[レオン]原色灯の世界にて
- 2012/09/13 00:20
- カテゴリー:FF
レオンさんがオカマさんとかゲイの人と仲良しだったらいいなーと思って書き殴り。自趣味に走り過ぎたので、一応畳んでおきます。
現代パラレルです。多分。
現代パラレルです。多分。
[原色灯の世界にて]
何処で飲むにしろ、それ程気にするつもりはないが、やはりのんびり出来る所が良いと思う。
ゆっくりと一人酒を飲みたいと思う日は、特に。
しかし、有難い事と思えば良いのか、レオンは一人でグラスを傾けて、最後までのんびり出来た例がなかった。
職場の周辺にある飲み屋では、大抵先客や後客に先輩・同僚・後輩がいて、レオンを見つけると「一緒に飲もう」と声をかけてくれる。
一人酒が好きなレオンだが、誰かと杯を酌み交わすのも嫌いではなかったから、余程の時でなければ、誘いを断る事はしなかった。
たまに知人がいないようなバーにも行くが、今度は知らない客に声をかけられる。
ほろ酔いの女性であったり、絡み酒の酔っ払いであったり、何故か妙に絡まれる事が多い為、レオンは中々のんびりとする事が出来なかった。
また、ひっそりとしたバーを見つけて間もない頃はのんびり出来るのに、時間が経つと客が増え、声をかけられるようになり、段々と腰を落ち着けていられなくなると言う事も多い。
その為、レオンはあまり常連の店を作らないようにするのが癖になっていた。
しかし、唯一、レオンが度々足を運ぶ店がある。
其処は少し寂れた場所にあり、店先の看板だけはびかびかと賑やかしい、生真面目な性質で知られているレオンと言う人物が訪れるには、場違いに見える店だった。
ステージの上で、派手な衣装を身にまとい、長い睫に紫色のアイシャドウを塗った男が踊っている。
細い体をくねらせ、腰を揺らし、見る者を挑発するように唇を尖らせてみせる男に、周囲から口笛と拍手が起こった。
踊る男を眺める人々のテーブルには、同じように様々なメイクを施し、女物の服を着た男達が傅いて、一緒に拍手を叩いている。
店の中にいるのは、客と店員と合わせて、殆ど全てが男だった。
客のテーブルに着き、酒を注ぐと言う、ホステスが行うであろう役目を担っているのも、男或いは元男。
当然だ────此処はニューハーフの働くショーパブだからだ。
その所為か、店内は何処か世俗から浮いたような雰囲気に満ち満ちており、客もその空気に酔いしれたように楽しんでいる。
そんな世界で、ステージパフォーマンスの為の賑やかな音楽と、店内の盛り上がりを避けるように、カウンターの隅に座っていたのが、レオンだった。
瞳と同じ蒼色のカクテルを傾けながら、レオンは隣に座っている、托鉢の男の話を聞いている。
「……それでェ~…結局ダメだったのよォ……」
「そうか。今回は中々長く続いていたようだったから、俺も上手く行くんじゃないかと思っていたんだが……残念だったな」
テーブルに突っ伏してしくしくと泣く男に、レオンは眉尻を下げ、ぽんぽんと肩を叩いてやる。
「やっぱり、アタシが男だから駄目なのかしら……」
「そんな事はないだろう。いつか、あんたの良さをちゃんと判ってくれる人が現れるさ」
「うぅん、アナタが言うならそう思いたいけどォ。やっぱりねェ~、こんなオッサンに比べたら、若くて美人な女の方が男は好きよねェ」
いじいじと、テーブルに“の”の字を書く男に、レオンは苦く笑うしかない。
レオンは、この托鉢の、女性言葉を使う男が、とても優しくて繊細な心の持ち主であると知っている。
爪先のネイルは、毎日自分で手入れをし、デコレーションを施し、その日の衣装に合わせて変えているのだと言う。
細やかな気遣いを忘れず、それでいて豪快な気質も持ち合わせており、店で働く妹分達からは、“姉さん”と呼ばれて慕われ、バーのママからの信頼も厚い。
しかし、店では沢山の人から信頼されている彼だが、恋のステージになると非常に臆病な一面があった。
