[ソラレオ]予約済みになりました
- 2015/05/04 22:40
- カテゴリー:FF
レオンが保育士をしているのを妄想したら滾った。
そんなパラレルで、ソラ→レオンです。
「レオンせんせー!」
聞こえた声に振り返る暇も無く、どんっ、と背中に勢いの良い衝撃があった。
予測はしていたので、しっかりと踏ん張って突進してきたものを受け止める。
ぎゅうっと腰に回された腕に、懐かれた事への喜びを実感しつつ、手に持っていたシーツを広げる手を止める。
振り返って、下へと視線を落とせば、肩越しに茶色の髪がぴょこぴょこと動いていた。
ぐりぐりと腰に押し付けられる頭を撫でるべく、レオンは中断していた作業を再開し、手早くシーツを物干し竿にかけて、洗濯バサミで留める。
ふわっと拭き抜けた風にシーツがはためき、眩しい白が青空に映えた。
シーツの両端を軽く引っ張り、シワが伸びたのを確認して、よし、とようやく空いた手で腰にまとわりついているものを撫でた。
「ソラ、外でリク達と遊んでたんじゃなかったのか?」
「んー。でも、レオンせんせーがいるのがみえたから」
撫でる手にごろごろと嬉しそうにしながら、レオンの言葉に応えるのは、このヒカリ保育園で預かっている、ソラと言う子供だった。
無邪気で明るく、直ぐに誰とでも打ち解ける、人懐こい子供。
初めてヒカリ保育園に来た時も、物怖じする様子もなく、あっと言う間に馴染んでしまった。
少々やんちゃが過ぎる所もあるが、子供のした事と思えば可愛い範囲である。
職員にもよく懐いており、彼が保育園に来た日は、いつも賑やかな園内が一層明るくなるように思う。
そんなソラが一等気に入っているのが、レオンであった。
レオンは今年で四年目になる保育士で、よく気の付く性格、面倒見も良い事で、職員にも子供達にも人気がある。
遊戯室ではレオンの取り合いが始まる事も珍しくはなく、時にはケンカに発展することもあった。
その為、基本的にレオンは遊戯室に留まる事は少なく、昼食の準備や事務仕事、洗濯等を行う事が多い。
しかし、レオンと遊びたい、レオンと一緒にいたいと言う子供は、職員室や洗濯スペースにいるレオンを見付けては、突進して来る事もあった。
その頻度が最も多いのがソラである。
レオンがしばらくソラを撫でている間に、ソラも一頻り甘えて気が済んだか、「ふぁ~」と満足そうな声を漏らして、レオンの腰から顔を上げる。
が、抱き付く腕は離れないままで、レオンは残りの洗濯物を片付ける事が出来ない。
「ソラ、ちょっと離れてくれ。洗濯物が取れないから」
「おれがとってあげる!」
ぱっとソラが離れて、レオンの足下に置かれた洗濯籠から、シーツを掴む。
持ち上げたシーツは、子供用の大きさなので、レオンにとっては小さいが、まだ幼いソラにとってはそうではない。
短い手足を一杯に伸ばして引っ張り出したシーツは、端を洗濯籠の中に収めたまま、持ち上がりそうになかった。
うんうんと頑張ってシーツを持ち上げようとするソラに、レオンはくすくすと笑って、シーツを握る。
「ありがとう、ソラ。助かる」
「うん!」
レオンの言葉に、ソラの笑顔がぱっと咲いた。
褒められると素直に喜ぶのが可愛らしくて、レオンはついつい頬が緩む。
するりと浮いたシーツを広げ、物干し竿にかけていると、
「はい!」
「────ああ。ありがとう」
ソラが差し出したのは、洗濯バサミだ。
ソラはレオンが洗濯物をしていると、よく構って貰いに来ている。
お陰で洗濯物作業の手順をすっかり覚え、最近は手伝う姿もすっかり様になって来た。
レオンが洗濯バサミでシーツを留めている間に、ソラは次のシーツを籠から取り出していた。
様になって来た手伝いとは言え、子供のする事なので、要領は決して良くない。
先と同じく、持ち上げきれないシーツにうんうん唸るソラに微笑みつつ、レオンはシーツを受け取った。
「これで、……最後、と」
「おわった?」
「ああ」
最後の一枚を物干しにかけると、ソラがきらきらとした目で言った。
レオンがこっくりと頷くと、「わーい!」と万歳をして喜ぶ。
そのまま、ソラは勢いよくレオンに抱き付いた。
「おっ、とっと」
