[ラグレオ]ほころび
- 2018/08/08 20:45
- カテゴリー:FF
ラグナ×レオン本【エモーショナル・シンドローム】のその後。
自分の管理は自分で出来るタイプなのだろうとは思う。
そうでなければ、長年独り暮らしなど出来ないし、仕事でも万事に置いて優秀な成績は残せまい。
一人であるからこそ、そうでなければならないと思っていたからこそ、レオンはそう出来ていたのだろう。
それは一つのプレッシャーでもあり、彼が自分を律する理由とも力ともなっていた。
が、それでも人の体は常に万全の上体は保てないし、ふとしたバイオリズムの変化で体調を崩す事はある。
変わらないリズムが繰り返される日常でも、そう言う事は絶対に起こってしまうものなのだから、環境が劇的に変化した後ともなれば尚更だった。
レオンとラグナが恋人同士と言う関係になってから、レオンはラグナの家に住む事になった。
ラグナの家には、彼の一人息子が同居している為、三人で一つ屋根の下に暮らす生活が始まったのだ。
ラグナの息子スコールは、余り人との関わりを強く持つまいとしていたレオンにしては珍しく、家庭教師役を引き受ける間柄になっていた。
そのお陰で、スコールはレオンが家庭に加わる事に特に反発する事はなく、寧ろ父を恋人として選んだレオンを、「こいつで良いのか」と(割と本気のトーンで)心配していた位だ。
レオンはレオンで、スコールの問には頷いたが、スコールから同居を拒否されたら、と考えていた。
が、知らない人間といきなり共同生活が始まる訳ではないし、父と違って適度に他者と距離を置くレオンなら、と人見知りが激しいと言うスコールにしては珍しく、新たな家族の誕生を素直に受け入れていた。
今まで独り暮らしだったレオンと、妻を失ってからは父子二人暮らしであったラグナ達とで、習慣の違いや感覚の差異はあったものの、大きなトラブルは今の所起きずに済んでいる。
しかし、大きな変化が起きた事は確かだから、折々にその歪は表面化する事があった。
特に、他者の家庭に踏み込んだ立場となったレオンは、元々が過剰に他者の手を煩わせる事を嫌う性格も相まって、少なからずストレスになっていた事に違いない。
────同居生活が始まってから一ヵ月と言う頃に、レオンが熱を出して倒れたのは、そう言う理由もあるのだろうとラグナは思う。
同居生活が始まって直ぐの時は、家中の勝手が判らない事もあり、レオンは家事一般はスコールの手伝いをする程度に留めていた。
日々が続き、家の何処に何があるのか、ゴミは何処に捨てるのか、と言ったルールを把握するに連れ、少しずつ手伝う範囲も広げて行く。
スコールは17歳の高校生で、学業と家庭の仕事を両立させていたが、一人暮らしをしていたレオンは、その大変さをよく知っている。
ラグナは家庭を大事にし、出来る事は手伝うようにしているが、キッチン回りは過去の失敗により、スコールがいる時は近付けさせて貰えないので、手を出せる範囲は限られている。
だからレオンの存在はスコールにとっても非常に助かるものになっていた。
レオンの方も、紆余曲折の最中に仕事を放りだすように辞めてしまった事で、手に職がないまま、転がり込むように居候生活が始まった事に申し訳なさを感じており、せめて家事くらいはやらせて貰わないと恩返しも出来ない、と感じていた。
そんなレオンにとって、料理や掃除洗濯と言った家事雑事を任せて貰える事は、“自分が此処にいる為の代価”を払っているようにも思えて、少しだが気が楽になれたのだ。
同居生活の開始からしばらくの間、レオンは色々な意味で環境に慣れなければならなかった。
誰かが傍にいると言う事、それによって少なからず起こる相互への影響、またそれによる摩擦の軽減等。
一人暮らしをしていれば気にならなかった事が、気にしない訳もいかない環境となったのは、レオンに自覚なく過剰な負担を齎していた。
幼い頃、両親に捨てられたと言う傷を持つレオンは、自分自身の存在が他者の邪魔になる、と言う意識を持っている。
その為にレオンは、これ以上誰かに捨てられる、排除される事のないよう、極力他者と近しい関係になる事を避け、誰の手も煩わせる事のないように、過剰に他者の目を伺う癖がついてしまった。
ラグナはそれを知っており、そんなレオンに、誰かに迷惑をかける事、誰かの世話になる事は決して悪い事ばかりではないのだ、と伝えるように努めているのだが、20年以上も培われた他者の意識と言うのは、覆すのは難しい事だ。
