■□ 裏切り □■ ― intermezzo:sotto voce(3) ―
ヴァイパー
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intermezzo:sotto voce       
アンケート(別窓):   ヴァイパーED後話はあり?なし?  次に攻略してほしいセヴン


 一度覚悟を定めたら遠慮も容赦も一切しない。女から誘われているのに二の足踏むなんて男が廃ると言うもの。
少女が女になる過程は蕾が花開く様に、蛹が蝶になる様にたとえられるが、まさにその通りだとクラレンスは思い続けている。まさか当初はからかい続けていた幼い天使様に本気で惚れてあまつさえ悪魔などと言う存在を裏切るなどとは露ほども思っていなかったけれど、今実際に天使様だった少女を腕に抱き手触りからして違う寝間着を脱がせているのだから、夢であろうはずなどない。
 クラレンスは己の命を削りながら、時に相手の命に等しくもある金を手にし続け使いきれぬまま懐に入れていた。シルマリルが翼をもがれ小さな少女となりろくでなしの隣に寄り添ってきたあの日から、身に余る愛を捧げられたろくでなしは己の命と引き換えに得た金を、少女相手に湯水のごとく使い続ける。
美しすぎる少女がみすぼらしく見えないように良い品ばかりを与え続ける。
 そして今、クラレンスは最初に脱がせるものとしてシルマリルの下着に似た丈の寝間着の中に無骨な手を差し入れ蠢かせて、薄く笑いながら、脱がせる過程すら楽しんでいるような表情で彼女の一番大事な一枚をゆっくりとずり下ろしていた。小さな手は己の一番恥ずかしい場所を包んでいる下着を脱がされている感触に頬を真っ赤に染めながらも逆らわず、下着が下がる感覚を覚えると自らわずかに動いて彼の邪魔にならぬよう、いや促すかのように姿勢を変える。
彼女が体勢を変えるたびに肝心な場所が見えそうで見えないもどかしさを感じ、クラレンスは無意識のうちに乾いた唇を舌先で湿らせた。
「おや? もうこんなにして、期待してるのか?」
 くびれた足首から小さな一枚が抜き取られ、男の指がその中心を撫でる。そこは確かにシルマリルの体温を抱えたままぬめっていて、低い声でそうからかわれただけでシルマリルは泣き出しそうに眉を寄せつつさらに頬を赤らめた。
 期待するもしないも、シルマリルは人間の少女の感覚から少しずれていたせいで、上半身脱いだままのクラレンスをずっと見続けていた。程よく引き締まった大柄な体躯はいかにも男らしさの象徴で、そう――――人間の女なら見惚れるような体つき。
しかもシルマリルはこの男を心底、己のすべてを失ってもいいとまで思いつめたほどに愛している。性衝動はとかく男ばかり語られがちだけれど、当然女にも、シルマリルも人間の体を得た以上間違いなく存在していた。
ただ、表に出なかっただけ。
天使だった少女はそんな感情の存在も知らず表に出せなかっただけ。
 男の指先の感触は無骨でありながらも微妙な快楽をくすぐってきて、シルマリルはクラレンスの指先が肌をかすめるだけで、いや己の下着が肌に摺れるだけで小さくふるえて体の奥から突き上げる声を噛み殺す。
この男が何をしてくれるのか、このもどかしさをどうしてくれるのか、何も知らない少女が今与えられている快楽にそれから先を期待してしまうのも無理からぬほどにクラレンスは処女に慣れた風だった。
 クラレンスは彼女ぐらいの年頃の、幼さ抜けない少女が好みなのは間違いないし自覚している。そしてかつてろくでなしだった男は当然場数も踏んでいて、男を知らぬ女の反応がどんなものかも知っている。
天使様をそれだと気づいていながらからかい続けた罰当たりの気まぐれではなくて、好みの女だったから気を引かれたところがすべての始まり。
いわゆる無意識の一目惚れに近いかもしれないほど、気がついた時にはもう手遅れだった。
 クラレンスの大きな手が躊躇など見せずにシルマリルの豊満すぎる胸を露にする。
