日々ネタ粒

日記と言うより妄想記録。時々SS書き散らします(更新記録には載りません)

  • Home
  • Login

日記と言うより妄想記録。時々SS書き散らします(更新記録には載りません)

エントリー

[Cat Panic]よく冷まして食べましょう

  • 2012/11/23 18:06
  • カテゴリー:龍龍



以前ならば野菜や茸類を多用していた鍋だが、仔猫を拾って以来、肉を入れる事が増えた。
猫の趣向を思えば、魚肉の方が良いのかと最初は思ったのだが、あの猫は豚肉や牛肉の方が好きらしい。

土鍋に一杯の水を淹れて、昆布で出汁を取り、火が通り難いものから順番に鍋に入れて行く。
いつもはキッチンで行うその作業を、今日は食卓の上で行っていた。
その作業を、テーブルに乗り出してじっと上から覗き込んでいる仔猫がいる。
仔猫は、大きな瞳を常よりもきらきらと眩しく輝かせ、尻尾をゆらゆらと揺らし、ごくり、と何度目か知れない喉を鳴らした。



「もう良いかな?」



呟いた途端、がたたん、とテーブルが揺れた。
音の発信源である仔猫に、危ないよ、と咎めるが、仔猫はまるで聞こえていない。
早く早く、と言うように、尻尾がぐるぐると振られ、箸を持つ手が興奮を抑えられないかのように握り締められる。

つん、と菜箸で野菜と肉をそれぞれ摘まんで確かめる。
白菜は芯まですっかり柔らかくなっており、肉も色が変わって、よく火が通っているのが判った。



「うん、良いね。京ちゃん、器を貸してくれるかな」
「ん」



ごまダレの入った小鉢皿を京一が差し出した。
網のおたまで豆腐と野菜、茸を移していると、むぅ、と京一が不満そうに頬を膨らませた。



「野菜なんかいらねえよ。肉、肉がいい」
「はいはい」
「山盛り!」



京一のリクエストに応えて、火の通った豚肉を小鉢皿に移す。
しかし、沢山の野菜の上にちょこんと乗った肉を見ると、また京一は不満げに眉を潜めた。



「これだけかよ」
「取り敢えず、ね。先ずはちゃんと野菜を食べてから」
「うー……」
「それをきちんと食べたら、今度はお肉を一杯入れてあげるよ」



八剣の言葉に、京一は顔を顰めるばかり。
疑うように睨む切れ長の目に、八剣は笑みを浮かべて食事を促してやる。
八剣の言葉を信じようが信じまいが、取り敢えず、小鉢皿を空にしないと、次が食べられない事は理解したらしく、渋々とした表情で箸をつけた。

京一は、皿の一番上に乗っていた小さな肉を拾うと、ふーふーと軽く冷まして、口の中に入れた。
むぐむぐと頬袋を膨らませて食べる京一に、リスみたいだなと思いつつ、八剣も自分の小鉢皿に箸をつけた。



「美味しい?」
「まーな」
「そう」



素直になれない仔猫だから、正直に「美味しい」と言ってくれる事は少ない。
けれど、不味いとか嫌な事ははっきりと口に出すから、それがないと言う事は、仔猫の満足を得られていると言う事だ。

肉を飲み込んだ京一は、次に茸を口に入れた。
やっぱりもごもごと頬袋を膨らませて食べている。



「温まるね」
「ん」
「やっぱり寒い日はお鍋だね」
「そうなのか?」
「美味しいだろう?」
「まぁまぁ」



素っ気なく言いながら、京一の小鉢皿はもう殆ど空っぽになっている。
白菜やネギも綺麗に食べて、温まった豆腐の柔らかさに四苦八苦しつつ、きちんとした箸遣いで豆腐も食べ切った。



