口を開こうとしない早坂に合わせるように自分も口を閉ざしながら、夜の住宅街の道を進む。遠くから犬の吠え声が聞こえる中、漸く早坂の家の前まで辿り着いたが、早坂は突然歩みを止めて門の前から一歩も動かなくなった。
「? どうしたんだ? あぁ、怪我してるから家に入り難いかな。よしっ、俺がおじちゃんやおばちゃんに事情説明してやるよ。だから、な?」
「……」
明るく笑う望月とは対照的に早坂の表情は一層暗くなり、俯いたまま望月の服の端をギュッと掴む。その反応に望月は小首を傾げつつ、早坂の家の方に目をやると全く灯りが点っていない事に漸く気が付いた。
「あれ? お前ん家、今日誰も居ない訳?」
「うん。……ねぇ駿くん。今日、君の家に泊まったら駄目かな? 僕、今は一人になりたくない……」
服を掴む手と同じように震えた声で頼まれたら、嫌だと断る訳にはいかない(いや、断る気は全くなかったのだが)。……って言うか、これってチャンス!? あぁ、神様。この前はアホ呼ばわりしてすみませんでした。ドサクサ紛れに早坂の手の上に自分の手を重ねる望月の心臓は早くも過剰な期待に暴走しかけていた。
「りょ、良ちゃん。着替えこっちに置いとくな」
風呂場から聞こえる水音と擦りガラス越しに見える身体にドギマギしながら着替えを籠の中に入れ、早坂の返事を待たずに脱衣所を飛び出してしまう。何期待してんだろ。ただ単に汚れてたから風呂に入れただけなのに、脳内は“お風呂の後のお約束”を勝手に妄想している。ドサクサ紛れにヤッちゃえば? 欲望が悪魔の尻尾を生やして自分の頭の上に現れれば、「駄目だよそんなの!」とこれまた天使の格好をした良心がポンッと現れて、悪魔と天使の格好をした小さな自分が漫画のように睨み合っている。
「あーもうっ!!」
頭や手を派手に振って追い払うと悪魔と天使は慌てて姿を消し、頭を抱えてソファーに座っている自分だけが残る。こんなチャンス二度とないかも知れない。良ちゃんの家族も居ない、俺の家族も旅行だの部の合宿だので家を空けて俺一人でお留守番。邪魔者が居ない今こそ、自分の欲望を実現化するチャンスかも知れない。だが。
「駿くん」
小さな声にハッと顔を上げると自分が貸した着替えを纏った早坂が心配そうに自分を見下ろしていた。
「大丈夫? 頭でも痛いの?」
「いや、心配すんなよ。ちょっと考え事しててさ」
「そっか」
タオルで頭を拭きながら隣に座って来た親友からフワリと石鹸の香りが漂って鼻腔を刺激する。自分が何時も使っている物と同じ石鹸なのに望月にはそれが魅力的な香りに感じ、気が付くと過剰な胸の高まりが再発していた。
「駿くんの家も、今日誰も居なかったんだね。……ゴメン。一人でゆっくりしたかったよね?」
「そ、そんな事ねぇよ。一人なんてつまんねぇから、遊びに来ないかって学校で誘ったんだし」
ヤバイ。マジでヤバイ。このままだったら良ちゃんの貞操大ピンチ。ちょ、ちょっと夜風に当たって頭冷やしたいんですけど。声の上ずりに自分の理性が赤信号を発している事を容易に理解した望月はポケットの中に財布がある事を確認するとスックと立ち上がった。
「夕飯食ってねぇんだろ? ちょっとコンビニ行って弁当でも買ってくるわ。お前、どう言うのが好きだっけ」
「嫌だっ!!」
今までずっとボソボソとしか喋らなかった早坂が突如鋭い声を出し、望月の裾を強く引っ張ってくる。思わぬ行動に丸くなった望月の瞳を見詰めながら、早坂は小さく首を振った。
「一緒にいて……僕を一人にしないでよ」
「……」
瞳を潤ませて懇願する早坂の右目の周りに付けられている青痣や未だに血が滲んでいる唇の端を見て、望月は手に持っていた財布をテーブルの上に置いた。
「分かった。何処にも行かない。ちょっと待っててくれるか? 怪我の消毒しなくちゃな」
裾を掴む手の指をゆっくりと解いて、居間から姿を消した望月を見送った早坂は滲んでいた涙をそっと拭った。
別室にある戸棚を引っ掻き回して漸く見つけた救急箱をテーブルの上に置き、消毒薬を付けたガーゼで唇の端を軽く叩くと、叩かれた方が一瞬顔を顰めた。
「あ、わ、悪ぃ。痛かったか?」
「う、うぅん、平気。ちょっと染みただけ」
