「利家? 利家!」
「案ずるな。気を失っただけよ。放って置けばいずれ目を覚ます」
こうなるのは茶飯事なのか、突然床にくずおれた利家を揺する勝家を見下ろしながら信長は涼しい顔で言い放ち、新たな小袖に腕を通しつつ、色々と凄惨な状況になっている室内を顎でしゃくった。
「後始末をしておけ。それが済んだら今日はうぬも利家も居へ戻って良いぞ」
「はっ」
信長の方へ身体を向け、胡坐をかいて頭を垂れる勝家だったが、暫く床を凝視した後おもむろに顔を上げて問うた。
「それで、約定の方は」
「約定? あぁ…。で、あったな。うぬはその為に信長と利家のまぐわいを見たのだからな」
まさかうぬもそれに交ざるとは思わなんだが。小袖の帯を結びながらわざとらしく言い、微かに細まった勝家の眼と視線を合わせた信長は、ニヤリと笑って最初から決めていた答を口にした。
「利家から身を引くか否か、考えおこう、ぞ」
案の定、そう来られたか。
大方そのような答であろうと予想はついていたが、実際に言われてみるとやはり失望が胸に広がるのを感じる。
自然と眼を伏せる勝家を器用に片眉を上げて眺めながら、信長は衣の襟を軽く引いて整えた。
「にしても、うぬが二度も吐精するとはな。良かったか? その犬の肉体が」
「…………」
視線を下にしたまま無言を維持する勝家を鼻で笑い、袴の帯を締めつつ信長は続けた。
「信長は愉しめたぞ? 犬がうぬの目の前で辱められる恥辱に泣き叫び、快楽にキャンキャン鳴き、その犬を相手に鬼と呼ばれる男が劣情に任せて腰を振る様が。ククッ、また三人で興じるか? フハハハハハハ!!」
嘲りの入った哄笑を残して信長は部屋を後にし、勝家はその去っていく影に改めて深々と礼をしたが、その拳は微かに震えていた。
殆ど利家によって汚された床を必死に拭いて、漸く部屋を自分が入室した時の状態に近付けた勝家は、大きく息を吐いて幾度も水を替えた桶に布を放り込み、ジャブジャブと洗いながら部屋の隅で眠る利家を見遣った。
あの乱行の間に何時の間にか部屋の端に追いやられていた褥に利家を横たえ、結構な時間をかけて利家の尻拭いに近い掃除をしている間も彼は細い息をしながら眠り続けていたのだった。
「……」
布を固く絞って桶の縁に掛け、褥に近付いて枕元に膝を突く。掃除を始める前に真っ先に拭いたその顔に自分の手を当てつつ、勝家は利家の寝顔を眺めた。
気を失っている彼の寝顔は自分の知っている何時もの彼そのものの無垢なもので、見れば見るほど勝家は己に対する嫌悪感を強める。
自分を父のように慕ってくれ、自分も密かに息子のように思っている青年を年甲斐もなく欲望のままに陵辱した己の浅ましさに。先程まで自分に貫かれて乱れていた様に少なからず失望を覚えていた情けなさに。
そして、その失意の余り、今日を限りに彼を見限ってしまおうかと一瞬でも思ってしまった愚かさに。
「違う、違うのだ。利家は何も悪くない」
搾り出すように言い、ガサガサした手で利家の顔を幾度も撫でて勝家は眼を閉じる。
利家は悪くない。あのような事をされなければ、利家は何も変わらぬ律儀な子。わしの大切な子よ。浮かんだままの言葉を呟きながら、眠る利家の頬を何度も何度も撫で続ける。
自分が黒い感情を抱いてしまった事への贖罪のように。
「ん…」
突如、利家の口から小さな声が漏れ、薄く閉じていた瞼が微かに動くと勝家は反射的に手を引っ込め、厳格な父の顔を作る。何時も通りに接する事が相手にとって一番良い反応であろうと思っての行動だった。
そうしている間にも利家は瞼を一度固く閉じ、そのままうっすらと眼を開ける。黒目だけをキョトキョトと動かして自分の居る場所を確かめ、その眼が枕元に居る男の顔を捉えると唇を小さく開いて掠れた声を出した。
「叔父貴…」
「漸く目覚めたか。何処か辛い所はあるか?」
「あぁ、大丈夫。ちっとキツイけど、これは何時もの事だしな」