「京ちゃん、器貸して。移してあげるから」



八剣が手を伸ばすと、京一はむっとした顔をして、八剣から小鉢皿を遠ざける。



「やだ。お前、野菜ばっか入れるじゃねェか」
「今度はちゃんとお肉も入れるよ」
「信用なんねェ。俺が自分でやる」



そう言うと、京一は八剣の手からお玉を引っ手繰った。


食卓のテーブルは足の低い座卓であるが、小さな京一が鍋の中を覗こうとすると、座ったままでは無理だ。
京一は膝立ちになって鍋の中を覗くと、お玉でぐるぐると中を掻き回す。
野菜や茸の下に沈んでいた肉が顔を出すと、ぴんっと京一の耳が真っ直ぐになった。
肉ばかりを浚って行く京一の尻尾は、嬉しそうに踊るように揺れている。
それは見ていて微笑ましいのだが、やっぱり野菜もちゃんと食べないと、と八剣は横から菜箸で野菜を取って、京一の小鉢皿に移した。

肉盛りとなった小鉢皿に、京一は満足そうに笑みを浮かべて、座布団に座り直す。



「へへー。いっただき!」



大きな肉を取って、あーん、と京一が口を開く。
その肉からは、まだほこほこと温かな湯気が立ち上っていて、



「あ、京ちゃ────」
「あっち!!!」



八剣が止める暇もなかった。
大きな口に肉が入ったと思ったら、途端、京一は悲鳴を上げて飛び上がる。
ガタガタッ!と京一の膝がぶつかったのか、テーブルが物騒な音を立てて揺れた。

涙目で口を押えている京一に、八剣は冷えた茶を淹れたグラスを差し出した。
京一は奪うように受け取ると、じんじんと痛む舌を茶に浸して冷ます。



「大丈夫かい?」
「うぇ……」
「よしよし。びっくりしたね」
「ふぐ」



あやすように撫でる八剣を、勝気な瞳が睨むが、その目尻には大粒の雫。

八剣は、京一の手からそっとグラスを取り上げると、口を開けてごらん、と京一を促した。
あー、と素直に口を開けた京一の舌には、火傷のような痕もなく、暫くすれば痛みも引くだろうと思われた。
しかし京一の方は、じんじんとした痛みがとにかく嫌いなようで、麦茶のグラスを奪うとちびちびと飲み始める。


八剣は保温にと点けたままにしていたガスコンロの火を弱めた。
鍋は温かい状態で食べるのが美味いものだが、猫舌持ちに熱いまま食べろと言うのは酷である。
ちょっと失敗したな、と涙目になっている仔猫を見ながら、心密かに反省する。



「落ち付いた?」
「……ん」
「食べれそうかい?」
「……くう」



食事前よりは気落ちした声であったが、京一の食欲には些かの翳りもない。
よしよし、と八剣は京一の頭を撫でると、彼の前に置いていた肉盛りの小鉢皿を手に取った。



「何すんだ、返せよ!」
「大丈夫、取らないよ」
「かーえーせー!」



フシャーッ!と尻尾を膨らませて威嚇する京一。
どうどう、と八剣は京一を宥めながら、大きな肉を箸で摘まむ。
まだほこほこと温かな湯気を立てているそれに、ふー、ふー、と息を吹きかけて冷まし、



「はい、あーん」



差し出された肉と、笑顔の八剣に、京一は目を丸くした。
肉と八剣を交互に見た後、京一の尻尾が更に大きく膨脹する。



「阿呆な事してねェで、オレの肉返せ!」
「だから、ほら。あーん」
「するか!自分で食う!」



奪い返そうと伸びて来た京一の腕を、八剣は小鉢皿を持った手を引っ込めて避ける。
空を切った手に、京一の顔がみるみる不機嫌なものになって行くのが判る。
ぐるる、と損ねた機嫌を象徴するかのように、子猫の喉が不穏な音を鳴らした。

