日々ネタ粒

日記と言うより妄想記録。時々SS書き散らします(更新記録には載りません)

  • Home
  • Login

日記と言うより妄想記録。時々SS書き散らします(更新記録には載りません)

エントリー

カテゴリー「龍龍」の検索結果は以下のとおりです。

[Cat Panic]理性と本能

  • 2012/04/13 16:23
  • カテゴリー:龍龍



道端で見付けた“それ”を見て、家で帰りを待っている仔猫の事を思い出した。


猫は猫だが、普通の猫とは違う訳で。
とは言え、猫は猫な訳で。

─────持って帰ってみる事にした訳だが、




「………………バカにしてんのか」




ひらひらと、持って帰った“それ”を仔猫の前で掲げて揺らしていたら、とてもとても冷たい目でそう言われた。



正式名称『エノコログサ』。
漢字で書くと『狗尾草』。

名の由来は、先端の花穂が長円形でふっくらとし、先端は細くなっていると言う、犬の尾に似ているからと言うもの。
元々はその由来から“犬っころ草”と呼ばれており、転じて“エノコログサ”の呼称になったとされている。
現在は一般的に食用として認識されなくなったものの、昔は天麩羅にして食べられている事もあったらしい。
そして、この草の花穂を猫の視界で振ると、猫がじゃれつくと言う現象が起きる。

……早い話が、俗称『猫じゃらし』であった。


八剣も、この草に関しては、正式名称云々よりも俗称の方が馴染み深い。
だから道の端でこれがひょっこり顔を出しているのを見た時、真っ先に我が家の仔猫────京一の事を思い出したのだ。



八剣は、睨む京一に眉尻を下げて、ふわふわと揺らしていた猫じゃらしを引っ込めた。




「いや、ね。此処の所、新しい玩具もあげてなかったから、こういうのは如何かなと思って」
「けッ。そんな子供騙しで釣られるか。っつか、玩具なんざいらねーよ、ガキじゃねえんだから」




座布団の上で胡坐を掻いて、京一はイライラとするように、尻尾がぐるぐると円を描いている。


そんな京一の膝上には、潰れた八剣人形がちょこんと鎮座していた。
毎日のようにボロボロになって行くその人形に、気に入って遊んでいると喜んでいいのか、しかし自分の形を模したものの首元から綿が食み出ているのは中々怖い気分になるもので、悼んでいいのか。

ちなみに、八剣自身は、京一がこの人形で遊んでいる所を見た事はない。
八剣が家にいる間、京一はこの人形を手元に置いてある事はあっても、目に見て判る程にこれで遊んだ事はなかった。
……なんだか怖い場面を見るような気もするので、こればかりは見ないままで良いだろうと思う事にしている。


京一は剥れた表情で、じっと八剣を睨んでいる。
気難しい仔猫は、八剣の子供扱い(子猫扱いと言うべきだろうか)にすっかり機嫌を損ねてしまったようだ。




「ごめん、ごめん。ちょっとね。怒らないでよ」
「晩飯、ラーメンで許してやる」
「はいはい」




憮然とした態度で言った京一に、八剣はくすりと笑い、彼の頭の上の耳をくすぐってやる。
ぴくぴくっ、と反応して震える尖った耳に、可愛いねェ、と呟けば、じろりと睨まれた。


ぽんぽんと京一の頭を撫でて、八剣は茶でも淹れよう、と腰を上げた。
持っていた猫じゃらしは、テーブルの隅に置いておく。

キッチンに行って湯を沸かし────その暇の間に、八剣はちらりとリビングを覗いてみる。
開けた窓から吹き込んできた風を受けて、猫じゃらしの細い茎が転がり、花穂がくるんくるんと踊った。
それをじっと見つめる瞳が一対。




「………………………」




拗ねたような、剥れた顔で見詰める眼。
睨んでいるようにも見えるが、あれは単純に見ている時の眼だ。

ぐるぐると円を描いていた尻尾が動きを替えて、緩く弧を描いた形で、先端だけがぴくぴくと動く。
京一の口は、むずむずとしたものを堪えているように真一文字になり、手元では八剣人形が力一杯握られている(綿が更に食み出ているのは見えない事にしよう)。