「へへへー。レオンせんせー、いい匂いするー」
もう一度しっかりとレオンの腰にくっついて、ソラは嬉しそうに言った。
くんくんと子犬のように鼻を鳴らすソラに、レオンは汗の匂いじゃないだろうな、と少し恥ずかしくなったが、
「なんかあまい匂いするよ」
「……ああ。洗濯している間に、おやつを作っていたから、それかな」
今日の三時のおやつはチョコレートを使ったマフィンだ。
その時の匂いがエプロンに残っているのだろう。
おやつ、と言う単語を聞いたソラは、判り易く頬を上気させる。
「今日のおやつ、なに?」
「チョコレートマフィンだよ。一杯作ったから、取り合いしないで、仲良く食べるんだぞ」
「うん!」
返事の良いソラであったが、果たしてこれが何処まで守られるやら、とレオンは眉尻を下げて苦笑した。
ソラは食べるペースが速く、大抵、一番に自分のおやつを食べ終わる。
他の子供達がまだ食べているのを見ている時、彼は判り易く、もっと食べたい、と全身で訴えていた。
他の子のおやつは食べちゃ駄目、とは言われており、彼もそれを理解していない訳ではなかったが、幼い子供にとって食べ物の誘惑とは絶大である。
我慢出来ずに、よく一緒に遊んでいるリクやカイリに「一口ちょうだい」とねだるのはよくある事だった。
リクとカイリはそんなソラに慣れているのか、一口だけ、と言って食べさせている。
(あれもあまり良くないみたいだが…)
ソラが「一口ちょうだい」と言う事、リクとカイリがそれを許している事。
レオンから見ている分には、仲の良い子供達の微笑ましい光景なのだが、子供達の中には、「一口ちょうだい」の分だけソラが得をしているように見えるらしい。
何人かの子供が、「ソラ君だけずるい」とレオンに訴える事もあった。
(かと言って、ソラの分だけ増やしたり、大きくしたりする訳にも…)
空っぽになった籠を持ち上げ、給湯室に向かうレオンの後ろを、嬉しそうについて来るソラ。
無心に慕ってくれる幼子に、レオンも決して悪い気はしなかった。
しかし、だからと言って彼だけを特別扱いする訳にも行かない。
給湯室に洗濯籠を片付けると、手ぶらになったレオンの手を小さな手が握る。
視線を落とせば、嬉しそうに頬を赤らめて笑う子供と目が合った。
きゅっと小さな手に篭る柔らかい力を感じつつ、「外に行こうか」と言うと、ソラは嬉しそうに頷いた。
連れ立って園舎玄関へ向かって廊下を歩いていると、
「あのさ、レオンせんせーはさ」
「うん?」
「コイビトっている?」
唐突な子供の問いに、レオンはきょとんと目を丸くした。
少しの間固まるように沈黙していたレオンだったが、数秒後には復帰する。
「恋人はいないな」
「じゃあ、すきなヒトっている?」
また唐突な質問だ、と思いつつ、子供の質問は大抵唐突なものだと思い出す。
「好きな人か……」
「うん。いる?」
「どうしてそんな事を聞くんだ?」
きっとテレビアニメか何かの影響だろうと思いつつ、レオンは尋ねてみた。
ひょっとしたら、同い年だけれど少しマセているリクに何か教わったとか、女の子のカイリにちょっと特別な感情を持ったのかも知れない。
カイリはヒカリ保育園で預かっている子供達の中でも、一番可愛いと人気がある。
若しも彼女に初恋をしているのなら、少し応援してやりたいな────と思っていた時だった。
「だってさ、すきなヒトにすきなヒトがいたら、こまるじゃん」
「まあ……そうだな」
「カタオモイってつらいんだって、リクとカイリが言ってた」
(何のアニメを見たんだ?いや、ドラマか…?)
子供向けアニメは、保育園に来る子供達とのコミュニケーションの為にも、逐一チェックしている。
レオンが子供の頃と違い、最近は子供向けでも随分と凝った設定のものが増えた。
ストーリーも深みがあり、大人が見て唸る代物も少なくない。
しかし、子供の見るアニメで恋愛を推すような物はなかったように思う。
主人公の女の子が、作中でも格好良いと人気の男の子に片恋をしていると言う設定はあるが、今の所、それについて深く掘り下げたストーリーは放送されていない。
となると、親が見ているドラマ等を見たのかも知れない。
等と、つらつらと特に意味もなく考えて、
(……ん?)