睨む仔猫に対し、八剣は常と変らない笑みを浮かべて言った。



「でも、もう熱い思いしたくないだろう?」
「…もうやんねェよ、あんなの」
「そう言って、この間もラーメン食べてて火傷しかけてなかったかな」



くすくすと笑いながら言った八剣に、京一はぐうの音も出ない。
京一はぎりぎりと赤い顔で歯噛みした。

八剣はそんな京一を宥めるように、大きな肉をかざして見せる。



「ほら、京ちゃん。あーん」



ガキじゃないとか、バカにするなとか。
言いたい事は山ほどあるが、にこにこと上機嫌な顔で笑う男に、何を言っても無駄である事は、京一もよく知っている。

そんな事より、差し出された肉の誘惑の方が、仔猫にとっては大事で。


渋々顔で、それでも素直に口を開ける仔猫。
その日、結局八剣は、京一が恥ずかしさに耐え兼ねて怒り出すまで、延々と仔猫に餌を与え続けたのだった。





鍋が美味しい季節です。

京ちゃんにあーんってさせたかっただけ。
最終的に、いつまでも調子に乗ってんじゃねえ!って引っ掻かれるんだと思います。

  • この記事のURL

通販申込みの受理・発送

  • 2012/11/05 20:26
  • カテゴリー:お知らせ

2012年10月中にご注文を頂きました、通販の発送を完了致しました。
私事により、受理メールの送信が遅れてしまった方、すみませんでした。

二週間が経ってもお手元に届かないようでしたら、郵便事故の可能性がありますので、お手数ですが、メール・拍手どちらかにてお知らせ下さい。直ぐに確認します。

発送宛の方には、メールにて発送完了のお知らせを送信しております。
携帯電話のメールを使用している方は、迷惑メール防止を設定されていると、此方からの返信メールが拒否されてしまう可能性があります。
kryuto*hotmail.co.jp(*を@に変換して下さい)を受信可能に設定するよう、お願いします。

  • この記事のURL

日記ページについて

  • 2012/10/31 23:48
  • カテゴリー:お知らせ

日記を以前までのCGIから、スマホにも対応しているPHP仕様のものへ変えた所、ガラケーの方から「日記が見れなくなった」と連絡を頂きました。
詳しくお聞きした所、

・エントリー(目次)一覧は表示される
・エントリーから本文を見ようとすると、エントリーに戻ってしまい、記事が見れない
・グーグル携帯変換などのツールを使うと見れる

と言う状態になっているようです。


当方の環境ですと、ガラケーは家族が持っているDocomoの一台だけで、其方で確認した時は普通に見る事が出来ました。記事本文もそのまま見れます。また、FireFoxのMobileSimulatorと言うツールを使って、20年間ほどの新旧それぞれの携帯キャリアで動作確認をした所、普通に稼働していました。
ご連絡頂いている症状が此方で確認できず、対処の仕方が判りません……

一時処置として、しばらく旧日記CGIと並行で使用して行こうと思います。
お越し頂いて下さる皆様、ご不便をかけて申し訳ありません。

  • この記事のURL

[絆]カボチャおばけが主役の日

  • 2012/10/31 21:23
  • カテゴリー:FF

[絆]のスコール・ティーダ幼少期で、ハロウィンネタです。





「とりっく・おあ・とりーと!」


─────そんな元気な声に迎えられて、レオンはぽかんとして立ち尽くした。

成人していないレオンがアルバイトを出来るのは、夜の22時まで。
しかし、22時きっちりまで仕事をする事は殆どなく、21時半には帰りの支度に入る事が多い。
これは小さな妹弟を抱えるレオンの為に、カフェバーのマスターが気を遣ってくれているからだ。
レオンとしてはきちんと決められた時間まで働いて、給金に見合うだけの仕事をしたいのだが、レオンの後見人であるシド・クレイマーと旧知だと言うマスターは、気にしなくて良いと笑顔で言うばかり。
夕方の一番人が多い時間に仕事に入り、真面目に勤しんでくれるだけでも十分だと、マスターは言った。
そして、家で兄の帰りを待つ小さな妹弟を安心させてやる為にも、一刻でも早く帰宅するのが最善であると。

