DVDで鑑賞。
遥か遠い昔、言葉は一つだった。人間たちは神に近付こうと、天まで届く塔を建てようとした。怒った神は言葉を乱し、世界はバラバラになった――
(公式サイトより)
バベルってのは「バベルの塔」のことなんだろうな、とうっすら見当がついてはいても。
旧約聖書の創世記に書かれている『バベルの街』のことを知っていて、それに思い当たれば映画の意味にもすぐにピンとくるのだろうけど、私は聖書には馴染みがないので、鑑賞後にこの文を読んでから「ああ、なるほど!」とようやく細かいところまで納得がいった。
この映画に限らず、キリスト教をテーマに匂わせてたりする映画や小説だと、意味を把握するのや細かいニュアンスなんかを読み取るのが難しくていつも微妙に困るw
映画はとても良かった。
モロッコとアメリカとメキシコと日本、それぞれで展開するストーリーは時系列通りの見せ方ではないため、最初は独立したエピソードの断片をバラバラに追う形になる。後半へいくに従い、パズルのピースがはまっていくようにそれらが繋がっていき、やがて大きな全体像が浮かび上がってくるのには思わず「おお」と驚かされる。
人は、本人でさえも意識していないところで、思わぬ場所の思わぬ人々と繋がっている。
言葉がわからないがゆえに心を通い合わせることができず、またその一方では、言葉は通じていても心がわかりあえなかったりもする。
そんな中で一番確かなもの、頼れるものはいったい何なんだろうと考え、それはやっぱり「愛情」だとか「人を思いやる心」なのではないかなと。作中に出てくる人種も立場も様々の人々、中でも特に、見返りなど一切求めずアメリカ人夫婦を助けるツアー添乗員を見ていてそう感じた。
それにしても、メインキャラのほぼ全員にとってこれは間違いなく「人生最悪の日」だろうなと、観ていてかなり不憫になった。メキシカンのおばちゃんなんてほんと可哀想(´д⊂)
つうか甥っ子ひどいよ! 中の人が他の映画でチェ・ゲバラを演じてるのを観てただけに、なんだかすごく複雑な気分……w
中の人といえば、この作品でアカデミー賞にノミネートされた菊地凛子の演技は、絶賛されただけあって確かにすごくいいなと思った。
あとクラブでのシーンの演出など、「チエコのみている世界」を簡潔に表現していてスゴイ。
でもあの効果で、例のポ●モン騒動みたいに具合悪くなる人が出たってのはホント!?
マイ評価:★★★★☆
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