゃうと、
……すっごくよかった!!!!!
きっとすごいに違いないという期待通り、いやもう期待してた以上の作品だった!
メキシコ出身のギレルモ・デル・トロ監督の作品には他に「Mimic」、「Hellboy」、「Blade2」などが有名で、同じく市民戦争時代のスペインを背景とした子供が主役の映画「The Devil's Backbone」(ちなみにこちらもかなりの良作)と、この「Pan's〜」は傾向としては近い感じ。
ストーリーも映像も最高。
幻想世界や架空の生物が出てくるファンタジー映画……しかし、その中身は完全大人向けの超ダーク・ファンタジー。
フォーンに巨大ガエルに妖精にマンドレイク、両手に目のある子食い鬼みたいなクリーチャー(マジで夢に出そうな禍々しさ! ちょっとサイヒルのクリーチャーっぽくもある)などなど架空の生き物の造形も、「うわっ」と言いつつ思わず目を引きつけられる魅力的なグロテスクさがあって、ファンタジックでありながらも余計な甘さや媚びたところのないデザインが素晴らしい。
物語に明るい要素はほとんどなし。
展開されるのは戦いと血にまみれた現実、そして「おどろおどろしいメルヘン」的な幻想世界。
そして終始一貫して付き纏っている、暗く重く物悲しいトーン。
舞台背景上、ゲリラ狩りや拷問など暴力や残酷シーンもかなりキツめの描写がばんばん出てくるので、子供が主役とはいえ絶対にお子様向けじゃないのは確か。
グロい部分も容赦なく見せてくるので、大人でも人によってはキツイかもしれない。
主人公のオフェリアは、素朴で可愛くていじらしくて、そして不憫でたまらんです。
現実世界では、自分も心細く辛く誰かに甘えたいだろうに、母の身体と生まれてくる弟のことを案じながら気丈に頑張り、幻想世界では与えられる試練にこれまた健気に取り組む。どちらに行ってもオフェリアを待ち受けるのは試練と苦痛。
しかし最も救いがないのは現実のほうなのかも。
「魔法の王国」は、オフェリアが辛い現実から逃げ出すために作り上げた楽園であったのだろうか……そう考えるとものすごくやるせない(´д⊂)
オープニングと繋がるラストも非常にもの悲しい感じなんだけど(しかしこのエンディングがハッピーなのかアンハッピーなのかは、観る人の解釈でどちらにも取れると思う)、観た後にはしんみりした切なさと共に、なんとも不思議な余韻が残る作品。
まだ観てない人には全力でおすすめしたい!
そして以下余談。
この映画には、主人公のエプロンつきドレス、ウサギ、金の懐中時計など、「不思議の国のアリス」を思わせるモチーフがオマージュ的に使われているほか、その他の作品からの影響もところどころに見受けられるんですが。
その中で、「チョークで描いた扉が本物になる」というのが個人的にすっごいデジャブるんだけど……!
これって似たような元ネタがどっかになかったかな?
……映画? 小説? 漫画? ドラ○もん? いや、違うかw
うーん、思い当たるまでずっと引っかかりそうですよこれ。
思い出せないとモヤモヤして気持ち悪いんだよなー。ぐわー。
マイ評価:★★★★★
メキシコ映画/英語字幕。
えぇとまず先にこれだけ言っちゃうと、
……すっごくよかった!!!!!
きっとすごいに違いないという期待通り、いやもう期待してた以上の作品だった!
メキシコ出身のギレルモ・デル・トロ監督の作品には他に「Mimic」、「Hellboy」、「Blade2」などが有名で、同じく市民戦争時代のスペインを背景とした子供が主役の映画「The Devil's Backbone」(ちなみにこちらもかなりの良作)と、この「Pan's〜」は傾向としては近い感じ。
ストーリーも映像も最高。
幻想世界や架空の生物が出てくるファンタジー映画……しかし、その中身は完全大人向けの超ダーク・ファンタジー。
フォーンに巨大ガエルに妖精にマンドレイク、両手に目のある子食い鬼みたいなクリーチャー(マジで夢に出そうな禍々しさ! ちょっとサイヒルのクリーチャーっぽくもある)などなど架空の生き物の造形も、「うわっ」と言いつつ思わず目を引きつけられる魅力的なグロテスクさがあって、ファンタジックでありながらも余計な甘さや媚びたところのないデザインが素晴らしい。
物語に明るい要素はほとんどなし。
展開されるのは戦いと血にまみれた現実、そして「おどろおどろしいメルヘン」的な幻想世界。
そして終始一貫して付き纏っている、暗く重く物悲しいトーン。
舞台背景上、ゲリラ狩りや拷問など暴力や残酷シーンもかなりキツめの描写がばんばん出てくるので、子供が主役とはいえ絶対にお子様向けじゃないのは確か。
グロい部分も容赦なく見せてくるので、大人でも人によってはキツイかもしれない。
主人公のオフェリアは、素朴で可愛くていじらしくて、そして不憫でたまらんです。
現実世界では、自分も心細く辛く誰かに甘えたいだろうに、母の身体と生まれてくる弟のことを案じながら気丈に頑張り、幻想世界では与えられる試練にこれまた健気に取り組む。どちらに行ってもオフェリアを待ち受けるのは試練と苦痛。
しかし最も救いがないのは現実のほうなのかも。
「魔法の王国」は、オフェリアが辛い現実から逃げ出すために作り上げた楽園であったのだろうか……そう考えるとものすごくやるせない(´д⊂)
オープニングと繋がるラストも非常にもの悲しい感じなんだけど(しかしこのエンディングがハッピーなのかアンハッピーなのかは、観る人の解釈でどちらにも取れると思う)、観た後にはしんみりした切なさと共に、なんとも不思議な余韻が残る作品。
まだ観てない人には全力でおすすめしたい!
そして以下余談。
この映画には、主人公のエプロンつきドレス、ウサギ、金の懐中時計など、「不思議の国のアリス」を思わせるモチーフがオマージュ的に使われているほか、その他の作品からの影響もところどころに見受けられるんですが。
その中で、「チョークで描いた扉が本物になる」というのが個人的にすっごいデジャブるんだけど……!
これって似たような元ネタがどっかになかったかな?
……映画? 小説? 漫画? ドラ○もん? いや、違うかw
うーん、思い当たるまでずっと引っかかりそうですよこれ。
思い出せないとモヤモヤして気持ち悪いんだよなー。ぐわー。
マイ評価:★★★★★
author : 四葉 | - | -