DVDで鑑賞。
実在の『ゾデイアック事件』を題材にした作品。
今現在も未解決扱いの事件なので、犯人が捕まって事件が解決するという結末は最初から除外されている。あくまでも捜査の過程を、事件に深くかかわってくるキャラクターたちと一緒に悩み考えながらなぞっていく、という内容。
なので、ラストに爽快なエンディングやカタルシスを求めて観てしまうと、肩透かしどころか超鬱展開に釈然としない気持ちだけが残されてしまうかも。
物語の中心となる人物、新聞記者のエイブリー、漫画家のグレイスミス、刑事のトースキー、この三人が『ソディアック事件』にかかわってしまったばかりに人生を変えられていく様は、後半に行くに従ってどんどん取り返しのつかないことに……
まさに『ゾデイアック事件を健全なまま生き延びた者はいない』というグレイスミス本人の言葉通り、この事件に深くかかわりすぎた者は皆、肉体的にも精神的にも自らを追い詰めていき、己の生活をも崩壊させてしまうことになる。
特に、酒びたりで体までおかしくしてしまうエイブリーは可哀想。
彼を演じたロバート・ダウニー・Jrの演技もとてもよかった。
ところでこの『ゾディアック』なる犯人、殺しの証拠を残したりあるいは送りつけてきたり、自分から新聞社に何度もコンタクトをとったりとかなりアピールは激しいのに、その正体となるとさっぱり掴むことができない。
男女ペアで襲う場合、男へのとどめが甘く結果的に命を取り留めさせたことも数度あるのに対し、女に対しては確実に絶命するまで徹底的に攻撃する、その執拗さと残虐性もますます不気味。
ラストも犯人を特定できないまま終わるというのが、すごく気持ち悪い後味を残している。
マイ評価:★★★★☆
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