特に幼年期のトラウマと重なっている事もあり、レオンはラグナと恋人同士と言う関係を築いた今でも、ラグナにいつか嫌われること、捨てられることを常に考えている。
呪縛とも言えるこの思考は、一朝一夕で変えられるものではなく、また他人が強引に曲げられるものでもない為、ラグナとスコールは根気強くレオンと付き合っていく事を覚悟していた。
だから、同居生活に慣れて来たと思えた頃にレオンが熱を出したのも、そう言う理由が絡んでいるのだろうと、想像するのは難しくなかった。
スコールも幼い頃、人見知りが激しく、環境の変化に簡単になれる事が出来なかった。
幼稚園が怖い、小学校が怖い、知らない人が沢山いる所は行きたくない────どうしても行かなければならない時は、その日が近付くと、体が拒否反応を起こすように熱を出してしまう。
そう言う経験があったから、レオンが熱を出したと知った時、ラグナもスコールも無理もない事だと悟る事が出来た。
しかし、高熱を出していても尚、レオンがそれを隠そうとしていた事には、溜息が出た。
世話になっている者に迷惑をかけたくない、と言う思いの下、レオンは最後の最後まで体調不良を隠そうとし、それも殆ど完璧に隠していた末に、体の方が限界を越えて昏倒したのだ。
学校に行こうと玄関に立ち、レオンから手作りの弁当を渡された所だったスコールは、目の前で倒れた青年を見て驚いた。
けろりとした顔をしていた同居人が、急に目の前で倒れだのだから無理もないだろう。
音に気付いた父が直ぐに飛んで来たから良かったが、そうでなければ、スコールもパニックを起こしていたに違いない。
父子でレオンを寝室に運び、寝間着に着替えさせてから、ラグナはスコールを学校へと送り出した。
レオンを心配するスコールの気持ちは有り難いが、彼はもう直ぐ学年末試験がある。
ラグナが仕事を休むから、と言うと、息子は父を信じて───色々と念入りに確認されたが───、後ろ髪を引かれながらも家を出た。
一限目が始まる前に、レオンの様子を気にするメールが届いたので、どうやら遅刻はせずに学校に着く事は出来たらしい。
その時にはまだレオンは眠っていたので、ラグナは『ゆっくり休ませてるよ』とだけ返信を送った。
それから約三時間が経ち、時刻はそろそろ昼を迎えようとしている。
しかしレオンは未だ目を覚ます様子はなく、ベッドの中で苦しそうに喘いでいた。
(───……38度3分か。下がんねえなあ、上がる様子もないけど…)
レオンの脇で測った体温計を確認して、ラグナは眉根を寄せる。
倒れた直後に計測した時も、数値は殆ど同じものを指しており、レオンの容態に変化はない。
午後までレオンが目覚めないようなら、病院に連れて行った方が良いかな、とも思っていた。
レオンは目を閉じ、眉根を寄せ、傷の走る額に珠のような汗を浮かせている。
ラグナはレオンの額に乗せていたタオルで、顔や首筋に浮いている汗を拭き、温くなったタオルを濡らし直す為にキッチンへ向かおうと腰を上げた。
キッチンの水でタオルを洗い、絞りながら、ラグナはひそりと唇を噛む。
レオンが倒れるその瞬間まで、彼の体調不良に気付いてやれなかった自分が腹立たしい。
(風邪って言うより、ストレスかなぁ。俺達にも凄く気を使ってる感じするし。迷惑かけて良いんだって言っても、まだ遠慮なく寄っかかれる訳じゃないし。レオンの方からそう言う事は言わないだろうから、俺が気付いてやんなきゃいけなかったのになぁ)
家族の事ですら、気付けない事があるのだから、同居が始まったばかりの青年の事を、全て察する事が出来る訳もない。
それは判っているのだが、レオンは過去の経緯もあり、とかく人の迷惑になる可能性を嫌い、恐れる傾向がある。
仕事をしていた事は、「仕事が滞ると余計に迷惑をかける」と言う意識があったので、余りに無理をする事はなかったのだが、今はまた事情が違う。
ラグナが「家族になろう」と言っても、レオンに巣食う恐怖心が彼を足踏みをさせている今は、ラグナの方から察して手を差し伸べてやらなければいけないのだ。
そうしなくては、レオンはいつまでも、誰かに寄りかかる事も出来ないのだから。
しっかりと水気を絞ったタオルを手に、ラグナはレオンが眠る自分の寝室へと戻った。
レオンと同居を始めてから、部屋を一つリフォームして彼の寝室も作ったのだが、元々は物置に使っていた場所だった為、窓も小さく、日当たりも風通しも良くない。
そんな所にいるよりは、とラグナは彼を自分の部屋へと運び込んだのだ。
「────お、」
部屋に入ると、レオンは起き上がっていた。