長い尻尾が右へ、左へ揺れ始める。
其処へもう一度風が吹いて、猫じゃらしがころころと転がった。
花穂がくるんくるんと踊って、─────ついに。




「にゃッ」




しゅっ!と猫パンチ。
丸めた手は花穂を捉え、しなった穂がぴょんと跳ねる。

風は止んだが、京一はパンチを繰り出し続けた。
その度に花穂がぴょんぴょんと跳ねて、京一の尻尾が楽しそうに踊る。


コンロにかけていた湯が沸騰し、後少し、冷めるのを待てば良い茶が飲める。
しかし、八剣が部屋に入って来た途端、仔猫はきっと遊ぶのを止めるだろう。
気にせず遊んでいれば良いのにと毎回思うのだが、あの子はそういう子なのだ。





行儀が悪いと知りつつ、八剣はキッチンで茶の湯を傾ける。

リビングからは、楽しそうな仔猫の声が聞こえていた。







そういや猫じゃらしネタ書いてないよな~と思ってたら、こんなの出ました。

猫じゃらしとか、ネズミの玩具とか、追いかけたくなるのは猫の本能的習性なんですよね。狩りの本能。
この猫京は人と動物の間なので、人間的理性(羞恥心とか)もあるので、「ンな恥ずかしい真似するか!」と。
でもやっぱり我慢できなかったー。

八剣人形については此方→[お気に入りに乱暴]
  • この記事のURL

[八京]“大嫌い”

  • 2012/04/01 22:07
  • カテゴリー:龍龍



「京ちゃん、俺の事嫌い?」



前触れもなくそんな事を聞かれて、



「嫌いだな」



躊躇なくそんな返事をする位には、嫌いなのだと、京一は思う。


京一から八剣に対する感情は、恋人同士と言う関係でありながら、決して好意的なものではなかった。

寧ろ京一にしてみれば、どうして自分が八剣と“恋人”と呼ばれる間柄になってしまったのかが激しく疑問である。
しかし、あれやこれやと騒いでいる間に、この関係で落ち着いてしまったのは確かなので、これについて問答するのは既に諦めている。
その割には、八剣に対する京一の慕情と言うのは殆どなく、ぶっちゃけてしまえば「拒否するのが面倒臭いのと、言う程に嫌悪感もないので好きにさせている」と言うのが京一の心中であった。
要するに、“恋人面をする男に対し、寛容してやっている”と言う立場を自負しているのだ。

京一と言う人物を知る人間から見れば、“寛容している”時点で、京一の感情は好意的な方向を向いていると言って良い。
とは言え、周りがどう受け取ろうと、京一が思う八剣への感情は、「好き」などと呼べるものではなかった。


だから先の一言には、躊躇なく「嫌い」と返したのだが、



「……何笑ってんだ、気持ち悪ィな」



背中に突き刺さるにこやかな視線に寒気を感じて、京一は顔を顰めて振り返る。
そうすれば、座卓に頬杖をついて、口元を笑みに傾けている男の顔が合って、益々寒気を覚えた。



「いやあ、ね。嫌いなのか、と思って」
「あー、嫌い。ってか気持ち悪ィ」



平時から悪く見られがちの尖った眦をさらにきつくして、京一は吐き捨てるように言った。
が、八剣は相変わらず笑っている。

思考の読めない男の表情に、京一は胡乱な目を向けた。



「お前、マゾな訳?」
「どうかなァ。京ちゃんは、どっちかって言うとSだよね?」
「だろうな」
「じゃあ俺はMの方が良いかな」
「いや、気持ち悪いだけだぜ。ってかSでもMでもどっちでもいいし、そもそもお前の性癖なんぞ興味ねェし」