陽も暮れて、夜の町に響く波音を聞きながら歩く、カフェバーから自宅までの距離は、時間にして約15分。
妹弟達は、レオンが下拵えを済ませていた夕飯を食べた後、いつもリビングで兄の帰りを待っている。
とは言え、まだ幼い弟と預かり子は、待ち切れずにソファで眠っている事も少なくない。
何れにしろ、いつまでも子供達を待ち惚けにさせない為にも、レオンは自ずと帰路を急ぐ事となる。

そして、約4時間振りに帰って来ての、この言葉。


「……あ…と……」
「とりっく・おあ・とりーと!」
「と、とりーと!」


玄関ドアを開けた格好のまま、呆然とした表情で立ち尽くすレオンに、もう一度同じ声がかかり、少し遅れてもう一つ。

その声の主は、大きなカボチャ頭とマントを身に付けた生き物と、真っ白な布で全身を覆った生き物だった。
カボチャと布には顔が書いてあり、カボチャの方は凶悪そうながらユニークな、布の方は少し困ったような顔をしている。


「……ティーダ、スコール。何をしているんだ?」
「えっ」
「えっ」


カボチャと布を見下ろして、その中身であろう子供達の名前を呼べば、2人はぴたっと動きを止めた。
それからしばらくフリーズしたあと、もそもそと布がずり落ちて行って、見慣れたダークブラウンの髪が顔を出す。


「なんで判っちゃったの?」
「エル姉ちゃーん。バレたー!」


スコールは不思議そうに兄に訊ね、ティーダは頭に被っていたカボチャを脱ぎながらエルオーネを呼ぶ。

エルオーネはキッチンから顔を出し、水洗いでもしていたのか、濡れた手を拭きながらレオンを迎える。
そのエルオーネは、黒いとんがり帽子を被っており、レオンはまたも目を丸くした。


「お帰りなさい、レオン」
「ただいま」
「お兄ちゃん、おかえりなさい」
「レオンおかえりー」
「ああ、ただいま」


姉に倣ってお迎えの挨拶をする子供達に、レオンも挨拶を返す。
被り物をしていた所為で、ぴんぴんと髪を跳ねさせた弟達の頭を撫でながら、レオンはエルオーネに訊ねた。


「それで、二人は何をしてるんだ?」
「ハロウィーンのコスプレだって」
「……ハロウィーン?」


聞き慣れない単語にレオンが首を傾げると、マント遊びをしていたティーダが「知らないの?」と言った。


「ハロウィーンは、トリック・オア・トリートって言ったら、お菓子貰える日なんだ」
「ザナルカンドではそういう習慣があったんだって」
「ふぅん……バラムじゃ聞かない習慣だな。それで、この格好は?」


レオンは、頭だけを布から出しているスコールを見下ろして聞いた。

スコールが被っていた布は、体をすっぽり覆う程の大きなものを扇状にして円錐形を作り、頂点にフードの要領で顔を取り付けている。
頭は出したスコールだったが、布はまだ被ったままで、てるてる坊主のような井出達になっている。
ティーダのカボチャは、食用とは思えない、オレンジ色をした皮の大きなもので、中身は綺麗に刳り貫かれていた。
マントは黒の無地で、カボチャのオレンジ色がよく映える。

