こんなん観ました

忘れっぽい自分のための、備忘録的な観賞記録。
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Cronos

2007.05.06 Sunday | 映画作品 > スリラー/ミステリー

Cronos
(1992年)
中世の錬金術師が作り上げた生きた道具、使用者の血と引き換えに若さをもたらすという『クロノス』。
アンティーク・ショップを営む老人ヘススは正体も知らぬまま偶然それを手に入れ、そしてうっかり血を与えてしまったことをきっかけに、自らの身へ望まぬ異変を招いてしまうことになる。
魅せられたようにクロノスを使い続け、次第に自らも血への渇きを抑えられなくなってゆくへスス。そんな彼の身を案じる、無口な幼い孫娘オーロラ。
そんな二人へ、クロノスと永遠の命を求めるガン患者の大富豪、そしてその手先となって働く気性の荒い甥の、危険な魔の手が迫ろうとしていた。
DVDで観賞。

監督は、今年の1月に観て衝撃を受けた映画『Pan's Labyrinth』のギレルモ・デル・トロ。
ホラーとファンタジーの絶妙なバランス、容赦なく血なまぐさい描写でも決して下品にならない見せ方、派手な誇張を施されていない良い意味で地味なストーリー、素朴ながら魅力的なキャラクターたち(特に子供キャラが素晴らしい)等、デル・トロ監督作品に共通している独特の味はここでもしっかり存在。

愛する妻と可愛い孫娘、好きなものに囲まれた仕事。
欲深さなどとも無縁、平凡ながらも平穏な暮らしを送っていたへススの人生は、既に満たされたものであったと思う。
にもかかわらず、ひとつの怪しげな道具を手にしてしまったがためにどんどん歯車を狂わされ、しまいには『人ではないもの』にまで変貌を遂げてしまうという悲劇。
古今東西いろいろな作品において人間が追い求める『不老不死』や『永遠の命』は、実際にはありがたい奇跡や宝どころか『呪い』でしかない。

どんな姿になろうと生きたいという本能的な欲望、そして一方では人としての自尊心、なにより『自分』を失いたくはないという強い願い。
その狭間で揺れ動くへススを救おうとする孫娘オーロラが健気で泣ける(´д⊂)
ラストはしんみりと物悲しくはあるものの、へススにとっては「ハッピーエンド」と言える終わり方だと思った。



マイ評価:★★★★☆
author : 四葉 | - | -