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くのいち2-1


「ふっふふふ……」
「!!!?」

 どこからともなく、少女たちの笑い声が聞こえてくる!

「この忍者ステージは、この広い空間で連戦するのですぅ!」
「むうっ!!」

 つまり……次の部屋に行って闘うのではなく、この場でこのまま、次の敵が襲いかかって連戦、ということか。次の敵は……むらさきしのめの3倍の力か3人分ということになっている。

「これがくのいち忍法最高の秘技! 分身の術です!」
「あっ!」

 そこには、複数のくのいち少女たちの影が、僕の前で腕を組み、立ちふさがっていた。分身……つまり、こいつらはむらさきしのめの分身体とでも、いうのだろうか……徐々にシルエットが明かされるにつれて、少女たちの姿が見えてくる。

「こ……これは……」

「くのいち透明ッ!」「くのいち透明ッ!」「くのいち透明ッ!」「くのいち透明ッ!」「くのいち透明ッ!」「5人揃って……」「いやもう裸やん君ら……」

 そこに立っていたのは、なんと5人の全裸美少女たちであった。

 ご……ごにん……だと!?

 ばかな……

 たしかに、ここは特殊なステージだ。下の階までとは違って、ふたつの部屋が用意されていて、一人との戦いに勝ったら隣の部屋に進み、3人、またはそれに匹敵する相手と勝負してから上の階に進む……そういうステージではない。あくまで、ひとつのステージで、連戦をするってことなんだ。

 でも、ルール上は、次の相手は3人か、あるいはそれに匹敵する者(つまり前の部屋の娘の3倍強い)という設定のはずなんだ。

 しかしながら、僕の前に現れたのは、むらさきしのめの”分身”たち。彼女が絶頂する直前に、苦し紛れに叫んだ”忍術”である。そして、そこで現れた女の子たちと勝負をすることになるんだ。分身と言っても……どうやら、本当に、むらさきしのめの分身、というわけではなさそうだったし、ルール上3人でなければおかしいのに、明らかに女の子は5人いるッ!

 全員、しのめちゃんに顔かたちはよく似ている。そっくりと言ってもいいくらいに似ている。ポニーテール、まるっこい顔立ち、幼さの中にほのかに香る色気……分身と言って差し支えない娘たちだった。だが、どこか全員、むらさきしのめよりも小柄に見える。実際に背の高さを比べようにも、しのめは消えてしまったので分からないが、若干、彼女たちは小さいように感じるんだ。どうしてだろう?

「じゃじゃーん! 実は私たち、6つ子なのでしたー!」「トシは同じ。でも、しのめおねえちゃんがやっぱりイチバンだよねー」「ねー!」

「……。」

 タシカニ……元ネタでもムラサキは5つ子ってことで、分身じゃあなかったんだけどねえ。でもココマデ露骨だと、もうパロディの良さも何にもないじゃあないか!

 とにかく、次の相手は、この5人だ。3人相手でも、連戦に次ぐ連戦で、精力を温存させながら次に進まなければならない身なので大変なのに、いきなり5人だなんて……狡すぎる。”しのめおねえちゃんがイチバン”って言った娘がいるが、その発言にチョット期待してしまう。

 とにかく、この状況で、一対多人数は圧倒的に不利だ。特に、このだだっ広い日本庭園では、しかも、相手はこの庭の詳細まで知り尽くしているんだから、どうしても勝ちにくくなってしまう。池に行こうが木に隠れようが、彼女たちは集団で僕を捕まえ、庭を逃げ回っても、足の速いくのいちに勝てる道理なんてありはしない。

 やっぱり、屋内で戦った方が良さそうだ。なんとかして、この庭の片隅にある小さな屋敷に逃げ込み、そこに彼女たちを誘い込んで、畳の上で闘うのが良いだろう。もしかしたら、忍者屋敷の利点を、僕も活用できるかも知れない。

「よくもしのめねえちゃんをイかせたねー! ゆるさないッ! これでもクラエ! にんぽぅ、影縫いの術!」

 5人のうちの一人が、どこからか取り出した”くない”を僕の影に投げ刺した! しまった!

 影縫いは、くないのような武器を僕の影に刺すと、僕の全身がまったく動かなくなってしまうという、くのいち忍法の基本だ! そうやってくのいちたちは、思う存分、動けない男から精を根こそぎ奪い尽くしてしまうんだ!

「……。」

 僕は手を上げてみた。

「……。」

 みんな黙っている。

「……ねえ。動くんだけど。ほら。」
僕は手足を動かし、軽くあちこち歩いて見せた。くないは庭に刺さったまま、僕の影を捉えることなく、光に晒されたり、再び僕の影の中に入ったりしているものの、僕の動きを止める効力をまったく有してはいなかった。

「ちょっ。チョット、ちょっとちょっと! まって! ね、チョット待って!!!!」

 小娘は、近くの木の裏から、何やら小さな和紙の冊子を取り出し、ふせんの貼ってあるところを開いて読み始めた。「ナニナニ……影縫いの術とは”対象者に影に対する暗示をかけ、影に手裏剣(主に苦無)を当てる事で相手の動きを止める暗示をかける。(wikipedia)”だって。やりかたは……あってるよねえ。」

 彼女はごにょごにょ言いながら、何がおかしいのか分からないまま、首をかしげている。他の娘たちも、隠しておいた小冊子を取り出して、これから使おうと思っていたであろうページをくくって読み直している。

「ねえ。あのさあ。影縫いって、暗示の一種だから、先刻別のくのいちと苦闘の末勝利した相手には、そんな暗示にはかかりにくいんじゃないの? 暗示って催眠だし、催眠術がヘタだったら、そもそもどうにもなんないしさあ……」
「あ……そだねー」
「そだねー……」

 やっと気づいたらしかった。どうやらこの娘、影縫いに失敗したらしい。僕がもう暗示にはかかりにくくなっていることと、そもそもそれ以前に、この娘の暗示術が言い尽くせないほどどヘタクソで、しかもいちいちマニュアル冊子を見返して”おかしいなあ、おかしいなあ”とくり返しているありさまだ。みんなもマニュアルを見返し続けている。そしてなにやら、ゴソゴソ相談している。

 やっと分かった。

 むらさきしのめと、この5人は、あわせて6つ子であることには変わりないのだが、しのめを除く5人は、じつは忍術がヘタクソなんだ。しのめは最強なのだけれど、それ以外の5人はそうでもなかった。どうやら、この5人で、むらさきしのめ3人分の力しかないとみて間違いないだろう。

 しかしながら、すでに忍者服を脱いで全裸になっていて、首から下の毛までしっかり処理が施されている彼女たちの裸体を見るにつけ、肌だけはしっかり磨かれてきめ細かく、おっぱいも小ぶりながら形がよく、ペニスを射精させるには十分な武器に育て上げられていたことを、充分に感じさせていた。

 年齢的に言えば、やはり6つ子、しのめと同じ女子高生くらいだ。そのふとももの肌などを見れば、しっかり毛穴も目立っていて、それでいてほどよい太さもあり、幼さを残すふくらはぎと、もっちもちした吸い付くみずみずしい若い肌を誇っている。
 