医者である父親や、同じく医者を志している自分と比べて望月の治療の仕方は余りにも拙かったが、それでも氷を大量に詰めたビニール袋を右目に当てた早坂は一言も文句を言わず、親友に全てを託すようにじっとしていた。
「ったく、アイツら……一般人には手を出すなって何時も言ってんのになぁ」
「駿くん、あの人達と知り合いなの? 一体、あの人達って……。制服を見た感じ、沼丘高校の人だよね?」
「そうそう、沼丘の奴らだよ。うーん、何て言ったらいいのかな。俺の部下ってトコ?」
「そうなんだ……」
小さく答えながら俯いてしまった早坂をきょとんと見詰めていると、落ちていた早坂の肩が小さく震えだし、そのまま全身が激しく震え始めた。
「良ちゃん!?」
「ご、ごめん。な、何でもないんだ。さっきの事思い出したら、ちょっと怖くなって」
何とか口元に笑みを浮かべようとするがその顔色は青く、歯を小さく鳴らしている。望月は慌てて階段を駆け上がり、一分も経たない内に毛布を抱えてドタドタと忙しく下りて来た。
「しゅ、駿く」
何かを言おうとする早坂の肩に毛布をかけ、その足で台所へと消えていく。毛布をギュッと握って待つ早坂の目の前に再び望月が現れたのはそれから暫く後の事だった。その手には盆があり、盆の上に乗った二つのマグカップからは甘い香りがする湯気が立ち上っている。
「ほら。これでも飲んで落ち着け。こう言う時は甘くて温かい物を飲むのがいいんだろ? 医者の卵さん」
「ぁ……」
手渡されたマグカップから伝わるミルクココアの温かさと甘い湯気に引き寄せられるように顔を寄せ、数度息を吹きかけて軽く冷ました後に口を付ける。甘い温もりが口の中に広がり、ゆっくり飲み込むと熱が一気に胃の辺りまで突き進むのを感じた。
「美味しい……。有難う」
「ヘヘッ、どういたしまして。結構コレは自信あるんだ。よく自分で作って飲んでるから。ま、インスタントだから誰がやっても同じなんだけど」
「うぅん、そんな事ないよ。家で飲むココアよりもずっと美味しい」
有難う。再度礼を口にして、早坂は暫くココアを啜っていたが、突如小さく溜め息を吐いてマグカップをテーブルの上に置いた。
「うん? どうした? お代わりか?」
早坂と同じくココアに口を付けていた望月が笑顔を作って声をかけると、早坂は小さく首を振ってポツリと言った。
「……ごめん」
「へ?」
突然の謝罪の意味が分からずに首を傾げた望月の方を振り向かず、じっとテーブルの上に置いたマグカップを見詰める。自分の言葉を黙って待つ望月に早坂は小さく唇を噛み締めていたが、突如くぅっと妙な高音を発して嗚咽を漏らした。
「ごめっ、ごめん……僕、駿くんに迷惑かけないって決めたのに」
「迷惑?」
「うんっ……」
思わぬ単語に眉を顰める望月を一瞥した早坂が小さく頷く。
「僕、前に言ったじゃないか。僕がいると駿くんが他の人と付き合えないって。だから駿くんと別々に行動しようと思ったのに、またこうして駿くんに頼って……」
「お前一人で勝手に話進めんなよな。良ちゃんって何時もそうだ。すぐに無理して、我慢して、自分で自分を追い込んで。良ちゃんは俺に気を遣ってやってる事なんだろうけど、俺にとっちゃそうされる方が辛いんだよ」
「えっ?」
涙に濡れた睫毛を瞬かせながら顔を上げる親友に望月は困ったような笑顔を見せながら、黒髪を軽くクシャリと撫でた。
「お前、一人で弁当食ってたんだって? 一人で寂しそうにしてたんだって? 色んな人が一人でいるお前を見てわざわざ俺に言って来たんだぜ。何で、一緒に居ないんだって」
「……」
「俺が他の人と付き合えないから別々になろう? バーカ、俺はお前と比べたら他の奴なんてぶっちゃけどうでもいいんだよ」
「そ、そんな事言って。ホントに無理しなくていいんだよ?」
「そりゃ、こっちの台詞だよ。もう無理すんな。自分に正直に生きろよ。俺も正直になる」
この調子なら言えるかも知れない。これからは一緒にいよう、俺はお前が好きだから、と。だが、目元をグシグシと拭っている親友は中々の頑固者だった(意地だったかも知れない。変な所で意地を張る彼だったから)。
「駄目……駄目なんだ。僕、馬鹿だから何時か駿くんを変な事に巻き込んじゃいそうで怖いんだ。さっきみたいに……」