エルオーネは、じゃれついて来るティーダの相手をしながら、レオンの問いに答える。


「ハロウィーンの日は、子供は皆こういう格好をするんだって」
「決まりなのか?」
「そうみたい。で、この格好で色んなお家を回って、お菓子を貰うの」


成程、行事の決まりの仮装と言う事か。
行事の謂れ云々はさて置くとして、取り敢えず、レオンは納得した。

そんなレオンに、ティーダが元気よく言った。


「だからレオン、とりっく・おあ・とりーと!」


トリック・オア・トリート────悪戯かお菓子か。
その意味と、わくわくと、単純にお菓子への期待感だけではなさそうなティーダの表情に、レオンは小さく笑みを浮かべ、


「お菓子をあげなかったら、俺は何をされるんだ?」
「え。レオン、ハロウィーン知ってるの?」
「なんだ、やっぱり何かあるのか」


レオンの言葉が、思いも寄らなかったのだろう。
驚いた表情で言ったティーダに、レオンは「いいや」と答えたものの、なんとなく予想はつくと付け加えた。
知らない筈なのに判った、と言うレオンに、ティーダとスコールがすごーい、と目を輝かせる。

エルオーネはティーダの持っていたカボチャの被り物を取り上げると、窓辺に置かれていた小さな豆電球の上に被せた。
豆電球のスイッチを入れると、カボチャの顔が灯りを零し、それまでの凶悪的な(けれどもユニークで可愛らしい)表情が少し和らいだように見える。


「ティーダが言うにはね。お菓子をくれない人には、イタズラしても良いって決まりがあるんだって」
「随分、物騒な決まりだな」
「だよねえ」


頷き合う二人だが、その表情はクスクスと笑い合っていて楽しそうだ。
そんな二人の腰には、兄の帰宅に嬉しそうに抱き着くスコールと、イタズラの可能性をレオンが知っていた事が残念なのか、少しばかり拗ねた顔をしたティーダがいる。


「ちぇ、レオン知ってたんだ」
「そうなの…かな…?」
「あっ、でも、お菓子なかったらイタズラできるんだ!」
「いたずら…良くないよ、困らせちゃ」
「だって、お菓子ダメだったらイタズラするって決まりだもん」
「でも……」


やっぱり良くないよ、と言うスコールに、ティーダは決まりだからいいの、と言う。
そんなティーダをエルオーネが咎めないので、スコールはもっと困った顔でレオンを見上げる。

レオンは、くしゃくしゃとスコールの頭を撫でてやると、スラックスのポケットに手を入れた。


「ほら、スコール」
「……?」
「ティーダの分も」
「へ?」


呼ばれたスコールの前には、握られたレオンの手があった。
スコールが両手を開いて差し出すと、ころん、と小さなものが転がった。
透明なセロファンに包まれたそれは、綺麗な色をした空色の飴玉。

ぱちりと瞬きをするスコールの隣で、ティーダも同じように手を出して、ころん、と飴玉が転がる。
二人ならんできょとんとした表情で手の中の飴を見つめる子供達に、レオンはく笑みを深め、


「お菓子を上げたから、イタズラはなしだよな」
「…!」
「あ」
「だね、ティーダ」


レオンから渡されたお菓子に、スコールが嬉しそうに目を輝かせた。
ティーダも一度嬉しそうに口元を綻ばせたが、イタズラが出来なくなったと気付いて、残念そうな、でもやっぱりお菓子は嬉しいような、ぐるぐると忙しく表情を変える。
エルオーネはそんなティーダの頭を撫でて、飴玉良かったね、と宥めてやる。

ちなみに、飴の出所はカフェバーのマスターで、良い子で待っているであろう妹弟達へのご褒美、らしい。

レオンは、ポケットにもう一度手を入れた。
取り出したのは、スコールとティーダに渡したものと同じ、空色の飴。


「エルオーネ、お前にも」
「え?私も?そんな、私は」


別に良いのに、と受け取るのを遠慮しようとするエルオーネに、レオンは言った。


「正直、お前のイタズラが一番怖い気がするからな」


兄の言葉に、頬を赤らめて目を逸らすエルオーネに、やっぱりな、とレオンはくくっと笑う。
決まりごととは言え、ティーダにイタズラについて咎めなかった時点で、レオンはエルオーネがこっそりイタズラを仕掛ける気である事を察していた。