 電車などでよく見かける女学生の生足も、じっくり見れば毛穴が目立ち、剃っているのだなあとよく分かる。そして毛穴の間は離れている。幼女なんかに比べれば、当然肌細胞も大きくなっているので、毛穴の間も拡がる。それなのに、そんな女の子の生足の感触は、えもいわれぬ極上の肌触りなんだ。そのやわらかさも特筆に値する。

 だが、目の前の娘たちは、脚の形は間違いなく女学生のものそのものなのだけれども、毛穴もしっかり分かるのだけれども、剃っているのではなく、もっと丹念に、一本一本きちんと処理をしていて、毛根の奥までキレイにミクロ単位で無駄な部分が取り除かれているのだった。

 それだけではない。

 毛穴どうしの間が、普通の女子高生とは全然違う。キメがあまりにも細かく、肌細胞一つ一つが小さくて、密集している。それだけ、肌の質がきわめて高く、触り心地も、他の女学生の数倍の滑らかさシコシコ感を誇っているのだろう。また、普通の女の子の脚は、特徴的すぎるホクロやら虫刺されの跡やらシミやらで結構イロイロくっついているものだが、このくのいちたちにはそれらがまったくない。

「ねえ。どうやったら、そういうキレイな素足になれるん?」

 これは僕だけでなく、すべての女性が知りたいところだろう。彼女たちも、こんなきれいな脚になりたいに決まっているが、自分の現実を知っていて、理想とのギャップに、密かに苦しんでいるもんだ。だいじょうぶ! そのままでキミは美しい! あゝ、そう言ってやりたい!(セクハラで~す♪)

「これねえ、子供の頃から、全身に特殊な薬草の汁を毎日目~一杯すり込んで……」
「毛の処理も毎日ハリのような道具で丹念に……」
「ケッコウ痛いんだよねえ……あの薬も毛の処理も……」
「特別な石鹸で洗ったりね。肌を磨く一環だもん。仕方ないよ。くのいちはそうやって、女体を強化するんだから!」

「た……たいへんですね……」
そう言ってやるしかなかった。

 くのいちたちの鍛錬は、外見の美しさや、肌を磨くことだけではもちろんない。むらさきしのめと同様に、幼少時からのセックステクニックのたたき込みと、ハリガタを用いた挿入訓練などはひととおりこなしていて、耐久力も精力も十二分にある。

 物心ついたときから、彼女たちはセンパイのくのいちたちに毎日性感帯を責められ、強力なバイブハリガタでオンナをいたぶられる。それでも絶頂してはいけないという訓練を、ずっとずっと受け続けてきている。そのおかげで、並の責めでは音を上げない肉体へと強化されているんだ。のみならず、手コキ、フェラチオ、パイズリ、スマタなどをはじめ、本番挿入時のオンナの締め方、腰の振り方、特殊な必殺の一撃などをも、毎日訓練を積み重ね、防御力・総精力のみならず攻撃力も抜群に高められている。

 ただ彼女たちは、忍者としての失敗率が高すぎるので、年齢の割には第一線として認められていない娘たちなのであった。影縫いなどをはじめ、忍者として身につけなければいけない忍術の数々を、一応は使えはするものの、その成功率は低く、肝心なときに役に立たない。

 男の精を絞るには十分な肉体を具えていながら、それだけで通用する甘い世界でもないというわけで、むらさきしのめは第一線で表舞台に出られたが、のこりの5人はしのめねえちゃんのついで、という扱いしか受けないらしい。

 まったく……

 うちの姉もこんな連中しか召喚できなかったのかよ。どうやらむらさきしのめを手に入れるだけで手一杯で、”しのめ3人分”までは用意しきれず、仕方なくこの5人で3人の代わりとしたらしい。

「そうだ。しのめねえちゃんから直々に手渡された”5人揃って成功する忍術集”持ってるよ!」

 ひとりが、熱帯地方にいそうなピカピカの蝶のような色の小冊子を取り出した。そこには確かに、”5人揃って成功する忍術集”って手書きで書かれている。どうやら個人個人では忍術の失敗率が高いので、しのめちゃんが5人向けに書いた虎の巻のようだった。

 薄い冊子で表紙だけ妙にピカピカしている。一目で分かるように工夫されているのだろう。とても薄いので、忍術といっても数種類程度しか書いていないらしい。5人分の忍力を結集させて、特別な忍術の成功率を高めるための手法が書かれているようである。

 この娘たちには、しのめと同じ忍術はほとんど使えない。だが、このピカピカのマニュアルのとおりにやれば、5人結集した特別なくのいち忍法が使えるらしい。

「よし! これなら!」
「まって。コレ、忍術4種類しか書いてないね。あと、冊子の最後に何かオマケみたいな小袋がくっついてるよ。」
「みんなで一斉にパワーを結集させて、このマニュアルのとおりに一つ一つやっていくみたいだね。」
「じゃあ、その4忍法、やろうよ!」

「……ためしたことないのかよ……」
僕は溜息をついた。

 いや……そういうのがあるんだったら、実戦前になんかのタイミングで練習しとけよ。そういうところが抜けてるんだよなあコイツら。って、彼女たちもどうなるか分からないようなヘンな忍術を僕に試すのかよ! 危ないよ! うゎどうしよう!

「~~~!」「~~~!」「~~~!」「~~~!」「とりゃあ! ”追想による性欲増強の術”」

 4人が力を込めてひとりの手を握り、これで5人分のパワーをそのひとりに集めきる。そのパワーで忍術を発動させ、僕に降りかかってくる。まさか、全部、こういうやり方で忍術を発動させる気なのか?

「!!!」

 とつぜん、僕の目の前の光景が変わった!

 それは子供の頃の年代にあった、独特のニオイのする車の中だった。僕は後部座席の真ん中に座っている。袖なしのシャツに、ぴっちり短い半ズボン姿だ。

 目の前に、マニュアル車のチェンジギアがくっついている。先っぽが丸い。クラッチを踏んで、コイツを動かすことで、1~4速まで変えるんだよなあ。時速100キロを超えると警報音も鳴るんだ。あぁ懐かしい。

 運転席にも、助手席にも、誰も乗っていない。が、この光景は、確かに覚えている。小学生時代の、ある夏休み。近所の子供たちを預かって、両親が僕をドライブに連れて行ってくれたときの光景だ。

 でも、前の席に大人はいなかった。エンジンもかかっていない。

「みんな乗れるかなー」後部座席に3人の女の子が入ってくる。たしかこの時……僕が6年生で、彼女たちが13歳だったかな。その一年前だったかな。その記憶は定かではない。

 後部座席に子どもが4人。かなりぎゅうぎゅう詰めだ。彼女たちも、昔にはなかった(はず)のキャミソールに、僕によく似た半ズボン姿(ただし生地はやわらかくてダブダブ)という、夏らしい格好をしていた。「詰めればみんな入れそうだよ!」女の子たちは、真ん中の僕にぎゅうぎゅう体を押しつけ密着させ、みっちり圧迫してくる!