なんだか会話までもが気持ち悪くなってきた。
眉根を寄せて、京一はこれ以上の会話はするまいと、また八剣に背中を向けて、持ちこんだ漫画を見下ろす。

─────が、数分と経たずにコマを追っていられなくなった。
背中に刺さる、にこにことした、妙に機嫌の良い男の視線の所為だ。



「てめ、鬱陶しい!」



読んでいた漫画を投げつけるが、難無くキャッチされてしまう。
判り切っていたが、だからこそ尚の事腹立たしい。

睨む京一を、八剣は細めた眼でじっと見詰め、



「京ちゃん、俺の事、嫌い?」
「大っ嫌い」




殺してやりてェくらい。

そう付け足してやると、男は益々嬉しそうに笑った。






一人でエイプリルフールを堪能してる八剣。
まあ、京一が本気で「嫌い」って言ってても、二人の関係は“恋人同士”な訳で。その時点で、京一の負け。

八京の京一は、自分の感情の根底部分に気付いてない感じが多い。
  • この記事のURL

[龍京]白い日の気紛れ

  • 2012/03/14 20:44
  • カテゴリー:龍龍


放課後の帰り道、立ち寄ったコンビニの中。
龍麻は今日の夕飯にする予定の惣菜を選び、京一もパンコーナーで適当に物色をした後。
支払いをしようとして向かったレジの横に、綺麗にラッピングされたカップケーキが籠の中に積まれていた。
ポップには「ホワイトデー特別割引!」の文字。

龍麻は、カップケーキの中に自分の好きなもの───要するに苺味───がないかと探してみたが、残念ながら、あるのはプレーンやチョコレートと言うレギュラーなものばかりで、淡いピンク色は置いていないらしい。
残念に思いつつ、龍麻はレジ棚に並べてあったハイチュウの苺味を取って、一緒に会計を済ませた。


龍麻が一通り買い終えた後も、京一はパンコーナーの前から動かない。
龍麻以上に手持ちが少ない彼は、此処でパン二つを買うか、パン一つにして飲み物を買うか、真剣に迷っているようだ。

そんな親友をしばし見詰めた後、龍麻は提案した。




「京一、僕の家、来る?」




ぴくり。
龍麻の言葉に、京一の耳が動く。

しばしの沈黙の後、京一は徐に棚に手を伸ばし、焼き蕎麦パンと蒸しパンを取る。




「お前ん家、コーラあったよな」
「この間買った奴?うん、まだ残ってるよ」




そのコーラは、先週、京一が龍麻の家に泊まりに来た時に買って来たものだ。
200ミリリットルの小さなペットボトルだったが、京一はその日中に飲み切らず、冷蔵庫に置いて行った。
龍麻は炭酸を余り飲まないので、消費される事もなく、買い主が戻ってくるのを待っている。




「僕、外で待ってるね」
「ああ」




レジには、買い物籠一杯に菓子やらアルコールやらを詰めた客が会計待ちをしていた。
時間がかかりそうだと見て、断りに短い返事を確認し、龍麻は一足先にコンビニを出る。


夕暮れの町を何とはなしに眺めながら、龍麻はコンビニ袋の中を漁った。
買ったばかりの苺ミルク飴の袋を取り出すと、封を切り、セロハンを剥がして一つ、口の中に放り込む。
家に帰るまでの空腹を誤魔化す為だ。

出入口の前に立っていると邪魔になるので、龍麻は店の角壁に移動した。
レンガ風の壁に寄り掛かって、ころころと口の中の飴を転がす。


五分ほど待った所で、レジで会計待ちをしていた客が出て来た。
そのすぐ後に小さなコンビニ袋を腕に引っ掛けた京一も出て来る。




「あのおっさん、小銭出すのにモタついてやがって。無駄に暇かかっちまった」
「京一も自販機でジュース買う時、モタついてるよ」
「後ろに待ってる奴がいるのが判ってりゃ、ちったぁ急ぐぜ」
「僕、急いで貰った事ないけど」
「お前は別」




なんで、と言った所で、まともな返答がない事は龍麻も判っている。
そして龍麻も、京一に対してだけ、他の仲間達には言わないような事を言う時もあるので、要するにこれはお相子なのだ。


