DVDで鑑賞。
今敏監督の作品は、こっちのアニメチャンネル深夜枠で『妄想代理人』が放映されていたのをときどき観ていたので、最初はこれもテーマ的に似たような感じなのだろうか……と思ったのだけど、実際はかなりガラッと系統の違う作品で驚きだった。
ホームレスとして暮らす三人の苦境や、彼らが世間から受ける蔑みや暴力、何の保証も保護もない生活や老後への不安、そういったシビアな現実は淡々とリアルに描かれている。
日本の現代社会(とくに都市部)の抱えた問題点や裏の顔など、普通に生活していてはなかなか気にも留めない。多くの人が「普通」だと思っている世界を、世間からはずれた立場の三人の目から眺めるという視点の置き方も、物語に一風変わったおもしろさを添えている。
クリスマスの夜を舞台にしているということもあってか、全編あちこちに「奇跡」や「優しさ」などがちりばめられている。
見た目はこれでもかというくらい薄汚れていて臭そう、なのにファンタジー。
ラストはちょっとキレイにまとまりすぎな感はあるものの、「みんなが幸せに」というエンディングは、クリスマスにはふさわしいのではないかと思った。
マイ評価:★★★☆☆
<<続きを畳む