こんなん観ました

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The Wind That Shakes the Barley

2008.01.15 Tuesday | 映画作品 > ドラマ

thewind
(2006年)
1920年。アイルランド南部の町でコークでは、英国からの独立のため若者たちが義勇軍を結成していた。
医者を志す青年デミアンはこれには加わらず、ロンドンでの勤務のためにアイルランドを離れるつもりでいた。が、英国軍のあまりに非道な仕打ちを目の当たりにし、無視することは出来ないと留まることを決意。自らも義勇軍に加わり、尊敬する兄とともに戦いへ身を投じる。
しかしその後、和平条約に対しての意見の相違がもとで、兄弟は別々の道を選び対立してしまう。
DVDで鑑賞。

やっぱりキリアン・マーフィはいいなぁ。
繊細でちょっと神経質そうな風貌(特にあの目の美しさにはたまにドキッとする)、映画によってラブリーな女装キャラから不気味なサイコキラーまで演じ分けてしまう実力!
個人的に「この人が出てるから観よう」と無条件で役者買いしてる、数少ない俳優の一人。安心して見ていられるのに、マンネリ感とは無縁でいつも新鮮。
この映画でも、主人公デミアン役にものすごくハマっていた。

横暴な英国には屈しない、自分たちの国は自分たちで守る! と、怒りと不満を抱えた若者たちによって結成された義勇軍。
確かに冒頭で友人が殺されるところや、駅での理不尽な暴行を目撃するシーンなどの後では、義勇軍側に同情的な気持ちになるし応援もしたくなる。独立と自由を手に入れるためという目的にも頷ける。
しかし、暴力に暴力で返す、武力でもって抗うという行為は、もうそれ自体がどんどん勝手にエスカレートしてしまうものなんだろうか。

争いが続くとともに義勇軍の過激さもどんどん増していき、デミアン個人も変わっていってしまうのは、見ていてなんとも切ない。
裏切ったからとはいえ同胞を己の手で処刑したり、志を同じくしてきた敬愛する兄ともいつしか対立してしまったり……もともと望んだものは、皆同じだったはずなのに。
デミアンが射殺した少年の母親にかけられた言葉、それと同じものをぶつけられる兄。このラストはとてもやるせない気持ちになった。



マイ評価:★★★★☆
author : 四葉 | - | -