Date... - 07.13 20:00−
自室の時計を眺めて、イギリスは何度目かになる大きな溜息を吐いた。
同時に、少し頭を悩ませてもいた。
その理由はあと数時間もすれば日付が変わり、恋人として付き合っている隣国の男が誕生日を迎えるからだ。
誕生日の一月ほども前から、イギリスは彼に渡すプレゼントを何にしようかと考えていた。
去年までは 「一緒にいてくれるだけでいいよ」 という恥ずかしくなるような彼の言葉のとおりに、朝から自宅を訪ねて行って一日一緒に過ごしたり、ということをしていたのだが、今年は付き合い始めてちょうど何十年目という区切りの年でもあったので、そういうときくらいはきちんとプレゼントを用意したいと思っている。
…とはいえ、イギリスと彼のセンスはまったく合わないし、ケーキや料理などを作ろうにもこれも彼の方が上手いので、一体何を贈れば喜んでくれるのか考えに行き詰まってしまっていた。
そうして悩んでいるうちにあっというまに時間は過ぎて、とうとうなにも用意できないまま誕生日の前日まで来てしまったのである。
(…趣味も合わねえし、あいつが喜びそうなものなんて全然わかんねえ…)
そう考えるとまたも大きな溜息が漏れ、イギリスはソファから腰を上げてうろうろと部屋の中を動き回った。
もう時間もないしじっとしていられなかったが、すでにプレゼントを買えるような店は閉まっている。
プレゼントを買いに行くことも出来ず、焦るばかりでいてもたってもいられなくなったイギリスは、出掛ける支度を済ませると急いで自宅を飛び出した。
いつまでも家で考え込んでいたって仕方がない。
とりあえずフランスのところへ行ってみようと思ったのだ。
向こうに着くまでに、もしかしたら何かいい案が思いつくかもしれない。
それにいざとなったら自分には奇跡の力があるのだ。
「……あ」
そこでふと気が付いた。
「そうだ、…俺にはブリタニアエンジェルの奇跡の力があるじゃねえか! 奇跡の力を目の前で見られるなんてそうそうあることじゃねえし、きっとあいつも感動するに違いねえよな!」
イギリスは唐突に思い浮かんだ名案に、きらきらと瞳を輝かせた。
脳内に 「すごいなイギリス、俺奇跡の力なんて初めて見たよ。いやむしろお前が俺の恋人だということが、なにものにも代え難い奇跡だ……愛してるよイギリス」 というとんでもない幻聴が聞こえて、イギリスはまんざらでもなさそうに頬を赤らめる。
これだ。
プレゼントはこれしかない。
そうと決めるともと来た道を引き返し、一度自宅に戻ってブリタニアエンジェルのステッキを手にすると、うきうきとした気持ちで海を越えフランスのもとへ向かったのだった。