DVDで鑑賞。
スティーヴン・キング著の『Skeleton Crew』に収録されている同タイトル作の映画化。
キング作品の映画化というと、当たるときは名作、しかし外れたときはションボリでガッカリという差がでかいのがデフォ。特に原作を読んでいると、期待よりもまず「この世界をうまく映像化できるのか?」という不安をどうしても抱いてしまう。
が、今回は『ショーシャンクの空に』や『グリーンマイル』も手がけたフランク・ダラボンが監督。
キング作品と世界を理解している人物の手によるものということで、その心配も杞憂に。
ストーリーや設定はかなり原作に忠実、読んで頭の中に浮かぶそのままの映像を高クオリティで再現したかのような画面。原作の味を極力損なわないよう、しかしホラー映画らしいおもしろさはきちんと出しつつ、細部までこだわって作られている感じ。
軍隊の怪しい研究と実験で繋いだ異世界への窓が開きっぱなしになってしまい、そこから正体不明の奇怪な怪物たちがこちら側の世界へなだれ込んできた……というかなりトンデモな説明付けながら、クリーチャーたちの姿形はやたらリアリティがありキモ怖い。
巨大触手生物をはじめ、中型犬サイズくらいある蜘蛛だとか、空飛ぶ肉色の蟲だとか、それを捕食するペリカンをグロテスクにしたような鳥だとか、STAR WARSのAT-ATみたいな馬鹿でかい象のようなのだとか。
しかし怪物も怖いが同じくらい怖いのは人間、精神的に追い詰められ熱狂した集団であるというのが、実はこの話でもっとも恐怖な部分だったりもする。
主人公たちがスーパーマーケット内に閉じ込められてからは、物語のほとんどがその中で展開。場面や動きが制限される分テンポも中だるみしそうなものなんだけど(原作のほうは実際にそう感じる部分も多少あった)、はしょり過ぎない程度にまとめつつ一定のスピード感と緊張感を保っているので飽きさせない。
ただ、原作でデイヴィッドと人妻アマンダがゴニョゴニョ……な部分はここでは丸ごとカットされていたけど、デイヴィッドのキャラを家族思いパパで真面目な印象のままにしておくには、そのほうが都合がよかったんだろうか。極限状態の過度なストレスから逃れるため、自己防衛的な意味で手近な慰めに走るという本来の設定も、デイヴィッドの人間臭さや弱さが出ていて個人的には好きなんだけど。
しかしそれにしてもこれ、ラストがびっくりですよ。
な ん と い う 鬱 エ ン ド……!
原作が『Hope』の一語で希望を持たせつつ締めくくっているのに対して、映画のほうはもうこれでもかというくらい救いがないエンディング。最後の最後でこんな意外なアレンジが待っているとは。
悲痛な声で泣き叫ぶデイヴィッドはほんとに痛々しくて不憫なんだけど、でもこれはこれでありというか。こういう容赦なく残酷な結末は自分的にツボ。
それと本編とは別に。
DVD特典映像として入っている、誰でも一度は作品を目にしたことがあるに違いない、有名ポスター画家のDrew Struzan氏(公式サイト:http://www.drewstruzan.com/)の特集がとてもよかった。
作中では氏の作品を、主人公で画家のデイヴィッドが描いたものとして使用。冒頭のシーンでもイーゼルや壁に作品がいくつか見られる。
『Pan's Labyrinth』のポスター、あれすっごく欲しいー。
★★★☆☆
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