ゲイである彼が恋に落ちるのは、いつも20代になって間もない、青臭さのある若い青年だ。
これで相手も同じゲイか、そんな気配の滲む相手であれば、もう少し違ったのかも知れないが、その殆どがノンケ────所謂ノーマルな性質の青年であった。
同じゲイ同士でも、好みや相性の合う合わないがあるのに、これでは尚の事望みが薄い。
男はそれを判っており、今までに何度も恋破れて来た為、すっかり奥手になってしまった。
そんな彼が、一年前から一人の青年と交際を始めたと、レオンは聞いた。
初めは保護者的立場として知り合い、少しずつ、時間をかけて人間性を理解して貰ったうえで、彼はゲイである事、好意を寄せている事を告白した。
相手は驚いていたそうだが、長い時間をかけたお陰か、理解を示してくれた。
レオンも交際相手と何度か会った事があり、少し気が弱そうだが、優しそうな青年だと思った。
その青年から、先日、別れ話を切り出された。
男の事を憎からず思っているのは確かだが、どうしても恋愛感情にはなれないし、何より、自分自身が大切にしたい女性が現れたと言うのだ。
男は、真摯な瞳で見つめる青年の気持ちを察し、涙を堪えて、別れる事となったのである。
「仕方がない事なのよ。一年、一緒に過ごしてくれただけでも、アタシは幸せだったわ。そう思わなくちゃ」
すん、と鼻を啜って、男は言った。
レオンは、ジャケットの内ポケットに入れていたハンカチを取出し、男の前に差し出した。
男は、無言で差し出されたハンカチを手に取ると、隣で眉尻を下げて笑んでいるレオンを見て、
「ンもう!ホントよ!アタシ、本当に幸せだったんだからねっ!」
「ああ、判っている」
「あぁ~~~ん!!」
レオンのハンカチに顔を埋め、そのままカウンターテーブルに突っ伏して、男は泣き出した。
それを見たママ───と言っても、男であるが―――が、呆れたように溜息を吐く。
「だったら、いつまでもレオンに愚痴っていないで、次の男でも見付けておいで」
「嫌よぅ!アタシ、もう恋なんてしないわっ!こんなに悲しいのもう嫌だもの!」
「あんたから恋を取ったら、何が残るんだい。悪いね、レオン。毎回こんな愚痴に付き合わせて。嫌ならそう言ってくれればいいんだよ。あんた、静かに飲みたいんだろう」
「まぁ……でも、構わないよ」
レオンはカクテルグラスを傾けて、詫びるママに小さく笑った。
「此処じゃ俺も色々と世話になってるし。俺に愚痴るくらいで気が済むなら、幾らでも聞くさ」
「あんた、会社でもそんな事言って、あちこちから誘われてるんだろう。たまには断るって事を覚えないと大変だよ」
「…そうかもな。気を付けよう」
「……やれやれ」
気を付ける、と言いながら、レオンの口元は笑んでいる。
全くそんな気がないと判るレオンの反応に、ママは呆れたように肩を竦めた。
男は、まだおいおいと泣いている。
このまま放って置けば、彼はいつまでも泣いているだろう。
そろそろ彼のステージの準備をしなければいけない時間だと思うのだが、彼は全く気付いていないようだ。
「ほら、そろそろ泣き止め。ステージ、もう直ぐあんたの番だぞ」
「ううっ……駄目よォ。こんな顔じゃ出られないもの。誰か代わりに出て貰って…」
「そんな勿体ない事しないでくれ。あんたのステージ、俺、結構好きなんだ」
おんおんと泣きじゃくっていた男が顔を上げる。
「……本当?」
「ああ。あんたのステージは、凄く綺麗で、あんたが凄く楽しそうだからな。俺も見ていて楽しくなる。────そうだ、今度彼氏が出来たら、一度見せてみたらどうだ?あんたの良さが伝わると思うぞ。少なくとも俺は、あのステージであんたの良さを知ったからな」
静かに語る青年の横顔を、男は食い入るように見つめていた。
視線に気付いたレオンが向き直り、青灰色の瞳を柔らかく細める。