さて、それでは帰ろうか、と。
歩き出そうとした龍麻の背中に、かかる声。




「龍麻」




親友の声に、何、と振り返ると同時に、何かが放り投げられた。
片手でそれをキャッチすると、くしゃ、と柔らかくて薄い抵抗が指先に当たる。

頭上で受け止めたそれを、目の高さまで下げてみると、ラッピングされたカップケーキで。




「泊まり賃」




─────正しく言うなら、宿泊費。
それだけ言って、京一はすたすたと歩き出し、龍麻を追い抜いて行った。

いつもそんな事は露にも気にしていないのに、一体何の気紛れなのか。
不思議ではあったが、龍麻は何も言わずに、カップケーキを自分のコンビニ袋へ入れる。



前を行く親友を、数歩後ろで追いながら、龍麻は小さく笑った。




(耳、真っ赤だよ)




本当は正面に回って、京一の顔を見たかったけれど、きっと耳よりもっと赤くなっているのが判ったから。
そんな顔を見たらきっと怒るから、龍麻はずっと、彼の後ろをついて歩いた。






いつも人から貰ってばっかりの京一ですが、たまには誰かに何か渡す事もある訳で。
なんで買ったのって聞いたら、「割引で安かったから」って言う。でもいつもは、安いからって甘いもの買う事はない。その辺まで突っ込まれたら、顔真っ赤にして木刀振います。
  • この記事のURL

[♀ちび京]上巳の日

  • 2012/03/03 22:30
  • カテゴリー:龍龍
雛祭りで京ちゃん女体化ネタなので一応畳んでおきます。



[♀ちび京]上巳の日

  • この記事のURL

[Cat Panic]夜、一時

  • 2012/02/23 21:48
  • カテゴリー:龍龍



嗅ぎ慣れない匂いに誘われたのだろう。
晩酌をしていた八剣の下に、そろそろと背後から近付いて来る気配があった。



ゆっくりと接近してくるその気配を感じつつ、八剣はマイペースに杯を傾ける。

部屋の中は電気を消している為に暗く、窓から差し込んでくる月明かりだけが世界を照らしていた。
時刻は夜の十二時を越えており、寮内も人がいないのか、皆眠ったのか、しんと静まり返っている。
この静寂の中で飲む酒を、八剣は気に入っていた。


しかし、その静寂もそろそろお終いになりそうだ。




「んにゃッ!」




どんっ、と背中に覆い被さって来た重み。
育ち盛りのその体は、数日前よりもまた一つ、重くなったように感じた。

八剣は盃を片手に、肩口から手元を覗き込んでくる子猫の頬を撫でてやる。




「起こしちゃったかい?」
「くせェ。なんだこれ」




質問を無視して、子猫───京一は自分が聞きたい事を口にする。

背中を上ってくる重みが落ちないようにと背を丸め、八剣は京一の顔に盃を近付けた。
京一はくんくんと鼻をヒクつかせて匂いを嗅ぎ、鼻を摘まんで判り易く顔を顰めた。




「ヘンな匂い」
「お酒だよ。京ちゃんにはまだ早いか」
「早いってなんだ」




くつくつと笑う八剣に、意味が判らないながらも、今の台詞が自分にとって癪に障る者である事は感じ取ったらしく、京一はムッとした顔で八剣を睨む。
八剣はそんな京一の耳裏をくすぐって、機嫌を宥めつつ、答えてやる。




「酒は大人の嗜みの一つでね。この匂いや味が美味いと感じるようになったら、大人になったって言う事だよ」
「………」




勿論、大人になっても酒が飲めない、と言う人もいる。
それは体質的に受け付けられなかったり、アルコール類独特の苦みが舌に合わない、等理由は様々だ。

しかし、京一はそんな事まで知りはしない。
酒が飲めない、ヘンな匂いだと感じる=まだ子供、と言う図式が彼の頭の中で成立したのは、当然の流れだった。


プライドの高い子猫が、これに怒りを感じない筈もなく、京一は八剣の手から杯を引っ手繰った。
零れるよ、と言った八剣の柔らかな注意は、子猫の耳には入っていない。
京一は八剣の背中に乗ったまま、もう一度杯に鼻先を近付け、匂いを嗅ぐ。




