[クラスコ]その心は今は遠く
- 2020/08/08 21:30
- カテゴリー:FF
※R-15
激しい戦闘の後と言うものは、昂ぶりが収まらない事も多い。
それは種の存続を求める生き物の本能として、幾何かはどうしようもない事だった。
戦場では常に命の危機が付きまとい、特に戦闘行為はそれと真っ向からぶつかっている為、より一層動物の本能が剥き出しになる。
その残滓を処理する為に、しばしの手間を取るのも、致し方のない事であった。
しかし、拠点である秩序の聖域の屋敷に戻れる時ならともかく、野営でそれを行う事は難しい。
単独行動なら周囲の警戒は怠れずとも、事務的に済ませてしまう事が可能だが、今日は複数人での団体行動である。
凶暴な魔狼の群れに襲われた時は、単独行動ではなかったお陰で無事に撃退させる事が出来たのだが、終わった後の事がスコールにとってはネックだった。
隙あらば腕だろうが足だろうが、頭だろうがもぎ千切ろうとする魔狼を退けてから、数時間。
未だスコールの躰はその時の名残を宿し、休息する筈の時間を無為に浪費する羽目になっていた。
(……くそ……)
眠れない事に毒づいても、睡魔は一向にやって来ない。
背中に感じる気配がある事が、余計にスコールを落ち着かない気分にさせていた。
二人が入って寝転べば、それだけで一杯になってしまう小さなテント。
スコールと共にそれを使っているのは、クラウドだった。
外で雑談をしているティーダやジタンに比べ、寝相も悪くない、同衾する人間としては静かで良い───のだが、今のスコールにとって、其処にいるのが誰であれ、自分以外の他人がいる事が問題なのだ。
眠ってしまえば気にならなくなる筈のものだが、眠れないと益々気になって、余計に眠り難くなる。
無心になるのが一番、と言う理屈はあっても、それが出来ないから苦労しているのだと、本末転倒な事を思う。
───では、今ここで?
外で処理しないのなら、そう言う選択になってしまう。
(……外に行くか)
少なくとも、此処でまんじりともしない時間を過ごしているよりは良い。
済ませるだけをさっさと済ませれば、戻って眠るだけで済む。
ちらりと背後の眠る男に目を遣る。
静かな彼は、寝息も酷く薄い程度にしか聞こえず、野営の時には寝返りも殆ど打たない。
スコール同様、兵士として下積みを積んでいたと言うから、こういった環境では休む時でも全身でリラックスと言う風にはならないのだろう。
となると、スコールが起きた事に伴って、彼を起こしてしまう可能性もあるが、
(……まあ、良いか。クラウドだし…)
クラウドは必要以上に他者の領域に踏み込まない。
頑なに他人との交流を拒絶している訳ではなかったが、それも相手を見極めているようで、気安い相手とそうでない者とで、距離の取り方を変えている。
スコールに対しては一歩引いた距離を保っており、物理的にも精神的にも、それ程近付いては来なかった。
スコールの機嫌が悪い時には、当たり障りのない会話で少し様子を確かめた後、何かあれば言え、とだけ言って離れて行くので、スコールは気が楽だった。
だからと言って、こんな環境で、この距離で───とは思うのだが、このままだと朝まで眠れそうにない。
ひょっとしたら何処かで寝落ちるかも知れないが、今現在、そう言う気配もないのがスコールにはストレスだった。
目を閉じても妙に苛々する気がするし、せめてその波位は抑えないと、休めるものも休めない。
スコールは起き上がってテントを出た。
眠ったとばかり思っていたのだろう、見張りのジタンとティーダが顔を上げ、
「どした?スコール」
「…少し見回りして来る」
「一人で平気か?」
「問題ない」
ついて行こうか、と言い出しそうな二人を、スコールは先に制した。
見張りに飽きつつあるのか、どちらも残念そうな顔をしたが、「いってらっしゃーい」とスコールを見送る。
あまり野営地を離れるのも良くないと、スコールは焚火の灯りが臨める程度の距離で足を停めた。
距離にして数十メートル、茂みを壁代わりにして身を隠す。