ふ、と。
先のソラの言葉に、今更に引っ掛かりを感じて、首を傾げた時だった。
「レオンせんせー」
「ん……あ、ああ。なんだ?」
繋いだ手をくいくいと引っ張られて、レオンは自分が呼ばれている事に気付いた。
「せんせー、すきなヒトいる?」
「あ……いや……」
改めて向けられた問いに、意識半分でぼんやりと答えた。
途端、それを聞いたソラの表情が、夏の太陽に眩しく輝く。
「よかった!」
「良かった…?」
「うん。おれ、レオンせんせーがすきだから、レオンせんせーにすきなヒトがいたらタイヘンだった」
何がどう大変なのか、レオンにはソラの考えが判らない。
しかし、真っ白で無垢な魂は、何処までも真っ直ぐに、レオンへと向けられている。
「せんせー。おれ、レオンせんせーのこと、だいすきだよ」
その言葉は、子供の正直な気持ちそのものだろう。
隠されるものなど何一つなく、裏も表もある筈もなく、心のあるがままに言葉を紡ぐ。
繋いだ小さな手に力が篭って、熱い熱いものがレオンの手のひらに注がれて行く。
レオンの手が微かに震えて、それが伝わったのか、ぎゅっと強い力で握られたのが判った。
「だから、センセー。おれ以外にすきなヒト、作らないでね」
見上げる大きな丸い瞳は、何処までも真摯で嘘がない。
心の底からそう望んでいるのが判って、レオンは一瞬、どう反応して良いのか判らなかった。
子供の我儘、大好きな物を一人占めにしたい幼い独占欲────そう思えば、そう思える。
けれども、その奥底に、もっと違う、もっと強い感情が滲むようにも見えた。
握った手に引っ張られて、園舎の玄関から外に出た。
園庭で遊んでいた子供達が、ソラとレオンを見付け、一斉に集まってくる。
レオンと手を繋いでいるソラに、ずるいずるいと子供達が言ったが、ソラは決してレオンと繋いだ手を離そうとはしない。
その一途さが可愛くて、ほんの少しだけ、小さな手を握り返す。
丸い瞳が驚いたようにレオンを見上げ、大福のような頬が赤らんで、子供はとても嬉しそうに笑った。
保育士なレオンに唐突に萌えたので書き散らしてみた。
KH参戦FF組は皆スタッフ。クラウドは後輩スタッフ。
子供はソラ、リク、カイリの他にロクサスとかも(他の五つ子については未プレイの為イメージ出来ず…)。
将来的にソラレオになると良いなー。
そんなパラレルで、ソラ→レオンです。
「レオンせんせー!」
聞こえた声に振り返る暇も無く、どんっ、と背中に勢いの良い衝撃があった。
予測はしていたので、しっかりと踏ん張って突進してきたものを受け止める。
ぎゅうっと腰に回された腕に、懐かれた事への喜びを実感しつつ、手に持っていたシーツを広げる手を止める。
振り返って、下へと視線を落とせば、肩越しに茶色の髪がぴょこぴょこと動いていた。
ぐりぐりと腰に押し付けられる頭を撫でるべく、レオンは中断していた作業を再開し、手早くシーツを物干し竿にかけて、洗濯バサミで留める。
ふわっと拭き抜けた風にシーツがはためき、眩しい白が青空に映えた。
シーツの両端を軽く引っ張り、シワが伸びたのを確認して、よし、とようやく空いた手で腰にまとわりついているものを撫でた。
「ソラ、外でリク達と遊んでたんじゃなかったのか?」
「んー。でも、レオンせんせーがいるのがみえたから」
撫でる手にごろごろと嬉しそうにしながら、レオンの言葉に応えるのは、このヒカリ保育園で預かっている、ソラと言う子供だった。
無邪気で明るく、直ぐに誰とでも打ち解ける、人懐こい子供。
初めてヒカリ保育園に来た時も、物怖じする様子もなく、あっと言う間に馴染んでしまった。
少々やんちゃが過ぎる所もあるが、子供のした事と思えば可愛い範囲である。
職員にもよく懐いており、彼が保育園に来た日は、いつも賑やかな園内が一層明るくなるように思う。
そんなソラが一等気に入っているのが、レオンであった。
レオンは今年で四年目になる保育士で、よく気の付く性格、面倒見も良い事で、職員にも子供達にも人気がある。
遊戯室ではレオンの取り合いが始まる事も珍しくはなく、時にはケンカに発展することもあった。
その為、基本的にレオンは遊戯室に留まる事は少なく、昼食の準備や事務仕事、洗濯等を行う事が多い。