小さく細い体には不似合いなほどに豊満な胸のふくらみは嫌でも男の視線を集めてばかりいて、彼女のただひとりになったクラレンスも例外ではなく目を奪われた。あどけないくせに言いようのない色香を身にまとう天使様はいわゆる魔性の女だと思うようになるまでに時間など必要なくて、なのに彼女自身は貞淑で一途で情が深くて……ろくでなしにはもったいないとしか思えないから少女嗜好でありながら触れられないままでいた。
「あの……クラレンス」
「ん?」
 不安げな、か細い声に、小さな体を組み敷いているクラレンスが口元に微笑をこらえきれずにじませながら顔を上げる。泣き出さないのが不思議なほどに青い瞳を潤ませ揺らしているシルマリルが、恥らうあまりに小さな手で豊満なふくらみを精いっぱい隠している様が蟲惑的で健気で――――
「んっ」
 彼女の望みすべてをかなえよう。この命しか彼女に捧げられるものはない。
クラレンスはシルマリルの言葉の続きを聞くよりも先に彼女の唇をふさぎ深く、深く重ね合わせた。
小さな、やわらかな体がふるりとふるえシルマリルは豊満すぎるふくらみを隠していた両手をそっとはずし、男と女は裸の胸を重ね合わせる。人間の男と女の営みの詳細を知らないあどけない元・天使様は余計なことまで知りすぎたろくでなしに身をまかせるより他はないけど不思議なことに不安めいたものはなくて、まるで貪り食らわれるような激しく淫蕩な口づけに逆らわず、抗わず。
恥らいを残しながらもおずおずと彼の舌の動きに応える。
胸を隠すことをやめた小さな手でクラレンスの大きな体を抱きしめる。
「……さっきの続き」
「え?」
「何を言いかけたんだ?」
 唇を外し、今外した唇と声で何も知らない耳を愛でるクラレンスの愛撫は刺激に弱いだろう処女の警戒心を眠らせ丸裸にする手管らしく、慣れた女にはおそらくじれったいほどに繊細ですらある。刺激に慣れてない処女に直接的な快楽を与えてもそれを快楽だと感じさせることは難しいから、まるで戯れのようですらあるくすぐったい愛撫。
しかしシルマリルにはそれで充分で、低い声で囁かれ過剰なほどの反応を見せた。
「おねだりがあるならきちんと言いな。」
『何でもかなえてやるよ』
 クラレンスの言葉には裏があることが多いけれど、続きがあることが多いのだけれど、意図的か無意識か彼はそれを口にせずに端的に言いやめることが多い。今の言葉は途中でやめたことで嗜虐的にシルマリルの耳に届いたけれど、言葉責めに弱い女は潜在的に多い。
シルマリルもその中のひとりかもしれない。
「……かなえて……くれたから…………」
「?」
「キスして……ほしかったんです」
 シルマリルの声は最後まで紡がない。声が途切れた時にクラレンスは再び挑みかかるように濃密な口づけを交わす。
今度は味わうみたいに余韻や感触に酔いしれるみたいに目を閉じずに、羞恥心で真っ赤に染まるシルマリルの表情を舐めるような眼差しで味わいつつ、淫靡な音を夜の闇に響かせる。
「キス以上のことをやるんだぜ? 唇だけでイッちまうような顔するなよ。」
 唇を貪り。言葉で辱めて。天使様は羞恥心を煽られ一人前の女の顔を見せる。
「あの、あのっ」
「今度は何だ?」
「……恥ずかしい…………」
「全部さらけ出すだけじゃすまないぜ?」
「全部……私の、全部……見るんですか?」
「ああ、ここもな。」
「っ!!」
 クラレンスが不敵に笑い、男の手が少女の太ももの内側を撫でその奥に触れる。
「あ、あ、やっ」
 男の手が蠢くたびにまだかろうじて寝間着で隠されている奥から濡れた音が漏れる。クラレンスの指先は濡れて熱く火照ったやわらかい場所を確かに感じているけど、今さらだけどまだ現実味がない。
クラレンスを恋い慕い行動を共にして愛する男に体を開くことを望むようになったシルマリルは人間の少女なのだけれど、ヴァイパーの中で生きているシルマリルは今でも天使シルマリル。
天使様は神々しく人としての存在感を感じさせない存在のまま、ろくでなしと同じ立場に身を落とした。
なのに少女の口も態度も恥ずかしがっているくせに体の正直なことと言ったら、もはや罪でしかない。
