こんなん観ました

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Gran Torino

2009.12.08 Tuesday | 映画作品 > ドラマ

gran_torino(2008年)
クリント・イーストウッド演じる主人公の退役軍人ウォルト、まさに典型的(白人)軍人タイプで、自分にもまわりにも厳しくいつもしかめっつら、人種差別的発言もバンバンするし、自分の庭から他人を追い出すためなら銃も持ち出す、めちゃくちゃハードコアなじじい。
愛想の欠片もないけど、でもその「誰に対しても分け隔てなく偏屈」なのがある意味平等というか、頑固爺っぷりに裏表がなくて憎めないw

過去の戦争経験の悪夢に苛まれ、支えの手を差し伸べる神父にも「若造が」と心を開かず、モン(Hmong)族の隣人一家のことも、アジア系というだけで毛嫌いし一切の関わりをもつことを避けていたウォルト。
本人に人助けのつもりはなかったものの、おとなしい少年と気の強い姉をギャングたちから救ったことで、近所一帯のモン族の感謝と好意を一気に受けることになってしまう。どうしていいかわからずに戸惑い、あっちへ行けと蹴散らそうとし、だけど次第にほだされて、いつの間にか暖かい輪の中へ迎えられ……根はいい人なのにただ正直になれなかっただけの、ウォルトの不器用で孤独なひとりの老人としてのもうひとつの顔が見えてくる。
しかし平和な時間も長くは続かない。ウォルトに屈辱を味わわされたギャングたちが、そのまま黙って引き下がっているわけもなく……(;´Д`)
待ち受けているのは凄惨な報復と悲劇。ギャングに対しての憤怒以上に、ウォルトの自責の念は相当のものだったはず。たった独りで“最後の戦争”に赴いていく、いろいろな準備に彼の最大の覚悟が見えるから、とても切ない。そしてウエスタン映画を彷彿させるような、すさまじい決着のつけ方。

ひとつの葬式で始まった物語は、もうひとつの葬式で幕を閉じる。
この世を去っていったウォルトが財産を遺したのは、人種も血の繋がりも関係のない、本当の家族と友人たち。でも彼が遺していったものは、形ある物ではなくもっと大切なものなのだと、ラストシーンを見ながらしみじみと感動した。

マイ評価:★★★★★
author : 四葉 | - | -