 うわ! 生足が! ふとももが! ストッキングもない、一個上のおねえちゃんの素足が、半ズボンの僕の両脚に、両側からぴったりくっついている!

 上半身も、きめ細かいお姉ちゃんの腕が、ぴったり僕に密着している!

 ぴったりくっついた女の子の生足は、吸い付くようで、みずみずしくとてもキレイで、きめの細かさも抜群だった。そんなふとももが、根元から膝のあたりまで、ぴったり僕にくっついて離れないのだ。

 少女たちはもぞもぞ狭そうに動く。そのたびに生足がこすれあい、僕の両脚にシコシコスベスベとすりすりし続ける。その密着の度合いの高まりが強まるほど、彼女たちはわざと、生足を大きく上下左右させて、僕の肌に自分のふとももの肌を強く大きくこすっていくようになる。

 僕の方も、お姉ちゃんたちの足の感触やぬくもり、吸い付くような肌触りの誘惑には勝てず、ぎゅうぎゅう押してくる両側の娘に対して、さりげなく脚を外側に押しだし、より一層密着し、スベスベとこすり合わせるようなしぐさをゆっくりとし続けるのだった。

「ね。やっぱり後部座席に4人はキツいよねえ。」

 両側の娘はついに、片足を上げて僕のふとももの上に乗せてきた!

 右側のお姉ちゃんは左足を僕の右足の上に乗せ、さらに密着してくる! 左側の娘は右足を僕の左足の上に乗せて、さらに詰めてくるのだった。

 おかげで、僕の両脚外側部分は、少女たちの内股部分にしっかり密着するようになり、そのやわらかできめの細かい感触がぎゅうっと吸い付いて離れてくれない。それなのに彼女たちは、小刻みに内股部分までもを上下させて、そのやわらかな脚の感触を、僕の両脚に刻み込んでくるのだった。

 さらに、両側の少女たちの素足は、しっかりと僕の半ズボンを含めた下半身全体をまんべんなく滑っていって、これでもかと女子特有の生足の良さを刻みつけてくる!

「これなら狭くないねー」
「……ねえ、この子、おちんちん……」
「クスクス……たってるねえ!」

 年上のお姉ちゃんの半ズボンはやわらかで、そこから伸びる素足が、僕の両脚をスリスリとこすれていく。そのスベスベの吸い付く感触が、僕をすっかり欲情させてしまっている。デニムの半ズボンの下には白いブリーフがあったけれども、小学生の包茎ペニスは、お姉ちゃんたちの生足攻撃で、すっかり元気になってしまい、硬めの半ズボンでさえも押し上げるようにして、股間部分がすっかり隆起してしまっているのだった。

 周囲から見ても、僕が勃起していることはすぐに分かるし、何より、彼女たちがスベスベのふとももを僕の下半身に滑らせているために、どうしても生足が、半ズボンの僕の股間部分にも容赦なくこすれていく。そこに押しつけられる少女のやわらかな脚の感触が、隆起したペニスにもやわらかな圧迫を加えていた。

 彼女たちは、僕の足に、男子のふとももとは完全に異質な女子特有の成熟した女のなまのふとももの感触を刻みつけ、その肌触りの心地よさ、男子の脚との完全な違いを、まざまざとカラダで教えてくれている。そして、僕の男性としての欲情は、それに完全に応えるようにして、性欲爆発、ペニスを硬く盛り上げてしまっていたのだった。

「かーわいい♥」

 両側のお姉ちゃんたちは、僕の手を取って、自分たちの股間の間に無理矢理ねじ込ませてきた! なまの内股の感触が、僕の手にじかに感じさせられる!

 少女たちは、やわらかな生地で出来た半ズボンの股間部分と内股部分、横尻部分や、太ももの付け根部分など、男子とはまったく違う成熟を遂げた部位を、ドンドン触らせてくれた。僕が羞恥心から手を引こうとしても、女の子たちはぎゅっと僕の手首を掴んで離さず、彼女たちの下腹部へと容赦なく、僕の手を突っ込ませて、撫でさすらせる。少女たちの半ズボンは、少し無理をすればすぐに僕の指先なんて滑り込んでしまうほど、伸縮性があった。

「!!」

 彼女たちの半ズボンの中は、なまのお尻であり、ツルツルのオンナ表面だ!

 少女たちは、半ズボンの下に何も身につけていない! じっくり見れば確かに、少女たちの半ズボンは、完全にオンナのタテスジが浮かび上がっていて、その形をくっきりと目の当たりにできるのだった。

「くすくす……女の子の脚、きもちいいでしょ。」
「!!!」

 いつの間にか、自動車の前方、運転席と助手席に、全裸の高校生が乗り込んでいた。車の周囲はうっそうとした森の中で、誰にも見られていなかった。

「ああっ!」

 周囲に密着する半ズボンの女の子たちは、僕の知っている近所のセンパイ娘たちではなくなっていた! 彼女たちはドンドン身体が大きくなり、ついには女学生と同じ姿形にまで成熟した。

 彼女たちや僕の半ズボンさえも消え去り、女の子の生足がじかに僕の下腹部を滑り回っている! それはまごうことなき、5人のくのいち娘たちにほかならなかった。

 ち、違う!

 確かに、昔、こんなシチュエーション、ラッキースケベに近い状況になったことが、1回だけあったことは覚えている。そのとき、たまたま隣に座った一個上のおねえちゃんが半ズボン姿で、チョット狭い車の中で、ぴたぴた生足が触れ合ってしまうので、僕がその、女の子特有のふとももの感触にドキドキしたことがあったんだ。僕は狭そうなフリをしながら、さりげなく脚を広げて、彼女に少しずつ密着するように近づき、彼女のふとももの感触をもっと強く味わいたいと、自分からもぞもぞ動いたことはあった。

 そのとき彼女はもちろん、自分からすり寄ってくることはなかったし、僕の密やかな欲情に気づいていたかどうかさえ怪しいものだった。夏休みの後部座席の想い出といえば、せいぜいがそんなところだったはずだ。それでも僕は、彼女のふとももの感触が触れ合う一瞬一瞬を大切にし、いつまでも忘れないようにして、夜ごとのオナニーのオカズのひとつにしていたものだった。

 しかしながら、くのいちたちは、5人分のパワーで発動させた特殊忍術、「追想による性欲増強の術」で、そんな僕の想い出の中に入り込み、さらに追憶をいじって、もっと露骨なエロシチュエーションだったかのように、僕の記憶を改竄してきたんだ。

 女の子たちが、わざわざ片足を僕のふとももの上に乗せるくらいに自分たちから密着するはずがないじゃないか。しかも、内股を密着させたり、両脚でスリスリして僕を勃起させておきながら、その硬い隆起をクスクス笑って楽しんでいるなんて、近所のお姉ちゃんはそんなドスケベな子じゃなかったぞ!