スコールが生まれて以来、姉らしく手本になるようにと日々頑張っているエルオーネだが、根っこの部分はそう簡単には変わらない。
彼女は元々、イタズラ好きの子供であったから、こんな絶好の機会に便乗しない訳がないのだ。
生まれ故郷にいた頃に行われた、『Jの悲劇』をレオンは忘れていなかった。

しかし、いつも自分達のイタズラや無茶な遊びを叱ってくれる姉が、そんな子供であった事など、小さな弟達は知る由もなく、赤い顔をしたエルオーネを不思議そうに見上げる。


「お姉ちゃん?」
「エル姉ちゃん、どうしたの?」
「あ…う、ううん。なんでもない。えっと…わ、私も貰っておくね」
「ああ」


覗き込んでくるスコールとティーダに、エルオーネは慌てて平静を取り繕った。
差し出されていた兄の手から飴を受け取って、胸に寄せ、


「それじゃ、レオンは晩ご飯だね」
「悪いな、いつも準備して貰って。ほら、スコールとティーダはもう部屋に」
「あ、待って」


窓辺のテーブルの席に着きながら、そろそろ小さな子供は眠る時間だと弟達を促そうとしたレオンを、エルオーネが遮った。

どうしたのだろうとレオンがエルオーネを見遣ると、彼女はキッチンで何か忙しなくしている。
それに気付いたスコールとティーダが、あっと思い出したように声を上げ、慌ててレオンと一緒にテーブルへついた。


「どうした?」
「あのね。お姉ちゃんがケーキ焼いてくれたの」
「カボチャのケーキ!」


カボチャ、と聞いて、レオンは傍らの窓辺に飾られている、カボチャの被り物を見た。
食用には見えないので、恐らくこれとは別のもので作っているのだろうが、それにしても何故カボチャ。
カボチャでケーキとは、あまり聞かない組み合わせのような気がする。

レオンのそんな疑問が伝わったのか、自分だけが知る習慣を話して聞かせたかったのか、ティーダが続ける。


「ハロウィーンにはカボチャなんだ。カボチャのおばけが主役で、カボチャのケーキ食べるのが決まり!」
「それじゃあ、今日はティーダが主役だったのか」
「うん!」


カボチャの被り物をしていた事からレオンが言うと、ティーダは嬉しそうに頷いた。
そんなティーダを、レオンの隣に座ったスコールが羨ましそうに見ている。
僕も被りたかった、と呟くスコールに、ティーダが自慢げに笑うものだから、スコールはぷくーっと頬を膨らませる。

しかし、スコールの拗ねた表情も其処まで。
キッチンから、大きなトレイにレオンの食事とケーキを乗せたエルオーネが現れた。


「レオン、ご飯だよ。スコールとティーダにはケーキ」
「わーい!」
「二人とも、食べたら寝る前にちゃんと歯磨きするんだぞ」
「はーい」


レオンの遅い夕飯と、四人分のケーキがテーブルに並べられる。
エルオーネもティーダの隣に座り、四人揃って手を合わせた。





ハロウィンだと言う事で、お兄ちゃんヘイタズラを計画してみた……が回避されました。残念w
翌年からレオンがえらく手の込んだお菓子を用意するようになると思います。

  • この記事のURL

[パラレル]アンフリー・フォトグラフィ

  • 2012/10/30 01:22
  • カテゴリー:FF

[鼓動は本物]で書いた芸能人レオンの、高校生の頃の話。読者モデルやってました。
長くなったので4つ+aに分割しました。

アンフリー・フォトグラフィ 1 2 3 4
高校生(読者モデル)時代のレオンと、7歳の子スコ

家族旅行計画中
↑の合間の話。レオンと子スコとジェクト

  • この記事のURL

ページ移動

  • 前のページ
  • 次のページ

ユーティリティ

2026年02月

日 月 火 水 木 金 土
1 2 3 4 5 6 7
8 9 10 11 12 13 14
15 16 17 18 19 20 21
22 23 24 25 26 27 28
- - - - - - -
  • 前の月
  • 次の月

