Date... - 07.14 13:00−

アメリカが帰ったあと、適当に昼食を済ませてテレビを見ながらくつろいでいると、本日二度目のチャイムが鳴った。
また誰かが訪ねてきたようだ。
昨日エンジェル様の言っていたことが本当なら、今日は忙しくなりそうだな、と思いながら玄関へ向かう。

「はーい…」

「フランスー、誕生日おめでとー! ほら、ロマーノもおめでとーって言うんやで」

「うるせえよスペインこの野郎! 無理矢理連れてきたくせに偉そうに言うなちくしょうが!」

訪ねてきたのはスペインとロマーノだった。
顔を合わせたばかりでもうなにやら騒いでいる二人を見て、相変わらず賑やかな奴らだなぁ、と苦笑する。
スペインはともかく、ロマーノがここに来ることはめずらしい。

「わざわざ来てくれたんだ? …っていうかなに? もしかしてロマーノが俺への誕生日プレゼント?」

「なんでやねん。しばくぞ」

冗談のつもりだったのだが、にこにこ笑っていたスペインの表情が一瞬で変わる。
口調は穏やかだったが目はまったく笑っていない。
ロマーノも顔を青くしてささっとスペインの後ろに隠れてしまい、これは地味に傷つく反応だ。

「もー、冗談に決まってんだろ。そんな怖い顔すんなよ」

確かに昔、散々くれくれと言った前科があるので、スペインが過剰に反応するのも無理はない。
昔からかわいくないとかなつかないとか、なんだかんだ言いながらもロマーノをかわいがっているスペインに、フランスは親近感を覚えるのだった。

「フランスが言うと冗談に聞こえへんもんなぁ」

そう言って胸を撫で下ろしたスペインは、すぐにいつもの明るい笑顔でにこにこ笑う。
ロマーノもスペインの後ろから顔を出した。

「まぁロマーノはやれへんけど、トマトいっぱい持ってきたで。料理にでも使ってやー」

彼らの後ろに止めてあったリヤカーには、トマトの段ボールが山のように積まれている。
二人で必死にリヤカーを押してここまで来たのかと思うと、フランスはつい吹き出してしまった。

「二人ともありがとな。でもこんなに食いきれるかなぁ…」

「全部食べなあかんで〜。ほんならまたな! 誕生日おめでとう〜!」

フランスの自宅前にトマトの山を残して、スペインとロマーノは帰って行った。
トマトは好きだし、料理にもよく使うけれどこの量を使い切ろうと思ったら、毎日トマトを食べ続けなければならないだろう。
フランスは遠い目をしつつトマト料理のレシピをいろいろ脳内に巡らせて、リヤカーに積まれた大量のトマトを一人で家の中に運び込んだ。

*****

それにしてももう午後になったというのに、なぜイギリスは姿を見せないのだろう。
まさかエンジェルの奇跡がプレゼントで、それで終わりだとでも言うつもりだろうか。

(…日付が変わって一番に来てくれて嬉しかったのに、……すぐ帰っちまうし。なに考えてんだよ、あいつは…)

あの流れならそのままフランスの家に泊まって、「俺がプレゼントだ」とかなんとかそういうベタなやり取りがあって、いちゃいちゃしながら今日一日を一緒に過ごすのが恋人同士の誕生日の鉄板じゃないのかよ、と魂まで抜けてしまいそうなほど大きな溜息を吐く。
もちろん彼が自分を喜ばせたくて、エンジェルの奇跡がどうとかそういうことはその結果なのだと、フランスだってわかっている。

(俺はお前がいれば十分嬉しいし、それだけで幸せなのになぁ……そういうとこ、わかってないよな…)

フランスを喜ばせるのはこんなにも簡単なことなのに、それに気が付かないなんて本当にずれた奴だと思う。
…とはいえ、さすがに来ないということはないと思うので、フランスは美味しい食事を作って彼が訪ねてくるのを気長に待つことにした。