DVDで鑑賞。
前2作がよかったので今作にも期待していたんだけど、残念ながらちょっと肩透かし感が……前半はけっこうおもしろかったのに、後半へ行くに従ってだんだん気分がさめていってしまった。
順風満帆な日々を送っていたピーターが、「皆に愛されるスパイダーマン」である自分に知らず天狗になって、彼自身の長所である謙虚さや素朴さや誠実さ、そして彼女のMJと、大事なものを自ら手放していってしまう。
謎の生命体にとりつかれ『ブラック・スパイダーマン』になったことでピーターの別人化は加速してしまうが、外部からもたらされた要因はきっかけに過ぎない。ブラック・スパイダーマンは、ピーターの内側にもともとあった邪悪さや残忍さが呼び覚まされ融合した結果であり、ピーターがいつでもなり得る可能性を秘めたもうひとつの顔である……
という部分なんかは、完璧ではないヒーローの不安定さや脆く危険な面を覗かせていて、ちょっとダークめなほうが好みの自分にはツボだった。
しかしこの謎の生命体、冒頭に墜落してきて文字通りいきなり降ってわいた存在ながら、最後までこれといった説明もなされず「結局なんだったんだよ!」なまま終わってしまったのが、未消化で気持ち悪さを拭えない……本体は消滅したけどサンプルはまだ残ってたはずだから、そこからまた次回に繋げでもするんだろうか?
ピーター同様これにとりつかれてしまうインチキ記者君は、善と悪の間の葛藤もないまま融合して『劣化ブラック・スパイダーマン』みたいになってたけど、脅威よりもチープさのほうが際立ってる上に、悪役としてのインパクトは薄かった。
TVドラマ『That '70s Show』のエリック役イメージばかりがすっかり定着していた、トファー・グレイスの違う顔が見られたのは良かったけど。
新キャラのサンドマンも、病弱の娘思いで治療費のために悪事をはたらくというのはまぁ少し同情はするんだけど、それでも犯罪は犯罪なので、ラストでスパイダーマンに見逃されてるのが何だかなぁ、な感じ。
病気の家族のためなら強盗しても暴れても最終的に許されます、となったら正義いらないじゃないか。ベン叔父さんを殺してしまったサンドマンを許してやるのはあくまでピーター個人としてのことであって、それと犯罪を見逃すのとはまた別の話なんじゃないの?
ハリーとの確執や対決は、間にMJが入ることでちょっとした泥沼展開になるものの、これもやっぱりラストはあっさりしすぎちゃってて不満……
自身の明確な意思も感じられないまま、亡き父やらピーターやらに振り回されるだけ振り回されて散ったハリーは、最後まで小物の印象なままで一番不憫な存在だったかも。
マイ評価:★★☆☆☆
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