整った面立ちに、額の傷の所為で、一見近寄りがたい印象を与える青年の、とても優しい微笑みだった。
男は、手に持っていたレオンのハンカチを、ぎゅうっと握り締める。
そうして、黒の瞳に一杯の涙を浮かべた男に、レオンは「ん?」と首を傾げた。
「もう!好き!レオン、アタシと結婚して!アタシを抱いて頂戴っ!」
「え?い、いや、俺は、」
「こォら!お客さんを困らせるんじゃないよ!」
がばっとレオンに抱き着こうとした男を、素早くママが首根っこを掴んで阻止する。
「ほら、あんたはさっさと準備に行きな!」
「あぁ~ん!レオン~!好きィ~!」
「……あ、ありがとう……?」
ママにずるずると引き摺られ、店の奥へと連れて行かれる男を見送り、レオンは半分呆けながら告白に返事をした。
そのまま声が聞こえなくなると、レオンは椅子に座り直し、ほっと小さく息を吐く。
彼のステージパフォーマンスを気に入っているのは確かだし、その本人も素晴らしい人だと思う。
しかし生憎、レオンは恋愛云々に興味がないし、そもそも、同性愛者ではない。
仮に彼の想いに答えたとしても、きっと今日と似たような結末になるのは、目に見えていた。
……と、真面目に考える以前に、彼も本気でレオンに「結婚して」と言っている訳ではないだろう、とレオンは思い直す。
(でも今は、寂しい時期だろうからな。早く良い人が見付かるといいが)
優しい人であるだけに、相手を想ってこそ身を引いてしまう所があるらしい。
もうちょっと強引でも良いと思うんだけどねェ、と後輩の誰かが言っていた。
そんな彼を、守ってくれるような人が、早く現れれば良いと思う。
カラン、とカクテルグラスの中で、氷が小さく音を鳴らす。
底に残っていた液体を飲み干し、レオンはバーテンに二杯目を注文した。
数十分後、ステージから聞き慣れた音楽が流れ、煌びやかなネオンが光り出す。
その中心で踊る人を見て、やっぱり綺麗だな、レオンは小さく微笑んだ。
オカマバーで飲んで、ゲイとかオカマさんと仲良くしてるレオンさんに萌えた。
多分私、コンフュにかかってたんだと思う。でも楽しかったw
何処で飲むにしろ、それ程気にするつもりはないが、やはりのんびり出来る所が良いと思う。
ゆっくりと一人酒を飲みたいと思う日は、特に。
しかし、有難い事と思えば良いのか、レオンは一人でグラスを傾けて、最後までのんびり出来た例がなかった。
職場の周辺にある飲み屋では、大抵先客や後客に先輩・同僚・後輩がいて、レオンを見つけると「一緒に飲もう」と声をかけてくれる。
一人酒が好きなレオンだが、誰かと杯を酌み交わすのも嫌いではなかったから、余程の時でなければ、誘いを断る事はしなかった。
たまに知人がいないようなバーにも行くが、今度は知らない客に声をかけられる。
ほろ酔いの女性であったり、絡み酒の酔っ払いであったり、何故か妙に絡まれる事が多い為、レオンは中々のんびりとする事が出来なかった。
また、ひっそりとしたバーを見つけて間もない頃はのんびり出来るのに、時間が経つと客が増え、声をかけられるようになり、段々と腰を落ち着けていられなくなると言う事も多い。
その為、レオンはあまり常連の店を作らないようにするのが癖になっていた。
しかし、唯一、レオンが度々足を運ぶ店がある。
其処は少し寂れた場所にあり、店先の看板だけはびかびかと賑やかしい、生真面目な性質で知られているレオンと言う人物が訪れるには、場違いに見える店だった。
ステージの上で、派手な衣装を身にまとい、長い睫に紫色のアイシャドウを塗った男が踊っている。
細い体をくねらせ、腰を揺らし、見る者を挑発するように唇を尖らせてみせる男に、周囲から口笛と拍手が起こった。
踊る男を眺める人々のテーブルには、同じように様々なメイクを施し、女物の服を着た男達が傅いて、一緒に拍手を叩いている。
店の中にいるのは、客と店員と合わせて、殆ど全てが男だった。