しかし、起こした上体は力なく、朧な瞳がゆらゆらと天井を見つめて彷徨っている。
夢半分なのかも知れない、と思いつつ、ラグナは努めて柔らかく、彼の名を呼んだ。
「レオン。目、覚めたか?」
「………」
声をかけてみるが、レオンからの返事はない。
それ処か、レオンの瞳は宙を見詰めたまま、反応らしい反応もなかった。
熱が出ているのだから仕方がない事だ、とラグナは先ず彼を寝かし直した方が良いと判断した。
「ほら、レオン。もうちょっと横になってな」
「……あ、……」
肩を優しく掴んでやると、ようやく蒼の瞳がラグナを捉える。
しかし、焦点は結ばれないまま揺れており、ぼんやりとした表情もあって、いつもよりも雰囲気が幼い。
普段が確り者で通っているだけに、レオンのふとした時のこんな表情が、ラグナは酷く印象強く記憶に刻まれる。
ラグナがそっとレオンの体を押すと、レオンはとさっとベッドに戻った。
冷えたタオルを額に乗せて、布団をかけ直し、ぽんぽんと胸元を宥めるように叩いていると、
「………、」
「ん?」
少し乾いた唇が、何かを紡ぐように動く。
喉が乾燥しているのか、少し喘鳴のような音がするのを聞きながら、ラグナは顔を近付けて耳を澄ませる。
「……な、……、…い……」
「……え?」
体の熱で苦しさもあるのだろう、レオンは途切れ途切れに音を零す。
声を出す事さえも辛い様子のレオンに、聞き直して良いものかとラグナは考えていたが、
「……ごめ、…ん…なさ……」
「……レオン?」
聞こえた謝罪の言葉に、ラグナは目を丸くする。
その表情を、レオンは虚ろな瞳に映して、言った。
「直ぐ…治す、から……」
「レオン」
「……もう、起きれる……」
「あ、こら!」
重い体を強引に起こして行くレオン。
声すら碌に出す事が出来ないのに、起きれる筈がないだろう、とラグナは慌ててレオンの肩を抑える。
すると、涙の膜を浮かべた青の瞳がラグナを捉えた。
「ごめんな、さ、い……もう、平気だから……」
「平気な訳ないだろ。熱が38度もあるんだから」
「……大丈夫……直ぐに、治る…から……」
起き上がろうとするレオンを、ラグナは押さえ付けてベッドに縫い留めていた。
レオンは抵抗するように何度も体を捩ったが、どれだけ力を入れても、今の体調でラグナに敵う筈もない。
う、う、と唸りながら体を起こそうとするレオンだったが、五分と経たない内に、体力は尽きてしまった。
レオンの体から力が抜けたのを感じて、ラグナはそっと押さえ付けていた肩を離す。
動いている内に落ちてしまったタオルを拾い、畳み直して、傷のある額に戻してやる。
それをぼんやりと負った目から、ぽろ、と雫が伝い落ちた。
「う…う……っ」
「レオン?」
蹲るように丸くなり、肩を震わせるレオン。
寒いのか、とラグナが手を伸ばそうとすると、それを見たレオンの目に明らかに怯える色が浮かんだ。
ひく、と喉を引き攣らせているレオンに気付き、ラグナは空の手を見る。
其処にレオンが怯えるようなものはない筈────だが、レオンの過去を思い出して、ラグナは直ぐに理解した。
(そっか。病気になった時、優しくされた事もなかったんだっけな)
それは、レオンが両親に捨てられる以前の事。
父母ともにまともな親とは言い難い家庭に生まれたレオンは、捨てられるまでの間、何かと両親から邪見に扱われていた。
母は父程酷くはなかった、とレオンは言ったが、児童養護施設の教員から聞いた話では、母の方も酷かったと言って良い。
病気になった息子を看病しながら、それに時間を取られる事を酷く嫌い、その感情を病気の息子に向けていたのだから、ラグナには到底考えられない親だと思う。
ラグナは少し迷ったが、もう一度レオンへと手を伸ばした。
瞠られたまま、濡れた蒼の瞳が、挙動のすべてを見逃すまいとするように、ラグナの手を見詰めている。
それを咎める事はせず、ラグナはそっとレオンの頬を撫でた。
「大丈夫だよ、レオン。大丈夫」
「……あ……?」
思いもがけない事をされた、と言う顔で、レオンはラグナを見る。
ゆらゆらと頼りなく、迷子の子供のように彷徨っていた瞳が、ようやくラグナを映した。
ラグナはレオンの頬を両手で包み込み、顔を近付けた。
タオルの落ちた額に、こつん、とラグナが額を押し付けると、二人の鼻先も触れ合う。
は、は…っ、と熱に喘ぐレオンの呼吸が、ラグナの唇をくすぐっていた。
「熱があると辛いよな。でも大丈夫、ゆっくり休んでて良い。無理におきなくて大丈夫だから」
「……ラ、グナ…さ……」
「腹は減ってるか?もう直ぐ昼飯の時間なんだ。食欲ないなら、それでも良い」
