スペースバンパイア1−3
…左にしよう。何か胸騒ぎがする。どっちに行っても危険信号だが、なぜか左に行かなければならない気がしたからだ。
僕は左の扉をタッチして先に進んだ。電気がついておらず、真っ暗だ。いよいよ怪しい。自動で後ろの扉が閉まると、本当に真っ暗闇になった。まずい、失敗したかな…?
ブゥ…ウン…
周囲の壁に電源が入り、通路全体が明るくなった。人が来ると電気が来る仕掛けか。「…!?」こ、これは…!?
少し広めの部屋だった。シンプルで何もなく、真ん中にベッドがふたつ置いてあるだけだった。そしてそこには…下半身がシーツに埋まった、2人の美女が眠っているのだった。緊張感が高まる。
奥に扉が見える。おそらくその先に進む道があるのだろう、そして、ここに寝ている敵を倒さなければ先には進めないのだろう。今までのパターンからそれは明らかだった。
この女は見たことがない。今までのバンパイアとも違う。青白く美しい肢体は、妖しさにおいてバンパイアのそれをはるかにしのいでいた。魔力の波動は感じられないものの、それとは違う底知れぬパワーと魅力が、眠りについて横たわっているスベスベの女体から醸し出されている…しかも2体から。ヴァンパイアなんかよりもはるかに強力な相手であることが、雰囲気だけからもビンビン感じられるのだ。
キョンシーとも違う。底抜けの明るさや毒々しさは感じられず、アンデッドであることは明らかなのにすべてが清らかだ。強さのほどは分からないが、中級キョンシーよりも強そうだ。かといって、バンパイア・ブライドのような、完膚なきまでに男の精神を犯し尽くすような魔性の色気までは感じない。おそらく実力的には、キョンシー以上ブライド以下といったところだろう。といっても、いま僕の目の前には、この白い肢体が2人寝ているのであり、これから始まるであろう戦慄の快楽勝負では、ブライド戦以上の苦戦を強いられることも間違いなさそうだ。
要するに、未知の強力な敵が、静かに僕の前でベッドに横たわっているわけである。周囲の空間は実に静かだ。機械でできた壁がときおり電子音や通信音などを奏でるだけで、自分の乱れた呼吸の音がよく聞こえる。
それにしても…なんという美しさだろうか。2人とも顔立ちはほとんど同じで、西洋風の清楚な輪郭、滑らかな黒髪、時代的には少し遅めの太い眉…。下半身は白いシーツに隠れているが、上半身のスタイルはバツグンだ。ハリのある乳房は女の魅力を十二分に物語っているし、肌質の良さは触れずとも見ただけでよく分かる。ステージからしてアンデッドなのは間違いないが、青白い肉体ながら透き通るような肌をしている。
出合ったことのない敵が2人。でも…。たしかに見たことはないのだが…。なぜか初めて会った気がしない相手だ。どこかで見たような、見なかったような…。直接の面識がないのはたしかなんだけど…。
なにか…ヤバイ感じがする…!
思い出すんだ。このまま思い出せないで数秒もたつと、決定的にまずい状況になりそうな気がする。はやく、思い出すんだ…このデジャヴのような感覚の正体を!うーーー…
あっ! 思い出したぞ!