 そのうえ、自分たちから僕の手を導いて女子の股間を無理矢理触らせ、それも、パンティさえ穿いていない状態のまま、容赦なく半ズボンの中にまで手をねじ込ませるなんて。いくらラッキースケベでも、そこまでのシチュなんてあり得ない!

 それなのに、くのいちたちは、僕の記憶を操作して、あの夏休みの想い出を、より一層悩ましくエロすぎる展開だったかのようにねじ曲げてきたのだった。

 これも一種の催眠なんだ!

「くっそ!」

 僕は手を離し、立ち上がって車から転げ出た。そんなことは、コドモの僕はしていないので、記憶とは違う動きをしたことになる。しかも彼女たちが改竄した記憶とさえも違う行動だった。それによって、催眠のほとんどは効力を失った。

 追想による性欲増強の術は、どうやら一瞬だけの出来事のようだった。時間は数秒も経っていない。僕の記憶をいじるだけなのだから、時間は必要ないんだ。たとえ1秒であっても、僕の記憶の中では何十分でも、えっちな行動を取ったことになる。記憶ってのはそういう性質を持っているからね。

 この技の効果は3つあるようだった。

 ひとつは、僕の記憶を塗り替え、あのたいせつな夏休みの想い出を、一瞬で、淫乱極まるあり得ない展開であったかのように変えてしまうこと。本当の記憶は一時的かも知れないが消え去り、もはや、周囲の少女たちに片足を乗せられ、僕は両手で少女たちの半ズボンの中まで触らせられた、その記憶しか思い出せないでいる。少女たちの正体が、あのくのいち娘たちであることが分かったあとでも、記憶は変わらずに改変されたままだった。

 ふたつめは、忍術の名前のとおり、性欲増強である。女の子たちの足の感触、子供の僕の想い出をまざまざと思い出させられることによって、僕の性欲はギンギンに高められてしまい、すぐにでも性的な行為を始めてしまいたい衝動に駆られる。この忍法は、男の記憶をいじって、その中から性的な記憶を選んで引き出し、さらに強化させて脳にすり込むことによって、昔の性的な追憶を、いま現在にぶり返させ、以て男の性欲を最大限にまで高める効果を持っているんだ。

 そして……3つめは、催眠が一部分、途切れずに残ってしまっていることだった。これが思った以上にくるしい。

 僕の両脚には、目の前にいるくのいちたちの、5人分のふとももの感触が、余すところなく貼り付いている。しかし、僕は彼女たちから距離を取っており、密着しているのではない。車からは脱出できたが、僕の両脚を滑る少女たちの生足の感触そのものは、催眠としてそのまま残ってしまっているんだ。

 だから、自動車から出て、もとの忍者庭園に戻っているにもかかわらず、僕は少女たちのなめらかな素足の感触を、両脚全体に感じさせられ続けているんだ! ぎゅっと両脚を閉じ、内股になって体をこわばらせても、無駄であった。女の子特有のふとももの感触は、きつく閉じた僕の内股にもしっかり食い込んで、シコシコスベスベと滑り回っている!

 さらに、12,3歳くらいだったはずの少女の太ももの感触は、時折大きさを変え、16,7くらいの若娘の生足と同じ太さや成長度合いに変化し、僕の両脚に密着して滑り回っている!

 かと思いきや、彼女たちの足はまた細く小さくなって、滑らかな感触で僕の両脚を、ふとももの付け根からふくらはぎに至るまで、一カ所も隙がないように滑っている。つまり、僕は小中学生のみならず高校生のふとももの、しかもくのいちとして磨き上げられた生足の感触を、催眠ではあるが、四六時中、味わい続けなければならないということである。

 目には見えないものの、細く小さなふとももから太く成長した生足までの、感触だけがいつまでもいつまでも、僕の両脚に密着してこすれ続けている。 

 これによって、あの追憶は頭から消えることなくくり返され、性欲増強はますます募る一方となる。つまり、この3つの効果が揃って、「追想による性欲増強の術」は完全なものとなるというわけだ。

 性欲増強で、小学生の頃のふとももおねえちゃんの記憶がくのいちたちとの密着の追憶に早変わりし、それによって性欲が格段に高められるとともに5人娘への欲情も高められる。さらに彼女たちの生足の感触は、いつまでもいつまでも僕の両脚にまとわりつき続け、決して性欲を途切れさせることなく高め続けてくる。

「さあどんどんいくいよー!」
ぱらぱら……虎の巻のページがめくられる。5人のパワーは結集したままだ。
「悩殺幻影の術! どうだっ!!!!!」
「あ、これってケッコウ単純みたいだね。でも効果は抜群だって。」

 とつぜん、僕の頭の中に、少女たちの肉体のさまざまなパーツが浮かんでき始めた! それは、くのいちたちのスベスベの手、腕、生足、内股、女子高生らしい太いふくらはぎ、おっぱい、お腹、お尻、背中、脇の下、顔、ほっぺ、背中、ツルツルのオンナ……はてはヒザの裏まで、裸の肉体全体ではなく、あえてパーツだけが次から次へと、頭の中にフラッシュバックする感じだ。

 悩殺幻影の術はどうやら、僕の脳内に直接、5人娘たちの顔や脚やお尻やオンナなどの映像を次々飛び込ませてきて、その磨き抜かれた女体の各パーツの良さを見せつける忍術らしい。もちろん、彼女たちの、むらさきしのめに似た美しく可愛らしい顔も、そんなパーツのひとつとなる。結果、僕は彼女たちのことが頭からますます離れなくなる。魅了の忍術の代わりというか、簡易版らしい。

「……えっと、この幻影は、およそ1分ほど続きます。その間は、男性は、術者の肉体のパーツが頭から離れません、だってさ。」

 いや……だからさ、術を試す前に、むらさきしのめが書いてくれた説明もちゃんと読もうよ! 読んで理解してから、ちゃんとやろうよ! ……だんだん怖くなってきた。

 全身を焼き付けて魅了する、というほど高度ではないが、魅惑的な女体の各パーツだけでも、僕の脳内に送り込んでくる。僕はそれをどうしても振り払うことができない! 目をつぶっても、どうしても彼女たちのお尻の形の良さや、気持ちよさそうなオンナ、成熟したふともも、かわいい顔立ちの顔面やポニーテールの若々しい髪型などが、次々と浮かんでは消えていく。

「この技はトラップとしても有効です。イク寸前になっているほど消耗した男性は、性欲増強した状態なので、ここに悩殺幻影が加わると、もうガマンできずにオナニーが止まらなくなります。」

 確かに、目をつぶっていても見えてしまう彼女たちの乳房やオンナのスジやお尻、やわらかそうな口を目の当たりにしながら、しかも催眠でスリスリと滑ってくる彼女たちの大小さまざまなふとももの感触も手伝って、自分で自分のペニスを掴み、しごき上げてしまいたくなる。そのまま、催眠と幻影の刺激だけで、自分のオナニーで射精することさえ可能だ。

 だがもちろん、それで射精しても僕の負けとなる。

 それに、どうしてもオナニーしたくなるような相手のワナにひっかかってしまい、そのまま射精なんて情けないこと、できるわけないじゃあないか!