「何時もの事、か」
つまりはほぼ毎回、先程のような峻烈な情交を大殿に強要されていると言う事か。
勝家はそっと嘆息し、自分を見詰める利家の硬めの髪に手を添えて撫でながら、泣き過ぎによって赤くなった眼を見詰め返した。
信長は一応“考えておく”と返事をしていたが、この愛玩物をそう簡単に手放す気は無いのだろう。まだ暫くは、完全に飽きるまでは、この愛犬を性的玩弄から解放するつもりは無いのだろう。きっと、また利家は魔王の非道な蹂躙に泣かされるのだろう。
だが、それでも勝家はこう言わずにはいられなかった。
「忘れよ」
と。意味が理解出来ていないのか目をパチクリと瞬かせる利家に勝家は続ける。
「先程の我らの行いは全て夢よ。わぬしはずっとこの部屋で午睡をしており、その時に悪い夢を見ておったのだ。わしもこの部屋でうたた寝をして同じような夢を見た。そう言う事にして、互いに一刻も早くあの事は忘れてしまうとしよう」
「…………」
返事はせずにゆっくりと起き上がり、何故か敷布に両手両膝を突いて勝家を見上げると、掛け布団がずり落ちて勝家の言う“悪夢”の中と同じ一糸纏わぬ姿が晒される。忘れろと言った端から挑発的とも取れる格好を見せてくる利家に、勝家は思わず顔を赤らめて目を背けた。
「わ、わぬしは何を考えておる!」
声を荒げつつキョロキョロと辺りを見回し、床に散らばっていた布地の物を目に入っただけ掻き集めて衣服やら何やらがごったになっている柔らかな塊を背後に居る利家に後ろ手で投げ付けるが、頭からそれを被った利家は全く動かずに勝家を凝視する。布の隙間から裸体が垣間見える事で余計に艶かしさを覚えた勝家は声を荒げた。
「いつまでそのような姿をしておる! 早くそれを着ぬか!!」
「叔父貴」
勝家の怒鳴り声に対して利家の声は何時に無く静かで、声色と同じ瞳が相手の眼に纏わり付く。その静かながら逸らせぬ目線に言葉を飲み込んだ勝家に利家は問う。
「信長様は?」
「大殿なら本丸に戻られたわ。…う、うむ、部屋も粗方整ったし、わしらも戻るか。今日はわぬしもわしも家に戻って良いと大殿が申しておったぞ。その、わぬしが望むなら家まで送っても…」
妙な胸騒ぎを覚えて、何とかこの場を離れようと提案する勝家の言葉なぞ聞こえていない様子で利家は独り言のように呟いた。
「そっか。信長様、もう帰ったンだ。って事は……」
其処で一呼吸置き、目の前の男に熱視線を送りながら彼は薄く笑って続きを口にした。
「今、二人きり、なンだな」
「と、利家」
熱っぽい声で発せられた相手の言葉に胸のざわつきが強くなり、声に動揺の色が走る勝家を見る利家の瞳に妖しげな色が入ってくる。眠っている間に勝家に巻いて貰ったらしい包帯を赤く滲ませた指が他の指と共に勝家の肩にそっと触れた。
「なぁ、叔父貴。何処で、感じた?」
「!! わぬしは何を言っておる…」
突拍子も無い問いに面食らいながらも、表面上は何とか無愛想を装って目を逸らす勝家だったが、利家は気にせずに続ける。
「何処で感じた? 何を見て勃った? 俺が叔父貴に見られてるのも知らずに信長様の肉棒奥まで咥えてるトコ? 口の中に出されて這い蹲って苦しんだトコ?」
「利家…」
「叔父貴の目の前で尻穴弄られたトコ? 尻だけでイッたトコ? 信長様にケツ叩かれて泣いてたトコ? ケツ叩かれながら小便漏らしたトコ? 俺のケツ叩きながら感じてた? それとも、やっぱり、信長様に突っ込まれ」
「好い加減にせぬか利家!! 下らぬ事をゴチャゴチャと!」
声を限りに一喝すると利家は一瞬目を丸くして息を止めたが、すぐにヘッと笑って上目遣いで勝家を見上げて来た。
「そう、だな。下らねぇ事、どうでも良い事だよな。どっちにしたって叔父貴が俺のやらしい姿見て感じたのには変わりねぇンだし」
「…………」
