原題:『El Espiritu de la Colmena』
(1973年)
1940年代、スペイン内戦後のとある小さな村。
巡回映画で『フランケンシュタイン』を観た少女アナは、姉からフランケンシュタインは怪物ではなく精霊で、村外れの一軒家に隠れていると聞きそれを信じ込む。
おっかなびっくり探検に行ったものの、空き家はまったくの無人。
しかしある晩、列車から飛び降りた負傷兵がそこへ逃げ込んできた。
DVDで観賞。
作品名だけは知っていたものの、今まで機会がなく観ていなかった作品。
『Pan's Labyrinth』のギレルモ・デル・トロ監督が影響を受けた映画とのことで、これをきっかけにようやく重い腰を上げて借りてみた。
物語の前半部分は、ただ少女やその一家の生活を淡々と追っているという感じでもあり一見単調なのだが、さりげなく展開されるシーンはどれも静かでありながら、じわりじわりと妙に印象に残る。
日々の退屈の中に潜むもの悲しさや虚しさ、少女たちの危うい無垢さと残酷さ、不思議に混ざり合う現実と空想の世界。
甘くないファンタジーの要素をリアル界に織り込んでいく手法は、ギレルモ・デル・トロ監督が影響を受けたというのもなるほどと頷ける。
この映画はその意味もメッセージも観る者にゆだねられているというか、観た人それぞれによっていろいろな解釈が得られる類の作品だと思う。
父のミツバチ、フランケンシュタイン、毒きのこ、母の手紙、負傷兵、あちこちに散りばめられたモチーフの使われ方も興味深い。
そしてアナを演じた少女のまなざしが、とても純粋で透明で印象的。
マイ評価:★★★★☆
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