「コレを、歯と手を使わないで食べてください」
ジョシュアが差し出したのは、今日の昼食に出た残りらしい一本のバナナ。
食後の休憩時間にオーバーフラッグスの面々とやっていた、ちょっとしたカードゲームに負けた。
その、罰ゲームだという。
グラハムはきょとんとして、突き出されたバナナを軽く指で触れた。
「……これを?」
彼がさせたいことの意味がわからなかった。そんな程度のことで何が楽しいのだろう。
が、ジョシュアは目を細めて微笑んでいるし、他の部下たちもこちらをじっと見ている。
期待に満ちたそんな反応を知って、これもレクリエーションの一環で、
時にはこうした戯れに率先して興じるのも上官たる者の努めと考え、グラハムは不可解なまま頷く。
「ほら、どうぞ。まだ青いけれど、とてもおいしいですよ。貴方に食べて欲しくてたまらない……」
戯言を呟きながら、先端の茎を折って剥きかけたバナナを、ジョシュアはグラハムの顔に突きつける。
「わかった、やればいいのだろう」
グラハムは鼻で笑いながら、無造作に口を開けた。
いきなり、ジョシュアは先端をその唇の中にぐいとねじ込む。
「んっ、……ふ、ぐ、」
ちょっと待て、と言おうとしたが、まだ青く硬いその果実を口腔の奥深く挿れられ、
かと思うと不意に引かれるので、グラハムはうまく喋ることができなかった。
噛んではいけないというので、グラハムはその先端を唇ではさみ、どうにか捕まえる。
舌を強く押しつけ、絡めて、それを折り取ろうと試みるのだが、
まだ青いままだった果実は存外に硬く、口の中に甘いような苦いような匂いが広がるばかりで、
なかなか思うようにならなかった。
続き▽
ジョシュアが差し出したのは、今日の昼食に出た残りらしい一本のバナナ。
食後の休憩時間にオーバーフラッグスの面々とやっていた、ちょっとしたカードゲームに負けた。
その、罰ゲームだという。
グラハムはきょとんとして、突き出されたバナナを軽く指で触れた。
「……これを?」
彼がさせたいことの意味がわからなかった。そんな程度のことで何が楽しいのだろう。
が、ジョシュアは目を細めて微笑んでいるし、他の部下たちもこちらをじっと見ている。
期待に満ちたそんな反応を知って、これもレクリエーションの一環で、
時にはこうした戯れに率先して興じるのも上官たる者の努めと考え、グラハムは不可解なまま頷く。
「ほら、どうぞ。まだ青いけれど、とてもおいしいですよ。貴方に食べて欲しくてたまらない……」
戯言を呟きながら、先端の茎を折って剥きかけたバナナを、ジョシュアはグラハムの顔に突きつける。
「わかった、やればいいのだろう」
グラハムは鼻で笑いながら、無造作に口を開けた。
いきなり、ジョシュアは先端をその唇の中にぐいとねじ込む。
「んっ、……ふ、ぐ、」
ちょっと待て、と言おうとしたが、まだ青く硬いその果実を口腔の奥深く挿れられ、
かと思うと不意に引かれるので、グラハムはうまく喋ることができなかった。
噛んではいけないというので、グラハムはその先端を唇ではさみ、どうにか捕まえる。
舌を強く押しつけ、絡めて、それを折り取ろうと試みるのだが、
まだ青いままだった果実は存外に硬く、口の中に甘いような苦いような匂いが広がるばかりで、
なかなか思うようにならなかった。
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| ジョシュア::9:ジョシュア、カタギリ | 2008,02,10, Sunday 07:37 PM