TVで鑑賞。
眠れなくてTVつけたらちょうど始まってたのでそのまま……コース。
しょっぱな出てくるベニチオ・デル・トロがすごいインパクト。なんだこの原始人w
きっと重要人物的役割に違いないと思ったら、あっという間に脳髄吹き飛ばして退場でもっとびっくりだし。なんという贅沢な役者の使い方w
少女連続殺人の犯人を見つけ出すというテーマながら、話は中盤あたりまで比較的まったり気味。のどかな田舎町に引っ込んだジェリーの引退生活、買い取った小さなガソリンスタンドと雑貨屋を経営し、地元で恋人もでき、静かな喜びに満ちた第二の人生をスタートした様子なんかを淡々と追っている。
同居するようになった恋人の連れ子、ちょうど例の事件の被害者たちと同じ年頃の娘のまわりに不穏な影がチラつくようになってから、ジェリーの刑事魂にも再び火がつく。
そして物語りもここからどんどん緊迫した展開に。
犯人と思われる怪しい人物の正体よりも、ジェリー自身が次第に自らを追い詰め精神的にヤバくなっていく様子にハラハラさせられる。犯人にまつわるあれやこれやも、もしかしてジェリーの誇大妄想なのではという疑念が、最後まで晴れない。
自分の本当の娘みたいに可愛がっていたはずの少女を、犯人をおびきよせる囮に使ってしまうあたりで、もうジェリーの必死さの度合いもかなり危険になっている。彼をそこまで追い詰めることになった冒頭の事件が、誓いや約束というよりもはや呪いのようにとりついている感じで恐ろしい……
ラストは切ないというか、とにかくジェリーが不憫だった。
女の子に何事もなくて済んだのはよかったと思う反面、ジェリーの読みの正しさが証明されなかったことが、観ているこちら側にはもどかしい。
元同僚たちからは「昔は優秀だったが退職後におかしくなった」と憐れまれ、彼女には「娘を危険なことに利用するなんて頭がイカレた最低男」と罵られ。
そしてその通り、最後は本当に狂人になって一人取り残され、荒れ果てた自分の店の前で一人ぶつぶつ呟き続けるという、最悪に報われない幕の閉じ方。
監督のショーン・ペンはこの、「ある一面においてはハッピー・エンドなんだけど、もう一方ではものすごく後味の悪いエンディングを残す」という終わらせ方が絶妙だといつも思う。
円満解決でめでたしめでたし、というラストを期待している相手に、「物語はそんなに単純なハッピーエンドだけじゃない」という事実をさりげなく突きつけてくる。
マイ評価:★★★☆☆
<<続きを畳む