一度目の爆発は実はおとり、その後に救助や捜査機関が集まってきたところで二度目の本命爆発、という容赦なく残忍なテロリストのやり口にまずびっくり。
理解の範囲を超えて過激なことする集団ってのはつくづく恐ろしい。
そんな悪と戦う正義のアメリカ!
……なストーリーにならないよう、いろいろと注意を払って作られている映画だなぁと感じた。
アメリカ側だけでなく、サウジアラビア側からもテロ行為を憎む存在を出し、共に協力してテロ集団という共通の敵に立ち向かわせていくことで、『国vs国』(中東=悪)という図式にならずに済んでいる。
メインキャラクターとなる捜査官が白人俳優ではないという部分も、たぶんいい方向に作用しているのではないかなと感じた。
つうかジェイミー・フォックス渋かっこいいなぁ。
国籍の違う者同士が、協力しあううちに個人として心を通わせ、仲間意識にも似た友情を芽生えさせ……男たちがそうして垣根を取っ払っている間に、しかし紅一点の捜査官は『女性である』ということで差別され、捜査官としての行動も制限されたりしてるんだよな、と思うとやはり複雑。
(余談だけど捜査官のうちの二人、『Juno』で夫婦役やってた人たちで、思わぬところでの共演に最初なんだか変な感じがしたw)
自爆テロで仲間をやられたFBI捜査官、テロ集団のリーダーであった祖父を目の前で殺された少年、それぞれが「やつらを皆殺しにしてやる」とまったく同じことを口にするというラストの演出は、ずしっと重い後味を残す。
この少年は大きくなったらやはりテロリストになってしまうのかと考えると、暴力と血の連鎖は永遠に途切れることはないのかと感じて暗い気持ちになるような。
そしてこれは完全なフィクションではない、この世界で起きている現実であるのだということを、今一度思い出させられる。
マイ評価:★★★★☆
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