一応、辺りの気配を気にしながら、スコールはそろそろと右手を下ろす。
申し訳程度の温もりの為に被っている毛布の中で、自身に少しだけ触れてみた。
案の定、と言う感触がして、やっぱりこのままでは眠れない、とひっそりと溜息を吐く。
(……直ぐ終わらせよう)
男の体なんて、馬鹿正直に出来ている。
こんな環境でもこうなる訳だから、強引にでも出してしまえば少しは落ち着いてくれる。
そもそもこうならなければ、こんな事をする必要もないのだが、と不毛な事を思いながら、スコールはベルトのバックルを外した。
金属の鳴る小さな音すら警戒して、ゆっくり、そっと外したから、いやに時間がかかってしまったが、それでもどうにか前を緩める事には成功する。
息を殺し、口を開かないように力を入れて噤んで、自身を刺激する。
落ち着かない環境と気分がそうさせるのか、どうにも手付きは乱雑だったが、それも無理はない。
(早く済ませよう)
スコールの気持ちはそれしかない。
とにかく、済ませるものを済ませて、休む体勢に戻りたい。
色々と気を散らせるものがあるのはどうしようもないから、出来るだけ何も考えなくて良いように、スコールは目を閉じた。
追う感覚だけに意識を集中させて、けれど口はぐっと噛む。
緊張感が抜けない体は強張るばかりであったが、それでも体は徐々に熱を高めていく。
唇を解けば、上がった息が零れそうだった。
額に汗が滲むのは、体の熱の所為なのか、それよりも焦りの表れのように思えてならない。
(ん…、っく……!)
急く気持ちを抑えるように努めるが、急げと意識する程、体が感じるものは鈍くなって行く。
手の中のものは少しずつ育っているのが判るが、それから先に行かない。
(もう…少し…、強く……)
自身を握る手に力を入れて、動きを早めてみる。
ひくひくと震えそうになる体を強引に御しながら、ちらりと肩越しに後ろを見る。
辺りは静かなもので、遠くにある焚火の光以外は、何も見えない。
しばらくその明かりを観察し、人が来る気配もないと判って、ほうっと詰めていた息を吐く。
ゆっくりと動かす手を再開させると、緊張感が妙な神経を刺激したのか、さっきよりも敏感になっている。
これなら、とスコールは早い内に済ませようと、より強い刺激を与えようと試みる。
(は…ふ…っ、はぁ……っ、は……っ!)
声を上げる訳にはいかないから、口は噤んで呼吸も抑える。
しかし、鼻息が荒くなって行くのは隠せなかった。
せめて少しでも隠そうと、空いている手で鼻口を覆う。
下肢が俄かに汗を滲ませ、自身が張り詰めて行くのが判った。
それなら後少し、もう少しだと言い聞かせて、スコールは早くこの苦しい時間が終わるように祈りながら、意識を集中していたのだが、
(ふ…ん…っ、ん────)
ぞくぞくとした感覚に、上り詰められそうだと思った瞬間。
さく、と土を踏む音があった事に気付かなかったのが、スコールにとって失敗だった。
「スコール」
「!!」
呼ぶ声を聞いて、びくん、と露骨にスコールの躰が跳ねる。
混乱極まった意識の中で、スコールの躰は彼自身の手の中ではっきりと身を起こしている。
そろそろとスコールが顔を上げると、木の影から半身を覗かせているクラウドがいた。
「何をしていているのかと思っていたが」
「……っ」
「…大変そうだな」
そう言った男の顔が、薄く笑みを梳いているように見えたのは、スコールの思い込みだろうか。
クラウドの視線は、スコールの右手に向かっている。
緩めた其処で右手が何をしているのか、男なら判らない筈がないだろう。
スコールは思わず膝を寄せて体を丸め、自身の有様を隠そうとしたが、既に遅い。
「スコール」
「……!」
名前を呼ばれても、どんな反応をすれば良いのか判らなくて、スコールは顔を背けた。
クラウドはそんなスコールの前に膝を折り、同じ目線の高さになる。
どうしてそんな事を、早く何処かに行ってくれと願うスコールの胸中をすっかり無視して、クラウドは顔を近付けてくる。
「…手伝ってやろうか?」
(は?)