周りから秀才と言われてるお前が馬鹿だったら俺は一体何なんだよ。大馬鹿か? 素直に“うん、一緒にいよう”って言えばいいのに。中々思い通りに話が進まない事に微かな苛立ちを覚えながらも、表面上は笑顔を絶やさずに黒髪を撫でた。
「何で、良ちゃんが馬鹿になるんだよ。あいつらは俺の部下だし、あんだけ言ったんだからもう襲って来ないって」
「うん。そうなんだけど、最初に絡まれた時に正当防衛とは言え、相手を殴って恨みを買ったりしたからあんな事になったのかなって」
「殴らなかったら、お前が殴られてたんだろ? だから、いいんだよ。もう、そんな事ウジウジ気にすんなって」
「でも、でも、今回は駿くんの知り合いって事で何とかなったけど、もしまた僕の所為でトラブルが生じて駿くんまで酷い目に会っちゃったら……」
何でなんだよ。早坂の黒髪を梳いていた手を止めて、そっと舌打ちをする。何で、そこまで俺から離れたがるんだ。……まさか。心の中にうっすらと浮かぶ不安が瞬く間に胸に広がり、奇妙な息苦しさを覚える。その息苦しさに呆気なく耐えられなくなった望月は不安をそのまま声に出して叫んだ。
「お前、俺と一緒にいるのが嫌なのか!? 俺の事、嫌いになっちまったのかよ!!」
「!!」
突然の大声に固まってしまった早坂の開きっぱなしの瞳を見た瞬間に我に返り、自分を落ち着けるかのように深呼吸をする。動かぬ親友の頬にそっと触れると固まっていた身体がピクリと反応した。
「俺は良ちゃんと一緒にいたい。俺達、ガキの頃からずっと一緒だったじゃねぇか。それなのに今更、別々になろうって言われても出来ねぇよ。お前の為に変な事に巻き込まれるよりもずっと辛い」
「で、でも、駿くん、皆に好かれてるんだから僕一人で独占するのは良くないよ。僕ね、駿くんの事が好きだから別々になろうって言ったんだよ? 駿くんに幸せになって貰いたいから……僕とばかり付き合ってたら好きな女の子も出来なくなりそうだから……」
「――――っ!!!」
好きだから。先に言われてしまった予想外の一言に心臓が大きく飛び出し、自分でも信じられない速度でバクバクと早鐘を鳴らす。異性問題の事を口にする辺り、早坂の言う“好き”は友情としての“好き”なのだろうが、それでも望月の気持ちを昂ぶらせるには充分過ぎる一言だった。
「ば、馬鹿っ。俺の彼女とか心配しても仕方ないんだよ。だって、俺」
「?」
「い、いや、その、何だ」
不思議そうに目を丸くして自分を見詰める早坂の余りにも純粋な表情に次に続けるべき言葉が言えず、何度も咳払いを繰り返す望月の脳裏にふとさっきの公園の景色が蘇った。
「あー、その……良ちゃんさぁ、さっきの公園の事覚えてないか?」
「さっきの公園? うーん……」
「ほら、小学校の時に学校帰りに寄って遊んだりしたじゃんか」
「あぁ、あの公園だったんだ? さっきはちょっとパニック起こしてたから、ちっとも気付かなかった」
「名前が分からない、なんて言ってたもんな。で、さ。お前を助けた茂みでの事、思い出せないか?」
「?? ごめん、思い出せないや」
やっぱり、お前にとってはその程度の思い出なんだろうな。内心でガックリと肩を落としながらも、めげずに早坂の瞳を見詰め、ゆっくりと深呼吸して静かに言った。
「……キス、したの覚えてない?」
望月の言葉に目の瞬きを細かくした後、あぁっと小さく漏らす。望月の語る思い出を思い出したのであろう早坂は微かに頬を染めてはにかみ笑いを浮かべた。
「うんうん、思い出した。小学校の時だっけ。カップルの真似してキスしちゃったんだ。ホント、あの時は君も僕も子供だったね。興味本位でキスしちゃうなんて」
「俺にとっちゃ興味本位じゃなかった」
「えっ……?」
呟くように言った望月の台詞が聞き取れずにきょとんとする早坂の微かに赤い頬を両手で包み込んで、まだ涙がうっすらと残って潤んでいる瞳をじっと見詰める。早坂の瞳の中に真剣な表情の自分が見えた。
「俺、お前が好きだ。あの時、キスしてからずっと意識してたんだと思う」
「どうしたの? 改まって。僕も駿くんの事、好きだよ?」
「お前は友達として俺を見てるんだろ? 俺の“好き”は違うんだ。お前が俺に笑いかける度にキスしたくなって、抱きたくなって気が狂いそうになる」
「えっ? な、何それ。どう言う事? 抱きたいって……」