しかし、レオンと遊びたい、レオンと一緒にいたいと言う子供は、職員室や洗濯スペースにいるレオンを見付けては、突進して来る事もあった。
その頻度が最も多いのがソラである。
レオンがしばらくソラを撫でている間に、ソラも一頻り甘えて気が済んだか、「ふぁ~」と満足そうな声を漏らして、レオンの腰から顔を上げる。
が、抱き付く腕は離れないままで、レオンは残りの洗濯物を片付ける事が出来ない。
「ソラ、ちょっと離れてくれ。洗濯物が取れないから」
「おれがとってあげる!」
ぱっとソラが離れて、レオンの足下に置かれた洗濯籠から、シーツを掴む。
持ち上げたシーツは、子供用の大きさなので、レオンにとっては小さいが、まだ幼いソラにとってはそうではない。
短い手足を一杯に伸ばして引っ張り出したシーツは、端を洗濯籠の中に収めたまま、持ち上がりそうになかった。
うんうんと頑張ってシーツを持ち上げようとするソラに、レオンはくすくすと笑って、シーツを握る。
「ありがとう、ソラ。助かる」
「うん!」
レオンの言葉に、ソラの笑顔がぱっと咲いた。
褒められると素直に喜ぶのが可愛らしくて、レオンはついつい頬が緩む。
するりと浮いたシーツを広げ、物干し竿にかけていると、
「はい!」
「────ああ。ありがとう」
ソラが差し出したのは、洗濯バサミだ。
ソラはレオンが洗濯物をしていると、よく構って貰いに来ている。
お陰で洗濯物作業の手順をすっかり覚え、最近は手伝う姿もすっかり様になって来た。
レオンが洗濯バサミでシーツを留めている間に、ソラは次のシーツを籠から取り出していた。
様になって来た手伝いとは言え、子供のする事なので、要領は決して良くない。
先と同じく、持ち上げきれないシーツにうんうん唸るソラに微笑みつつ、レオンはシーツを受け取った。
「これで、……最後、と」
「おわった?」
「ああ」
最後の一枚を物干しにかけると、ソラがきらきらとした目で言った。
レオンがこっくりと頷くと、「わーい!」と万歳をして喜ぶ。
そのまま、ソラは勢いよくレオンに抱き付いた。
「おっ、とっと」
「へへへー。レオンせんせー、いい匂いするー」
もう一度しっかりとレオンの腰にくっついて、ソラは嬉しそうに言った。
くんくんと子犬のように鼻を鳴らすソラに、レオンは汗の匂いじゃないだろうな、と少し恥ずかしくなったが、
「なんかあまい匂いするよ」
「……ああ。洗濯している間に、おやつを作っていたから、それかな」
今日の三時のおやつはチョコレートを使ったマフィンだ。
その時の匂いがエプロンに残っているのだろう。
おやつ、と言う単語を聞いたソラは、判り易く頬を上気させる。
「今日のおやつ、なに?」
「チョコレートマフィンだよ。一杯作ったから、取り合いしないで、仲良く食べるんだぞ」
「うん!」
返事の良いソラであったが、果たしてこれが何処まで守られるやら、とレオンは眉尻を下げて苦笑した。
ソラは食べるペースが速く、大抵、一番に自分のおやつを食べ終わる。
他の子供達がまだ食べているのを見ている時、彼は判り易く、もっと食べたい、と全身で訴えていた。
他の子のおやつは食べちゃ駄目、とは言われており、彼もそれを理解していない訳ではなかったが、幼い子供にとって食べ物の誘惑とは絶大である。
我慢出来ずに、よく一緒に遊んでいるリクやカイリに「一口ちょうだい」とねだるのはよくある事だった。
リクとカイリはそんなソラに慣れているのか、一口だけ、と言って食べさせている。
(あれもあまり良くないみたいだが…)
ソラが「一口ちょうだい」と言う事、リクとカイリがそれを許している事。
レオンから見ている分には、仲の良い子供達の微笑ましい光景なのだが、子供達の中には、「一口ちょうだい」の分だけソラが得をしているように見えるらしい。
何人かの子供が、「ソラ君だけずるい」とレオンに訴える事もあった。
(かと言って、ソラの分だけ増やしたり、大きくしたりする訳にも…)
空っぽになった籠を持ち上げ、給湯室に向かうレオンの後ろを、嬉しそうについて来るソラ。
無心に慕ってくれる幼子に、レオンも決して悪い気はしなかった。
しかし、だからと言って彼だけを特別扱いする訳にも行かない。
給湯室に洗濯籠を片付けると、手ぶらになったレオンの手を小さな手が握る。
視線を落とせば、嬉しそうに頬を赤らめて笑う子供と目が合った。
