こんなん観ました

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Something the Lord Made

2008.05.22 Thursday | 映画作品 > ドラマ

something(2004年)
HBO Films制作、実話に基づいたTV映画作品。
1930年代、人種差別がまだまだ厳しかった時代。
不況の煽りを受け建築業を解雇されたビビエン・トーマスは、施設清掃員として働くことになった病院で、外科医のアルフレッド・ブラロックと出会う。教授はビビエンの才能に目をつけ、助手として自らの側に置く。二人が人種の垣根を乗り越えて協力し、乳幼児に多い難病『ブルーベイビー症候群』の研究と治療に挑む姿を描く。
実在の人物については恥ずかしながら無学でまったく知らなかったのだけど、それでもひとつの作品としてとても興味深く楽しめる、しみじみと感動的な話だった。

ブラロック教授を演じるアラン・リックマン目当てに観てみたら、ビビエン・トーマス役のモス・デフがすごく良くて、観ているうちにどんどんひきつけられた。
前に『16 Blocks』を観たときに、なんて聞き取りづらい喋りなんだ、もしやこれが地なのかと思ったことがあったけど、この作品では普通に喋っていたし、やっぱりあっちは単に“そういう演技”だったのだなとわかって安心w
研究室の掃除人としてスタートした頃はオドオドと控えめ、その後徐々に知識と経験を身につけ自信が表れてくる、ビビエンの内面の変化の表現もとても自然で上手い。

勤勉な性格、確かな知識と斬新な発想、天才的ともいえる手先の器用さ。
心臓外科医としての実力は申し分ないのに、『黒人だから』という理由だけで差別され、見下され、認めてもらえないばかりか、自身が受けるはずの評価や賞賛をも他者(白人)にもっていかれる。
人種差別があからさまだったその時代、いったい何人のそんな“ビビエン・トーマス”がいたのだろう、と思わされる。
助手という立場、それに目をかけバックアップしてもらった恩もあるから、教授を恨んでいるわけではない。賞賛が欲しくて病気の治療法を研究しているわけでも、もちろんない。
しかし、どうして自分だけが日陰にいなくてはいけないのか。自分のやってきたこと、貢献してきたことの意味は果たしてあるのか。そんなビビエンの葛藤や不満が痛いほど伝わってくる。
教授はビビエンに対してはいつも対等に接していたけど、それでもやっぱり白人ゆえに気づけない部分もある。もっと公にビビエンの肩もってあげてもいいんじゃないの! と思う場面もあったりして歯がゆかった。

逆境にあえぐ主人公が、努力と才能で苦難を乗り越え成功を手に入れる。
最終的には報われる展開が待っているのだとしても、ビビエンの場合そこへ辿り着けるまで、実に何十年という歳月を要した。
多くの同胞に希望や勇気を与えたであろう彼の功績に敬意を抱くとともに、人種差別がいかに愚かで理不尽なことであるかというのを再確認させられた。
この世から差別をなくすことができるのは、いったいいつになるんだろうか。



マイ評価:★★★★☆
author : 四葉 | - | -