カテゴリー

検索

エントリー検索フォーム
キーワード

新着エントリー

[ヴァンスコ]インモラル・スモールワールド
2020/12/08 22:00
[シャンスコ]振替授業について
2020/11/08 22:00
[ジェクレオ]貴方と過ごす衣衣の
2020/10/09 21:00
[ティスコ]君と過ごす毎朝の
2020/10/08 21:00
[ジタスコ]朝の一時
2020/09/08 22:00

過去ログ

  • 2020年12月(1)
  • 2020年11月(1)
  • 2020年10月(2)
  • 2020年09月(1)
  • 2020年08月(18)
  • 2020年07月(2)
  • 2020年06月(3)
  • 2020年05月(1)
  • 2020年04月(1)
  • 2020年03月(1)
  • 2020年02月(2)
  • 2020年01月(1)
  • 2019年12月(1)
  • 2019年11月(1)
  • 2019年10月(3)
  • 2019年09月(1)
  • 2019年08月(23)
  • 2019年07月(1)
  • 2019年06月(2)
  • 2019年05月(1)
  • 2019年04月(1)
  • 2019年03月(1)
  • 2019年02月(2)
  • 2019年01月(1)
  • 2018年12月(1)
  • 2018年11月(2)
  • 2018年10月(3)
  • 2018年09月(1)
  • 2018年08月(24)
  • 2018年07月(1)
  • 2018年06月(3)
  • 2018年05月(1)
  • 2018年04月(1)
  • 2018年03月(1)
  • 2018年02月(6)
  • 2018年01月(3)
  • 2017年12月(5)
  • 2017年11月(1)
  • 2017年10月(4)
  • 2017年09月(2)
  • 2017年08月(18)
  • 2017年07月(5)
  • 2017年06月(1)
  • 2017年05月(1)
  • 2017年04月(1)
  • 2017年03月(5)
  • 2017年02月(2)
  • 2017年01月(2)
  • 2016年12月(2)
  • 2016年11月(1)
  • 2016年10月(4)
  • 2016年09月(1)
  • 2016年08月(12)
  • 2016年07月(12)
  • 2016年06月(1)
  • 2016年05月(2)
  • 2016年04月(1)
  • 2016年03月(3)
  • 2016年02月(14)
  • 2016年01月(2)
  • 2015年12月(4)
  • 2015年11月(1)
  • 2015年10月(3)
  • 2015年09月(1)
  • 2015年08月(7)
  • 2015年07月(3)
  • 2015年06月(1)
  • 2015年05月(3)
  • 2015年04月(2)
  • 2015年03月(2)
  • 2015年02月(2)
  • 2015年01月(2)
  • 2014年12月(6)
  • 2014年11月(1)
  • 2014年10月(3)
  • 2014年09月(3)
  • 2014年08月(16)
  • 2014年07月(2)
  • 2014年06月(3)
  • 2014年05月(1)
  • 2014年04月(3)
  • 2014年03月(9)
  • 2014年02月(9)
  • 2014年01月(4)
  • 2013年12月(7)
  • 2013年11月(3)
  • 2013年10月(9)
  • 2013年09月(1)
  • 2013年08月(11)
  • 2013年07月(6)
  • 2013年06月(8)
  • 2013年05月(1)
  • 2013年04月(1)
  • 2013年03月(7)
  • 2013年02月(12)
  • 2013年01月(10)
  • 2012年12月(10)
  • 2012年11月(3)
  • 2012年10月(13)
  • 2012年09月(10)
  • 2012年08月(8)
  • 2012年07月(7)
  • 2012年06月(9)
  • 2012年05月(28)
  • 2012年04月(27)
  • 2012年03月(13)
  • 2012年02月(21)
  • 2012年01月(23)
  • 2011年12月(20)

Feed

  • RSS1.0
  • RSS2.0
  • pagetop
  • 日々ネタ粒
  • login
  • Created by freo.
  • Template designed by wmks.