[ウォルスコ]何も知らない所から始めよう
- 2015/01/08 23:28
- カテゴリー:FF
1月8日なので、ウォーリア×スコール!
「君を、抱き締めても良いだろうか」
余りにも直球過ぎる言葉に、スコールは一瞬、その意味を判じ兼ねた。
頭の中で今の言葉を再生し直し、それを単語毎に区切り、その一つ一つを辞書を引くように頭の中で吟味する。
そうしてもう一度、頭の中で、一言一句を間違える事なく再生して尚、スコールは判じ兼ねた。
その言葉の意味と言うよりは、それを言葉にした男の胸中を。
スコールとウォーリア・オブ・ライトは、恋仲である。
いや、今し方、恋仲になったと言うのが正しいだろう。
戦場に置いてあるまじき感情を、況してや先の展望のない世界で抱いてはならないであろう感情を、スコールはいつしか持て余していた。
元々が他者とのコミュニケーション能力と言う点に置いて、赤点同然のスコールである。
全てが終われば判っている別れと言うものに、スコールが耐えられる筈もなく、この感情は誰にも悟られる事なく持って行くつもりであった。
しかし、スコールに関してはこと敏感な二人のお陰で、半ば強引にその感情は発露される事となる。
対してウォーリア・オブ・ライトはと言うと、抱いた感情に自覚はあっても、その感情の正体を知らなかった。
戦い方以外の全ての記憶が曖昧な彼にとって、この艦上は生まれて初めて得たものも同然であった。
全ての仲間との絆を大切に思うが故に、たった一人の仲間に特別な感情を抱いている事も、彼の困惑を誘う事となる。
ジタン曰く「恋愛初心者同士」の付き合いは、仲間達をおおいに巻き込んだ末、仲間達が祝福する形でようやくのスタートとなった。
が、初心者同士の上、互いに他者の感情の機微と言うものに疎い二人である。
晴れて恋人同士になったからと言って、何をすれば良いのか、全く判らなかった。
この手の話に強そうな仲間はと言うと、気を利かせたつもりだろう、二人の様子を気にする仲間達を押し遣って、さっさと野営地へと戻ってしまった。
それからしばらくの間、スコールとウォーリアはまんじりともしない時間を過ごしていたのだが────唐突に、ウォーリアが口火を切った。
「君を、抱き締めても良いだろうか」
────と。
目を丸くするスコールに、ウォーリアはゆっくりと歩み寄る。
具足の音が近付いている事に気付いて、スコールは後ろに歩を踏みかけた。
しかし、今の言葉に拒否を示すのも何かが可笑しい気がして、また硬直する。
するり、とウォーリアの手が、スコールの頬を撫でる。
びくっ、と肩が震えたスコールを見て、ウォーリアは目を細めた。
「嫌ならば、そう言って欲しい。君を傷付ける事はしたくない」
違う、とスコールは言った────声には出さずに。
言わなければと思うのに、何かが詰まったように、喉から音が出て来なかった。
間近に見る勇者の整った顔立ちに、スコールは呼吸を忘れる。
あんなにも苦手だと思っていた男と、正面と向き合っている事が、我ながら信じられなかった。
真っ直ぐに見詰める瞳が、恐ろしいもののように思えた事もあったと言うのに、今はそれから目を逸らす事が出来ない。
何も言わないスコールに、ウォーリアもそれきり、動く事を止めた。
此方の反応を待っているのだと言うことは判ったが、スコールは已然として、身動ぎ一つ出来ずにいる。
「スコール」
「……!」
酷く近い距離で名前を呼ばれて、またスコールの肩が跳ねた。
強い光を宿した瞳が、じっと見ている。
それを意識しただけで、スコールの心臓は煩い程に鼓動を打った。
(眩しい)
灼かれそうだ、とスコールは思った。
頬に触れる手をそのままに、スコールは眩しさから逃げるように目を閉じる。
ウォーリアは、平時の印象とは裏腹に、幼さの残るその貌をじっと見詰めた。
スコールが何を思い、何を考えているのか、ウォーリアには判らない。
彼が存外と沢山の事を思い、考え、悩んでいると言うことは知っているが、その内側まで知るには至っていなかった。