「………………」




へにゃ、と京一の耳が判り易く倒れる。
小さな手が鼻を摘まんで、眉の間に深い谷が出来ていた。




「無理しなくて良いよ」
「るせェ、黙ってろ」




返して貰おうと八剣は手を出したが、京一はそれを無視した。

今一度、とまた鼻先を近付け、匂いを嗅いで、やはり同じように鼻を摘まむ。
それを見てくすくすと八剣が笑うと、それこそ京一の矜持に障ったらしく、




「おいコラ!見てろ、こんなモン!」
「あ、ちょ────」




八剣が止める暇もなかった。
京一は、八剣の背中を下りてそう叫んだ後、一気に杯の中身を飲み干した。


八剣が飲んでいたのは、それなりに度数の高い、辛目の酒だった。
それなりにアルコールに耐性のある八剣だが、一気に煽ると酔いが回りそうだったので、熱燗でちびちびと飲(や)っていた。
酒を嗜む八剣でさえ注意しようと思うような酒なのだから、小さな子供が飲んで平気な訳がない。

使っていた杯は小さなものだから、飲んだ量としては大したものではない。
しかし、今まで一滴とて酒を飲んだ事のなかった子猫が、アルコールに耐性などある訳もなく。



飲み干すや否や、ばったりと子猫はその場に引っ繰り返ってしまった。




「京ちゃん!」




言わない事じゃない、と慌てて京一を抱き起す。
杯は綺麗に空っぽになっていたが、それを見事などと褒められる程、八剣も暢気ではなかった。




「京ちゃん、大丈夫かい?」
「うにゃ~……」




京一は完全に目を回しており、ひっく、と時折しゃくりあげている。
丸い頬は赤くなり、尻尾がゆらゆらと不規則な動きで揺れていた。

抱き上げて膝の上に乗せてやると、赤くなった頬の熱を移すように、八剣の赤い上掛に頬擦りする。
滅多に甘えて来てくれない子猫の可愛らしい仕草に、ついつい微笑ましくなるものの、のんびりこのままにして置く訳にも行くまい。




「大丈夫?気分悪いとかは、ないかな」
「んー……なァんか、きもちィ……ふにゃ」
「酔ってるねェ、完全に」




京一はへらへらと笑っていて、すっかりご機嫌だ。

八剣は京一を抱きかかえて、キッチンに向かった。
コップに冷えた茶を注いで、京一の顔の近くに寄せると、京一はきょとんとして首を傾げる。
飲め、と言うのを無言で察したか、それとも目の前にあったからか、京一は大人しく手を伸ばしてコップを受け取り、ちびちびと飲み始める。


度数の高い酒であるが、幸い、京一は吐きたそうに餌付く事もなかった。
量も少ないし、直に尿と一緒に排出するだろう。

……しかしその前に、子猫はうつらうつらと舟を漕ぎ始めている。




「眠い?」
「……にゅ……」




言葉らしい言葉が返ってくる様子はない。
この調子なら、五分も経たずにまた眠ってしまう事だろう。


八剣は寝室に戻ると、抜け殻状態になっていた丸まったシーツを拾い、京一を包んでやった。
その間の京一は随分と大人しいもので、いつものように八剣の腕から逃げようと暴れる事もしない。
アルコールに浚われた所為で、いつも寄せられている眉間の皺が取れている。

ふらふらと不規則に揺れていた京一の尻尾が、八剣の腕に巻き付いた。
何かと逆立っている毛も落ち着いていて、ふわふわとした触感が八剣の腕に絡まってくる。


八剣はシーツに丸まった京一を腕に抱いたまま、ベッドに寝転んだ。
出しっぱなしの酒や、床に転がったままの杯は、明日の朝に片付ける事にする。




「ん~……」
「うん?」
「……ぅにゃ……」




擦り寄ってくる温もりを甘やかせば、きゅ、と小さな手が八剣の着物を握る。

その手を柔らかく包み込んで、八剣も遅い就寝に着く事にした。






2月22日をスルーしてしまった……!悔しいので一日遅れで書き散らし。
前はキャットニップで酔っ払った京ちゃん、今回はガチ酒です。
当たり前ですが、子供にも猫にも酒飲ましちゃ駄目ですよ。
  • この記事のURL