「その方が直ぐに済むだろう」
(な、あ、)
この男は何を言っているのか。
スコールが混乱極まっている間に、クラウドの手が足の間に滑り込んできた。
慌てたスコールが膝に力を入れて侵入を阻もうとするが、既に遅く、スコールの太腿はクラウドの手首を挟むだけ。
そのままクラウドの手はスコールの右手に重なって、顔を出している先端に指が宛がわれ、
「っん……!」
「静かに」
聞こえるぞ、と耳元で囁かれ、スコールは口を噤んだ。
自分の右手がクラウドの手で強引に動かされて、びくびくと体が跳ねる。
こんな状況でも感じてしまう躰が酷く浅ましく思えて、涙が滲んだ。
それを生温いものが掬い取るように撫でて行き、クラウドの左手がくしゃりと濃茶色の髪を撫でる。
宥めているつもりなのだろうが、スコールには子供扱いにしか思えなかったし、何よりこんな状態で───剰えクラウドの手でされているのに、その当人に慰められても、どうしようもない。
どうして最初に見付かった時にさっさと逃げ出さなかったのかと、悔やむ思考は現実逃避の表れだ。
そうでもしないと、この状況に対して、涙が出るのを抑えられなかった。
ぞくぞくとしたものが背中を駆けのぼり、程無くスコールの熱が吐き出される。
押し殺した声が喉の奥で塊になっている気がして、スコールの躰は強張りから戻れなかった。
その一方で、クラウドはそんな少年の姿をじっと見つめ、
「まだきつそうだな」
「……っは…、は……っ、」
「……スコール」
名を呼ぶ声に、スコールはゆるゆると目を開けた。
酷く近い位置に変わった虹彩を宿した碧眼があって、其処に熱っぽいものが滲んでいるのを見付ける。
変な顔だ、とどうして彼がそんな表情をしているのかと、まとまらない頭で思った。
『野外でオナ○ーしてたら、クラウドに見られてしまって、色々いじわるされちゃうクラスコ(クラウドの片思い)』のリクエストを頂きました。
クラウドはスコールが落ち着かない様子だった事には気付いていて、テントを出て行ったので気になったので追って来た。
そうしたら自分でしている所を見てしまって、どうしようか迷ったけど、我慢できなくなって手を出してしまったの図。
そんな流れから始まるいつか両想いになる(予定)クラスコ。
激しい戦闘の後と言うものは、昂ぶりが収まらない事も多い。
それは種の存続を求める生き物の本能として、幾何かはどうしようもない事だった。
戦場では常に命の危機が付きまとい、特に戦闘行為はそれと真っ向からぶつかっている為、より一層動物の本能が剥き出しになる。
その残滓を処理する為に、しばしの手間を取るのも、致し方のない事であった。
しかし、拠点である秩序の聖域の屋敷に戻れる時ならともかく、野営でそれを行う事は難しい。
単独行動なら周囲の警戒は怠れずとも、事務的に済ませてしまう事が可能だが、今日は複数人での団体行動である。
凶暴な魔狼の群れに襲われた時は、単独行動ではなかったお陰で無事に撃退させる事が出来たのだが、終わった後の事がスコールにとってはネックだった。
隙あらば腕だろうが足だろうが、頭だろうがもぎ千切ろうとする魔狼を退けてから、数時間。
未だスコールの躰はその時の名残を宿し、休息する筈の時間を無為に浪費する羽目になっていた。
(……くそ……)
眠れない事に毒づいても、睡魔は一向にやって来ない。
背中に感じる気配がある事が、余計にスコールを落ち着かない気分にさせていた。
二人が入って寝転べば、それだけで一杯になってしまう小さなテント。
スコールと共にそれを使っているのは、クラウドだった。
外で雑談をしているティーダやジタンに比べ、寝相も悪くない、同衾する人間としては静かで良い───のだが、今のスコールにとって、其処にいるのが誰であれ、自分以外の他人がいる事が問題なのだ。
眠ってしまえば気にならなくなる筈のものだが、眠れないと益々気になって、余計に眠り難くなる。
無心になるのが一番、と言う理屈はあっても、それが出来ないから苦労しているのだと、本末転倒な事を思う。
───では、今ここで?