「……ふ…う……」
「汗一杯掻いてるから、水飲もうか。な?」
じわじわと、眦の雫の粒が大きくなっていくレオンに、ラグナは子供に言い聞かせるように声をかけていた。
ベッド横のサイドテーブルに置いていた水差しを取り、レオンの口元に持っていく。
と、それが口元に来る前に、レオンが手を伸ばした。
「自分で…やります……」
「だぁめ。起きれないだろ」
「…起き、ます……」
「駄目だって」
「……で、も……」
くしゃ、とレオンの貌が歪む。
遠くはない過去に見た、何もかもを耐え切れなくなった時のレオンの貌と重なって、ずきりとラグナの胸が痛んだ。
「ラグナ、さん……迷惑…かけて……」
「メーワクなんかじゃないって。ほら、口開けて」
「ご、め…なさい……ごめん、なさ、い……」
「おーい、レオン。レオンってば」
枕に顔を埋め、泣き顔すら隠すレオンに、ラグナは努めていつものように声をかけながら、眉尻を下げる。
熱で明瞭とは言えない意識の中で、ラグナの手を煩わせている事が、レオンにとっては辛いのだろう。
ラグナの声が聞こえない様子で何度も謝罪の言葉を繰り返している姿は、未だ彼が過去の呪縛から解放されていない事を示していた。
ラグナは、くしゃくしゃとレオンの頭を撫でた。
そうして触れられる事を、レオンは何よりも好いている。
それでもまだ震えが止まらないレオンを、ラグナはそっと抱き起こした。
顔を見せたくないのだろう、レオンは僅かに抵抗の力を見せたが、「レオン」とラグナが名前を呼ぶと、まるで条件反射のように体の力が抜ける。
ラグナはベッドに座って、起き上がらせたレオンの体を抱き寄せた。
涙に濡れた目がぱちりと瞬きをして、恐々とラグナへと向けられる。
「……ラグナ、ん……っ!」
愛しい人の名前を呼ぼうとした唇と、ラグナは己のそれで塞いだ。
レオンの咥内の感触に、熱いな、とラグナは思った。
それは口付け合っていると言う興奮よりも、レオンの体が熱に侵されているからに他ならない。
濃茶色のカーテンの下にある蒼の瞳も、また浮かされたように頼りなく震えていた。
重ね合わせているだけだった唇を開放して、ラグナは水を口に含んだ。
まだぼんやりとしているレオンにもう一度口付けて、口の中の液体をそっと注ぎ込んでいく。
常温よりも少し低い温度の水の感触は、発熱しているレオンには冷たく心地良かったようで、レオンは素直に水を飲み始める。
「ん…っ、ん…、……は…っ」
「もっといる?」
「……い、…る……ん……っ」
子供のように素直な返事が聞こえて、ラグナはもう一度水を含んでキスをする。
重ねている内に、ベッドシーツを握りしめているばかりだったレオンの右手が、ラグナの服の裾を掴んだ。
握っても良いのか迷いながら、やはり離す事は出来なくて、きゅう……、と握り締められるのが判る。
満足行くまで水を飲んで、ゆっくりと口付けを終えると、レオンはぼんやりとした表情を浮かべていた。
意識ははっきりとしていないものの、恐慌に似た震えが止まっているのを見て、ラグナもほっと息を吐く。
「水、ちゃんと飲めたな」
「……は、い……」
「じゃあもうちょっと寝よう。熱が下がるまでは、安静にしてないとな」
「……はい……」
良いんですか、と問う事もなく、レオンは素直に頷いた。
抱いていた体を離してベッドに寝かせ、布団を被せ直してやる。
これから熱が上がらないとも限らないので、レオンが寒い思いをしないように、きっちりと首元まで覆った。
ゆっくりとした瞬きを繰り返す目が、じぃ、とラグナを見詰める。
何かを言いたそうにしているけれど、言葉が出てこないその様子に、ラグナは息子がよく同じ顔をしている事を思い出す。
年は随分違う筈なのだが、時折覗くレオンの幼い顔を見る度、根っこは同じ位なのかなあ、と思う。
ラグナはレオンの頬を撫で、眦に滲む涙を指で拭った。
それから子供をあやすように頭を撫でて、顔を覗き込んで小さな声で囁く。
「ゆっくりお休み、レオン。大丈夫、俺は此処にいるからさ」
「………はい……」
何処にも行かない、一人にしない。
それをはっきりと言葉にして伝えると、レオンの表情がようやく綻ぶ。
縋るものを求めるように、レオンの手がラグナへと延ばされる。
ラグナをそれを捕まえて、両手で柔らかく握り締めた。
安堵するように眠りに落ちたレオンを見て、ラグナもほうっと息を吐いたのだった。
オフ本【エモーショナル・シンドローム】の設定で、その後の様子が書きたかった。
色々あり過ぎて、自覚なく色んな事に臆病なレオンと、そんなレオンが放っておけないラグナ。