男と言うものを知らないからこそ。経験がないから想像するより他はない処女の羞恥心に染まる痴態がクラレンスにはたまらなくて、強すぎる自我で己を保ち揺らがない男が、つい、思わず、ほんのり薄紅に染まる少女のうなじに口づけ強く吸い最初の所有の印を刻んだ。
 全身を薄紅の薔薇の色に染め。あられもなくはだけた豊満な肢体を持つ美しすぎる少女の首筋に、男が刻んだ所有の印。
シルマリルは自分から欲しがっておきながら唇と舌と指先だけで瀬戸際まで追いやられたかのような表情を見せているけれど、攻める側のクラレンスはこれで終わりではないことは当然知っている。
この無邪気さこそが男を追い詰め足元から崩してしまう魔性であることをクラレンスは知ってしまった。
壊してしまいたい衝動に何度駆られたかなどもう思い出せないほど思い知らされた。
しかし現実はと言うと、今でも躊躇してしまう自分が確かにいるからクラレンスはまだ迷ってしまう。
あまりにあどけなくて幼くて汚してしまうことがためらわれる。
「いいんだったら声に出しな。先にイかれて気なんて失われちゃあまさに蛇の生殺しだ。」
 だから。抱えたアンビバレンスを表に出して徹底的に辱め汚しつくし落としてしまいたかった。
男なら誰でも抱えている相反する自我を、あの汚れた聖者も抱えていたのだろう。しかし天使様に身も心も捧げてしまった美麗なる青年は選ばれず、彼女を陥れようとばかりしていた自分が選ばれて、今裸の彼女を少女から女にしようと共寝をしている。
「いい声で鳴けたらごほうびをやるよ。お前のこの体にはちっとばかりきついだろうがな。」
「く……クラレンス……っ……」
「聞こえねえなあ。」
 カードを鮮やかに操り躍らせる無骨な指が、少女を楽器のようにかき鳴らす。低く抑えた声で追い詰めそれを囁きに変えて、男の指は少女の谷間で容赦なく蠢きさらに高く激しくかき鳴らす。小さな手が小さな指先が骨っぽい男の腕に食い込み爪を立てるけれど、こんな痛み、情事の最中の痛みなど痛みのうちにも入らない。
「!?」
 シルマリルの小さな体がびくんと跳ねた。彼女の一番やわらかい場所に差し込まれているクラレンスの手の動きが変わっている。
「ふふ……トロトロだからまさかロクスの奴が、って思ったが、天使様はやっぱり処女でなきゃな。
 しかしこんなにちっちゃいので大丈夫かねぇ、俺のはそれなりだぜ?」
 クラレンスが嗜虐的に口の端を上げつつロクスの名を口にした途端、案の定あの男の事実上の支配者だったシルマリルの体が強張った。恍惚に染まっていた蒼い瞳も瞬時に正気を取り戻す。
「やっぱり気づいてたか。それなのにお前は俺を選んだ……まったくたいした悪女だよお前は。」
「いや……言わないでっ……」
「……ま、自覚がないよりゃずっといい。自覚のない女は同じこと繰り返すからな。
 その点お前は自分の罪ってやつから目をそらしてない分可愛いよ。」
 自ら言葉で追い詰めておきながら、クラレンスはシルマリルに正気が戻ると狙ったかのように緩く優しい愛撫で再び彼女を快楽の渦へと突き落とす。触れる場所だけが愛撫の手段ではなく、声までも。
吐息すら薄紅に染まる肌に絡みつけて愛した天使を愛する女を高い場所へと押し上げる。
クラレンスは横たわり小さな体を片腕で横抱きにして腰のない日差し色の髪を撫で、ふるふるふるえる女の谷間でひっきりなしに指を蠢かせている。そこはもう潤んで熱く、男の指は谷間の奥、すでに彼女の体の中を味わっていた。
 自分が何をされているのか、もうわからない。理性がそのまま自我になったような愛らしさに反する理知を持つ天使様からクラレンスは理性を奪い取り丸裸にして、シルマリルは女として目覚めてしまい小さな体の中で猛り狂う情欲と快楽にすべてが崩壊して戻れないまま。
処女に理性など残しておいても喪失の痛みが恐怖になり余計な痛みを与えるばかりだからと男は少女を色に狂わせた。快楽にふるえながらもその先を、さらに強い快楽を期待している女の体は男の邪魔にならぬようにふるえる脚を閉じずに肌を火照らせる。
