LotRでおなじみのピーター・ジャクソン監督による、1950年代に実際あった事件をもとに作られた作品。
下宿屋を営む地味な中流家庭の娘、見た目もあまりパッとしないポーリーンと、裕福な両親と大きな屋敷に住む、強気で気さくな美少女ジュリエット、一見ちぐはぐな組み合わせにも見える二人が『空想好き』という共通点をきっかけに仲良くなる。
美少女同士ではないところに、なんだか妙なリアリティがw
最初はごく普通だった二人の関係が、空想遊びがエスカレートするに従ってこちらもどんどん濃く病的なものまでになっていき、最終的には取り返しのつかない事件を引き起こす……という展開。
舞台になるのは、自然たっぷりの穏やかで長閑な、悪く言えば退屈で刺激のない田舎町。
そんな環境が二人のイマジネーションによって彩られ、不思議な世界に塗り替えられていく。二人にとっての『極楽』世界とあって、なんでもありの幻想的空間なのだけど、しかし粘土で作った人形がそのままの形で人間サイズになって動いているのは、ファンシーとはかけ離れててけっこう不気味w
ただの空想遊びに終わらず、次第に現実よりもその世界にのめり込むことのほうが増え、自分たち以外のまわりが見えなくなっていく二人。
その関係ももうただの友人を超えており、思春期の少女にありがちな擬似レズ関係と片付けるには濃厚で、深刻すぎるあまりちょっと危険な様相さえ帯びてくるように。
精神レベルでここまで繋がることのできる、まさに魂の双子的な伴侶を手放したくないという気持ちはわからないでもない。
一緒にいたい、でもまわりが許してくれない、私たちの仲を引き裂こうとしている。だったら邪魔をするものは自分で排除するまでだ……と、ここまで思いつめてしまうのもすごいと思うが、でも自分で何もできない10代の少女の苦しみやもどかしさは痛いほど伝わってくる。
しかし最後にああいう形の解決法しか思いつけなかったのは、自分たち以外には何も見えていないその『深く狭すぎた視野』こそが、結果的にあだとなったということなのかも。
幻想的世界が一転してリアルな血みどろ劇になる急展開もすごいが、これが実際にあった事件だというのもまたしみじみと凄まじい。
マイ評価:★★★☆☆
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