拗らせまくったレオンはとても楽しい(毎回言ってる)。
自分の管理は自分で出来るタイプなのだろうとは思う。
そうでなければ、長年独り暮らしなど出来ないし、仕事でも万事に置いて優秀な成績は残せまい。
一人であるからこそ、そうでなければならないと思っていたからこそ、レオンはそう出来ていたのだろう。
それは一つのプレッシャーでもあり、彼が自分を律する理由とも力ともなっていた。
が、それでも人の体は常に万全の上体は保てないし、ふとしたバイオリズムの変化で体調を崩す事はある。
変わらないリズムが繰り返される日常でも、そう言う事は絶対に起こってしまうものなのだから、環境が劇的に変化した後ともなれば尚更だった。
レオンとラグナが恋人同士と言う関係になってから、レオンはラグナの家に住む事になった。
ラグナの家には、彼の一人息子が同居している為、三人で一つ屋根の下に暮らす生活が始まったのだ。
ラグナの息子スコールは、余り人との関わりを強く持つまいとしていたレオンにしては珍しく、家庭教師役を引き受ける間柄になっていた。
そのお陰で、スコールはレオンが家庭に加わる事に特に反発する事はなく、寧ろ父を恋人として選んだレオンを、「こいつで良いのか」と(割と本気のトーンで)心配していた位だ。
レオンはレオンで、スコールの問には頷いたが、スコールから同居を拒否されたら、と考えていた。
が、知らない人間といきなり共同生活が始まる訳ではないし、父と違って適度に他者と距離を置くレオンなら、と人見知りが激しいと言うスコールにしては珍しく、新たな家族の誕生を素直に受け入れていた。
今まで独り暮らしだったレオンと、妻を失ってからは父子二人暮らしであったラグナ達とで、習慣の違いや感覚の差異はあったものの、大きなトラブルは今の所起きずに済んでいる。
しかし、大きな変化が起きた事は確かだから、折々にその歪は表面化する事があった。
特に、他者の家庭に踏み込んだ立場となったレオンは、元々が過剰に他者の手を煩わせる事を嫌う性格も相まって、少なからずストレスになっていた事に違いない。
────同居生活が始まってから一ヵ月と言う頃に、レオンが熱を出して倒れたのは、そう言う理由もあるのだろうとラグナは思う。
同居生活が始まって直ぐの時は、家中の勝手が判らない事もあり、レオンは家事一般はスコールの手伝いをする程度に留めていた。
日々が続き、家の何処に何があるのか、ゴミは何処に捨てるのか、と言ったルールを把握するに連れ、少しずつ手伝う範囲も広げて行く。
スコールは17歳の高校生で、学業と家庭の仕事を両立させていたが、一人暮らしをしていたレオンは、その大変さをよく知っている。
ラグナは家庭を大事にし、出来る事は手伝うようにしているが、キッチン回りは過去の失敗により、スコールがいる時は近付けさせて貰えないので、手を出せる範囲は限られている。
だからレオンの存在はスコールにとっても非常に助かるものになっていた。
レオンの方も、紆余曲折の最中に仕事を放りだすように辞めてしまった事で、手に職がないまま、転がり込むように居候生活が始まった事に申し訳なさを感じており、せめて家事くらいはやらせて貰わないと恩返しも出来ない、と感じていた。
そんなレオンにとって、料理や掃除洗濯と言った家事雑事を任せて貰える事は、“自分が此処にいる為の代価”を払っているようにも思えて、少しだが気が楽になれたのだ。
同居生活の開始からしばらくの間、レオンは色々な意味で環境に慣れなければならなかった。
誰かが傍にいると言う事、それによって少なからず起こる相互への影響、またそれによる摩擦の軽減等。
一人暮らしをしていれば気にならなかった事が、気にしない訳もいかない環境となったのは、レオンに自覚なく過剰な負担を齎していた。
幼い頃、両親に捨てられたと言う傷を持つレオンは、自分自身の存在が他者の邪魔になる、と言う意識を持っている。
その為にレオンは、これ以上誰かに捨てられる、排除される事のないよう、極力他者と近しい関係になる事を避け、誰の手も煩わせる事のないように、過剰に他者の目を伺う癖がついてしまった。
ラグナはそれを知っており、そんなレオンに、誰かに迷惑をかける事、誰かの世話になる事は決して悪い事ばかりではないのだ、と伝えるように努めているのだが、20年以上も培われた他者の意識と言うのは、覆すのは難しい事だ。
特に幼年期のトラウマと重なっている事もあり、レオンはラグナと恋人同士と言う関係を築いた今でも、ラグナにいつか嫌われること、捨てられることを常に考えている。