底意地の悪い嗜虐的な愛撫に見せかけながらクラレンスのそれは実は優しくて、彼女の中で蠢く指は窄まった先から奥へ進もうとせず身悶えてばかりいる愛しい少女が、情欲に、己の体が与えている快楽に溺れる様子で彼自身も夢中になる。
 身悶える少女は抱かれている近さでは物足りなくて、自らクラレンスの汗ばむ胸板にすり寄り豊満なふくらみを押しつけた。直後、小さな体が確かに跳ねてシルマリルの優しげな丸い眉が歪んだ。
「……バカ。自分から俺の指、奥に咥えこんだな……。」
 囁きが先か唇が先か。クラレンスは熱っぽく低い声でそう言うとほぼ同時にシルマリルの唇をまた奪い激しく、いっそう激しく舌を絡みつけ処女の口の中まで犯しつくす。余裕を見せるように横抱きにしていたけれど、覆いかぶさりシルマリルの中から指を引き抜いてまだはいたままの白いズボンを彼女の純潔のしるしで赤く染めながら少し焦った様子で下穿きまで脱ぎ己の男の象徴を引きずり出し、しなやかな脚を抱え開かせそこに割り込んだ。
 シルマリルが再び身じろいだ。けれど抵抗するどころか考える余裕など与えずにクラレンスが己を押しつける。
ちゅ、と音にならない音がシルマリルの耳に聞こえた。
「いくぞ。」
 クラレンスの顎の先から汗が一滴滴った。全身がきしむような衝撃と圧迫感と引き裂かれる痛みにシルマリルの体が一段と強く強張る。
思わずすがりついたクラレンスの肩に小さな手が丸い指先が食い込み彼に傷を刻むけれど、クラレンスはその痛みなど意にも介さずゆっくりと、しかし容赦なく己を沈め小さすぎる蜜壷に飲み込ませる。半分ほど咥え込ませてやっと先に進むのをやめシルマリルの様子を伺うけれど、クラレンスの肩に手を回しすがりついて痛みを堪えている彼女の表情は見えなかった。
「……ずいぶんキツいな。いけるか?」
 伺えなければ、訊くまで。辱める言葉を優しげに口にした男への返答は、肯定。
シルマリルの小さな頭は、腰のない髪は確かに縦に首を振った。その様子がいかにも初々しくて健気で、クラレンスが慣れてない女を好む理由がそこにある。
力ずくで肩に食い込む手をはがし指を絡み合わせ組み敷いて、クラレンスは腰を突き出し一息で己を全部飲み込ませる。
シルマリルは破瓜の痛みに耐え切れず短い悲鳴をあげたけれど、クラレンスは小さな体を抱え身を起こしおもむろに胡坐をかいて彼女の重みでさらに深い場所に己を打ち込ませた。
さらに引き裂かれた痛みに小さな体は弓なりに反るのだけれど、たわわに揺れたふくらみの紅いつぼみを男の唇が初めて咥え軽く吸っただけで痛みにふるえる体から力が抜けた。男の膝に抱かれ逞しい怒張を突きこまれ揺らされてシルマリルはクラレンスをかき抱き乱れきった逆立つ髪をくしゃくしゃに乱してしまう。
濡れた淫靡な音が漏れる場所に出入りしている熱の塊にはべっとりと純潔の証が塗りたくられ、痛みの大きさに声すら出せなかったシルマリルなのに、小刻みな律動に慣れてきたのか苦痛に歪む表情が再び恍惚に少しずつ染まり頬をほんのり染めて、銀の髪をかき乱してばかりいた小さな手で男の頬にそっと触れた。
クラレンスはその仕草に要求を見出し、腰を抱えていた手を離して日差し色の髪を大きな手で抱いて引き寄せもう何度目かわからない口づけを交わす。強引に深々と繋がった割に男はそれから先には進まなくて、痛みに耐えながらシルマリルの体が少しずつ彼の形に馴染み始めて……安堵のため息が花びらみたいな唇から漏れたなり、クラレンスがごく小さく腰を揺らして彼女の反応をうかがい始めた。
 悲鳴を漏らした唇から聞こえたのは小さなうめきで、ビクンと跳ねた小さな体も強い収縮で吐き出そうとはしてこない。シルマリルの表情も男から見ればいい具合に染まっている。
クラレンスは膝に抱いた小さな体をゆっくりと、そっと横たえつつひとつしかない目で愛する少女の痴態を舐めまわすように視姦して浅く、ゆるりと腰を動かし始めた。それは処女に慣れた男ならではの愛撫と行為で、ほどほどに男を知った女ならばじれったいほどに優しくそして甘ったるい。痛みと快楽を同時に与えられシルマリルは自我が崩壊してしまったのだけれど、今痛みを与えている男にすり寄り汗のにおいを感じながらいくつも涙をこぼす。