自分から視線は反らさないが、その表情は明らかに困惑している早坂を見ると胸が痛むのを感じたが、長い間留めていた想いと欲望を止める事は出来なかった。
「だから、そのまんまだよ。この前もお前の写真見ながら、脳内でお前をレイプしてイッた」
「な、何言ってるの? よく分かんないよ」
口元は何とか笑みを作るが瞳を反らし、頬を包んでいた望月の手を掴んで自分の顔から引き離す。その行動が望月の欲望を暴発させる起爆剤になる事も知らずに。
――良ちゃんが、俺を拒んでる。
引き離された手をジッと眺める望月の心の中を焦りと欲望、受け入れて貰えないと言う自分勝手な怒りが交錯する。頭に熱が上って全てが爆発した瞬間、見詰め続けていた手が無意識の内に素早く動き、早坂の手首を掴んだ。
「しゅっ、駿くんっ!? んぅ……!!」
突然の事で白黒させていた目を固く閉じる早坂との口付けは、さっき飲ませたココアも手伝って文字通り甘い物だったが、早坂は苦しそうに腕の中でもがいていた。
「やっ、やだっ! 僕……あぁっ!」
狭いソファーに早坂の身体を押し付けて自分が貸した服を強引に引っ張り下ろすと、ずっと見たいと思っていた早坂の本体が小さく揺れながら望月の視界に入った。
「やぁっ……やだ、ぁ……!!」
恥辱と得体の知れぬ恐怖に涙を流して顔を隠す早坂を無視して、想像していたよりも形が良かったそれを暫し観察した後、テーブルに手を伸ばし、殆ど溶けて小粒になった氷が泳ぐビニール袋を乱暴に破って手を濡らす。片方の手で己を引っ張り出し、氷水で濡らした手でゆっくりとそれを扱きながら、視線をソファーに戻すと早坂が小さく身体を震わせて泣きじゃくっていた。
「ぃやだ……駿くん、お願い……止めてよ……」
「……」
涙声で拒む親友に望月は何も答えず、再度テーブルの上を濡らしている氷水に手を伸ばす。早坂の甲高い悲鳴が居間に響いた。
「やぁああっ!! や、やめてっ、そんな、トコッ……!」
誰にも触れられた事のない蕾の周りを濡れた指が撫でたかと思うと、爪の先程の小さな氷が中に埋め込まれる。其処は熱いのか、小粒の固体は瞬く間に液体に変わり、ソファーの上に伝い落ちた。
「良ちゃんのココって結構熱いみたいだな。俺、火傷したりして」
「っ!! きっ、汚いよ、其処……ひあ、ぁ……」
濡らされた蕾に同じく濡れた望月の中指が無遠慮に入り込んで、中の感触を貪って来る。未知の感触に早坂は喘ぎ、力が入らない拳で望月の身体を叩く事で抵抗するが、それさえも望月の情欲を掻き立てる媚薬と化しているようだった。余裕の笑顔を浮かべながら、微かに性的反応を見せている早坂の側面を軽く指で撫でる。
「何だかんだ言っても良ちゃんもちょっと硬くなってるじゃん。少しは感じてるんじゃねぇの?」
「か、感じてない……痛くて、気持ち悪……っ !! だ、駄目!! そんなの無理! 入んないよ!!」
指が離れて少し安心するのも束の間、指とは比べ物にならない一物の先端が触れて来て、ぐっと蕾の入り口に押し込まれて来る。指以上に感じる強い圧迫感に息が詰まるのを感じながら、早坂は必死に無理である事を訴えた。
「止めて、やっ……あああぁぁぁああーーっ!!」
無理に捻じ込まれる事に切れた感触と、それに伴う激痛に悲鳴をあげる。身体を震わせる早坂と中に入ったまま微動だにしない望月の接合部から鮮血が滴り落ちた。
「いっ、痛い……痛いよぉ……!!」
「……」
子供のように顔を真っ赤にして泣き続ける親友に思わず欲情する自分がいる。気が付けば、自分は欲望のままに腰を激しく揺らしていた。
「やだっ……動かしちゃ嫌だ……駿くっ、やめっ、てぇ……!」
相手が初体験である上に水と血液だけで濡れた其処は当然滑りが悪く、ギチギチと硬い音を発していたが望月は特に表情を変えずに早坂の頭を抱え込み、動かし難いであろう下半身を無理矢理前後させて早坂の処女を貪った。
「しゅ、駿くん……どう、してっ」
壊れそうなまでに感じる接合部の痛みに泣きながら、早坂は心の中で望月に問うた。僕の事、好きって言ったよね? それなのに、何でこんな事するの? 僕、痛いって泣いてるのに何で止めてくれないの? 本当に好きだったら、僕が嫌がる事はしない筈だよね? 僕、嫌だよ? 今、駿くんにされてる事、凄く辛いよ?