呪縛とも言えるこの思考は、一朝一夕で変えられるものではなく、また他人が強引に曲げられるものでもない為、ラグナとスコールは根気強くレオンと付き合っていく事を覚悟していた。
だから、同居生活に慣れて来たと思えた頃にレオンが熱を出したのも、そう言う理由が絡んでいるのだろうと、想像するのは難しくなかった。
スコールも幼い頃、人見知りが激しく、環境の変化に簡単になれる事が出来なかった。
幼稚園が怖い、小学校が怖い、知らない人が沢山いる所は行きたくない────どうしても行かなければならない時は、その日が近付くと、体が拒否反応を起こすように熱を出してしまう。
そう言う経験があったから、レオンが熱を出したと知った時、ラグナもスコールも無理もない事だと悟る事が出来た。
しかし、高熱を出していても尚、レオンがそれを隠そうとしていた事には、溜息が出た。
世話になっている者に迷惑をかけたくない、と言う思いの下、レオンは最後の最後まで体調不良を隠そうとし、それも殆ど完璧に隠していた末に、体の方が限界を越えて昏倒したのだ。
学校に行こうと玄関に立ち、レオンから手作りの弁当を渡された所だったスコールは、目の前で倒れた青年を見て驚いた。
けろりとした顔をしていた同居人が、急に目の前で倒れだのだから無理もないだろう。
音に気付いた父が直ぐに飛んで来たから良かったが、そうでなければ、スコールもパニックを起こしていたに違いない。
父子でレオンを寝室に運び、寝間着に着替えさせてから、ラグナはスコールを学校へと送り出した。
レオンを心配するスコールの気持ちは有り難いが、彼はもう直ぐ学年末試験がある。
ラグナが仕事を休むから、と言うと、息子は父を信じて───色々と念入りに確認されたが───、後ろ髪を引かれながらも家を出た。
一限目が始まる前に、レオンの様子を気にするメールが届いたので、どうやら遅刻はせずに学校に着く事は出来たらしい。
その時にはまだレオンは眠っていたので、ラグナは『ゆっくり休ませてるよ』とだけ返信を送った。
それから約三時間が経ち、時刻はそろそろ昼を迎えようとしている。
しかしレオンは未だ目を覚ます様子はなく、ベッドの中で苦しそうに喘いでいた。
(───……38度3分か。下がんねえなあ、上がる様子もないけど…)
レオンの脇で測った体温計を確認して、ラグナは眉根を寄せる。
倒れた直後に計測した時も、数値は殆ど同じものを指しており、レオンの容態に変化はない。
午後までレオンが目覚めないようなら、病院に連れて行った方が良いかな、とも思っていた。
レオンは目を閉じ、眉根を寄せ、傷の走る額に珠のような汗を浮かせている。
ラグナはレオンの額に乗せていたタオルで、顔や首筋に浮いている汗を拭き、温くなったタオルを濡らし直す為にキッチンへ向かおうと腰を上げた。
キッチンの水でタオルを洗い、絞りながら、ラグナはひそりと唇を噛む。
レオンが倒れるその瞬間まで、彼の体調不良に気付いてやれなかった自分が腹立たしい。
(風邪って言うより、ストレスかなぁ。俺達にも凄く気を使ってる感じするし。迷惑かけて良いんだって言っても、まだ遠慮なく寄っかかれる訳じゃないし。レオンの方からそう言う事は言わないだろうから、俺が気付いてやんなきゃいけなかったのになぁ)
家族の事ですら、気付けない事があるのだから、同居が始まったばかりの青年の事を、全て察する事が出来る訳もない。
それは判っているのだが、レオンは過去の経緯もあり、とかく人の迷惑になる可能性を嫌い、恐れる傾向がある。
仕事をしていた事は、「仕事が滞ると余計に迷惑をかける」と言う意識があったので、余りに無理をする事はなかったのだが、今はまた事情が違う。
ラグナが「家族になろう」と言っても、レオンに巣食う恐怖心が彼を足踏みをさせている今は、ラグナの方から察して手を差し伸べてやらなければいけないのだ。
そうしなくては、レオンはいつまでも、誰かに寄りかかる事も出来ないのだから。
しっかりと水気を絞ったタオルを手に、ラグナはレオンが眠る自分の寝室へと戻った。
レオンと同居を始めてから、部屋を一つリフォームして彼の寝室も作ったのだが、元々は物置に使っていた場所だった為、窓も小さく、日当たりも風通しも良くない。
そんな所にいるよりは、とラグナは彼を自分の部屋へと運び込んだのだ。
「────お、」
部屋に入ると、レオンは起き上がっていた。
しかし、起こした上体は力なく、朧な瞳がゆらゆらと天井を見つめて彷徨っている。