客のテーブルに着き、酒を注ぐと言う、ホステスが行うであろう役目を担っているのも、男或いは元男。
当然だ────此処はニューハーフの働くショーパブだからだ。
その所為か、店内は何処か世俗から浮いたような雰囲気に満ち満ちており、客もその空気に酔いしれたように楽しんでいる。
そんな世界で、ステージパフォーマンスの為の賑やかな音楽と、店内の盛り上がりを避けるように、カウンターの隅に座っていたのが、レオンだった。
瞳と同じ蒼色のカクテルを傾けながら、レオンは隣に座っている、托鉢の男の話を聞いている。
「……それでェ~…結局ダメだったのよォ……」
「そうか。今回は中々長く続いていたようだったから、俺も上手く行くんじゃないかと思っていたんだが……残念だったな」
テーブルに突っ伏してしくしくと泣く男に、レオンは眉尻を下げ、ぽんぽんと肩を叩いてやる。
「やっぱり、アタシが男だから駄目なのかしら……」
「そんな事はないだろう。いつか、あんたの良さをちゃんと判ってくれる人が現れるさ」
「うぅん、アナタが言うならそう思いたいけどォ。やっぱりねェ~、こんなオッサンに比べたら、若くて美人な女の方が男は好きよねェ」
いじいじと、テーブルに“の”の字を書く男に、レオンは苦く笑うしかない。
レオンは、この托鉢の、女性言葉を使う男が、とても優しくて繊細な心の持ち主であると知っている。
爪先のネイルは、毎日自分で手入れをし、デコレーションを施し、その日の衣装に合わせて変えているのだと言う。
細やかな気遣いを忘れず、それでいて豪快な気質も持ち合わせており、店で働く妹分達からは、“姉さん”と呼ばれて慕われ、バーのママからの信頼も厚い。
しかし、店では沢山の人から信頼されている彼だが、恋のステージになると非常に臆病な一面があった。
ゲイである彼が恋に落ちるのは、いつも20代になって間もない、青臭さのある若い青年だ。
これで相手も同じゲイか、そんな気配の滲む相手であれば、もう少し違ったのかも知れないが、その殆どがノンケ────所謂ノーマルな性質の青年であった。
同じゲイ同士でも、好みや相性の合う合わないがあるのに、これでは尚の事望みが薄い。
男はそれを判っており、今までに何度も恋破れて来た為、すっかり奥手になってしまった。
そんな彼が、一年前から一人の青年と交際を始めたと、レオンは聞いた。
初めは保護者的立場として知り合い、少しずつ、時間をかけて人間性を理解して貰ったうえで、彼はゲイである事、好意を寄せている事を告白した。
相手は驚いていたそうだが、長い時間をかけたお陰か、理解を示してくれた。
レオンも交際相手と何度か会った事があり、少し気が弱そうだが、優しそうな青年だと思った。
その青年から、先日、別れ話を切り出された。
男の事を憎からず思っているのは確かだが、どうしても恋愛感情にはなれないし、何より、自分自身が大切にしたい女性が現れたと言うのだ。
男は、真摯な瞳で見つめる青年の気持ちを察し、涙を堪えて、別れる事となったのである。
「仕方がない事なのよ。一年、一緒に過ごしてくれただけでも、アタシは幸せだったわ。そう思わなくちゃ」
すん、と鼻を啜って、男は言った。
レオンは、ジャケットの内ポケットに入れていたハンカチを取出し、男の前に差し出した。
男は、無言で差し出されたハンカチを手に取ると、隣で眉尻を下げて笑んでいるレオンを見て、
「ンもう!ホントよ!アタシ、本当に幸せだったんだからねっ!」
「ああ、判っている」
「あぁ~~~ん!!」
レオンのハンカチに顔を埋め、そのままカウンターテーブルに突っ伏して、男は泣き出した。
それを見たママ───と言っても、男であるが―――が、呆れたように溜息を吐く。
「だったら、いつまでもレオンに愚痴っていないで、次の男でも見付けておいで」
「嫌よぅ!アタシ、もう恋なんてしないわっ!こんなに悲しいのもう嫌だもの!」