「多くの敵の男は、オナニーをガマンできず、自分で精力を消費しますが、悩殺幻影の術は1分程度しか効果がないため、まれにそれで射精する男性もいますが、ほとんどの場合、その前に悩殺幻影は消えてしまいます。たいていは、精力が残り1になったところで、ワナは終了となります、だって。」
「あー、じゃあ、残り精力1の男ってことはさ、イク直前のギリギリ限界状態ってことだから、女性によるほんのちょっとの刺激で、射精直前の多幸感に陥るってことだよね。」
「じゃあ、オナニーしている男の前に立ってて、彼がハッとして手を止め、残り精力1になって正気に戻った瞬間にさ、チョイッと挿入しちゃえば、スグ出しちゃうってことだよね。すごーい!」

 少女たちは期待の目で僕を見つめている。

 だが、僕はぶるぶる震えながらも、自分で自分のペニスを掴むことだけは、どうしても堪えきってみせた! まだ、むらさきしのめとの戦いで、苦戦はしたけれども、絶望的なほどには、こちらの精力は激減していなかった。だから、”イク寸前になっているほど消耗した男性”には該当せず、ワナには引っかからずに済んだのだった。僕は自分でペニスをしごいて精力を限界まで消耗させるなどという愚を犯すことなく、残り精力1になってしまうなどという絶体絶命には陥らずに済んだのだった。

 相変わらず少女たちの生足の感触は、僕の両脚を犯し続けているけれども、それでも、僕は自分の欲情には負けなかった。なんとしても彼女たちに勝利し、次のステージに進まなければいけないんだ。

 そう! この上に待ち構えているのは、あの若き日の姉だ! 結婚して子どもを育てるママになる前の、ぴちぴちなレディ時代の姉さんなんだ。こいつこそが、この”五重塔”を作りだし、ヒューマンステージであるにもかかわらず、忍者まで用意するという、かなり特殊な構造に仕立て上げて、僕を射精させようともくろんだ、わるいヤツなんだ。

 RPGでいえば、プチボスってヤツだ。邪悪に性的化した実の姉は、現実世界で近親相姦になるとかなんとか、そういうゴタクは、こっちの精神世界では通用しない。相手が誰であれ、セックスで倒す。こっちが射精してしまえば、永久にこの快楽の塔から抜け出せなくなるが、勝利すれば、さらに先に進むことができる。そういうギリギリの闘いを、僕はここまで勝ち進んできたんだ。いまさら、こんなところで冒険を終わりにするわけには行かないんだ!

 悩殺幻影は消えた。僕の頭の中からは、少女たちのさまざまなパーツが強く現れることはなくなった。だが、ちょいと気を抜けば、オンナ表面やおっぱいやお尻や太ももなどの映像が、1秒程度頭の中に浮かんできてしまう。そのくらいには、一部分の催眠が残っているということだ。

 だから依然として、彼女たちの生足に包まれる催眠は消えない。

 つまり、僕は半分弱ほど、彼女たちによる催眠幻影に取り憑かれたままの状態であることに変わりはない、ということだ。この状態が完全になれば、影縫いなどのくのいち忍法が成功してしまう。そうなったら一方的に抜かれて一巻の終わりだ。が、5人の力を合わせても、完全な催眠には至らず、時間限定で弱まっていくタイプの、中途半端な催眠しかできない。それでも、あの虎の巻によって、半分程度には、催眠が通用する状態に陥ってしまっているということになる。それは充分、僕をピンチにするだろう。

 そのイヤな予感は、残念ながら当たっていた。

「あ! ねーえ、次、コレがいいよ! ”疑似牢の術”だって。ほら、性欲増強の術と悩殺幻影の術がうまくいった場合に限り、この技は発動しますだって。」
「やってみよ! やってみよ!」
「いや待って! だから! もうちょっとセツメイを読んでから、ちゃんとリカイしてから、やったほうが……」
僕はどうしても一抹の不安を覚えざるを得ない。
「君らトリセツ読まないでUSB入れてインストールしようとして失敗、USBのソフトウェアデータごと消してしまってどうしようもなくなるタイプだろ?」
「あ、それ私1回やったわ。」
「私もー!」
「ジマンすんな! どんなに慣れていても、とりあえずインストールの注意事項と手順だけは先に見とけ! 思わぬ落とし穴で、中途半端にプログラムが入っていてどうしようもなくなる場合があるぞ! ホントだぞ! 目はとおせ。な。たのむから。PCだけじゃなくて電子機器を何かにつなげるときも同じだからね。基本だぜ!」
「うーん、じゃ、ちょっと時間ちょうだい。」

 少女たちは、むらさきしのめの書いた説明を丹念に読み始めた。

「えーと、疑似牢の術は、その前にかかった半催眠状態を活用して、敵の男性を一定の枠の中に閉じ込める忍術です。半分かかっている催眠状態の方向性を変えて、影縫いほどではないけれども一定範囲しか男性が動けないよう、その動きを制することができます、だって。」
「その代わりに、敵男性の記憶は元に戻り、肌触りの感触などの催眠状態および、悩殺幻影としてパーツを敵男の脳に送り込むこともできなくなります。」
「つまり……彼のコドモ時代のプチエロ体験は正確なものに戻った上、私たちの生足が絡みついている催眠状態はなくなるし、私たちのお尻とか足とかのパーツの映像を彼の脳に送り込めなくなるってことだね……」
「うーん……でもさ、それらって、彼がオナニーして自滅するためのものだったんだし、それがうまくいってないんだから、これらの催眠がこれ以上持続しても意味なくね?」
「そだねー」
「じゃあやっぱりこの技使おっ! えーい!!」

「ぐっ!!!!!」

 僕は飛び退き、いったん精神を集中させた。いま僕は、半分催眠状態にかかっている。これ以上、彼女たちにいいように催眠されてたまるか。これ以上くのいちの忍術にむざむざ引っかかるわけにはいかない。

 まずは、なんとかして、このくのいちの忍術のひとつである催眠状態から脱出しなければ。

 そのうえで、当初の予定どおり、忍者屋敷の和室に逃げ込み、こちらの有利なポジションで戦闘しなければ、いくら忍術が下手だとはいっても、肉体は鍛え上げられたしのめの同年齢の妹たち5人には勝てないぞ!?

 いったいどうすれば……

 とにかく、和室に逃げ込もう。それと、催眠状態というのは、魔法の類ではない。意識された脳の状態ではない、潜在意識(無意識)とくに右脳に関連するれっきとした心理学的な根拠のある意識状態なんだ。彼女たち5人の力を打ち破るだけの、何らかの方法で、この半分催眠状態を脱出できれば、その疑似牢の術なるものも失敗するはずなんだ。なんとかしなければ。

 僕は彼女たちの左側に逃げ込み、ひたすらに忍者屋敷へと向けて走り始めた。

「えーーーい!!! ”疑似牢の術ウゥゥッ”!!!」
「あああっ!!!」

 僕に、逃亡したり催眠から脱出させたりする隙を与えるほどには、彼女たちはバカではなかったようだ。アホの子なんだけれども、セックスバトルにおいて、敵に主導権を易々と握らせるほどには、オツムが足りていないわけではなかった。

 ちょうど僕と彼女たちとの距離が最大限近くなったところで、疑似牢の術は発動されてしまったのだ!