一喝から一転して絶句する勝家の眼前で利家は膝立ちになり、両足の間に伸ばした指を何やら怪しく蠢かせると、んっ…と色めいた声と共に色情の残りが細い白糸を引きながら宙にぶら下がった。
「ほら、これ叔父貴が俺に中出しした子種だぜ…。叔父貴が俺の穴に感じて滅茶苦茶に掘った証拠…。夢なんかじゃねぇンだぜ? なぁ、叔父貴…」
指に乗った体液を捏ね回して親指と人指し指の間に細い橋をかけながらうっとりした声を発していた犬だったが、不意に何かが爆発したかのように鬼に飛び掛かり抱き付いて来た。
「こ、こら! 利家!」
「何で夢だって言うンだよ! 何で忘れろなんて言うンだよ!! 俺、凄ぇ嬉しかったのに…叔父貴に突かれて幸せだったのに!!」
不気味なまでに落ち着いた様子だった今までとは打って変わり、眼に涙を溜めて上ずった声で叫ぶ利家は、興奮した様子で勝家の肩に埋めた頭を一頻り激しく擦り付けた後、その耳元に唇を近付けた。
「なぁ叔父貴、しようぜ。誰にも邪魔されねぇ中で、誰も見てねぇ中で、叔父貴と交わりてぇンだ」
「…………」
胸騒ぎと言う形で感じていた予感が的中してしまった勝家は一度大きく息を吐き、相手の両肩を掴んでゆっくりと自分と向かい合う形を作る。そして、きょとんとしている利家の瞳の中で静かにかぶりを振った。
「ならぬ。これ以上わぬしを汚しとうない」
それは心からの本音であり、実は己の身体の奥で蘇りつつある卑小な情欲に対する言い聞かせの意味もあったのだが、言われた方は暫し固まった後にこの世の終わりのような顔をして溜まっていた涙をポロポロと零し、嫌だだの違うだの喚きながら両の手で勝家の胸倉を掴んで深い皺を刻んだ。
「俺、俺、叔父貴に汚されてなンかいねぇよ! 俺は信長様の真ン前で叔父貴に抱かれた…それだけの事だ!! それに、俺は」
こくん。一度言葉を切り、口内に溜まっていた唾液を飲み込んで息を整える。そして、戸惑った様子で自分の名を呼ぶ勝家の瞳を見据えながら、以前から抱いていたものの長い間胸に閉じ込めていた言葉を利家はついに口にした。
「叔父貴になら、何時でも抱かれていい…犯されていいンだ!」
「!!?」
「俺…信長様や他の男にヤられるのは怖いし、嫌だけど…叔父貴なら…叔父貴が俺の身体が欲しくなったら何時でも、何処でも、股開くから」
「わ、わぬしは何を言って…っ!!」
利家の陵辱願望を聞いて呆然とする勝家が直後に小さく呻き、顔を紅潮させたのは、利家の手が何時の間にか自分の足の間を擦っていたから。
普段はからからと屈託無く笑う彼は今は妖麗な笑みを浮かべ、手の中の熱を布越しに弄びながら相手の興奮を掻き立てるような淫らな願望を喋り続ける。
「何処だって良いんだぜ? 俺の家でも、叔父貴の家でも、ここでも、城の中でも、庭でも。叔父貴が望むなら、他の奴らが見てる前でも肉棒しゃぶるし自慰だってするし、いきなり剥かれて裸でぶち込まれても構わねぇんだからな。…ん、あっ、あぁっ想像しただけでっ、こんな…
」
言いながら第三者の多くの視線の中で勝家に陵辱される様を妄想したのか、とっくの昔に起き上がっていた本体の頂に水泡が生まれ、そのまま糸を引きながら敷布に向かって垂れる。それを勿体無いと言わんばかりに受け止めた利家の手が既に所々濡れている息子を満遍なく撫でると、ニチャニチャと粘るような水音が二人の間に響き、互いの歪んだ昂ぶりをより強める事になった。
一連の妄想と行動に滾り、完全に暴走している利家のもう片方の手が擦っていた相手の幹を引っ張り出し、大分先端が上向いているそれを激しく扱きながら求めた。側面にかかる利家の熱い吐息さえも今の勝家には耐え難い刺激となって思わず両目を固く閉じる。
「叔父貴…叔父貴…もう我慢出来ねぇよ…。これ……この太いの欲しい……。こンだけ硬かったら、もう一、二回は出来るだろ?」
「と、利家」