ジタンとバッツが言っていた、感情を具に映す瞳が隠れてしまうと、尚の事ウォーリアは迷路に嵌ってしまう。
────それでも、触れる手を拒否されない事だけは、言葉や瞳以上に彼の心の証だと信じている。
「スコール。君の存在を感じたい」
「……っ…!」
ふるり、とスコールの体が震え、白い頬に赤色が浮かぶ。
グローブを嵌めた手がゆっくりと持ち上がり、頬に触れるウォーリアの手と重なった。
ウォーリアは、そっと目の前の少年を抱き寄せた。
何かを、誰かをこんな風に抱いた事などないから、力加減が判らない。
痛い思いをさせないように、けれども少年の存在を確りと確かめたくて、背に回した腕が強張るのが判った。
スコールは、背中に触れる男の腕を、力強いものだとばかり思っていた。
しかし予想に反し、抱き締める彼の体はぎこちなく、耳元で時折小さく悩むような音が聞こえる。
(……意外と臆病だよな、あんたって)
スコールは、ウォーリアに見えない位置で、こっそりと笑った。
抱き締める腕に応えるように、同じように彼の背に腕を回して抱き締める。
一瞬、ウォーリアの肩が震えた様な気がしたが、スコールは知らない振りを決めた。
自分よりも背の高い男の肩に額を押し付けて、スコールは目を閉じる。
正直な話、固い鎧に押し付けられる体は痛かったが、今だけは不器用な恋人の好きにさせようと思う。
鎧のお陰で、自分の跳ね上がった鼓動が相手に伝わらないのも、スコールには都合が良かった。
直球過ぎるこの男に、自分ばかりが振り回されるのは、癪だったから。
スコールは、赤い頬を冷たい鎧に押し付けた。
その向こうにある鼓動が、自分と同じように煩くなれば良いと思う。
初々しい二人が浮かんだので書いてみた。
この二人は、周りの後押しがないとくっつかなさそうだなぁと言う印象。
片や対人恐怖症、片や究極の朴念仁と言うイメージなので。
でもウォーリアは大切にしたいものにはまっしぐらになりそうなので、直球に接してくれたら萌えます。そしてスコールにあわあわして欲しい。
「君を、抱き締めても良いだろうか」
余りにも直球過ぎる言葉に、スコールは一瞬、その意味を判じ兼ねた。
頭の中で今の言葉を再生し直し、それを単語毎に区切り、その一つ一つを辞書を引くように頭の中で吟味する。
そうしてもう一度、頭の中で、一言一句を間違える事なく再生して尚、スコールは判じ兼ねた。
その言葉の意味と言うよりは、それを言葉にした男の胸中を。
スコールとウォーリア・オブ・ライトは、恋仲である。
いや、今し方、恋仲になったと言うのが正しいだろう。
戦場に置いてあるまじき感情を、況してや先の展望のない世界で抱いてはならないであろう感情を、スコールはいつしか持て余していた。
元々が他者とのコミュニケーション能力と言う点に置いて、赤点同然のスコールである。
全てが終われば判っている別れと言うものに、スコールが耐えられる筈もなく、この感情は誰にも悟られる事なく持って行くつもりであった。
しかし、スコールに関してはこと敏感な二人のお陰で、半ば強引にその感情は発露される事となる。
対してウォーリア・オブ・ライトはと言うと、抱いた感情に自覚はあっても、その感情の正体を知らなかった。
戦い方以外の全ての記憶が曖昧な彼にとって、この艦上は生まれて初めて得たものも同然であった。
全ての仲間との絆を大切に思うが故に、たった一人の仲間に特別な感情を抱いている事も、彼の困惑を誘う事となる。
ジタン曰く「恋愛初心者同士」の付き合いは、仲間達をおおいに巻き込んだ末、仲間達が祝福する形でようやくのスタートとなった。
が、初心者同士の上、互いに他者の感情の機微と言うものに疎い二人である。
晴れて恋人同士になったからと言って、何をすれば良いのか、全く判らなかった。
この手の話に強そうな仲間はと言うと、気を利かせたつもりだろう、二人の様子を気にする仲間達を押し遣って、さっさと野営地へと戻ってしまった。