ページ移動

  • 前のページ
  • 次のページ
  • ページ
  • 1
  • 2
  • 3
  • 4
  • 5

ユーティリティ

2025年07月

日 月 火 水 木 金 土
- - 1 2 3 4 5
6 7 8 9 10 11 12
13 14 15 16 17 18 19
20 21 22 23 24 25 26
27 28 29 30 31 - -
  • 前の月
  • 次の月

カテゴリー

検索

エントリー検索フォーム
キーワード

新着エントリー

[ヴァンスコ]インモラル・スモールワールド
2020/12/08 22:00
[シャンスコ]振替授業について
2020/11/08 22:00
[ジェクレオ]貴方と過ごす衣衣の
2020/10/09 21:00
[ティスコ]君と過ごす毎朝の
2020/10/08 21:00
[ジタスコ]朝の一時
2020/09/08 22:00

過去ログ

  • 2020年12月(1)
  • 2020年11月(1)
  • 2020年10月(2)
  • 2020年09月(1)
  • 2020年08月(18)
  • 2020年07月(2)
  • 2020年06月(3)
  • 2020年05月(1)
  • 2020年04月(1)
  • 2020年03月(1)
  • 2020年02月(2)
  • 2020年01月(1)
  • 2019年12月(1)
  • 2019年11月(1)
  • 2019年10月(3)
  • 2019年09月(1)
  • 2019年08月(23)
  • 2019年07月(1)
  • 2019年06月(2)
  • 2019年05月(1)
  • 2019年04月(1)
  • 2019年03月(1)
  • 2019年02月(2)
  • 2019年01月(1)
  • 2018年12月(1)
  • 2018年11月(2)
  • 2018年10月(3)
  • 2018年09月(1)
  • 2018年08月(24)
  • 2018年07月(1)
  • 2018年06月(3)
  • 2018年05月(1)
  • 2018年04月(1)
  • 2018年03月(1)
  • 2018年02月(6)
  • 2018年01月(3)
  • 2017年12月(5)
  • 2017年11月(1)
  • 2017年10月(4)
  • 2017年09月(2)
  • 2017年08月(18)
  • 2017年07月(5)
  • 2017年06月(1)
  • 2017年05月(1)
  • 2017年04月(1)
  • 2017年03月(5)
  • 2017年02月(2)
  • 2017年01月(2)
  • 2016年12月(2)
  • 2016年11月(1)
  • 2016年10月(4)
  • 2016年09月(1)
  • 2016年08月(12)
  • 2016年07月(12)
  • 2016年06月(1)
  • 2016年05月(2)
  • 2016年04月(1)
  • 2016年03月(3)
  • 2016年02月(14)
  • 2016年01月(2)
  • 2015年12月(4)
  • 2015年11月(1)
  • 2015年10月(3)
  • 2015年09月(1)
  • 2015年08月(7)
  • 2015年07月(3)
  • 2015年06月(1)
  • 2015年05月(3)
  • 2015年04月(2)
  • 2015年03月(2)
  • 2015年02月(2)
  • 2015年01月(2)
  • 2014年12月(6)
  • 2014年11月(1)
  • 2014年10月(3)
  • 2014年09月(3)
  • 2014年08月(16)
  • 2014年07月(2)
  • 2014年06月(3)
  • 2014年05月(1)
  • 2014年04月(3)
  • 2014年03月(9)
  • 2014年02月(9)
  • 2014年01月(4)
  • 2013年12月(7)
  • 2013年11月(3)
  • 2013年10月(9)
  • 2013年09月(1)
  • 2013年08月(11)
  • 2013年07月(6)
  • 2013年06月(8)
  • 2013年05月(1)
  • 2013年04月(1)
  • 2013年03月(7)
  • 2013年02月(12)
  • 2013年01月(10)
  • 2012年12月(10)
  • 2012年11月(3)
  • 2012年10月(13)
  • 2012年09月(10)
  • 2012年08月(8)
  • 2012年07月(7)
  • 2012年06月(9)
  • 2012年05月(28)
  • 2012年04月(27)
  • 2012年03月(13)
  • 2012年02月(21)
  • 2012年01月(23)
  • 2011年12月(20)

Feed

  • RSS1.0
  • RSS2.0
  • pagetop
  • 日々ネタ粒
  • login
  • Created by freo.
  • Template designed by wmks.