 ビリビリビリ!

「なっ! なんだよこれっ……」

 僕の周囲に、四方2メートル弱程度の、半透明のロープが現れた! そのロープは数本の束になり、さらに数十センチごとに、半透明の鉄の棒に巻きついて、ぎっちりと固定されてしまっている!

 半透明のくせに、ロープも鉄の棒も硬く、押しても引いてもまったく動かない。そうこうしているうちに、天井にも透明の壁ができ、上からも出られない。ロープや鉄の棒の間からの脱出も狭すぎて不可能だ。

 つまり、一風変わった小さなプロレスリングのようなものの中に、僕は閉じ込められてしまった格好だ。

 僕は透明のハコの中に閉じ込められてしまっている。そのハコの中には、全裸のくのいち5人全員が入っている。この狭い空間に閉じ込められた僕は、逃げることができないばかりか、くのいちたちを含めて6人で、ほとんどいっぱいになってしまうような、狭い疑似牢に押し込められている。この状態で闘わなければならないというのか。

 これでは、逃げることも、和室に移動することもできない。この狭っ苦しい、6人でかなりみっちり(動きがほとんど取れない)リングの中でしか、戦闘することができない状態に追いやられてしまったのだった。

 しかも、庭の土だった床部分はにわかに盛り上がり、ふわふわになっていく。半透明の床は、布団というよりは大きなスポンジのようなものであり、トランポリンのように自由に跳ね回ることができないけれども、少女たちは背の高さを気にすることなく挿入できる体勢を取りやすくできた。

 これは……どうやら男を逃がさないための特別な牢獄らしい。影縫いほど身動きが取れないわけではないけれども、ごく僅かな範囲でしか、動くことができない状態になってしまっている。すばしっこい忍者を捕らえるための罠のひとつと考えられる。

 この技は、もちろん、ホンモノの牢が僕たちのまわりに張り巡らされたわけではない。僕を含めた6人分の共同催眠を活用し、僕の半催眠状態に彼女たちの半催眠状態をあわせて作り出す、不完全ながらも決して破ることのできない、擬似的な牢獄というわけだ。

 ここに閉じ込められた瞬間、少女たちの生足の感触が、僕の両脚から消えた。また、僕に襲いかかってきていた女の肢体のパーツも、頭の中に入り込んでこなくなった。

 しかし、僕を閉じ込めておくだけならば、僕を半催眠状態にするだけでいいはずである。そうすれば、くのいちたちは自由に動き回ることができ、広々と変幻自在に僕にヒット&アウェイ作戦でも採れば済む話だ。

 それでも、彼女たち自身も半催眠状態にして、自分たち自身も疑似牢から出られなくすることには、どうやら理由があるようだった。5人分の半催眠のパワーを僕とあわせ、僕たちを閉じ込める作用のほかにもうひとつ、たいせつな催眠状態を作り出す必要があったのだ。

 それが何であるかは、すぐに分かった。

 きゃいきゃいきゃい……

「なん……だと……!?」

 擬似牢の周囲には、すでに百数十人以上の女の子たち、くのいちたちが、ぎっしりと群がってしまっていた!

 彼女たちはみんな若々しく、そのほとんどが、16~20歳前後の少女たちだった。が、その娘子軍の中に、明らかに彼女たちとは異質な、熟達しきった挙措の、芳紀なる美女も混じっていた。26~……もしかすると30をも超えた妙齢の美女たちかも知れない。明らかに僕よりも年上の、妖艶すぎる女たちは、くのいちたちの間からは「中忍」と呼ばれ、第一線で活躍する若者たち(14~17歳程度)の指導に当たるらしい。

 そんな美女たちまで混じっているなんて。貪欲な男の性的欲情をどこまでもかき立てようとする。

 のみならず、やはり第一線で活躍できる14歳程度の少女たちも大勢おり、みんなが、僕たち6人の姿をハァハァと興奮しながらも、とても楽しそうに見つめているのだ。

 そしてごく僅かに、第一線での活躍をまだ許されていない、訓練生とおぼしき幼い娘たちまで混ざっていることも見て取れた。勉強のため、というよりは、未発達な女の子の肉体をも僕に見せつけ、性欲をさらに高めるために用意されたのだと思われる。

 たいていが、年齢相応の背丈であり、稀に僕よりも大柄な娘やお姉さんもいるが、逆に明らかに小柄すぎるコドモ忍者も混じっているということだ。それなのに、訓練のたまものなのか、特殊な薬を幼い頃から飲まされてきた結果なのか、パイズリができるくらいにまでは、胸が大きく発達している。小学生なのに乳房だけがBカップ以上あるという、アンバランスな体型なのだ。

 彼女たちは、全裸になってしまっている者もいるし、忍者服の上半身をはだけて自慢のおっぱいを見せつけている娘もいる。逆に下半身をはだけて、大人のオンナなのに毛をすべて処理したパイパンの性器を露出させているお姉さんもいる。

 くのいちの忍者服は特殊な構造で、乳房をはだけやすくするために、前側が大きく開いている。戦闘時のくのいちたちは、自分から乳に手を突っ込んで乳頭をこねくり回し、精神統一を図るのだそうだ。

 つまり、ちょっと覗き込むだけで乳房の肉はほとんど外から丸見えになっているということだ。しかのみならず、下半身は、一応忍者用のズボンなのだが、腰のひもを引くとすぐに全部外れる構造になっているうえ、横尻のところが完全に露出されていて、横から覗けば、彼女たちのお尻の肉も、ほとんど外から丸見えになっているということになる。

 忍者服をあえて脱がない娘たちは、そんないやらしいパーツが、脱がないでも見えるよということを、わざと強調しているのだ。その証拠に、忍者服を脱がない娘たちは、脇の下を見せながらおっぱいを見せつけ、横向きになってお尻を見せつけてきたり、脚を持ち上げてオンナを見せつけたりしている。そう、くのいちの忍者服は、横尻部分だけでなく、股部分も裂けて作られており、その布をちょっとずらすだけで、忍者服のまま、挿入ができてしまう構造なんだ。

 さらに、全員が忍者服なのではなく、おへそと脇の下が丸出しの体操服にブルマ(当然ブラとパンティは穿いてない)という格好で悩殺しようという子もいれば、体操服を脱いでブルマ(スジはバッチリ浮かんでいる)だけ、あるいは逆に体操服だけ(オンナ露出状態)という娘もいる。ミニスカートの現代風の少女もいれば、男の子みたいな半ズボンにキャミソールなんて格好の若娘も混じっていた。