外で処理しないのなら、そう言う選択になってしまう。
(……外に行くか)
少なくとも、此処でまんじりともしない時間を過ごしているよりは良い。
済ませるだけをさっさと済ませれば、戻って眠るだけで済む。
ちらりと背後の眠る男に目を遣る。
静かな彼は、寝息も酷く薄い程度にしか聞こえず、野営の時には寝返りも殆ど打たない。
スコール同様、兵士として下積みを積んでいたと言うから、こういった環境では休む時でも全身でリラックスと言う風にはならないのだろう。
となると、スコールが起きた事に伴って、彼を起こしてしまう可能性もあるが、
(……まあ、良いか。クラウドだし…)
クラウドは必要以上に他者の領域に踏み込まない。
頑なに他人との交流を拒絶している訳ではなかったが、それも相手を見極めているようで、気安い相手とそうでない者とで、距離の取り方を変えている。
スコールに対しては一歩引いた距離を保っており、物理的にも精神的にも、それ程近付いては来なかった。
スコールの機嫌が悪い時には、当たり障りのない会話で少し様子を確かめた後、何かあれば言え、とだけ言って離れて行くので、スコールは気が楽だった。
だからと言って、こんな環境で、この距離で───とは思うのだが、このままだと朝まで眠れそうにない。
ひょっとしたら何処かで寝落ちるかも知れないが、今現在、そう言う気配もないのがスコールにはストレスだった。
目を閉じても妙に苛々する気がするし、せめてその波位は抑えないと、休めるものも休めない。
スコールは起き上がってテントを出た。
眠ったとばかり思っていたのだろう、見張りのジタンとティーダが顔を上げ、
「どした?スコール」
「…少し見回りして来る」
「一人で平気か?」
「問題ない」
ついて行こうか、と言い出しそうな二人を、スコールは先に制した。
見張りに飽きつつあるのか、どちらも残念そうな顔をしたが、「いってらっしゃーい」とスコールを見送る。
あまり野営地を離れるのも良くないと、スコールは焚火の灯りが臨める程度の距離で足を停めた。
距離にして数十メートル、茂みを壁代わりにして身を隠す。
一応、辺りの気配を気にしながら、スコールはそろそろと右手を下ろす。
申し訳程度の温もりの為に被っている毛布の中で、自身に少しだけ触れてみた。
案の定、と言う感触がして、やっぱりこのままでは眠れない、とひっそりと溜息を吐く。
(……直ぐ終わらせよう)
男の体なんて、馬鹿正直に出来ている。
こんな環境でもこうなる訳だから、強引にでも出してしまえば少しは落ち着いてくれる。
そもそもこうならなければ、こんな事をする必要もないのだが、と不毛な事を思いながら、スコールはベルトのバックルを外した。
金属の鳴る小さな音すら警戒して、ゆっくり、そっと外したから、いやに時間がかかってしまったが、それでもどうにか前を緩める事には成功する。
息を殺し、口を開かないように力を入れて噤んで、自身を刺激する。
落ち着かない環境と気分がそうさせるのか、どうにも手付きは乱雑だったが、それも無理はない。
(早く済ませよう)
スコールの気持ちはそれしかない。
とにかく、済ませるものを済ませて、休む体勢に戻りたい。
色々と気を散らせるものがあるのはどうしようもないから、出来るだけ何も考えなくて良いように、スコールは目を閉じた。
追う感覚だけに意識を集中させて、けれど口はぐっと噛む。
緊張感が抜けない体は強張るばかりであったが、それでも体は徐々に熱を高めていく。
唇を解けば、上がった息が零れそうだった。
額に汗が滲むのは、体の熱の所為なのか、それよりも焦りの表れのように思えてならない。
(ん…、っく……!)
急く気持ちを抑えるように努めるが、急げと意識する程、体が感じるものは鈍くなって行く。
手の中のものは少しずつ育っているのが判るが、それから先に行かない。
(もう…少し…、強く……)
自身を握る手に力を入れて、動きを早めてみる。
ひくひくと震えそうになる体を強引に御しながら、ちらりと肩越しに後ろを見る。
辺りは静かなもので、遠くにある焚火の光以外は、何も見えない。
しばらくその明かりを観察し、人が来る気配もないと判って、ほうっと詰めていた息を吐く。
ゆっくりと動かす手を再開させると、緊張感が妙な神経を刺激したのか、さっきよりも敏感になっている。
これなら、とスコールは早い内に済ませようと、より強い刺激を与えようと試みる。
(は…ふ…っ、はぁ……っ、は……っ!)