夢半分なのかも知れない、と思いつつ、ラグナは努めて柔らかく、彼の名を呼んだ。
「レオン。目、覚めたか?」
「………」
声をかけてみるが、レオンからの返事はない。
それ処か、レオンの瞳は宙を見詰めたまま、反応らしい反応もなかった。
熱が出ているのだから仕方がない事だ、とラグナは先ず彼を寝かし直した方が良いと判断した。
「ほら、レオン。もうちょっと横になってな」
「……あ、……」
肩を優しく掴んでやると、ようやく蒼の瞳がラグナを捉える。
しかし、焦点は結ばれないまま揺れており、ぼんやりとした表情もあって、いつもよりも雰囲気が幼い。
普段が確り者で通っているだけに、レオンのふとした時のこんな表情が、ラグナは酷く印象強く記憶に刻まれる。
ラグナがそっとレオンの体を押すと、レオンはとさっとベッドに戻った。
冷えたタオルを額に乗せて、布団をかけ直し、ぽんぽんと胸元を宥めるように叩いていると、
「………、」
「ん?」
少し乾いた唇が、何かを紡ぐように動く。
喉が乾燥しているのか、少し喘鳴のような音がするのを聞きながら、ラグナは顔を近付けて耳を澄ませる。
「……な、……、…い……」
「……え?」
体の熱で苦しさもあるのだろう、レオンは途切れ途切れに音を零す。
声を出す事さえも辛い様子のレオンに、聞き直して良いものかとラグナは考えていたが、
「……ごめ、…ん…なさ……」
「……レオン?」
聞こえた謝罪の言葉に、ラグナは目を丸くする。
その表情を、レオンは虚ろな瞳に映して、言った。
「直ぐ…治す、から……」
「レオン」
「……もう、起きれる……」
「あ、こら!」
重い体を強引に起こして行くレオン。
声すら碌に出す事が出来ないのに、起きれる筈がないだろう、とラグナは慌ててレオンの肩を抑える。
すると、涙の膜を浮かべた青の瞳がラグナを捉えた。
「ごめんな、さ、い……もう、平気だから……」
「平気な訳ないだろ。熱が38度もあるんだから」
「……大丈夫……直ぐに、治る…から……」
起き上がろうとするレオンを、ラグナは押さえ付けてベッドに縫い留めていた。
レオンは抵抗するように何度も体を捩ったが、どれだけ力を入れても、今の体調でラグナに敵う筈もない。
う、う、と唸りながら体を起こそうとするレオンだったが、五分と経たない内に、体力は尽きてしまった。
レオンの体から力が抜けたのを感じて、ラグナはそっと押さえ付けていた肩を離す。
動いている内に落ちてしまったタオルを拾い、畳み直して、傷のある額に戻してやる。
それをぼんやりと負った目から、ぽろ、と雫が伝い落ちた。
「う…う……っ」
「レオン?」
蹲るように丸くなり、肩を震わせるレオン。
寒いのか、とラグナが手を伸ばそうとすると、それを見たレオンの目に明らかに怯える色が浮かんだ。
ひく、と喉を引き攣らせているレオンに気付き、ラグナは空の手を見る。
其処にレオンが怯えるようなものはない筈────だが、レオンの過去を思い出して、ラグナは直ぐに理解した。
(そっか。病気になった時、優しくされた事もなかったんだっけな)
それは、レオンが両親に捨てられる以前の事。
父母ともにまともな親とは言い難い家庭に生まれたレオンは、捨てられるまでの間、何かと両親から邪見に扱われていた。
母は父程酷くはなかった、とレオンは言ったが、児童養護施設の教員から聞いた話では、母の方も酷かったと言って良い。
病気になった息子を看病しながら、それに時間を取られる事を酷く嫌い、その感情を病気の息子に向けていたのだから、ラグナには到底考えられない親だと思う。
ラグナは少し迷ったが、もう一度レオンへと手を伸ばした。
瞠られたまま、濡れた蒼の瞳が、挙動のすべてを見逃すまいとするように、ラグナの手を見詰めている。
それを咎める事はせず、ラグナはそっとレオンの頬を撫でた。
「大丈夫だよ、レオン。大丈夫」
「……あ……?」
思いもがけない事をされた、と言う顔で、レオンはラグナを見る。
ゆらゆらと頼りなく、迷子の子供のように彷徨っていた瞳が、ようやくラグナを映した。
ラグナはレオンの頬を両手で包み込み、顔を近付けた。
タオルの落ちた額に、こつん、とラグナが額を押し付けると、二人の鼻先も触れ合う。
は、は…っ、と熱に喘ぐレオンの呼吸が、ラグナの唇をくすぐっていた。
「熱があると辛いよな。でも大丈夫、ゆっくり休んでて良い。無理におきなくて大丈夫だから」
「……ラ、グナ…さ……」
「腹は減ってるか?もう直ぐ昼飯の時間なんだ。食欲ないなら、それでも良い」
「……ふ…う……」
「汗一杯掻いてるから、水飲もうか。な?」