「あんたから恋を取ったら、何が残るんだい。悪いね、レオン。毎回こんな愚痴に付き合わせて。嫌ならそう言ってくれればいいんだよ。あんた、静かに飲みたいんだろう」
「まぁ……でも、構わないよ」
レオンはカクテルグラスを傾けて、詫びるママに小さく笑った。
「此処じゃ俺も色々と世話になってるし。俺に愚痴るくらいで気が済むなら、幾らでも聞くさ」
「あんた、会社でもそんな事言って、あちこちから誘われてるんだろう。たまには断るって事を覚えないと大変だよ」
「…そうかもな。気を付けよう」
「……やれやれ」
気を付ける、と言いながら、レオンの口元は笑んでいる。
全くそんな気がないと判るレオンの反応に、ママは呆れたように肩を竦めた。
男は、まだおいおいと泣いている。
このまま放って置けば、彼はいつまでも泣いているだろう。
そろそろ彼のステージの準備をしなければいけない時間だと思うのだが、彼は全く気付いていないようだ。
「ほら、そろそろ泣き止め。ステージ、もう直ぐあんたの番だぞ」
「ううっ……駄目よォ。こんな顔じゃ出られないもの。誰か代わりに出て貰って…」
「そんな勿体ない事しないでくれ。あんたのステージ、俺、結構好きなんだ」
おんおんと泣きじゃくっていた男が顔を上げる。
「……本当?」
「ああ。あんたのステージは、凄く綺麗で、あんたが凄く楽しそうだからな。俺も見ていて楽しくなる。────そうだ、今度彼氏が出来たら、一度見せてみたらどうだ?あんたの良さが伝わると思うぞ。少なくとも俺は、あのステージであんたの良さを知ったからな」
静かに語る青年の横顔を、男は食い入るように見つめていた。
視線に気付いたレオンが向き直り、青灰色の瞳を柔らかく細める。
整った面立ちに、額の傷の所為で、一見近寄りがたい印象を与える青年の、とても優しい微笑みだった。
男は、手に持っていたレオンのハンカチを、ぎゅうっと握り締める。
そうして、黒の瞳に一杯の涙を浮かべた男に、レオンは「ん?」と首を傾げた。
「もう!好き!レオン、アタシと結婚して!アタシを抱いて頂戴っ!」
「え?い、いや、俺は、」
「こォら!お客さんを困らせるんじゃないよ!」
がばっとレオンに抱き着こうとした男を、素早くママが首根っこを掴んで阻止する。
「ほら、あんたはさっさと準備に行きな!」
「あぁ~ん!レオン~!好きィ~!」
「……あ、ありがとう……?」
ママにずるずると引き摺られ、店の奥へと連れて行かれる男を見送り、レオンは半分呆けながら告白に返事をした。
そのまま声が聞こえなくなると、レオンは椅子に座り直し、ほっと小さく息を吐く。
彼のステージパフォーマンスを気に入っているのは確かだし、その本人も素晴らしい人だと思う。
しかし生憎、レオンは恋愛云々に興味がないし、そもそも、同性愛者ではない。
仮に彼の想いに答えたとしても、きっと今日と似たような結末になるのは、目に見えていた。
……と、真面目に考える以前に、彼も本気でレオンに「結婚して」と言っている訳ではないだろう、とレオンは思い直す。
(でも今は、寂しい時期だろうからな。早く良い人が見付かるといいが)
優しい人であるだけに、相手を想ってこそ身を引いてしまう所があるらしい。
もうちょっと強引でも良いと思うんだけどねェ、と後輩の誰かが言っていた。
そんな彼を、守ってくれるような人が、早く現れれば良いと思う。
カラン、とカクテルグラスの中で、氷が小さく音を鳴らす。
底に残っていた液体を飲み干し、レオンはバーテンに二杯目を注文した。
数十分後、ステージから聞き慣れた音楽が流れ、煌びやかなネオンが光り出す。
その中心で踊る人を見て、やっぱり綺麗だな、レオンは小さく微笑んだ。
オカマバーで飲んで、ゲイとかオカマさんと仲良くしてるレオンさんに萌えた。
多分私、コンフュにかかってたんだと思う。でも楽しかったw