声を上げる訳にはいかないから、口は噤んで呼吸も抑える。
しかし、鼻息が荒くなって行くのは隠せなかった。
せめて少しでも隠そうと、空いている手で鼻口を覆う。
下肢が俄かに汗を滲ませ、自身が張り詰めて行くのが判った。
それなら後少し、もう少しだと言い聞かせて、スコールは早くこの苦しい時間が終わるように祈りながら、意識を集中していたのだが、
(ふ…ん…っ、ん────)
ぞくぞくとした感覚に、上り詰められそうだと思った瞬間。
さく、と土を踏む音があった事に気付かなかったのが、スコールにとって失敗だった。
「スコール」
「!!」
呼ぶ声を聞いて、びくん、と露骨にスコールの躰が跳ねる。
混乱極まった意識の中で、スコールの躰は彼自身の手の中ではっきりと身を起こしている。
そろそろとスコールが顔を上げると、木の影から半身を覗かせているクラウドがいた。
「何をしていているのかと思っていたが」
「……っ」
「…大変そうだな」
そう言った男の顔が、薄く笑みを梳いているように見えたのは、スコールの思い込みだろうか。
クラウドの視線は、スコールの右手に向かっている。
緩めた其処で右手が何をしているのか、男なら判らない筈がないだろう。
スコールは思わず膝を寄せて体を丸め、自身の有様を隠そうとしたが、既に遅い。
「スコール」
「……!」
名前を呼ばれても、どんな反応をすれば良いのか判らなくて、スコールは顔を背けた。
クラウドはそんなスコールの前に膝を折り、同じ目線の高さになる。
どうしてそんな事を、早く何処かに行ってくれと願うスコールの胸中をすっかり無視して、クラウドは顔を近付けてくる。
「…手伝ってやろうか?」
(は?)
「その方が直ぐに済むだろう」
(な、あ、)
この男は何を言っているのか。
スコールが混乱極まっている間に、クラウドの手が足の間に滑り込んできた。
慌てたスコールが膝に力を入れて侵入を阻もうとするが、既に遅く、スコールの太腿はクラウドの手首を挟むだけ。
そのままクラウドの手はスコールの右手に重なって、顔を出している先端に指が宛がわれ、
「っん……!」
「静かに」
聞こえるぞ、と耳元で囁かれ、スコールは口を噤んだ。
自分の右手がクラウドの手で強引に動かされて、びくびくと体が跳ねる。
こんな状況でも感じてしまう躰が酷く浅ましく思えて、涙が滲んだ。
それを生温いものが掬い取るように撫でて行き、クラウドの左手がくしゃりと濃茶色の髪を撫でる。
宥めているつもりなのだろうが、スコールには子供扱いにしか思えなかったし、何よりこんな状態で───剰えクラウドの手でされているのに、その当人に慰められても、どうしようもない。
どうして最初に見付かった時にさっさと逃げ出さなかったのかと、悔やむ思考は現実逃避の表れだ。
そうでもしないと、この状況に対して、涙が出るのを抑えられなかった。
ぞくぞくとしたものが背中を駆けのぼり、程無くスコールの熱が吐き出される。
押し殺した声が喉の奥で塊になっている気がして、スコールの躰は強張りから戻れなかった。
その一方で、クラウドはそんな少年の姿をじっと見つめ、
「まだきつそうだな」
「……っは…、は……っ、」
「……スコール」
名を呼ぶ声に、スコールはゆるゆると目を開けた。
酷く近い位置に変わった虹彩を宿した碧眼があって、其処に熱っぽいものが滲んでいるのを見付ける。
変な顔だ、とどうして彼がそんな表情をしているのかと、まとまらない頭で思った。
『野外でオナ○ーしてたら、クラウドに見られてしまって、色々いじわるされちゃうクラスコ(クラウドの片思い)』のリクエストを頂きました。
クラウドはスコールが落ち着かない様子だった事には気付いていて、テントを出て行ったので気になったので追って来た。
そうしたら自分でしている所を見てしまって、どうしようか迷ったけど、我慢できなくなって手を出してしまったの図。
そんな流れから始まるいつか両想いになる(予定)クラスコ。