とっさに僕は視線を美しい女体から下に落とした。シーツが動いたのとほぼ同時だった。危ないところだった。
彼女たちがパッチリと目を見開き、一瞬で上半身を起こしたのと、僕が視線を落としたのがまったく同じ時間だった。つまり僕は彼女たちの目を見ずに済んだ。あと一秒でも思い出すのが遅れていたら、僕はこの化け物の目を見てしまっていただろう。その瞬間アウトだったに違いない。
どこかで見たはずだった。これは昔映画でやっていた内容だ。宇宙からやってきた、人間の精気を吸い取る恐ろしいモンスター、スペースバンパイアだ。その目を見ただけで魅了され、欲情して抱きついてしまう。唇を奪われたが最後、とてつもないスピードで精気を吸い取られ、干からびたミイラになってしまうという内容だった。何もない空間、一昔前っぽい機械的な部屋、シーツに下半身覆われた全裸の美女…。まさに映画と同じシチュエーションだった。上半身裸の状態で巨乳美女が起き上がったとき、僕が彼女たちを見たままであったなら、もはや抗うこともできずに吸い込まれてしまっていたであろう。
ただ一つ映画と違うのは、相手が2人いるってことだった。つまり1人相手でも超強力な相手なのに、それが2倍になっているということ。連携次第ではそれ以上の力の差が生まれてしまう。映画よりもずっと悪い状況だ。
美女たちがベッドから降りる。大人のすらりとした生足と、露出した下半身がいやらしい。しかも2人とも下の毛が生えていなかった。オンナ表面のきれいな割れ目がよく見えて、エロチックな中にかえってすがすがしささえ感じる。
僕は彼女たちの乳房から下だけを見て、決してその目を見ないようにした。彼女たちの雰囲気からは、魔力とは違う力を感じる。魔法の力を使ってくれるのなら、こちらも魔法障壁等で魅了攻撃を和らげることもできるが、スペースバンパイアの持っている力は魔力とは異質なものだ。おそらくは超能力の類なのだろう。一瞬でも目を合わせたらその力が心の奥にダイレクトに伝わり、僕は催眠にでもかかったように彼女から目をそらせなくなるだろう。そうなれば時間が経つにつれてどんどん魅了され、抵抗できずにキス攻撃に持ち込まれる。そうして精気を奪われ、干からびてしまうんだ。それだけは絶対に避けなくてはいけない。
まだ彼女の目を見ていないのは幸いで、しかもサイコキネシスのたぐいが僕に効いていない。ガラス窓を破壊するような力は、この精神世界では発動できないみたいだ。物理的破壊はここでは価値がないから無効化されてしまう。あくまで性本位社会。余計な力は使えないし、無理に使ってもすぐにもとに戻ってしまう。もちろん、同様の力を使って僕の首をムリに捻じ曲げてその目を見させるという暴力技も使えないというわけだ。つまり、こちらから見なければ魅了の心配はなさそうということだ。
2人は颯爽と全裸でこちらに歩いてくる。大きな乳房がゆれながら迫ってくる。僕は彼女たちと間合いを取って体勢を整えた。この世界での戦闘というところから考えて、キス以外であっても性的な攻撃はすべてドレイン効果を伴っているはずだ。つまり肌を重ねようと挿入しようと、程度の差はあっても精気が吸収されてしまう。そうなると、魅了されないのが絶対に必要な条件であり、その上でフェラや挿入は慎重に、抱き合って触れ合えば少しずつでも吸収されていくから、ドレインで精根尽き果てないよう、精力値につねに注意を払う必要がある。新手の敵はとにかく冷静になることが大切だ。僕は伏目がちのまま身構えた。
ブーン! 突然僕の真後ろで電子的なブート音がした。驚いて振り返ると、まるでホログラムのように目の前に女があらわれた。”それ”はあっという間に実体化し、スタイル抜群の全裸の美女の姿となった。僕はとっさに目をそらし、美女の魅了攻撃の難を逃れた。
くっそ、突然背後から不意打ちされるとは。あやうくその目を見そうになってしまった。もしベッドに寝ていた女たちの正体を暴いていなければ、こんなふうに突然出現した敵の目をどうしても見てしまっただろう。危ないところだった。
まてよ、それなら、これから戦う未知の敵は、キョンシーよりも強力な相手は、2人ではなく3人ということになる。一難去ってまた一難、これでは魅了を免れても、実力差から言って絶体絶命なのに変わりがないではないか。ブライドも満足に倒せない状態で、キョンシーよりも強いスペースバンパイア2人組、それどころかさらにもう1人追加で、僕に襲い掛かってきているのだ。勝てる見込みなんてない。ましてや敵はドレイン技のエキスパートなんだ。
むぎゅっ! 「うっ!」3方向から一斉に抱き締められ、包み込まれてしまった。西洋風の背の高い美女が一斉に僕に裸の肢体を押しつけこすりつけてきた。今しがた出現したスペースバンパイアが僕を正面から抱きしめ、背後からはベッドから起き上がった2人がやさしく包み込む。やわらかい胸が僕の上半身を包み込んでいる。それが上下しながら、下半身ではすらりとしたシコシコ足が全方向から滑りまわっている。
