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[猫耳スコレオ]あんたしかいらない

  • 2013/08/08 23:43
  • カテゴリー:FF


クーラーの風がほどよく当たる場所で昼寝をしていたら、何かが風を遮った。
部屋の温度は適温まで下がっているので、風が当たらないからと言って、一気に熱くなる事はない。
とは言え、心地良く感じていた風が途絶えたのは、少々不満が沸かないでもない。

────が、それを気にしていられたのは、ほんの数秒。

かぷ、と耳を噛まれて、レオンは目を開けた。
ぼんやりと眠気の残る視界に、細い身体と、ゆらゆらと揺れる黒の尻尾が見えた。
何処か楽しそうに、と言うよりも、興奮気味にぐるぐると円を描きながら揺れる尻尾。
何とはなしにそれを眺めていると、もう一度、かぷ、と頭の上の耳を噛まれる。


「…どうした、スコール」


一緒に住んでいる、もう一匹の猫の名前を呼んでやる。
すると、レオンの頭の上────耳元に埋められていたスコールの頭が離れたのが判った。

身体の上に覆い被さっていたスコールが退いてくれたので、レオンは起き上がった。
眠気で少しくらくらとする頭を振って、睡魔の名残を追い払って、ついでに目を擦る。
そんな事をしていると、傍らの気配が動いて、レオンの頬をぺろりと舐めた。


「スコール?」
「……ん」


名を呼ぶと、ごくごく短い返事があった。

自分と同じ青灰色の瞳が、近い距離でぼんやりとした光を湛えて見詰めて来る。
なんとなく誘われた気分になって、レオンが顔を寄せると、スコールも同じように顔を寄せて来た。
瞼の上をぺろりと舐めると、スコールはくすぐったそうに目を細め、ゆらり、尻尾を揺らす。

すり、とスコールが身体を寄せ、小さな舌がぺろりとレオンの頬を舐めた。
何度も、何度も、怪我をしている訳でもないのに、繰り返し、まるで甘えたがる仔猫のように。


「なんだ。今日は随分、甘えん坊だな」
「……悪いのか」


ちょっとした意地悪心で言った言葉に、思いも寄らない返事が返って来て、レオンはぱちりと目を瞬かせた。
てっきり、誰が甘えてなんか、と言うとばかり思っていたのに。
何かあったのだろうか、と一瞬考えたレオンだったが、今日は二人とも、ずっとリビングで何事もなく過ごしていた。
若しもスコールに何かあったのなら、同じ空間で過ごしていたレオンが気付かない訳がない。

いつもと様子の違うスコールの顔をじっと見詰めていると、またスコールが身を寄せて来た。
すり、と頬を寄せて、ぺろりとレオンの頬を舐めるスコール。
それだけで十分、甘えん坊だな、とレオンに思わせる行動だったが、スコールは止まらなかった。

スコールはレオンの両肩を捉まえて、膝立ちになり、レオンの頭の上の耳に鼻先を埋めた。
くんくん、と匂いを嗅いだ後で、かぷ、と三度目の甘噛み。
ぴくん、とレオンの耳が動くと、今度は労わるように耳の毛並を撫でられる。


「…スコール、くすぐったいぞ」
「……駄目か」
「いいや。でも、本当にどうしたんだ?」
「……なんとなく」


特に深い理由はない、とスコールは言った。

スコールの身体が下がって来て、青灰色の瞳が真っ直ぐに交じり合った。
レオンの指がスコールの後ろ髪をくすぐると、スコールはふるふるっと体を小さく震わせる。
その反応を見て、ああ、とレオンは合点が行った。


「スコール。お前、発情してるのか」


レオンが言うと、スコールは真っ直ぐにレオンの顔を見詰め返した。
平静とした表情の傍ら、白い頬が判り易く紅潮するのを見て、レオンはくつくつと笑う。


「此処にメスはいないぞ?」
「……レオンがいる」
「俺はメスじゃない」
「………」


拗ねたように眉根を寄せるスコールの表情に、レオンは益々笑みを深める。
そんなレオンを見て、スコールはずい、と顔を近付け、


「メスになんか興味ない」
「ああ、知っている」
「…レオンしか、興味ない」
「それも知っている」


真っ直ぐ、心をぶつけるように告げられる言葉に、レオンは表情を変えずに頷いた。
その反応が益々スコールには不満だったのだろう。
むぅ、と子供のように唇を尖らせて、スコールは掴んでいたレオンの肩を押した。

とすっ、とフローリングの床の上に倒される。
その上にスコールが馬乗りになって、レオンの喉元に顔を寄せ、────カリッ、と小さく刺さる痛み。


「────……っ」


生き物の急所である喉に食い付かれて、反射的にレオンの体が強張る。
けれども、直ぐに労わるように舌が撫でて、レオンはくすりと小さく笑った。

首に顔を埋めるスコールの頭を、くしゃりと撫でる。
するともう一度、ぺろりと首を舐められる。
それから、ちゅう、と吸い付かれたのが判って、レオンは意趣返しのようにスコールの耳の根本をくすぐった。


「……レオン、」


名前を呼ぶ声は、甘えん坊の仔猫を思わせるけれど、それと懸け離れた熱も孕んでいる。

レオンは体の力を抜いた。
それを感じ取ったのか、スコールの尻尾が心なしか嬉しそうに跳ねて揺れる。
頭の上の耳がぴくぴくと動いて、ごろごろと喉が鳴ったのが聞こえたような気がした。



メスなんか、興味ない。
レオンしか興味ない。

そう言われた時、無性に嬉しくて、揺れそうになる尻尾を隠すのが大変だった。





リクで頂きました、猫耳猫しっぽなスコレオ(多分)!

ちなみに、レオンも当然スコール以外に興味ないよ。
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