「……きだっ……良ちゃんっ」
「……?」
頭の上から聞こえた呻くような声に気付き、視線をそっと声の方に向けると自分を抱え込んでいる親友が何かに憑かれたかのように幾度も同じ言葉を繰り返していた。
「良ちゃん……好きだっ……良ちゃんっ……!」
「……」
――お前が俺に笑いかける度にキスしたくなって、抱きたくなって気が狂いそうになる――。脳裏に蘇った台詞に早坂は新たな涙を流した。駿くん、本気で僕の事好きなんだね。僕が思ってる以上にずっとずっと僕の事……。
「……馬鹿っ」
口の中で小さく呟き、余りにも不器用な親友の背中に腕を回す。それにも気付かずに望月は早坂の腰を掴み、欲望のままに早坂の奥を突き上げた。
「んぅっ! はぁっ、あ……」
強い圧迫感に息を詰まらせつつも、ゆっくりと息を吐く事で呼吸を整えようとする。相手の吐息に艶っぽさを感じながら、望月はソファーを壊しそうな勢いで律動を激しくさせた 。
「あっ、しゅ、駿く、んっ……や、は、激しっ……」
「だ、駄目だっ、もうっ……! くっ、あ、ぁあぁぁっ!!」
悲鳴に近い叫び声を上げると共に腰を引き、抜き出したそれを早坂の腹の上で荒々しく扱き上げると、呆気なく早坂の胸や腹の上に白い斑点が散った。
「はぁっ、はぁっ……」
今まで感じた事のなかった独特の射精感に脱力しつつ、腹の上に散った種に呆然としている早坂を目にした瞬間、重要な事を思い出した望月は自分自身を握っていた手を早坂の方へと移動させた。
「ひぁっ!!」
「ほらっ、お前もサッサとイッちまえよ。お前の出すトコ見たいんだからさ」
「いっ、ぁ……あ、あぁ……」
望月の手が早坂を包み込み、手を素早く上下させると震えた声が早坂の口から漏れ出る。羞恥と密かな快楽に早坂は泣きじゃくりながら首を激しく振った。
「嫌、ぁ……そんな、恥ずかしい事したくない……駿くんの目の前でイくなんて……」
「恥ずかしくねぇって。俺だって、お前の目の前で出しただろ? それに今言ったじゃねぇか。お前の出すトコ見たいって」
滲む汗で額に貼り付いた黒髪をそっと掻き上げて広い其処に口付けをし、そのまま涙に濡れた赤い頬を撫でる。身体が干上がってしまうのではないかと心配してしまいそうな程に多量の涙を流す親友の瞳を見詰めながら、望月は早坂の先端に軽く爪を立てて言った。
「見せてくれよ。お前が出してるトコ。イッちまう時のお前の顔」
「んんっ……!! あ、あんっ! で、出ちゃっ……あぁぁ!!」
思い切り顔を振り上げて天を仰ぎ、腰を中心に身体をビクビクと痙攣させたかと思うと白濁が望月の手を巻き込みつつ辺りを汚していく。生温かく粘つくそれを堪能しながら、望月は早坂の顔と自分の指先で糸を引く種を交互に見た。
「良ちゃんさ、普段から余り抜いてねぇだろ。すっげ、修正液みてぇ」
「……」
望月の言葉には何も返さず、早坂はただひたすらに荒い呼吸を繰り返していた。