確かに今感じている痛みは苦痛と言えるほどなのだけれど、乾ききった大地が雨で潤うみたいに何かが急速に満たされてあふれてしまいそう。
「…………っ……」
「ん? 痛いか?」
「……切……な、い……おなかの奥が……っ……切ないの…………」
 体の真ん中、女の中心が疼いて切なくてあふれた感情が涙になって外へと逃げる。シルマリルはこんな激情も汚れた淫らな快楽も知らないからつたない言葉しか口にできず、それが余計にもどかしくて切なさを加速させてしまう。初めての少女は己を持て余す様が可愛いからとクラレンスは偏った嗜好を修正できずに年を重ねてきたけれど、その中でも元・天使様の純粋さは他の追随を許さない。
理知的な彼女とは裏腹に、最中は素直で愛らしくそのくせ貪欲で敏感で――――だから、何度も壊してしまいたい衝動に駆られた。
今感じたその衝動に少しだけ身を委ね、クラレンスが少しだけ大きく腰を揺らし、いや突き動かしシルマリルの感触を確かめた。包み込まれた己の肉棒から感じる緊張はまだまだ男を喜ばせるには至らないけれど、このままこうしていても埒が明こうはずもないからとクラレンスは苦痛を感じているシルマリルすらも視線で犯しながら腰を使い始める。
動き出した男の律動は男を知ったばかりの少女の体にはまだ酷で、シルマリルの口からは短い悲鳴が出たけれど、彼女の女はその悲鳴ほど拒否をしていない。クラレンスが悲鳴を無視する形で小刻みに動き続けていると、いつの間にか悲鳴が熱を帯び程なく嬌声に変わった。
物静かに語る声で甲高く鳴きながら少女が男の感触に喜び始めた。
「あ……痛……いたっ……あっ、あぁ…………!」
「痛い痛いって言いながら腰は揺れてるぜ? なに、じきによくなる……。」
 少女が女に目覚めてゆくこの感触がたまらなくて、男は少女の体に溺れ続ける。腰使いはもう情事に身を委ねるそれで、行為に慣れない小娘への配慮などなくなりシルマリルも悲鳴が嬌声に変わってしまった。
自らクラレンスの大きな体をかき抱き縋りついて深いところに男を受け入れる。
 クラレンスが肌が粟立つようなあの感覚に襲われて反射的に身を起こす。
深く繋がった男と女の体はいとも簡単に離れシルマリルの嬌声はどこか名残惜しそうにひときわ高く聞こえる。
純潔の証と粘つく蜜にまみれた男の肉欲の象徴が身震いし、溜まり続けたクラレンスの胸の内が白濁液とともに迸りシルマリルの痛々しい濡れた谷間、やわらかな白い腹に容赦なく振りかけられた。別の熱を持つ体液が滴る感触とまだ彼がいるような鈍い痛みにシルマリルが焦点の合わない視線を向けると、たった今自分を征服した男の征服欲満たされた満足気な笑みと凶悪な形相のもうひとりの彼が見えて一瞬だけ正気に戻り大きく身じろいだ。
しかしクラレンスは容赦などせずに再びシルマリルの脚を大きく開いてひくついている秘唇を視界にさらしそのまま半勃ちの怒張を押しつける。

「誘ったのはお前だ。満足するまでつきあってもらうぜ。」

 また、繋がる音が、今度ははっきりと漏れてシルマリルの耳に届いた。羞恥心に小さな手が思わず耳をふさいでも、その音が生まれる場所は己の胎の中。
いやらしく濡れた音が体の奥から聞こえて来るからまた快楽の深い淵へと引きずりこまれる。
 果たして、貪欲なのはこの男なのか先に求めた己なのか? シルマリルに考えるだけの余裕など与えられない。
深い場所を容赦なくかき回す男の感触は痛みと言うより快楽に変わってしまいそう。
「す、き……クラレンス……好きぃ……。」
 また縋りついてすすり泣き始めた声に、クラレンスは答えを返さず律動にすべてを乗せる。
男と女はいずれここにたどり着くから、もどかしい言葉をいくつも並べ立てずに体で応えるのみ。

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2009/03/02