ClaimhSolais 11
- 2011/12/11 17:59
- カテゴリー:龍龍
誰得ファンタジーRPGパラレルの第十一話です。
本当に誰得なの、この話。俺得です。
前回までの話はこちら。
京一やっと出て来たよ。
本当に誰得なの、この話。俺得です。
前回までの話はこちら。
京一やっと出て来たよ。
ClaimhSolais 11
ぐえッ、おごッ、んげえッ。
潰れた蛙のような音を鳴らして、折り重なった男達。
その下には見事に割れた戸口の成れの果てがあった。
それまでの喧騒が嘘のように、店内は静寂に包まれる。
幾つもの双眸が一点に向かい、その先から一つ人影がテリトリーに侵入を果たした。
「なんでェこりゃ。なんの騒ぎだ? ええ?」
汚れた麻の服は、ぐっしょりと水分を吸って重くなっている。
荒れた大地に似た赤茶けた髪もまた、天辺から毛先まで濡れていた。
足元のブーツは、踏み締める度に水が押し出され、床を濡らす。
背負ったマントは、背中の半分を覆っているだけ。
腰には、木刀が挿し込まれていた。
町で唯一の刀使いの剣士。
ただし、その愛刀は鋼ではなく、木製の。
「京ちゃん!」
「アニキィィィィ!!」
「おう。ただいま」
帰還を―――――いや、生還を喜ぶ声に、彼は片手を上げて返事を寄越した。
「ったく、散々だぜ。ビッグママに頼まれた奴も、ロクな話じゃねェし。吊橋は落ちるし、山賊は出るし」
「……てめェ、なんで……生き、て……!?」
「あ? 吊橋の事か? あー、ありゃ危なかったな、確かに。あの先って確か滝だったもんなァ。おまけに川の流れも速いし、幅も広いから、落ちちまったら対岸に着く前に滝まで流されてるだろうな」
のんびりと口にされる内容は、どれも下手をすれば死に直結するものばかり。
けれども、現れた剣士は、確りと自分の両足で此処に立っていて。
「でも、流されなけりゃ問題にならねェ」
それは一体、どういう意味なのか。
吊橋が落ちたのも、川に落ちたのも嘘ではない、そうでなくては彼がずぶ濡れになっている理由がない。
雨に降られた訳でもないだろうに。
詳細を告げるつもりなどないのだろう、彼は後はにやりと笑って見せただけ。
それが目の前のゴロツキの神経を逆撫ですると、判っていて。
「くそったれ! なんで…なんで手前が!!」
「うるせーなァ……なんの話だ、一体。おい吾妻橋、説明しろ」
「…早え話が、てめえの商売が上手く行かなくなった逆恨みっス」
「ンだ、そりゃ。阿呆か」
がしがしと濡れた髪を掻き毟って、剣士は溜息を吐く。
全くだ、と同調する声があって、それはママのものであった。
「まぁいい。こちとらストレス溜まってんだ、やってやるよ。ただ言っとくが、援軍の期待はするなよ」
剣士の言葉に、龍麻は窓の外へと目を向けた。
其処には死屍累々と言わんばかりの、地獄絵図が出来上がっている。
屍の数は、十や二十ではない。
これをあの剣士が一人で全て落としたというのだろうか。
背中に庇った少女が息を飲んだのが判る。
「こ…の…、クソガキいぃぃぃぃぃッッッッ!!!」
悪戯好きの子供を思わせる眼に、研ぎ澄まされた刃を思わせる光が閃いた。
短ッ!
いつもこうだといいんだけどね!
ぐえッ、おごッ、んげえッ。
潰れた蛙のような音を鳴らして、折り重なった男達。
その下には見事に割れた戸口の成れの果てがあった。
それまでの喧騒が嘘のように、店内は静寂に包まれる。
幾つもの双眸が一点に向かい、その先から一つ人影がテリトリーに侵入を果たした。
「なんでェこりゃ。なんの騒ぎだ? ええ?」
汚れた麻の服は、ぐっしょりと水分を吸って重くなっている。
荒れた大地に似た赤茶けた髪もまた、天辺から毛先まで濡れていた。
足元のブーツは、踏み締める度に水が押し出され、床を濡らす。
背負ったマントは、背中の半分を覆っているだけ。
腰には、木刀が挿し込まれていた。
町で唯一の刀使いの剣士。
ただし、その愛刀は鋼ではなく、木製の。
「京ちゃん!」
「アニキィィィィ!!」
「おう。ただいま」
帰還を―――――いや、生還を喜ぶ声に、彼は片手を上げて返事を寄越した。
「ったく、散々だぜ。ビッグママに頼まれた奴も、ロクな話じゃねェし。吊橋は落ちるし、山賊は出るし」
「……てめェ、なんで……生き、て……!?」
「あ? 吊橋の事か? あー、ありゃ危なかったな、確かに。あの先って確か滝だったもんなァ。おまけに川の流れも速いし、幅も広いから、落ちちまったら対岸に着く前に滝まで流されてるだろうな」
のんびりと口にされる内容は、どれも下手をすれば死に直結するものばかり。
けれども、現れた剣士は、確りと自分の両足で此処に立っていて。
「でも、流されなけりゃ問題にならねェ」
それは一体、どういう意味なのか。
吊橋が落ちたのも、川に落ちたのも嘘ではない、そうでなくては彼がずぶ濡れになっている理由がない。
雨に降られた訳でもないだろうに。
詳細を告げるつもりなどないのだろう、彼は後はにやりと笑って見せただけ。
それが目の前のゴロツキの神経を逆撫ですると、判っていて。
「くそったれ! なんで…なんで手前が!!」
「うるせーなァ……なんの話だ、一体。おい吾妻橋、説明しろ」
「…早え話が、てめえの商売が上手く行かなくなった逆恨みっス」
「ンだ、そりゃ。阿呆か」
がしがしと濡れた髪を掻き毟って、剣士は溜息を吐く。
全くだ、と同調する声があって、それはママのものであった。
「まぁいい。こちとらストレス溜まってんだ、やってやるよ。ただ言っとくが、援軍の期待はするなよ」
剣士の言葉に、龍麻は窓の外へと目を向けた。
其処には死屍累々と言わんばかりの、地獄絵図が出来上がっている。
屍の数は、十や二十ではない。
これをあの剣士が一人で全て落としたというのだろうか。
背中に庇った少女が息を飲んだのが判る。
「こ…の…、クソガキいぃぃぃぃぃッッッッ!!!」
悪戯好きの子供を思わせる眼に、研ぎ澄まされた刃を思わせる光が閃いた。
短ッ!
いつもこうだといいんだけどね!