相手の上下する手を通して暴走が伝染ったのか、熱病にでも冒されたかの如く頭が茹だり、何時ものように冷静に状況を判断する事も、何時ものように目の前の利家を怒鳴り散らし、殴って正気に戻す事も出来ない。
勝家が男としての本能に必死に耐えて瞑っていた瞼を恐る恐る開けると、至近にいる青年と眼が合った。
青年は、笑う。彼を我が子のように愛する理由の一つでもある純粋な笑顔でなく、あの悪夢の時と同じ、自分を翻弄し心乱した交わりのみを求める雌犬の顔で。
少しずつ自分を見る瞳が厳格な父親から一匹の雄に変わって来ているのを確信した利家は舌なめずりをして褥に仰向けに寝転がり、開いた大股の間に指を添え、度重なる狼藉によってやや赤くなっている穴を器用に広げながら、実は心の内で必死に理性にしがみ付いているであろう勝家を引き剥がすように淫らに誘った。
「ほら、来てくれよ、ココに…叔父貴の太魔羅に掘られて緩くなってる内に…叔父貴の精子がまだ中に残ってて濡れ濡れになってる内にぶち込んでくれよ……今なら、慣らさなくても一気に入るからあぁ……早くして…コレ以上焦らされたら、おかしくなっちまうよぉ…
」
「―――――!!」
その時、自分が何と叫んだかは覚えていない。気が付けば、自分は人の姿をした獣と化していた。そして横たわる犬に襲い掛かり、鎖骨の辺りに幾度も唇を当てて吸い、牙を立てていた。それでも犬は恍惚の表情でアンアンと喘ぎながら鬼の頭を抱え込み、その時を待った。少し前まで自分の手の中で脈打っていた雄が疼きが止まらぬ後穴に入り込み、一つになる瞬間を。
それまで、さして時間はかからなかった。
「あっあっ
あっ
凄い
叔父貴のっ、来る! 極太ちんぽ、また来るぅ!」
挿入時の激痛を軽減する為に息を刻む利家の開かれた両足の間に勝家の腰が沈んでいく。途中までは少しずつ進んでいたが、やがてもどかしくなったのか半分ほど入った辺りで一気に腰を突き出すと、裏返った悲鳴が轟いた。
「ああぁああああっ!!!! 叔父貴…あぁ…叔父貴ぃ……!!」
乱暴な侵入に苦悶の表情を浮かべるもそれは一瞬の事で、利家はすぐに愉悦の表情を取り戻し、相手の首や腰に四肢を絡めて性交に身を委ね、勝家もまた己の種で滑る相手の肉筒を堪能する。
二人は何かに憑かれたようにただひたすら互いの名を呼びながら絡み合い、肉を打ち付け合った。
「! うわった! あわわゎっ」
腕の中から零れ落ちた柿を何とか空中で受け止めた猿面の男が大きく息を吐く。部屋の中から聞こえる淫声が途絶えない辺り、中の二人は自分の動きや声に気付かなかったようだ。
(まさか、柴田殿がのう…)
衆道に全く興味のない自分にとっては余り心地の良くない声を聞きながら、秀吉は抱えている数個の柿に目をやった。
信長に離れにいる勝家と利家の様子を見て来いと命じられ、確かに二人が長い事姿を現さないので秀吉なりに何が起こっているのかと不安を抱き、とりあえず何があったとしても、その場を和ませるには食べ物が一番であろうと中庭にある柿の木から実を数個拝借し(無論、柿数個の代償に己の命を支払いたくはなかったので主の許可は得た)何となく抜き足差し足忍び足で離れの廊下を進めば聞こえて来たのは利家の艶かしい嬌声と勝家の相手の名を呼ぶ濁声と肉体がぶつかり合う音。その声その音に衝撃を受けると共に柿を落としかけ、それを何とか受け止めて、今に至る。
「…………」
秀吉は視線を落とし、腕の中の柿を持ち直すと、来た時と同じように足音を立てずに出入り口へと歩を進めた。
「どうであったか? サル」
主君の居室の障子戸を開けると同時にぶつけられた問いに、秀吉は小さく息を詰まらせ柿を再度取り落としそうになりながらも、表面上は何とか何時もの人懐こい笑顔を見せた。
「え、えぇ。その、まだ二人ともおりましたぞ」
「で、あるか」
肘掛にもたれて書を読んでいた信長は顔を上げ、軽く顎を横にしゃくった。その動きの意味を鋭敏に察知した秀吉は慌てて部屋に入り込んで戸を閉める。柿を傍らに置き、畏まる猿を横目で見ながら信長は本をペラリと捲って続けた。