それからしばらくの間、スコールとウォーリアはまんじりともしない時間を過ごしていたのだが────唐突に、ウォーリアが口火を切った。
「君を、抱き締めても良いだろうか」
────と。
目を丸くするスコールに、ウォーリアはゆっくりと歩み寄る。
具足の音が近付いている事に気付いて、スコールは後ろに歩を踏みかけた。
しかし、今の言葉に拒否を示すのも何かが可笑しい気がして、また硬直する。
するり、とウォーリアの手が、スコールの頬を撫でる。
びくっ、と肩が震えたスコールを見て、ウォーリアは目を細めた。
「嫌ならば、そう言って欲しい。君を傷付ける事はしたくない」
違う、とスコールは言った────声には出さずに。
言わなければと思うのに、何かが詰まったように、喉から音が出て来なかった。
間近に見る勇者の整った顔立ちに、スコールは呼吸を忘れる。
あんなにも苦手だと思っていた男と、正面と向き合っている事が、我ながら信じられなかった。
真っ直ぐに見詰める瞳が、恐ろしいもののように思えた事もあったと言うのに、今はそれから目を逸らす事が出来ない。
何も言わないスコールに、ウォーリアもそれきり、動く事を止めた。
此方の反応を待っているのだと言うことは判ったが、スコールは已然として、身動ぎ一つ出来ずにいる。
「スコール」
「……!」
酷く近い距離で名前を呼ばれて、またスコールの肩が跳ねた。
強い光を宿した瞳が、じっと見ている。
それを意識しただけで、スコールの心臓は煩い程に鼓動を打った。
(眩しい)
灼かれそうだ、とスコールは思った。
頬に触れる手をそのままに、スコールは眩しさから逃げるように目を閉じる。
ウォーリアは、平時の印象とは裏腹に、幼さの残るその貌をじっと見詰めた。
スコールが何を思い、何を考えているのか、ウォーリアには判らない。
彼が存外と沢山の事を思い、考え、悩んでいると言うことは知っているが、その内側まで知るには至っていなかった。
ジタンとバッツが言っていた、感情を具に映す瞳が隠れてしまうと、尚の事ウォーリアは迷路に嵌ってしまう。
────それでも、触れる手を拒否されない事だけは、言葉や瞳以上に彼の心の証だと信じている。
「スコール。君の存在を感じたい」
「……っ…!」
ふるり、とスコールの体が震え、白い頬に赤色が浮かぶ。
グローブを嵌めた手がゆっくりと持ち上がり、頬に触れるウォーリアの手と重なった。
ウォーリアは、そっと目の前の少年を抱き寄せた。
何かを、誰かをこんな風に抱いた事などないから、力加減が判らない。
痛い思いをさせないように、けれども少年の存在を確りと確かめたくて、背に回した腕が強張るのが判った。
スコールは、背中に触れる男の腕を、力強いものだとばかり思っていた。
しかし予想に反し、抱き締める彼の体はぎこちなく、耳元で時折小さく悩むような音が聞こえる。
(……意外と臆病だよな、あんたって)
スコールは、ウォーリアに見えない位置で、こっそりと笑った。
抱き締める腕に応えるように、同じように彼の背に腕を回して抱き締める。
一瞬、ウォーリアの肩が震えた様な気がしたが、スコールは知らない振りを決めた。
自分よりも背の高い男の肩に額を押し付けて、スコールは目を閉じる。
正直な話、固い鎧に押し付けられる体は痛かったが、今だけは不器用な恋人の好きにさせようと思う。
鎧のお陰で、自分の跳ね上がった鼓動が相手に伝わらないのも、スコールには都合が良かった。
直球過ぎるこの男に、自分ばかりが振り回されるのは、癪だったから。
スコールは、赤い頬を冷たい鎧に押し付けた。
その向こうにある鼓動が、自分と同じように煩くなれば良いと思う。
初々しい二人が浮かんだので書いてみた。
この二人は、周りの後押しがないとくっつかなさそうだなぁと言う印象。
片や対人恐怖症、片や究極の朴念仁と言うイメージなので。
でもウォーリアは大切にしたいものにはまっしぐらになりそうなので、直球に接してくれたら萌えます。そしてスコールにあわあわして欲しい。