きゅっと小さな手に篭る柔らかい力を感じつつ、「外に行こうか」と言うと、ソラは嬉しそうに頷いた。
連れ立って園舎玄関へ向かって廊下を歩いていると、
「あのさ、レオンせんせーはさ」
「うん?」
「コイビトっている?」
唐突な子供の問いに、レオンはきょとんと目を丸くした。
少しの間固まるように沈黙していたレオンだったが、数秒後には復帰する。
「恋人はいないな」
「じゃあ、すきなヒトっている?」
また唐突な質問だ、と思いつつ、子供の質問は大抵唐突なものだと思い出す。
「好きな人か……」
「うん。いる?」
「どうしてそんな事を聞くんだ?」
きっとテレビアニメか何かの影響だろうと思いつつ、レオンは尋ねてみた。
ひょっとしたら、同い年だけれど少しマセているリクに何か教わったとか、女の子のカイリにちょっと特別な感情を持ったのかも知れない。
カイリはヒカリ保育園で預かっている子供達の中でも、一番可愛いと人気がある。
若しも彼女に初恋をしているのなら、少し応援してやりたいな────と思っていた時だった。
「だってさ、すきなヒトにすきなヒトがいたら、こまるじゃん」
「まあ……そうだな」
「カタオモイってつらいんだって、リクとカイリが言ってた」
(何のアニメを見たんだ?いや、ドラマか…?)
子供向けアニメは、保育園に来る子供達とのコミュニケーションの為にも、逐一チェックしている。
レオンが子供の頃と違い、最近は子供向けでも随分と凝った設定のものが増えた。
ストーリーも深みがあり、大人が見て唸る代物も少なくない。
しかし、子供の見るアニメで恋愛を推すような物はなかったように思う。
主人公の女の子が、作中でも格好良いと人気の男の子に片恋をしていると言う設定はあるが、今の所、それについて深く掘り下げたストーリーは放送されていない。
となると、親が見ているドラマ等を見たのかも知れない。
等と、つらつらと特に意味もなく考えて、
(……ん?)
ふ、と。
先のソラの言葉に、今更に引っ掛かりを感じて、首を傾げた時だった。
「レオンせんせー」
「ん……あ、ああ。なんだ?」
繋いだ手をくいくいと引っ張られて、レオンは自分が呼ばれている事に気付いた。
「せんせー、すきなヒトいる?」
「あ……いや……」
改めて向けられた問いに、意識半分でぼんやりと答えた。
途端、それを聞いたソラの表情が、夏の太陽に眩しく輝く。
「よかった!」
「良かった…?」
「うん。おれ、レオンせんせーがすきだから、レオンせんせーにすきなヒトがいたらタイヘンだった」
何がどう大変なのか、レオンにはソラの考えが判らない。
しかし、真っ白で無垢な魂は、何処までも真っ直ぐに、レオンへと向けられている。
「せんせー。おれ、レオンせんせーのこと、だいすきだよ」
その言葉は、子供の正直な気持ちそのものだろう。
隠されるものなど何一つなく、裏も表もある筈もなく、心のあるがままに言葉を紡ぐ。
繋いだ小さな手に力が篭って、熱い熱いものがレオンの手のひらに注がれて行く。
レオンの手が微かに震えて、それが伝わったのか、ぎゅっと強い力で握られたのが判った。
「だから、センセー。おれ以外にすきなヒト、作らないでね」
見上げる大きな丸い瞳は、何処までも真摯で嘘がない。
心の底からそう望んでいるのが判って、レオンは一瞬、どう反応して良いのか判らなかった。
子供の我儘、大好きな物を一人占めにしたい幼い独占欲────そう思えば、そう思える。
けれども、その奥底に、もっと違う、もっと強い感情が滲むようにも見えた。
握った手に引っ張られて、園舎の玄関から外に出た。
園庭で遊んでいた子供達が、ソラとレオンを見付け、一斉に集まってくる。
レオンと手を繋いでいるソラに、ずるいずるいと子供達が言ったが、ソラは決してレオンと繋いだ手を離そうとはしない。
その一途さが可愛くて、ほんの少しだけ、小さな手を握り返す。
丸い瞳が驚いたようにレオンを見上げ、大福のような頬が赤らんで、子供はとても嬉しそうに笑った。
保育士なレオンに唐突に萌えたので書き散らしてみた。
KH参戦FF組は皆スタッフ。クラウドは後輩スタッフ。
子供はソラ、リク、カイリの他にロクサスとかも(他の五つ子については未プレイの為イメージ出来ず…)。
将来的にソラレオになると良いなー。