「で? 二人は何をしておった」
「え、えぇと、そのぉ」
脇の辺りから汗が噴き出るのを感じながら秀吉は口篭る。ありのまま伝えれば良いだけの話であろうが、二人の行為の内容が内容なだけに、中々いつものように口が回らなかった。
どう伝えれば良いのじゃろう。利家が柴田殿に抱かれておった? 愛し合っておった、の方が聞こえが良いかのう? そ、そうじゃ、“寝ておった”にするか。これなら、どちらにしても間違ってはおら
「まぐわっておったか?」
「いっ…」
不意に耳に飛び込んだ単刀直入な言葉に思わず顔を上げると、信長は小さく鼻で笑って書を閉じた。
「どうなのだ。まぐわっておったのか? それとも違う事をしていたのか? 申さぬか」
愛想笑いから引き攣り笑いになった猿に歩み寄り、片膝を突いてその顔を覗き込むと生唾を飲み込む音が聞こえた。意地悪な笑顔を浮かべる魔王の視界に映る猿の小さく震える唇から小さく震える声が漏れる。
「の、信長様の仰る通り…で、御座います…」
「まぐわっていた、と言う事か」
「は、ははっ…!」
それ以上魔王の笑顔を直視出来ず、頭を床に向ける形で目を逸らす秀吉の頭上から高笑いが降って来た。
「フハハハハハ! そうか、まぐわっておったか。あれはほんに何も知らぬような顔をしておきながら、間がな隙がな男と交わる節操無しの尻軽犬よ」
「ぅ…」
親友に対する罵詈に小さく唸る秀吉の髷を見下ろしながら信長は柿を拾い上げて揶揄する。
「うぬも交ざって興じれば良かったものを」
「そ、それは、その、わしにはちょっと…」
「ククッ、下賎な猿には蜜の味が分からぬか」
柿に齧り付き、口内に広がる甘い汁を転がしつつ信長は密かにほくそ笑んだ。
また一つ、あの犬を弄ぶ口実が出来たわ。信長と言う者がおりながら、勝家とも許可無く交わった。その事を伝えれば、あの犬は顔を青くして浮かぶ限りの謝罪の言葉を並べ、地に頭を擦り付けながら泣きべそをかいて許しを請うであろう。後は、その時の気分で好きなように遊んでやれば良い。それに
「一匹の犬を鬼と奪い合うか。それもまた愉しいかも知れぬな。クククク…」
口の中で呟きながら手の中の実に再度噛み付き、床に転がっていた数個の内の一つを手にとって動かぬ猿に投げ付ける。頭頂にぶつかった途端、派手に身体を飛び上がらせてそのまま尻餅をついた秀吉は、自分を見詰める信長の黒い笑顔に“食え”と言う言葉を感じ取り、慌てて床に転がる柿を拾って歯を立てる。
甘露と評判である筈のそれは全く味がしなかった。
その頃、何も知らぬ利家は後ろから溢れ出る勝家の新たな熱の感触にうっとりした表情を浮かべ、相手の汗ばむ項に自分の両腕を絡めた。何も言わず、ただ腕立てのように伸ばした両手で自分の頭を挟んだまま息を切らす勝家の眼を見詰めながら利家は甘ったるい声で言う。
「叔父貴……今まで出来なかった分…今までずっと我慢してた分……いっぱい、いっぱいしような…」
そこまで言うと利家は小さく笑い、そのまま静かに目を閉じる。暫し後、絡まっていた腕が力無く褥に落ちた。
「…………」
利家が寝入ったのを確認した勝家はまたしても浅ましい欲望に負けた己の弱志を痛感しつつ、下で眠る利家の顔を凝視した。いっぱいしような。最後に言った淫らな誘いを頭の中で復唱し、音が漏れるほどの吐息をつく。
利家を中心に渦巻く淫猥な世界に自分も引き摺り込まれつつあるのを感じると共に、具体的にどう表現すれば良いか分からないが自分や利家に降りかかるであろう陰湿で猥雑な“何か”や、何故か脳裏をよぎった信長の魔の笑顔に人知れず低い唸りを搾り出す勝家だったが、青年のあどけない寝顔を見ると、やはり彼は見限る事など出来ぬ、掌中の珠に等しき愛する息子だと強く感じずにはいられなかった。