僕はギュッと目を閉じて体をこわばらせ、女体の柔らかスベスベ質感と魅了攻撃の両方に抗った。だが、食い込むような艶かしいアンデッドの肌によるダメージを食い止めることまではできない。素人ならこの状態だけで射精していただろう。そのくらい、彼女たちの肉体は心地よかった。人間のみずみずしさをはるかに超えた魔性の肌触りそのものだった。
きわめつけは、想像していたとおり、スペースバンパイア特有のドレイン攻撃だった。キスを受けていないだけましだったが、体の奥がジンジン痺れるような安心感と心地よさを感じる。それは女体に包まれたときの安心感だけによるものではなかった。明らかに精神系になんらかの力が作用している。直接性感が刺激されているわけではないが、じわりとくすぐったく疼くような、高揚感を含む体の疼きだった。
スペースバンパイアは、口からだけでなく、全身で異性の精気を吸い取ることができる。もちろん、じめっとした口腔の吸収力は強烈なはずだ。キス攻撃を受ければ周囲に青い電撃が流れるのを映画で見た。そこまではいっていないが、オーラのような淡いブルーがかすかに靄となって僕たちを包み込んでいるから、間違いなくドレイン効果は発揮されているのだ。
その証拠に、少しずつではあるが精力が一定の減少を示している。肌をこすり合わせた断続的ダメージとは明らかに違う定量的な減少だ。もちろん吸い取られた分、彼女たちの精力が回復しているはずだ。
いずれにしても、キス攻撃のドレインはこの比ではないだろう。絶対にその口に吸われてはいけない。キスはもちろん、フェラもだめだ。ヘタをするとキス以上に大量に精力を奪われてしまうかもしれない。もしかしたら、オンナも強烈な吸収力があるかもしれないから、警戒しておかないといけないけれども…そこを責めないと倒せない気もする。愛撫攻撃だけで勝てるほど甘い相手ではなさそうだ。
青いオーラがますます濃くなっていく。この青白い光の帯は、僕とスペースバンパイアたちの混じりあった生命エネルギーが具現化したものだった。彼女の体から放出され、僕の体にはいったエネルギーは、僕のエネルギーを体外に引き出していく。僕の体から強制的に削りだした精気は、どんどんスペースバンパイアの体内に取り込まれていく。そしてまた彼女の体からドレイン光線が放出されていく…そのくり返しだった。
彼女のエネルギーが僕の体内を駆け巡ると、じわりとした性感の疼きと、それ以上の安心感・脱力感を誘う。精気を奪われているのだから力が抜け、生きんとするストレスも削り取られるために、心地よい安堵の感覚に包まれてしまうのだろうか。こうしてすべてをスペースバンパイアにゆだねてしまうことになる。まだ経口ではないので、量は少なくて済んでいるが、相手は3人いるのだ、このままでは抱き締められたまま精魂尽き果ててしまうのも時間の問題だ。ドレイン量は時間を追うごとに強さを徐々に増しているようだから。
こうなったら長期戦は避けたい。ブライドに太刀打ちできないレベルで、この3人と戦うのはあまりにも無謀だが、もはや逃げられそうにない。ここは賭けだ。活路を開くしかない。長期戦になれば、精気吸収に負けてしまうだろう。かといって短期決戦では勝てないほどの実力差がある。今までにない難しい戦闘になりそうだ。
とにかくまずは、このむっちり包み込まれている状況を何とかしないといけないな。そしてできるだけ効率よく一気に反撃する手段を考えるんだ。危険ではあるがプレジャーボルト(PV)で一気にカタをつけるか、魔法攻撃で実力差を補ってからめ手で責めるか。いずれも成功すれば一番安全で消費も少なく、短時間で全員倒すことができる。が、失敗すればその後の悲劇と悦楽は想像に難くない。
それなら正攻法の挿入攻撃で行くか。やはりオンナを責めれば与えられるダメージも大きいだろう。少し長期戦になるが、ドレインに注意して回復をこまめにすれば、もしかしたら持ち堪えられるかもしれない。さもなくば、最も堅実な方法で防御に徹し、愛撫や挿入などの複合技でじわじわ性感ダメージを与えていく作戦がいいか。一番時間がかかるが、精力を最大限温存するならこの作戦が一番いい。
スペースバンパイアたちは僕の体を3方向から包み込んだまま、どんどん大きく動き出している。ペニスにこすれる女たちの下腹部やツルツルのオンナやふとももが心地よく、モタモタしているとそれだけで心を奪われて動けなくなってしまいそうだ。もう時間がない、反撃しなければ。
−選択肢−
スペースバンパイア1−4 プレジャーボルトで攻撃
スペースバンパイア1−5 連続魔法で攻撃
スペースバンパイア1−6 立位で責める
スペースバンパイア1−7 バックで責める
スペースバンパイア1−8 愛撫中心でじっくり戦う