 疑似牢の周囲にびっしりと、くのいちたちが貼り付き、わいわいと楽しそうに、そして性的な興奮を包み隠すことなく、僕たちの姿を見ている。女の子の中には、興奮余って、自分の胸や性器をまさぐって悦んでいる子までいた。

 狭い疑似牢に群がりきれない女たちは、忍者庭園にあふれかえって、木に登って僕たちの姿を眺めたり、その木の枝先に股間をこすりつけてオナニーを見せつけている少女までいた。

 この女たちは、ホンモノではない。確かに肌は透けてもいないし半透明でもない。が、じっと注意深く見ると、くのいちたちの体の奥には、ちゃんと木や池や家屋などが見て取れる。気をつけて見れば、彼女たちは透き通り、その奥の忍者庭園の様子を知ることができるんだ。

 つまり、彼女たちは幻影……というより、催眠の一効果なのだろう。

 どうやら性欲増強と幻影の術が合わさって、この強力な催眠が働いているのだろう。影縫いなどは、完全に相手の精神を支配し、指一本動かせなくなるくらいの強力なパワーになるのだが、そこまででなくても、ここまで強烈な幻覚を見せることはできるんだ。

 性欲増強の催眠と幻影の催眠のパワーのほとんどは、僕を閉じ込める疑似牢の催眠へと転換されてしまっているのだが、5人のくのいちたちのパワーがさらに補って、疑似牢の外側に、大小さまざまのくのいちたちが、いろんな格好でぎっしりと周囲を取り囲み、肉体のあちこちを外側から見せつけながら、僕がこの5人に射精させられる様子を、まるで試合観戦のようにきゃいきゃい見つめているように催眠しているのである。

 彼女たちは幻影の一種であって、本物ではない。でも、分かっているんだ。僕が敗北すれば、彼女たちは幻影でなくなり、疑似牢は外されて、ホンモノになった彼女たちのナグサミモノにされてしまうんだということを。

 僕は、そんな彼女たちのあられもない女体の群に取り囲まれ、外を見ればそんないやらしい姿を見せつけられながら、この5人と闘わなければならなくなった。しかも、なかなか身動きの自由が利かない、ごくごく狭い空間内部だ。6人が収まれば、ぎっしりとまでは行かないけれども、少しでも動き回ろうとすれば、すぐに彼女たちと密着してしまう、そんな距離感だ。

 満員電車の寸前状態に近い。もう少し人が乗ってくれば密着できるが、ギリギリそこまで混んではおらず、15センチくらいの空きはあって、自力で立っていなければならないという、一番つらい混雑状態だ。

 そんな状態で、僕たちは裸で向き合っている。そしてその周囲に、大勢のくのいちたちが、僕の射精する姿を一目見ようと、ワクワク待ち構えているんだ。

 だが、そんなことだけで、ただ一方的に敗北する僕ではない。なにか……どこか……突破口があるはずだ。

 鍛え抜かれたくのいちたちの肌と乳房とテクニックと膣。だが、こちらも美少女たちと戦い続け、何度もピンチに陥りながらも、一度も射精せずにここまで来られたんだ。それなりのレベルにもあるし、攻撃力も耐久力もある。精力も……自由に回復できない状態なので心許ないけれども、まだまだ、なんとか温存させながら勝利するくらいの実力は残しているんだ。

 僕だって、決して弱くはない。自信を持つんだ。少なくとも、彼女たち一人一人よりもずっと強いはずの、むらさきしのめを、つい今しがた倒せたではないか!

「あ。ねぇねぇ。”もしも、敵の男性が強い場合、この忍術で対抗しよう”って、最後のページに書いてあるよ!?」
「ほんとだー!」
「あのしのめねえちゃんを倒せたくらいの相手なんだから、念には念を入れよう!」
「~~~!!!」
「えーい! 性感連結の術!」

 ぴりぴりぴり……

 脳が痺れる。抑うつ状態のときに激辛カレーを食べた時みたいに、後頭部の内部がぴりぴりと刺激され、脳の内部で針がプツプツ刺さっていくような、それに近い感じだ。痛みと心地よさが並行する。

 同時に、疑似牢リングの内側に電流らしきものが張り巡らされ、それが僕と彼女たちの体内を流れていく。この電流が、僕の頭をピリピリさせているんだ。

 そのぴりぴり感は、やがて収まってきたが、全身がむずむずとくすぐったくなってきた。性感神経を刺激されているわけではないけれども、自分の身体が、100%自分のものではないような、どこか奇妙な感覚を覚える。

「んで、最後のページの下のところについてるフロク! ピンクのコナっ!」
くのいちの一人が、虎の巻のフロクとして小袋に入れられていたピンク色の粉を、僕にめがけてまき散らした!

「けほっ! こほっ!」
「なっ……なにこれっ……」
「抜け出せないぃぃぃ!!!」

 当然の結果である。

 くのいちの里で採れる薬草か何か、あるいは木の実か何かを、乾燥させて粉末状にしたものなのだろう。もちろん、かなり特殊で強力な効果を持っている秘密のコナに決まっている。

 その粉末を、よりによってこの抜け出せない狭い空間内で僕に振りまいたら、コナは舞い上がって、天井まで閉ざされたリング内の全体を覆い、僕だけではなく、5人のくのいちたちにも同じように降りかかるに決まっている。

 粉は、僕たち6人の肺の奥にまで入り込み、目やペニスやオンナの粘膜に付着、さらに皮膚全体にも付着して、肌の角質の奥へと吸い込まれていった。

「だーかーらー! トリセツをちゃんと読めっつってんだろ! げほげほ!」

 ピンクの粉は、僕たちの体表面と、肺から血液をとおして全身体の奥まで、まんべんなく浸透しきってしまったようである。

「けほ。えっと……”性感連結の術”強力な相手に対して、自分たちの性感と連結させ、自分が感じると男にもダメージが行くようにする。シノビの呪法である。相手が強すぎて歯が立たない場合、また相手の攻撃が強すぎる場合、この性感連結の術を使えば、自分のダメージがそっくり相手のダメージになり、相手の防御力を無視して感じさせることができる。……だってー」
「ただし、同時に敵の男根が気持ちよくなると、術者のくのいちたちの股間および全身の性感神経にダメージが行く。まさに一蓮托生状態だ。……って書いてあるよ?」
「ほんとだー」

 これだと、僕が相手にダメージを与えて感じさせても、ペニスにも同じ数値のダメージが自動的に行くことになり、また、相手が僕にダメージを与えることができたときも、彼女たちの全身に、防御力無視で快感が襲いかかることになる。

 カウンターダメージどころじゃない。そっくりそのまま、相手への快感が自分にも返ってきてしまうんだ。男性の場合にはペニスに集中して快楽が押し寄せ、女性の場合には、オンナと、全身の性感神経の両方に快楽が押し寄せることになる。こっちがペニス集中なのは、その方が強い相手の射精を誘いやすいからなのか、未熟な忍術の5人分の力を合わせて発動できるやっとの限界なのか……そこは分からなかった。

