劇場で鑑賞。
ギレルモ・デル・トロ作品となっているが、監督はホアン・アントニオ・バヨーナ。
デル・トロはプロデュース側にまわっているものの、それでもやっぱりそこかしこに独特の「デル・トロ風味」が満載。
子供やゴーストといった題材、ダークなファンタジーにさりげなくエグい残酷さなどなど、画面全体に漂う空気もまんまデル・トロだった。
シモンの謎の失踪をきっかけに、孤児院に隠された暗い過去や秘密が少しずつ顔を出し、ローラにヒントを与えるかのように奇怪で不気味な現象が起こり始める。
その過程では思わず座席から飛び上がってしまいそうなほど驚かされたり、うわああああああと顔をしかめたくなるグロ描写も出てくるけど(交通事故のシーンは特に危険w)、薄っぺらいホラーとはしっかり一線を画していて、深みのある恐怖を表現しているのはさすが。
ストーリーも伏線や謎のチラつかせ方が絶妙で自然、常にぴんと張り詰めた緊張感を保っているので、途中まったく飽きさせられることがなかった。
幽霊などのオカルティックな非現実的要素と、現実世界で起きる出来事や存在する人々、そして過去の記憶と埋もれた真実。それらをうまく絡めながらだんだんと境目をあいまいにしていく見せ方で、ローラの味わう『あちら側とこちら側の混ざり合う恐怖』が、彼女の視点で生々しく味わえる。
心理的にヒタヒタ攻めてくるという点で、怖さの種類はちょっと日本の怪談にも通じるものがあるかも。
劇中に出てくる『だるまさんが転んだ』遊びも、言葉が違えどやってることは同じで、スペインの子供も日本の子供も同じ遊びをするんだなーと、妙に親近感があるし。
でも私はあんな『だるまさんが転んだ』は全力でお断りするけどw
ストーリーの謎解き部分が明らかにされても爽快感はほぼ皆無で、むしろ悲しさと切なさと後味の悪さが残るようになっている。
気味の悪いものとして登場する麻袋のマスクの少年、トマスの正体と彼にまつわる真実もとても悲しいものが……(ノД`)
しかしラストは悲しいけれど優しく、そしてある意味幸せでもある、他のギレルモ作品『Cronos』や『Pan's Labyrinth』と似た系統の終わり方。こういうエンディングはわりと好き。
ただ、旦那だけは可哀想だよなぁ……
マイ評価:★★★★★
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