じわじわと、眦の雫の粒が大きくなっていくレオンに、ラグナは子供に言い聞かせるように声をかけていた。
ベッド横のサイドテーブルに置いていた水差しを取り、レオンの口元に持っていく。
と、それが口元に来る前に、レオンが手を伸ばした。
「自分で…やります……」
「だぁめ。起きれないだろ」
「…起き、ます……」
「駄目だって」
「……で、も……」
くしゃ、とレオンの貌が歪む。
遠くはない過去に見た、何もかもを耐え切れなくなった時のレオンの貌と重なって、ずきりとラグナの胸が痛んだ。
「ラグナ、さん……迷惑…かけて……」
「メーワクなんかじゃないって。ほら、口開けて」
「ご、め…なさい……ごめん、なさ、い……」
「おーい、レオン。レオンってば」
枕に顔を埋め、泣き顔すら隠すレオンに、ラグナは努めていつものように声をかけながら、眉尻を下げる。
熱で明瞭とは言えない意識の中で、ラグナの手を煩わせている事が、レオンにとっては辛いのだろう。
ラグナの声が聞こえない様子で何度も謝罪の言葉を繰り返している姿は、未だ彼が過去の呪縛から解放されていない事を示していた。
ラグナは、くしゃくしゃとレオンの頭を撫でた。
そうして触れられる事を、レオンは何よりも好いている。
それでもまだ震えが止まらないレオンを、ラグナはそっと抱き起こした。
顔を見せたくないのだろう、レオンは僅かに抵抗の力を見せたが、「レオン」とラグナが名前を呼ぶと、まるで条件反射のように体の力が抜ける。
ラグナはベッドに座って、起き上がらせたレオンの体を抱き寄せた。
涙に濡れた目がぱちりと瞬きをして、恐々とラグナへと向けられる。
「……ラグナ、ん……っ!」
愛しい人の名前を呼ぼうとした唇と、ラグナは己のそれで塞いだ。
レオンの咥内の感触に、熱いな、とラグナは思った。
それは口付け合っていると言う興奮よりも、レオンの体が熱に侵されているからに他ならない。
濃茶色のカーテンの下にある蒼の瞳も、また浮かされたように頼りなく震えていた。
重ね合わせているだけだった唇を開放して、ラグナは水を口に含んだ。
まだぼんやりとしているレオンにもう一度口付けて、口の中の液体をそっと注ぎ込んでいく。
常温よりも少し低い温度の水の感触は、発熱しているレオンには冷たく心地良かったようで、レオンは素直に水を飲み始める。
「ん…っ、ん…、……は…っ」
「もっといる?」
「……い、…る……ん……っ」
子供のように素直な返事が聞こえて、ラグナはもう一度水を含んでキスをする。
重ねている内に、ベッドシーツを握りしめているばかりだったレオンの右手が、ラグナの服の裾を掴んだ。
握っても良いのか迷いながら、やはり離す事は出来なくて、きゅう……、と握り締められるのが判る。
満足行くまで水を飲んで、ゆっくりと口付けを終えると、レオンはぼんやりとした表情を浮かべていた。
意識ははっきりとしていないものの、恐慌に似た震えが止まっているのを見て、ラグナもほっと息を吐く。
「水、ちゃんと飲めたな」
「……は、い……」
「じゃあもうちょっと寝よう。熱が下がるまでは、安静にしてないとな」
「……はい……」
良いんですか、と問う事もなく、レオンは素直に頷いた。
抱いていた体を離してベッドに寝かせ、布団を被せ直してやる。
これから熱が上がらないとも限らないので、レオンが寒い思いをしないように、きっちりと首元まで覆った。
ゆっくりとした瞬きを繰り返す目が、じぃ、とラグナを見詰める。
何かを言いたそうにしているけれど、言葉が出てこないその様子に、ラグナは息子がよく同じ顔をしている事を思い出す。
年は随分違う筈なのだが、時折覗くレオンの幼い顔を見る度、根っこは同じ位なのかなあ、と思う。
ラグナはレオンの頬を撫で、眦に滲む涙を指で拭った。
それから子供をあやすように頭を撫でて、顔を覗き込んで小さな声で囁く。
「ゆっくりお休み、レオン。大丈夫、俺は此処にいるからさ」
「………はい……」
何処にも行かない、一人にしない。
それをはっきりと言葉にして伝えると、レオンの表情がようやく綻ぶ。
縋るものを求めるように、レオンの手がラグナへと延ばされる。
ラグナをそれを捕まえて、両手で柔らかく握り締めた。
安堵するように眠りに落ちたレオンを見て、ラグナもほうっと息を吐いたのだった。
オフ本【エモーショナル・シンドローム】の設定で、その後の様子が書きたかった。
色々あり過ぎて、自覚なく色んな事に臆病なレオンと、そんなレオンが放っておけないラグナ。
拗らせまくったレオンはとても楽しい(毎回言ってる)。