そして父は眠る子の硬い髪を太い指で梳いて静かに言う。これから、わぬしはどれだけ苦しみ、涙を流すかは分からぬ。だが、わしは決してわぬしを見捨てはせぬ。だから。
「今は眠れ、利家」<END>
![]()
<後書き…と言うか言い訳>
色々とゴメンなさい。土下座。
「御託はいらねぇ!ただ利家を苛烈にいじめてぇンだ!」と言う歪んだ欲望のままに書いてみたら
無駄にダラダラ長いわ、殆どがエロシーンだわとグチャグチャな話になってしまいました。
最初はココまで長くするつもりなかったんです。
エロは強制フェラと叔父貴の目の前でレイプぐらいのつもりだったんです。
それが気が付けば、まぁ何か、すげぇや。
書いてる内に「えぇい!畜生!もっとメチャクチャにしてやるぜゲヘヘ」な感じになったのと
小説書く時間帯が大抵変なテンションになる夜中だったせいか
どんどんエロシーンは増えていって、このザマです。しかも殆どが鬼畜プレイ。
でも、ぶっちゃけると楽しかったですエヘ。
強制挿入にお尻ペンペンに失禁…(謎の遠い目)
そして、ついにやってしまったのが伏字無しの表現。
前作(犬の帰る場所)でも伏字無しではありましたが、今回はナニの事をストレート表現ですよ。
男性向けエロの如く淫語を吐かせたかったり、頭の悪いよがり声を出させたかったんですよ、利家に!!←…。
…性的表現を恥らって伏せていた時代は何処へ……。
でも、何かが拓けた感じがします。すみません、ただのアホですね。
ちなみに、彼らの時代で既にこのような表現をしていたかは謎です。
多分……まだ、ち(略)とは呼んでなかっただろうな…。
本当は製作段階で利家は「エロ」と言う言葉も使ってたんですが
流石に横文字はアレだろうと言う事で今回はカットしました。
書くかどうかは未定ですが、ストーリー皆無状態の鬼畜エロ?を書きたい願望があったりするので
そっちの方で思わず口に出すかもしれません。「エロ」
えっと、話についてですが…色々とグダグダですが、やはりラストが我ながら酷いと思います。
上手い事纏めきれなかったよ叔父貴。
今後も信長様に苛められたり、利家の方から叔父貴に迫ったりするんだろうけど
やっぱり、叔父貴は利家の事が好きで見捨てられないみたいな感じにしたかったんですが…。
で、ウチのサイトの信長様は利家の事をどう思ってるんでしょうかね。←!?
基本的に「鬼畜エロプレイが出来るのは信長様しかいない!」と言う気持ちで書いてるのでアレなんですが
一応、信長様も信長様なりに利家の事は好きなんだと思います。歪んだ形&性的な意味で。
にしても、この小説の叔父貴は何気にヘタレですね。利家も結構なヘタレですが
本当はもっと信長様に物申したり、利家に厳しい人だと思うんですけど
この小説では信長様には逆らえず、利家には何だかんだで甘くて、誘われたら結局ヤッちゃう始末
絶倫叔父貴バンザイ!!(ヤケ)
このシリーズ(と言うほど大した話じゃない)は一応、コレで完結であり
信長×利家メインもこれがラストになりそうです。
鬼畜に淫乱利家を苛めてくれて有難う信長様!!
もしかしたら、身売り時代の利家話も書くかも…ですが、現時点では未定と言う事で。
実はその利家の身売り話の仮タイトルが「野良犬日記」だったので
今回の話のタイトルが「飼い犬日記」になってしまったのです。
大変、どうでも良い話なのです(完)
次回、利家受けを書くとしたら勝家×利家のラブラブ?を書きたいなーと思っています。
Hシーンも淫語連発エロエロウッフン(馬鹿丸出し)ではなく
以前のモツハヤとかのレベルの軽め(?)の奴で。
今まで、酷い目にあいまくって泣きまくりな又左さんが幸せ気分になれるような話にしたいです。
そして、相変わらず利家はヘタレ・叔父貴は利家に甘いキャラになりそうです…。
こんなグダグダ話&後書きを最後まで読んで下さって有難うございました!