 極めつけは、この付録のピンクのコナである。小袋はテープで留めてあって、剥がすとその下に効果の説明と、小さな文字で注意書きが書かれてあった。人間の快感を強力にしてくれる、くのいちの里でのみ採れる植物の粉らしい。つまり弱体化の妙薬ということになる。注意書きには、「離れて使うこと、自分が浴びたら自分も効いてしまう」と書いてある。

 彼女たちは、それを読まずに使ってしまったのだった。もう遅かった。

「ねえ……さすがに最後の2つはマズくね?」
さすがに彼女たちも気づいたようだ。

 彼女たちはなかなかダメージを受けないよう、幼少の頃から鍛えられているが、性感連結の術が発動してしまったので、僕を感じさせれば、自分たちも気持ちよくなってしまう。なので、彼女たちの鉄壁の防御力は結局、役に立たなくなってしまう。

 これだと耐久力勝負になってしまうので、必ずしも5人側が有利とは限らない。僕が快感を受ければ、5人も同時にいっぺんに快感を受けてしまうことになるからね。

 僕が強い相手だからと思って、ろくすっぽ説明も見ずに使ってしまったが、そのあとのことを考えていなかったようだ。一蓮托生、ということは、強い相手に使った技は、捨て身の技でもあるというわけでもあるのだ。

 そして、疑似牢によって行き場を失ったピンクのコナは、僕にも5人にもまんべんなく貼り付き、肌・口・その他の粘膜すべてから吸収され、体内の奥へと吸い込まれてしまった。これで僕も彼女たちも、性感神経が体の奥底から敏感になり、もともと高いレベルの僕も、鍛え抜かれたくのいちたちのガマン強さも、相当に差し引かれてしまうことになってしまったのである。

 そこへ性感連結が効いているのだから、5人相手で、狭い空間で戦うにしても、僕が圧倒的有利とまでは行かないけれども、互角以上には戦える状態になった。

 周囲に群がる大勢の女たちの姿は、やはり僕の性欲を格段に高め続け、欲情をかき立て続けるけれども、それでも、目の前の5人にきちんと向き合って、真摯に闘いさえすれば、精力を次に温存させたままで、全員を一気に倒してしまうことさえできるかも知れない。

 それを……彼女たち自身が用意してしまうとは。やはり、むらさきしのめ6つ子は、そろいもそろって。アホだ。アホの子だったんだ。間違いない。やっぱりしのめの姉妹だ。

 これなら、この狭い牢獄リングで、5人のキレイな肌の美少女たちに取り囲まれている、さらにその外側に大勢の女たちの幻影がひしめいているという、きわめて危険な戦闘フィールドであったとしても、選択次第でうまくいくぞ!

 戦い方としては……

 まず、ひとりずつ挿入戦。性器の対決だ。こっちが感じれば向こうも感じる。向こうが感じればこっちも感じる。シンプルな耐久勝負とはいえ、まともなセックスバトルの原点でもある。お互いに、自分が感じればその分だけ相手も感じるのだから、どっちが先にイッてもおかしくはない。それならなおさらのこと、性器そのものに物を言わせて、正攻法で戦うべきだ。

 二つ目の選択肢は、ひとりずつ愛撫合戦だ。くのいちはオンナも相当鍛え、なかなか感じないように訓練されたうえ、男根は思いっきり感じさせられるように仕上げてあるらしい。ピンクのコナで相手も弱体化し、挿入戦でも思った以上のダメージは行くだろう。けれども、それでもやはり、どうも心許ない。それなら、あえて攻撃力の高い彼女たちのオンナに挿入することは避け、愛撫中心で、総精力値の高い方が勝つという、消耗戦に持ち込む作戦である。

 しかも、ひとりずつ愛撫合戦しているにもかかわらず、その一人に与えたダメージは、連結の術によって、5人全員にも同じだけダメージが行くことになる。ひとりずつと言っておきながら、一人倒せば残りの人たちの精力は激減しているのだから、倒せば倒すほどこちらは楽になるというわけだ。

 三つ目の選択肢。5人まとめて愛撫合戦。

 5人全員に群がられることになるので、僕の全身やペニスへのダメージは大きくなるが、どうせピンクのコナで、全員に同じダメージが行くなら、僕が大ダメージを受ければ、彼女たち全員にも同じ快感が送り込まれる。それなら、一度に強い快感を女体に送り込んだ方がいい。虎の巻だかなんだか知らないが、おかしな忍術に嵌まったままで、長期戦はマズイ。こちらの精力がチト心配ではあるが、短期決戦で行こう。

 四つ目は、疑似牢からの脱出を試みることである。これはある意味スゴイ考えだ。相手のペースに嵌まったままではなく、この疑似牢を脱出して、フィールド自体を変えてやるんだ。彼女たちは、体術は優れているかも知れないが、忍術には疎い。脱出に成功し、周囲を取り囲む連中もどうせ幻影、何もできはしない。そのまま隠れて、反撃の隙をうかがう。

 つまりこうだ。さっきの追憶を思い出し、なおかつ周囲を取り囲む幻影で、あえてオナニーする。すると、連結の術によって、相手も精力を消耗する。敵に捕まりさえしなければ、見つかりさえしなければ、遠隔操作で、5人の精力を消耗させることができる。そして、イキそうになった相手から捕まえて、愛撫か挿入でドンドン倒してしまえば良いことになる。

 主導権を握り直すんだ。そうすれば、ラクに勝てるだろう。

 ただし、見つかったり捕まったりすれば、かえってピンチに陥るし、5人が揃ってオナニーをするという作戦も考えられる……いや、彼女たちのオンナは感じにくいように鍛えられているので、それで僕をおびき出すのは難しいか。それでも、こっちのダメージは覚悟しないとな。決死の脱出劇となるだろう。

 最後の選択。2:3で分けて戦う。相手を5人として捉えるのでもなく、1+1+1+1+1で考えるのでもなく、2+3で考えるんだ。

 先に2人を相手にする。ピンクのコナで、待っている3人にも性感ダメージは行くんだ。そうやって先に2人を倒す頃には、3人も果ててしまうという寸法さ。交代を許してしまうと、射精の秘孔など、特殊な忍術に持ち込まれてしまう可能性だってある。それを避ける意味でも、2:3に分けて戦うんだ。

 地味なようだが、5人を2人に減らすことができ、しかも残り3人も闘わずしてダメージを与えられる。先に2人を倒してしまえば、残りの3人を倒すのは、難しくなくなってくるだろう。そのときには彼女たちの残り精力も底をついているはずだからだ。

 困難や問題は分けて考えろ。高名な学者先生のお言葉だ。5人ではなく、2と3に分ければ、時間をかけすぎず、人数も多すぎず、アホの子を分割して倒す方法で、活路を見いだすことができるだろう。

 さあ、勝負だ!



ー選択肢ー

くのいち2-2 ひとりずつ挿入戦

くのいち2-3 ひとりずつ愛撫合戦

くのいち2-4 5人まとめて愛撫合戦

くのいち2-5 疑似牢からの脱出を試みる

くのいち2-6 2:3で分けて戦う




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